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特許7048653レーザ溶接方法およびレーザ溶接システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】レーザ溶接方法およびレーザ溶接システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/0622 20140101AFI20220329BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20220329BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20220329BHJP
【FI】
B23K26/0622
B23K26/00 N
B23K26/21 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020033024
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2020138238
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】201910149926.X
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520070080
【氏名又は名称】上海微電子装備(集団)股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】唐江鋒
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-248155(JP,A)
【文献】特開2015-015333(JP,A)
【文献】特開2005-138126(JP,A)
【文献】特開2010-240689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ溶接方法であって、レーザ溶接システムに適用され、前記レーザ溶接システムは、レーザエネルギーコントローラ、レーザ波形設計コントローラ、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステムを備え、前記レーザ波形設計コントローラは、それぞれ前記レーザエネルギーコントローラおよび前記レーザ溶接サブシステムに接続され、
前記レーザ溶接方法は、
ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得することであって、前記レーザ溶接パラメータがレーザタイプパラメータとレーザ波形パラメータとを含み、前記レーザ波形パラメータが複数のレーザ曲線パラメータを含み、各前記レーザ曲線パラメータが、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含むことと、
複数の前記レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成することと、
前記レーザ波形実行リストを前記レーザ波形設計コントローラに送信し、前記レーザ波形設計コントローラを制御して前記レーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、前記レーザ溶接サブシステムに送信することにより、前記レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うことと、
を含み、
複数の前記レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成することは、
前記レーザ波形パラメータのうちの任意の隣接する2つのレーザ曲線の交点の交点エネルギー値および交点時間値を取得することと、
隣接する2つの交点エネルギー値のエネルギー差分値および隣接する2つの交点時間値の間の時間差分値を計算することと、
前記エネルギー差分値および前記時間差分値に基づいてレーザ波形実行リストを生成することと、
を含み、
前記エネルギー差分値および前記時間差分値に基づいてレーザ波形実行リストを生成することは、
前記エネルギー差分値と前記時間差分値とがいずれもゼロでなければ、前記レーザエネルギーコントローラの最小分解能に従って前記時間差分値を、複数の、それぞれ前記レーザエネルギーコントローラの最小分解能の整数倍である時間帯に分けることと、
異なる時間帯に対応する異なるエネルギー値を区分関数の形で記憶し、レーザ波形実行リストを生成することと、
前記エネルギー差分値または前記時間差分値がゼロであれば、前記交点エネルギー値および前記交点時間値を直接記憶し、レーザ波形実行リストを生成することと、
を含む、レーザ溶接方法。
【請求項2】
前記レーザ溶接システムは複数組のレーザ溶接サブシステムを含み、各組の前記レーザ溶接サブシステムはいずれもレーザ装置を含み、前記レーザ装置は前記レーザエネルギーコントローラに接続され、
前記ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得する前に、
複数の前記レーザ装置に対してエネルギー正規化処理を行うことを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
【請求項3】
前記レーザタイプパラメータは、連続レーザパラメータとパルスレーザパラメータとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法を用いて溶接を行うレーザ溶接システムであって、レーザエネルギーコントローラ、レーザ波形設計コントローラ、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステムを備え、
前記レーザエネルギーコントローラは、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得し、前記レーザ溶接パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成するために用いられ、前記レーザ溶接パラメータは、レーザタイプパラメータとレーザ波形パラメータとを含み、前記レーザ波形パラメータは、複数のレーザ曲線パラメータを含み、各前記レーザ曲線パラメータは、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含み、
前記レーザ波形設計コントローラは、前記レーザエネルギーコントローラに接続され、前記レーザ波形実行リストを受信し、前記レーザ波形実行リストに基づいてレーザ波形を設計するために用いられ、
