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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】結合構造を有する毛切断ユニット
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/14 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
B26B19/14 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020545436
(86)(22)【出願日】2018-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018080074
(87)【国際公開番号】W WO2019101496
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】17202788.0
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】パーウ,ヘンドリク クラース
(72)【発明者】
【氏名】ザイプ,ヒルデ
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02565828(US,A)
【文献】米国特許第02337391(US,A)
【文献】特表2015-516205(JP,A)
【文献】特表2017-514624(JP,A)
【文献】米国特許第03233323(US,A)
【文献】特開昭62-172987(JP,A)
【文献】特開平09-122362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェービング装置に使用される毛切断ユニットであって、前記毛切断ユニットは:
- 毛入口開口を持つシェービング面を有する外側切断部材と;
- 前記外側切断部材に対して回転軸周りに回転可能であり且つ複数の毛切断要素を有する内側切断部材と;
- 前記外側切断部材を取り囲む皮膚接触面を有する支持部材と;
- 結合構造によって前記支持部材に解放可能に結合可能であり且つ前記毛切断ユニットの組み立てられた状態において前記支持部材に対して前記外側切断部材を動作可能な位置に保持するように構成される保持コンポーネントと;
を有し、
前記組み立てられた状態において:
- 前記外側切断部材の保持される要素が、前記保持コンポーネントの第1の保持部材と前記支持部材の第2の保持部材との間に少なくとも前記回転軸に平行な軸方向に保持され;
- 前記皮膚接触面に対する前記シェービング面の平行な向きにおいて、前記シェービング面は、前記皮膚接触面に対して前記軸方向に露出距離にわたって突出し;
前記結合構造は、前記支持部材に設けられた第1の案内部材と、前記保持コンポーネントに設けられた第2の案内部材とを有し、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材は:
- 前記保持コンポーネントが、前記支持部材に対する前記回転軸周りの第1の角度位置と第2の角度位置との間の任意の角度位置にあるとき、相互に係合し、前記第1の角度位置と前記第2の角度位置とは相互に異なり;
- 前記保持コンポーネントの前記第2の角度位置において前記組み立てられた状態を確立する;
ように構成され、
前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材は、前記保持コンポーネントを前記支持部材に対して前記回転軸周りに前記第2の角度位置、即ち、前記組み立てられた状態から、前記第1の角度位置に、360°より小さい前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間に存在する前記回転軸周りの角度距離にわたって手動で回転させることによって生じる前記保持コンポーネントの前記第1の角度位置で前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材が相互に係合するとき、前記外側切断部材の前記保持される要素が、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との間で前記回転軸に平行に少なくとも前記露出距離に等しい距離にわたって移動可能であるように構成される、
毛切断ユニット。
【請求項2】
前記第2の案内部材は、前記組み立てられた状態で、前記回転軸に関する接線方向に対して斜めに延びる案内面を有し、前記第1の案内部材は、前記案内面に係合する当接要素を有する、
請求項1に記載の毛切断ユニット。
【請求項3】
前記当接要素は、前記組み立てられた状態で、前記第2の案内部材の前記案内面と協働するために前記接線方向に対して斜めに延びる追加の案内面を有する、
請求項2に記載の毛切断ユニット。
【請求項4】
前記案内面は、前記第1の角度位置と前記第2の角度位置との間の角度距離の少なくとも15%に等しい前記回転軸周りの角度距離にわたって斜めに延びる、
請求項2又は3に記載の毛切断ユニット。
【請求項5】
前記案内面は、前記回転軸に関する接線断面で見て平らである、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の毛切断ユニット。
【請求項6】
- 前記保持コンポーネントは、主として環状のベース部を有し;
- 前記支持部材は、前記外側切断部材を収容するための主として円筒形の受容部材を有し;
- 前記第2の案内部材は、前記ベース部の2つの径方向に対向する周方向部分に設けられるとともに、各々が前記組み立てられた状態で前記接線方向に対して斜めに延びる案内面を有する、2つの案内要素を有し;
- 前記第1の案内部材は、前記2つの案内要素のそれぞれの案内要素の前記案内面と係合するために前記受容部材の内壁上の径方向に対向する位置に設けられた2つの当接要素を有する;
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の毛切断ユニット。
【請求項7】
前記保持される要素は、前記外側切断部材の周方向フランジである、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の毛切断ユニット。
