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特許7048866商品販売データ処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/06 20060101AFI20220330BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G07G1/06 Z
G07G1/01 301D
G07G1/01 301E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017249833
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019117447
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-12-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 A.電気通信回線を通じた発表 (1)掲載年月日 2017年10月17日 (2)掲載アドレス https://www.teraokaseiko.com/jp/news/press-release/2017/20171013101648/ B.記者発表 (1)集会名 プレス実演説明会 開催日 2017年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠里
(72)【発明者】
【氏名】本多 洋輝
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027449(JP,A)
【文献】特開2009-187078(JP,A)
【文献】特開2011-054128(JP,A)
【文献】特開2002-264445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 5/00
G06Q 10/00-10/10,
30/00-30/08,
50/00-50/20,
50/26-99/00
G07B 1/00- 9/02
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品登録された商品の精算を顧客が行う商品販売データ処理装置であって、
店員側に向けられた第1の商品登録部と、
顧客側に向けられた決済手段と、
登録された商品情報を表示する表示部と、
精算時にレシート発行口からレシートを発行する印字手段と、
記レシート発行口を店員側と顧客側とのいずれか一方に変更する発行口変更手段と、
前記印字手段の向きを検出する検出手段と、
備え
前記表示部は、前記検出手段で検出された前記印字手段の向きを表示する、
ことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
商品登録及び/または精算を店員と顧客のどちらが行うかを設定した複数の動作モードの1つを選択可能であり、
選択された前記動作モードと、前記検出手段検出した前記印字手段の向きと、を前記表示部で報知するようにした請求項に記載された商品販売データ処理装置。
【請求項3】
選択された前記動作モードと、前記検出手段で検出した前記印字手段の向きとが異なっている場合に、前記印字手段の向きが異なっている旨を前記表示部で報知する、
請求項2に記載された商品販売データ処理装置。
【請求項4】
商品登録された商品の精算を顧客が行う商品販売データ処理装置であって、
店員側に向けられた第1の商品登録部と、
顧客側に向けられた決済手段と、
登録された商品情報を表示する表示部と、
精算時にレシート発行口からレシートを発行する印字手段と、
前記レシート発行口を店員側と顧客側とのいずれか一方に変更する発行口変更手段と、
前記印字手段の向きを検出する検出手段と、
備えた前記商品販売データ処理装置に用いられるコンピュータに、
前記検出手段で検出された前記印字手段の向きを前記表示部に表示させる、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の店舗で、顧客が購入した商品のバーコードを店員または顧客がスキャナで読み込んで合計額を顧客が精算し、料金支払い後にレジスタに設けたプリンターで印刷されたレシートを顧客が受け取る商品販売データ処理装置が知られている(特許文献1参照)。
