(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】可変ヘッドを有するスペーサを製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/36 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
A61F2/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021019137
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2021-03-31
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510340506
【氏名又は名称】ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】フォクト セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ トーマス
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/348973(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/297276(US,A1)
【文献】特開2013-150802(JP,A)
【文献】特開2007-190059(JP,A)
【文献】特表2017-536214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00 - 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメントペースト(50)を硬化させることによりスペーサ(120、130)を製造するための装置であって、前記スペーサ(120、130)は、関節のヘッドの関節面を含む関節又は関節の一部を一時的に置換するために、特に股関節又は肩関節を一時的に置換するために医療分野で提供され、前記装置は、
骨セメントペースト(50)から前記スペーサ(120、130)を成形するための注型型(1、61)であって、前記注型型(1、61)は、ステム(124、134)及びネック(126、136)を成形するためのステム用型(34、94)を有し、前記注型型(1、61)は、前記スペーサ(120、130)のヘッド(122、132)の摺動面を成形するための球面形状の内面を有する型空洞(32、92)を有し、前記ステム用型(34、94)及び前記型空洞(32、92)は、前記注型型(1、61)を用いて成形されたスペーサ(120、130)の前記ヘッド(122、132)が前記ネック(126、136)を介して前記ステム(124、134)に1つの部品として接続されるように、共通の内部を画定する注型型(1、61)と、
骨セメントペースト(50)を前記注型型(1、61)に注入するための少なくとも1つの充填開口部(2、62)と、
前記注型型(1、61)の共通の内部をガス透過的に前記注型型(1、61)の周囲に接続する少なくとも1つのベント要素(15、75)と
を有し、
前記ステム用型(34、94)は、骨セメントペースト(50)を前記注型型(1、61)に注入する際には寸法的に安定しており、一方、前記型空洞(32、92)は、骨セメントペースト(50)を前記注型型(1、61)に注入する際には、注入された骨セメントペースト(50)によって付与される圧力によって、少なくとも前記球面形状の内面の領域において拡張可能である装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのベント要素(15、75)が、ガスに対して透過性であり、骨セメントペースト(50)に対して不透過性であり、特にポリメタクリル酸メチル骨セメントペースト(50)(PMMA骨セメントペースト)に対して不透過性であること、並びに/又は
前記少なくとも1つのベント要素(15、75)が前記型空洞(32、92)に配置されるか、若しくは前記少なくとも1つのベント要素(15、75)が複数のベント要素であり、この複数のベント要素のうち少なくとも1つが前記型空洞(32、92)内に配置され、前記複数のベント要素のうち少なくとも1つが前記ステム用型(34、94)内に配置されること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
注入された前記骨セメントペースト(50)によって付与される圧力によって、前記型空洞(32、92)が半径方向に拡張可能であり、好ましくは、少なくとも前記球面形状の内面の領域において、半径方向に均一に拡張可能であること、及び/又は
前記型空洞(32、92)が、注入された前記骨セメントペースト(50)によって付与される圧力によって、少なくとも前記球面形状の内面の領域において、弾性的に拡張可能であり、好ましくはゴム弾性的に拡張可能であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ステム用型(34、94)及び前記型空洞(32、92)がフランジ(14、74)又はアダプタ要素(102)を介して互いに液密に接続されているか又は接続可能であり、前記球面形状の内面を含む前記型空洞(32、92)の拡張可能な部分が、好ましくは、前記ステム用型(34、94)のフランジ(35、95)又は前記アダプタ要素(102)に環状マウント(21、81)で固定されているか又は固定可能であり、前記型空洞(32、92)の前記拡張可能な部分の周辺の環状ディスク(23、83)が前記環状マウント(21、81)と前記フランジ(35、95)との間に配置されて接続部をシールするようになっており、前記環状マウント(21、81)が、特に好ましくは前記ステム用型(34、94)の前記フランジ(35、95)に螺合されているか又は螺合可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記型空洞(32、92)を前記ステム用型(34、94)に固定するための固定要素を有し、前記固定要素が好ましくは着脱可能であり、特に好ましくは、前記固定要素が複数のねじ(25、85)であるか又は複数のねじ(25、85)を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記固定要素がクランププレートを有し、前記固定要素が好ましくはさらに、ねじ(25、85)、つまみねじ、ナット及び/又はねじ棒を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)が、前記注型型(1、61)から離れた側で、骨セメントカートリッジ(10)の液密接続用のポート(11、71、171)に接続され、前記ポート(11、71、171)が、好ましくは、骨セメントカートリッジ(10)の圧密接続に適しており、前記ポート(11、71、171)が、特に好ましくは、ねじ部を有し、さらに特に好ましくは、周方向のシール(13、73)及び/又は周方向のシール面もしくは周方向のシール縁部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも前記球面形状の内面の領域において、前記型空洞(32、92)が、すでに骨セメントペースト(50)が完全に充填された前記注型型(1、61)にさらなる骨セメントペースト(50)を注入することによって拡張する一方で、前記ステム用型(34、94)が追加の骨セメントペースト(50)を受け取らず、寸法的に安定したままであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)の領域で前記注型型(1、61)に接続されている弁座(3、63、163)であって、前記弁座(3、63、163)が、少なくとも1つの第1の貫通部(5、65、165)を有する一部で閉じたヘッド側(4、64、164)を有し、前記少なくとも1つの第1の貫通部(5、65、165)が、前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)に開口している弁座(3、63、163)と、
前記弁座(3、63、163)に対して回転可能であるように装着され、シール面(7、67、167)を有する弁本体(6、66、166)であって、前記シール面(7、67、167)が、前記弁座(3、63、163)の前記一部で閉じたヘッド側(4、64、164)の方向に向けられており、少なくとも1つの第2の貫通部(8、68、168)が、前記シール面(7、67、167)内に配置されている弁本体(6、66、166)と
を有し、
前記弁座(3、63、163)及び前記弁本体(6、66、166)が一緒になって弁を形成し、前記弁が、前記弁座(3、63、163)に対する前記弁本体(6、66、166)の回転によって開位置及び閉位置に可逆的に移動可能であり、前記弁の前記開位置において、前記弁座(3、63、163)の前記少なくとも1つの第1の貫通部(5、65、165)及び前記弁本体(6、66、166)の前記少なくとも1つの第2の貫通部(8、68、168)が、少なくとも一部で互いに重なり合って位置し、骨セメントペースト(50)にとって透過性である、前記弁を介した前記注型型(1、61)内への接続を提供し、前記弁の前記閉位置において、前記弁座(3、63、163)の前記少なくとも1つの第1の貫通部(5、65、165)が前記弁本体(6、66、166)の前記シール面(7、67、167)によって覆われており、前記弁の前記閉位置において、前記注型型(1、61)の前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)が骨セメントペースト(50)について覆われていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記弁が、前記注型型(1、61)から離れた側で、骨セメントカートリッジ(10)の液密接続のためのポート(11、71、171)に接続されているか、若しくは前記弁がそのようなポート(11、71、171)を有すること、及び/又は
前記弁座(3、63、163)が、前記注型型(1、61)に対して回転不能に前記注型型(1、61)に接続され、好ましくは、前記弁座(3、63、163)が、前記注型型(1、61)に固定的に及び/又は剛性的に接続されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記弁が手動で操作可能であり、好ましくは前記装置の外部から手動で操作可能であり、前記弁本体(6、66、166)が、特に好ましくは前記弁座(3、63、163)に対して手動で回転可能であり、前記弁が、回転によって前記閉位置から前記開位置へ、及び前記開位置から前記閉位置へ移動可能であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記弁座(3、63、163)が内側に内ねじ部(20、80、180)を有し、前記弁本体(6、66、166)が外側に一致する外ねじ部(22、82、182)を有し、前記弁本体(6、66、166)が前記弁座(3、63、163)に螺合されることが可能であること、及び/又は
前記ポート(11、71、171)が、骨セメントカートリッジ(10)の液密接続のために、前記弁本体(6、66、166)内の内ねじ部(24、84、184)若しくは前記弁本体(6、66、166)上の外ねじ部を含み、前記骨セメントカートリッジ(10)のアダプタ要素(9、69)又は前記骨セメントカートリッジ(10)に接するアダプタ要素(9、69)が、好ましくは、前記内ねじ部(24、84、184)若しくは前記外ねじ部と一致する嵌合ねじ部を有すること
を特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、骨セメントカートリッジ(10)であって、骨セメント出発成分を混合し、混合された骨セメントペースト(50)を前記骨セメントカートリッジ(10)から送達するための骨セメントカートリッジ(10)を有し、好ましくは、骨セメントカートリッジ(10)であって、ポリメタクリル酸メチル骨セメント出発成分を混合し、混合されたポリメタクリル酸メチル骨セメントペースト(50)を前記骨セメントカートリッジ(10)から送達するための骨セメントカートリッジ(10)を有し、前記骨セメントカートリッジ(10)が、特に好ましくは、前記骨セメントを製造するための前記骨セメント出発成分を相互に分離した領域に含むことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記注型型(1、61)が、保持ピンを受け入れるための、前記注型型(1、61)の内部チャンバから始まる少なくとも3つ又は4つの空洞を有し、前記空洞が、好ましくは前記ステム用型(34、94)に配置され、前記ステム用型(34、94)が、特に好ましくは2つの部分又は3つの部分からなり、前記空洞が、前記2つの部分からなるステム用型(34、94)の少なくとも1つの部分の縁部に又は長手方向のフランジ(14、74)に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、前記注型型(1、61)内に配置するための金属製の芯体(16、76)を有し、前記金属製の芯体(16、76)が、好ましくは、保持ピン(18、78)を受けるための穴を有し、前記ステム用型(34、94)内に配置されるこれらの穴(18、78)は、特に好ましくは、前記金属製の芯体(16、76)の部分のうちに配置されていることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面が、未拡張の状態で、少なくとも35mm若しくは少なくとも40mm、好ましくは40mm~50mmの直径を有すること、及び/又は最大拡張状態において、最大で70mm、好ましくは60mm~70mmの直径を有し、未拡張の状態で、前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面の直径が、前記拡張状態における前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記型空洞(32、92)が、少なくとも前記球面形状の内面の領域において、ゴム弾性材料、好ましくはゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、又はエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)からなることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)が、閉状態で骨セメントペースト(50)が前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)を通って前記注型型(1、61)から流出するのを防止する遮断要素を含むことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記ステム用型(94)が、前記ステム(124、134)を前記スペーサ(120、130)の前記ヘッド(122、132)に接続する、前記スペーサ(120、130)の前記ネック(126、136)の長さを変化させることができるように用いられる長さ可変のアダプタ要素(102)を含み、前記アダプタ要素(102)が、好ましくは、ねじ接続によって長さを変化させることができることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、前記型空洞(32、92)を受け入れるのに適した複数の寸法的に安定した嵌合型を有し、前記寸法的に安定した嵌合型が、前記型空洞(32、92)がそれぞれの寸法的に安定した嵌合型に挿入されるとき、少なくとも前記球面形状の内面の領域において、前記型空洞(32、92)の拡張が前記寸法的に安定した嵌合型によって異なる直径へと制限されるように、前記型空洞(32、92)の異なる拡張度を可能にし、前記寸法的に安定した嵌合型は、好ましくは、前記寸法的に安定した嵌合型として1つ若しくは複数の凹部を有する少なくとも1つのブリスターパック若しくはプラスチックシェルによって具現化されること、及び/又は
前記装置が、前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面の現在の直径を測定するためのチェックゲージ若しくはノギスを有し、前記チェックゲージ若しくはノギスが、前記型空洞(32、92)の外側に置かれ若しくは配置されてもよく、前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面の直径が、好ましくは直接読み取ることが可能であることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
関節の関節面を含む関節又は関節の一部、特に股関節又は肩関節を一時的に置換するためのスペーサ(120、130)を製造する方法であって、前記方法は請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の装置を用いて行われ、前記方法は、以下の時系列的な
A)骨セメントペースト(50)を前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)を介して前記注型型(1、61)に注入すると同時に、前記骨セメントペースト(50)の注入によって前記少なくとも1つのベント要素(15、75)を介して前記注型型(1、61)から空気を移動させる工程と、
