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特許7048646耐火特性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法
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  • 特許-耐火特性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】耐火特性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220329BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20220329BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20220329BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20220329BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20220329BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/76 057
C08G18/18
C08L75/04
C08K5/521
C08G101:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019570814
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2019012846
(87)【国際公開番号】W WO2021006423
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0081409
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516197388
【氏名又は名称】ハングク カーボン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、ヤン スー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジョン ギル
(72)【発明者】
【氏名】リー、セウン ウー
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均水酸基価(OH value)が150~300mgKOH/gであるポリオール100重量部に対して、シリコーン整泡剤1~6重量部、アミン系触媒0.1~1.5重量部とリン系難燃剤6~55重量部を混合してポリオール混合物を製造する段階と、
ポリオール混合物に、ポリオール100重量部に対して0.1~1.0質量部の発泡剤を投入する段階と、
発泡剤が投入されたポリオール混合物にイソシアネートを混合してNCO指数(Index)が450~550になるように制御する段階と、
100×10 5 ~140×10 5 Paの発泡圧力で、発泡機により発泡圧力を制御しながら発泡し、ポリウレタンフォームを製造する段階と、を含み、
前記リン系難燃剤は、ハロゲン原子を含有する第1の難燃剤、及びハロゲン原子を含有しない第2の難燃剤を含み、
第1のリン系難燃剤は、リン酸トリス2-クロロプロピル(Tris2-chloropropyl phosphate、TCPP)、リン酸トリス2-クロロエチル(Tris2-chloroethyl phosphate、TCEP)、及びホスフィニルリン酸アルキルエステル(Phosphinyl alkyl phosphate ester、CR-530)からなる群から選択される1種以上であり、
第2のリン系難燃剤は、リン酸トリエチル(Triethyl phosphate、TEP)、テトラメチレンビスオルトホスホリルウレア(Tetramethylene bis orthophosphoryl urea、TBPU)及びレゾルシノールビスジフェニルホスフェート(Resorcinol bis diphenyl phosphate、RDP)からなる群から選択される1種以上であり、
第1の難燃剤の含有量(M1)と第2の難燃剤の含有量(M2)の比(M1/M2)は、0.2~35の範囲であることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
アミン系触媒は、ペンタメチレンジエチレントリアミン(Pentamethylenediethylene-triamine、PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(Dimethylcyclohexylamine、DMCHA)及びテトラメチルエチレンジアミン(Tetramethylethylenediamine、TMEDA)からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
イソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)からなる群から選択される1種以上を含む請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019.07.05付けの韓国特許出願第10-2019-0081409号に基づいた優先権の利益を主張しながら、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、耐火特性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン(polyurethane)はポリオール(polyol)とイソシアネート(isocyanate)によって生成されたウレタン結合(urethane bond)を含有している高分子物質を意味し、イソシアネートのNCOとポリオールのヒドロキシ基(OH)の反応によって生成される。
【0004】
ポリウレタンフォームは、内部のセル(Cell)の形状に応じて軟質ポリウレタンフォーム(Flexible Polyurethane foam)と硬質ポリウレタンフォーム(Rigid Polyurethane foam)に分けられる。軟質ポリウレタンフォームは、TDIまたはMDIとヒドロキシ基の数が25~36となるポリエーテルトリオールによって製造される。軟質ポリウレタンフォームは、軽量で弾性力が良く、開放-セル(Open cell)構造に因して空気透過率が高いという特性がある。軟質ポリウレタンフォームは、一般的に衣類、寝具、マットレスまたは車のシートのような製品に適用される。これに対し、硬質ポリウレタンフォームは、MDIと3~8個の官能基を有するポリオールによって製造される。硬質ポリウレタンフォームは、セルサイズが微細であり、詰まったハチの巣形状の閉鎖-セル(Close cell)構造である。硬質ポリウレタンフォームは機械的強度に優れており、セル内部に存在する熱伝導度が低い気体に因して断熱特性に優れている。硬質ポリウレタンフォームは断熱材として適用可能である。
【0005】
従来の硬質ポリウレタンフォームは、機械的強度及び断熱特性に優れているが、火災発生時を考慮した耐火炎特性が不十分であり、それに因して適用分野が制限される限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国 特許公開公報 第2013-0004795号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題点を解決するために創案されたものであり、耐火特性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供する。具体的に、本発明に係るポリウレタンフォームの製造方法は、
平均水酸基価(OH value)が150~300mgKOH/gであるポリオール100重量部に対して、シリコーン整泡剤1~6重量部、アミン系触媒0.1~1.5重量部及びリン系難燃剤6~55重量部を混合してポリオール混合物を製造する段階と、
ポリオール混合物に発泡剤を投入する段階と、
発泡剤が投入されたポリオール混合物にイソシアネートを混合してNCO Indexが450~550になるように制御する段階と、
100~140bar(100×10 5 ~140×10 5 Pa)の発泡圧力で発泡する段階と、を含む。
【0009】
ここで、前記リン系難燃剤は、ハロゲン原子を含有する第1の難燃剤と、及びハロゲン原子を含有しない第2の難燃剤を含む。
【0010】
一実施例で、第1のリン系難燃剤は、リン酸トリス2-クロロプロピル(Tris2-chloropropyl phosphate、TCPP)、リン酸トリス2-クロロエチル(Tris2-chloroethyl phosphate、TCEP)、及びホスフィニルリン酸アルキルエステル(Phosphinyl alkylphosphate ester、CR-530)からなる群から選択される1種以上であり、
第2のリン系難燃剤は、リン酸トリエチル(Triethyl phosphate、TEP)、テトラメチレンビスオルトホスホリルウレア(Tetramethylene bis orthophosphorylurea、TBPU)及びレゾルシノールビスリン酸ジフェニル(Resorcinol bis diphenyl phosphate、RDP)からなる群から選択される1種以上である。
【0011】
また、第1の難燃剤の含有量(M1)と第2の難燃剤の含有量(M2)の比(M1/M2)は、0.2~35の範囲で制御可能である。
【0012】
また、別の一実施例で、アミン系触媒は、ペンタメチレンジエチレントリアミン(Pentamethylene diethylene triamine、PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(Dimethylcyclohexylamine、DMCHA)及びテトラメチルエチレンジアミン(Tetramethylethylene-diamine、TMEDA)からなる群から選択される1種以上である。イソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)からなる群から選択される1種以上を含むポリウレタンフォームの製造方法である。
【0013】