この商品販売データ処理装置では、一般的にプリンターが店員側に向けて固定設置され、精算後に店員が発行されたレシートを顧客に渡している。一方、例えばフルセルフモードや店員が商品登録して対面する顧客が精算するモード(以下、店員登録顧客精算モードという)等では、プリンターが顧客側に向けて設置され、精算後に顧客が直接レシートを受け取るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-231364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商品販売データ処理装置はフルセルフモードや店員登録顧客精算モード等で、商品登録された商品の精算を顧客が行う場合に、プリンターの向きを店員側に向けて固定したままでレシートを発行すると顧客がレシートが取りにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、使用状況に応じてレシートを
取り易くするようにした商品販売データ処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る商品販売データ処理装置は、商品登録された商品の精算を顧客が行う商品販売データ処理装置であって、店員側に向けられた第1の商品登録部と、顧客側に向けられた決済手段と、登録された商品情報を表示する表示部と、精算時にレシート発行口からレシートを発行する印字手段と、前記レシート発行口を店員側と顧客側とのいずれか一方に変更する発行口変更手段と、前記印字手段の向きを検出する検出手段と、備え、前記表示部は、前記検出手段で検出された前記印字手段の向きを表示する、ことを特徴とする。
本発明によれば、発行口変更手段によって印字手段のレシート発行口を選択して店員側と顧客側のいずれかの向きに保持することができるため、設定された動作モードに応じて、店員または顧客が印字手段で印字されて発行されたレシートを受け取ることができる。
【0007】
また、印字手段は、表示部の下端よりも低い位置に配設されていることが好ましい。
印字手段を回転させる際に、表示部に干渉することを防止できる。
【0008】
また、表示部は、店員側に設けられた第1の表示部と前記第1の表示部の反対側に配設され顧客側に向けられた第2の表示部を備えており、印字手段は、第1の表示部と第2の表示部の間に配設されていることが好ましい。
第1の表示部と第2の表示部の間に印字手段を配設することで、印字手段のレシート発行口を選択して店員の向きと顧客の向きのいずれに設定した場合でも、発行されたレシートを受け取り易い。
【0009】
また、発行口変更手段は、印字手段と一体に回転可能な回転子と、印字手段が店員側または客側に向けられた位置で回転子を停止させるストッパー部と、を備えていることが好ましい。
印字手段と一体に回転する回転子をストッパー部によって停止させることで、印字手段を店員側または顧客側に向けた位置で停止させることができる。
【0010】
また、ストッパー部は、印字手段を店員側に向けて停止させる第1ストッパー部と、顧客側に向けて停止させる第2ストッパー部と、を有していることが好ましい。
【0012】
また、ストッパー部は印字手段の向きを判断するセンサを兼ねていてもよい。
センサをストッパー部に設けることで、印字手段が店員側と顧客側のいずれで停止したかを迅速に認識できる。
【0013】
また、商品登録及び/または精算を店員と顧客のどちらが行うかを設定した複数の動作モードの1つを選択可能であり、選択された動作モードと、検出手段検出した印字手段の向きと、を表示部で報知するようにしてもよい。
選択された動作モードと印字手段の向きを表示部に報知して表示することで、印字手段の向きの正誤を容易に確認できる。
なお、動作モードとして、例えば顧客が商品登録から精算までを行う第一モードと、店員が商品登録を行って顧客が精算を行う第二モードと、店員と顧客が同時に商品登録を行う第三モードと、商品登録するレジスタから登録データを異なるレジスタに送信して精算する第四モード等があり、そのいずれかを選択可能である。
また、選択された前記動作モードと、前記検出手段で検出した前記印字手段の向きとが異なっている場合に、前記印字手段の向きが異なっている旨を前記表示部で報知することが好ましい。
