(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】マイクロニードルアレイアセンブリ、及びそのようなアセンブリを有する流体送達装置
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20220330BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20220330BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220330BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220330BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A61M37/00 514
A61M37/00 512
A61K9/00
A61K47/04
A61K47/34
A61K9/70
(21)【出願番号】P 2018556458
(86)(22)【出願日】2017-04-17
(86)【国際出願番号】 US2017027891
(87)【国際公開番号】W WO2017189259
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-13
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517284522
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ラッセル・エフ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-139547(JP,A)
【文献】特表2013-514130(JP,A)
【文献】国際公開第2009/038198(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61K 9/00
A61K 47/04
A61K 47/34
A61K 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードルアレイアセンブリであって、
複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイと、
複数の供給チャンネルを含む分配マニホールドであって、前記複数の供給チャンネルは、前記分配マニホールドの底面に沿って長手方向に延在する複数の実質的に平行な等間隔の供給チャンネルであり、各供給チャンネルは複数の抵抗チャンネルに流体連通して連結され、前記複数の抵抗チャンネルの各抵抗チャンネルは、複数の排出チャンネルの対応する1つに流体連通して連結され、前記複数の排出チャンネルの各排出チャンネルは、前記複数のマイクロニードルのそれぞれの1つに流体連通して連結される、該分配マニホールドとを含み、
前記複数の抵抗チャンネルの各抵抗チャンネルを通る流体の流れに対する抵抗値は、前記供給チャンネルを通る前記流体の流れに対する抵抗値より約5倍ないし約100倍大きい範囲であり、チャンネルの前記抵抗値は、単位流入圧力及び単位流量あたりの前記チャンネルの前後で圧力降下で表されることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記複数の抵抗チャンネルの各抵抗チャンネルを通る前記流体の流れに対する前記抵抗値は、前記供給チャンネルを通る前記流体の流れに対する前記抵抗値より少なくとも約30倍大きいことを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記複数の抵抗チャンネルの各抵抗チャンネルは、前記流体の流れに対する前記抵抗チャンネルの前記抵抗値を増加させるために、前記流体の流れに対して蛇行した流路を形成することを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記分配マニホールドは、前記供給チャンネル及び前記複数の抵抗チャンネルを画定すべくカバー基板に連結されたベース基板を含むことを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記分配マニホールドは、前記供給チャンネルに流体連通して上流に連結された流入チャンネルをさらに含み、
前記複数の排出チャンネルの各排出チャンネルは、前記抵抗チャンネルのそれぞれの1つに流体連通して下流に連結されることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記流入チャンネルと、前記複数の排出チャンネルの各排出チャンネルとの間の圧力降下は、実質的に同一であることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記分配マニホールドは、ガラス、シリコン、及びポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーのうち1つ以上から製造されることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの排出口における流体の流れの圧力は、約2kPaないし約50kPaの間の範囲であることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項9】
流体送達装置であって、
流体を収容するリザーバと、マイクロニードルアレイアセンブリとを含み、
前記マイクロニードルアレイアセンブリは、