前記レーザ溶接サブシステムは、前記レーザ波形設計コントローラに接続され、前記レーザ波形設計コントローラにより生成されたレーザ波形に基づいて溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うために用いられる、ことを特徴とするレーザ溶接システム。
【請求項5】
前記レーザ溶接システムは複数組のレーザ溶接サブシステムを含み、各組の前記レーザ溶接サブシステムはいずれもレーザ装置を含み、前記レーザ装置は前記レーザエネルギーコントローラに接続され、
前記レーザエネルギーコントローラは、更に複数の前記レーザ装置に対してエネルギー正規化処理を行うために用いられる、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ溶接システム。
【請求項6】
各組の前記レーザ溶接サブシステムは、レーザ装置、溶接ヘッド、測定装置、および運動制御装置を備え、
前記溶接ヘッドは、前記レーザ装置の光出射経路に位置し、
前記測定装置は、前記レーザエネルギーコントローラに接続され、前記溶接待ちのエレメントの溶接スポット位置および前記溶接ヘッドの焦点面位置を確定し、溶接スポット位置情報および前記焦点面位置情報を前記レーザエネルギーコントローラに送信するために用いられ、
前記運動制御装置は、前記レーザエネルギーコントローラに接続され、前記レーザエネルギーコントローラから提供される前記溶接スポット位置情報および前記焦点面位置情報を受信し、前記溶接スポット位置情報および前記焦点面位置情報に基づいて前記溶接ヘッドの運動を制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ溶接システム。
【請求項7】
各組の前記レーザ溶接サブシステムは、酸化防止装置を更に備え、
前記酸化防止装置は、前記溶接ヘッドの位置に設けられ、溶接スポットに対して抗酸化保護を行うために用いられる、ことを特徴とする請求項6に記載のレーザ溶接システム。
【請求項8】
各組の前記レーザ溶接サブシステムは、オシロスコープを更に備え、
前記オシロスコープは、前記レーザ装置に接続され、前記レーザ装置から出射されたレーザの波形を表示するために用いられる、ことを特徴とする請求項6に記載のレーザ溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、レーザ溶接の技術分野に関し、特に、レーザ溶接方法およびレーザ溶接システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザは、既に製造業、特に、溶接、切割および表面処理等の分野に広く適用されている。レーザ溶接は精度が高く、速度が速く、且つワークにおける熱歪みが小さいため、レーザ溶接技術は溶接分野でますます重要な地位を有する。
【0003】
パルスレーザ溶接については、パルスレーザ装置を直接使用して簡単な溶接実験を行うことが多く適用されるが、スクリーン張り機(Screen Stretcher)の溶接システム等の溶接精度に特別な要求を有する装置は、レーザパワーの光出射時間の長短および光出射パワーの大きさを単一の溶接スポット領域内で自由に設計することができず、溶接対象にメルトスルーが発生しやすく、または溶接が不十分であり、高精度の溶接要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本発明の実施例は、従来技術における高精度の溶接要求を満たすことができない技術的課題を解決するレーザ溶接方法およびレーザ溶接システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、本発明の実施例は、レーザ溶接方法であって、レーザ溶接システムに適用され、前記レーザ溶接システムは、レーザエネルギーコントローラ、レーザ波形設計コントローラ、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステムを備え、前記レーザ波形設計コントローラは、それぞれ前記レーザエネルギーコントローラおよび前記レーザ溶接サブシステムに接続され、
前記レーザ溶接方法は、
ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得することであって、前記レーザ溶接パラメータがレーザタイプパラメータとレーザ波形パラメータとを含み、前記レーザ波形パラメータが複数のレーザ曲線パラメータを含み、各前記レーザ曲線パラメータが、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含むことと、
複数の前記レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成することと、
前記レーザ波形実行リストを前記レーザ波形設計コントローラに送信し、前記レーザ波形設計コントローラを制御して前記レーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、前記レーザ溶接サブシステムに送信することにより、前記レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うことと、
を含むレーザ溶接方法を提供する。
【0006】
好ましくは、複数の前記レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成することは、
前記レーザ波形パラメータのうちの任意の隣接する2つのレーザ曲線の交点の交点エネルギー値および交点時間値を取得することと、
隣接する2つの交点エネルギー値のエネルギー差分値および隣接する2つの交点時間値の間の時間差分値を計算することと、
前記エネルギー差分値および前記時間差分値に基づいてレーザ波形実行リストを生成することと、
を含む。
【0007】
好ましくは、前記エネルギー差分値および前記時間差分値に基づいてレーザ波形実行リストを生成することは、
前記エネルギー差分値と前記時間差分値とがいずれもゼロでなければ、前記レーザエネルギーコントローラの最小分解能に従って前記時間差分値を複数の時間帯に分けることと、
異なる時間帯に対応する異なるエネルギー値を区分関数の形で記憶し、レーザ波形実行リストを生成することと、
前記エネルギー差分値または前記時間差分値がセロであれば、前記交点エネルギー値および前記交点時間値を直接記憶し、レーザ波形実行リストを生成することと、
を含む。
【0008】