【請求項8】
- 前記第1の保持部材は、前記組み立てられた状態で、前記外側切断部材の前記保持される要素に面する前記環状のベース部の面に設けられた複数の当接面を有し;
- 前記第2の保持部材は、前記受容部材の前記内壁上の径方向に対向する位置に設けられた2つの支持要素を有し、各前記支持要素は、前記軸方向に見て前記2つの当接要素のそれぞれの当接要素に隣接して位置する、
請求項6又は請求項6を引用する請求項7に記載の毛切断ユニット。
【請求項9】
少なくとも2つの毛切断ユニットと、前記少なくとも2つの毛切断ユニットを支持する支持コンポーネントとを有するシェービングユニットであって、各前記毛切断ユニットは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の毛切断ユニットである、シェービングユニット。
【請求項10】
前記各毛切断ユニットの前記支持部材は、前記支持コンポーネントによって枢動可能に支持される、
請求項9に記載のシェービングユニット。
【請求項11】
シェービングヘッドであって:
- 前記シェービングヘッドをシェービング装置の本体に解放可能に結合するように構成された結合部材を含むベース構造と;
- 前記ベース構造に解放可能に結合可能であるシェービングユニットと;を有し、
前記シェービングユニットは、請求項9又は10に記載のシェービングユニットである、
シェービングヘッド。
【請求項12】
- アクチュエータを収容する本体と;
- 前記アクチュエータによって駆動されるように前記本体に解放可能に結合可能なシェービングヘッドと;を有し、
前記シェービングヘッドは、請求項11に記載のシェービングヘッドである、
シェービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング装置に使用される毛切断ユニットであって、前記毛切断ユニットは、毛入口開口を持つシェービング面を有する外側切断部材と、外側切断部材に対して回転軸周りに回転可能であり且つ複数の毛切断要素を有する内側切断部材と、外側切断部材を取り囲む皮膚接触面を有する支持部材と、結合構造によって支持部材に解放可能に結合可能であり且つ毛切断ユニットの組み立てられた状態において外側切断部材を支持部材に対して動作可能な位置に保持するように構成される保持コンポーネントとを有し、組み立てられた状態において外側切断部材の保持される要素が、保持コンポーネントの第1の保持部材と支持部材の第2の保持部材との間に、少なくとも回転軸に平行な軸方向に保持され、組み立てられた状態且つ皮膚接触面に対するシェービング面の平行な向きにおいて、シェービング面は、皮膚接触面に対して軸方向に露出距離にわたって突出し、結合構造は、支持部材に設けられた第1の案内部材と、保持コンポーネントに設けられた第2の案内部材とを有し、第1の案内部材及び第2の案内部材は、保持コンポーネントが、支持部材に対する回転軸周りの第1の角度位置と第2の角度位置との間の任意の角度位置にあるとき、相互に係合し、第1の角度位置と第2の角度位置とは相互に異なり、保持コンポーネントの第2の角度位置において組み立てられた状態を確立するように構成される、毛切断ユニットに関する。
【0002】
本発明は、さらに、冒頭の段落に記載されたタイプの少なくとも2つの毛切断ユニットと、少なくとも2つの毛切断ユニットを支持する支持コンポーネントとを有するシェービングユニットに関する。
【0003】
本発明はさらに、シェービングヘッドをシェービング装置の本体に解放可能に結合するように構成された結合部材を含むベース構造と、ベース構造に解放可能に結合可能である前述のタイプのシェービングユニットとを有するシェービングヘッドに関する。
【0004】
本発明は、さらに、アクチュエータを収容する本体と、アクチュエータによって駆動されるように本体に解放可能に結合可能な前述のタイプのシェービングヘッドとを有するシェービング装置に関する。
【背景技術】
【0005】
冒頭の段落で述べたタイプの毛切断ユニット、シェービングユニット、シェービングヘッド及びシェービング装置が特許文献1から知られている。既知のシェービングユニットは、3つの毛切断ユニットを有する。各毛切断ユニットの支持部材は、シェービングユニットの支持コンポーネントによってピボット(枢動)可能に(pivotally)支持されている。各毛切断ユニットの保持コンポーネントは、主に環状のベース部を有する。各毛切断ユニットの第2の案内部材は、保持コンポーネントのベース部の2つの径方向に対向する周方向部分に配置された2つの支点ピンを有する。各毛切断ユニットの支持部材は、切断ユニットの外側切断部材を収容するための主に円筒形受容部材を有する。各毛切断ユニットの第1の案内部材は、支持部材の円筒形受容部材の内壁上に径方向に対向する位置に設けられた2つの凹部を有する。既知のシェービングユニットの組み立てられた状態では、各保持コンポーネントの2つの支点ピンは、各々、保持コンポーネントが支持部材にピボット可能に結合されるように、これら2つの凹部のそれぞれに受容される。各毛切断ユニットの第2の保持部材は、円筒形受容部材の内壁上に設けられた内側リム上の2つの径方向に対向する位置に設けられた2つの小さい支持面を有し、各支持面は、内壁上の2つの凹部のそれぞれに隣接している。組み立てられた状態では、外側切断部材の保持される要素を形成する外側切断部材の周方向フランジが、これら2つの支持面と環状の当接面との間に保持され、毛切断ユニットの第1の保持部材を形成し、前記フランジに面する保持コンポーネントの環状ベース部の面に設けられる。これにより、外側切断部材は、保持コンポーネントと合わせて支持部材に対して枢動可能であり、外側切断部材の枢動軸は、円筒形受容部材の内壁上の2つの小さい支持面の位置によって規定される。ユーザは、関連する内側切断部材の回転軸周りに予め規定された方向に各保持コンポーネントを手動で回転させることによって、この既知のシェービングユニットを分解することができ、それによって、2つの支点ピンが凹部から解放される。次のステップとして、ユーザは、保持コンポーネント並びに内部及び外側切断部材を支持部材から引き続いて取り外して、例えば、それらを洗浄することができる。洗浄後、ユーザは、支持部材内の外部及び内側切断部材を交換し、保持コンポーネントを支持部材に結合することによって、すなわち、支持部材に対して保持コンポーネントを第1の角度位置から第2の角度位置へ内側切断部材の回転軸周りに手動で回転させることにより支点ピンを凹部に挿入することによって、支持部材に対するそれらの動作位置にそれらを保持することができる。