上流面に形成された複数の流体チャンネル及び下流面から延在する複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイ
であって、前記複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは、前記複数の流体チャンネルの対応する1つに流体連通して連結される、該マイクロニードルアレイと、
複数の供給チャンネルを含む分配マニホールドであって、前記複数の供給チャンネルは、前記分配マニホールドの底面に沿って長手方向に延在する複数の実質的に平行な等間隔の供給チャンネルであり、各供給チャンネルは
前記マイクロニードルアレイの前記上流面の前記複数の流体チャンネル
の1つ以上に流体連通して連結される
ように配設される、該分配マニホールドとを含み
、
前記複数の流体チャンネルの各流体チャンネルを通る前記流体の流れに対する抵抗値は、前記供給チャンネルを通る前記流体の流れに対する抵抗値の約5倍ないし約100倍大きい範囲であり、チャンネルの前記抵抗値は、単位流入圧力及び単位流量あたりの前記チャンネルの前後で圧力降下で表されることを特徴とする流体送達装置。
【請求項10】
請求項9に記載の流体送達装置であって、
前記複数の流体チャンネルの各流体チャンネルを通る前記流体の流れに対する前記抵抗値は、前記供給チャンネルを通る前記流体の流れに対する前記抵抗値の少なくとも約30倍大きいことを特徴とする流体送達装置。
【請求項11】
請求項9に記載の流体送達装置であって、
前記複数の流体チャンネルの各流体チャンネルは、前記流体の流れに対する前記流体チャンネルの前記抵抗値を増加させるために、前記流体の流れに対して蛇行した流路を形成することを特徴とする流体送達装置。
【請求項12】
請求項9に記載の流体送達装置であって、
前記流体の少なくともいくらかを、前記リザーバから前記マイクロニードルアレイアセンブリに向かって流すための付勢メンバをさらに含むことを特徴とする流体送達装置。
【請求項13】
請求項12に記載の流体送達装置であって、
前記付勢メンバは、前記流体の容積の少なくとも約90%が前記リザーバから流出するまで、前記複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの排出口における前記流体の流れの圧力を約20kPa(2.9psi)以上に維持するように構成されることを特徴とする流体送達装置。
【請求項14】
請求項9に記載の流体送達装置であって、
前記分配マニホールドは、前記供給チャンネル及び前記リザーバと流体連通して上流に連結された流入チャンネルをさらに含むことを特徴とする流体送達装置。
【請求項15】
請求項14に記載の流体送達装置であって、
前記流入チャンネルと、前記複数のマイクロニードルの各マイクロニードルとの間の圧力降下は実質的に同一であることを特徴とする流体送達装置。
【請求項16】
請求項9に記載の流体送達装置であって、
前記分配マニホールドは、ガラス、シリコン、及びポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーのうち1つ以上から製造されることを特徴とする流体送達装置。
【請求項17】
請求項9に記載の流体送達装置であって、
前記複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの排出口における前記流体の流れの圧力は、約2kPaないし約50kPaの範囲であることを特徴とする流体送達装置。
【請求項18】
マイクロニードルアレイアセンブリであって、
複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイと、分配マニホールドとを含み、
前記複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは開口部を含み、
前記分配マニホールドは、流入チャンネルと、前記分配マニホールドの底面に沿って長手方向に延在する複数の実質的に平行な等間隔の複数の供給チャンネルと、複数の排出チャンネルとを含み、
前記複数の供給チャンネルの各供給チャンネルは、前記流入チャンネルに、及び前記複数の排出チャンネルの対応する1つに流体連通して連結され、
前記複数の排出チャンネルの各排出チャンネルは、前記複数のマイクロニードルのそれぞれの1つに流体連通して連結され、
前記流入チャンネルと前記複数の排出チャンネルの各排出チャンネルとの間の圧力降下は、実質的に同一であることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記複数の供給チャンネルの各供給チャンネルは、流体の流れに対する前記供給チャンネルの抵抗を増加させるために前記流体の流れに対して蛇行した流路を形成することを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【請求項20】
請求項18に記載のマイクロニードルアレイアセンブリであって、
