(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】センサ及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/61 20060101AFI20220329BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01N21/61
G01N21/03 B
(21)【出願番号】P 2019571111
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(86)【国際出願番号】 FR2018050524
(87)【国際公開番号】W WO2018162848
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-02
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519326828
【氏名又は名称】エリシェンズ
【氏名又は名称原語表記】ELICHENS
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】デュプレ ヘレン
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0241904(US,A1)
【文献】再公表特許第2011/145736(JP,A1)
【文献】特表2003-532071(JP,A)
【文献】特表2008-544247(JP,A)
【文献】国際公開第2012/126471(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01J 3/00-G01J 3/52
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス(2)を受容するように構成されたチャンバー(10)を備えたガスセンサ(1)であって,前記センサは,
・放射円錐(Ω1)でチャンバーを伝播する光波(11')を放射するように構成された光源(11)と,
・光源(11)から放射され、チャンバーを通過した光波をそれぞれ検出するように構成された測定光検出器(12)およびリファレンス光検出器(13)と,を備え,
チャンバー(10)が互いに向かい合って配置された2つの横断壁(21、22)の間にあり、横断壁は横断壁の間を縦軸(Z)に延びる周壁(30)によって互いに接続され、
周壁(30)は,
・測定光検出器(
12)に向けて反射し、測定光検出器に向かって収束する測定円錐(Ω2)を形成するために,放射円錐の第1の部分(Ω1)を受けるように構成された第1の反射部分(31)であって,
縦軸(Z)に垂直な横断面(XY)において,第1の楕円
の輪郭をたどり,放射円錐(Ω1)の頂点(S1)が第1の楕円の第1焦点に配置される前記第1の反射部分(31)と,
・リファレンス光検出器に向かって収束するリファレンス円錐(Ω3)を形成し,リファレンス光検出器(13)に向かって反射するために,放射円錐の第2の部分(Ω1)を受けるように構成された第2の反射部分(32)と,を備え,
前記チャンバーは,さらに前記横断壁(21、22)の1つに生成され、ガス(2)の流入または排出を目的とする少なくとも1つの開口(23)を備え,前記開口は,
縦軸(Z)に沿って投影された,放射円錐(Ω1)および測定円錐(Ω2)の前記横断壁上の投影の外側に生成されている。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサであって,前記開口は,
縦軸(Z)に沿って投影された,リファレンス円錐(Ω3)の前記横断壁上の投影の外側にも配置される,センサ。
【請求項3】
前記チャンバー(10)は,2つの開口(23,24)を備え,各開口は,前記横断壁(21,22)のうちの1つに形成され,ガス(2)が流入または排出し,各開口は,
縦軸(Z)に沿って投影された,放射円錐(Ω1)および測定円錐(Ω2)の
前記横断壁上の投影
の外側に配置される,請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記横断壁(21,22)は,前記縦軸(Z)に垂直な横断面(XY)に
平行である,請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
