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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20220330BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20220330BHJP
   B60N 3/06 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
B60N2/02
A47C7/50
B60N3/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017174284
(22)【出願日】2017-09-11
(65)【公開番号】P2019048574
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】沼尻 浩行
(72)【発明者】
【氏名】野中 秀恒
(72)【発明者】
【氏名】竹中 彬
(72)【発明者】
【氏名】藤本 圭一郎
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-218638(JP,A)
【文献】特開2013-112128(JP,A)
【文献】特開2003-191838(JP,A)
【文献】特開平10-203224(JP,A)
【文献】特開昭61-193216(JP,A)
【文献】特開2016-215801(JP,A)
【文献】米国特許第02888099(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/02
A47C 7/50
B60N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及び足乗せ部を備えるシートであって、
前記足乗せ部は回動可能に構成されており、
前記足乗せ部の回動をロックするロック部と、
前記足乗せ部のロックを解除するロック解除部と、を備え、
前記ロック解除部は、前記足乗せ部に配置された解除操作部を備えており、
前記足乗せ部は、着座者が足を乗せるための足乗せ台を複数備え、
前記解除操作部は、前記複数の足乗せ台の間に配置されていることを特徴とするシート。
【請求項2】
前記シートクッションは回動可能に構成され、
前記足乗せ部と前記シートクッションを連結していて上下方向に延出した連結部材を備え、
前記シートクッションと前記足乗せ部は、いずれか一方を操作することにより、同時に回動することを特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記解除操作部の操作方向と、前記足乗せ部の回動方向が同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート。
【請求項4】
前記足乗せ部は、凹部を有する板状部を備え、
前記解除操作部は、前記凹部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のシート。
【請求項5】
前記板状部を有するフットカバーが前記足乗せ台の下側に位置することを特徴とする請求項4に記載のシート。
【請求項6】
前記解除操作部は、異物の侵入を抑制するために開口を一部塞ぐように設けられた異物侵入抑制部を備えていることを特徴とする請求項4に記載のシート。
【請求項7】
前記解除操作部は、操作部と軸を備える回転式レバーであることを特徴とする請求項に記載のシート。
【請求項8】
シートクッション及び足乗せ部を備えるシートであって、
前記足乗せ部は回動可能に構成されており、
前記足乗せ部の回動をロックするロック部と、
前記足乗せ部のロックを解除するロック解除部と、を備え、
前記ロック解除部は、前記足乗せ部に配置された解除操作部を備えており、
前記シートの幅方向に設けられた一対のサイドフレームを備え、
前記シートクッションは、前記一対のサイドフレームに取り付けられており、
前記ロック部は、前記シートクッションの裏面と、前記サイドフレームに取り付けられていることを特徴とするシート。
【請求項9】
シートクッション及び足乗せ部を備えるシートであって、
前記足乗せ部は回動可能に構成されており、
前記足乗せ部の回動をロックするロック部と、
前記足乗せ部のロックを解除するロック解除部と、を備え、
前記ロック解除部は、前記足乗せ部に配置された解除操作部を備えており、
前記ロック部は、前記シートの幅方向において両側に配置されていることを特徴とするシート。
【請求項10】
ート幅方向における両側の前記ロック部の間の距離は、前記シートの幅方向における足乗せ部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションと足乗せ部を備えるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートクッションと足乗せ部を備えるシートにおいて、シートクッションと足乗せ部をカム及びリンク機構により接続して、シートクッションの起伏動作に足乗せ部を連動させて、両者の折り畳みを一動作で実現する機構を備える椅子が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-026063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術に係るシートにおいて、リクライニング可能に構成して、シートバックを倒した状態でも用いるようにしたり、足乗せ部の折り畳み(回動)をロックするロック機構を設けたりすることが望まれている。