B)骨セメントペースト(50)を前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)を介して前記注型型(1、61)にさらに注入する工程であって、前記骨セメントペースト(50)の注入により、少なくとも前記球面形状の内面の領域において、前記型空洞(32、92)が拡張され、一方で、前記ステム用型(34、94)は寸法的に安定した状態を保つ工程と、
C)前記注型型(1、61)内で前記骨セメントペースト(50)を硬化させる工程と、
D)結果として成形され、硬化したスペーサ(120、130)を前記注型型(1、61)から取り出す工程と
を備える方法。
【請求項22】
工程A)の前に、骨セメントカートリッジ(10)が前記装置のポート(11、71、171)に液密に接続され、前記ポート(11、71、171)が、前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)に液体透過的に接続され、工程A)において、前記骨セメントペースト(50)が、前記骨セメントカートリッジ(10)から前記注型型(1、61)に押し出されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
弁を有する請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の装置が使用され、工程A)で骨セメントペースト(50)が前記開位置にある前記弁を介して前記注型型(1、61)内に注入され、工程B1):
B1)前記弁本体(6、66、166)を前記弁座(3、63、163)に対して回転させ、前記弁を前記閉位置に移動させて、前記弁座(3、63、163)に対する前記弁本体(6、66、166)の回転により、前記弁座(3、63、163)の一部で閉じたヘッド側(4、64、164)の前記少なくとも1つの第1の貫通部(5、65、165)で前記骨セメントペースト(50)を剪断する工程であって、その後、好ましくは、骨セメントカートリッジ(10)が、前記少なくとも1つの充填開口部(2、62)に液体透過的に接続されたポート(11、71、171)から取り外される工程
が工程B)の後で工程C)の前に進行することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程B1)の後で工程C)の前に、以下の中間工程:
B2)新しい骨セメントカートリッジを前記装置の前記ポート(11、71、171)に液密に接続する工程であって、骨セメントペースト(50)又は前記骨セメントペースト(50)を製造するための出発成分が前記新しい骨セメントカートリッジ(10)内に存在する工程、
B3)前記弁本体(6、66、166)を前記弁座(3、63、163)に対して回転させて、前記弁を前記開位置に移動させる工程、
B4)前記骨セメントペースト(50)を、前記新しい骨セメントカートリッジから前記開位置にある前記弁を通って前記注型型(1、61)に注入する工程、
B5)前記弁本体(6、66、166)を前記弁座(3、63、163)に対して回転させ、前記弁を前記閉位置に移動させ、前記弁座(3、63、163)に対する前記弁本体(6、66、166)の回転によって、前記弁座(3、63、163)の前記一部で閉じたヘッド側(4、64、164)の前記少なくとも1つの第1の貫通部(5、65、165)で前記骨セメントペースト(50)を剪断する工程、及び
B6)前記新しい骨セメントカートリッジ(10)を前記ポート(11、71、171)から取り外す工程
が進行し、
工程B2)~B6)が、好ましくは、前記注型型(1、61)が骨セメントペースト(50)で完全に充填されるまで、さらには、前記骨セメントペースト(50)の助けを借りて、少なくとも前記球面形状の内面の領域において前記型空洞(32、92)が所望のサイズまで拡張されるまで、いずれの場合も骨セメントペースト(50)又はその出発成分を含む新しい骨セメントカートリッジを用いて、1回又は複数回繰り返されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記注型型(1、61)の前記型空洞(32、92)が、複数の寸法的に安定した嵌合型のうちの1つに挿入され、前記寸法的に安定した嵌合型が、少なくとも前記球面形状の内面の領域において、前記型空洞(32、92)を拡張するために前記骨セメントペースト(50)が前記注型型(1、61)に押し込まれる間、前記型空洞(32、92)の拡張が、使用される前記寸法的に安定した嵌合型によって特定の直径に制限されるように、前記型空洞(32、92)の異なる拡張度を可能にすることを特徴とする請求項21から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面の現在の直径を測定するためのチェックゲージ又はノギスが使用されて、前記型空洞(32、92)の前記球面形状の内面の現在の直径が読み取られ、前記注型型(1、61)への前記骨セメントペースト(50)の注入が、好ましくは、所望の直径に達した時点で停止されることを特徴とする請求項21から請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨セメントペーストを硬化させることによりスペーサを製造するための装置に関する。このスペーサは、関節の関節面を含む関節又は関節の一部を一時的に置換するための医療用途における一時的な代替物として提供される。好ましくは、このスペーサは、股関節又は肩関節を一時的に置換するために適しており、そのために提供される。従って、当該装置は、好ましくは、股関節スペーサ又は肩関節スペーサを製造するために提供される。本発明は、このような装置を用いてこのようなスペーサを製造するための方法にも関する。
【0002】
従って、本発明の主題は、特に、一部構成の股関節スペーサ及び肩関節スペーサを製造するための注型型を提供し、本発明によれば、成形される股関節スペーサ及び肩関節スペーサのスペーサヘッドの直径は、特定の患者の解剖学的状況に応じて連続的に調整可能である。股関節及び肩関節のスペーサは、感染した股関節及び肩関節の全体のエンドプロテーゼの二期的再置換の過程において、中間段階用の一時的な代替物(スペーサ)として意図されている。この注型型は、低粘度及び高粘度のポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを用いて股関節及び肩関節スペーサを製造するのに適している。本発明はさらに、スペーサヘッドの直径が連続的に調整可能な股関節及び肩関節のスペーサを製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
股関節エンドプロテーゼや肩関節エンドプロテーゼ等の関節エンドプロテーゼは、世界中で広く埋め込まれている。残念なことに、ごく一部の症例では、関節エンドプロテーゼは、微生物、特にグラム陽性細菌及びグラム陰性細菌、さらにはごくわずかな程度では酵母及び真菌によってコロニー形成される。これらの微生物は、主に黄色ブドウ球菌(スタフィロコックス・アウレウス、Staphylococcus aureus)や表皮ブドウ球菌(スタフィロコッカス・エピデルミデス、Staphylococcus epidermidis)等の代表的な皮膚微生物は、外科手術(OP)中に患者の体内に侵入することがある。微生物が関節エンドプロテーゼに血行により侵入することもある。関節エンドプロテーゼが微生物によってコロニー形成されると、周囲の骨及び軟部組織もまた微生物によって感染し、損傷を受ける。
【0004】
先行技術は、主に、感染した関節エンドプロテーゼに対する2つの処置方法、一期的感染部位再置換及び二期的感染部位再置換を包含している。一期的再置換の場合、まず感染した関節エンドプロテーゼは取り除かれ、次に根治的なデブリードマンが行われ、次いで一回のOP内で再置換関節エンドプロテーゼが埋め込まれる。
【0005】
二期的感染部位再置換では、最初のOPで、感染した人工関節エンドプロテーゼが最初に取り除かれ、次にデブリードマンが行われ、その後スペーサが埋め込まれる。股関節スペーサは、ステム、カラー、ネック、ボールヘッドで構成されており、股関節エンドプロテーゼの形状とサイズを複製している。同様に、肩関節スペーサは、肩関節エンドプロテーゼの形状とサイズを複製している。スペーサは、骨セメントでそれぞれの骨に固定され、すなわち、例えば、股関節スペーサの場合、大腿骨近位部や大腿管に固定される。スペーサは、炎症がおさまって臨床的な炎症マーカーが後退するまで、患者の体内に数週間まで留置される。その後、2回目のOPでこのスペーサが取り除かれ、新たなデブリードマンの後に再置換関節エンドプロテーゼが埋め込まれる。
【0006】
スペーサは、股関節や肩関節の全体のエンドプロテーゼの二期的感染部位置換手術の過程において、中間段階の一時的な代替物として大きな意味を持っている。これらのスペーサを術中に製造する際に、医療スタッフは、感染の原因となっている微生物の利用可能な耐性記録(アンチバイオグラム)に応じて、ポリメタクリル酸メチル製の骨セメントに、その微生物に合わせて特別に調整された1種以上の抗生物質を加えてもよい。
【0007】
スペーサの場合、実際にスペーサを製造する前に、抗生物質がセメント粉末に添加される。この抗生物質で変性された骨セメント粉末を使用して、次にモノマー液体を混合して骨セメントペーストが製造され、この骨セメントペーストからスペーサが成型され、このスペーサは、次いでセメント粉末に添加されたモノマー液体を用いた重合により硬化される。このようにして、骨セメントペーストは抗生物質を実質的に組み込む。表面に近い領域に位置する抗生物質粒子は、創傷分泌物等の体液の作用下で放出される。活性成分の放出は開始時に最大で、その後数日の間に減少する。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0042213A1号明細書は、インプラント内に液体のためのリザーバを有する股関節プロテーゼを開示している。国際公開第2017/178951A1号パンフレットは、凹部を有する股関節スペーサを開示しており、この股関節スペーサでは、骨を処置するための物質がこの凹部内に導入されてもよい。米国特許第6245111B1号明細書は、抗生物質で表面が被覆された股関節プロテーゼを提案している。米国特許第5681289号明細書は、装置内の液袋を活用して液体活性成分を分配するための装置を開示している。記載されたいずれのプロテーゼも、灌注回路を製造するのに適していない。欧州特許第1 991 170B1号明細書及び米国特許出願公開第2011/0015754A1号明細書は、活性成分を含む股関節スペーサを記載している。米国特許出願公開第2019/0290833A1号明細書は、液体回路が作製可能な灌注可能な股関節スペーサを開示する。国際公開第2016/205077A1号パンフレット及び米国特許第8900322B2号明細書は、灌注機能を有するスペーサをさらに記載している。
【0009】
抗生物質を備えたスペーサを使用することは公知である。スペーサは、一方では、例えば特許独国特許第10 2015 104 704B4号明細書又は欧州特許第2 617 393B1号明細書に記載されているように、PMMA骨セメント粉末、抗生物質及びモノマー液体から、OP自体の間にOP担当者によって、例えばスペーサ型を用いて製造されてもよい。他方で、骨セメントから工業的に既製の股関節スペーサを使用することも従来から行われている。
【0010】
樹脂注型型は、ポリメタクリル酸メチル骨セメントを用いるスペーサの術中製造のためには従来的なものである。一部構成の(一体型)股関節スペーサの術中製造のための樹脂注型型は、米国特許第6361731B1号明細書に記載されている。これらの注型型は透明であり、2つの別個の充填開口部を有する。その結果、骨セメントペーストのための流路が比較的短いため、高粘度の骨セメントペーストであっても、ほとんど圧力をかけずに注型型内に導入することができる。高粘度でない骨セメントペーストを使用する場合には、注型型への充填が完了すると、硬化が始まる前に骨セメントペーストが充填開口部から逆流してしまう危険性がある。これらの注型型は、様々なスペーサヘッドの直径を備えて販売のために提供されている。スペーサヘッドの直径は、可変的に調整できない。医療分野の使用者は、予め決められたスペーサヘッドのサイズ間で選択することしかできない。医療分野の使用者が、可能な限りステム用の1つの注型型で、異なるスペーサヘッドサイズの間で選択できることが望ましい。
【0011】
さらなる展開として、特許明細書米国特許第7789646B2号明細書、米国特許第8480389B2号明細書及び米国特許第8801983B2号明細書では、モジュール式股関節スペーサを製造するための多部構成の注型型が提案されている。これらのモジュール式股関節スペーサは、スペーサヘッドと別個のステムから構成されている。異なるスペーサヘッド直径を有するスペーサヘッドのための注型型がこの目的のために利用可能である。つまり、ステム用の注型型を、選択された直径を有するスペーサヘッド用の注型型に接続するのである。このようにして組み立てられた注型型は、次いで一体となり、注型型をセメントカートリッジに接続するためのねじ部を充填開口部に有する。米国特許第7637729B2号明細書による別の変形例では、ステムを製造するための注型型と、スペーサヘッド用の別の注型型とを使用する。硬化及び脱型の完了後、2つのスペーサ部材が組み立てられる。米国特許7789646B2号明細書には、セメントペーストが注型型に導入された後、プラグを使用して注型型の充填開口部を閉じることができるモジュール式の注型型が記載されている。しかしながら、その前に注型型をセメントカートリッジから螺合解除しなければならない。それゆえ、低粘度のセメントペーストを使用した場合、注型型を不利な方法で保持すると、プラグが螺合される前に注型型をセメントカートリッジから分離する際に、セメントペーストが流出してしまう可能性がある。それゆえ、高粘度でない骨セメントペーストを使用した場合、注型型が不利な方法で保持されていると、プラグが螺合されるか入れられる前に注型型を骨セメントカートリッジから分離する際に、骨セメントペーストが流出してしまう可能性がある。いずれの場合も、骨セメントペーストが注型型の内壁から離れることにより、スペーサ型内に不要な巻き込み空気が発生する可能性がある。
【0012】
米国特許出願公開第2007/0222114A1号明細書には、股関節用スペーサの型が記載されている。このスペーサ型は、互いに接続された複数の型セグメントからなる。この複数のセグメントによって、このスペーサ型は、患者の解剖学的状況に非常に正確に適合させることができる。スペーサ型のセグメントは、ウォームドライブホースクリップによって一緒に結合されている。PMMA骨セメントペースト(ポリメタクリル酸メチル骨セメントペースト)は、スペーサ型のチャンルを通して導入される。この注型型の複雑な構造のため、スペーサ型セグメントを一緒に結合し、PMMA骨セメントペーストの硬化が完了した後に股関節スペーサを取り外すことが非常に複雑になっている。
【0013】
国際公開第2009/073781A2号パンフレットは、ステムの長さの適応を可能にするために、互いに対して変位しうる2つの部分からなる股関節スペーサのためのスペーサ型を提案している。欧州特許出願公開第2 522 310A1号明細書には、さらなる注型型が開示されている。この装置は、少なくとも2つの部分からなり、第1の部分には挿入部が配置され、第2の部分には挿入受けが配置されている。この2つの部分は、互いに嵌め込まれて、股関節スペーサのステムを製造するための注型型を形成することができる。欧州特許出願公開第2 787 928A1号明細書には、複雑な注型型が記載されている。この注型型により、異なるボールヘッドを有する股関節スペーサを製造することができる。この注型型の要素は、連結要素を用いて所定の位置に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2010/0042213A1号明細書
【文献】国際公開第2017/178951A1号パンフレット
【文献】米国特許第6245111B1号明細書
【文献】米国特許第5681289号明細書
【文献】欧州特許第1 991 170B1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0015754A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0290833A1号明細書
【文献】国際公開第2016/205077A1号パンフレット
【文献】米国特許第8900322B2号明細書
【文献】独国特許第10 2015 104 704B4号明細書
【文献】欧州特許第2 617 393B1号明細書
【文献】米国特許第6361731B1号明細書
【文献】米国特許第7789646B2号明細書
【文献】米国特許第8480389B2号明細書
【文献】米国特許第8801983B2号明細書
【文献】米国特許第7637729B2号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0222114A1号明細書
【文献】国際公開第2009/073781A2号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第2 522 310A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2 787 928A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服することにある。特に、本発明の目的は、骨セメントペーストを硬化させることにより可変のスペーサヘッドを有する一部構成のスペーサを製造するための安価な装置の開発と、骨セメントペースト、特にポリメタクリル酸メチル骨セメントを使用して手術室の医療従事者によって一部構成のスペーサ、特に股関節スペーサ及び肩関節スペーサを製造することができる、骨セメントペーストを硬化させることにより可変のスペーサヘッドを有する一部構成のスペーサを製造するために、簡単にかつ安価に実施することができる方法の開発とにある。股関節及び肩関節のスペーサは、同様の構造である。それらは、ステム、スペーサヘッド、及びステムとスペーサヘッドとを接続するネックからなる。