測定円錐(Ω2)の頂点(S2)が,前記第1の楕円の第2の焦点に配置される,請求項1~4の請求項のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第2の反射部分(32)は,前記横断面(XY)において,第2の楕円
の輪郭をたどり,前記放射円錐(Ω1)の頂点(S1)が
第2の楕円の第1の焦点に配置され,リファレンス円錐(Ω3)の頂点(S3)が
第2の楕円の
第2の焦点に配置される,請求項1~5の請求項のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1の楕円は,方向(31A)に延びる長軸,中心放射軸(Δ1)の周りに延びる放射円錐(Ω1),中心放射軸は前記長軸の方向に直交する方向(31'A)に対して傾斜し,傾斜角(α
1)は5°から20°の間である請求項1~6の請求項のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1の楕円が長軸(31A)を有し,前記測定光検出器が光軸(Δ2)を規定し,前記光軸が長軸の方向に直交する方向(31'A)に対して傾斜し,傾斜角(α
2)は5°から20°の間である請求項1~7の請求項のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
請求項1~8の請求項のいずれか一項に記載の第1のセンサ(1)と,請求項1~8の請求項のいずれか一項に記載の第2のセンサ(1')とを備え開口(24)を備える第1のセンサの横断壁(22)が、開口(23')を備える第2のセンサの横断壁(21')に面するように配置され、横断壁に設けられた開口を通るガスの流れ(2)を可能とするように,第1のセンサと第2のセンサを互いに重ね合わせられているガスを検出するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は,光学式ガスセンサであり,より具体的には非分散型赤外線センサである。
【背景技術】
【0002】
ガスの分析に光学的方法を使用することは非常に一般的である。ガスを構成する種の吸収スペクトル特性が互いに異なるという事実に基づいて,装置はガスの組成を決定できる。このように,ガス種のスペクトル吸収帯がわかっている場合,その濃度は,Beer-Lambertの法則を用い,気体を通過する光の吸収の推定によって決定できる。この原理により,媒質中に存在するガス種の濃度を推定することができる。
【0003】
光源は通常赤外で放射する光源であり,使用される方法は通常NDIR検出と呼ばれ,頭字語NDIRは非分散赤外線を意味する。このような原理は頻繁に採用されており,たとえば多くの文書,たとえば特許文献1,特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0004】
最も一般的な方法では,分析ガスは,光源と,測定光検出器と呼ばれる光検出器の間にあり,後者(ce dernier)は,分析対象ガスによって透過され且つ部分的に吸収される光波(L'onde lumineuse)を測定することを目的とする。これらの方法は,一般に,リファレンス光波と呼ばれる,光源から放射され,分析されるガスに吸収されない光波の測定を含む。リファレンス光波は,リファレンス光検出器によって測定されてもよい。例えば,特許文献4は,測定光検出器とリファレンス光検出器が光源に対して対称的に配置される構成を記載している。
【0005】
ガスの存在下での光波とガスなしの光波との比較により,ガスを特性評価ができる。例えば「NDIR吸収」と呼ばれる技術を用いて,ガス中のガス種の量を決定することが含まれる。また,所定の散乱角度範囲で後者によって散乱された光を検出することにより,ガス内の粒子の数を推定することもありえる。
【0006】
リファレンス光波は,リファレンス光検出器によって測定される。リファレンス光検出器は,測定の光検出器とは異なってもよく,光源に面するように配置され,リファレンス光検出器がリファレンス光フィルタに関連するように配置されてもよい。リファレンス光フィルタは,分析対象のガスが著しい吸収を示さないリファレンススペクトル帯域に限定する。
【0007】
特許文献5及び特許文献6は,1以上のミラーが配置されたチャンバーを有するガスセンサを開示している。このミラーは,チャンバー内の光路を最大化し,ガスを通過した光線を光検出器に集束させることができる。これにより,コンパクトな装置を使用しながら検出感度を高めることができる。放物面鏡を用いることは,特許文献7に記載されている。
【0008】
