(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64C 27/26 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
B64C27/26
(21)【出願番号】P 2021113832
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2021-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519372593
【氏名又は名称】株式会社松山ドローンサービス
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 英之
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-026236(JP,A)
【文献】特開2019-085085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体中心にあって制御機器を搭載する本体と、その本体から放射状に伸びる複数のアームの先端にモーターとプロペラを有し、翼を本体の上方に、本体又は左右のアームからサポートを立上げた先端に取付け、
前記翼は、平面視において、モーター中心間を直線で繋いでできる多角形の内側で、かつ全てのプロペラ回転面領域の外側で、囲まれた領域内に設置され、前記翼の前後のサポートの長さを変える事により迎角を変えることができ、前記翼の形状は、本体の進行方向に対し直角方向に、角形に代表される直線状とし、本体の進行方向に向けて垂直翼を取付けた事を特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つ以上のプロペラを上向き又は下向きに取付けて飛行を行う飛行体(以下マルチコプターと言う)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマルチコプターには翼がついていないのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、マルチコプターを使った物資の運搬の仕事や広い範囲の地形測量業務が増え、マルチコプターを長時間飛ばす必要が生じている。
マルチコプターを長時間飛ばすためには、バッテリー容量を増やすか、構造的に揚力を増やしてモーターの出力を補助する必要があった。
また、揚力を増す構造としたことによるマルチコプターの飛行の不安定性を改善する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1の発明においては、飛行体中心にあって制御機器を搭載する本体と、その本体から放射状に伸びる複数のアームの先端にモーターとプロペラを有し、翼を本体の上方に、本体又は左右のアームからサポートを立上げた先端に取付けたことを特徴とする飛行体である。
請求項2の発明では、翼の断面形状は翼形として実用化されているもの以外にも長円形や、多角形といった近似の断面形状も含まれる事を特徴とする請求項1記載の飛行体である。
請求項3の発明では、翼の前後のサポートの長さを変える事により、迎角を変えることができる請求項1記載の飛行体である。
請求項4の発明では、本体に進行方向に向けて垂直翼を取付ける事を特徴とする請求項1記載の飛行体であって、マルチコプターを長時間飛ばすことが可能になり、更に飛行の直進性や安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バッテリー容量の増加などをすることなくマルチコプターの飛行時間を伸ばすことが出来る。
垂直翼を追加すると揚力により不安定となる姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】 マルチコプター平面図(6枚プロペラの場合)
【
図2】 マルチコプタ-A-A矢視図(6枚プロペラの場合)
【
図3】 マルチコプターB-B矢視図(6枚プロペラの場合)
【
図4】 マルチコプター前進中の気流の流れ(6枚プロペラの場合)
【
図6】 翼取付部例の詳細図(サーボモーターコントロールの場合)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1、
図2、
図3は6本のアーム、6本のプロペラ、6個のモーターを持ったマルチコプターによる本発明の一実施例である。マルチコプターの中心には制御機器6を搭載するマルチコプター本体1があり、そこから放射状にアーム2が伸びている。アーム2の先端にはプロペラ3、モーター4、ESC5が取付けられてあり、このアーム2の中程にアームを折り曲げるアーム折り畳み用ヒンジ14が取付けてあり、マルチコプター運搬時にはアーム2をアーム折り畳み用ヒンジ14で折り曲げ、少スペースで運搬できるようになっている。
マルチコプター本体1とアーム折り畳み用ヒンジ14の間に翼16をマルチコプター本体1の上方に取付ける。
【0009】
翼16は放射状に伸びた左右のアーム2に設けたアーム折り畳みヒンジ14とマルチコプター本体1の間に設けたサポート17、18を介して設けられている。
マルチコプター進行方向19に対して前側のサポート17と後側のサポート18の長さを変えることにより翼16の迎角25を変えることができる。
飛行速度変化が少ない場合、翼16を支持する前後のサポート17、18の長さを変えた固定式とし、又、飛行速度変化が多い場合は、翼16を支持する前後のサポート17、18の長さを可動式とすることもできる。
図5で示すように、固定式は、そのサポート17、18の先端に翼16の迎角25を調整するヒンジが取付けられている。これらはボルト、ナットで固定する構造で重量増を抑えることができる。主には飛行速度一定にして飛ぶ場合に用いる。
他方、
図6で示すように、可動式は、翼16の前後のサポート17、18の先端にヒンジが取付けられており、後側のサポート18のヒンジはシャフト18Bと丸穴18Aで接続し、前側のサポート17のヒンジはシャフト17Bと長穴17Aで接続されている。
前記翼16には翼ホーン23が取付けられ、マルチコプター本体1にはサーボモーター21が取付けられており、サーボモーター21のシャフトに取付けたサーボホーン22と翼ホーン23はロッド24で接続されている。
前記サーボモーター21はマルチコプター本体1の制御機器6と接続し、マルチコプタ―本体1の飛行中の前傾量をセンサー(図示せず)で感知し、前記前傾量から制御機器6に内蔵した制御プログラムで翼16とマルチコプター本体1の角度27を計算し、迎角25を一定となるように前後のサポート17、18の高さの調整を行う事を特徴とする。重量増はあるものの、飛行速度変化のある場合には、さらに飛行時間を5%程度延すことができる。
迎角25は飛行中のマルチコプター本体1の前傾量によって変化させず最適角10°~15°に設定して使うのが効果的である。
図4において、本発明のマルチコプターの実際の使用状態について説明する。
図4において20は前進中のマルチコプター回りの空気の流れで、翼16はマルチコプターが前傾してもなお迎角25が付くように取付けてあり、マルチコプターの前進により揚力を発生させる。この揚力を利用して、マルチコプターの重量を相殺することにより軽くして、モーター4の負荷を下げ、電気の消費量を下げて、長時間飛行させることができる。加えてマルチコプター本体1の上面には垂直翼26も取付けてあり、揚力により不安定となるマルチコプターの姿勢を安定させる。
以上、本発明の一実施例について説明したが、前記実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0010】
1 マルチコプター本体
2 アーム
3 プロペラ
4 モーター
5 ESC(モーター制御器)
6 制御機器
8 GPSアンテナ
9 受信機
10 映像伝送装置
12 バッテリー
13 脚
14 アーム折り畳み用ヒンジ
15 カメラ又は計測器又は運搬用ケース等
16 翼
17 前側のサポート
17A 長穴
17B 長穴のシャフト
18 後側のサポート
18A 丸穴
18B 丸穴のシャフト
19 マルチコプター進行方向
20 マルチコプター回りの空気の流れ
21 サーボモーター
22 サーボホーン
23 翼ホーン
24 ロッド
25 迎角
26 垂直翼
27 マルチコプター本体と翼の角度
【要約】 (修正有)
【課題】バッテリー容量の増加などをすることなく飛行時間を伸ばすことが出来、また姿勢を安定させることができるマルチコプターを提供する。
【解決手段】揚力を増やすためマルチコプター本体から伸びる左右のアームからサポートを介して本体とは別の翼16を設けて揚力を発生させるとともに、サポートの長さを変える事により、迎角を変えて、飛行時間を伸ばす。
【選択図】
図3