好ましくは、前記レーザ溶接システムは複数組のレーザ溶接サブシステムを含み、各組の前記レーザ溶接サブシステムはいずれもレーザ装置を含み、前記レーザ装置は前記レーザエネルギーコントローラに接続され、
前記ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得する前に、
複数の前記レーザ装置に対してエネルギー正規化処理を行うことを更に含む。
【0009】
好ましくは、前記レーザタイプパラメータは、連続レーザパラメータとパルスレーザパラメータとを含む。
【0010】
第2態様では、本発明の実施例は、第1態様におけるレーザ溶接方法を用いて溶接を行うレーザ溶接システムであって、
レーザエネルギーコントローラ、レーザ波形設計コントローラ、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステムを備え、
前記レーザエネルギーコントローラは、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得し、前記レーザ溶接パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成するために用いられ、前記レーザ溶接パラメータは、レーザタイプパラメータとレーザ波形パラメータとを含み、前記レーザ波形パラメータは、複数のレーザ曲線パラメータを含み、各前記レーザ曲線パラメータは、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含み、
前記レーザ波形設計コントローラは、前記レーザエネルギーコントローラに接続され、前記レーザ波形実行リストを受信し、前記レーザ波形実行リストに基づいてレーザ波形を設計するために用いられ、
前記レーザ溶接サブシステムは、前記レーザ波形設計コントローラに接続され、前記レーザ波形設計コントローラにより生成されたレーザ波形に基づいて溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うために用いられるレーザ溶接システムを更に提供する。
【0011】
好ましくは、前記レーザ溶接システムは複数組のレーザ溶接サブシステムを含み、各組の前記レーザ溶接サブシステムはいずれもレーザ装置を含み、前記レーザ装置は前記レーザエネルギーコントローラに接続され、
前記レーザエネルギーコントローラは、更に複数の前記レーザ装置に対してエネルギー正規化処理を行うために用いられる。
【0012】
好ましくは、各組の前記レーザ溶接サブシステムは、レーザ装置、溶接ヘッド、測定装置、および運動制御装置を備え、
前記溶接ヘッドは、前記レーザ装置の光出射経路に位置し、
前記測定装置は、前記レーザエネルギーコントローラに接続され、前記溶接待ちのエレメントの溶接スポット位置および前記溶接ヘッドの焦点面位置を確定し、溶接スポット位置情報および前記焦点面位置情報を前記レーザエネルギーコントローラに送信するために用いられ、
前記運動制御装置は、前記レーザエネルギーコントローラに接続され、前記レーザエネルギーコントローラから提供される前記溶接スポット位置情報および前記焦点面位置情報を受信し、前記溶接スポット位置情報および前記焦点面位置情報に基づいて前記溶接ヘッドの運動を制御するために用いられる。
【0013】
好ましくは、各組の前記レーザ溶接サブシステムは、酸化防止装置を更に備え、
前記酸化防止装置は、前記溶接ヘッドの位置に設けられ、溶接スポットに対して抗酸化保護を行うために用いられる。
【0014】
好ましくは、各組の前記レーザ溶接サブシステムは、オシロスコープを更に備え、
前記オシロスコープは、前記レーザ装置に接続され、前記レーザ装置から出射されたレーザの波形を表示するために用いられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施例に係るレーザ溶接方法およびレーザ溶接システムは、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得することにより、レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成し、レーザ波形実行リストをレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ波形設計コントローラを制御してレーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、レーザ溶接サブシステムに送信し、レーザ溶接サブシステムを制御して溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行う。レーザ溶接プロセスにおいて、まず、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータに基づいて複数のレーザ曲線の持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを取得し、レーザ曲線の連続波形を離散化し、次に、離散化されたパラメータを時間順に従って波形をキュー化し、キューパッケージを行ってからレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ装置のエネルギー波形は、レーザ波形実行リスク内の数値に従って変化することができ、レーザ溶接サブシステムから出力されたレーザ波形の編集可能を実現し、高精度の溶接要求を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の図面を参照してなされた非限定的な実施例についての詳細な説明を閲読することにより、本発明の他の特徴、目的および利点はより明らかになる。
【0017】
図1】本発明の実施例に係るレーザ溶接方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例に係るレーザ溶接システムの構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係るレーザ波形の構造模式図である。
図4】本発明の実施例に係るレーザ波形実行リストを生成する原理の模式図である。
図5】本発明の実施例に係る別のレーザ溶接方法のフローチャートである。
図6】本発明の実施例に係る周期的連続レーザの波形の模式図である。
図7】本発明の実施例に係る非周期的連続レーザの波形の模式図である。
図8】本発明の実施例に係る周期的レーザ方形波の波形の模式図である。
図9】本発明の実施例に係る非周期的レーザ方形波の波形の模式図である。
図10】本発明の実施例に係る正弦レーザの波形の模式図である。
図11】本発明の実施例に係る別のレーザ溶接システムの構造模式図である。