【0006】
既知のシェービングユニット及び既知の毛切断ユニットの欠点は、シェービングユニットを前述の方法で組み立てることができるようにするために、特に、保持コンポーネントを支持部材に結合することができるようにするために、外側切断部材は、支持部材に対して動作位置になければならないことであり、外側切断部材のシェービング面は、シェービングユニットの通常の動作中に存在する露出距離にわたって、支持部材の皮膚接触面に対して突出する。シェービングユニットの組み立て中に外側切断部材のこれらの突出位置を達成するために、ユーザは、支持部材が周囲の物品と接触しない状態でシェービングユニットの支持コンポーネントを片手で上下逆の位置に保持しなければならない。同時に、ユーザは、保持コンポーネントを他方の手で支持部材に1つずつ結合しなければならない。これはユーザにとって都合が悪い。例えば、既知のシェービングユニットを組み立てることは、毛切断ユニットの支持部材がテーブル上面のような平坦な表面上に上下逆に位置する状態から開始することは不可能である。なぜなら、このような状態では、外側切断部材が支持部材に対して突出することがなく、その結果、保持コンポーネント上に設けられた支点ピンが、保持コンポーネントの第1の角度位置において支持部材に設けられた凹部と係合することができないからである。
【0007】
特許文献2は、乾式シェービング装置の切断ヘッドを開示している。切断ヘッドは、半径方向スリットを備えた切断プレートと、回転可能な切断部材とを有する。切断プレートはナットによって装置のケーシングに固定される。切断プレートのフランジは、ケーシングのフランジとナットのフランジとの間に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2015/169625号
【文献】米国特許第2,565,828号
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、既知の毛切断ユニット及び既知のシェービングユニットの欠点を持たない、冒頭の段落に記載されたタイプの毛切断ユニット及びシェービングユニットを提供することである。具体的には、本発明の目的は、毛切断ユニットの支持部材が平坦面上に上下逆の位置にある状態から始まって、ユーザが組み立てることができる、冒頭の段落に記載されたタイプの毛切断ユニット及びシェービングユニットを提供することである。
【0010】
この目的を達成するために、本発明によれば、冒頭の段落に記載されたタイプの毛切断ユニットは、第1の案内部材及び第2の案内部材が保持コンポーネントの第1の角度位置で相互に係合するとき、外側切断部材の保持される要素が第1の保持部材と第2の保持部材との間で回転軸に平行に少なくとも露出距離に等しい距離にわたって移動可能であるように第1の案内部材及び第2の案内部材が構成されることを特徴とする。
【0011】
この目的を達成するために、本発明によれば、冒頭の段落に記載されたタイプのシェービングユニットは、その中で使用される各切断ユニットが本発明に係る切断ユニットであることを特徴とする。
【0012】
本発明による毛切断ユニットを組み立てるためには、既知の毛切断ユニットと同様に、ユーザは、まず、外側切断部材及び内側切断部材を支持部材内に配置しなければならない。続いて、既知の毛切断ユニットと同様に、ユーザは、保持コンポーネントを内側切断部材の回転軸周りに支持部材に対して第1の角度位置から第2の角度位置まで手動で回転させることによって、保持コンポーネントを支持部材に結合しなければならない。このようにして保持コンポーネントを回転させることによって、結合構造の第1及び第2の案内部材は相互に係合する。既知の毛切断ユニットと同様に、第1の案内部材及び第2の案内部材は、保持コンポーネントの第2の角度位置において、外側切断部材の保持される要素が保持コンポーネントの第1の保持部材と支持部材の第2の保持部材との間で軸方向に保持されるように構成され、その結果、外側切断部材は、そのシェービング面が支持部材の皮膚接触面に対して突出する状態でその動作位置にあるようになっている。本発明によれば、結合構造の第1及び第2の案内部材は、第1及び第2の案内部材が保持コンポーネントの第1の角度位置で、即ち保持コンポーネントを支持部材に結合するステップの初期段階において、相互に係合するとき、外側切断部材の保持される要素が、第1の保持部材と第2の保持部材との間で回転軸に平行に、外側切断部材が動作位置にあるときのシェービング面の露出距離と少なくとも等しい距離にわたって、移動可能であるように構成される。その結果、結合ステップの前記初期段階の間に、支持部材が平坦な表面上に上下逆に位置し、その結果、外側切断部材が支持部材の皮膚接触面に対して完全に引っ込んだ位置にある場合に、第1及び第2の案内部材は、保持コンポーネントが第1の角度位置に移動されるときに、相互に係合することができる。その後、保持コンポーネントを第1の角度位置から第2の角度位置に回転させることによって、第1及び第2の案内部材は、保持コンポーネントを支持部材に対して軸方向に支持部材の皮膚接触面に向かって案内し、その結果、外側切断部材は、保持コンポーネントによって支持部材に対してその最初の引っ込んだ位置からその動作位置へ移動される。このように、本発明の毛切断ユニットと、このような毛切断ユニットを備える本発明のシェービングユニットとは、支持部材が上下逆さまに位置する位置から初めて、外側切断部材が引っ込んだ状態で、前記平面から毛切断ユニット及びシェービングユニットを持ち上げることなく、ユーザが組み立てることができる。ユーザは、保持コンポーネントを支持部材に結合する間に、毛切断ユニット及びシェービングユニットを平坦面に接触する位置で保持することができるので、これは、ユーザにとって非常に便利である。
【0013】