前記分配マニホールドは、ガラス、シリコン、及びポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーのうち1つ以上から製造されることを特徴とするマイクロニードルアレイアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、流体送達装置に関し、より詳細には、流体送達装置のマイクロニードルアセンブリと共に使用するためのマイクロ流体分配マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルアセンブリを用いる薬物の経皮送達のための様々な装置が開発されてきた。マイクロニードルアセンブリは、それよりも大きな従来のニードルと比較して、患者が感じる痛みの量を減少させることを容易にする。ニードルを用いた従来式の皮下(及び、しばしば筋肉内)の薬物送達は、一度に大量の薬物を送達するように動作し、これにより薬剤のバイオアベイラビリティが急増することがあった。いくつかの薬物の場合はこのことは重要な問題ではないが、多くの薬物は、患者の血流が定常状態の濃度を有することによって恩恵を受ける。経皮送達装置は、長時間にわたって実質的に一定の流量で、薬物を徐々に投与することができる。しかしながら、マイクロニードルアセンブリの各マイクロニードルを通って送達される薬物の量は、等しくなくてもよい。あるいは、経皮薬物送達装置は、様々な流量で薬物を投与することができる。したがって、経皮薬物送達装置は、従来の薬物送達方法と比較していくつかの利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、マイクロニードルアレイアセンブリが提供される。マイクロニードルアレイアセンブリは、複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイと、供給チャンネルを含む分配マニホールドとを含む。供給チャンネルは、複数の抵抗チャンネルに流体連通して連結される。各抵抗チャンネルは、複数のマイクロニードルのそれぞれ1つに流体連通して連結される。複数の抵抗チャンネルの各抵抗チャンネルを通る流体の流れに対する抵抗値は、供給チャンネルを通る流体の流れに対する抵抗値の約5倍ないし約100倍大きい範囲である。
【0004】
別の態様では、流体送達装置が提供される。流体送達装置は、流体を収容するリザーバと、マイクロニードルアレイアセンブリとを含む。マイクロニードルアレイアセンブリは、上流面に複数の流体チャンネルが形成されたマイクロニードルアレイと、下流面から延びる複数のマイクロニードルとを含む。各マイクロニードルは、複数の流体チャンネルのそれぞれの1つに流体連通して連結される。マイクロニードルアレイはまた、複数の流体チャンネルに流体連通して連結された供給チャンネルを有する分配マニホールドを含む。複数の流体チャンネルの各流体チャンネルを通る流体の流れに対する抵抗値は、供給チャンネルを通る流体の流れに対する抵抗値の約5倍ないし約100倍大きい範囲である。
【0005】
さらに別の態様では、マイクロニードルアレイアセンブリが提供される。マイクロニードルアレイアセンブリは、複数のマイクロニードルを有するマイクロニードルアレイを含む。複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは、開口部を含む。マイクロニードルアレイはまた、流入チャンネルを有する分配マニホールドと、分配マニホールドの下流面に形成された複数の供給チャンネルと、複数の排出チャンネルとを含む。供給チャンネルの各々は、流入チャンネル及び複数の排出チャンネルのそれぞれ1つに流体連通して連結される。流入チャンネルと、複数の排出チャンネルの各排出チャンネルとの間の圧力降下は、実質的に同一である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の、これらの及び他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、よりよく理解されるであろう。図中、同様の符号は同様の部分を表す。
【0007】
【
図2】
図1に示された流体送達装置のカートリッジ及び機械的コントローラの断面図
【
図3】
図1に示された流体送達装置と共に使用するための例示的なマイクロニードルアレイアセンブリの分解概略図
【
図4】
図3のマイクロニードルアレイアセンブリの概略横断面図
【
図5】
図3のマイクロニードルアレイと共に使用するための分配マニホールドの概略平面図
【
図6】供給チャンネルの例示的な輪郭を示す、線A-Aについて得られた分配マニホールドの断面図
【
図7】マイクロニードルアレイアセンブリの一部分、及びその中の流体の流れに対する抵抗を示す図
【
図8】
図1に示された流体送達装置と共に使用するための別の例示的なマイクロニードルアレイアセンブリの分解概略図
【
図9】
図8のマイクロニードルアレイアセンブリの拡大部分概略横断面図
【
図10】分配マニホールドを含む、
図8のマイクロニードルアレイアセンブリの背面の概略平面図
【
図11】
図1に示された流体送達装置と共に使用するための別の例示的なマイクロニードルアレイアセンブリの分解概略図
【
図12】
図11のマイクロニードルアレイアセンブリの拡大部分概略横断面図
【
図13】
図11のマイクロニードルアレイアセンブリと共に使用するための分配マニホールドの背面の概略平面図
【0008】
他に示されない限り、本明細書に提供される図は、本開示の実施形態の特徴を示すことを意味する。これらの特徴は、本開示の1以上の実施形態を含む多種多様なシステムに適用可能であることが考えられる。このように、図面は、本明細書に開示された実施形態を実施するために必要とされる、当業者に知られたすべての従来の特徴を含むことを意味するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の明細書及び特許請求の範囲において複数の用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有すると定義される。単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈上他に明確に示されない限り、複数の言及を含む。