特許文献8は,互いに並置された様々な基本センサで構成されるガスセンサを記載している。この装置では,分析されるガスはさまざまな基本センサに流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第502699号明細書
【文献】国際公開第2007/064370号
【文献】米国特許第6469303号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2133684号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2711687号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2891876号明細書
【文献】国際公開第2006/135212号
【文献】国際公開第2012/126471号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は,最適化された性能を備え,特にコンパクトさと感度に焦点を合わせたガスセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の主題は,ガスを受容可能なチャンバーを備えたガスセンサであって,前記センサは,
・放射円錐でチャンバーを伝播する光波を放射可能な光源と,
・光源から放射され、チャンバーを通過した光波をそれぞれ検出可能な測定光検出器およびリファレンス光検出器と,を備え,
前記センサは、チャンバーが互いに向かい合って配置された2つの横断壁の間にあり、横断壁は横断壁の間を縦軸に延びる周壁によって互いに接続され、特に円筒形であり,
周壁は,
・測定光検出器に向けて反射し、測定光検出器に向かって収束する測定円錐と呼ばれる円錐を形成するために,放射円錐の第1の部分を受けることが可能な第1の反射部分と,
・リファレンス光検出器に向かって収束するリファレンス円錐と呼ばれる円錐を形成し,リファレンス光検出器に向かって反射するために,放射円錐の第2の部分を受けることが可能な第2の反射部分と,を備える。
【0012】
一実施形態によれば,前記チャンバーは,前記横断壁の1つに生成され、ガスの流入または排出を目的とする少なくとも1つの開口を備え,前記開口は,放射円錐および測定円錐の横断壁上で、縦軸に沿った投影の外側で横壁に生成されている。横断壁は、反射壁であることが好ましい。
【0013】
好ましくは,各開口は,リファレンス円錐の長手方向軸に沿って,前記横断壁上にある投影の外側にも配置され,流入及び排出できる。
【0014】
前記チャンバーは,2つの開口を備え,各開口は,前記横断壁のうちの1つに形成され,ガスが流入または排出し,各開口は,横断壁上に,長軸に沿って,放射円錐および測定円錐の外側投影に配置されるようにしてもよい。
【0015】
前記横断壁は,縦軸に対して横方向に延び,特に前記縦軸に垂直な横断面にある。
【0016】
横断壁は,横断面に平行である,または横断面に実質的に平行ででもよい。この用語は,実質的に角度公差は,例えば+/-20°または+/-30°を許容できることを示す。
【0017】
第1の反射部分および第2の反射部分は、特に湾曲していてもよい。それらは、横断面で曲線に描かれ,曲線は楕円または放物線の一部でありうる。第1の反射部分は、横断面において、第1の楕円に続くことができ、センサは、放射円錐の頂点が第1の楕円の第1の焦点に配置されるようになっている。好ましくは、測定円錐の頂点は、第1の焦点とは異なる、第1の楕円の第2の焦点に配置される。
この配置において、第1の反射部分は光源と測定光検出器を結び合わせます。
【0018】
第2の反射部分は、横断面において、第2の楕円に続いてもよく、センサは、放射円錐の頂点が第2の楕円の第1の焦点に配置され、リファレンス円錐の頂点が,前記楕円の第1の焦点とは異なる第2の楕円の第2の焦点に配置される。
【0019】
第1の楕円は,放射円錐が中心放射軸の周りに延びる方向で延びる長軸を有し、中心放射軸は長軸の方向に直交する方向に対して傾斜し,傾斜角は5°から20°の間であるようにしてもよい。
【0020】
測定光検出器が光軸を規定し,特に光軸が長軸の方向に直交する方向に対して傾斜し,傾斜角は5°から20°の間である。
【0021】
2つの横断壁の間の、縦軸に沿った距離は、チャンバーの高さを定義し,例えば100μmから1cm,好ましくは500μmから1cmの間に含まれる。
【0022】