【0016】
それゆえ、原理上、可変のスペーサヘッド直径を有する股関節及び肩関節のスペーサを製造するために好適な装置、特に注型型を開発することが意図されている。金属製の芯体は、機械的な安定化の目的のために、股関節及び肩関節のスペーサの内部に配置されてもよいし、配置されていてもよい。低粘度骨セメントペースト又は高粘度でない骨セメントペーストだけでなく、高粘度の(ポリメタクリル酸メチル)骨セメントペーストを使用してスペーサを製造することが可能であることが望ましい。高粘度の骨セメントペーストを注型型に完全に充填するためには、高い射出圧力が必要である。上記装置の注型型は、この高い射出圧力と共に使用可能であるように意図されている。それゆえ、注型型は、可能であれば、一方では、可能であれば10N/cm2の圧力に耐える必要があり、他方では、そのような圧力と共に操作可能である必要がある。
【0017】
骨セメントカートリッジから骨セメントペースト又は流動性のある骨セメントペーストを注型型に注入することができるようにする装置及び特にその装置の注型型を意図している。高粘度でない骨セメントペーストを使用する場合には、注型型が充填された後に骨セメントペーストが注型型から流出しないようにすることが意図されている。そのためには、注型型とセメントカートリッジを分離する際に、高粘度でない骨セメントペーストが注型型から流出しないように確実に、注型型を構成する必要がある。このような閉鎖は、注型型の壁に複雑な構造の弁のための開口部を設けることなく可能であればよい。注型型の壁に開口部があると、骨セメントペーストが高圧で注型型内に注入された場合に、注型型内に漏れが生じる可能性がある。さらには、注型型のスプルー領域は、一方では骨セメントペーストを注型型に容易に充填することができ、他方では骨セメントペーストの硬化が完了した後にスプルーの残留物があればその残留物を容易に除去することができるように構成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の目的は、骨セメントペーストを硬化させることによりスペーサを製造するための装置であって、このスペーサは、関節のヘッドの関節面を含む関節又は関節の一部を一時的に置換するために、特に股関節又は肩関節を一時的に置換するために医療分野で提供され、この装置は、
骨セメントペーストからスペーサを成形するための注型型であって、この注型型は、ステム及びネックを成形するためのステム用型を有し、この注型型は、スペーサのヘッドの摺動面を成形するための球面形状の内面を有する型空洞を有し、このステム用型及び型空洞は、この注型型を用いて成形されたスペーサのヘッドが上記ネックを介して上記ステムに1つの部品(一体部分)として接続されるように、共通の内部を画定する注型型と、
骨セメントペーストを上記注型型に注入するための少なくとも1つの充填開口部と、
上記注型型の共通の内部をガス透過的に上記注型型の周囲に接続する少なくとも1つのベント要素と
を有し、
上記ステム用型は、骨セメントペーストを注型型に注入する際には寸法的に安定しており、一方、型空洞は、骨セメントペーストを注型型に注入する際には、注入された骨セメントペーストによって付与される圧力によって、少なくとも上記球面形状の内面の領域において拡張可能である装置によって達成される。
【0019】
上記球面形状の内面は、好ましくは、完全な球面からの半径方向の偏差が最大で10%、特に好ましくは最大で1%である。この球面形状の内面は、少なくとも45°、好ましくは少なくとも90°の角度セクタを含む、特に好ましくは少なくとも半球を含む球面セグメントをさらに含んでいてもよい。半球は、180°の角度セクタを有する。
【0020】
上記球面形状の内面が半球面形状の内面であるように構成されてもよい。
【0021】
上記型空洞の未拡張の球面形状の内面の直径は、10mm~60mm、好ましくは30mm~50mmであってもよい。
【0022】
上記スペーサによって少なくとも部分的に、特に完全に置換される関節のヘッドは、好ましくは大腿骨ヘッド又は上腕骨ヘッドである。
【0023】
上記ステム用型は2つの部分で構成されていてもよく、ステム用型の2つの部分は互いに接続されているか、又は接続可能であり、ステム用型の2つの部分は、好ましくは互いに液密に接続されているか、又は接続可能である。このことは、任意に、ステム用型の2つの部分で画定されてもよい少なくとも1つの充填開口部以外に対して適用される。
【0024】
あるいは、上記ステム用型は一部構成であってもよい。
【0025】
骨セメントペースト又は流動性のある骨セメントペーストとは、高粘性の粘稠度を有する混合された(即ち、すぐに使用できる)骨セメントペーストを意味するものと理解される。好ましくは、骨セメントの粘度は、蜂蜜の粘度に相当するか、又はさらにはより高粘性の粘稠度を有する。すなわち、さらに高い粘度を有する。流動性のある骨セメント及び骨セメントペーストという用語は、同義に使用される。
【0026】
上記注型型は、好ましくは内部が中空である。
【0027】
また、好ましくは、上記型空洞が、関節頭、特に股関節頭又は肩関節頭の負の形状(反転形状)を複製する内部を有するように構成されていてもよい。
【0028】
さらに、注型型が2つ、3つ、又は4つの部分で構成されているか、又は複数の部分で構成されており、注型型の各部分は、好ましくはフランジ及び/又はねじ部を介して互いに液密に固定可能であるように構成されていてもよい。上記注型型は、特に好ましくは、2つの部分(型空洞とステム用型)、3つの部分(型空洞と2分割のステム用型)又は4つの部分(型空洞、2分割のステム用型、及びスペーサのネックを成形するためのアダプタ要素として円筒軸方向に調整可能な中空円筒)で構成されている。
【0029】
注型型は、高粘度の骨セメントペーストの使用をも可能にするために、10N/cm2の圧力に耐えることを意図している。
【0030】
上記型空洞は、好ましくは少なくとも1N/cm2の静水圧で、特に好ましくは少なくとも5N/cm2の静水圧で拡張可能であるべきである。
【0031】
本特許出願において、スペーサ又は注型型に関する方向(「近位」、「遠位」及び「側方」)の記述、並びに平面に関する記述(「矢状平面」、「正面平面」及び「横平面」)は、患者に挿入されたときの主解剖学的方向又は身体平面として理解されるであろうものと同様に使用される。例えば、「近位」とは、身体の中心に向かっての意味であり、「遠位」とは、身体の中心から離れての意味である。
【0032】
ステムは、骨へ(股関節スペーサの場合には大腿骨へ、及び肩関節スペーサの場合には上腕骨へ)の接続のために提供され、この目的のために、好ましくは、準備された骨の近位端に、又は骨管内に導入されてもよい。
【0033】
好ましくは、スペーサ、特に股関節スペーサ又は肩関節スペーサを製造するための当該装置が、少なくとも1種の抗生物質及び/又は抗真菌活性成分を付与するのに適しているように構成されていてもよい。
【0034】
スペーサは、好ましくは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の生体適合性骨セメントペーストから一体的に作製されるべきであり、このPMMAは、特に好ましくは、PMMAから溶解可能な少なくとも1種の抗生物質及び/又は抗真菌剤を含む。
【0035】
上記少なくとも1つの通気口によって、骨セメントペーストが導入されるときに、空気又はガスが注型型の内部から逃げることができる。巻き込まれた空気、ひいてはスペーサの表面上の凹凸は、それによって回避される可能性があり、同時に、型空洞の内部で骨セメントペーストの均一に作用する圧力が確保される可能性がある。
【0036】
当該装置は、注型型自体によって具体化されてもよい。
【0037】
上記少なくとも1つのベント要素が、ガスに対して透過性であり、骨セメントペーストに対して不透過性であり、特にポリメタクリル酸メチル骨セメントペースト(PMMA骨セメントペースト)に対して不透過性であるように構成されてもよい。
【0038】
また、上記少なくとも1つのベント要素が型空洞内に配置されるか、又は上記少なくとも1つのベント要素が複数のベント要素であり、この複数のベント要素のうち少なくとも1つが上記型空洞内に配置され、複数のベント要素のうち少なくとも1つがステム用型内に配置されるように構成されてもよい。
【0039】
これにより、巻き込まれ空気が型空洞内に形成されないことを確実にする。巻き込まれ空気は、骨セメントペーストの圧力の一部を吸収して硬化中に拡張する可能性があり、これが起こると、摺動面の所望のサイズ及び形状を変えてしまう可能性がある。巻き込まれた空気は摺動面に割り込むこともし、これが起こると摺動面を硬化後に充填又は修復しなければならない。
【0040】
更なる発展は、注入された骨セメントペーストによって付与される圧力によって、型空洞が半径方向に拡張可能であり、好ましくは、少なくとも上記球面形状の内面の領域において、半径方向に均一に拡張可能であるように構成されてもよい。
【0041】
さらに、上記型空洞が、注入された骨セメントペーストによって付与される圧力によって、少なくとも上記球面形状の内面の領域において、弾性的に拡張可能であり、好ましくはゴム弾性的に拡張可能であるように構成されていてもよい。
【0042】
このようにして、スペーサの摺動面やヘッドのサイズは、均一かつ連続的に変化させてもよい。スペーサのヘッドは、このようにして、患者に適した治療状況に特に簡単に適合させることができる。
【0043】
用語「ゴム弾性」は、ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストによる内面への圧力の付加により、少なくとも球面形状の内面の領域で型空洞の壁が拡張することで、型空洞の壁を引き裂くことなく、型空洞の球面形状の内面を3倍に拡大することができることを意味すると考えられる。用語「ゴム弾性」は、好ましくは、ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストによる内面への圧力の付加により、型空洞の球面形状の内面の領域で型空洞の壁が拡張することで、型空洞の壁を引き裂くことなく、型空洞の球面形状の内面の容積を少なくとも5.5倍に拡大することができることを意味すると考えられる。
【0044】
さらに、ステム用型及び型空洞がフランジ又はアダプタ要素を介して互いに液密に接続されているか又は接続可能であり、球面形状の内面を含む型空洞の拡張可能な部分が、好ましくは、ステム用型のフランジ又はアダプタ要素に環状マウントで固定されているか又は固定可能であり、拡張可能な部分の周辺の環状ディスクが環状マウントとフランジとの間に配置されて接続部をシールするようになっており、この環状マウントは、特に好ましくはステム用型のフランジに螺合されているか又は螺合可能であるように構成されてもよい。
【0045】
このようにして、異なる機械的特性を持たなければならないステム用型と型空洞は、ステム用型と型空洞の間に骨セメントペーストが逃げることができないように、液密に互いに固定することができる。
【0046】
液密とは、硬化していない、すなわち流動性のある骨セメントペーストが、好ましくは骨セメントの出発成分としての液体の液体モノマーも、型空洞とステム用型との間から流出したり、その間を通り抜けたりすることができないことを意味する。本明細書中では、液密は、少なくとも骨セメントペーストは液密接続を通って漏れ出すことができないということを意味すると解釈されるべきである。
【0047】
アダプタ要素が、ステム用型のステムのステム軸に対して80°~100°の角度で、好ましくはステム用型のステムのステム軸に対して90°の角度で突出するように構成されてもよい。
【0048】
型空洞は、アダプタ要素と固定要素の間に配置された、又は配置されることになる周縁部を有することが好ましい。
【0049】
また、当該装置が、型空洞をステム用型に固定するための固定要素を有し、この固定要素は好ましくは着脱可能であり、特に好ましくは、上記固定要素は複数のねじであるか又は複数のねじを有するように構成されてもよい。
【0050】
このようにして、スペーサ用の注型型を提供するために、上記型空洞とステム用型とを固定することができる。従って、また、互いに異なる形状の異なる型空洞をステム用型に固定したり、逆に異なるステム用型を型空洞に固定したりしてもよい。その結果、当該装置の可変性をさらに高めることができる。型空洞は、例えば、理想的な球形から多かれ少なかれ逸脱した形状を有することで、互いに異なっていてもよい。ステム用型は、例えば、ステムの長さ及び/又は直径が異なることにより、互いに異なっていてもよい。
【0051】
固定要素が、ステム用型に少なくとも部分的に接続されるように構成されていてもよい。
【0052】
さらに、上記固定要素がクランププレートを有し、この固定要素が好ましくはさらに、ねじ、つまみねじ、ナット及び/又はねじ棒を有するように構成されてもよい。
【0053】
その結果、ステム用型と型空洞の間に構造的に簡単な方法で漏れのない接続を行うことができる。
【0054】
ねじとしては、手術室で従来的な駆動装置で螺合させることができるトルクス(登録商標)ねじが特に好ましい。
【0055】
さらに、少なくとも1つの充填開口部が、注型型から離れた側で、骨セメントカートリッジの液密接続用のポートに接続され、このポートが、好ましくは、骨セメントカートリッジの圧密接続に適しており、このポートが、特に好ましくは、ねじ部を有し、さらに特に好ましくは、周方向のシール及び/又は周方向のシール面もしくは周方向のシール縁部を有するように構成されてもよい。
【0056】
その結果、骨セメントペーストを骨セメントカートリッジから注型型に注入することができ、型空洞を拡張するために、骨セメントペーストを介して骨セメントカートリッジで型空洞に圧力をかけることができることが保証される。
【0057】
また、少なくとも球面形状の内面の領域において、型空洞が、すでに骨セメントペーストが完全に充填された注型型にさらなる骨セメントペーストを注入することによって拡張する一方で、ステム用型は追加の骨セメントペーストを受け取らず、寸法的に安定したままであるように構成されてもよい。
【0058】
その結果、骨セメントペーストの注入により、スペーサのヘッドのみが再成形されることが保証される。
【0059】
なお、追加の骨セメントペーストを何ら受け取らないステム用型は、それが弾性的に変形できないことを意味するものではない。
【0060】
本発明によれば、骨セメントペーストを注入した結果としての注型型の容積増加のうち、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも99%が型空洞内で発生するはずである。
【0061】
本発明の1つの特に好ましいさらなる発展によれば、当該装置が、さらに、
上記少なくとも1つの充填開口部の領域で上記注型型に接続されている弁座であって、上記弁座は、少なくとも1つの第1の貫通部(フィードスルー)を有する一部で閉じたヘッド側を有し、上記少なくとも1つの第1の貫通部は、上記少なくとも1つの充填開口部に開口している弁座と、
上記弁座に対して回転可能であるように装着され、シール面を有する弁本体であって、上記シール面は、上記弁座の上記一部で閉じたヘッド側の方向に向けられており、少なくとも1つの第2の貫通部が、このシール面内に配置されている弁本体と
を有し、
上記弁座及び弁本体は一緒になって弁を形成し、この弁は、弁座に対する弁本体の回転によって開位置及び閉位置に可逆的に移動可能であり、弁の開位置において、弁座の少なくとも1つの第1の貫通部及び弁本体の少なくとも1つの第2の貫通部が、少なくとも一部で互いに重なり合って(互いに上方に)位置し、骨セメントペーストにとって透過性である、弁を介した注型型内への接続を提供し、上記弁の閉位置において、上記弁座の少なくとも1つの第1の貫通部は上記弁本体のシール面によって覆われており、上記弁の閉位置において、上記注型型の少なくとも1つの充填開口部は骨セメントペーストについて覆われているように構成されてもよい。
【0062】
上記弁は、骨セメントペーストを分離することができ、型空洞を拡張状態に保つために、注型型内の骨セメントペーストを同時に圧力下で保持することを保証する、特に構造的に分かりやすい方法である。このように、この弁により、スプルーの分離が可能になると同時に、骨セメントペーストを介して型空洞に対して圧力が維持され、型空洞を所望の拡張度に保つことができる。弁座内で回転可能な弁本体によって、驚くべきことに、スプルーが弁本体で剪断されるか、大部分が剪断される注型型を備えた装置を提供することも可能であると同時に、骨セメントカートリッジからの圧力が継続している場合には、骨セメントペーストが注型型の内側に押し付けられることができ型空洞が拡張されたまま保ち続けることができるように骨セメントペーストが注型型内で圧力下に保持され続けることができる程度に、注型型を閉じるか、少なくとも残りの流路を縮小させることもでき、その際、骨セメントペーストは少なくとも1つの充填開口部を介して注型型から再び排出されることが同時に防止される。この装置は、骨セメントペーストが少なくとも1つの充填開口部を介して注型型から逆流することが可能でないまま、複数の骨セメントカートリッジの内容物で注型型を連続的に充填することも可能にする。このようにして、少量の骨セメントしか供給しない骨セメントカートリッジを用いても、大容量のスペーサを製造することが可能である。