そこで、シートがリクライニング状態かつ、足乗せ部が起立(着座可能に展開)した状態において、足乗せ部の折り畳み(回動)のロックを解除する操作を容易にする技術が課題となっている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り畳み可能な足乗せ部のロックを解除する操作を容易なものとしたシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、シートクッション及び足乗せ部を備えるシートであって、前記足乗せ部は回動可能に構成されており、前記足乗せ部の回動をロックするロック部と、前記足乗せ部のロックを解除するロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、前記足乗せ部に配置された解除操作部を備えており、前記足乗せ部は、着座者が足を乗せるための足乗せ台を複数備え、前記解除操作部は、前記複数の足乗せ台の間に配置されていることを特徴とするシートにより解決される。
【0007】
上記のように構成された本発明のシートでは、リクライニング状態かつ、足乗せ部が起立(着座可能に展開)した状態において、足乗せ部のロックを解除する操作を行いやすい。
また、上記の構成では、足乗せ台と解除操作部が干渉してしまうことが回避される。
【0009】
上記のシートにおいて、前記シートクッションは回動可能に構成され、前記足乗せ部と前記シートクッションを連結していて上下方向に延出した連結部材を備え、前記シートクッションと前記足乗せ部は、いずれか一方を操作することにより、同時に回動するとよい。
上記の構成では、足乗せ部とシートクッションが連動して同時に折り畳まれるため、折り畳みの際の操作性が向上する。
【0010】
上記のシートにおいて、前記解除操作部の操作方向と、前記足乗せ部の回動方向が同じであるとよい。
上記の構成では、一つの挙動でロックを解除して足乗せ部を折り畳む方向に倒すことが可能となる。
【0011】
上記のシートにおいて、前記足乗せ部は、凹部を有する板状部を備え、前記解除操作部は、前記凹部に配置されているとよい。
上記の構成では、解除操作部が凹部に配置されていることで、意図しないロック解除操作が行われてしまうことを回避することが可能となる。
上記のシートにおいて、前記板状部を有するフットカバーが前記足乗せ台の下側に位置するとよい。
【0012】
上記のシートにおいて、前記解除操作部は、異物の侵入を抑制するために開口を一部塞ぐように設けられた異物侵入抑制部を備えているとよい。
上記の構成では、異物が凹部に入ることが抑制される。
【0013】
上記のシートにおいて、前記解除操作部は、操作部と軸を備える回転式レバーであるとよい。
上記の構成では、解除操作部を回転式とすることで、狭い箇所であっても操作に必要なストロークを確保することが可能となる。
【0014】
前記課題は、シートクッション及び足乗せ部を備えるシートであって、前記足乗せ部は回動可能に構成されており、前記足乗せ部の回動をロックするロック部と、前記足乗せ部のロックを解除するロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、前記足乗せ部に配置された解除操作部を備えており、前記シートの幅方向に設けられた一対のサイドフレームを備え、前記シートクッションは、前記一対のサイドフレームに取り付けられており、前記ロック部は、前記シートクッションの裏面と、前記サイドフレームに取り付けられていることを特徴とするシートにより解決される
上記の構成では、ロック機構に連結された箇所においても乗員の荷重を受けることが可能となる。
【0015】
前記課題は、シートクッション及び足乗せ部を備えるシートであって、前記足乗せ部は回動可能に構成されており、前記足乗せ部の回動をロックするロック部と、前記足乗せ部のロックを解除するロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、前記足乗せ部に配置された解除操作部を備えており、前記ロック部は、前記シートの幅方向において両側に配置されていることを特徴とするシートにより解決される
上記の構成では、ロック機構をシート幅方向の両側に配置することで、ロック解除操作部をバランスよく回動させることが可能となる。
【0016】
上記のシートにおいて、シート幅方向における両側の前記ロック部の間の距離は、前記乗物用シートの幅方向における足乗せ部の幅よりも大きいとよい。
上記の構成では、ロック機構と足乗せ部が干渉することが回避される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシートによれば、乗員が着座していない状態で足乗せ部のロックを解除する操作を行いやすい。
また、本発明のシートによれば、足乗せ台と解除操作部が干渉してしまうことが回避される。
また、本発明のシートによれば、足乗せ部とシートクッションが同時に折り畳まれるため、折り畳みの際の操作性が向上する。
また、本発明のシートによれば、一つの挙動でロックを解除して足乗せ部を折り畳む方向に倒すことが可能となる。
また、本発明のシートによれば、解除操作部が凹部に配置されていることで、意図しないロック解除操作が行われてしまうことを回避することが可能となる。
また、本発明のシートによれば、異物が凹部に入ることが抑制される。
また、本発明のシートによれば、解除操作部を回転式とすることで、狭い箇所であっても操作に必要なストロークを確保することが可能となる。
また、本発明のシートによれば、ロック機構に連結された箇所においても乗員の荷重を受けることが可能となる。
また、本発明のシートによれば、ロック機構をシート幅方向の両側に配置することで、ロック解除操作部をバランスよく回動させることが可能となる。