本発明に係るポリウレタンフォームは、ASTM D1622による見掛け密度(apparent density)が259~317kg/m3の範囲である。また、前記ポリウレタンフォームは、BSS(Boeing Specification Support)7322Rev.B-FAR(Federal Aviation Regulation)25.853App.F、PartIVによる放熱速度(Heat Release Rate)測定時、ピーク放熱(Heat Release Peak)が65kW/m2以下であり、放熱総量(Heat Release Total)が65kW・min/m2以下である。
【0014】
一実施例で、前記ポリウレタンフォームは、ASTM D2842による水分の吸収度が1%(w/w)以下であり、BSS(Boeing Specification Support)7238 Rev.C-FAR(Federal Aviation Regulation)25.853 App.F、PartVによる煙密度(Smoke Density)が200以下である。
また、前記ポリウレタンフォームは、航空機内装材用に適用可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るポリウレタンフォーム及びその製造方法は、機械的物性の低下なしに優れた耐火特性を実現し、前記ポリウレタンフォームは航空機内装材として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るポリウレタンフォームの製造過程を概略的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、より具体的に説明する。それに先立ち、本明細書及び請求の範囲で使用された用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は彼自身の発明を最も最善の方法で説明するため、用語の概念を適切に定義することができる原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0018】
本明細書に記載された実施例及び図面等に図示された構成は、本発明の具体的な一実施例に過ぎないだけであり、本発明の技術的思想にすべてを代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる様々な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0019】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。具体的に、本発明に係るポリウレタンフォームの製造方法は、
平均水酸基価(OH value)が150~300mgKOH/gであるポリオール100重量部に対して、シリコーン整泡剤1~6重量部、アミン系触媒0.1~1.5重量部及びリン系難燃剤6~55重量部を混合してポリオール混合物を製造する段階と、
ポリオール混合物に発泡剤を投入する段階と、
発泡剤が投入されたポリオール混合物にイソシアネートを混合してNCO指数(Index)が450~550になるように制御する段階と、
100~140barの発泡圧力で発泡する段階と、を含む。
【0020】
また、本発明で、前記リン系難燃剤は、ハロゲン原子を含有する第1の難燃剤と、ハロゲン原子を含有しない第2の難燃剤を含む。
【0021】
本発明は、化学発泡剤である水(H2O)が発泡剤として使用し得るし、物理的発泡剤であるHFC系列の発泡剤および/またはHFO系列の発泡剤の中で1種類以上を使用して発泡した、硬質ポリウレタンフォーム(Rigid Polyurethane foam)を提供する。例えば、本発明では発泡剤として水が使用し得る。発泡剤の含有量は、発泡体の適用分野ないし必要物性に応じて異なり得る。本発明では、ポリオール100重量部に対して水0.1~1重量部を投入する。これにより、本発明に係るポリウレタンフォームは、航空機内装材として適用時に要求される機械的物性を充足する。
【0022】
本発明では、ポリウレタンフォームの製造時のNCO指数を450~550の範囲で制御し、同時に前記2種の難燃剤を共に使用する。これを通して製造されたポリウレタンフォームは、機械的物性の低下が無く、耐火炎性能が優れており、火災時の煙の発生量が著しく低減されることを確認した。
【0023】
本発明に係るポリウレタンフォームの製造方法は、第1および第2のリン系難燃剤を共に使用する。一つの例で、第1のリン系難燃剤は、リン酸トリス2-クロロプロピル(Tris2-chloropropyl phosphate、TCPP)、リン酸トリス2-クロロエチル(Tris2-chloroethyl phosphate、TCEP)、およびホスフィニルリン酸アルキルエステル(Phosphinyl alkyl phosphate ester、CR-530)のうち1種以上であり、第2のリン系難燃剤は、リン酸トリエチル(Triethyl phosphate、TEP)、テトラメチレンビスオルトホスホリルウレア(Tetramethylene bis orthophosphorylurea、TBPU)とレゾルシノールビスリン酸ジフェニル(Resorcinol bis diphenyl phosphate、RDP)のうち1種以上である。前記第1及び第2の難燃剤の合計含有量は、ポリオール100重量部に対して、6~55重量部を使用する。具体的に、第1の難燃剤の含有量は、5~35重量部、10~30重量部または15~25重量部の範囲で使用し、残りの難燃剤成分は、第2の難燃剤を使用する。例えば、第1の難燃剤は、第2の難燃剤に比べ1.5倍以上の含有量の割合で適用する。