【0063】
骨セメントペーストについて覆われているとは、弁内の骨セメントペーストが、硬化前に弁を通って流れることができない程度に流動することが防止されていることを意味する。通常の粘度の骨セメントペーストについては、骨セメントペーストが弁内を一直線に流れることができず、自由通路の断面積が1mm未満であればこの目的のために十分である。骨セメントペーストは、「ペースト」という用語で示されるように、粘り気のある又は高粘性の流体である。骨セメントペーストの粘度は、少なくとも10Pa・sに達し、これは液体蜂蜜の粘度に相当する。加えて、骨セメントペーストは数分以内に硬化し、これは、そうなると通過がもはや不可能であることを意味する。好ましくは、骨セメントペーストが少なくとも10Pa・sの粘度を有するように構成されていてもよい。
【0064】
シール面が、少なくとも1つの第2の貫通部以外では閉じているように構成されていてもよい。
【0065】
また、弁座が、液体不透過的に注型型の注型型壁に接続されるように構成されていてもよい。
【0066】
弁座が、注型型によって画定された空洞の一端面において、円盤、特に平面円盤として構成されるようにさらに構成されていてもよい。
【0067】
好ましくは、弁座及び弁本体が中空円筒状であるように構成されていてもよい。
【0068】
弁座に対する弁又は弁本体の「開状態」及び「閉状態」という用語と、弁座に対する弁又は弁本体の「開位置」及び「閉位置」という用語は、同義に使用される。
【0069】
好ましくは、弁座の一部で閉じたヘッド側及び弁本体のシール面が円盤であるか、又は円盤状であるように構成されてもよい。
【0070】
好ましくは、弁座が、注型型の少なくとも1つの充填開口部を画定するように構成されてもよい。
【0071】
弁を有する本発明に係る装置において、その弁が、上記注型型から離れた側で、骨セメントカートリッジの液密接続のためのポートに接続されているか、又は上記弁がそのようなポートを有するように構成されてもよい。
【0072】
その結果、注型型に骨セメントカートリッジを充填し、注入された骨セメントペーストによって付与された圧力によって型空洞を拡張することができる。
【0073】
弁座が、注型型に対して回転不能に注型型に接続され、好ましくは、弁座が、注型型に固定的に及び/又は剛性的に接続されるように構成されてもよい。
【0074】
このようにして、骨セメントカートリッジを交換又は着脱するために、当該装置の弁は、外部から便利に操作することができる。
【0075】
また、弁が、ポートに接続されたセメントカートリッジの回転又は傾斜によって操作可能であり、この目的のために上記ポートは、好ましくは弁本体に配置されているように構成されてもよい。
【0076】
弁が手動で操作可能であり、好ましくは当該装置の外部から手動で操作可能であり、弁本体は、特に好ましくは弁座に対して手動で回転可能であり、弁は、回転によって閉位置から開位置へ、及び開位置から閉位置へ移動可能であるようにさらに構成されてもよい。
【0077】
このようにして、当該装置は、外部から便利に操作することができる。加えて、骨セメントカートリッジを交換することもできる。
【0078】
弁座が内側に内ねじ部を有し、弁本体が外側に一致する外ねじ部を有し、弁本体が弁座に螺合されることが可能であるようにさらに構成されてもよい。
【0079】
この手段により、弁本体と弁座の間の接続部で良好なシール効果を得ることができる。加えて、このようにして弁を簡単かつ安価に組み立てることができる。
【0080】
ポートが、骨セメントカートリッジの液密接続のために、弁本体内の内ねじ部又は弁本体上の外ねじ部を含み、骨セメントカートリッジのアダプタ要素又は骨セメントカートリッジに接するアダプタ要素は、好ましくは、上記内ねじ部又は外ねじ部と一致する嵌合ねじ部を有するようにさらに構成されてもよい。
【0081】
このようにして、一方で、ポートへの安定した液密接続が得られる可能性があり、他方では、開始時の螺合動作中又は螺合動作の終了後の回転を利用して、弁本体を弁座に対して回転させ、弁を開状態から閉状態に移動させたり、弁を閉状態から開状態に移動させたりすることができる。
【0082】
適切なねじ部を使用することで、特に、弁が閉じている状態でのみ骨セメントカートリッジを取り外すことができ、骨セメントカートリッジが接続されている状態でのみ弁を開くことができることによって、特に、当該装置の追加の安全機能を達成することができる。
【0083】
弁要素を有する本発明に係る装置において、上記弁本体の内ねじ部若しくは弁本体上の外ねじ部が右ねじ部であり、弁が弁本体の同方向の右方向への回転によって閉位置から開位置に移動可能であり、弁が弁本体の異方向の左方向への回転によって開位置から閉位置に移動可能であるように構成されてもよく、又は
上記弁本体の内ねじ部若しくは弁本体上の外ねじ部が左ねじ部であり、弁が弁本体の同方向の左方向への回転によって閉位置から開位置に移動可能であり、弁が弁本体の異方向の右方向への回転によって開位置から閉位置に移動可能であるように構成されてもよく、又は
上記弁座の内ねじ部、並びに弁本体の内ねじ部及び外ねじ部がすべて左ねじ部、若しくはすべて右ねじ部であり、上記ポートへの骨セメントカートリッジの液密接続のためのアダプタ要素の外ねじ部も好ましくは同じ回転方向を有するように構成されてもよい。
【0084】
これらの手段の目的は、骨セメントカートリッジが螺合されていないときに弁が自動的に閉じ、骨セメントカートリッジが螺合されているときに弁が自動的に開くことを確実にすることでもある。
【0085】
上記弁を有する装置において、弁座の少なくとも一つの第1の貫通部が、弁の閉位置において、弁本体のシール面で覆われており、弁座の一部で閉じたヘッド側と弁本体のシール面は、好ましくは最大2mm、特に好ましくは最大1mm、さらに特に好ましくは最大0.5mmの間隔で互いに離間しているように構成されてもよい。
【0086】
このようにして、注型型内に充填された骨セメントペースト(流動性のある骨セメント)が、弁が閉じているときに弁を介して注型型から再び排出されることができないことを確実にすることができる。骨セメントペーストがスプルーの領域でこのような厚さ又は断面を持って硬化した場合、スペーサが硬化した後、その骨セメントは容易に手動で破断又は切断することができ、鋸で分離する必要はない。それゆえ、このような厚さのスプルーは、OP中のOP手順を大幅に遅らせることがないため、無害である。
【0087】
上記弁を有する装置において、弁本体が、弁座に対して回転軸の周りに回転可能であるように装着され、この回転軸は、弁本体のシール面に対して垂直に延びるか、又はこの回転軸は、弁本体のシール面の回転対称軸に沿って延びるようにさらに構成されてもよい。
【0088】
その結果、弁を通って流れる骨セメントペーストは、回転によって弁本体から切断されたり、ねじ切られたりすることができる。これにより、滑らかな切断面が得られ、剪断時の力の印加は少なくなる。骨セメントカートリッジの回転は、さらに、骨セメントペーストの剪断にも使用されてよい。回転軸は、弁本体のシール面の回転対称軸に沿って延びることが好ましい。回転軸が弁本体のシール面に対して垂直に延びる場合、弁は、(例えば、ビール用の)タップのように構成されてもよい。
【0089】
また、弁本体が、弁座に対して回転軸の周りに回転可能であるように装着され、この回転軸は充填開口部の方向に配向しているように構成されてもよい。
【0090】
弁本体が、弁座に対して最大280°、好ましくは最大180°、特に好ましくは弁座に対して最大100°、さらに特に好ましくは弁座に対して最大90°の角度で回転可能であるようにさらに構成されてもよい。
【0091】
好ましくは、2つの貫通部が、弁座及び弁本体のそれぞれに配置され、この2つの貫通部は、好ましくは、弁座及び弁本体の円盤の中心点の周りに180°オフセットして配置され、この円盤は、弁座の一部で閉じたヘッド側及び弁本体のシール面を形成してもよい。
【0092】
上記弁を有する装置において、弁本体が、骨セメントカートリッジの液密接続のためのポートを有するか、又はそのようなポートに強固に接続されているようにさらに構成されてもよい。
【0093】
このようにして、弁本体は、接続された骨セメントカートリッジによって操作することができる。
【0094】
また、上記弁を有する装置において、閉じたヘッド側の少なくとも1つの第1の貫通部のすべての開口部の和が、ヘッド側の閉じた表面以下の大きさであるように、かつ、シール面の少なくとも1つの第2の貫通部のすべての開口部の和が、シール面の閉じた表面以下の大きさであるように構成されてもよい。
【0095】
これにより、弁本体が弁座に対して回転することにより、弁を安定して骨セメントペーストに対して不透過的に閉じることができることが確実になる。
【0096】
好ましくは、上記弁を有する装置において、一部で閉じたヘッド側の少なくとも1つの第1の貫通部が、シール面の少なくとも1つの第2の貫通部と同じサイズ及び形状を有するように構成されてもよい。
【0097】
好ましくは、同様に、一部で閉じたヘッド側の少なくとも1つの第1の貫通部が2つの第1の貫通部であり、シール面の少なくとも1つの第2の貫通部が2つの第2の貫通部であり、2つの第1の貫通部は、好ましくは、弁座内に、弁本体の回転軸に関して対向して配置された四分円として配置され、2つの第2の貫通部は、シール面内に、弁本体の回転軸に関して対向して配置された四分円として配置されるように構成されてもよい。
【0098】
これら2つの手段のため、高粘度の骨セメントペーストのために十分な流動面積を提供することができ、別の態様では弁の漏れにつながる可能性のある弁の一方的な負荷を回避することができる。
【0099】
さらに、上記弁を有する装置において、カラーが弁本体のシール面に配置され、このカラーが弁座の縁部に接触しているか、又はカラーが弁座の一部で閉じたヘッド側に配置され、このカラーが弁本体の縁部に接触しているようにさらに構成されてもよい。
【0100】
このようにして、弁本体を弁座に安定して案内することができる。弁本体の所定のねじ部長さの場合、少なくとも1つの第2の貫通部の位置は、少なくとも1つの第1の貫通部に関してさらに正確に規定されてもよい。
【0101】
この場合には、放射状に配向されたレバーが、カラーに隣接して弁本体の周方向表面上に配置されるように構成されてもよい。
【0102】
また、上記弁を有する装置において、レバーが弁本体上に配置され、このレバーが、弁本体の回転軸に関して半径方向の範囲を有し、このレバーは、好ましくは、注型型内のオリフィス又は弁座内のオリフィスを通って突出し、注型型内のオリフィスは、任意に、弁座との接続領域内に配置され、このオリフィスは、レバーによって弁座内で弁本体を回転させることにより、弁が開位置から閉位置へ、及び閉位置から開位置へと移動されうるような寸法を有し、特に好ましくは、このオリフィスは、弁本体が弁座に対して最大90°回転されうるような寸法を有するように構成されてもよい。
【0103】
その結果、弁は外部から便利に手動で操作することができる。このレバーを使用して、弁本体を弁の開位置から閉位置に回転させることができる。
【0104】
さらに、上記弁を有する装置において、弁本体及び弁座がプラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックから作製され、弁座は、好ましくは、注型型の壁に接着剤で接着されるか、又は溶着されるように構成されてもよい。
【0105】
このようにして、弁、ひいては当該装置は、安価に、衛生的な使い捨て製品として製造することができる。
【0106】
好ましくは、弁座が、その外側にリブを有し、そのリブが注型型との形態嵌め(フォームフィッティング)接続に入るか、又は入ってもよいように構成されていてもよい。
【0107】
また、当該装置が、骨セメントカートリッジに接続されているか又は接続可能なアダプタ要素を有し、このアダプタ要素は、骨セメントカートリッジの内部が、アダプタ要素を介して充填開口部に、骨セメントペーストについて透過的に接続されているか又は接続可能であるように、ポートに着脱可能にかつ係合可能に接続されているか又は接続可能であるように構成されてもよい。当該装置が上記弁を有する場合、骨セメントカートリッジの内部が、骨セメントペーストのためのアダプタ要素を介して、かつ骨セメントペーストにとって透過的に、上記弁の弁本体の少なくとも1つの第2の貫通部に接続されているか又は接続可能であるように構成されてもよい。
【0108】
当該装置が、骨セメントカートリッジであって、骨セメント出発成分を混合し、混合された骨セメントペーストをその骨セメントカートリッジから送達するための骨セメントカートリッジを有し、好ましくは、骨セメントカートリッジであって、ポリメタクリル酸メチル骨セメント出発成分を混合し、混合されたポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストをその骨セメントカートリッジから送達するための骨セメントカートリッジを有し、この骨セメントカートリッジは、特に好ましくは、骨セメントを製造するための骨セメント出発成分を相互に分離した領域に含むように構成されてもよい。
【0109】
このようにして、当該装置は、その後、スペーサを形成するための注型型に充填される骨セメントペーストを提供することもでき、かつこの骨セメントペーストによって、注型型の型空洞を拡張する目的のために必要な圧力を骨セメントペーストにかける骨セメントカートリッジによって注型型の型空洞は拡張されるので、装置はさらに完成される。
【0110】
さらに、注型型が、保持ピンを受け入れるための、注型型の内部チャンバから始まる少なくとも3つ又は4つの空洞を有し、この空洞は、好ましくはステム用型に配置され、このステム用型は、特に好ましくは2つの部分又は3つの部分からなり、上記空洞は、2つの部分からなるステム用型の少なくとも1つの部分の縁部に又は長手方向のフランジに配置されているように構成されていてもよい。
【0111】
これらの空洞を使用して、金属製の芯体を補強として注型型内に、従ってスペーサ内に配置し、正確に位置決めすることができる。
【0112】
また、当該装置が、注型型内に配置するための金属製の芯体を有し、この金属製の芯体は、好ましくは、保持ピンを受けるための穴を有し、ステム用型内に配置されるこれらの穴は、特に好ましくは、金属製の芯体の部分のうちに配置されているように構成されてもよい。
【0113】
金属製の芯体は、好ましくは生体適合性金属又は生体適合性金属合金からなり、特に好ましくは外科用鋼からなる。
【0114】
また、当該装置が、注型型内に金属製の芯体を保持するための少なくとも3本又は4本の保持ピンを有するように構成されてもよい。
【0115】
金属製の芯体は、スペーサを安定化させるのに役立ち、従って、処置された関節のより良い使用性を確保する。
【0116】
金属製の芯体は、注型型内の所定の位置に保持ピンによって保持される。このようにして、金属製の芯体の周りの骨セメントジャケットの厚さが定められる。保持ピンは、好ましくは生体適合性のプラスチック材料から作製される。ポリメタクリル酸メチルがこれに特に好適である。ポリメタクリル酸メチルの保持ピンは、骨セメントペーストに不可逆的に結合する。骨セメントペーストの硬化後、スペーサから突出した保持ピンは、単に切断される。スペーサ内に位置する保持ピンの残留物は、スペーサの中に残る。
【0117】
また、好ましくは、型空洞の球面形状の内面が、未拡張の状態で、少なくとも35mm又は少なくとも40mm、好ましくは40mm~50mmの直径を有するように構成されてもよい。
【0118】
また、型空洞の球面形状の内面は、最大拡張状態において、最大で70mm、好ましくは60mm~70mmの直径を有するように構成することができる。
【0119】
さらには、未拡張の状態で、型空洞の球面形状の内面の直径が、拡張状態における型空洞の球面形状の内面の直径よりも小さいように構成することができる。
【0120】
最大拡張状態とは、従来の骨セメントカートリッジの助けを借りて、骨セメントペーストへの圧力を生じさせたときに達成可能な状態である。従来の骨セメントカートリッジは、例えば、Heraeus Medical GmbH(ヘレウス・メディカル)から入手可能なPalacos(登録商標)骨セメントカートリッジである。
【0121】
このようにして、股関節スペーサ分野で従来的であるようなヘッドを有するスペーサを製造することが可能である。ここで好ましいのは、最小サイズの場合であっても、型空洞が注型型内の骨セメントペーストに圧力をかけ、その圧力によって所望の形状が達成され、その圧力によって骨セメントペーストから巻き込まれた空気が少なくとも1つのベント要素を介して注型型から排出されることができるように、最小サイズの場合であっても、型空洞の拡張状態が必要であることである。このようにして、当該装置を用いて、46mm~65mmの範囲の従来のスペーサヘッドの直径を有する股関節スペーサを製造することがさらに可能である。スペーサヘッドの直径が40mm~50mmの肩関節スペーサも同様に製造することができる。
【0122】
さらに、型空洞が、少なくとも球面形状の内面の領域において、ゴム弾性材料、好ましくはゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、又はエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)からなるように構成されてもよい。
【0123】
エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)は、エチレン、プロピレン、及びより詳細には特定されないジエンのターポリマーである。
【0124】
これらの材料は、弾性変形を可能にするために、型空洞又は型空洞の球面形状の内面の領域に特に適している。型空洞を形成するための材料として、他のあらゆるゴム弾性の生体適合性プラスチック材料がさらに考慮されてもよい。
【0125】
また、少なくとも1つの充填開口部が、閉状態で骨セメントペーストが少なくとも1つの充填開口部を通って注型型から流出するのを防止する遮断要素を含むように構成されていてもよい。
【0126】
このようにして、硬化中に注型型内の骨セメントペーストの圧力を維持することができ、その結果、型空洞を拡張状態に保つことができ、その際、上記少なくとも1つの充填開口部は同時に遮断要素で閉じられる。その結果、固体スプルーの形成を防止することができる。
【0127】
さらに、ステム用型が、ステムをスペーサコネクタのヘッドに接続する、スペーサのネックの長さを変化させることができるように用いられる長さ可変のアダプタ要素を含み、このアダプタ要素は、好ましくは、ねじ接続によって長さを変化させることができるように構成されてもよい。
【0128】
その結果、スペーサのネックの長さを変化させて調整することができ、個々の治療状況に適合させることができる。
【0129】
また、当該装置が、型空洞を受け入れるのに適した複数の寸法的に安定した嵌合型を有し、この寸法的に安定した嵌合型は、型空洞がそれぞれの寸法的に安定した嵌合型に挿入されるとき、少なくとも球面形状の内面の領域において、型空洞の拡張が寸法的に安定した嵌合型によって異なる直径へと制限されるように、型空洞の異なる拡張度を可能にし、この寸法的に安定した嵌合型は、好ましくは、寸法的に安定した嵌合型として1つ又は複数の凹部を有する少なくとも1つのブリスターパック又はプラスチックシェルによって具現化されるように構成されてもよい。
【0130】
さらに、当該装置が、型空洞の球面形状の内面の現在の直径を測定するためのチェックゲージ又はノギスを有し、このチェックゲージ又はノギスは、型空洞の外側に置かれ又は配置されてもよく、型空洞の球面形状の内面の直径は、好ましくは直接読み取ることが可能であるように構成されてもよい。
【0131】
これらの手段により、装置の使用が簡単になる。使用者は、このようにして、スペーサのヘッドの所望の直径を決定又は調整することができる。寸法的に安定した嵌合型によって、使用者は、製造に関して、骨セメントペーストにかかる圧力に特に正確な注意を払う必要なく、所望の直径又は所望の形状を有するヘッドを有するスペーサを製造することができる。
【0132】
本発明の根底にある目的は、関節の関節面を含む関節又は関節の一部、特に股関節又は肩関節を一時的に置換するためのスペーサを製造する方法であって、この方法は上記の装置を用いて行われ、この方法は、以下の時系列的な
A)骨セメントペーストを少なくとも1つの充填開口部を介して注型型に注入すると同時に、骨セメントペーストの注入によって少なくとも1つのベント要素を介して注型型から空気を移動させる工程と、
B)骨セメントペーストを少なくとも1つの充填開口部を介して注型型にさらに注入する工程であって、骨セメントペーストの注入により、少なくとも球面形状の内面の領域において、型空洞が拡張され、一方で、ステム用型は寸法的に安定した状態を保つ工程と、
C)注型型内で骨セメントペーストを硬化させる工程と、
D)結果として成形され、硬化したスペーサを注型型から取り出す工程と
を備える方法によっても達成される。
【0133】
ここで、骨セメントペーストが、少なくとも1つのベント要素内の、骨セメントペーストに対して不透過性のフィルタ、特にガスに対して透過性であるが骨セメントペーストに対して不透過性の多孔質フィルタに衝突するまで、骨セメントペーストが、少なくとも1つのベント要素を介して、注型型から空気を排出するように構成されてもよい。
【0134】
当該方法は、医療治療に直接使用されるものではない。本発明に係る方法によって製造されたスペーサのみが、治療措置又は医療処置に使用されてもよい。スペーサの製造は、身体への介入を伴わない。
【0135】
上記スペーサは、医療用途を意図している。本発明に係る方法は、患者への埋め込みを含むものではなく、単にスペーサの形成を含むにすぎない。工程D)の後、スペーサは、バリを切り落とし、平滑化し、サンディングし、洗浄し、研磨し、及び/又は所々粗面化することができる。
【0136】
成形されて硬化したスペーサを工程D)で注型型から取り出すために、工程C)の後に注型型を開くことができる。
【0137】
工程A)の前に、骨セメントカートリッジが装置のポートに液密に接続され、このポートが、上記少なくとも1つの充填開口部に液体透過的に接続され、工程A)において、骨セメントペーストが、骨セメントカートリッジから注型型に押し出されるように構成されてもよい。
【0138】
このようにして、骨セメントカートリッジは、注型型への充填、及び空洞を骨セメントペーストで拡張するために注型型内の骨セメントペーストへの圧力を高めるために使用することができる。
【0139】
ここで、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の装置が弁と一緒に使用され、工程A)で骨セメントペーストが開位置にある弁を介して注型型内に注入され、工程B1):
B1)弁本体を弁座に対して回転させ、弁を閉位置に移動させて、弁座に対する弁本体の回転により、弁座の一部で閉じたヘッド側の少なくとも1つの第1の貫通部で骨セメントペーストを剪断する工程であって、その後、好ましくは、骨セメントカートリッジは、少なくとも1つの充填開口部に液体透過的に接続されたポートから取り外される工程
が工程B)の後で工程C)の前に進行するように構成されてもよい。
【0140】
その結果、弁が閉じられ、骨セメントカートリッジがもはや接続されていないときにも、骨セメントペーストによって型空洞にかけられる圧力を維持することができる。その結果、一方で、細くて容易に切断可能なスプルーが製造され、他方で、骨セメントペーストが注型型から逆流して、過度に小さい直径を有するスペーサのヘッドが得られることが防止される。
【0141】
さらに、工程B1)の後で工程C)の前に、以下の中間工程:
B2)新しい骨セメントカートリッジを上記装置のポートに液密に接続する工程であって、骨セメントペースト又は骨セメントペーストを製造するための出発成分がその新しい骨セメントカートリッジ内に存在する工程、
B3)弁本体を弁座に対して回転させて、弁を開位置に移動させる工程、
B4)骨セメントペーストを、新しい骨セメントカートリッジから開位置にある弁を通って注型型に注入する工程、
B5)弁本体を弁座に対して回転させ、弁を閉位置に移動させ、弁座に対する弁本体の回転によって、弁座の一部で閉じたヘッド側の少なくとも1つの第1の貫通部で骨セメントペーストを剪断する工程、及び
B6)新しい骨セメントカートリッジをポートから取り外す工程
が進行するように構成されてもよく、
工程B2)~B6)は、好ましくは、注型型が骨セメントペーストで完全に充填されるまで、さらには、骨セメントペーストの助けを借りて、少なくとも球面形状の内面の領域において型空洞が所望のサイズまで拡張されるまで、いずれの場合も骨セメントペースト又はその出発成分を含む新しい骨セメントカートリッジを用いて、1回又は複数回繰り返される。
【0142】
このようにして、大きな容積を有する注型型が、小体積の骨セメントペーストを含む複数の骨セメントカートリッジを用いて充填されてもよい。これは、例えば、大容量の股関節スペーサを製造するために有利である。
【0143】
骨セメントペーストが、工程A)の前に、好ましくは骨セメントカートリッジの接続の前に、モノマー液体及びセメント粉末から骨セメントカートリッジ内で混合され、任意に、工程B3)の前に、好ましくは工程B2)の前に、この骨セメントペーストが、好ましくはモノマー液体及びセメント粉末から新しい骨セメントカートリッジ内で混合されるように構成されてもよい。
【0144】
このようにして、混合されたばかりの骨セメントペーストをスペーサの製造に使用することができる。特にPMMA骨セメントペーストは、混合状態であればほとんど問題なく数分以上の期間保存することができる。加えて、それに応じて、抗生物質や抗真菌剤等の適切な治療用医薬活性物質は、スペーサを製造する直前にのみ、骨セメントペーストに混合されてもよい。
【0145】
また、骨セメントカートリッジ及び/若しくは新しい骨セメントカートリッジをポートに液密に接続するために、骨セメントカートリッジ及び/若しくは新しい骨セメントカートリッジがポートに回転されるか、又はポートに螺合され、骨セメントカートリッジ及び/若しくは新しい骨セメントカートリッジをポートから取り外すために、骨セメントカートリッジ若しくは新しい骨セメントカートリッジがポートから回転されるか、又はポートから螺合解除されるように構成されていてもよい。
【0146】
骨セメントカートリッジは、螺合で固定されることに加えて、例えば、バヨネット閉鎖器でポートに接続されていてもよい。
【0147】
骨セメントカートリッジをポートに回転又は螺合することにより、ポートと骨セメントカートリッジとの間に液密な接続を提供することができる。加えて、この回転は、弁本体も弁座に対して回転させるか、又はその回転を引き起こしてもよい。
【0148】
さらに、弁本体を弁座に対して回転させることは、弁本体を弁座に螺合することによって、又は弁本体を弁座に対して手動で回転させることによって進行し、手動回転は、好ましくは、弁本体から半径方向に離れて延在し、注型型内又は弁座内のオリフィスを通って延在するレバーの操作によって進行するように構成されてもよい。
【0149】
その結果、弁は使用者によって簡単に操作可能である。
【0150】
さらに、骨セメントカートリッジ又は新しい骨セメントカートリッジからの骨セメントペーストの注入が、ピストンを骨セメントカートリッジの内部に押し込むことによって進行するように構成されていてもよい。
【0151】
このようにして、骨セメントペーストは、骨セメントカートリッジから、開放弁を通って注型型に直接注入することができる。
【0152】
また、工程A)の前に、好ましくは骨セメントカートリッジを接続する前に、金属製の芯体が注型型内に配置され、この金属製の芯体は、好ましくは、複数の保持ピンを介してステム用型の内壁から間隔をあけて配置され、この複数の保持ピンは、特に好ましくは、金属製の芯体内の穴に、及びステム用型の内壁にある保持ピンを受けるための空洞に固定されるように構成されてもよい。
【0153】
このようにして、当該装置の助けを借りて、スペーサは内部補強材を伴って構成されてもよい。この場合の骨セメントペーストは、注型型内に配置された金属製の芯体の周りを流れる。
【0154】
好ましくは、さらに、注型型の型空洞が、複数の寸法的に安定した嵌合型のうちの1つで使用され、この寸法的に安定した嵌合型は、少なくとも球面形状の内面の領域において、型空洞を拡張するために骨セメントペーストが注型型に押し込まれる間、型空洞の拡張が、使用される寸法的に安定した嵌合型によって特定の直径に制限されるように、型空洞の異なる拡張度を可能にするように構成されてもよい。
【0155】
さらに、型空洞の球面形状の内面の現在の直径を測定するためのチェックゲージ又はノギスが使用されて、型空洞の球面形状の内面の現在の直径が読み取られ、注型型への骨セメントペーストの注入は、好ましくは、所望の直径に達した時点で停止されるように構成されてもよい。
【0156】
これらの手段は、当該方法の適用を単純化する。使用者は、このようにして、スペーサのヘッドの所望の直径を決定又は調整することができる。寸法的に安定した嵌合型によって、使用者は、製造に関して、骨セメントペーストにかかる圧力に特に正確な注意を払うことなく、所望の直径又は所望の形状を有するヘッドを有するスペーサを製造することができる。
【0157】
本発明は、拡張可能な型空洞によって、スペーサを製造するための可変ヘッドサイズの注型型を提供することが可能であり、異なるヘッド、特に異なる直径を有するヘッドを有するスペーサをその注型型を用いて製造することができるという驚くべき認識に基づいている。ここでは、直径を連続的に調整してもよい。スペーサのヘッドの直径は、注入された骨セメントペーストによって(特に手動で)付与された圧力によって調整することができる。この装置は、結果的に、特にシンプルで直感的に使用することができる。
【0158】
本発明の1つの特別な利点は、ヘッド領域の注型型を拡張することにより、股関節又は肩関節のスペーサの注型型で異なるヘッド直径を有するスペーサを製造することが可能であり、スペーサステム用のステム注型型に面倒な方法で接続しなければならない所望のヘッド直径ごとに別々のヘッド注型型を必要としないことである。スペーサのヘッド直径は、ポリメタクリル酸メチル製の骨セメントを注入することにより、使用者が連続的に調整することができる。つまり、1つの注型型で、解剖学的に可能なすべてのヘッド直径を持つ股関節及び肩関節のスペーサを製造することができるということである。従来のスペーサ注型型では、通常、少なくとも4種類のヘッドサイズが存在する。これらを1つの注型型で置き換えることができる。その結果、製造コストや物流コストが大幅に削減される。
【0159】
弁付きの装置ではさらなる利点が得られる。骨セメントペースト、特に高粘度でない骨セメントペーストが、クロージャー弁又は閉鎖弁を通して注型型から流出することができない。結果として、型空洞が収縮して、その結果スペーサヘッドの直径が小さくなることが防止される。骨セメントが流出した結果としてスペーサに欠陥が形成されることも同様に防止される。さらに、本発明に係る手段により、骨セメントカートリッジ内に残った骨セメントペーストの残留物が、注型型内の骨セメントペーストから確実に分離される。それゆえ、骨セメントペーストの硬化が完了すると、例えば鋸で切断するなどして機械的にスプルーを分離する必要はもはやない。残っている細い接合部があっても、それは、簡単に破断又は切断することができる。これにより、OP担当者の時間と労力が節約される。
【0160】
スペーサのスプルーは、弁座と弁本体との少なくとも1つの充填開口部によって形成される。弁の開位置から弁の閉位置へと弁本体を弁座に対して回転させると、注型型は骨セメントペーストに対して不透過的に閉鎖される。これは、弁座と弁本体と、すなわちスプルー形成部分によって形成されたスプルーが同時に弁として機能するということを意味する。複雑な追加の弁は必要ない。
【0161】
弁本体は、弁本体の外側に設けられたレバーによって、弁座に対して手動で回転させてもよい。また、回転は、有利には、骨セメントカートリッジが螺合解除されるときに、弁本体が骨セメントカートリッジによって共回転されることによって進行してもよい。しかしながら、ここでは、閉鎖が信頼性の高いものになるように、及び弁本体を弁座から完全に螺合解除させることはできないように、限界停止が、弁座に対する弁本体の回転運動を制限することが必要である。
【0162】
当該装置を用いて製造されたスペーサは、有利には、2種以上の微生物による感染、特に問題のある微生物による感染が存在する二期的感染部位再置換に関して使用されてもよい。
【0163】
本発明に係る例示的な装置は、
a)スペーサのステム及びネックを再現する、寸法的に安定した中空のステム用型と、
b)ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを注入するための(少なくとも1つの充填開口部としての)ポートと、
c)注型型の寸法的に安定した中空のステム用型に接続されているか、又は接続可能な、ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞と、
d)寸法的に安定した中空のステム用型及びゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の内部を周囲の雰囲気に接続する少なくとも1つのベント要素であって、この少なくとも1つのベント要素は、ガスに対して透過性であり、ペースト状のポリメタクリル酸メチル骨セメントに対して不透過性である、ベント要素と、
から構成されてもよく、
e)ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の直径が、ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の拡張に伴って、注型型内に注入されたポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストの体積によって連続的に拡大されるか又は拡大可能である。
【0164】
また、本発明による装置又はその装置の例示的な注型型は、スペーサのネックを成形するための互いに対して移動可能な中空円筒を有していてもよく、このネックはスペーサのヘッドとステムとを一緒に接続し、ネックの長さ、従ってスペーサのヘッドとステムとの間の距離は、互いに対して移動可能な2つの中空円筒を相対的に位置決めすることによって調整可能である。
【0165】
このような装置は、例えば
a)スペーサのステム及びネックを再現する、寸法的に安定した中空のステム用型であって、ネックはステム用型の第1の中空円筒によって成形可能であり、第1の中空円筒は内ねじ部を有するステム用型と、
b)寸法的に安定した中空のステム用型上にあるポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを注入するための(少なくとも1つの充填開口部としての)ポートと、