このように、保持コンポーネントを支持部材に結合するステップの前記初期段階から始めて、本発明による毛切断ユニットの組み立てられた状態は、保持コンポーネントを支持部材に対して回転軸周りに第1の角度位置から第2の角度位置へ、第1の角度位置と第2の角度位置の間に存在する回転軸周りの360°より小さい角度距離にわたって、手動で回転させることによって達成される。従って、第1及び第2の案内部材は、保持コンポーネントを支持部材に対して回転軸周りに第2の角度位置、即ち、組み立てられた状態から、第1の角度位置に、360°より小さい第1の角度位置と第2の角度位置との間に存在する回転軸周りの前記角度距離にわたって手動で回転させることによって生じる保持コンポーネントの第1の角度位置において第1及び第2の案内部材が相互に係合するとき、外側切断部材の保持される要素は、第1の保持部材と第2の保持部材の間で回転軸と平行に少なくとも露出距離に等しい前記距離にわたって移動可能であるように構成される。
【0014】
本発明による毛切断ユニットの一実施形態では、第2の案内部材は、組み立てられた状態で、回転軸に関する接線方向(a tangential direction relative to the axis of rotation)に対して斜めに延びる案内面を有し、第1の案内部材は、案内面に係合する当接要素(abutment element)を有する。案内面及び当接要素は、結合構造の堅牢且つ単純な構造を提供する。当接要素は、組み立てられた状態で、第2の案内部材の案内面と協働するために接線方向に対して斜めに延びる追加の案内面を有し得る。代替実施形態では、第1の案内部材は、案内面を有し、第2の案内部材は、当接要素を有し得る。この代替実施形態では、当接要素は、追加の案内面を有し得る。さらなる代替実施形態では、第1及び第2の案内部材はそれぞれ、組み立てられた状態で、回転軸に関する接線方向に対して斜めに延びる案内面を有し、第1及び第2の案内部材の案内面は、相互に協働するように構成される。
【0015】
本発明による毛切断ユニットのさらなる実施形態では、案内面は、第1の角度位置と第2の角度位置との間の角度距離の少なくとも15%に等しい回転軸周りの角度距離にわたって斜めに延びる。その結果、第1の角度位置から第2の角度位置に保持コンポーネントを回転させ、毛切断ユニットの組み立て状態を確立するために、ユーザが保持コンポーネントに対して回転軸周りに作用させる必要のあるトルクが制限される。好ましくは、案内面は、回転軸に関する接線断面(tangential cross-section)で見て平ら(plain)である。
【0016】
本発明による毛切断ユニットの好ましい実施形態では、保持コンポーネントは、主として環状のベース部を有し、支持部材は、外側切断部材を収容するための主として円筒形の受容部材を有し、第2の案内部材は、ベース部の2つの径方向に対向する周方向部分(circumferential portions)に設けられるとともに、各々が、組み立てられた状態で、接線方向に対して斜めに延びる案内面を有する2つの案内要素を有し、第1の案内部材は、2つの案内要素のそれぞれのうちの1つの案内面と係合するために、受容部材の内壁上の径方向に対向する位置に設けられた2つの当接要素を有する。2つの当接要素及び2つの斜めに延びる案内面を有するこの実施形態は、結合構造の堅牢且つ単純な構造を提供する。代替的には、第2の案内部材は、2より多い斜めに延在する案内面を有し得るとともに、第1の案内部材は、2より多い案内面と係合するための2より多い当接部材を有し得る。例えば、第2の案内部材は、回転軸周りに120°の間隔で相互に配置されたベース部の3つの周方向部分上に設けられた3つの案内面を有し得るとともに、第1の案内部材は、回転軸周りに120°の間隔で相互に配置された受容部材の内壁に設けられた3つの当接要素を有し得る。
【0017】
本発明による毛切断ユニットのさらなる実施形態では、保持される要素は、外側切断部材の周方向フランジである。
【0018】
本発明による毛切断ユニットのさらに別の実施形態では、第1の保持部材は、組み立てられた状態で、外側切断部材の保持される要素に面する環状のベース部の面(side)に設けられた複数の当接面を有し、第2の保持部材は、受容部材の内壁上の径方向に対向する位置に設けられた2つの支持要素を有し、各支持要素は、軸方向に見て2つの当接要素のそれぞれ1つに隣接して位置する。この実施形態では、組み立てられた状態で保持コンポーネントによる外側切断部材の安定した支持を提供するために、第1の保持部材は、好ましくは、少なくとも3つの当接面を有し、これらの当接面は、保持コンポーネントの環状ベース部の前記面に規則的に分布している。代替的には、環状のベース部の前記面は、回転軸周りに360°にわたって延びる単一の環状当接面を有し得る。このさらなる実施形態では、組み立てられた状態では、外側切断部材の保持される要素は、支持部材上に設けられた前記2つの支持要素と、保持コンポーネント上に設けられた前記複数の当接面との間に保持される。前記2つの支持要素は、前記複数の当接面と合わせて、枢動構造を提供し、それによって外側切断部材は支持部材に対して保持部材と共に枢動可能である。前記枢動構造の枢動軸の位置は、支持部材に対する2つの支持要素の位置によって規定される。
【0019】
本発明によるシェービングユニットの一実施形態では、各毛切断ユニットの支持部材は、支持部材によって枢動可能に支持されている。この実施形態では、シェービングユニットの毛切断ユニットは、シェービングユニットの支持コンポーネントに対して個々に且つ独立に枢動可能であり、その結果、毛切断ユニットの向きは、毛切断ユニットに接触する皮膚の局所的輪郭に個々に適合することができる。
【0020】
さらに、本発明によれば、冒頭の段落に記載されたタイプのシェービングヘッドは、その中で使用されるシェービングユニットが、前述の本発明によるシェービングユニットであることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明によれば、冒頭の段落で述べたタイプのシェービング装置は、そこで使用されるシェービングヘッドが、前述の本発明によるシェービングヘッドであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
発明をより良く理解し、それをどのように実施することができるかをより明確に示すために、添付図面を、単なる例として参照する。
【0023】
図1】本発明によるシェービング装置の一実施形態を示す。
図2図1のシェービング装置に用いられ、本発明によるシェービングユニットを有する、本発明によるシェービングヘッドの一実施形態を示す。
図3】主要部品が分解された状態である図2のシェービングユニットに用いられる本発明による毛切断ユニットの一実施形態を示す。