【0024】
また、前記アミン系触媒は、触媒活性を有する場合であれば、特別な制限無く使用可能であり、例えば、ペンタメチレンジエチレントリアミン(Pentamethylenediethylene-triamine、PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(Dimethylcyclohexylamine、DMCHA)及びテトラメチルエチレンジアミン(Tetramethylethylenediamine、TMEDA)のうち1種以上を含む。
【0025】
一つの例で、前記イソシアネートはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)のうち1種以上を含む。前記MDI及びPMDIの含有量を制御することにより、ポリオール混合物のNCO指数が効果的に制御し得る。
【0026】
以下では、本明細書に記載された図面及び実施例などを通して本発明をより具体的に説明する。しかし、実施例及び図面等に図示された構成は、本発明の具体的な一実施例に過ぎないだけで、本発明の技術的思想にすべてを代弁するものではない。したがって、本出願時点においてこれらを代替し得る様々な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0027】
まず、図1を参照すると、本発明に係るポリウレタンフォームは、ポリオールを合成する段階(S1)、合成されたポリオールを整泡剤、触媒および難燃剤と混合してポリオール混合物を作る段階(S2)、ポリオール混合物に発泡剤を投入する段階(S3)、ポリオール混合物にイソシアネート成分を投入してNCO指数を制御する段階(S4)及びポリオール混合物を押出機を通して発泡し、フォームを形成する段階(S5)を通じて製造され得る。
【0028】
本発明では、S1~S5の段階に区分して説明するが、これは容易な説明のためである。例えば、S2~S4の段階は、一部あるいは全部が、同時あるいは順次的に遂行可能であり、場合によっては一部の順番が変更され得るし、これは、全てが本発明の権利範囲に属するものとして解釈されるべきである。
【0029】
本発明に係るポリオールは、平均水酸基価(OH value)が150~300mgKOH/gであることを特徴とする。前記ポリオールの平均水酸基はポリウレタンフォーム組成物に含まれるイソシアネート化合物のイソシアネート基(Isocyanate group)との重合反応を進行する構成要素としてポリオールの平均水酸基を限定することで、NCO指数(Index)が制御し得る。これにより、ポリウレタンフォームの圧縮強度と剥離強度などの機械的強度の安定的な確保と共に難燃性(Flammability)及び放熱速度(Heat release rate)のような耐火炎性能を向上させることができる。
【0030】
ポリオールを合成する過程は、公知の方法で多様に遂行可能である。本発明では、ポリオール合成時の平均水酸基価を特定の範囲に制御することになる。前記ポリオールの平均水酸基が150mgKOH/g未満である場合、NCO指数の上昇で、製造されたポリウレタンフォームの耐火炎特性が確保し得るが、ポリウレタンフォームの機械的強度が低くなるという問題がある。一方、ポリオールの平均水酸基が300mgKOH/gを超える場合、NCO指数の減少で、製造されたポリウレタンフォームの耐火炎性能が低くなるという問題がある。
【0031】
一例で、ポリオールは、少なくとも一つのヒドロキシ基(hydroxyl groups)を有するアルコールを言い、ジオール(diol)、トリオール(triol)、テトロール(tetrol)またはそれ以上のヒドロキシ基を有する形になり得るし、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールになり得る。本発明によると、多数個のポリオールが混合されて合成ポリオールに作られ得る。具体的に、アミンに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール、トルエンジアミンに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール、テレフタル酸とフタル酸にジエチレングリコールとジプロピレングリコールの縮合反応によって得られるポリオール、無水フタル酸とアジピン酸にジエチレングリコールとジプロピレングリコールの縮合反応によって得たポリオール、ソルビトールに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール、エチレンジアミンに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール及びグリセリンに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオールで構成されたポリオールから、少なくとも5つのポリオールを選択して、合成ポリオールが製造し得る。それぞれのポリオールを得る方法は、この分野で公知された反応によってなされ得るし、本発明はそれに限定されない。
【0032】