c)寸法的に安定した環状支持体に接続されているゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞であって、対向する下側に第2の中空円筒が配置されており、この中空円筒は、ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞に液体透過的に接続されており、第2の中空円筒は外ねじ部を有するゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞と
を有してもよく、
d)第2の中空円筒は、第1の中空円筒に螺合されているか、又は螺合可能であり、それによって、ステム用型の長手方向軸からの中空のゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の距離を変化させることができ、かつ
e)ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の直径は、拡張に伴って、注型型に注入されるポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストの体積によって連続的に拡大することができる。
【0166】
本発明に係る装置を用いてスペーサを製造するための本発明に係る例示的な方法は、以下の連続した工程:
a)注型型を準備する工程と、
b)骨セメントペーストが形成されるまで骨セメントカートリッジ内で骨セメント粉末をモノマー液体と混合する工程と、
c)骨セメントカートリッジを上記ポートに接続する工程、
d)同時に空気を注型型から周囲の雰囲気へと移動させながら、ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを注入する工程と、
e)所望の直径に達するまで、ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の拡張に伴って、ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストをさらに注入する工程と、
f)ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを硬化させる工程と、
g)スペーサを注型型から取り出す工程と
を備えてもよい。
【0167】
本発明に係る装置を用いてスペーサを製造するための本発明に係る代替的な例示的な方法は、以下の連続した工程:
a)骨セメントペーストが形成されるまで骨セメントカートリッジ内で骨セメント粉末をモノマー液体と混合する工程と、
b)骨セメントカートリッジを上記ポートに接続する工程と、
c)ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞とステム用型の長手方向軸との間の所望の距離が確立されるまで、注型型の第2の中空円筒を注型型の第1の中空円筒に螺合する工程と、
d)同時に空気を注型型から周囲の雰囲気へと移動させながら、ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを注入する工程、
e)所望の直径に達するまで、ゴム弾性のある少なくとも半球状の型空洞の拡張と共に、ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストをさらに注入する工程と、
f)ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを硬化させる工程と、
g)スペーサを注型型から取り出す工程と
を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0168】
本発明のさらなる例示的な実施形態を、28個の模式的な図を参照して以下で説明するが、それによって本発明を限定することはない。
【0169】
【
図1】
図1は、股関節スペーサを製造するための本発明に係る第1の例示的な装置の模式的斜視断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に係る本発明に係る第1の装置の模式的斜視外観図を示す。
【
図3】
図3は、弁が開いた状態の、
図1及び
図2に係る本発明に係る第1の装置の模式的斜視断面図を示す。
【
図4】
図4は、弁を閉じた状態の、
図1~
図3に係る本発明に係る第1の装置の模式的斜視断面図を示す。
【
図5】
図5は、装置の注型型への骨セメントペーストの充填に先立って、弁が開いた状態の、本発明に係る第1の装置の模式的断面図を示す。
【
図6】
図6は、注型型への骨セメントペーストの充填中の本発明に係る第1の装置の模式的断面図を示す。
【
図7】
図7は、注型型内に骨セメントペーストが充填された状態の本発明に係る第1の装置の模式的断面図を示す。
【
図8】
図8は、弁を閉じた状態の、注型型内に骨セメントペーストが充填された状態の本発明に係る第1の装置の模式的断面図を示す。
【
図9】
図9は、注型型から骨セメントカートリッジ及びアダプタ要素を取り除いた後の、未拡張の型空洞を有する、弁を閉じた状態の本発明に係る第1の装置の模式的断面図を示す。
【
図10】
図10は、弁が閉じられ、骨セメントカートリッジが型空洞から取り外された状態の、本発明に係る第1の装置の模式的断面図を示す。
【
図11】
図11は、2分割のステム用型が開かれた、肩関節スペーサを製造するための本発明に係る第2の例示的な装置の模式的斜視断面図を示す。
【
図13】
図13は、伸長されたアダプタ要素を有する
図11及び
図12に係る本発明に係る第2の装置の模式的斜視断面図を示す。
【
図14】
図14は、2分割のステム用型が開かれ、アダプタ要素が伸長された、
図13に係る本発明に係る第2の装置の模式的斜視図を示す。
【
図16】
図16は、骨セメントカートリッジからの骨セメントペーストが充填された、本発明に係る第2の装置の模式的断面図を示す。
【
図17】
図17は、骨セメントカートリッジ及びアダプタ要素を注型型から取り外した後の弁を閉じた状態の、本発明に係る第2の装置の模式的断面図を示す。
【
図18】
図18は、アダプタ要素が伸長され、拡張された型空洞寸法が破線で示されている、
図11~
図17に係る本発明に係る閉じられた第2の装置の模式的斜視外観図を示す。
【
図19】
図19は、型空洞が拡張され、アダプタ要素が伸長された本発明に係る第2の装置の模式的斜視断面図を示す。
【
図21】
図21は、
図11~
図19に係る本発明に係る第2の装置を用いて製造された、伸長されたネックを有するスペーサの斜視図を示す。
【
図22】
図22は、開状態にある本発明に係る装置のための弁の模式的斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0170】
図1~
図10は、股関節用スペーサを製造するための本発明に係る装置の第1の例示的な実施形態及びその部品の様々な観点を示す図面である。
【0171】
本発明に係る第1の装置は、股関節用のスペーサを製造するのに適しており、そのために提供される。この装置は、注型型1を含む。注型型1は、複数の部分、特に3つの部分で構成されていてもよい。
図1及び
図3~
図11は、装置の内部構造が見えるように、注型型1を開いた状態又は断面で示す。注型型1は、スペーサのヘッドを成形するための近位側の型空洞32と、スペーサのステムを成形するための遠位側のステム用型34とを有していてもよい。型空洞32の成形部品は1つの部分であってもよく、ステム用型34の成形部品は2つの部分であってもよい(
図2参照)。
図2は、注型型1の全ての部品を示す。型空洞32は、半球状の球面形状の内面を有していてもよい。型空洞32の球面形状の内面は、スペーサのヘッドの摺動面を形成するためのネガ型として機能する。本発明によれば、型空洞32の球面形状の内面によって成形される異なる半径を有する摺動面や異なる直径を有するスペーサジョイントヘッド(スペーサのヘッド)の製造を可能にするために、型空洞32は拡張可能である。
【0172】
骨セメントペースト50を導入するための充填開口部2が注型型1の片側に形成されてもよく、この充填開口部は、ステム用型34の両方の部分において、半円筒状の開口部によってそれぞれ画定されていてもよい。この充填開口部2は、ステム用型34の一部として具現化されてもよい弁座3を形成してもよい。弁座3は、注型型1に強固に接続されていてもよい。骨セメントペースト50を注型型1に注入することにより、型空洞32、ひいては型空洞の球面形状の内面を連続的に拡張することができる。当該装置を用いて製造されるスペーサのヘッドの直径は、結果的に、可変的に調整されてもよい。
【0173】
弁座3は、2つの第1の貫通部5以外では充填開口部2の方向に向けられたヘッド側4で閉じた中空円筒の形態をとってもよい。2つの第1の貫通部5は、四分円形状であってもよく、好ましくは、弁座3の円筒軸に関して互いに対して180°回転又はオフセットして配置されてもよい。弁本体6は、弁座3に対して軸周りに(軸方向に)回転可能であるように弁座3の内部に配置されてもよい。弁本体6は、弁座3のヘッド側4の方向に向けられたシール面7又は表面を有してもよい。弁本体6は、段付き中空円筒として構成されてもよく、その中空円筒の前部は、弁座3内に螺合されるか、又は入れられることが可能である。
【0174】
シール面7には、2つの第2の貫通部8が配置されていてもよい。この2つの第2の貫通部8は、第1の貫通部5と同様に、四分円形状であってもよく、好ましくは、弁本体6の円筒軸に関して互いに対して180°回転して配置されてもよい。弁座3と弁本体6は一緒になって当該装置の弁を形成する。骨セメントカートリッジ10の液密接続のためのアダプタ要素9が、弁本体6に螺合されてもよいし、すでに螺号されていてもよい(
図1及び
図3~
図8を参照)。骨セメントカートリッジ10及びアダプタ要素9は、本発明に係る装置の一部であってもよい。弁本体6は、シール面7から離れたその開放側に、アダプタ要素9を接続するためのポート11として形成されていてもよい。
【0175】
骨セメントカートリッジ10は、その前面側に、骨セメントカートリッジ10から骨セメントペースト50を送達するための送達開口部12を有する送達チューブ37を有していてもよい。送達開口部12は、アダプタ要素9内に送達チューブ37と共に配置され、送達チューブ37によって画定されてもよい。アダプタ要素9は、送達開口部12以外では、任意に真空ポート44以外では、骨セメントカートリッジ10をその前面側で閉じてもよい。シールは、送達チューブ37に対してシールする、ゴムのOリングの形態のシール13をアダプタ要素9に配置することによって提供されてもよい。骨セメントペースト50を骨セメントカートリッジ10の内部で混合することができるために用いられる、複数の混合ブレードを有するミキサー36は、骨セメントカートリッジ10が弁に接続される前に、骨セメントカートリッジ10の内部を指す送達チューブ37の端部に固定されてもよい。送達チューブ37は、この目的のために、アダプタ要素9に軸方向に直線的かつ回転可能に移動できるように装着されてもよい。
【0176】
型空洞32は、ゴム弾性のあるプラスチック材料で構成されていてもよい。その結果、
図9及び
図10に見られるように、型空洞32は、骨セメントペースト50の助けを借りて拡張することができる。ここで、
図9は、未拡張の型空洞32を示し、
図10は、拡張された型空洞32を示す。型空洞32の壁の厚さは均一であり、骨セメントペースト50を介して型空洞32の内部に圧力が作用したときに、型空洞32が均一に拡張するようになっている。
【0177】
ステム用型34は、プラスチックフィルムから安価に作製されてもよく、寸法的に安定しており、そのため、型空洞32とは対照的に、注型型1の内部で骨セメントペースト50によって及ぼされる圧力によって拡張することができないか、又は実質的に拡張することができないようになっている。プラスチックフィルムは、複数の層を有していてもよい。ステム用型34の2つの部分は、フランジ14を介して同一平面上に固定されていてもよい。型空洞32とステム用型34も同様に、ステム用型34のフランジ35と型空洞32の環状ディスク23を介して同一平面上に接続されていてもよい。フランジ14、35及び環状ディスク23を介して注型型1の各部分を接続することで、注型型1を外部に対して閉じてもよい。環状ディスク23は、分割された環状マウント21を介してフランジ35に螺合されていてもよい。この目的のために、ねじ25は、ねじ25と一致する内ねじ部を有する接続部品27に螺合されてもよい。ステム用型34の2つの部分も同様に、ねじ31で一緒に固定されてもよく、このねじ31は、ねじ31と一致する内ねじ部を有する接続部品33に螺合される。ステム用型34の2つの部分の相対的な位置決めと、ステム用型34上の型空洞32の位置決めを簡単にするために、対向するフランジ14又はフランジ35の凹部39に入れることができるピン29を設けてもよい。環状ディスク23は、型空洞32とステム用型34との接続をシールリングの要領でシールする。
【0178】
それぞれ少なくとも1つの通気口19を有する少なくとも1つのベント要素15が、注型型1に配置されてもよい。少なくとも1つのベント要素15は、注型型1の内部から空気を排出することができるように、型空洞32に配置されてもよい。骨セメントペースト50が充填開口部2を介して注型型1に充填されるときに、空気やガスは、閉じられた注型型1の内部から通気口19を介して逃げることができる。ベント要素15には、ガスに対しては透過性であるが、骨セメントペースト50に対しては不透過性の多孔質フィルタ17を配置することができる。このようにして、骨セメントペースト50は、注型型1の充填中に通気口19を通って逃げることができることが妨げられ、その結果、一方ではスペーサのヘッドの形状が損なわれることが妨げられ、他方では、型空洞32からの骨セメントペースト50の流出によって型空洞32内の骨セメントペースト50の圧力が低下することが起こりうることが妨げられる。これにより、骨セメントペースト50が注型型1内で硬化を開始する間、型空洞32が所望の拡張状態に留まることが確実になる。通気口19の自由断面積は、骨セメントペースト50がその粘性のある粘稠度に起因して通気口19を通って流出できないほど小さくても十分でありうる。
【0179】
注型型1の内部には、金属製の芯体16が配置されていてもよい。金属製の芯体16は、外科用鋼又はチタンから構成されていてもよい。あるいは、理論的には、金属製の芯体16をPMMA等のプラスチック材料から作製することも可能であろう。金属製の芯体16は、保持ピン18を介してステム用型34に接続されてもよい。金属製の芯体16は、骨セメントペースト50が金属製の芯体16のすぐ周りを流れることができるように、保持ピン18の助けを借りて注型型1の内壁から間隔を置いてもよい。金属製の芯体16は、スペーサの安定化をもたらす。保持ピン18は、PMMAから構成されてもよい。これは、PMMAの骨セメントペースト50と不可逆的に結合することができる。
【0180】
弁座3は、その内側に内ねじ部20を有していてもよい。シール面7に面する弁本体6の前半分に、弁本体6は、その外側に弁座3の内ねじ部20と一致する外ねじ部22を有してもよい。弁本体6は、その外ねじ部22によって弁座3の内ねじ部20に螺合されてもよい。
【0181】
第1の貫通部5及び第2の貫通部8は、限界停止に達するまで弁本体6を弁座3に螺合することにより、互いに重なり合うようにしてもよい。これにより、弁は開状態となる。この開状態では、骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10から第1の貫通部5及び第2の貫通部8を通って注型型1内に流入してもよい。弁本体6を弁座3に対して4分の1回転(90°だけ)させることによって、すなわち弁本体6を弁座3から螺合を緩めることによって、弁本体6のシール面7が弁座3の第1の貫通部5を覆い、弁座3のヘッド側4の閉領域が弁本体6の第2の貫通部8を覆うように、第1の貫通部5と第2の貫通部8とを互いに対してオフセットさせてもよい。これにより、弁は閉状態となる。1/4回転時の弁座3に対する弁本体6のストロークが小さいため、弁本体6と弁座3との間に生じる間隙は非常に狭く(1mm未満の幅)、高粘度のものは言うまでもなく、通常の粘度の骨セメントペースト50でもその間隙を通過することができない。これは特に、骨セメントペースト50がその間隙内でその実際の流れの方向から90°偏向しているためである。
【0182】
弁本体6の逆側には、ポート11内に内ねじ部24が配置されていてもよい。アダプタ要素9は、その前面側に、内ねじ部24と一致する外ねじ部26を有する。従って、アダプタ要素9は、弁本体6のポート11に螺合されてもよい。このようにして、骨セメントカートリッジ10と弁本体6との間、ひいては注型型1内への液密接続を形成することができる。弁座3の内ねじ部20、弁本体6の外ねじ部22、弁本体6の内ねじ部24、及びアダプタ要素9の外ねじ部26は、すべて同じ回転方向を有していてもよく、すなわち、これらのねじ部はすべて右ねじ部又は左ねじ部である。その結果、アダプタ要素9をポート11に螺合し、アダプタ要素9を同じ方向に回転させ続けることにより、弁を開くことができる。同時に、弁本体6は、弁座3に対してシールも提供する。
【0183】
アダプタ要素9は、アダプタ要素9上のラッチ手段28を介して、骨セメントカートリッジ10の円筒壁上の嵌合ラッチ30に接続されてもよいし、接続されていてもよい。骨セメントカートリッジ10の円筒壁をアダプタ要素9に対してシールする周方向シール48が、シールのために設けられていてもよい。
【0184】