また、本発明のシートによれば、ロック機構と足乗せ部が干渉することが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る乗物用シートの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る乗物用シートの正面図である。
図3】説明のために一部構成を除いた状態の本発明の実施形態に係る乗物用シートの斜視図である。
図4】ベース部材及びグリップを示す説明図である。
図5】ベース部材を介してシートバックフレームの縁部に取り付けられたグリップ及びシートベルト取り付け部を示す説明図である。
図6】フットカバーの裏面を示す説明図である。
図7】フットカバーの凹部に設けられた解除レバーの状態を示す説明図である。
図8】フットカバーを除いた状態の本発明の実施形態に係る乗物用シートの下面図である。
図9】踵当て部を示す説明図である。
図10】シートクッションの裏面に設けられたロック機構を示す説明図である。
図11】ロック機構を示す説明図である。
図12A】解除レバーの正面図である。
図12B】解除レバーの側面図である。
図12C】解除レバーの底面図である。
図13】解除レバーの取り付け状態を示す説明図である。
図14】解除レバーを取り外した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1乃至14を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係るシートを、宇宙船(乗物の一例)に搭載されるシートに適用した場合について説明する。
【0020】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0021】
本明細書における方向を示す用語に関し、図1のように各方向を定義する。具体的には、以下の説明中、「前後方向」とは、乗物用シートの着座者から見たときの前後方向を意味する。「シート幅方向」とは、乗物用シートの着座者から見たときの左右方向と一致する。また、「上下方向」とは、乗物用シートの着座者から見たときの上下方向と一致する。
【0022】
<乗物用シートの主要構成>
本実施形態に係る乗物用シート1は、図1に示す外観を有している。図2は、乗物用シート1の正面図である。図3は説明のために乗物用シート1の一部構成を除いた状態を示す斜視図である。
【0023】
乗物用シート1は、乗物用シート1を乗物に固定するための固定フレームである固定サイドフレーム2と固定架橋フレーム3、着座者の頭部を支えるヘッドレスト10、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック20、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション30、着座者の足を支える足乗せ部40を主な構成要素として備える。
【0024】
(固定フレーム)
固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3は、乗物に固定された固定フレームであり、例えば鉄等の金属により構成される。以下、固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3を総称して固定フレームとも呼ぶ。図1乃至3に示すように、乗物用シート1において、固定サイドフレーム2は平行に離間して2本設けられており、固定架橋フレーム3は固定サイドフレーム2と直交するように設けられている。本実施形態では、2本の固定サイドフレーム2の上下の端部を固定架橋フレーム3によって連結をすることで、フレームの剛性を高めている。また、固定サイドフレーム2のヘッドレスト10とシートバック20の間に対応する位置にも固定架橋フレーム3を配置することで、乗員の頭部付近におけるフレームの剛性を高めている。
【0025】
図2に示すように、固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3は、略矩形状に配置されている。固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3は宇宙船の乗員室の床に取り付けられる。この場合には、乗員は、乗員室の床に対して仰向けの状態で乗物用シート1に着座することとなる。
【0026】
また、図1及び2に示すように、乗員の足入れを抑制する板状のフレームである上部足入れ抑制部材4と下部足入れ抑制部材5が、2本の固定サイドフレーム2の間に設けられている。足入れ抑制部材を設けることで、乗員が乗物用シート1の固定フレームに足入れしてしまうことを抑制することが可能となるとともに、フレームの剛性が高まるという効果を奏する。足入れ抑制部材は、金属など適切な合成を有する材料で形成すればよく、図1に示すように穴を設けて軽量化してもよい。
【0027】
また、本実施形態に係る乗物用シート1は、図1及び2に示すように、左右の固定サイドフレーム2の中間付近の位置に、乗員が把持することが可能なグリップ7を備えている。図4及び図5に示すように、グリップ7は、グリップ基部7aと組み合わされ、ベース部材6及びシートバックフレーム21の縁部21bを介して固定サイドフレーム2に取り付けられている。乗物用シート1に着座した乗員に荷重が生じた場合であっても、乗員がグリップ7を把持することで、踏ん張ることが可能となる。また、板状のベース部材6は、固定サイドフレーム2の剛性を向上させる効果も奏する。なお、グリップ7を固定サイドフレーム2に取り付ける位置は、適宜調整可能である。
【0028】