上で提示されたポリオール群から、合成がなされるべきポリオールが選択されると、合成ポリオールの形成のため、アミンに酸化プロピレンと酸化メチレンを添加して得られたポリオール3~15重量部、トルエンジアミンの酸化プロピレンと酸化メチレンを添加して得たポリオール5~30重量部、テレフタル酸とフタル酸にジエチレングリコールとジプロピレングリコールの縮合反応によって得たポリオール10~60重量部、無水フタル酸とアジピン酸にジエチレングリコールとジプロピレングリコールの縮合反応によって得たポリオール10~60重量部、ソルビトールに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール10~60重量部、エチレンジアミンに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール2~25重量部とグリセリンに酸化プロピレンと酸化エチレンを添加して得たポリオール5~15重量部が混合され得る。
【0033】
合成されたポリオールは、整泡剤、触媒、および難燃剤などと混合され、ポリオール混合物として作られ得る。整泡剤(界面活性剤)は表面張力を下げて混和性を向上させ、生成された気泡の大きさが均一になるようにフォームのセル構造を調節して、安定性を付与するためのものとして、シリコーン整泡剤(シリコーン界面活性剤)が使用可能である。前記整泡剤は、ポリオール100重量部に対して、1~6重量部、具体的には1.5~3.5または1.5~3重量部を使用する。
【0034】
必要に応じて、ポリオールの触媒を混合して反応時間を短縮することができる。前記触媒としては、アミンまたは金属触媒を使用する。例えば、本発明では、触媒としてペンタメチレンジエチレントリアミン(Pentamethylenediethylenetriamine、PMDETA)を使用する。前記触媒の含有量は、ポリオール100重量部に対して、0.1~1.5重量部を投入する。具体的に、前記触媒は、ポリオール100重量部に対して、0.5~1.5または0.8~1.2重量部を投入する。
【0035】
また、本発明は、ポリオールにリン系難燃剤を混合する。前記リン系難燃剤としては、2種の相違したリン系難燃剤を混合使用する。例えば、前記リン系難燃剤は、リン酸トリス2-クロロプロピル(Tris2-chloropropyl phosphate、TCPP、第1難燃剤)とリン酸トリエチル(Triethyl phosphate、TEP、第2難燃剤)を混合使用する。前記のように2種のリン系難燃剤を混合使用する場合、放熱速度ないし煙密度のような耐火炎特性が顕著に向上され、あわせて圧縮強度のような機械的物性も一定レベル向上されることを実験的に確認した。
【0036】
前記難燃剤の合計含有量は、ポリオール100重量部に対して、6~55重量部の範囲、10~50重量部または30~45重量部の範囲で制御可能である。具体的に、第1の難燃剤の含有量は5~35重量部、10~30重量部または15~25重量部の範囲で使用し、残り難燃剤の含有量は第2の難燃剤とする。一例で、第1の難燃剤の含有量を第2の難燃剤の含有量より高く制御し得る。例えば、第1の難燃剤の含有量(M1)と第2の難燃剤の含有量(M2)の比(M1:M2)は、1.5:1~5:1の範囲、または2:1~3:1の範囲で制御し得る。第1および第2の難燃剤の含有量の割合が前記範囲を外れると、ポリウレタンフォームの物性改善効果が顕著に低下される。
【0037】
ポリオール混合物は発泡剤を投入した状態で、押出発泡を経ることになる。前記発泡剤としては、化学的発泡剤である水(H2O)が使用し得るし、物理的発泡剤であるHFC系列の発泡剤および/またはHFO系列の発泡剤の中から1種類以上を混合して使用することができる。例えば、発泡剤として水が使用し得る。発泡剤として水を使用する場合、ポリオール100重量部に対して0.1~1.0重量部または0.2~0.7重量部の範囲で投入する。
【0038】
発泡剤を投入したポリオール混合物は、イソシアネート成分と共に発泡機に投入され得る。イソシアネート成分は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)のうち1種以上が使用し得る。一般的に、イソシアネートとヒドロキシ基を有するポリオールの当量比をNCO指数(Index)という。NCO指数はウレタンフォームの架橋度、機械的強度、ウレタンフォームの強靭性および柔軟性に影響を及ぼす。本発明に係るポリオール混合物のNCO指数は450~550の範囲であり、具体的には、450~520、480~550、または470~530の範囲である。
【0039】
その次に、発泡機の圧力を100~140barで制御しながら発泡を行ってポリウレタンフォームを製造する。必要に応じてポリオール混合物とイソシアネートを連続的に天然繊維、合成繊維、あるいはガラス繊維などの繊維に含浸させる方法で繊維強化ポリウレタンフォームが製造し得る。
【0040】
また、本発明は先に説明した方法で製造されたポリウレタンフォームを提供する。本発明は、硬質ポリウレタンフォーム(Rigid Polyurethane foam)に関するもので、特に航空機の内装材として適用可能なポリウレタンフォームを提供する。航空機の内装材として適用するためには、航空社で要求する様々な規格を満足しなければならない。そのためには、より高いレベルの機械的物性を満足するとともに、火災に備えて火炎及び煙密度などのような耐火炎特性を満足しなければならない。
【0041】