また、本発明に係るプログラムは、商品登録された商品の精算を顧客が行う商品販売データ処理装置であって、店員側に向けられた第1の商品登録部と、顧客側に向けられた決済手段と、登録された商品情報を表示する表示部と、精算時にレシート発行口からレシートを発行する印字手段と、前記レシート発行口を店員側と顧客側とのいずれか一方に変更する発行口変更手段と、前記印字手段の向きを検出する検出手段と、備えた前記商品販売データ処理装置に用いられるコンピュータに、前記検出手段で検出された前記印字手段の向きを前記表示部に表示させる、処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る商品販売データ処理装置によれば、印字手段のレシート発行方向を状況に応じて顧客側と店員側の必要な向きに簡単且つ確実に向けることができて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態による商品販売データ処理装置を顧客側から見た斜視図である。
図2図1に示す商品販売データ処理装置の側面図である。
図3図1に示す商品販売データ処理装置の商品登録部とプリンターを拡大した分解斜視図である。
図4】プリンターの斜視図である。
図5】プリンターの回転機構の分解斜視図である。
図6】プリンターの支持台の内部構造を示す斜視図である。
図7】プリンターの向きを検知し表示するための制御機構を示すブロック図である。
図8】第1ストッパー部及び第2ストッパー部による回転子の吸着状態を示す説明図である。
図9】フルセルフモードでのプリンターの向きと表示を制御するフローチャートである。
図10】精算機指定モードを示す説明図であり、(a)はレジスタの配置と動作を示す図、(b)は登録専用モードの説明図、(c)は会計専用モードの説明図である。
図11】第二実施形態による商品販売データ処理装置を顧客側から見た斜視図である。
図12】商品販売データ処理装置を店員側から見た斜視図である。
図13】第二実施形態による商品販売データ処理装置を顧客側から見た正面図である。
図14】商品販売データ処理装置の平面図である。
図15】商品販売データ処理装置の右側面図である。
図16】商品販売データ処理装置の左側面図である。
図17】商品販売データ処理装置を店員側から見た正面図である。
図18】商品販売データ処理装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による商品販売データ処理装置について説明する。
本発明の第一実施形態による商品販売データ処理装置1について図1乃至図10により説明する。図1及び図2に示す本実施形態の商品販売データ処理装置1は、例えば対面型のレジスタである。商品販売データ処理装置1は、床面に設置された筐体2内の上部のスペース3内に決済手段として釣銭機4が設置されており、筐体2の上面2aに本体部6が固定されている。本体部6の釣銭機4側が顧客側スペースであり、これに対向する側が店員側スペースである。
【0017】
本体部6の店員側スペース側には店員用スキャナ部7が第1の商品登録部として設けられ、顧客側スペース側には顧客用スキャナ部8が第2の商品登録部として設けられている。両スキャナ部7,8では商品のバーコードを読み込んで商品情報を商品登録することができる。
スキャナ部7,8は、制御部による商品登録処理の実行中に、商品に対応付けられたバーコード状の商品コードを読み取り、商品コードの情報を制御部に供給する光学式読取装置である。スキャナ部7,8は、バーコード読み取り用の窓口を備えた固定型スキャナであるが、店員側のスキャナ部7はこれに代えてハンディスキャナにより実現されてもよい。
【0018】
本体部6の上部の店員側には第1の表示部として店員用表示部10が連結され、対向する顧客側には第2の表示部として顧客用表示部11が連結されている。店員用表示部10は例えば表示面10aとキーボードを備えた操作部10bとを備えているため、表示面を有する顧客用表示部11より面積が大きく形成されている。店員用表示部10は店員に表示面を向けて斜め上向きに設置され、顧客用表示部11も顧客に表示面を向けて斜め上向きに設置されている。
【0019】
顧客用表示部11は、操作受付機能を有するタッチパネル付液晶表示装置により実現される。この場合、制御部は、合計金額以上の額の貨幣(硬貨および紙幣またはいずれか)が釣銭機4に投入された場合に、終了キーを顧客用表示部11に表示させる。終了キーは、制御部により実行されている決済処理(精算処理)を完了させるためのGUIボタンである。タッチパネルは、その終了キーの操作入力を受け付けて、操作に応じた操作情報を制御部に供給する。
【0020】
なお、顧客に操作させる終了キーを、GUIボタンではなくハードウェアキーにより実現してもよい。この場合、終了キーを有するキーボードは、顧客用表示部11の表示面近傍(例えば、顧客用表示部11の表示面の直横または直前)に設けられる。或いは、店員用表示部10に表示されたGUIボタン、操作部10bのハードウェアキーにより実現してもよい。