図12】本発明の実施例に係る別のレーザ溶接方法のフローチャートである。
図13】本発明の実施例に係る別のレーザ溶接波形の模式図である。
図14】本発明の実施例に係る別のレーザ溶接システムの構造模式図である。
図15】本発明の実施例に係る酸化防止装置を使用した顕微効果図である。
図16】本発明の実施例に係る酸化防止装置を使用しない顕微効果図である。
図17】白色光干渉計を用いて溶接スポットを測定して得られた溶接スポットの相関特性の模式図である。
図18】白色光干渉計を用いて溶接スポットを測定して得られた溶接スポットの相関特性の模式図である。
図19】白色光干渉計を用いて溶接スポットを測定して得られた溶接スポットの相関特性の模式図である。
図20】白色光干渉計を用いて溶接スポットを測定して得られた溶接スポットの相関特性の模式図である。
図21】白色光干渉計を用いて溶接スポットを測定して得られた溶接スポットの相関特性の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面および実施例を参照しながら本発明について更に詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことが理解できる。なお、説明しやすいために、図面において、全ての内容ではなく、本発明に関連する部分だけを示す。
【0019】
本発明の実施例は、レーザ溶接システムに用いられるレーザ溶接方法を提供し、レーザ溶接システムは、レーザエネルギーコントローラ、レーザ波形設計コントローラ、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステムを備え、レーザ波形設計コントローラは、それぞれレーザエネルギーコントローラおよびレーザ溶接サブシステムに接続され、レーザ溶接方法は、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得することであって、レーザ溶接パラメータがレーザタイプパラメータとレーザ波形パラメータとを含み、レーザ波形パラメータが複数のレーザ曲線パラメータを含み、各レーザ曲線パラメータが、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含むことと、複数のレーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成することと、レーザ波形実行リストをレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ波形設計コントローラを制御してレーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、レーザ溶接サブシステムに送信することにより、レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うこととを含む。上記技術案を採用し、レーザ溶接プロセスにおいて、まず、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータに基づいて複数のレーザ曲線の持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを取得し、レーザ曲線の連続波形を離散化し、次に、離散化されたパラメータを時間順に従って波形をキュー化し、キューパッケージを行ってからレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ装置のエネルギー波形は、レーザ波形実行リスク内の数値に従って変化することができ、レーザ溶接サブシステムから出力されたレーザ波形の編集可能を実現し、高精度の溶接要求を満たす。
【0020】
以上は本発明の核心思想であり、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案について明確かつ完全に説明する。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行わない前提で得る全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
図1は、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法のフローチャートであり、図2は、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムの構造模式図であり、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法は、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムに適用でき、図2に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムは、レーザエネルギーコントローラ11、レーザ波形設計コントローラ12、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステム13を備えてもよく、レーザ波形設計コントローラ12は、それぞれレーザエネルギーコントローラ11およびレーザ溶接サブシステム13に接続される。図1に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0022】
S110において、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得する。
【0023】
例示的には、溶接待ちのエレメントが異なるため、溶接に必要なレーザエネルギーも異なり、レーザ溶接プロセスにおいて、ユーザは溶接待ちのエレメントの状況に応じて異なるレーザタイプおよびレーザ波形を合理的に選択する。そのため、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得することは、具体的に、ユーザが入力したレーザタイプパラメータおよびレーザ波形パラメータを取得することであってもよい。
【0024】
具体的には、レーザタイプパラメータは、連続レーザパラメータとパルスレーザパラメータとを含んでもよく、溶接待ちのエレメントが薄い場合、連続レーザモードで溶接を行ってもよく、連続レーザモードのパワーはパルスレーザモードと比べて相対的に低く、エネルギーが相対的に小さいため、薄い溶接待ちのエレメントを溶接するために使用できる。溶接待ちのエレメントが厚い場合、パルスレーザモードで溶接を行ってもよく、パルスレーザは、波形エネルギーが大きくてレンジが大きく、連続レーザの数倍であるため、厚い溶接待ちのエレメントを溶接するために使用できる。