用語「含む(comprising、including)」、及び「有する(having)」は包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することが意図される。「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が、起きても起こらなくてもよいことを意味し、その記載は、事象が起こる例及び起きない例を含む。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される近似の用語は、関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修飾するように適用され得る。したがって、「約(about)」、「およそ(approximately)」、及び「実質的に(substantially)」などの用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されない。少なくともいくつかの例では、近似の用語は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。本明細書、及び特許請求の範囲を通して、範囲の制限の組み合わせ、及び/または交換が可能である。そのような範囲は、特定され、文脈または言い回しが他を示さない限り、そこに含まれるすべての下位範囲を含む。
【0011】
本明細書で使用されるように、上向き、下向き、上側、下側、上部、下部などの位置的用語は、相対的な位置関係を示すために便宜上用いられるのみである。
【0012】
ここで図面を参照すると、
図1は、例示的な流体送達装置10(例えば、薬物送達装置)の断面図である。例示的な実施形態では、流体送達装置10は、容器12、カートリッジ14、及び機械的コントローラ16を含む、流体送達装置10を形成するために共に連結された複数のサブアセンブリ構成要素を含む。容器12、カートリッジ14、及び機械的コントローラ16の各々は、概して添付の図面に示される。
図1に示されるように、容器12は、流体送達装置10の本体を形成し、カートリッジ14に対して摺動可能に連結される。さらに、以下により詳細に説明するように、機械的コントローラ16はカートリッジ14に連結される。
【0013】
例示的な実施形態では、容器12は、略円錐台形状に形成され、その中に内部空間20が画定された外側本体18を含む。外側の本体は、中心軸「A」に関して実質的に対照的に形成される。外側本体18の上側のリム22は、内部空間20への開口部24を画定する。内側表面26は、リム22から外側本体18のベース壁28に向かって略垂直下向きに延在し、かつ内部空間20の周囲に延在する。
図1に示されるように、外側本体18は曲面状の外側表面30を含み、該外側表面30は、ベース壁28からリム22へ上向きに延在するにつれて内向きに全体的に傾斜している。ノッチ32は、内部空間20の周囲に延在し、内側表面26とベース壁28との交差部に形成される。ノッチは、略垂直な外壁34と、略水平な上壁36とを含む。
【0014】
例示的な実施形態では、容器12は、内部空間20内で外側本体18に連結されたコントローラ支持構造40と、外側本体18のノッチ32に連結されたマイクロニードルアレイ支持構造42とをさらに含む。さらに、コントローラ支持構造40は、マイクロニードルアレイ支持構造42に連結される。
【0015】
コントローラ支持構造40は、ノッチ32の上壁36を越えて垂直に下向きに延在する環状の下側壁部分44を含む。下側壁部分44は、下側壁部分44から径方向外向きに延在するフランジ部分46を含み、ノッチ32の上壁36に係合するように構成される。フランジ部分46は、マイクロニードルアレイ支持構造42の少なくとも一部分と係合して連結するように構成された複数のラッチメンバ56を含む。上側壁部分48では、コントローラ支持構造40は、内側傾斜表面50と、外側本体18の内側表面26から径方向内向きに延在する複数の互いに離間して配置された可撓性タブ52とを含む。可撓性タブ52の各々は、可撓性タブの自由端に、内向きに延在する突起54を含む。内向きに延在する突起54は、カートリッジ14に係合するように構成される。
【0016】
例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイ支持構造は、外側本体18の内部空間20を横切って水平方向に延在する略平面状の本体部分60を含む。外周壁62は、本体部分60の外周に関して垂直方向上向きに延在し、ノッチ32の外壁34に係合するように構成された外面64を含む。特に、外周壁62は、外壁34に実質的に平行に形成され、締まりばめによって外壁34に連結するようなサイズにされる。本明細書で使用されるように、「締まりばめ」という句は、外壁34と外周面(本体部分60)との間の気密性の値、すなわち構成要素間のラジアルすきま(radial clearance)の量を意味する。負の量のすきまは、一般にプレスフィットと呼ばれ、干渉の大きさによってその適合が中間ばめ(light interference fit)であるか締まりばめであるかが決定される。
【0017】
マイクロニードルアレイ支持構造42はまた、本体部分60の中央部分に近接して配置された垂直方向上向きに延在する中央壁66を含む。
図1に示すように、中央壁66は、カートリッジ14に連結するように構成された上部リム68を含む。マイクロニードルアレイ支持構造42はまた、本体部分60から垂直方向下向きに延在するフレーム部分70を含む。フレーム部分70は、マイクロニードルアレイアセンブリ80を、取り付け空間72内に配置された取り付け面74に連結するための取り付け空間72を画定する。
【0018】
さらに、