本発明の第2の主題は、本発明の第1の主題による複数のセンサを含むガスを検出するための装置であり、この装置は,第1のセンサのチャンバーが第2のセンサのチャンバー上に位置し,2つのセンサの間でガスが開口を介して流れることができるように,第1のセンサの横断壁に作られた開口が第2のセンサの横断壁に作られた開口に接続されている。
開口を含む第1のセンサの横断壁は、開口を含む第2のセンサの横断壁に面して配置され、ガスが前記横断壁に形成された開口を通過できるようにする。
【0023】
他の利点および特徴は、本発明の特定の実施形態の以下の説明からより明確に明らかになり、これらの実施形態は、非限定的な例として与えられ、以下に列挙される図に示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は,ガスセンサの実施例の主要構成の概略示す。
【
図2A】
図2Aは,
図1に示されるガスセンサのチャンバーの幾何学的形状,およびセンサの主要な構成要素の配置を説明する断面図を示す。
【
図2B】
図2Bは,
図1に示されるガスセンサのチャンバーの幾何学的形状,およびセンサの主要な構成要素の配置を説明する断面図を示す。
【
図2C】
図2Cは,センサのチャンバーの横断壁(transverse wall)に生成された開口の例を示す。
【
図2D】
図2Dは,センサのチャンバーの横断壁に作られた開口の別の例を示す。
【
図3】
図3は,互いに重ね合わされた2つのセンサを組み立てることにより得られる装置を示す。
【
図4A】
図4Aは,測定光検出器によって検出される光の量に影響を及ぼす2つの傾斜角を示す。
【
図4B】
図4Bは,第1の楕円と呼ばれる楕円の長軸に垂直な方向に対する光源の放射軸の様々な傾斜角,および前記長軸に対する測定光検出器の軸の様々な傾斜角について,センサによって測定された二酸化炭素の量に応じて光検出器によって検出された光の量を表す比較試験を示す。
【
図4C】
図4Cは,第1の楕円と呼ばれる楕円の長軸に垂直な方向に対する光源の放射軸の様々な傾斜角,および前記長軸に対する測定光検出器の軸の様々な傾斜角について,センサよって測定されたメタン量に対して光検出器によって検出された光の量を表す比較試行を示す。
【
図4D】
図4Dは,第1の楕円と呼ばれる楕円の長軸に垂直な方向に対する光源の放射軸の様々な傾斜角,および前記長軸に対する測定光検出器の軸の様々な傾斜角について,測定光検出器によって検出される信号量の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は,本発明に係るガスセンサの一例を示す。センサは,分析されるガスを受容可能なチャンバー10を備える。チャンバーは,横断面XYにある横断壁と呼ばれる2つの壁21,22で囲まれている。
図1では,第1の横断壁21が示されており,横断壁22は,チャンバー10の内部が見えるように透明に示されている。横断壁21および22は,
図2Cおよび2Dに示されている。
【0026】
横断壁は,横断面XYに平行である,または実質的に後者に平行であり,この用語は,実質的に角度公差は,例えば+/-20°または+/-30°を許容できることを示す。それらは平面でも曲線でもよい。
【0027】
また,チャンバーは,チャンバーを境界づけ,第1の横断壁21と第2の横断壁22との間に延在する,周壁(La paroi peripherique)と呼ばれる壁30を備える。周壁30は,横断面XYに垂直な縦軸Zの周りに延びている。周壁30は円筒壁の形態を取り,その断面は,
図2Aおよび2Bを参照して説明したように,横断面XYにおいて,湾曲部分31,32および平面部を含む。湾曲部は,特に楕円形または放物線状であってもよい。横断面XYでは,楕円の一部が楕円の一部の輪郭に続く(suit)。放物線部は,横断面XYで放物線の一部の輪郭に続く。
【0028】
ガスセンサ1は,放射軸Δ1に延びる放射円錐Ω1内に光波11’を発することができる光源11を備える。光源11は,放射円錐Ω1の頂点S1に配置される。光源11は,照明スペクトル帯域Δで入射光波と呼ばれる光波11’を放射することができ,後者は,近紫外線と中赤外線の間にある可能性があり,200nm~10μmの範囲にあり,ほとんどの場合は赤外線にあり,特に1μm~10μmにある。光源11は特にパルス化されてもよく,入射光波11’は,一般に100ミリ秒から1秒の間に含まれる持続時間のパルスであってもよい。特に,フィラメントに電流を流し,赤外線を放射するために400℃から800℃の温度に加熱された吊り下げ式フィラメント光源であってもよい。