筐体2の上面2aにおいて、本体部6の側部にはレシートを印字して発行するプリンター12が、印字手段として設置されている。
【0021】
顧客側に設置された釣銭機4は、顧客による貨幣の投入を受け付けて入金処理を行い、つり金、返金、またはリジェクトの紙幣および硬貨を排出する自動釣銭機である。つまり、釣銭機4は、現金による決済手段である。決済手段としては、釣銭機4の他、例えばクレジットカードの決済機、電子マネーの決済機が含まれるが、本実施形態では、決済手段として釣銭機4を例として説明する。
【0022】
釣銭機4は、紙幣管理部13と硬貨管理部14を備えている。紙幣管理部13は、紙幣投入口15と、紙幣排出口16とを備える。硬貨管理部14は、硬貨投入口17と、硬貨排出口18と、リジェクト口19とを備える。紙幣投入口15は、顧客により投入される紙幣を取り込む口である。紙幣排出口16は、おつりの紙幣およびリジェクト紙幣を排出する口である。紙幣投入口15および紙幣排出口16は、二段に配置構成される。例えば、上段が紙幣投入口15、下段が紙幣排出口16である。
なお、釣銭機4は、硬貨管理部14のみを備えるものであってもよい。また、紙幣管理部13は、紙幣投入口15および紙幣排出口16に代えて、紙幣の投入口と排出口とを兼用する一つの紙幣投入排出口であってもよい。
【0023】
硬貨投入口17は、顧客により投入される硬貨を取り込む口である。硬貨排出口18は、おつりとしての硬貨を排出する口であり、更に釣銭機4が備える図示しない貨幣識別部が識別に失敗した場合や偽造硬貨として識別した場合の硬貨を排出する口である。リジェクト口19は、入金後、キャンセルの操作がされた場合に、硬貨を排出する口である。
紙幣排出口16には、排出された紙幣を検出するセンサが設けられている。また、硬貨排出口18には、排出された硬貨を検出するセンサが設けられている。なお、リジェクト口19にも、排出された硬貨を検出するセンサが設けられてもよい。
【0024】
紙幣投入口15と、紙幣排出口16と、硬貨投入口17と、硬貨排出口18とのそれぞれの近傍には、インジケータが設けられていてもよい。インジケータは、例えば発光ダイオード(LED)により実現される。インジケータの態様としては、例えば、文字(例えば、「硬貨おつり」、「硬貨投入口」、「お札おつり」、「お札投入口」)形状に光るLEDインジケータである。制御部は、入金を受け付けている状態において、紙幣投入口15および硬貨投入口17それぞれの近傍のインジケータを、例えば“白色”に点灯または点滅させる。なお、制御部は、合計金額以上の貨幣が投入されたと判定した場合に、インジケータを、例えば“緑色”に点灯または点滅させてもよい。また、おつりがある場合、制御部は、紙幣排出口16および硬貨排出口18のうちおつりが排出される排出口の近傍のインジケータを、センサが検知しなくなるまで、例えば“赤色”に点灯または点滅させる。
【0025】
制御部は、登録画面を表示させる(つまり、登録モードに入る)、または第1の顧客に対する商品登録処理を開始すると、釣銭機4を動作可能な状態、つまり、入金受付状態に制御する。顧客に対する商品登録が開始されると、顧客は釣銭機4への入金が可能となる。
【0026】
次にプリンター12について詳細に説明する。
プリンター12は、商品登録処理が完了し、入金処理及び釣り銭の排出からなる決済処理を実行したことによって得た会計の明細処理情報を紙媒体であるレシート用紙に印刷し、この印刷後のレシートをレシート発行口22から出力(発行)する。レシート発行口22がレシートを出力するタイミングは、おつりがない場合は、終了キーが押下された後であり、また、おつりがある場合は、終了キーが押下された後、おつりの貨幣が排出されたままになっていることを図示しないセンサが検知しなくなった後である。
ただし、おつりの貨幣が排出された場合において、所定時間(例えば、10秒間)を経過してもセンサが貨幣を検知し続ける場合、すなわち、おつりが取り去られない場合、レシート発行口22からレシートを出力することができる。
【0027】
図1及び図2に示すように、プリンター12は店員用表示部10及び顧客用表示部11の間の領域で上面2aに回転可能に設置され、プリンター12の回転を妨げないように店員用表示部10と顧客用表示部11の下端部より下方に設置されている。しかも、図3及び図4において、プリンター12は回転の際に本体部6と干渉しない程度に離間して設置されている。プリンター12の回転範囲には、上面2aに何も設置されていない。プリンター12は例えば箱状に形成され、レシート発行口22を設けた前面12aが店員側と顧客側の一方を選択的に向くように回転制御される。