図1を参照すると、マイクロニードルアレイ支持構造42は、マイクロニードルアレイ支持構造42から上向きに延在するマウント84に連結された少なくとも1つのカニューレ82を含む。特に、カニューレ82の下部は、マウント84との締まりばめを介してマイクロニードルアレイ支持構造42を通って延びる流体通路86と流体連通して連結される。あるいは、カニューレ82は、マイクロニードルアレイ支持構造42が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な固定技術、例えば接着剤を用いてマウント84に連結されてもよい。例示的な実施形態では、カニューレ82の上部は先端が尖っており、カニューレ82がカートリッジ14の一部を突き刺すことができるように、マイクロニードルアレイ支持構造42から離れるように上向きに延びる。図示のように、カニューレ82は、マウント84に連結されたシールガスケット88を貫いて上向きに延び、流体通路86をシールするように構成される。
【0019】
例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイ支持構造42は、外側本体18のベース壁28に連結された接着層92上に実質的に完全に延在する保護剥離紙の裏紙90と、マイクロニードルアレイ支持構造42の下面の少なくとも一部分とを含む。接着層92は、流体送達装置10をユーザの皮膚表面に連結するように構成される。剥離紙の裏紙90は、流体送達装置10の使用前に、接着層92がユーザまたは任意の他の物体に連結することを防ぐように構成される。
【0020】
図2は、
図1に示した流体送達装置10のカートリッジ14及び機械的コントローラ16の断面図である。例示的な実施形態では、カートリッジ14は、中心軸「A」を有する中央本体100を含む。中央本体100は、上部キャビティ102と、流体通路106を介して流体連通するように共に連結された、その下側の下部キャビティ104とを含む。例示的な実施形態では、上部キャビティ102は、中央本体100の略凹面形の本体部分108によって画定される略凹面形の横断面形状を有する。下部キャビティ104は、凹面形の本体部分108の中央部分から略垂直下向きに延在する下部壁110によって画定される略矩形の横断面形状を有する。流体通路106の端部の上部は、上部キャビティ102の最下点で開口し、流体通路106の下部は、下部キャビティ104の中央部で開口する。流体通路106の下部は、下部キャビティ104で外向きに拡張し、略逆漏斗形の横断面形状を形成する。他の実施形態では、上部キャビティ102、下部キャビティ104、及び流体通路106の横断面形状は、中央本体100が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の形状で形成されてもよい。
【0021】
例示的な実施形態では、カートリッジ14は、中央本体100に連結されて下部キャビティ104を閉じるように構成された下部シールメンバ112を含む。下部シールメンバは、中央本体100の下部壁110のリムに密封係合するように構成された外周チャンネルを含む下部壁114によって形成される。下部キャビティ104に軸方向に延在しているのは、上部シール壁116である。下部キャップ118は、下部シールメンバ112の上に延在し、中央本体100の下部壁110に固定的に係合するように構成される。これにより下部シールメンバ112を中央本体100と密封接触した状態で固定することが容易となり、したがって下部キャビティ104が閉じられる。
【0022】
下部キャップ118は、下部シールメンバ112の下部壁114にアクセスすることを可能にする、中央に配置された開口部122を有する下部壁120を含む。下部キャップ118は、下部壁120の外周縁から上向き及び下向きに延在する垂直延在壁124を含む。例示的な実施形態では、垂直延在壁124の上側部分は、機械的ラッチ接続126によって中央本体100の下部壁110に係合する。他の実施形態では、垂直延在壁124は、例えば締まりばめ、接着剤、溶接継手(例えば、スピン溶接、超音波溶接、レーザ溶接、または熱かしめ)などによって下部キャップ118を下部壁110に固定的に係合させる任意の接続技術を用いて中央本体100の下部壁110に係合する。例示的な実施形態では、垂直延在壁124の下側部分は、シールメンバ130に係合するように構成された外周シール面128を形成する。図示のように、シールメンバ130は、本明細書に記載のように中央壁66の上部リム68に摩擦係合するように構成されたチャンネル132を含む。
【0023】
例示的な実施形態では、カートリッジ14はまた、中央本体100に連結し上部キャビティ102を閉じるように構成された上部シールメンバ134すなわち膜を含む。上部シールメンバ134は、略平坦なシール膜として形成され、上部シールメンバ134を中央本体100に密封固定することを容易にする外周縁メンバ136を含む。上部キャップ138は、上部シールメンバ134の上に延在し、中央本体100に固定的に係合するように構成される。これにより上部シールメンバ134を中央本体100と密封接触した状態で固定することが容易となり、したがって上部キャビティ102が閉じられる。
【0024】
図2に示すように、上部キャップ138は、上部シールメンバ134の外周縁メンバ136に連結するように構成された内向きに延在するフランジメンバ142を有する垂直延在壁140を含む。特に、フランジメンバ142は、中央本体100の凹形の本体部分108と協働してその間に上部シールメンバ134を圧縮し密封固定する。例示的な実施形態では、垂直延在壁140の下端は、溶接継手、例えばスピン溶接、超音波溶接、レーザ溶接、または熱かしめによって中央本体100の連結フランジ144に連結される。他の実施形態では、垂直延在壁140は、例えば接着剤などによって上部キャップ138が中央本体100に固定的に係合することを可能にする任意の接続技術を用いて連結フランジ144に連結されていてもよい。