【0029】
周壁30は,測定光検出器12と呼ばれる光検出器に向かって反射するように,放射円錐Ω1の第1の部分を受けるように構成された第1の反射部分31を備える。このようにして,放射円錐Ω1に位置する光波11’の一部は,測定光検出器12に向かって反射される。したがって,光波は,チャンバー10内に存在するガスを通過し,測定光検出器12に到達し,後者によって検出される送信波(une onde transmise)14を形成する。例えば,光検出器12はサーモパイルであり,光検出器がさらされる光波の強度に依存する信号を伝えることができる。また,フォトダイオードまたは別のタイプの光検出器であってもよい。測定光検出器12はバンドパスフィルタ18に結合(peut etre couple)してもよく,そのスペクトル帯域は,ガス混合物中で量C
Sを決定したいガス種のスペクトル帯域G
Sに対応する。測定光検出器12によって検出される光波14の強度Iは,Beer-Lambertの法則に従って量C
Sに依存する:
【数1】
ここで,
μ(C
S)は,求められる量C
Sに依存する減衰係数であり
Iは,チャンバー内の光波が通過するガスの厚さであり,
I
0は,入射光波の強度であり,これは,チャンバー内に吸収ガスがない場合に測定光検出器12に到達する波の強度に対応する。
【0030】
比率I/I0の式をとる,IとI0の比較(La comparaison)は,考慮する(consideree)ガス種によって引き起こされる減衰attに対応します。
【0031】
したがって,光源11の各パルス中に,μ(C
S)を決定することが可能であり,これにより,C
Sとμ(C
S)との関係が既知であるため,
【数2】
を推定することが可能になる。
【0032】
反射壁とは,光源11によって放射される光波のスペクトル帯域Δの全部または一部における反射係数が50%よりも大きい,好ましくは80%よりも大きい壁を意味する。反射壁は,金属,例えば金などの反射材料を使用して形成されてもよい。
【0033】
式(1)は,光源11によって放射される光波の強度I
0が周知であると仮定している。この目的のために,装置は,リファレンス光波11
refと呼ばれる光波を検出するように配置されたリファレンス光検出器13を備え,チャンバー10内に存在するガスと相互作用することなく,または後者と大幅に相互作用することなくリファレンス光検出器13に到達する。周壁30は、この目的のために、光源11によって放出される放射円錐Ω1の第2の部分を受け、それをリファレンス光検出器13に向かって反射するように構成された第2の反射部分32を備える。リファレンス光検出器13により検出されるリファレンス光波11
refの強度は,リファレンス強度I
refの項より示される。この例では,リファレンス光検出器13は,リファレンス光学フィルタ18
refと呼ばれる光学フィルタが設けられている。リファレンス光学フィルタ18
refは,サンプルによって吸収されない波長の範囲に対応する通過帯域を規定する。リファレンス通過帯域は,たとえば3.91μmの波長を中心とする。I
refの測定により,I
0を推定でき,これにより,μ(C
S)を決定し,
【数3】
を推定することが可能になる。I
refの測定は,特に,光源11によって放射される光波の強度I
0の時間的変動を考慮に入れることを可能にする。
【0034】
図1に示す例では,光源11,測定光検出器12およびリファレンス光検出器13は,少なくとも部分的(u moins en partie)にチャンバー10内にある。変形例として,光源11,測定光検出器12及びリファレンス光検出器13の少なくとも1つは,チャンバー10の外側に配置される。次に,透明な窓または開口がチャンバー10に設けられ,光が周壁30の一方の側から他方の側に透過されることを可能にする。
【0035】
図2Aは,
図1に示すガスセンサの横断面を示す。周壁30の第1の部分31は,光源によって放射される放射円錐Ω1の一部を受け,それを測定円錐と呼ばれる反射円錐Ω2で測定光検出器12に向けて反射する。横断面XYでは,第1の部分31は,第1の楕円と呼ばれる楕円部の輪郭をたどり,方向31Aに延びる長軸を定義する。光源11は,第1の楕円の第1の焦点に配置され,測定光検出器12は,第1の楕円の第2の焦点に配置される。
図2Aには,スケールを定義するバーが含まれている。
【0036】
上述のように,周壁30は,放射円錐Ω1の第2の部分を受け,それをリファレンス円錐と呼ばれる反射円錐Ω3でリファレンス光検出器13に向かって反射するように構成された第2の反射部32を備える。リファレンス円錐Ω3を