本実施形態に係る乗物用シート1は、乗員を固定するための不図示のシートベルト(6点式ベルト)を取り付けるためのシートベルト取り付け部を備えている。図1に示すように、ヘッドレスト10とシートバック20の間に対応する位置の固定架橋フレーム3には、シート幅方向において、左右の固定サイドフレーム2の近傍に、シートベルト取り付け部8(肩口)がそれぞれ1つずつ設けられている。また、ベース部材6のグリップ7とは反対側に、シートベルト取り付け部8がシート幅方向において、それぞれ1つずつ設けられている。さらに、後述する足乗せ部40にも、2カ所の取り付け部を備えるシートベルト取り付け部46が設けられている。なお、これらのシートベルト取り付け部を設ける位置は、乗員や、シートベルトの配置に合わせて適宜調整すればよい。
【0029】
不図示のシートベルト(6点式ベルト)は、肩口において乗員の状態を押さえつけるように配置され、甲側において若干シート幅方向内側に傾斜するよう配置される。なお、シートベルトは、後述するシートベルト挿通孔15やシートベルト挿通孔33を介して配置され、シートベルト取り付け部にシートベルトの端部が係合されることで、乗物用シート1へと取り付けられる。
【0030】
また、図3に示すように、固定サイドフレーム2には、後述するロック機構を覆うロック部カバー69が設けられており、ロック機構のハーネス68が、ロック部カバー69から足乗せ部40へと延出している。
【0031】
(ヘッドレスト10)
ヘッドレスト10は、乗員の頭部を支持する部材であり、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等のカーボン樹脂により構成されるヘッドレストフレーム11と、ヘッドレストフレーム11に載置されたパッド部材を備えている。本実施形態では、ヘッドレスト10のヘッドレストフレーム11は、図3に示すようにヘッドレスト支持部材16を介して固定サイドフレーム2に取り付けられている。すなわち、ヘッドレスト支持部材16は、一端が固定サイドフレーム2に固定されているとともに、他端がヘッドレストフレーム11に固定されている。なお、ヘッドレスト支持部材16は、例えばアルミ等の金属により構成されることとしてよい。
【0032】
図2に示すように、ヘッドレスト10のヘッドレストフレーム11の着座者側には、シート幅方向に設けられたパッド部材12及びパッド部材14と、ヘッドレスト10の中央領域(パッド部材12とパッド部材14の間の領域)に設けられたパッド部材13が設けられている。パッド部材を複数の部材に分割することで、意匠性と生産性が向上する。また、パッド部材を不図示の表皮で包む場合に、パッド部材が一体で形成されていると、表皮が浮き上がってしまうが、パッドを分割することで、表皮の浮き上がりを抑制することが可能となる。
【0033】
(シートバック20)
シートバック20は、乗員の背部及び腰部を支持する部材であり、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成されるシートバックフレーム21と、シートバックフレーム21に載置されたパッド部材を備えている。シートバック20のシートバックフレーム21は、ヘッドレスト10側に湾曲した上部においてヘッドレストフレーム11と連続して形成されている。また、シートバックフレーム21下側の縁部21bは、ベース部材6、グリップ7及びシートベルト取り付け部8とともに固定サイドフレーム2に固定されている。なお、シートバックフレーム21は、パッド部材22とパッド部材24の裏側に対応する上側の位置において、固定サイドフレーム2に固定されている。
【0034】
図2に示すように、シートバック20のシートバックフレーム21の着座者側には、着座者の背部や肩部に対応する位置におけるシート幅方向に、パッド部材22及びパッド部材24が設けられている。また、シートバック20の中央領域(パッド部材22とパッド部材24の間の領域)には、パッド部材23が設けられている。さらに、シートバックフレーム21の着座者側の下方、着座者の腰部に対応する位置には、パッド部材25が設けられている。パッド部材を複数の部材に分割することで、意匠性と生産性が向上する。また、パッド部材を不図示の表皮で包む場合に、パッド部材が一体で形成されていると、表皮が浮き上がってしまうが、パッドを分割することで、表皮の浮き上がりを抑制することが可能となる。
【0035】
図3に示すように、シートバックフレーム21の凹部21aは、乗員の体(例えば、宇宙服の形状)に合わせて形成された窪みである。シートバックフレーム21は、乗員の身体形状に沿った形状となっており、具体的には乗員の腰部に当接する部位に関しては中央からシート側方にかけて湾曲しており、乗員の上背部に当接する部位に関してはシート前方に湾曲している。また、シートバックフレーム21と、ヘッドレストフレーム11との間にはシートベルト挿通孔15が設けられており、不図示のシートベルトが挿通される。なお、シートベルト挿通孔15はシート幅方向両側(左右)に1つずつ設けられている。本実施形態では、ヘッドレストフレーム11とシートバックフレーム21を一体に形成しているため、成形が容易であるとともに、乗員の頭部、頸部、背部、腰部を適切に支持することが可能となる。また、一体に形成されたヘッドレストフレーム11とシートバックフレーム21を打ち抜くことでシートベルト挿通孔15を設けることが可能であるという利点を有する。
【0036】
(シートクッション30)
シートクッション30は、乗員臀部を支持する部材である。シートクッション30は、クッションフレーム31と、クッションパッド32を備える。
【0037】
クッションフレーム31は、乗員の着座面を構成する部材であり、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成される非金属部である。図3に示すように、クッションフレーム31の着座者の股部に対応する位置には、不図示のシートベルトを挿通するためのシートベルト挿通孔33が設けられている。また、クッションフレーム31の着座者側には、クッションパッド32が載置されている。図1に示すように、クッションパッド32は、シートベルト挿通孔33を避けるように、U字に形成されている。