【0025】
例示的な実施形態では、上部キャップ138はまた、垂直延在壁140の外面にそれぞれ形成された上部溝146及び下部溝148を含む。上部溝146及び下部溝148は、本明細書に記載のように、外側本体18の、複数の互いに離間して配置された可撓性タブ52、特に、可撓性タブ52の自由端で内向きに延在する突起54に係合するように構成される。さらに、上部キャップ138はまた、垂直延在壁140の上側部分に複数のラッチ受け開口部150を含む。ラッチ受け開口部150は、機械的コントローラ16に連結されるように構成されることにより、機械的コントローラ16をカートリッジ14に固定する。
【0026】
引き続き
図2を参照すると、例示的な実施形態では、機械的コントローラ16は、少なくとも1つのコントローラハウジング152と、プランジャメンバ154と、コントローラハウジング152から軸方向に離れた方向にプランジャメンバ154を付勢するためにコントローラハウジング152及びプランジャメンバ154の間に配置された付勢メンバ156とを含む。例示的な実施形態では、付勢メンバ156は、圧縮ばねである。あるいは、付勢メンバ156は、機械的コントローラ16が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意のタイプの付勢または力のプロバイダであってもよい。
【0027】
例示的な実施形態では、コントローラハウジング152は、湾曲形状またはドーム形状の横断面輪郭を有する上部壁158を含む。上部壁158から略垂直方向下向きに延在しているのは、上部キャップ138のラッチ受け開口部150とラッチ係合するように構成された複数の可撓性タブ160である。各可撓性タブ160は、
図2に示すように、それぞれのラッチ受け開口部150とのラッチ接続を提供するために可撓性タブ160の自由端に外向きに延在する突起162を含む。さらに、コントローラハウジング152は、付勢メンバ156内に延在し、付勢メンバ156の位置決めを容易にするために、上部壁158から同軸に下向きに延びる付勢メンバガイド164を含む。
【0028】
プランジャメンバ154は、ドーム状の頭部169から垂直方向上向きに同軸に延在するガイド壁166を含む。図示のように、ガイド壁は、その中に付勢メンバ156を受けるように構成され、付勢メンバガイド164の周囲に延在する。ドーム状の頭部169は、流体送達装置10の使用中、付勢メンバ156によって適用される力を介してカートリッジ14の上部シールメンバ134に係合するように構成される。
【0029】
図1に関して本明細書に記載のように、流体送達装置10は、マイクロニードルアレイ支持構造42の取り付け空間72内に位置する取り付け面74に連結されたマイクロニードルアレイアセンブリ80を含む。マイクロニードルアレイアセンブリ80は、例示的な流体送達装置10と共に使用されるものとして本明細書に記載されるが、マイクロニードルアレイアセンブリ80は、他の適切な流体送達デバイスに組み込まれて使用されてもよいことが企図される。例えば、流体送達装置10は、マイクロニードルアレイアセンブリ80の流入口または流入チャンネルに流体を送達するための他の適切なデバイスに置き換えられてもよい。
【0030】
図3は、
図1に示された流体送達装置10と共に使用するための例示的なマイクロニードルアレイアセンブリ80の分解概略図である。
図4は、
図3のマイクロニードルアレイアセンブリ80の概略横断面図である。例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイアセンブリ80は、接着層176を介して取り付け面74に接合される。マイクロニードルアレイアセンブリ80は、マイクロニードルアレイ170と、マイクロニードルアレイ170の複数のマイクロニードル178及びベース面180を少なくとも部分的にわたって覆う膜174とを含む。マイクロニードルアレイアセンブリ80はまた、マイクロニードルアレイ170の背面にわたって延在する分配マニホールド172を含み、さらなる接着層176によって分配マニホールド172に接合される。分配マニホールド172は、マイクロニードルアレイ170に流体を提供するための流体分配ネットワーク184を含む。分配マニホールド172から供給された流体は、液体製剤の形態であってもよい。膜で覆われたマイクロニードル178は、各マイクロニードル178に形成された1以上の開口部を通してユーザの皮膚に液体製剤を提供するように、ユーザの皮膚を突き刺すように構成される。
【0031】
例示的な実施形態では、膜174は、ポリマー(例えば、プラスチック)フィルムなどから製造されてもよく、接着層176を用いてマイクロニードルアレイ170に連結されてもよい。他の実施形態では、膜174は、エンボス加工された、またはナノインプリントされたポリマー(例えば、プラスチック)フィルムを含んでいてもよく、または約5ミクロンの厚さであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルムから製造されてもよい。あるいは、ドレープされた膜は、ポリプロピレンフィルムなどの任意の他の適切な材料であってもよい。マイクロニードルアレイアセンブリ80は、いくつかの実施形態では、膜174を含まなくてもよいことが企図される。
【0032】