図2Bに示す。横断面XYでは,第2の部32は,第2の楕円と呼ばれる楕円の部分の輪郭をたどり,方向32Aに延びる長軸を定義する。光源11は,第2の楕円の第1の焦点に配置され,一方,リファレンス光検出器13は,第2の楕円の第2の焦点に配置される。
【0037】
好ましくは,実施形態のいずれであっても,湾曲部分31および32は,光源11を測定光検出器12およびリファレンス光検出器13とそれぞれ対をなすように配置される。したがって,測定円錐Ω2およびリファレンス円錐Ω3は,それぞれ測定光検出器12およびリファレンス光検出器13に収束する。このような構成では,測定光検出器12は測定円錐Ω2の頂点S2に配置され,反射光検出器13はリファレンス円錐Ω3の頂点S3に配置される。このような配置により,各光検出器によって検出される光の量を最適化することができ,したがって,センサの感度を改善することができる。部分31および32は放物線であってもよく,または平らな切り子面を形成してもよく,切り子面のすべてが一緒に,縦断面XYにおいて曲線の一部,例えば放物線または楕円を表すことに留意されたい。
【0038】
好ましくは,光源11は,第1の部分31の各点からそれを隔てる横断面XYにおける距離が,第1の楕円の焦点を隔てる距離以上になるように配置され,この距離は通常2cであり,cは,楕円の焦点とその中心との間の距離を示す。同様に,光源は,横断面XYにおいて,第2の部分32の各点からそれを分離する距離が,第2の楕円の焦点を分離する距離以上になるように配置される。この条件により,各光検出器で検出される光量を改善できる。
【0039】
好ましくは,第1の楕円の長軸および第2の楕円の長軸の方向は割線(secantes)であり,角度θを90°以下にし,この角度θは
図2Bに示されている。この例では,θ=70°です。
【0040】
示されている例では,第1の楕円と2番目の楕円の幾何学的特性は以下のとおりです。
【0041】
第1の楕円(楕円形の第1の部分31):
-長軸の長さ:12.3mm;
-短軸の長さ:11.9mm;
-楕円の焦点と長軸の中心間の距離:3mm。
【0042】
2番目の楕円(楕円の第1の部分32):
-長軸の長さ:12.75mm;
-短軸の長さ:11.9mm;
-楕円の焦点と主軸の中心間の距離:4.6mm。
【0043】
この例では,周壁30は,縦軸Zに沿って,1.2mmに等しい高さhにわたって延びている。
【0044】
楕円形部分31および32とは別に,周壁30は,
-リファレンス光検出器13が配置さ,リファレンス光検出器13の光軸Δ3は,好ましくは第3の部分33に直交する平面の第3の部分33,
-光源11が配置され,放射円錐Ω1の中心軸Δ1は,好ましくは第4の部分34に直交する平面状の第4の部分34,
-測定光検出器12が配置され,測定光検出器12の光軸Δ2は,好ましくは第5の部分35に直交する平面状の第5の部分35,を備える。
【0045】
第3の部分33,第4の部分34および第5の部分35の少なくとも1つは,好ましくは反射性(reflechissantes)である。上述のように,これらの部分は,光検出器などの要素または光源11がチャンバー10の外側に配置される場合,開口または透明窓を備えてもよい。
【0046】
チャンバー10は,チャンバーへのガスの流入を可能にする流入開口23と,チャンバーからのガスの排出を可能にする排出開口24とを備えている。開口の配置。これらの開口は,
図2Cおよび2Dに示すように横断壁21または22のいずれか1つ,または各横断壁に作成されます。
【0047】
横断壁の開口の位置は重要ではなく,これらの開口は,放射軸Ω1と測定円錐Ω2の縦軸Zに沿ったそれぞれの投影が,各開口の外側にある。したがって,流入開口23または排出開口24は,それぞれ放射壁Ω1および測定円錐Ω2の突出部の外側の壁に位置するように,横断壁に形成される。このような方法で各開口を配置することにより,測定光検出器12によって実行される検出に対する開口の影響を制限することができます。好ましくは,各流入または排出開口も,リファレンス円錐Ω3の長手方向軸Zに沿って,投影の外側にも位置するように配置される。これにより,リファレンス光検出器13によって実行される検出に対する開口の影響を制限することが可能になる。
【0048】
図2Aおよび2Bは,横断壁21または22に流入または排出開口23,24を生成することができるチャンバー10の垂直部分を灰色で示す。