【0038】
クッションフレーム31のシート幅方向における左右の端部にはそれぞれが第1軸部材34挿通される孔が形成されており、クッションフレーム31はシート幅方向に設けられた第1軸部材34により固定フレーム(固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3)やシートバックフレーム21(又はヘッドレストフレーム11)に対し回動可能に取り付けられている。
【0039】
シートクッション30は、シート幅方向に設けられた第1軸部材34を回転軸として回動することで、固定フレームに対してシートクッション30の座面部が略垂直(起立した状態)となり着座可能な展開状態から、固定フレームに対して略平行となる折り畳み状態に移行する。また同様に、シートクッション30は、シート幅方向に設けられた第1軸部材34を回転軸として回動し、固定フレームに対してシートクッション30の座面部が略平行となる折り畳み状態から、固定フレームに対して略垂直(起立した状態)となる着座可能な展開状態に移行する。なお、展開状態と折り畳み状態とにおいてそれぞれシートクッション30の回動を停止させる回動停止機構を備えることとしてもよい。
【0040】
(足乗せ部40)
足乗せ部40は、乗員の脚部を支持する部材であり、フットレスト41と、フットカバー42と、足乗せ台43と、踵当て部44を主要構成要素として備えている。フットレスト41は、板状体の部材であり、シート左右方向に平行に離間して配置された2つ設けられている。フットレスト41は、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成される。本実施形態では、フットレスト41の前端部には、乗員が足を乗せる足乗せ台43と乗員が踵を当てる踵当て部44がそれぞれ取り付けられている。
【0041】
フットカバー42は、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成され、足乗せ部40の下面を形成している。フットカバー42の裏面には、後述するロック解除部のロック解除操作部(解除レバー60)が設けられている。図6及び図7に示すように、フットカバー42の板状部42aは前方に湾曲部42cを有してしている。また、足乗せ台43等が設けられる表面側とは反対の裏面側に突出する凸形状を有しており、後述する連結部材50が収容される。
【0042】
図6及び8に示すように、フットカバー42は、リベット42dによってフットレスト41と連結されている。また、フットカバー42には、後述する解除レバー60が配置される凹部42bが設けられている。ここで、フットカバー42の板状部42aは、その先端側(シート前方側、図6及び7において上側)に湾曲部42cが形成されており、解除レバー60を操作する時に、操作者が手をかけやすい構成となっている。
【0043】
足乗せ台43は、前端部及びシート外側の側端に壁部が形成され、乗員の足部が足乗せ台43よりもシート前方やシート外側にずれないように支持可能となっている。また、足乗せ台43の後端部には踵当て部44が設けられており、乗員の踵が踵当て部44よりもシート後方にずれないように支持可能となっている。なお、乗員の踵部とは、乗員が靴を履いている場合には、靴の踵に相当し、靴を履いていない場合には足裏の後端部に相当する。図9に示すように、軸部44aに付勢部材であるバネが備えられており、踵当て部44が起き上がる方向に付勢されている。付勢された踵当て部44は、プレート44bに当接して足乗せ台43に対して約45度の角度を保つように構成されている。なお、踵当て部44を使用する際には、乗員の踵が踵当て部44に当接することによって、荷重が印加され、踵当て部44が足乗せ台43と約90度の角度をなすまで回動する。なお、足乗せ部40を折り畳む際、踵当て部44が足乗せ台43に対して直立していないため、足乗せ部40を折り畳む操作以外の特別な操作を必要とすることなく、足乗せ部40の内側に収納される。
【0044】
また、図1に示すように、左右のフットレスト41の後端部にはそれぞれ、第2軸部材45が挿通される孔が形成されており、シート幅方向に設けられた第2軸部材45によりフットレスト41が固定フレーム(固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3)やシートバックフレーム21(又はヘッドレストフレーム11)に対し回動可能に取り付けられている。また、フットレスト41の後端部には、不図示の巻きバネ(付勢部材)が配置されており、足乗せ部40が折り畳まれる方向に回動させるように付勢されているが、巻きバネ以外の付勢部材を用いて足乗せ部40を付勢することも可能である。なお、乗物用シート1が宇宙船シートとして用いられる場合、付勢部材としての巻きバネは、その付勢力が弱いものを用いることが可能である。足乗せ部40を折り畳み方向に回動させるように付勢すると、後述するロック解除操作を行うことで、スムーズに足乗せ部40が折り畳まれる。
【0045】
また、フットカバー42は、リベット42dによってフットレスト41に取り付けられているため、足乗せ部40全体が第2軸部材45により固定フレームに対し回動可能となっている。
【0046】