なお、プリンター12は前面12aを本体6と反対側を向いて正逆回転することが好ましい。これにより、プリンター12のカバーが開いたままでも回転可能である。
プリンター12は、筐体2の上面2aに固定配置された支持台24の上部に設けた側面視略L字板状をなす支持板25の底板26の上に設置されている。支持板25は底板26と背板27とで形成され、プリンター12はその前面12aに対向する背面12bが背板27にネジ等で固定されている。そのため、プリンター12は支持台24上で支持板25と一体に回転可能とされている。
【0028】
次にプリンター12の回転機構30について図5乃至図8により説明する。
図5乃至図8に示すプリンター12の回転機構30において、支持台24の支持板25を載置するための載置面24aには略円形の孔部31が形成されている。支持台24の載置面24aに形成した孔部31内には略半円形のスペーサ32が配設され、載置面24aの表裏面にはそれぞれ上部滑りシート34と下部滑りシート35が設置されている。上部滑りシート34の上面には支持板25の底板26が載置され、下部滑りシート35の下面には略円板状の回転子36が当接している。しかも、支持板25の底板26とスペーサ32と回転子36はネジnで互いに連結されている。
【0029】
そのため、支持板25は支持台24に対して上部滑りシート34を介して回転可能である。回転子36は支持台24の内部に収納され、その上面に設けた下部滑りシート35により支持台24に対してその中心点Oを中心に回転可能とされている。支持板25の回転によってスペーサ32及び回転子36が一体に回転する。
回転子36は金属製、例えばスチール製で略円板状に形成され、その中心を外れた位置から円弧の両側の外方に突出する一対のアーム部37a、37bを有している。しかも、アーム部37a、37bはそれぞれ略L字状に屈曲して形成され、先端の屈曲部が被吸着部38を有している。アーム部37a、37bはプリンター12が店員側と顧客側のいずれを向いているかを検知する検知部を構成する。なお、回転子36を例えばアルミやプラスチック等の非磁性体で形成してもよく、略L字状のアーム部37a、37bの被吸着部38に鉄等の磁性体を貼り付ければよい。
【0030】
図6に示す支持台24の内部において、一の側面24bには取付受け部39a、40aが間隔を開けて直線状に形成されている。これら取付受け部39a、40aには第1ストッパー部39、第2ストッパー部40として例えばそれぞれ電磁石が装着されている。なお、電磁石に代えて永久磁石を設置してもよい。これら第1ストッパー部39、第2ストッパー部40は側面24b上で互いに分離して略直線状に配列されている。
【0031】
そして、図8に示すように、支持板25を一方側に回転させると、回転子36も中心点Oを中心に回転して、アーム部37a、37bの一方が第1ストッパー部39、第2ストッパー部40の一方に吸着されて対向する位置に保持される。例えば、実線で示すように、アーム部37aの被吸着部38が第1ストッパー部39の電磁石に接近・対向する位置で吸着されて停止する。この位置で、プリンター12は顧客側に向くものとする。
また、この位置から支持板25を逆方向に約180度回転させると、回転子36も中心点Oを中心に180度回転するため、アーム部37a、37bの他方が第1ストッパー部39、第2ストッパー部40の他方に吸着されて対向する位置に保持される。例えば、二点鎖線で示すように、アーム部37bの被吸着部38が第2ストッパー部40の電磁石に接近・対向する位置で吸着されて停止する。この位置で、プリンター12は店員側に向くものとする。
【0032】
なお、図7において、店員用表示部10及び顧客用表示部11、プリンター12は配線ケーブルを介して本体部6内に設置された制御部42に電気的に接続されている。制御部42は上述した不図示の制御部に含まれている。プリンター12の配線ケーブルkは、図5において、支持板25の底板26に形成した開口26aを通過し、更に支持台24の載置面24aに形成した孔部31と略半円形状のスペーサ32との間の開口31aを通過する。そして、この配線ケーブルkは回転子36に形成された開口36aを通して、本体部6内の制御部42に接続されている。電磁石を有する第1ストッパー部39及び第2ストッパー部40の配線ケーブル、店員用表示部10及び顧客用表示部11の配線ケーブルも同様に制御部42に電気的に接続されている。
【0033】