図4図3の毛切断ユニットの保持コンポーネントを示す。
図5】支持部材に対する第1の角度位置の保持コンポーネントを有する図3の毛切断ユニットを概略的に示す。
図6a】第1の角度位置、第1の角度位置と第2の角度位置との間の中間の角度位置、及び第2の角度位置にそれぞれある保持コンポーネントを有する図5に示す毛切断ユニットを概略的に示す。
図6b】第1の角度位置、第1の角度位置と第2の角度位置との間の中間の角度位置、及び第2の角度位置にそれぞれある保持コンポーネントを有する図5に示す毛切断ユニットを概略的に示す。
図6c】第1の角度位置、第1の角度位置と第2の角度位置との間の中間の角度位置、及び第2の角度位置にそれぞれある保持コンポーネントを有する図5に示す毛切断ユニットを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明によるシェービング装置1の一実施形態を示す。シェービング装置1は、本体3と本発明に係よるシェービングヘッド5とを有する。本体3は、図1には見えないアクチュエータ、例えば電気モータを収容する。シェービングヘッド5は、本体3に取り外し可能に結合可能であり、本発明による3つの毛切断ユニット7a、7b、7cを有する。シェービングヘッド5は本体3に結合されている図1に示す状態では、シェービング装置1がユーザによって作動されるとき、毛切断ユニット7a、7b、7cはアクチュエータによって駆動されることができる。
【0025】
シェービングヘッド5は、図2により詳細に示されている。シェービングヘッド5は、ベース構造9と本発明によるシェービングユニット11とを有する。ベース構造9は、シェービングヘッド5をシェービング装置1の本体3に解放可能に結合するように構成された結合部材13を有する。結合部材13は、図2にのみ概略的に示されており、本体3に設けられた協働スナップコネクタ(co-operating snap connector)と係合するための機械式スナップコネクタを有し得る。このようなスナップコネクタは当業者によく知られている。シェービングユニット11は、シェービングヘッド5のベース構造9に解放可能に結合可能である。図1は、シェービングユニット11がベース構造9に結合された組み立てられた状態でのシェービングヘッド5を示す。図2は、シェービングユニット11がベース構造9から分離された状態でのシェービングヘッド5を示す。ベース構造9及びシェービングユニット11は、シェービングユニット11をベース構造9に解放可能に結合するための、図2には示されていない任意の適切な協働結合要素、例えば、当業者にはよく知られている協働機械式スナップコネクタを備え得る。
【0026】
図2にさらに示されるように、ベース構造9は、3つの回転可能な駆動スピンドル15a、15b、15cを有し、それぞれは、シェービングユニット11がベース構造9に結合されるとき、3つの毛切断ユニット7a、7b、7cのそれぞれ1つを回転可能に駆動するためのものである。駆動スピンドル15a、15b、15cは、シェービングヘッド5が本体3に結合されるとき、ベース構造9に配置され、図2には見えない適切な伝達機構を介して、本体3のアクチュエータによって駆動することができる。ベース構造9は、さらに、シェービングユニット11がベース構造9に結合されるとき、切断ユニット7a、7b、7cによって切断された毛を収集するための3つの毛収集チャンバ17a、17b、17cを有する。
【0027】
シェービングユニット11は、支持コンポーネント19を有し、さらに、図2に示すように、シェービングユニット11の組み立てられた状態で、支持コンポーネント19によって支持される3つの毛切断ユニット7a、7b、7cを有する。代替実施形態では、本発明によるシェービングユニットは、異なる数の毛切断ユニット、例えば、2つの毛切断ユニット又は3つより多い毛切断ユニットを有し得る。図1及び図2に示すように、支持コンポーネント19は、3つの開口部を備えた支持フレームであり、以下に詳細に説明するように、毛切断ユニット7a、7b、7cが配置され支持されている。また、支持コンポーネント19は、シェービングヘッド5のベース構造9へのシェービングユニット11の解放可能な結合のための結合要素を有する。
【0028】
図3は、シェービングユニット11の3つの毛切断ユニット7aのうちの1つであり、毛切断ユニット7aの主要部、すなわち外側切断部材21a、内側切断部材23a、支持部材25a、保持コンポーネント27aが、相互に分解された状態で示されている。毛切断ユニット7b及び7cは、それぞれ、毛切断ユニット7aと同様であり、したがって、各々は、外側切断部材21a、内側切断部材23a、支持部材25a及び保持コンポーネント27aとそれぞれ同様である、外側切断部材21b、21c(図1)、内側切断部材、支持部材25b、25c(図1)、保持コンポーネント27b、27c(図2)を有する。
【0029】
外側切断部材21aは、概して、図1に見え、図3に部分的に見える環状外側シェービング面29を有する円筒形キャップの形態であり、複数の毛入口開口31が設けられている。外側切断部材21aは、シェービング面29から離れたキャップの面に設けられた周方向フランジ33をさらに有する。
【0030】
内側切断部材23aは、内側切断部材23aの担持部材37上に環状構成で設けられた複数の毛切断要素35を有する。担持部材37は、シェービングヘッド5の組み立てられた状態で関連する駆動スピンドル15aを受け入れるための中央結合キャビティ39を有する。前記組み立てられた状態では、内側切断部材23aは、駆動スピンドル15aによって、回転軸41周りに外側切断部材21aに対して回転可能である。内側切断部材23aの外側切断部材21aに対する回転中、外側切断部材21aの毛入口開口31を貫通する毛は、内側切断部材23aの毛切断要素35に設けられた切断エッジと、外側切断部材21aの毛入口開口31の側壁に設けられたカウンタ(counter)切断エッジとの間の相互作用によって切断される。
【0031】
支持部材25aは、図1に示すように、シェービングユニット11の組み立てられた状態で外側切断部材21aを取り囲む、図1に見ることができ、図3に部分的に見ることができる皮膚接触面43を有する。支持部材25aは、さらに、図3に示すように、主に円筒形の受容部材45を有する。シェービングユニット11の組み立て状態では、受容部材45は、外側切断部材21aに配置された内側切断部材23aと共に外側切断部材21aを収容し、外側切断部材21a及び内側切断部材23aは、以下に詳細に記載される方法で保持コンポーネント27aによって支持部材25aに対して動作位置に保持される。