【0025】
更に、レーザ波形パラメータは、複数のレーザ曲線パラメータを含んでもよく、各レーザ曲線パラメータは、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含む。
【0026】
例示的には、図3は、本発明の実施例に係るレーザ波形の構造模式図であり、図3に示すように、レーザ波形20は、複数のレーザ曲線21、22、23、24、25、26、27および28を含んでもよく、レーザ曲線21は、持続時間T1と持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータ(P0,P1)とを含み、同様に、レーザ曲線22は、持続時間T2と持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータ(P1,P2)とを含み、……、レーザ曲線28は、持続時間T8と持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータ(P1,P0)とを含む。
【0027】
S120において、複数の前記レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成する。
【0028】
例示的には、ユーザが入力したレーザ溶接機のパラメータに含まれるレーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成し、レーザ波形実行リストは、複数の時刻-エネルギーの対応データを含み、且つ複数の時刻-エネルギーの対応データが時間の早い順に従ってレーザ波形実行リストを形成すると理解され得る。
【0029】
例示的には、図4は、本発明の実施例に係るレーザ波形実行リストを生成する原理の模式図であり、図4は、図3に示すレーザ波形のうちの一部のレーザ曲線のみを例として説明する。図4に示すように、続いて時間順に従って各セグメントの関数における複数の点(M1、M2、……)を選択し、各点に対応する時刻値およびエネルギー値を取得し、時刻-エネルギーのドットマトリクスを得、時刻-エネルギーのドットマトリクスを時間の早い順に従ってパッケージしてレーザ波形実行リストを形成する。
【0030】
S130において、前記レーザ波形実行リストを前記レーザ波形設計コントローラに送信し、前記レーザ波形設計コントローラを制御して前記レーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、前記レーザ溶接サブシステムに送信することにより、前記レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行う。
【0031】
例示的には、レーザ波形実行リストをレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ波形設計コントローラは、レーザ波形実行リストに基づいて入力用のレーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成し、レーザ波形をレーザ溶接サブシステムに送信してこそ、前記レーザ溶接サブシステムは、レーザ波形出射レーザに従って溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行う。
【0032】
以上をまとめ、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法は、まず、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータに基づいて複数のレーザ曲線の持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを取得し、レーザ曲線の連続波形を離散化し、次に、離散化されたパラメータを時間順に従って波形をキュー化し、キューパッケージを行ってからレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ装置のエネルギー波形は、レーザ波形実行リスク内の数値に従って変化することができ、レーザ溶接サブシステムから出力されたレーザ波形の編集可能を実現し、高精度の溶接要求を満たす。
【0033】
図5は、本発明の実施例に係る別のレーザ溶接方法のフローチャートであり、図5に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0034】
S210において、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得する。
【0035】
S220において、前記レーザ波形パラメータのうちの任意の隣接する2つのレーザ曲線の交点の交点エネルギー値および交点時間値を取得する。
【0036】
S230において、隣接する2つの交点エネルギー値のエネルギー差分値および隣接する2つの交点時間値の間の時間差分値を計算する。
【0037】
S240において、前記エネルギー差分値および前記時間差分値に基づいてレーザ波形実行リストを生成する。
【0038】
好ましくは、前記エネルギー差分値と前記時間差分値とがいずれもゼロでなければ、前記レーザ波形設計コントローラの最小分解能に従って前記時間差分値を複数の時間帯に分ける。
【0039】
異なる時間帯に対応する異なるエネルギー値を区分関数の形で記憶し、レーザ波形実行リストを生成する。
【0040】
前記エネルギー差分値または前記時間差分値がセロであれば、前記交点エネルギー値および前記交点時間値を直接記憶し、レーザ波形実行リストを生成する。
【0041】
S250において、前記レーザ波形実行リストを前記レーザ波形設計コントローラに送信し、前記レーザ波形設計コントローラを制御して前記レーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、前記レーザ溶接サブシステムに送信することにより、前記レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行う。
【0042】
例示的には、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータに基づき、レーザ曲線を区分関数に抽象化することができ、区分関数については、以下、2種類の典型的な関数タイプで説明する。
【0043】
【数1】
【0044】