足乗せ部40は、シート幅方向に設けられた第2軸部材45を回転軸として回動することで、固定フレームに対して足乗せ台43が略垂直(起立した状態)となる展開状態から、固定フレームに対して略平行となる折り畳み状態に移行する。また同様に、足乗せ部40は、シート幅方向に設けられた第2軸部材45を回転軸として回動し、固定フレームに対して足乗せ台43が略平行となる折り畳み状態から、固定フレームに対して略垂直となる展開状態に移行する。なお、展開状態と折り畳み状態とにおいてそれぞれ足乗せ部40の回動を停止させる回動停止機構を備えることとしてもよい。
【0047】
<回動機構>
ここで、シートクッション30と足乗せ部40の回動を連動させるための機構について説明する。本実施形態に係る乗物用シート1は、シートクッション30と足乗せ部40の回動を連動させるように接続する連結部材50を備えている。
【0048】
(連結部材50)
図1乃至図3に示されるように、乗物用シート1には、シートクッション30と足乗せ部40とを連結する連結部材50が設けられる。連結部材50は、上下方向(長手方向)に延出した部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される。
【0049】
図1乃至3に示されるように、シートクッション30の座面部の裏面30a側には第1連結部材35が設けられており、第1連結部材35には、連結部材50の上端部である第1端部51が連結されている。なお、第1連結部材35に形成された孔と、第1端部51に形成された孔に軸部材36が挿通され両者を連結することで、シートクッション30と連結部材50とは軸部材36を中心として回転可能となっている。
【0050】
連結部材50の下端部である第2端部52はT字部を有し、T字部のシート幅方向の端部がそれぞれ足乗せ部40に設けられた第2連結部材47に挿通されることで、連結部材50と足乗せ部40とを連結している。なお、足乗せ部40は第2端部52を中心として回転可能となっている。第2連結部材47は、足乗せ部40に設けられる足乗せ台43と、第2軸部材45の取り付け箇所との間に設けられている。
【0051】
乗物用シート1においては、シートクッション30、足乗せ部40、連結部材50、固定フレームに対して固定された第1軸部材34及び第2軸部材45によりリンク機構を構成することにより、シートクッション30と足乗せ部40の回動が連動するようになっている。
【0052】
(回動動作について)
以下、乗物用シート1のシートクッション30及び足乗せ部40を展開状態から折り畳み状態に回動させるときの両者の動きについて説明する。
【0053】
図1には、着座可能に展開した状態の乗物用シート1の斜視図を示す。図1に示されるように、シートクッション30及び足乗せ部40は、固定フレーム(固定サイドフレーム2及び固定架橋フレーム3)に対して起立した(すなわち垂直)状態となっており、乗員が着座することが可能となっている。
【0054】
後述するロック機構(ロック部)のロックを解除することで、図1に示す状態から、足乗せ部40をシートクッション30側に倒すことが可能となる。すなわち、足乗せ部40は第2軸部材45を中心としてシートクッション30側に回動するとともに、連結部材50により足乗せ部40と接続されたシートクッション30は、第1軸部材34を軸としてシートバック20側に回動する。そして、足乗せ部40をシートクッション30側に倒し続けると、折り畳み状態で停止する。
【0055】
折り畳み状態においては、シートクッション30の座面部が固定フレームと略平行となり、シートクッション30の座面部と固定フレームとが最も近接することとなる。また同様に、足乗せ部40の足乗せ台43が固定フレームと略平行となり、足乗せ部40の足乗せ台43と固定フレームが最も近接することとなる。そのため、折り畳み状態においては、乗物用シート1の可動部材であるシートクッション30と足乗せ部40を固定フレームに近接させ、乗物用シート1の可動部材をコンパクトに収容することが可能となる。
【0056】
本実施形態に係る乗物用シート1によれば、シートクッション30と足乗せ部40とを、固定フレームに取り付けられる第1軸部材34、第2軸部材45に対して連動して回動させる機構が、簡易かつ軽量な構造で実現される。また、シートクッション30と足乗せ部40が同時に折り畳まれるため、折り畳みの際の操作性が向上している。また、シートクッション30と足乗せ部40が、第1軸部材34、第2軸部材45、及びこれらから離間した連結部材50に連結されているため、乗員の荷重がかかるシートクッション30と足乗せ部40の強度を向上させることが可能となる。
【0057】
また、図1に示されるように、乗物用シート1では、シートクッション30を回動させるための力点となる第1連結部材35と、支点となる第1軸部材34とを離したことにより、小さな力でシートクッション30を回動させることが可能である。すなわち、足乗せ部40をシートクッション30側に倒すことで、シートクッション30を容易に回動させることが可能であるため、シートクッション30と足乗せ部40とを折り畳む労力が軽減される。同様に、折り畳み状態からシートクッション30と足乗せ部40とを着座可能な状態にまで展開させる労力も軽減される。
【0058】
また、シートクッション30の着座面を構成するクッションフレーム31をCFRP等の非金属の材料により構成したことで、シートクッション30の着座感を向上させることが可能となる。
【0059】
また、連結部材50をシートクッション30の裏面30aと、足乗せ部40の足乗せ台43の後部とに接続したことで、連結部材50を乗物用シート1に着座した乗員と干渉しない位置に配置することが可能である。
【0060】
また、乗物用シート1では、乗員の体(例えば、宇宙服の形状)に合わせてヘッドレスト10やシートバック20(特にシートバックフレーム21の凹部21a)が形成されているとともに、乗員の体を包み込むようにパッド部材が設けられているため、乗員の着座姿勢を安定させることが可能である。また、乗員への前方や側方からの衝撃を吸収することが可能となる。