【0032】
支持部材25aは、シェービングユニット11の支持コンポーネント19によって枢動可能に支持されている。この目的のために、支持部材25aは、2つの枢動部材47を有し、これらの枢動部材は、回転軸41に関して2つの径方向に対向する位置で支持部材25a上に配置される。2つの枢動部材47は、図面では見えない、2つの協働する枢動部材に係合し、これらの枢動部材は、毛切断ユニット7aが配置される支持コンポーネント19の開口部付近に設けられる。枢動部材47によって、シェービングユニット11の組み立てられた状態では、支持部材25aは、支持コンポーネント19上に設けられた2つの協働枢動部材の位置によって規定される主ピボット軸49周りに、外側切断部材21a及び内側切断部材23aと共に、支持コンポーネント19に対して枢動する。他の支持部材25b、25cは支持部材25aと同様であるため、各支持部材25a、25b、25cは、支持部材25a、25b、25cのいずれか他のものとは独立して、支持コンポーネント19に対して個別に枢動する。したがって、シェービングユニット11が湾曲した皮膚表面上で使用される場合、支持コンポーネント19に対する毛切断ユニット7a、7b、7cの向きは、毛切断ユニット7a、7b、7cが皮膚との最適な接触を維持するように、局所的な皮膚輪郭に個別に適合することができる。
【0033】
図示されていない本発明によるシェービングユニットの代替実施形態では、支持部材25a、25b、25cは、支持コンポーネント19に対して枢動せず、各々、支持コンポーネント19に対して固定位置に取り付けられる又は支持コンポーネント19と一体的に形成される。このような代替実施形態では、支持部材25a、25b、25cは、外側切断部材21a、21b、21cが配置される支持コンポーネント19内の開口部を取り囲む支持コンポーネント19のリム部分を単に構成してもよく、毛切断ユニット7a、7b、7cの外側切断部材及び内側切断部材は、保持コンポーネント27a、27b、27cによって、前記リム部分に対してそれらの動作位置に保持されてもよい。
【0034】
保持コンポーネント27aは、図4に詳細に示され、主として環状のベース部51を有する。ベース部51は、以下に詳細に説明され、支持部材25aに設けられた第1の案内部材53(図3)及び保持コンポーネント27aに設けられた第2の案内部材55(図4)を有する、結合構造によって支持部材25aに解放可能に結合可能である。ベース部51は、毛切断ユニット7aの組み立てられた状態で、保持コンポーネント27aが結合構造を用いて支持部材25aに結合されるとき、支持部材25aに対する動作位置に外側切断部材21aを保持するように構成される。
【0035】
図3に示すように、第1の案内部材53は、回転軸41に関して2つの径方向に対向する位置で支持部材25aの受容部材45の内壁上に設けられた2つの当接要素57を有する。図3において、一方の当接要素57のみが完全に視認可能であり、他方の当接要素は部分的にのみ視認可能である。図4に示すように、第2の案内部材55は、回転軸41に関して2つの径方向に対向する位置で保持コンポーネント27aのベース部51の2つの周方向部分に設けられた2つの案内要素59を有する。図4では、1つの案内要素59のみが視認可能である。案内要素59は、各々、毛切断ユニット7aの組み立てられた状態で回転軸41に関する接線方向に対して斜めに延びる第1の案内面61と、第1の案内面61に接続し(meets)且つ、前記組み立てられた状態で、回転軸41に対して垂直な仮想平面内に延びる第2の案内面63とを有する。2つの当接要素57は、以下に詳細に説明するように、第1及び第2の案内面61、63と係合するように配置される。
【0036】
図3に示す分解状態から始めて毛切断ユニット7a、7b、7cを組み立てるために、ユーザはまず、支持部材25a、25b、25cを支持コンポーネント19に枢動可能に取り付けた状態でテーブル上面などの平坦面上に上下逆さの位置に、すなわち支持部材25a、25b、25cの皮膚接触面43が前記平坦面と接触する状態で、シェービングユニット11の支持コンポーネント19を配置し得る。以下の説明から明らかなように、シェービングユニット11は毛切断ユニット7a、7b、7cの組み立て中にこの位置に留まり得、これはユーザにとって都合がよい。したがって、組立の間、ユーザは、支持部材25a、25b、25cが前記平坦面に接触したままであるように、一方の手で支持コンポーネント19を保持し、一方、ユーザは、引き続いて、毛切断ユニット7a、7b、7cを他方の手で組み立てることができ、これは、毛切断ユニット7aについて以下に詳細に説明する。
【0037】
毛切断ユニット7aの組立は図5及び図6a~6cに示され、図6a~6cは、テーブル上面65を概略的に示し、その上に、皮膚接触面43を有する支持部材25aが、最初に上下逆さの位置に配置される。毛切断ユニット7aを組み立てるために、ユーザはまず、複数の毛切断要素35が、毛入口開口31を有する外側切断部材21aの環状シェービングトラックに接触するように、内側切断部材23aを外側切断部材21a内に配置しなければならない。続いて、ユーザは、外側切断部材21aを、内側切断部材23aがその中に配置された状態で、支持部材25aの受容部材45内に配置しなければならない。これにより、外側切断部材21aは、図6aに概略的に示すように、外側切断部材21aの外側シェービング面29が、最初にテーブル上面65によって支持されるので、支持部材25aの皮膚接触面43に対して最初の完全に引っ込んだ(recessed)位置になる。
【0038】
続いて、ユーザは、保持コンポーネント27aを、外側切断部材21aの頂部に受容部材45内に配置しなければならない。これにより、毛切断ユニット7aの組み立てられた状態で、外側切断部材21aに面する保持コンポーネント27aの環状のベース部51の面67が、外側切断部材21aの周方向フランジ33に当接することになる。この面67は、フランジ33と完全に接触し得る、すなわち、回転軸41周りに360°にわたって接触し得る。しかし、本実施形態では、3つの突出した当接面69が前記面67に設けられ、これらは回転軸41に関して120°の角度間隔で配置され、各々はフランジ33に当接する。図4では、1つの当接面69のみが見える。