例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイ170は、剛性、半剛性、または可撓性の材料、例えば以下に限定されないが、金属材料、セラミック材料、ポリマー(例えば、プラスチック)材料、またはマイクロニードルアレイ170が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な材料のシートから製造されてもよい。例えば、1つの適切な実施形態では、マイクロニードルアレイ170は、反応性イオンエッチング、または任意の他の適切な製造技術によってシリコンから形成され得る。
【0033】
図4に示すように、マイクロニードルアレイ170は、マイクロニードルアレイ170の背面182から外向きに延びる複数のマイクロニードル178を含む。マイクロニードルアレイ170は、流体がそれを通って流れることを可能にするために、背面182の間に延在する複数の流路208を含む。例えば、例示的な実施形態では、各流路208は、マイクロニードルアレイ170及びマイクロニードル178を通って延在する。
【0034】
各マイクロニードル178は、背面182から下向きに延在し、背面182から離れた先端210を有する穿孔または針状形状(例えば、円錐形もしくはピラミッド形、または円錐形もしくはピラミッド形に移行する円筒形)に移行するベースを含む。各マイクロニードル178の先端210は、マイクロニードルアレイ170から最も離れるように配置され、各マイクロニードル178の最小寸法(例えば、直径すなわち横断面幅)を画定する。さらに、各マイクロニードル178は、一般に、マイクロニードルアレイ170のベース面180とその先端210との間に、マイクロニードル178がユーザの皮膚を突き刺すのに十分な任意の適切な長さ「L」を画定し得る。アスペクト比は、2より大きくてもよく、3より大きくてもよく、または4より大きくてもよい。横断面幅寸法が各マイクロニードル31の長さにわたって変化する場合、アスペクト比は、平均横断面幅寸法に基づいて決定され得る。
【0035】
各マイクロニードル178のチャンネルまたは流路208は、各マイクロニードルが中空シャフトを形成するようにマイクロニードル178の内部を通って画定されてもよく、または、流体がマイクロニードルアレイ170の背面182から流れて流路208を通過し、そこでユーザの皮膚に、及び/またはユーザの皮膚を通って送達されることを可能にする下流流路を形成するように、マイクロニードルの外面に沿って延在してもよい。流路208は、任意の適切な横断面形状、例えば以下に限定されないが、半円形または円形、を画定するように構成され得る。あるいは、各流路208は、「v」形状、またはマイクロニードル178が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の他の適切な横断面形状などの非円形形状を画定してもよい。
【0036】
マイクロニードルアレイ170は、一般に、背面182から延在する任意の適切な数のマイクロニードル178を含む。例えば、いくつかの適切な実施形態では、マイクロニードルアレイ170内に含まれるマイクロニードル178の量は、約10マイクロニードル/cm2ないし約1,500マイクロニードル/cm2の範囲である。マイクロニードル178は、一般に、様々な異なるパターンで配置される。例えば、いくつかの適切な実施形態では、マイクロニードル178は、矩形または正方形の格子、または同心円などの均一な様式で互いに離間される。このような実施形態では、マイクロニードル178の間隔は、一般に、以下に限定されないが、マイクロニードル31の長さ及び幅、及びマイクロニードル31を通過して、またはマイクロニードル31に沿って送達されるように意図された液体製剤の量及びタイプを含む多数の要素に依存する。
【0037】
図5は、
図3のマイクロニードルアレイ170と共に使用するための分配マニホールドの概略平面図である。
図6は、線A-Aについて得られた分配マニホールド172の断面図であり、例示的な供給チャンネルの輪郭を示す。例示的な実施形態では、分配マニホールド172は、その中に形成された流体分配ネットワーク184を含む。流体分配ネットワークは、例えば、分配マニホールド172の上面186と底面188との間に延在する複数のチャンネル、及び/または開口部を含む。チャンネル、及び/または開口部は、複数の供給チャンネル192と流体連通して連結された、中央に位置する流入チャンネル190と、マイクロニードルアレイ支持構造42(
図1に示す)の流体通路86(
図1に示す)とを含む。例示的な実施形態では、複数の供給チャンネル192は、分配マニホールド172に沿って長手方向に延在する5つの実質的に平行な等間隔の供給チャンネル192を含む。さらに、単一の供給チャンネル192は、チャンネルのおよそ中間点で、5つの実質的に平行な等間隔の供給チャンネル192を横切って横方向に延在する。供給チャンネル192は、流入チャンネル190によって供給される流体を分配マニホールド172の領域にわたって分配することを容易にする。
【0038】
5つの実質的に平行な等間隔の供給チャンネル192はそれぞれ、複数の抵抗チャンネル194と流体連通して連結される。抵抗チャンネル194は、供給チャンネル192から離れて延在し、チャンネルの長手方向長さに沿って等間隔である。さらに、抵抗チャンネル194は、それぞれの抵抗チャンネル194の軸に沿って互いに対称に形成される。抵抗チャンネル194は、供給チャンネル192のサイズより小さいサイズを有する。さらに、抵抗チャンネル194は、流体に対して蛇行した流路を作り出すように形成され、これにより流体の流れに対する流体分配ネットワーク184の抵抗の増加を容易にする。抵抗チャンネル194のそれぞれの1つは、排出チャンネル196と流体連通して連結される。