【0061】
<ロック機構及びロック解除機構>
本実施形態に係る乗物用シート1は、シートクッション30及び足乗せ部40の回動状態をロックするロック機構(ロック部)と、ロックを解除するためのロック解除機構(ロック解除部)を備えている。以下、ロック機構及びロック解除機構について詳細に説明する。
【0062】
(ロック機構R)
本実施形態に係る乗物用シート1が備えるロック機構R(ロック部)について、図10及び11を参照して説明する。ロック機構Rは、シート幅方向における両側に設けられており、シートクッション30(クッションフレーム31)の裏面30aに設けられたストライカ70と、ストライカ70に係合するロック部材73と、ロック部材73を付勢する付勢部材72と、ロック解除機構のハーネス68と付勢部材72を接続するリンク機構71と、を主構成要素とする。ロック機構Rは、図3に示すように、ロック部カバー69によって覆われている。なお、図11では、説明のために、一方のロック機構Rのみを図示している。
【0063】
図10及び11に示すように、解除レバー60が非操作位置にある時には、ストライカ70とロック部材73のストライカ係合凹部76が係合しており、シートクッション30は回動不能にロックされている。
【0064】
ここで、ロック解除機構の解除レバー60を回動操作されると、図11に示すように、ハーネス68にロックを解除する動力(F1)が作用する。ハーネス68の端部はリンク機構71と接続されており、リンク機構71を介して、付勢部材72を伸長させる力(F2)が伝達される。次に、付勢部材72が引き伸ばされることで、ロック部材73を回転させる力(F3)が生じる。そして、ロック部材73が回動軸74を軸として回転することで、ストライカ70とストライカ係合凹部76の係合が解除される。このようにして、ロックが解除されることで、シートクッション30及びシートクッション30と連結部材50を介して接続された足乗せ部40を回動させることが可能となる。
【0065】
(ロック解除機構)
次に、本実施形態に係る乗物用シート1が備えるロック解除機構(ロック解除部)について、図6乃至8及び図12乃至14を参照して説明する。ロック解除機構は、足乗せ部40のフットカバー42の裏面に設けられた解除レバー60(解除操作部)と、ハーネス68とを主構成要素とする。
【0066】
図6及び7に示すように、解除レバー60は、足乗せ部40を構成するフットカバー42の凸形状の板状部42aに設けられた開口である凹部42bに配置されている。図12A乃至図12Cに示すように、解除レバー60は、ロック解除操作を行う際に操作される操作部61と、操作部61を操作する際に、指を挿入する凹部62と、異物の侵入を抑制するための異物侵入抑制部63を備えている。図12Bに側面図を示すように、解除レバー60は回動軸孔65aを備えており、後述する回動軸65bが挿入可能に構成されている。また、解除レバー60の側面には、ワイヤ係止部64a及びワイヤ挿通孔64bが設けられており、ロック解除の動力を伝達するハーネス68の端部を挿通及び係止されるように構成されている。
【0067】
図13及び14に示すように、ベース部材67が左右のフットレスト41に取り付けられており、ベース部材67の両端部は回動軸65bと回動軸65b付勢する巻きバネ66をそれぞれ備えている。そして、解除レバー60の回動軸孔65aには、回動軸65bが挿通されており、解除レバー60は巻きバネ66によって非操作位置に付勢されている。ここで、非操作位置とは、図13において、解除レバー60がベース部材67(ベース部材67の先端部67a)から最も遠ざかるまで回動した位置である。また、解除レバー60のワイヤ係止部64a及びワイヤ挿通孔64bにはハーネス68の端部が挿通されて係止されており、解除レバー60を操作して回動させると、ハーネス68を介してロック解除の動力が前述したロック機構Rに伝達されるように構成されている。
【0068】
ロックを解除する際には、解除レバー60の操作部61を持ち上げるように回動させる。図13に矢印で示すように、解除レバー60をベース部材67の先端部67aに近づいた位置であるロック解除位置に回動させる。解除レバー60をロック解除位置まで回動させることで、ハーネス68にロックを解除するための動力が作用する。ここで、解除レバー60の操作部61を持ち上げるように回動させるのを止めると、巻きバネ66の付勢力により、解除レバー60は回動して、非操作位置(図3に示す位置)へと戻る。
【0069】
フットカバー42の板状部42aは、凹部42bの上側に、湾曲形状が形成されており、解除レバー60を持ち上げるように回動させる操作を行う時に、操作者が手をかけやすい構成となっている。また、解除操作部である解除レバー60の操作方向(ロック解除操作の方向)と、足乗せ部40の回動方向が同じであるため、一つの動作(挙動)によって、ロックの解除と足乗せ部40(及びシートクッション30)の折り畳みを行うことが可能となっている。
【0070】
上記のように構成された、本実施形態に係る乗物用シート1は、足乗せ部40にロックを解除するための解除レバー60が設けられているため、シートバックが寝かされた状態(リクライニング状態)かつ、足乗せ部40が起立した状態において、足乗せ部40(及びシートクッション30)のロックを解除する操作を行いやすい。
【0071】
また、解除レバー60が、足乗せ台43を避けて配置されているため、足乗せ台43と解除レバー60が干渉してしまうことが回避される。
【0072】
また、解除レバー60が、フットカバー42の凸形状の板状部42aに設けられた開口である凹部42bに配置されているため、意図しないロック解除操作が行われてしまうことを回避することが可能である。