ユーザは、溶接待ちのエレメントの状況に応じてレーザ溶接パラメータを調整する時、上記2種類の関数を頻繁的に使用し、異なる引数範囲内に、関数と関数との間の交点エネルギー値および交点時間値は、P(t,P)と記録されてもよい。その後、時間順に従って各セグメントの関数をnと番号付け、n=0、1、2……である。レーザ曲線が直線であれば、続いて傾きkに基づいてレーザ曲線に対してキュー化処理を行う。エネルギー差分値または時間差分値がゼロであれば(すなわち、k=0または存在しない)、この時のレーザ曲線が水平に変わらずまたは垂直に上昇し、交点エネルギー値および交点時間値を直接記憶し、レーザ波形実行リストを生成する。前記エネルギー差分値と前記時間差分値とがいずれもゼロでなければ(すなわち、0<k<∞)、レーザエネルギーコントローラの最小分解能に従って時間差分値を複数の時間帯に分け、異なる時間帯に対応する異なるエネルギー値を区分関数の形で記憶し、レーザ波形実行リストを生成する。レーザ曲線が非直線であれば、同様に、レーザエネルギーコントローラの最小分解能に従って時間差分値を複数の時間帯に分け、異なる時間帯に対応する異なるエネルギー値を区分関数の形で記憶し、レーザ波形実行リストを生成する。
【0045】
なお、レーザエネルギーコントローラの最小分解能に従って時間差分値を複数の時間帯に分けることは、時間差分値を複数の時間帯に等分してもよく、等分しなくてもよく、本発明の実施例はこれについて限定しない。それと同時に、精度要求に基づき、各時間帯は最小分解能であってもよく、最小分解能の整数倍であってもよく、本発明の実施例はこれについて同様に限定しない。
【0046】
なお、実際の状況を考慮し、レーザ曲線を区分関数に抽象化するプロセスにおいて、より複雑な関数分段を使用する可能性があり、その実現ロジックが一致するため、本形態では説明を省略する。
【0047】
本形態において、レーザエネルギーコントローラでトソフトウェアコードを設計することにより、任意の波形に対する設計を実現することができ、その中に以下を含む。
【0048】
リスクを開くOpen_list()という関数は、エネルギー制御容器を作成し、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを一括して記憶し、開くと、レーザ溶接に関連するパラメータを書き込むことができ、次回に取り出して使用しやすい。
【0049】
エネルギーを設定するwrite_data()という関数は、主にレーザ溶接エネルギーを制御し、ユーザはある時刻のエネルギーを入力してレーザ装置の光出射エネルギーを制御することができる。
【0050】
時間を設定するwrite_times()という関数は、レーザ装置の光出射時間を制御する。
【0051】
リスクを閉じるClose_list()という関数は、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを受信し終わった後、リスクを再度開かない限り、レーザエネルギーコントローラ内部にレーザ溶接パラメータを再び入力することはできない。
【0052】
リストを実行するExecute_list()という関数は、レーザ曲線を区分関数に抽象化して区分関数を設定した後、レーザエネルギーコントローラはレーザ波形設計コントローラを制御してlist()内のデータを処理し、前記レーザ波形設計コントローラを制御してレーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、レーザ溶接サブシステムに送信することにより、レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行う。
【0053】
実際には、レーザエネルギーコントローラの最小分解能を計算することにより、異なるエネルギーを微分し、エネルギーの連続的な増加を実現する。プロセス全体において、レーザ波形設計コントローラは、レーザエネルギーコントローラから受信された制御パラメータを統合処理し、レーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を形成し、ユーザが必要とするレーザエネルギー曲線を形成して溶接を行い、必要な高精度プロセス効果を達成する。
【0054】
好ましくは、前記レーザタイプパラメータは、連続レーザパラメータとパルスレーザパラメータとを含み、異なる溶接待ちのエレメントに対して溶接厚さが異なり、異なるパワーを用いて溶接を行う必要がある。溶接プロセスにおいて、異なるレーザ溶接波形が異なる溶接効果を有し、具体的には以下のとおりである。
【0055】
1.連続レーザモードでの波形設計については、具体的に以下の溶接状況がある。
【0056】
a)周期的連続レーザの波形
図6に示すように、レーザ波形エネルギーは、図6に示すように設計することができ、ここで、レーザエネルギーの波形の周期は、T=T1+T2+T3+……+Tnである。異なる点の波形エネルギーは変化可能であり、単一点内のレーザ波形の制御可能を実現する。レーザ波形エネルギーを実際に設計する過程において、周期を実際のプロセスの必要に応じて設計してもよく、波形形状、セグメント数はいずれも自由に設計できる。それと同時に、実際のプロセスの必要に応じ、異なるレーザ波形を設計して編集して良好な溶接効果を実現する。一部の溶接対象に対して単一波形の溶接効果が完璧ではないと、n回の溶接を繰り返し行い、周期的な溶接波形を形成してもよい。その特徴は以下のとおりである。
【0057】
【数2】
【0058】
b)非周期的連続レーザの波形
図7に示すように、それぞれのレーザエネルギーの波形はいずれも異なり、自由に設計することができる。その特徴は以下のとおりである。
【0059】
【数3】
【0060】
c)周期的レーザ方形波の波形
図8に示すように、周期およびデューティ比も自由に設計でき、異なる溶接待ちのエレメントを周期的方形波で溶接することを実現し、ここで、各方形波は周期が一致し、デューティ比が同じである。その特徴は以下のとおりである。
【数4】
【0061】
d)非周期的レーザ方形波の波形
図9に示すように、周期およびデューティ比も自由に設計でき、異なる溶接待ちのエレメントを非周期的方形波で溶接することを実現し、ここで、各方形波は周期が一致せず、デューティ比が異なる。その特徴は以下のとおりである。
【0062】
【数5】
【0063】
e)正弦レーザの波形
図10に示すように、y=Asin(wt+p)+Bに類似する波形は、いずれも編集して設計することができる。
【0064】
2.パルスレーザモードでの波形設計については、具体的に以下の溶接状況がある。
【0065】
パルスレーザ溶接モードと連続レーザ溶接モードでのレーザエネルギーの波形には、最大の区別が2つある。
【0066】