注型型1は、スペーサの関節ヘッド(ヘッド)を形成するための型空洞32と、スペーサのステムを形成するためのステム用型34とを含んでもよい。さらに、注型型1の充填開口部2の領域には、弁本体6のレバー38のオリフィスが配置されていてもよい。レバー38は、弁本体6に接続されていてもよい。弁本体6は、レバー38によって弁座3内で回転可能である。オリフィスは、好ましくは、弁本体6が弁座3に対して最大で4分の1回転だけ回転可能であるように十分に正確に大きい。その結果、レバー38の助けを借りて、弁は開状態から閉状態へ、又は閉状態から開状態へと外部から手動で移動させることができる。
【0185】
フランジ14の領域では、ステム用型34内に空洞用の形状40が配置されてもよく、その形状40の中に保持ピン18が配置されてもよい。
【0186】
骨セメントペースト50が混合される骨セメントカートリッジ10の内部を真空(減圧)にすることができる真空(減圧)ポート44がアダプタ要素9に配置されてもよい。その結果、骨セメントペースト50を真空下で混合することができる。
【0187】
骨セメントカートリッジ10の円筒状内部には、骨セメントペースト50を骨セメントカートリッジ10から弁を介して注型型1内に排出するためのピストン46が配置されていてもよい。ピストン46は、この目的のために、外側に円筒状に形成されていてもよく、2つの周方向シール47を介して円筒状内部に対してシールされていてもよい。ピストン46を前進させることにより、骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10の送達開口部12から開放弁内に、又は開放弁を介して押し出されることが可能である。
【0188】
多孔質ディスク52がアダプタ要素9内に配置されてもよい。多孔質ディスク52は、骨セメントペースト50及びその出発成分に対して不透過性である。真空ポート44は、多孔質ディスク52によって覆われていてもよい。これにより、骨セメントペースト50の出発成分としての任意の骨セメント粉末が真空ポート44内に侵入することができることを防ぐことができる。
【0189】
本発明に係る方法の過程は、本発明に係る第1の装置を参照して、
図4~
図10に示されている。まず、金属製の芯体16がステム用型34内に保持ピン18を用いて位置決めされてもよい。この目的のために、保持ピン18は、一端が形状40によって形成された空洞内でステム用型34の2つの部分の間に配置されて保持され、他端が金属製の芯体16の一致する穴内に配置されていてもよい。ステム用型34の2つの部分を一緒に固定するためには、まず、ステム用型34の2つの部分のフランジ14をピン29を介して凹部39に位置決めし、次に、ステム用型34の2つの部分をねじ31の助けを借りて螺合することができる。その後、型空洞32をステム用型34に固定することで、注型型1が閉じられてもよい。この目的のために、環状ディスク23をフランジ35の上に置いてもよい。次に、マウント21の2つのハーフリングを環状ディスク23上に置き、ピン29及び凹部39を介して位置決めすることができる。その後、ねじ25を締め付けることにより、型空洞32をステム用型34に固定することができ、環状ディスク23はその接続をシールする。その後、注型型1は、金属製の芯体16が中にある状態で閉じられ、スペーサを成形するために提供されることが可能である。
【0190】
骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10内で真空下で混合することができる。次いで、骨セメントカートリッジ10は、アダプタ要素9を用いて弁本体6のポート11に螺合することができる。アダプタ要素9を螺合する際に、限界停止に達するまで弁本体6を弁座3に螺合することにより、弁を開位置に移動させることができる。
図1及び
図5はこの状況を示す。
【0191】
次に、ピストン46を前進させることにより、骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10から、弁を通って、重なり合う第1の貫通部5及び第2の貫通部8を通って注型型1内に押し出される。
図6はこの状況を示す。単一の骨セメントカートリッジ10からの骨セメントペースト50の体積が注型型1を完全に充填するのに十分でない場合には、レバー38を手動で操作して弁を閉じ、従って弁本体6を弁座3に対して4分の1回転させることにより、間隔をおいて新しい骨セメントカートリッジ10を取り付けることができる。第1の通路5と第2の通路8は弁の閉位置では覆われており、その間の間隙は粘性のある骨セメントペースト50が流れることができるのに十分ではないので、注型型1内に収容された骨セメントペースト50は再び流出することができない。同時に、型空洞32の内部では、骨セメントペースト50からの圧力は、閉じた弁によって維持される。
【0192】
ある時点で、注型型1は骨セメントペースト50で満たされる。
図7はこの状況を示す。空気又はガスは、ベント要素15を介して、又は型空洞32の通気口19を介して、注型型1から逃げることができる。型空洞32は、骨セメントペースト50のさらなる注入により、所望のサイズに拡張することができる(
図9と比較して
図10を参照)。半径方向の拡張は、型空洞32の現在の直径を測定するためのチェックゲージ又はノギス(図示せず)の助けを借りて決定することができる。型空洞32の壁の厚さは既知であるので、型空洞32の球面形状の内面の現在の直径も決定可能である。代替的又は追加的に、既知の明確な直径を有する寸法的に安定した嵌合型(図示せず)を提供し、その中に型空洞32を配置して、型空洞32が嵌合型に当たるまでしか拡張できないようにしてもよい。このようにして、当該装置を用いて製造されるスペーサのヘッドの所望の直径を簡単に確立することができる。型空洞32の球面形状の内面の所望の半径方向の拡張に達したら、弁を閉じることができる。
【0193】
レバー38を用いて弁を閉じることにより、骨セメントペースト50は剪断されるか、又は切断される。
図4及び
図8はこの状況を示す。骨セメントカートリッジ10は、螺合解除して取り外すことができる。残っている細い接続部は、簡単に引き裂かれるか、又は破断される。この状況は
図9及び
図10に示されている。
【0194】
この状態で、骨セメントペースト50を注型型1内で硬化させることができる。ここでのスペーサのヘッドのサイズ又は直径は、拡張した型空洞32の球面形状の内面の直径と一致する。スペーサの摺動面の凹凸を回避するために、本発明によれば、最小の直径を有するヘッドを有するスペーサを製造する場合でも、骨セメントペースト50が硬化する間、骨セメントペースト50が注型型1内で圧力を受けているように、型空洞32が既にわずかに拡張されていることが好ましい。
【0195】
次いで、このようにして形成されたスペーサは注型型1から取り出される。突起状の保持ピン18は切断されてもよい。弁座3及び第1の通路5に起因するスプルーがあれば、それも同様に切断されて除去されてもよい。通気口19に起因する点(尖)又は凹凸もまた、除去することができる。スペーサの表面は、研磨され、及び/又は例えば抗生物質でコーティングされてもよい。
【0196】
股関節スペーサを成形するための注型型1の代わりに、異なるスペーサを成形するための注型型を使用することも容易に可能である。
【0197】
図12~
図19は、肩関節用スペーサを製造するための本発明に係る装置の第2の例示的な実施形態及びその部品の様々な観点を示す図面である。
図20及び
図21は、本発明に係る方法の結果としてこのような本発明に係る第2の装置を使用して製造された肩関節スペーサし、その方法の工程は、
図14~
図21に時系列で示されている。
【0198】
本発明に係る第2の装置は、肩関節用スペーサ120、130(
図20及び
図21を参照)を製造するために適しており、そのために提供される。この装置は、注型型61を含む。注型型61は、複数の部分、特に4つの部分で構成されていてもよい。
図12~
図14及び
図16~
図19は、装置の内部構造が見えるように、注型型61を開いた状態又は断面で示す。注型型61は、スペーサのヘッドを成形するための近位側の型空洞92と、スペーサのステムを成形するための遠位側のステム用型94とを有していてもよい。型空洞92の成形部品は1つの部分であってもよく、ステム用型94の成形部品は2つの部分であってもよい(
図15参照)。
図15は、注型型61の全ての部品を示す。型空洞92は、半球状の球面形状の内面を有していてもよい。型空洞92の球面形状の内面は、スペーサのヘッドの摺動面を形成するためのネガ型として機能する。本発明によれば、型空洞92の球面形状の内面によって成形される異なる半径を有する摺動面や異なる直径を有するスペーサのジョイントヘッド(スペーサのヘッド)の製造を可能にするために、型空洞92は拡張可能である。
【0199】
本発明に係る第1の装置とは対照的に、注型型61は、内ねじ部103を有するアダプタ要素102を追加的に有する。アダプタ要素102は、その内ねじ部103で、一致する外ねじ部107を有する中空円筒105に螺合することができる。接続部品105は、ステム用型94の2つの部分によって成形することができる。アダプタ要素102は、型空洞92をステム用型94から可変的に離間させることができる。アダプタ要素102と中空円筒105の内部形状とは、本発明に係る第2の装置を用いて製造されるスペーサ120、130のネックを成形する。スペーサのネックの長さは、アダプタ要素102を中空円筒105に対して螺合することによって変更することができる(
図20及び
図21参照)。スペーサのネックの長さを調整するための中空円筒105を備えたこのようなアダプタ要素102は、原理上、本発明に係る第1の装置においても使用することができる。
【0200】
骨セメントペースト50を導入するための充填開口部62が注型型61の片側に形成されていてもよく、この充填開口部は、ステム用型94の両部分において、半円筒状の開口部によってそれぞれ画定されていてもよい。この充填開口部62は、ステム用型94の一部として具体化されてもよい弁座63を形成してもよい。弁座63は、注型型61にしっかりと接続されていてもよい。型空洞92、従って型空洞の球面形状の内面は、骨セメントペースト50を注型型61に注入することにより、連続的に拡張することができる。その結果として、当該装置を用いて製造されるスペーサのヘッドの直径は、可変的に調整されてもよい。
【0201】
弁座63は、2つの第1の貫通部65以外では充填開口部62の方向に向けられたヘッド側64で閉じた中空円筒の形態をとってもよい。2つの第1貫通部65は、四分円形状であってもよく、好ましくは、弁座63の円筒軸に関して互いに対して180°回転して配置されてもよい。弁本体66は、弁座63に対して軸周りに回転可能であるように、弁座63の内部に配置されてもよい。弁本体66は、弁座63のヘッド側64の方向に向けられたシール面67又は表面を有していてもよい。弁本体66は、段付き中空円筒として構成されていてもよく、その中空円筒の前部は、弁座63内に螺合されるか、又は入れられることが可能である。
【0202】
シール面67には、2つの第2の貫通部68が配置されていてもよい。2つの第2の貫通部68は、第1の貫通部65と同様に、四分円形状であってもよく、好ましくは、弁本体66の円筒軸に関して互いに対して180°回転又はオフセットして配置されてもよい。弁座63と弁本体66は一緒になって当該装置の弁を形成する。骨セメントカートリッジ10の液密接続のためのアダプタ要素69が、弁本体66に螺合されてもよい(
図16参照)。骨セメントカートリッジ10及びアダプタ要素69は、本発明に係る装置の一部であってもよい。弁本体66は、シール面67から離れたその開放側に、アダプタ要素69を接続するためのポート71として形成されていてもよい。注型型61に骨セメントペースト50を充填するために、上記の第1の例示的な実施形態で記載されたものと同じ骨セメントカートリッジ10が使用されてもよい。それゆえ、両方の実施形態について、同じ参照符号が使用される。
【0203】
骨セメントカートリッジ10は、その前面側に、骨セメントカートリッジ10から骨セメントペースト50を送達するための送達開口部12を有する送達チューブ37を有していてもよい。送達開口部12は、アダプタ要素9内に送達チューブ37と共に配置され、送達チューブ37によって画定されてもよい。アダプタ要素9は、送達開口部12以外では、任意に真空ポート104以外では、骨セメントカートリッジ10をその前面側で閉じていてもよい。シールは、送達チューブ37に対してシールする、ゴムのOリングの形態のシール73をアダプタ要素9に配置することによって提供されてもよい。骨セメントペースト50を骨セメントカートリッジ10の内部で混合することができるために用いられる、複数の混合ブレードを有するミキサー36は、骨セメントカートリッジ10が弁に接続される前に、骨セメントカートリッジ10の内部を指す送達チューブ37の端部に固定されてもよい。送達チューブ37は、この目的のために、アダプタ要素9に軸方向に直線的かつ回転可能に移動できるように装着されてもよい。
【0204】
型空洞92は、ゴム弾性のあるプラスチック材料で構成されていてもよい。その結果、
図17、
図18及び
図19に見られるように、型空洞92は、骨セメントペースト50の助けを借りて拡張することができる。ここで、
図17は、未拡張の型空洞92を示し、
図18は、さらなる可能な拡張された型空洞92の寸法を破線で示し、
図19は、拡張された型空洞92を示す。型空洞92の壁の厚さは均一であり、骨セメントペースト50を介して型空洞92の内部に圧力が作用したときに、型空洞92が均一に拡張するようになっている。
【0205】
ステム用型94及びアダプタ要素102は、プラスチックフィルムから安価に製造されてもよく、寸法的に安定しており、そのため、型空洞92とは対照的に、注型型61の内部で骨セメントペースト50によって及ぼされる圧力によって拡張することができないか、又は実質的に拡張することができないようになっている。プラスチックフィルムは、複数の層を有していてもよい。ステム用型94の2つの部分は、フランジ74を介して同一平面上に固定されていてもよい。型空洞92とアダプタ要素102も同様に、アダプタ要素102のフランジ95と型空洞92の環状ディスク83を介して同一平面上に接続されていてもよい。フランジ74、95及び環状ディスク83を介して、並びに内ねじ部103及び外ねじ部107を介して注型型61の各部分を接続することで、注型型61を外部に対して閉じてもよい。環状ディスク83は、分割された環状マウント81を介してフランジ95に螺合されていてもよい。この目的のために、ねじ85は、ねじ85と一致する内ねじ部を有する接続部品87に螺合されてもよい。ステム用型94の2つの部分も同様に、ねじ91で一緒に固定されてもよく、このねじ91は、ねじ91と一致する内ねじを有する接続部品93に螺合される。ステム用型94の2つの部分の相対的な位置決めと、アダプタ要素102のフランジ95上の型空洞92の位置決めを簡単にするために、対向するフランジ74又はフランジ95の凹部99に入れることができるピン89を設けてもよい。環状ディスク83は、型空洞92とアダプタ要素102との接続を、シールリングの要領でシールする。
【0206】
それぞれ少なくとも1つの通気口79を有する少なくとも1つのベント要素75が、注型型61内に配置されてもよい。少なくとも1つのベント要素75は、注型型61の内部から空気を排出することができるように、型空洞92に配置されてもよい。骨セメントペースト50が充填開口部62を介して注型型61に充填されるときに、空気やガスは、閉じられた注型型61の内部から通気口79を介して逃げることができる。ベント要素75には、ガスに対しては透過性であるが骨セメントペースト50に対しては不透過性の多孔質フィルタ77を配置することができる。このようにして、骨セメントペースト50は、注型型61の充填中に通気口79を通って逃げることが妨げられ、その結果、一方ではスペーサのヘッドの形状が損なわれることが妨げられ、他方では型空洞92からの骨セメントペースト50の流出によって型空洞92内の骨セメントペースト50の圧力が低下することが起こりうることが妨げられる。これにより、骨セメントペースト50が注型型61内で硬化を開始する間、型空洞92が所望の拡張状態に留まることが確実になる。通気口79の自由断面積は、骨セメントペースト50がその粘性のある粘稠度に起因して通気口79を通って流出できないほど小さくても十分でありうる。
【0207】
注型型61の内部には、金属製の芯体76が配置されていてもよい。金属製の芯体76は、外科用鋼又はチタンから構成されていてもよい。あるいは、理論的には、金属製の芯体76をPMMA等のプラスチック材料から作製することも可能であろう。金属製の芯体76は、保持ピン78を介してステム用型94に接続されてもよい。金属製の芯体76は、骨セメントペースト50が金属製の芯体76のすぐ周りを流れることができるように、保持ピン78の助けを借りて、注型型61の内壁から間隔を置いてもよい。金属製の芯体76は、スペーサ120、130の安定化をもたらす。保持ピン78は、PMMAから構成されてもよい。これは、PMMAの骨セメントペースト50と不可逆的に結合することができる。
【0208】
弁座63は、その内側に内ねじ部80を有してもよい。シール面67に面する弁本体66の前半分に、弁本体66は、その外側に弁座63の内ねじ部80と一致する外ねじ部82を有してもよい。弁本体66は、その外ねじ部82によって弁座63の内ねじ部80に螺合されてもよい。
【0209】