【0039】
上述したように、保持コンポーネント27aを受容部材45内に配置した後、外側切断部材21a、支持部材25a及び保持コンポーネント27aは、図5に示すように回転軸41に関して軸方向に相互に所定の位置にある。内側切断部材23aは図5には示されていない。図5は、支持部材25aの第1の案内部材53の当接要素57のうちの1つを概略的に示す。図5はさらに、保持コンポーネント27aの第2の案内部材55の案内要素59のうちの1つを概略的に示す。図5において、保持コンポーネント27aは、支持部材25aに対して回転軸41周りの第1の予め規定された角度位置で示されている。保持コンポーネント27aのこの第1の角度位置において、当接要素57は、外側切断部材21aが支持部材25aの皮膚接触面43に対して最初の完全に引っ込んだ位置にあるときに、案内要素59の第1の斜め案内面61の端部71に係合する。保持コンポーネント27aのこの第1の角度位置はまた、図6aに概略的に示されており、これは、案内要素59以外の保持コンポーネント27aのいかなる部分も示さない。さらに図5及び図6aに示すように、外側切断部材21aの周方向フランジ33と、支持部材25aの受容部材45の内壁に設けられた環状内部リム73との間に距離Dが存在する。当業者にとって、前記距離Dは、シェービングユニット11がテーブル上面65に接触して保持されない場合に、フランジ33を前記距離Dにわたって保持コンポーネント27aの当接面69と受容部材45の前記内部リム73との間で回転軸41に平行に移動可能にすることは明らかである。
【0040】
保持コンポーネント27aを支持部材25aに結合し、最終的に毛切断ユニット7aの組み立て状態を実現するために、ユーザは、図6aに概略的に示す第1の予め規定された角度位置から図6cに概略的に示す第2の予め規定された角度位置へ図6bに示す第1の角度位置と第2の角度位置との間の中間角度位置を経由して、回転軸41回りに支持部材25aに対して保持コンポーネント27aを手動で回転させなければならない。この目的のために、保持コンポーネント27aのベース部51は、回転軸41に関して2つの径方向に対向する位置に配置された2つの摘み部(finger-grip portions)75(図4図5)を有する。保持コンポーネント27aが第1の角度位置から第2の角度位置へ回転する間、支持部材25aはテーブル上面65に接触して保持され、一方、第1の案内部材53の2つの当接要素57は、第1の角度位置と第2の角度位置との間の支持部材25aに対する回転軸周りの保持コンポーネント27aの任意の角度位置において、第2の案内部材55の2つの案内要素59と係合する。図6aに示す第1の角度位置から図6bに示す中間角度位置への保持コンポーネント27aの回転中の当接要素57と案内要素59の第1の斜め案内面61との係合によって、保持コンポーネント27aは、保持コンポーネント27aが外側切断部材21aの周方向フランジ33が支持部材25aの内部リム73に当接する図6bに示す軸方向保持位置に到達するまで、回転軸41に平行な軸方向に支持部材25aの皮膚接触面43に向かって支持部材25aに対して変位する。保持コンポーネント27aを前記軸方向保持位置にロックするために、ユーザは、保持コンポーネント27aを図6bに示す中間角度位置から図6cに示す第2の角度位置にさらに回転させなければならない。この回転の間に、当接要素57は、案内要素59の第2の案内面63と係合し、毛切断ユニット7aの組み立てられた状態を確立する。前記のさらなる回転の間、当接要素57は、各々、保持コンポーネント27aのベース部51上に一体に形成され、それぞれの第2の案内面63に隣接して配置された弾性変形可能ロック要素77を通過する。1つのロック要素77のみが図4に見えるが、ロック要素77は図6a~6cに概略的に示されている。ロック要素77は、保持コンポーネント27aに回転力が作用しないときに、保持コンポーネント27aが第2の角度位置から外れて回転することを防止する。
【0041】
図6cに概略的に示した保持コンポーネント27aの軸方向保持位置及び毛切断ユニット7aの組み立て状態では、外側切断部材21aの周方向フランジ33は、保持コンポーネント27aの3つの当接面69と支持部材25aの内部リム73との間で回転軸41に平行な軸方向に保持される。この組み立てられた状態では、したがって、周方向フランジ33は、外側切断部材21aの保持される要素を構成し、3つの当接面69は、保持コンポーネント27aに設けられた前記保持される要素のための第1の保持部材を構成し、内部リム73は、したがって、支持部材25aに設けられた保持される要素のための第2の保持部材を構成する。図3に示す支持部材25aの実施形態では、内部リム73は、各々、内部リム73のわずかに突出する部分の形態で受容部材45の内壁に設けられた2つの支持要素79を有する。図3には、2つの支持要素79のうちの1つのみが見える。他の支持要素は、回転軸41に関して径方向に対向する位置にある。支持要素79はそれぞれ、軸方向に見て2つの当接要素57のそれぞれの1つに隣接して配置される。したがって、毛切断ユニット7aの組み立てられた状態では、外側切断部材21aの周方向フランジ33は、特に、第2の保持部材の2つの支持要素79によって支持される。内部リム73に対する2つの支持要素79のわずかに突出する位置は、保持コンポーネント27aと共に、2つの支持要素79の位置によって規定される二次ピボット軸81周りに、外側切断部材21aが支持部材25aに対して枢動することを可能にする。
【0042】
らに、保持コンポーネント27aの軸方向保持位置及び毛切断ユニット7aの組み立てられた状態において、内側切断部材23aは、図4に示すように保持コンポーネント27aのベース部51に設けられた内部環状フランジ83によって、回転軸41に平行な方向のいくらかのあそびを伴って外側切断部材21aの所定位置に保持される。次に、シェービングユニット11がシェービングヘッド5のベース構造9に結合されると、内側切断部材23aの毛切断要素35が、駆動スピンドル15aによって、外側切断部材21aの環状シェービングトラックと動作可能に接触するように付勢される。
【0043】