図2Cは,チャンバー10の断面図を示し,横断壁は,例えば100μmから1cm,好ましくは500μmから1cmの高さhだけ互いに離間している。この断面は,
図2Bに示される方向A1で切断されたものであり,第2の横断壁22に形成された開口23の位置が見えるようにしている。
図2Dは,
図2Bに示される方向A2で切断されたチャンバー10の別の断面図を示し,第2の横断壁22に形成された開口24を観察できるようにする。
【0049】
横断壁内の流入開口または排出開口の配置により,センサ1を,ガスを流入または排出するための流体回路により簡単に接続することができる。開口23が第1の横断壁21に生成され,別の開口24が第2の横断壁22に生成されると,上記のように少なくとも2つのセンサ1,1’を含む検出装置を形成するために,2つのチャンバーを互いに重ね合わせることができる。このようなデバイスを
図3に示す。検出装置は,各センサの2つのチャンバー10,10’が互いに重なるように配置され,第1のチャンバー10の第2の横断壁22は第2のチャンバー10’の第1の横断壁21’と組み立てられ,後者は,2つの横断壁21’,22’の間にある。したがって,分析されるガス2は,各横断壁に作られた開口を通って1つのセンサから別のセンサに流れることができる。この図では,ガスの動きが矢印で示されている。このような構成により,事前設定された気体種の検出専用である複数のセンサを互いに重ねて配置することができる。
【0050】
さらに,前の段落で説明した流入開口と排出開口の位置とは無関係に,光源11の位置,より正確には発光円錐Ω1の中心軸の傾きΔ1が測定光検出器12によって検出される光の量に影響を与えることが観察されている。これは,測定光検出器の光軸の傾きΔ2の場合にも当てはまる。この効果を
図4Aから4Dに示す。
図4Aは,第1傾斜角と呼ばれる,次の間にある傾斜角α
1を示す。
-第1の部分31によって定義される,第1の楕円の長軸の方向31Aに直交する方向31’A
-および放射円錐の中心軸Ω1。
【0051】
シミュレーションに基づいて,このように定義された傾斜角α1は,上記の配置において,測定光検出器12によって収集された光の量に影響を及ぼすことが示されている。好ましくは,この角度は5°から20°の間に含まれ,より好ましくは12°から18°の間に含まれ,すなわち,約15°である。
【0052】
図4Aは,上記で定義された方向31’Aと測定光検出器12の軸Δ2との間の第2の傾斜角α
2も示す。第1の傾斜角α
1と同様に,第2の傾斜角α
2は,好ましくは5°から20°の間に含まれ,より好ましくは10°から18°の間に含まれ,すなわち,約15°である。
【0053】
それぞれ10°,15°および25°に等しい第1の傾斜角α
1の3つの値の関数として,そして,それぞれ15°と25°に等しい第2傾斜角α
2の2つの値の関数として,測定光検出器12によって受け取られる光の量を比較するために,シミュレーションが実行された。
図4Bは,チャンバー10内の二酸化炭素のppm濃度の関数として,測定光検出器12によって検出される光の量の変動を示している。光検出器によって検出される光の量はボルトで表され,モデル化された光検出器はサーモパイルです。
テストした3つの構成は次のとおりです。
-構成a:α
1=10°,α
2=15°;
-構成b:α
1=15°,α
2=15°;
-構成c:α
1=25°,α
2=25°
【0054】
α1=10°,α2=25°(構成a)またはα1=15°,α2=15°(構成b)の角度値では,角度α1=25°,α2=25°(構成c)に対して,検出される光の量を増やすことができる。構成aおよびbに対応する曲線は一致している。
【0055】
同じ結論が
図4Cからも得られ,測定光検出器12によって検出された光量を,チャンバー10内のメタン濃度の関数として2つの構成で示す。
-構成d:α
1=15°,α
2=15°;
-構成e:α
1=25°,α
2=25°
【0056】
構成dは,構成eよりも望ましい。
【0057】
図4Dは,α
1(x軸)およびα
2(y軸)の様々な組み合わせで測定光検出器12によって検出された,光源によって放射された光の割合を示している。割合はグレースケールで表される。
【0058】
好ましい範囲は,白い破線で囲まれている。
【0059】
本発明は,様々な分野,例えば環境分野,特に大気汚染を監視するための産業分野,例えば化学産業,石油およびガス産業または食品加工産業,または健康分野でのガスセンサに使用される可能性がある。