第1の貫通部65及び第2の貫通部68は、限界停止に達するまで弁本体66を弁座63に螺合することにより、互いに重なり合うようにしてもよい。これにより、弁本体66は開状態となる。この開状態では、骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10から第1の貫通部65及び第2の貫通部68を通って注型型61内に流入してもよい。弁本体66を弁座63に対して4分の1回転(90°だけ)させることによって、すなわち弁本体66を弁座63から螺合を緩めることによって、弁本体66のシール面67が弁座63の第1の貫通部65を覆い、弁座63のヘッド側64の閉領域が弁本体66の第2の貫通部68を覆うように、第1の貫通部65と第2の貫通部68とを互いに対してオフセットさせてもよい。これにより、弁本体66は閉状態となる。1/4回転時の弁座63に対する弁本体66のストロークが小さいため、弁本体66と弁座63との間に生じる間隙は非常に狭く(1mm未満の幅)、高粘度のものは言うまでもなく、通常の骨セメントペースト50でもその間隙を通過することができない。これは特に、骨セメントペースト50がその間隙内でその実際の流れの方向から90°偏向しているためである。
【0210】
弁本体66の逆側には、ポート71内に内ねじ84が配置されていてもよい。アダプタ要素69は、その前面側に、内ねじ部84と一致する外ねじ部86を有する。従って、アダプタ要素69は、弁本体66のポート71に螺合されてもよい。このようにして、骨セメントカートリッジ10と弁本体66との間、ひいては注型型61内への液密接続を形成することができる。弁座63の内ねじ部80、弁本体66の外ねじ部82、弁本体66の内ねじ部84、及びアダプタ要素69の外ねじ部86は、すべて同じ回転方向を有していてもよく、すなわち、これらのねじ部はすべて右ねじ部又は左ねじ部である。その結果、アダプタ要素69をポート71に螺合し、アダプタ要素69を同じ方向に回転させ続けることにより、弁を開くことができる。同時に、弁本体66は、弁座63に対してシールも提供する。
【0211】
アダプタ要素69は、アダプタ要素69上のラッチ手段88を介して、骨セメントカートリッジ10の円筒壁上の嵌合ラッチ30に接続されてもよいし、接続されていてもよい。骨セメントカートリッジ10の円筒壁をアダプタ要素69に対してシールする周方向シール48がシールのために設けられていてもよい。
【0212】
注型型61は、スペーサ120の関節ヘッド(ヘッド)を形成するための型空洞92と、スペーサ120のステムを形成するためのステム用型94とを有していてもよい。アダプタ要素102はステム用型94の一部と考えられてもよい。その場合、このステム用型は3部構成である。さらに、注型型91の充填開口部92の領域には、弁本体66のレバーのオリフィスが配置されていてもよい。レバーは、弁本体66に接続されていてもよい。弁本体66は、レバーによって弁座63内で回転可能である。オリフィスは、好ましくは、弁本体66が弁座63に対して最大で4分の1の回転だけ回転可能であるように十分に正確に大きい。その結果、レバーの助けを借りて、弁は、開状態から閉状態へ、又は閉状態から開状態へと外部から手動で移動させることができる。
【0213】
フランジ74の領域では、ステム用型94内に空洞用の形状100が配置されてもよく、その形状100の中に保持ピン78が配置されてもよい。
【0214】
骨セメントペースト50が混合される骨セメントカートリッジ10の内部を真空にすることができる真空ポート104がアダプタ要素69に配置されてもよい。その結果、骨セメントペースト50を真空下で混合することができる。
【0215】
骨セメントカートリッジ10の円筒状内部には、骨セメントペースト50を骨セメントカートリッジ10から弁を介して注型型61内に排出するためのピストン46が配置されていてもよい。ピストン46は、この目的のために、外側に円筒状に形成されていてもよく、2つの周方向シール47によって円筒状内部に対してシールされていてもよい。ピストン46を前進させることにより、骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10の送達開口部12から開放弁内に、又は開放弁を介して押し出されることが可能である。
【0216】
多孔質ディスク52がアダプタ要素69内に配置されてもよい。多孔質ディスク52は、骨セメントペースト50及びその出発成分に対して不透過性である。真空ポート104は、多孔質ディスク52によって覆われていてもよい。これにより、骨セメントペースト50の出発成分としての任意の骨セメント粉末が真空ポート104内に侵入することができることを防ぐことができる。
【0217】
本発明に係る方法の過程は、本発明に係る第2の装置を参照して、
図12~
図21に示されている。まず、金属製の芯体76が、ステム用型94内に保持ピン78を用いて位置決めされてもよい。この目的のために、保持ピン78は、一端が形状100によって形成された空洞内でステム用型94の2つの部分の間に配置されて保持され、他端が金属製の芯体76の一致する穴内に配置されてもよい。ステム用型94の2つの部分を一緒に固定するためには、まず、ステム用型94の2つの部分のフランジ74をピン79を介して凹部99に位置決めし、次に、フランジ74を介して結合されるステム用型94の2つの部分を、ねじ91の助けを借りて螺合することができる。その後、アダプタ要素102が接続部品105に螺合されてもよい。アダプタ要素102は、ここでは、ネックの所望の長さが得られる程度に、接続部品105に螺合されてよい。この目的のために、当該装置を用いて製造されるスペーサのネックの長さを読み取ることができるマーキング(図示せず)を、アダプタ要素102の外側に配置してもよい。その後、型空洞92をアダプタ要素102に固定することにより、注型型61が閉じられてもよい。この目的のために、環状ディスク83をフランジ95の上に置いてもよい。次に、マウント81の2つのハーフリングを環状ディスク83上に置き、ピン89及び凹部99を介して位置決めすることができる。その後、ねじ85を締め付けることにより、型空洞92をアダプタ要素102に固定することができ、環状ディスク83がその接続をシールする。その後、注型型61は、金属製の芯体76が中にある状態で閉じられ、スペーサを成形するために提供されることが可能である。この状況は
図15に示されている。
【0218】
骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10内で真空下で混合することができる。次いで、骨セメントカートリッジ10は、アダプタ要素69を用いて弁本体66のポート71に螺合することができる。アダプタ要素69を螺合する際に、限界停止に達するまで弁本体66を弁座63に螺合することにより、弁を開位置に移動させることができる。
【0219】
次に、ピストン46を前進させることにより、骨セメントペースト50は、骨セメントカートリッジ10から、弁を通って、重なり合う第1の貫通部65及び第2の貫通部68を通って注型型61内に押し出される。この状況は
図16に示されている。単一の骨セメントカートリッジ10からの骨セメントペースト50の体積が注型型61を完全に充填するのに十分でない場合には、弁本体66を弁座63に対して4分の1回転させることによって弁を閉じることにより、間隔をおいて新しい骨セメントカートリッジ10を取り付けることができる。第1の通路65及び第2の通路68は、弁の閉位置では覆われており、その間の間隙は、粘性のある骨セメントペースト50が流れることができるのに十分ではないので、注型型61内に収容された骨セメントペースト50は再び流出することができない。同時に、型空洞92の内部では、骨セメントペースト50からの圧力は、閉じた弁によって維持される。
【0220】
ある時点で、注型型61は骨セメントペースト50で満たされる。注型型61の通気口を介して、空気又はガスが注型型1から逃げ終わっている。この状況は
図16に示されている。空気又はガスは、ベント要素75を介して、又は型空洞92の通気口79を介して、注型型61から逃げることができる。型空洞92は、骨セメントペースト50のさらなる注入により、所望のサイズに拡張することができる(
図17と比較して
図18及び
図19を参照)。半径方向の拡張は、型空洞92の現在の直径を測定するためのチェックゲージ又はノギス(図示せず)の助けを借りて決定することができる。型空洞92の壁の厚さは既知であるので、型空洞92の球面形状の内面の現在の直径も決定可能である。代替的又は追加的に、既知の明確な直径を有する寸法的に安定した嵌合型(図示せず)を提供し、その中に型空洞92を配置して、型空洞92が嵌合型に当たるまでしか拡張できないようにしてもよい。このようにして、当該装置を用いて製造されるスペーサのヘッドの所望の直径を簡単に確立することができる。型空洞92の球面形状の内面の所望の半径方向の拡張に達したら、弁を閉じることができる。
【0221】
弁を閉じることにより、骨セメントペースト50は剪断されるか、又は切断される。骨セメントカートリッジ10は、螺合解除して取り外すことができる。残っている細い接続部があれば、それは、簡単に引き裂かれるか、又は破断される。この状況は
図17及び
図19に示されている。
【0222】
この状態で、骨セメントペースト50を注型型61内で硬化させることができる。この状況は
図19に示されている。ここでのスペーサのヘッドのサイズ又は直径は、拡張した型空洞92の球面形状の内面の直径と一致する。スペーサの摺動面の凹凸を回避するために、本発明によれば、最小の直径を有するヘッドを有するスペーサを製造する場合でも、骨セメントペースト50が硬化する間、注型型61内で圧力を受けているように、型空洞92が既にわずかに拡張されていることが好ましい。
【0223】
次いで、このようにして形成されたスペーサ120、130(
図20及び
図21参照)は注型型1から取り出される。突起状の保持ピン78は切断されてもよい。弁座63及び第1の通路65に起因するスプルーがあれば、それも同様に切断されて除去されてもよい。通気口に起因する点(尖)も除去されてもよい。この状況は
図20及び
図21に示されている。
【0224】
図20は、取り出されたスペーサ120を示す。スペーサ120は、型空洞92によって成形されたヘッド122を有する。スペーサ120は、
図17に示すように、注型型61内で骨セメントペースト50を硬化させることによって成形された。ヘッド122は、ネック126を介して、スペーサ120のステム124に接続されている。
【0225】
図21は、アダプタ要素102を用いて延長して(
図18及び
図19参照)成形された、より長いネック136を有する代替スペーサ130を示す。スペーサ130は、型空洞92によって成形されたヘッド132を有する。スペーサ130は、
図18に示すように、注型型61の中で骨セメントペースト50を硬化させることによって成形されたものである。ヘッド132は、ネック136を介して、スペーサ130のステム134に接続されている。ネックの近位領域では、ネック134はアダプタ要素102の内ねじ部103の負の形状(反転形状)であるため、ネック134はねじ部の形状を有する。必要に応じて、この領域の表面を滑らかにすることができる。
【0226】
スペーサ120、130の表面は、研磨され、及び/又は例えば抗生物質でコーティングされてもよい。
【0227】
肩関節スペーサを成形するための注型型61の代わりに、異なるスペーサを成形するための注型型を使用することも容易に可能である。
【0228】
図22~
図28は、スペーサを製造するための本発明に係る装置のための弁を開位置(
図22~
図24)及び閉位置(
図25~
図28)で示す。この弁は、
図1~
図11に係る本発明に係る第1の装置の弁及び
図12~
図19に係る本発明に係る第2の装置の弁に対応するが、他のスペーサを製造するための他の注型型と共に使用されてもよい。
【0229】
この弁は、注型型(図示せず)の充填開口部に配置されてもよい弁座163を有する。弁座163は、注型型の一部に強固に接続されてもよいし、又は注型型と一体物として作製されたものであってもよい。注型型への弁座163の接続性をより良く、より強固にするために、弁座163は、その外面にパターニング、例えば弁座163の円筒状外壁の円筒軸と平行に配置される長手方向の溝を有していてもよい。
【0230】
弁座163は、2つの第1の貫通部165以外ではヘッド側164で閉じた中空円筒の形態をとってもよい。2つの第1貫通部165は、四分円形状であってもよく、好ましくは、弁座163の円筒軸に関して互いに対して180°回転して配置されてもよい。弁本体166は、弁座163に対して軸周りに回転可能であるように、弁座163の内部に配置されてもよい。弁本体166は、弁座163のヘッド側164の方向に向けられたシール面167又は表面を有していてもよい。弁本体166は、段付き中空円筒として構成されていてもよく、その中空円筒の前面は、弁座163内に螺合されるか、又は入れられることが可能である。
【0231】
シール面167には、2つの第2の貫通部168が配置されていてもよい。この2つの第2の貫通部168は、第1の貫通部165と同様に、四分円形状であってもよく、好ましくは、弁本体166の円筒軸に関して互いに対して180°回転又はオフセットして配置されてもよい。弁座163と弁本体166は一緒になって、本発明に係る装置の弁を形成する。骨セメントカートリッジ(図示せず)の液密接続のためのアダプタ要素(図示せず)が、弁本体166に螺合されてもよい。弁本体166は、シール面167から離れたその開放側に、アダプタ要素を接続するためのポート171として形成されていてもよい。
【0232】
弁座163は、その内側に内ねじ部180を有していてもよい。シール面167に面する弁本体166の前半分において、弁本体166は、その外側に弁座163の内ねじ部180と一致する外ねじ部182を有していてもよい。弁本体166は、その外ねじ部182によって弁座163の内ねじ部180に螺合されてもよい。
【0233】
第1の貫通部165及び第2の貫通部168は、限界停止に達するまで弁本体166を弁座163に螺合することにより、互いに重なり合うようにしてもよい。これにより、弁は開状態となる。この開状態(
図22~
図24参照)では、骨セメントペーストは、第1の貫通部165及び第2の貫通部168を通って流れてもよい。弁本体166を弁座163に対して4分の1回転(90°だけ)させることによって、すなわち弁本体166を弁座163から螺合を緩めることによって、弁本体166のシール面167が弁座163の第1の貫通部165を覆い、弁座163のヘッド側164の閉領域が弁本体166の第2の貫通部168を覆うように、第1の貫通部165と第2の貫通部168とを互いに対してオフセットさせてもよい。これにより、弁は閉状態となる(
図25~
図28参照)。1/4回転時の弁座163に対する弁本体166のストロークが小さいため、弁本体166と弁座163との間に生じる間隙220は非常に狭く(1mm未満の幅)、高粘度のものは言うまでもなく、通常の粘度の骨セメントペーストでも間隙220を通過することができない(
図28を参照のこと)。これは特に、骨セメントペーストが間隙220の中でその実際の流れの方向から90°偏向しているためである。注型型への弁座163のより安定した回転不可能な接続を確保するために、突起216を設けてもよい。
【0234】
弁本体166の逆側には、ポート171内に内ねじ部184が配置されていてもよい。従って、アダプタ要素(図示せず)は、弁本体166のポート171に螺合されてもよい。弁座163の内ねじ部180、弁本体166の外ねじ部182、及び弁本体166の内ねじ部184は、すべて同じ回転方向を有していてもよく、すなわち、これらのねじ部はすべて右ねじ部又は左ねじ部である。その結果、アダプタ要素をポート171に螺合し、アダプタ要素を同じ方向に回転させ続けることにより、弁を開くことができる。同時に、弁本体166は、弁座163に対してシールも提供する。
【0235】
さらには、レバー198が弁本体166に配置されてもよい。弁本体166は、レバー198によって弁座163内で回転可能である。その結果、レバー198の助けを借りて、弁は開状態から閉状態へ、又は閉状態から開状態へと外部から手動で移動させることができる。
【0236】
前述の説明、並びに特許請求の範囲、図、及び例示的な実施形態で開示された本発明の特徴は、本発明を様々な実施形態で実現するために、個別に、及び任意の組み合わせの両方で不可欠なものであってもよい。
【符号の説明】
【0237】
1、61 注型型
2、62 充填開口部
3、63、163 弁座
4、64、164 ヘッド側
5、65、165 貫通部
6、66、166 弁本体
7、67、167 シール面
8、68、168 貫通部
9、69 アダプタ要素
10 骨セメントカートリッジ
11、71、171 ポート
12 送達開口部
13、73 シール
14、74 フランジ
15、75 ベント要素
16、76 金属製の芯体
17、77 多孔質フィルタ
18、78 保持ピン
19、79 通気口
20、80、180 内ねじ部
21、81 マウント
22、82、182 外ねじ部
23、83 環状ディスク
24、84、184 内ねじ部
25、85 ねじ
26、86 外ねじ部
27、87 接続部品
28、88 ラッチ手段
29、89 ピン
30 嵌合ラッチ
31、91 ねじ
32、92 型空洞
33、93 接続部品
34、94 ステム用型
35、95 フランジ
36 ミキサー
37 送達チューブ
38 レバー
39、99’ 凹部
40、100 空洞用の形状
44、104 真空ポート
46 ピストン
47 シール
48 シール
50 骨セメントペースト
52 多孔質ディスク
102 アダプタ要素
103 内ねじ部
105 中空円筒
107 外ねじ部
120、130 スペーサ
122、132 ヘッド
124、134 ステム
126、136 ネック
216 突起
220 間隙