そして、プリンター12を支持板25に固定した状態で、プリンター12のレシート発行口22を設けた前面12aを例えば顧客側に向けるよう支持板25を回転させると、図8に示すように、スペーサ32及び回転子36も一体回転する。この位置で、例えば回転子36のアーム部37aの被吸着部38が第1ストッパー部39に対向する位置で電磁石に吸着保持される。第1ストッパー部39でこれを検知すると、配線ケーブルを介して制御部42に出力して店員用表示部10に表示させる。
この位置から、プリンター12のレシート発行口22を設けた前面12aを店員側に向けるよう支持板25を約180度回転させると、スペーサ32及び回転子36も約180度一体回転する。この位置で、回転子36のアーム部37bの被吸着部38が第2ストッパー部40に対向する位置で電磁石に吸着保持される。第2ストッパー部40でこれを検知すると、制御部42に出力して店員用表示部10に表示させる。
【0034】
第1ストッパー部39及び第2ストッパー部40のいずれかで回転子36のアーム部37a、37bの一方を吸着したことを検知することで、プリンター12の向きを店員用表示部10に表示できる。店員はプリンター12の向きを店員用表示部10で検知できる。そのため、回転子36のアーム部37a、37bを停止させる第1ストッパー部39と第2ストッパー部40はそれぞれ第1センサー部と第2センサー部を兼用している。
【0035】
プリンター12及び支持板25を回転させた際、底板26、スペーサ32、回転子36も一体に回転するため、開口26a、開口31a、開口36aも一体回転し、これらを挿通して配設された配線ケーブルkも一体回転するので、配線ケーブルkがよじれたりすることを阻止できる。
【0036】
商品販売データ処理装置1において、店員用表示部10の操作部では、例えばタッチパネルまたは操作キーの選択によって複数の動作モード、例えばフルセルフモード、店員登録顧客精算モード、ダブルスキャンモード、精算機指定モード等のいずれかを選択可能である。
フルセルフモードは、顧客が商品登録から精算までを顧客自身で行うモードである。店員登録顧客精算モードは、店員が商品登録を行い、顧客が精算を行うモードである。ダブルスキャンモードは、店員と顧客とで同時に商品登録が可能なモードである。精算機指定モードは、複数のレジスタが配列された状態で、店員が1のレジスタで商品登録を行った後、他の1のレジスタに登録データを送信し、送信された他の1のレジスタで顧客が精算(決済)を行うモードである。
【0037】
本実施形態による商品販売データ処理装置1は上述した構成を備えており、次にその使用方法について説明する。
例えば、商品販売データ処理装置1で動作モードとしてフルセルフモードが選択された場合について図9に沿って説明する。フルセルフモードが選択されると店員用表示部10に表示される(ステップS10)。この状態では、プリンター12は顧客側に向いていて顧客に向けてレシートを印刷して出力する必要がある。そのため、制御部42でプリンター12が顧客側と店員側のいずれを向いているかを第1ストッパー部39及び第2ストッパー部40からなる第1センサー部及び第2センサー部で判断する(S11)。
【0038】
その際、プリンター12が店員側を向いていると、図8で二点鎖線で示すように回転子36はアーム部37bの被吸着部38が第2ストッパー部40に近接して対向する位置で吸着保持されている。この向きは間違いであり、プリンター12が店員側に向いていることを店員用表示部10に表示する(S12)。或いは、フルセルフモードの選択との関係で、店員用表示部10にプリンター12の「向きの間違い」を指摘して警告表示するように報知してもよい。
【0039】
この場合、店員が手動でプリンター12及び支持板25を回転させると、支持台24に対してスペーサ32及び回転子36が一体に約180度回転してアーム部37aが第1ストッパー部39に対向する位置で吸着された位置に保持される。これにより、プリンター12のレシート発行口22を有する前面12aが顧客側に向く(S13)。
この状態で、顧客は商品のバーコードをスキャナ部8にかざして商品登録を順次行い(S14)、商品登録の終了後に顧客用表示部11上の商品登録処理の終了キーをタッチパネルで押す。そして、顧客は買い上げ商品の合計金額を確認して、釣銭機4に貨幣を投入する。
即ち、表示された合計金額に応じて紙幣を紙幣投入口15に投入し、硬貨を硬貨投入口17に投入して決済を行う。紙幣排出口16や硬貨排出口18から排出された釣り銭を受領することで精算処理が完了する(S15)。釣り銭を顧客が取り出した後に、プリンター12で会計の明細処理情報がレシートに印刷され、レシート発行口22からレシートが発行される。
【0040】