前に詳述したように、図6aに示す第1の角度位置から図6bに示す中間角度位置への保持コンポーネント27aの回転及び支持部材25aに対する保持コンポーネント27aの軸方向におけるその軸方向保持位置への関連する変位の間に、外側切断部材21aは、保持コンポーネント27aによって軸方向に図6aに示すその初期の完全に引っ込んだ位置から図6b及び図6cに示すその動作位置に変位させられ、外側切断部材21aのシェービング面29は、図6b及び図6cに示すように、支持部材25aの皮膚接触面43に対して軸方向に露出距離Eにわたって突出する。図6b及び図6cは、皮膚接触面43に対して平行な向きにあるシェービング面29を示す。外側切断部材21aが支持部材25aに対して二次枢動軸81周りに枢動されているシェービング面29の向きにおいて、露出距離Eは、皮膚接触面43に対するシェービング面29の平均露出距離であることは明らかであろう。図6aに示すように、保持コンポーネント27aの第1の角度位置で支持部材25aの皮膚接触面43に対する外側切断部材21aの初期の完全な引っ込んだ位置を可能にするために、外側切断部材21aの保持される要素(すなわち、周方向フランジ33)が、本明細書で説明した保持コンポーネント27aの第1の角度位置で第1の保持部材(すなわち、当接面69)と第2の保持部材(すなわち、支持要素79)との間で軸方向に移動可能である図6aの距離Dは、少なくとも露出距離Eと等しくなければならないことは明らかである。
【0044】
図6aに概略的に示すように、図示の実施形態では、第2の案内部材55の案内要素59の第1の案内面61は、回転軸41に関する接線方向に対して傾斜角αを有し、第1の案内面61は、回転軸41に関する接線断面で見て平らである。さらに図6bに概略的に示すように、第1の案内面61及び第2の案内面63は、接線方向に等距離T、Tにわたって延び、これは、第1の案内面61が、保持コンポーネント27aの第1と第2の予め規定された角度位置間の角度距離の約50%である回転軸41周りの角度距離にわたって延びることを意味する。前述の距離Dは、主として前記傾斜角αと前記距離Tによって決まることは当業者にとって明らかである。また、当業者にとって、第1の案内面61は、接線断面で見て、平らである必要がないことは明らかであろう。第1の案内面61は、この断面で湾曲してもよい。保持コンポーネント27aを第1の角度位置から第2の角度位置に回転させ、毛切断ユニット7aの組み立てられた状態を確立するために、ユーザが保持コンポーネント27aに回転軸41周りに加える必要があるトルクを制限するために、第1の案内面61が、保持コンポーネント27aの第1の予め規定された角度位置と第2の予め規定された角度位置との間の前記角度距離の少なくとも15%である回転軸41周りの角度距離にわたって延びることが好ましい。図4に示す保持コンポーネント27aの実施形態では、第1の案内面61は、第1の予め規定された角度位置と第2の予め規定された角度位置との間の前記角度距離の15%から50%の間である回転軸41周りの角度距離にわたって延びる。
【0045】
図3にさらに示されるように、当接要素57は、各々、組み立てられた状態で、第2の案内部材55の第1の案内面61と協働するために、接線方向に対して斜めに延びる追加の案内面85を有し得る。この目的のために、追加の案内面85は、第1の案内面61のような接線方向に対する同様の傾斜角αを有し得る。追加の案内面85は、支持部材25aに対する保持コンポーネント27aの第1の角度位置における、当接要素57及び第1の案内面61の初期係合を容易にする。追加の案内面85はまた、図5に概略的に示されているが、図6a~6cには示されていない。
【0046】
さらに、前述のように、保持コンポーネント27aの第1の予め規定された角度位置における距離Dを確立し、かつ、前述のように、保持コンポーネント27aの第2の予め規定された角度位置における毛切断ユニット7aの組み立てられた状態を確立するために、保持コンポーネント27aを支持部材25aに結合するための結合構造の第1及び第2の案内部材は、前述のように、第1及び第2の案内部材53、55とは異なる形態に構成され得ることは、当業者にとって明らかである。例えば、傾斜した第1の案内面61を有する案内要素59は、支持部材25aの受容部材45の内壁に配置されてもよく、当接要素57は、保持コンポーネント27aのベース部51の周壁に配置されてもよい。この例では、保持コンポーネント27a上の当接要素57は、支持部材25a上の傾斜した第1の案内面と協働するための追加の案内面85に類似した追加の案内面を備え得る。
【0047】
最後に、当業者にとって、外側切断部材21aの保持される要素は、周方向フランジ33とは異なる形で実施されてもよく、保持コンポーネント27aの第1の保持部材と支持部材25aの第2の保持部材との間で保持されるために任意の適切な方法で実施されてもよいことは明らかであろう。同様に、第1の保持部材及び第2の保持部材は、それぞれ、当接面69及び支持要素79とは異なって実施されてもよく、また、外側切断部材21aの保持される要素を毛切断ユニット7aの組み立てられた状態に保持するために、任意の好適な方法で実施されてもよいことは明らかである。
【0048】
本発明は、前述の説明及び図面において詳細に説明及び図示されてきたが、このような説明及び図示は、例示的及び/又は説明的なものとみなされるべきであり、限定的な意味ではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。
【0049】
開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、当業者が請求項に記載された発明を実施する際に理解し、実施することができる。請求項において、語「有する、含む」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞“a”又は“an”は、複数を除外しない。明細書を明確かつ簡潔にするために、特徴は、同一の実施形態の一部として又は別個の実施形態の一部として本明細書に開示されるが、本発明の範囲は、開示された特徴のすべて又は一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されるであろう。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に利用できないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c