1.エネルギーレンジが異なり、パルス波形のエネルギーが大きく、レンジが大きく、連続レーザの数倍である。
【0067】
2.パルスレーザエネルギーの波形は、事前に手動でレーザエネルギーコントローラに書き込んでから、トリガして自動的に溶接を行う必要がある。
【0068】
パルスレーザモードに対し、異なる波形の設計は連続レーザに一致し、ここでは説明を省略する。
【0069】
連続レーザでもパルスレーザでも、波形設計の全過程において、いずれも、まず、入力用のレーザ溶接パラメータを受信し、レーザ溶接パラメータ内の複数のレーザ曲線を抽出し、次に、レーザ曲線の連続波形を離散化し、複数の時間-エネルギーのポイント値を取得し、続いて離散化された複数の時間-エネルギーのポイント値を時間順に従ってキュー化してパッケージしてレーザ波形パッケージリスクを取得し、最後に、まとめてレーザ波形設計コントローラに送信し、レーザ波形設計コントローラを制御してレーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成し、溶接待ちのエレメントを溶接するために用いられ、レーザ溶接のレーザ波形が調整可能であることを確保し、高精度の溶接要求を満たす。それと同時に、レーザタイプが調整可能であることにより、異なる溶接待ちのエレメントに対して異なるレーザ溶接モードを柔軟に使用することができることを確保し、溶接効果が良い。
【0070】
図11は、本発明の実施例に係る別のレーザ溶接システムの構造模式図であり、図12は、本発明の実施例に係る別のレーザ溶接方法のフローチャートであり、図11に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムは複数組のレーザ溶接サブシステム13を含んでもよく、各組のレーザ溶接サブシステム13はいずれもレーザ装置131を備え、レーザ装置131はレーザエネルギーコントローラ11に接続され、図12に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0071】
S310において、複数の前記レーザ装置に対してエネルギー正規化処理を行う。
【0072】
S320において、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得する。
【0073】
ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得することは、具体的に、ユーザが入力したレーザタイプパラメータおよびレーザ波形パラメータを取得することであってもよい。具体的には、レーザタイプパラメータは、連続レーザパラメータとパルスレーザパラメータとを含んでもよく、レーザ波形パラメータは複数のレーザ曲線パラメータを含んでもよく、各レーザ曲線パラメータは、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含む。
【0074】
S330において、複数の前記レーザ曲線パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成する。
【0075】
S340において、前記レーザ波形実行リストを前記レーザ波形設計コントローラに送信し、前記レーザ波形設計コントローラを制御して前記レーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成した後、前記レーザ溶接サブシステムに送信することにより、前記レーザ溶接サブシステムが溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行う。
【0076】
以上をまとめ、マルチレーザ溶接サブシステムを用いて溶接待ちのエレメントを溶接するとともに、各レーザ溶接サブシステムから出射されたレーザがいずれも調整可能であることにより、高精度および高効率の要求を同時に満たす。且つ、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを受信する前に、複数のレーザ装置のエネルギーに対して正規化処理を行い、溶接開始時にレーザ装置の初期エネルギーが一致することを確保し、溶接効果が良い。
【0077】
なお、本発明の実施例は、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを受信する前に複数のレーザ装置に対してエネルギー正規化処理を行うことのみを例として説明し、レーザ装置がレーザを出射する前に複数のレーザ装置に対して正規化処理を行われば、レーザ溶接時の初期エネルギーが一致することを確保でき、溶接効果が確保されることが理解できる。
【0078】
一般的には、実際の溶接作業において、高精度に要求される溶接待ちのエレメントを溶接する際に、エネルギー急変により大きな応力が発生して溶接効果に影響を与えることを回避するため、溶接開始および溶接終了の過程において、急変ではなく、パワーの段階変化を適当に行ってもよく、そのため、波形編集を行う必要があり、具体的な波形は図13に示すとおりである。溶接開始および溶接終了の時にパワーの段階変化を設けることにより、パワー変化を緩め、溶接開始および終了の過程において、溶接待ちのエレメントに大きな応力が発生することはなく、溶接効果が良いことが確保される。
【0079】
同じ発明概念に基づき、本発明の実施例は、本発明の実施例に係るレーザ溶接方法を用いるレーザ溶接システムを更に提供し、図14に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムは、レーザエネルギーコントローラ11、レーザ波形設計コントローラ12、および少なくとも1組のレーザ溶接サブシステム13を備えてもよい。
【0080】
レーザエネルギーコントローラ11は、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータを取得し、レーザ溶接パラメータに基づいてレーザ波形実行リストを生成するために用いられ、レーザ溶接パラメータは、レーザタイプパラメータとレーザ波形パラメータとを含み、レーザ波形パラメータは複数のレーザ曲線パラメータを含み、各レーザ曲線パラメータは、レーザ持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを含む。
【0081】
レーザ波形設計コントローラ12は、レーザエネルギーコントローラ11に接続され、レーザ波形実行リストを受信し、レーザ波形実行リストに基づいてレーザ波形を設計するために用いられる。
【0082】