【0073】
また、解除レバー60が、異物の侵入を抑制するための異物侵入抑制部63を備えているため、異物が凹部42bに入ることが抑制される。
【0074】
また、解除レバー60は、操作部61と回動軸65bを備える回転式レバーであるため、狭い箇所であってもロック解除操作に必要なストロークを確保することが可能である。
【0075】
また、乗物用シート1は、シート幅方向に設けられた一対の固定サイドフレーム2を備えており、シートクッション30は、一対の固定サイドフレーム2に取り付けられており、ロック機構Rは、シートクッション30の裏面30aと、固定サイドフレーム2に取り付けられているため、ロック機構Rに連結された箇所においても乗員の荷重を受けることが可能である。
【0076】
また、ロック機構Rが、シート幅方向において両側に配置されているため、解除レバー60をバランスよく回動させることが可能である。
【0077】
また、ロック機構Rは、シート幅方向において両側に配置され、シート幅方向における両側のロック機構Rの間の距離L(図10)は、乗物用シートの幅方向における足乗せ部40(フットカバー42)の幅l(図3)よりも大きいため、ロック機構Rと足乗せ部40が干渉することが回避される。
【0078】
<変形例>
ロック機構は、シートクッション30及び足乗せ部40が着座可能な展開状態である場合、折り畳み状態である場合において作動するものとしてよい。こうすることで、意図しない場合にシートクッション30及び足乗せ部40が回動してしまうことが抑制される。
【0079】
また、ヘッドレスト10、シートバック20の固定サイドフレーム2に対する取り付け位置を調整する機構を設けてもよい。これにより、乗物用シート1を乗員の体格に合わせることが可能となる。
【0080】
また、上記の実施形態における乗物用シート1を構成する各部材の材料は一例であり、他の材料により構成してもよい。
【0081】
また、上記の実施形態において、足乗せ部40に踵当て部44を設けることとしたが、踵当て部44を設けなくともよい。
【0082】
また、連結部材50の少なくとも一部が、固定サイドフレーム2や固定架橋フレーム3と直接又は他の部材(例えば糸等)を介して間接的に接触していても構わない。
【0083】
また、上記の実施形態において、解除操作部の例として、回転式の解除レバー60を例として示したが、解除操作部は、プッシュ式、ボタン式、引っ張り式など、他の方式によるものであってもよい。
【0084】
また、上記の実施形態において、グリップ7を固定サイドフレーム2に取り付けた例を示したが、グリップを取り付ける部材は固定フレームに限定されるものではなく、例えば、シートクッション30にグリップを配置することも可能である。シートクッション30に、グリップを取り付ける場合、シートバックフレーム21に窪み形状又は穴を設けてシートクッション30を折り畳んだ際に、その窪み形状又は穴にグリップが収容されるようにすればよい。
【0085】
また、上記の実施形態において、グリップ7を棒状の部材として例示したが、グリップの形状はこれに限定されるものではなく、グリップの形状をコの字型(U字型)とすることも可能である。
【0086】
以上、本実施形態に係るシートを、乗物の一種である宇宙船に搭載されるシートを例として説明した。本実施形態に係るシートは、宇宙船に搭載されるシートに限定されるものではなく、足乗せ部を備えるシートであれば適用することが可能である。本実施形態に係るシートは、好ましくは、リクライニング可能に構成され、シートバックを倒した状態で用いられるシートであるとよいが、そのようなシートに限定されるものではない。例えば、本発明のシートは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物に搭載される車両用シートや、地上以外を移動する航空機や船舶などに搭載されるシート、又は乗物用シート以外の椅子(例えば、事務椅子、介護椅子、マッサージチェア等の各種椅子)であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 乗物用シート(シート)
2 固定サイドフレーム(サイドフレーム)
3 固定架橋フレーム
4 上部足入れ抑制部材
5 下部足入れ抑制部材
6 ベース部材
6a 開口
6b 開口
7 グリップ
7a グリップ基部
8 シートベルト取り付け部
10 ヘッドレスト
11 ヘッドレストフレーム
12,13,14 パッド部材
15 シートベルト挿通孔
16 ヘッドレスト支持部材
20 シートバック
21 シートバックフレーム
21a 凹部
21b 縁部
22,23,24,25 パッド部材
30 シートクッション
30a 裏面
31 クッションフレーム
32 クッションパッド
33 シートベルト挿通孔
34 第1軸部材
35 第1連結部材
36 軸部材
40 足乗せ部
41 フットレスト
42 フットカバー
42a 板状部
42b 凹部
42c 湾曲部
42d リベット
43 足乗せ台
44 踵当て部
44a 軸部
44b プレート
45 第2軸部材
46 シートベルト取り付け部
47 第2連結部材
50 連結部材
51 第1端部
52 第2端部
60 解除レバー(解除操作部)
61 操作部
62 凹部
63 異物侵入抑制部
64a ワイヤ係止部
64b ワイヤ挿通孔
65a 回動軸孔
65b 回動軸
66 巻きバネ
67 ベース部材
67a 先端部
68 ハーネス
R ロック機構(ロック部)
70 ストライカ
71 リンク機構
72 付勢部材
73 ロック部材
74 回動軸
75 係止部
76 ストライカ係合凹部
77 ロック部カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14