本発明では、ポリウレタンフォームの製造時にNCO指数を450~550の範囲で制御し、同時に前記した2種の難燃剤を一緒に使用する。これにより、製造されたポリウレタンフォームは耐火炎性能に優れ、火災時に煙の発生量が著しく低減されることを確認した。
【0042】
一実施例で、前記ポリウレタンフォームは、ASTM D1622による見掛け密度(apparent density)が259~317kg/m3の範囲である。また、前記ポリウレタンフォームは、BSS(Boeing Specification Support)7322 Rev.B-FAR(Federal Aviation Regulation)25.853 App.F、PartIVによる放熱速度(Heat Release Rate)測定時、ピーク放熱(Heat Release Peak)が65kW/m2以下であり、放熱総量(Heat Release Total)が65kW.min/m2以下である。前記の密度及び放熱速度に対する数値範囲を満足することにより、本発明に係るポリウレタンフォームは機械的強度が優れており、耐火炎特性も優れていることを確認した。
【0043】
また、別の一実施例で、前記ポリウレタンフォームは、ASTM D2842による水分の吸収度が1%(w/w)以下である。そして、BSS(Boeing Specification Support)7238 Rev.C-FAR(Federal Aviation Regulation)25.853 App.F、PartVによる煙密度(Smoke Density)が200以下である。本発明に係るポリウレタンフォームは、耐湿特性に優れ、火災時を想定した煙密度の実験から優れた耐火特性を有することが分かる。
【0044】
本発明に係るポリウレタンフォームは、優れた機械的物性と耐火特性を同時に実現し、建築の内外装材、車の内外装材又は航空機の内装材など、多様に活用可能である。特に、前記ポリウレタンフォームは、航空機の内装材用として好ましく適用可能である。
【実施例
【0045】
以下、実施例等を通して本発明をより具体的に説明するが、本発明の範疇がこれらに限定されるものではない。
【0046】
<実施例1~4>
平均水酸価(OH value)が150~300mgKOH/gの合成ポリオール100重量部にシリコーン整泡剤であるNiax Silicone L-6124 1~6重量部、触媒としてペンタメチレンジエチレントリアミン(Pentamethylenediethylene-triamine、PMDETA)0.1~1.5重量部、難燃剤であるリン酸トリス2-クロロプロピル(Tris2-chloropropyl phosphate、TCPP)5~35重量部とリン酸トリエチル(Triethyl phosphate、TEP)1~20重量部を混合してポリオール混合物を製造した。
【0047】
製造されたポリオール混合物に発泡剤として水0.1~1.0重量部を投入した。前記ポリオール混合物と水の混合物にMDIまたはPMDIを発泡機に投入して、NCO指数(Index)が450~550になるように制御した。
その次に、発泡機の発泡圧力を100~140barと設定し、発泡圧力を維持しながらポリウレタンフォームを製造した。
【0048】
各実施例別の成分の含有量および条件は、下記表1のようである。
【0049】
【表1】
【0050】
<比較例1~4>
実施例1と同様の方法でポリウレタンフォームを製造するが、各成分の含有量および条件は、下記表2のように調節した。
【0051】
【表2】
【0052】
<実験例>
実施例及び比較例で製造した各ポリウレタンフォーム試験片について、下記表3に記載された項目の物性を評価した。
【0053】
【表3】
【0054】
各項目別の評価結果は下記の表4に示した。
【0055】
【表4】
【0056】
表4の結果を参照すると、実施例1によるフォーム試験片は、機械的物性だけでなく、耐火炎特性も優れていることが分かる。一方、比較例1~3のフォーム試験片は、「放熱速度」項目の評価で、実施例1のフォーム試験片と比べて物性が良くないことが分かる。
【0057】
具体的に、NCO指数が低かった比較例1および2のフォーム試験片は、放熱速度の項目であるピーク放熱(Heat Release Peak)と放熱総量(Heat Release Total)の結果が、実施例1に比べて著しく高く表示されたことで、ウレタンフォームの耐火炎性能が非常に良くないことを分かった。また、比較例3のフォーム試験片は、放熱速度に対する評価結果も良くないし、特に「煙密度」の項目の数値が実施例1に比べ2.5倍を超えることを示した。
【0058】
本発明は、ポリウレタンフォーム製造時、NCO指数を450~550の範囲で制御し、同時に2種の難燃剤を適正範囲で使用した、これにより、機械的物性の低下なく、耐火炎性能が優れて、火災時の煙の発生量が著しく低減されたポリウレタンフォームを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係るポリウレタンフォーム及びその製造方法は、機械的物性の低下なしに優れた耐火特性を具現する。前記ポリウレタンフォームは航空機内装材に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
S1:ポリオールの合成
S2:ポリオール混合物の製造
S3:発泡剤の投入
S4:イソシアネートの投入
S5:フォームの形成
図1