なお、フルセルフモードは、上述したように顧客側にて登録処理も精算処理も実行するが、例えば、店員用スキャナ部7で店員コードのスキャンが可能である。
また、ダブルスキャンモードでは、店員側及び顧客側の両側で登録処理を実行することができる。店員登録顧客精算モードでは、店員側で登録処理を実行する登録専用モードと、顧客側で精算処理を実行する会計専用モードとに区別される。
【0041】
次に、動作モードとして精算機指定モードが選択された場合の処理を図10(a)、(b)、(c)により説明する。
精算機指定モードでは、図10(a)に示す商品販売データ処理装置1として登録専用のレジスタ1Aと、会計専用の他のレジスタ1B、1C等を備えている。
店員は、登録専用モードのレジスタ1Aにおいて、図10(b)のフローチャートに示すように、顧客の買上商品を店員用スキャナ部7を操作して(S20)商品登録を実行する(S21)。店員による登録処理が完了した場合、登録完了キーを操作し(S22)、会計専用モードのレジスタ1B,1Cのいずれか、例えばレジスタ1Bを指定する(S23)。このレジスタ1Bに精算処理に必要な商品登録データを移送する(S24)。登録専用モードのレジスタ1Aでは次の顧客の商品登録を行う。次の顧客がいない場合には待機状態になる。
【0042】
顧客は、店員の指示により、商品登録データを受信している会計専用モードのレジスタ1Bに移動し(S30)、顧客用表示部11において買上商品の合計金額を確認し、釣銭機4に貨幣を投入して精算する(図10(a)の下段)。つまり、会計専用モードのレジスタ1Bは、顧客が釣銭機4へ貨幣を投入することにより、精算処理を実行する(S31)。
【0043】
なお、店員側で商品登録し、顧客側で精算処理を行った後、店員がレシートを顧客に手渡しする場合にはプリンター12はレシート発行口22の前面12aを店員側に向けられるようにする。
プリンター12のレシート発行口22を店員側に向ける他の場合として、レジスタのメンテナンスの場合、例えば商品の新規登録、商品の価格変更をした際にチェックシートの排出を行う場合、本日の特売一覧レシートを発行する場合等がある。また、集計レポートとして、現時点での売り上げレポートの発行、その日の営業終了時のレジ締めレポートを出力する場合や、レシート用ロール紙の交換時等にもプリンター12を店員側に向ける。
その他、複数のレジスタ間で釣銭補充のために一のレジスタから他のレジスタに釣銭を移動させる場合、顧客が精算を金券やクレジットカード、電子マネー等で行い、現金を使用しない場合等にも、プリンター12を店員側に向ける。
【0044】
上述したように、本実施形態による商品販売データ処理装置1によれば、使用状況に応じてプリンター12を手動操作で簡単且つ確実に顧客側や店員側等の使用する側に向けることができる。
しかも、プリンター12を回転させる際、回転子36の被吸着部38を有するアーム部37a、37bをいずれか一方のストッパー部39、40の電磁石で吸着することで確実にレシート発行口22を有する前面12aが顧客または店員に向き合う位置に停止させることができる。
また、選択された動作モードに対してプリンター12の向きが間違っている場合には店員用表示部10に表示して店員に確認させることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態による商品販売データ処理装置1について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例や他の実施形態について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0046】
上述した第一実施形態による商品販売データ処理装置1では、回転子36のアーム部37a、37bを停止させる第1ストッパー部39、第2ストッパー部40をそれぞれ電磁石で構成して第1センサー部、第2センサー部を兼用するようにした。しかし、変形例として第1ストッパー部39、第2ストッパー部40として永久磁石を用いてもよい。この場合には第1ストッパー部39、第2ストッパー部40とは別に、その近傍に第1センサー部、第2センサー部をそれぞれ別個に設けて回転子36のアーム部37a、37bの停止位置を検知し、店員用表示部10でプリンター12が顧客側を向いているか店員側を向いているかを認識してもよい。
この場合、第1センサー部、第2センサー部として例えばレーザー光等による光学式検知装置や赤外線式検知装置等を設けることができる。
また、上述した実施形態による商品販売データ処理装置1では、プリンター12の回転を手動で行うようにしたが、駆動モータに接続して自動で回転するようにしてもよい。