レーザ溶接サブシステム13は、レーザ波形設計コントローラ12に接続され、レーザ波形設計コントローラ12により生成されたレーザ波形に基づいて溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うために用いられる。
【0083】
具体的には、レーザエネルギーコントローラ11に制御カードまたは振動鏡制御装置が設けられてレーザ溶接パラメータをレーザ波形実行リストに生成してもよく、または、他のエレメントを設けることによりレーザ溶接パラメータをレーザ波形実行リストに生成する機能を実現してもよく、本発明の実施例はこれについて限定しない。
【0084】
以上をまとめ、本発明の実施例に係るレーザ溶接装置は、レーザエネルギーコントローラとレーザ波形設計コントローラとを配合して使用し、レーザエネルギーコントローラは、ユーザが入力したレーザ溶接パラメータに基づいて複数のレーザ曲線の持続時間パラメータと持続時間の開始時刻および終了時刻のレーザエネルギーパラメータとを取得し、連続波形を離散化し、その後、離散化されたパラメータを時間順に従って波形をキュー化し、キューパッケージを行ってからレーザ波形設計コントローラに送信するために用いられ、レーザ装置のエネルギー波形は、レーザ波形実行リスク内の数値に基づいてレーザ溶接パラメータに合わせるレーザ波形を生成するために用いられ、レーザ溶接サブシステムは、編集可能なレーザ波形を出力して溶接待ちのエレメントを溶接するために用いられ、高精度の溶接要求を満たす。
【0085】
好ましくは、図14を引き続き参照し、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムは複数組のレーザ溶接サブシステム13を含み、各組のレーザ溶接サブシステム13はレーザ装置131を備え、レーザ装置131はレーザエネルギーコントローラ11に接続され(図示せず)、レーザエネルギーコントローラ11は、複数のレーザ装置131に対してエネルギー正規化処理を行うために用いられ、例えば、レーザエネルギーコントローラ11は、内蔵されたパワーメータにより各レーザ装置131の初期パワーを測定し、初期パワーが一致しない場合に複数のレーザ装置131に対してエネルギー正規化処理を行い、溶接開始時にレーザ装置の初期エネルギーが一致することを確保することができ、溶接効果が良いことが確保される。
【0086】
好ましくは、図14を引き続き参照し、本発明の実施例に係るレーザ溶接サブシステム13は、レーザ装置131、溶接ヘッド132、測定装置133、および運動制御装置134を備えてもよい。溶接ヘッド132は、レーザ装置131の光出射経路に位置し、レーザ装置131から出射されたレーザを受信して溶接待ちのエレメントに対してレーザ溶接を行うために用いられ、測定装置133は、レーザエネルギーコントローラ11に接続され(図示せず)、溶接待ちのエレメントの溶接スポット位置および溶接ヘッド132の焦点面位置を確定し、溶接スポット位置情報および焦点面位置情報をレーザエネルギーコントローラ11に送信するために用いられ、運動制御装置134は、レーザエネルギーコントローラ11に接続され、レーザエネルギーコントローラ11から提供される溶接スポット位置情報および焦点面位置情報を受信し、溶接スポット位置情報および焦点面位置情報に基づいて溶接ヘッド132の運動を制御するために用いられる。
【0087】
具体的には、レーザ装置131は、連続レーザモードおよびパルスレーザモードを実現できるレーザ装置(CWモードおよびQCWモード)を有する。
【0088】
溶接ヘッド132は、光ファイバコネクターに対応可能であり、QBHおよびQDにも対応可能である。
【0089】
運動制御装置134は3次元運動ステージであってもよく、x、y、zという3軸の運動を備え、溶接ヘッド132の運動を駆動することができ、3次元運動により、視野全体の溶接を実現することができる。
【0090】
好ましくは、図14を引き続き参照し、本発明の実施例に係るレーザ溶接サブシステム13は、酸化防止装置135を更に備えてもよく、酸化防止装置135は、溶接ヘッド132の位置に設けられ、溶接スポットに対して抗酸化保護を行うために用いられる。
【0091】
具体的には、酸化防止装置135内に、一般的に不活性ガスが設けられ、例えばN2であり、レーザ波形設計コントローラ12でレーザ波形の設計を完了してからレーザ溶接を行う前に、酸化防止装置135をオンにし、酸化防止装置135により溶接スポットに対して抗酸化保護を行い、レーザ溶接が完了した後、酸化防止装置135をオフにする。図15は、本発明の実施例に係る酸化防止装置を使用した顕微効果図であり、図16は、本発明の実施例に係る酸化防止装置を使用しない顕微効果図であり、図15図16との比較により、酸化防止装置135を用いて溶接スポットに対して抗酸化保護を行う方は、溶接効果がよい。
【0092】
好ましくは、図14を引き続き参照し、本発明の実施例に係るレーザ溶接サブシステム13は、オシロスコープ136を更に備えてもよく、オシロスコープ136は、レーザ装置131に接続され、レーザ装置131から出射されたレーザの波形を表示するために用いられ、ユーザはオシロスコープ136により、レーザ装置131が実際に出力したレーザのエネルギー波形を監視し、レーザ装置131から出力されたレーザエネルギーの波形が要求を満たすことを確保することができる。
【0093】
好ましくは、本発明の実施例に係るレーザ溶接サブシステムは振動鏡(図示せず)を備えてもよく、振動鏡はレーザ装置131の光出射を制御するために用いられる。
【0094】
図17図21は、白色光干渉計を用いて溶接スポットを測定して得られた溶接スポットの相関特性の模式図であり、図15~19に示すように、本発明の実施例に係るレーザ溶接システムおよびレーザ溶接方法を採用し、溶接効果が良好であり、応力の発生がなく、高精度の溶接要求を満たす。
【0095】
なお、上記は本発明の好ましい実施例および使用される技術原理に過ぎない。当業者であれば、本発明はここに記載された特定の実施例に限定されず、当業者にとって、本発明の保護範囲から逸脱することがなく、様々な明らかな変化、再調整、相互結合および置換が可能であることを理解できる。そのため、以上の実施例により本発明を詳細に説明したが、本発明は以上の実施例に限定されず、本発明の概念から逸脱しない範囲に、より多くの他の均等な実施例を更に含んでもよく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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図15
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