【0047】
次に本発明の第二実施形態による商品販売データ処理装置45を図11から図18により説明する。
本実施形態では商品販売データ処理装置45は例えば既存のカウンター51の上に設置されており、上述した第一実施形態による商品販売データ処理装置1と略同一または同様な構成や部品には同一の符号を用いてその説明を省略する。商品販売データ処理装置45は例えば対面型のレジスタである。
【0048】
図11及び図12において、本第二実施形態による商品販売データ処理装置45は筐体46の部分がカウンター51等のテーブル上面に載置されている小型のレジスタである。商品販売データ処理装置45は、筐体46の顧客側の向きに形成されたスペース3に釣銭機4が設置され、その上面46aに設けた本体部6に顧客用表示部11が設置されている。顧客用表示部11の対向する面側には店員用表示部10が設置されている。店員用表示部10は例えば表示面10aとキーボードを備えた操作部10bとを備えている。
【0049】
商品販売データ処理装置45において、筐体46の上面46aには、本体部6の側部にレシートを印字して発行するプリンター12が、印字手段として設置されている。プリンター12は第一実施形態と同一の構成を有しており、支持台24上に設けた支持板25に固定されている。そのため、支持板25を手動操作することで、プリンター12は支持台24に対してスペーサ32及び回転子36と共に一体回転する。そして、回転子36のアーム部37aの被吸着部38が第1ストッパー39に吸着された位置でプリンター12は顧客側に向く。また、回転子36のアーム部37bの被吸着部38が第2ストッパー40に吸着された位置でプリンター12は店員側に向く。その余の構成と機能は上述した第一実施形態と同一である。
【0050】
なお、上述した各実施形態ではプリンター12を手動で回転するようにしたが、これに代えて変形例として、プリンター12を自動回転させるように制御手段を設定してもよい。即ち、店員用表示部10で店員側または顧客側にレシートを発行することを設定した時点で、これに連動して図示しない制御手段によってプリンター12が自動回転してレシート発行口22をその向きに向くように制御する。
また、別のセンサーで、商品販売データ処理装置1、45の前に顧客がいること、或いは店員が居ないことが判定された場合にプリンター12が顧客側を向くように制御してもよい。また、店員が商品販売データ処理装置1、45の前に居ることが判定された場合にはプリンター12が店員側を向くように設定してもよい。
【0051】
また、別の変形例として、プリンター12が回転しないで固定配置されていると共に、レシート発行口22が店員側と顧客側とにそれぞれ設けられていてもよい。この場合、店員が選択する動作モードの設定に応じてレシートの発行方向を設定しておき、いずれかのレシート発行口22からレシートを発行することができる。
この機構は、上述した回転機構30と共に、発行口変更手段に含まれる。
【0052】
他の変形例として、プリンター12の回転手段として、筺体2内に多角形の穴または凸部を開けた作動部材を設置すると共に、プリンター12の下面には多角形の凸部または穴部を設けて互いに嵌合させてもよい。この場合、筐体2内に設けた駆動モータMを正逆回転させることで、作動部材を介してプリンター12を回転させるようにしても良い。
【0053】
また、筐体2の上面2aにおいて、本体6に対するプリンター12の配設位置は、本体12に対して左右どちら側でも良い。
また、プリンター12の回転方向は、水平方向に限らず上下方向に縦回転させてもよい。
また、プリンター12の支持台24は、プリンター12の回転を支持するだけでなく、レシートを発行する店員側または顧客側に平行移動するように設定してもよい。この場合、回転機構30も一体に移動可能に構成するとよい。これにより、プリンター12からレシートを受け取る店員や顧客にとってさらに受け取りが容易になる。
【符号の説明】
【0054】
1、45 商品販売データ処理装置
2、46 筐体
4 釣銭機
6 本体部
7 店員用スキャナ部
8 顧客用スキャナ部
10 店員用表示部
11 顧客用表示部
12 プリンター
12a 前面
22 レシート発行口
24 支持台
25 支持板
30 回転機構
36 回転子
37a、37b アーム部
38 被吸着部
39 第1ストッパー部
40 第2ストッパー部
42 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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