図4に示すように、各排出チャンネル196は、マイクロニードルの流路208を通過して流体を分配するために、それぞれのマイクロニードル178と整列される。他の実施形態では、チャンネル(190、192、194、及び196)は、分配マニホールド172が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の構成で形成され得る。
【0039】
例示的な実施形態では、供給チャンネル192は、一般に幅「W」及び長さ「L」を有するU字形状を有する。チャンネルのD/W比は、約0.2ないし約2.2の範囲であるように構成される。いくつかの実施形態では、チャンネル、例えば供給チャンネル192の底部に形成されたコーナー198は、流体がチャンネルを通過して流れるときに、流体中の気泡の形成を減少することを容易にするために丸みを帯びている。それぞれのコーナー198を含むチャンネル(190、192、194、及び196)のサイズ及び形状は、所望の流量、圧力降下、及び/または製造上の制限に基づき予め決定される。
【0040】
例示的な実施形態では、分配マニホールド172は、基板に形成された流入チャンネル190と、底面204に形成された供給チャンネル192及び抵抗チャンネル194とを含むベース基板200を、カバー基板202を貫通して形成された排出チャンネル196を含むカバー基板202に接合することによって形成される。流入チャンネル190は、ドリル加工、切断、エッチング、またはベース基板200を貫通するチャンネルまたは開口部を形成するための任意の他の製造技術によってベース基板200に形成される。例示的な実施形態では、供給チャンネル192及び抵抗チャンネル194は、エッチング技術を用いてベース基板200の底面204に形成される。例えば、1つの適切な実施形態では、ウェットエッチングまたはフッ酸エッチングが、供給チャンネル192及び抵抗チャンネル194を形成するために使用される。マスクをベース基板200の底面204に適用することにより、例えば2マイクロメートル未満の精度でチャンネルの位置を形成する。エッチング材料(例えば、フッ酸)を底面204に適用して底面から材料を除去することにより、供給チャンネル192及び抵抗チャンネル194を形成する。一般に、ウェットエッチングは、約0.5のD/W比と、丸みを帯びたコーナーとを有するチャンネルをもたらす。別の適切な実施形態では、深掘り反応性イオンエッチング(DRIEまたはプラズマエッチング)が、深く高密度の、高アスペクト比構造をベース基板200に作り出すために使用され得る。DRIEエッチングは、傾きが変化する急峻な側壁と、丸みを帯びたコーナーを有する側壁とを含むチャンネルを形成することを可能にする。あるいは、供給チャンネル192及び抵抗チャンネル194は、分配マニホールド712が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の製造プロセスを用いて底面204に形成され得る。例示的な実施形態では、排出チャンネル196は、ドリル加工、切断、エッチング、及び/またはカバー基板202を貫通するチャンネルまたは開口部を形成するための任意の他の製造技術によって、カバー基板202を貫通して形成される。
【0041】
例示的な実施形態では、ベース基板200及びカバー基板202は、対面接触した状態で共に接合されることにより、分配マニホールド172の供給チャンネル192及び抵抗チャンネル194の縁部をシールする。1つの適切な実施形態では、直接接合、または直接整列接合は、ベース基板200及びカバー基板202の2つの間にプレボンド(prebond)を作り出すことによって用いられる。プレボンドは、2つの基板を直接接触させる前に、ベース基板200の底面204及びカバー基板202の上面206に接着剤を適用することを含み得る。ベース基板200及びカバー基板202の2つは、整列され、対面接触され、高温でアニールされる。別の適切な実施形態では、陽極接合は、分配マニホールド172を形成するために使用される。例えば、ベース基板200及びカバー基板202が加熱されている間に、底面204及び上面206で接合界面に電界が印加される。代替実施形態では、ベース基板200及びカバー基板202の2つは、それらを共に接合するためのベース基板200及びカバー基板202への局所的な加熱の適用を含む、レーザーによる接合プロセスを用いて共に接合されてもよい。
【0042】
例示的な実施形態では、ベース基板200及びカバー基板202は、ガラス材料から製造される。あるいは、ベース基板200及びカバー基板202は、シリコンから製造されてもよい。ベース基板200及びカバー基板202は異なる材料から製造されてもよく、例えば、ベース基板200がガラスから製造され、かつカバー基板202がシリコンから製造されてもよいことが企図される。他の実施形態では、ベース基板200及びカバー基板202は、分配マニホールド172が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の材料及び材料の組み合わせから製造されてもよい。
【0043】
図1及び
図2を参照すると、流体送達装置10の動作中、プランジャメンバ154は、付勢メンバ156を介してカートリッジ14に圧力を適用し、上部キャビティ102内に収容された流体は、カニューレ82を通過して流体通路86に流れる。流体は、分配マニホールド172の流入チャンネル190を通って流れることにより流体通路86から流出し、その後、流体は、供給チャンネル192、抵抗チャンネル194、及び排出チャンネル196を通過してマイクロニードル178の流路208に流れ、ユーザの皮膚に流れる。
【0044】
例示的な実施形態では、付勢メンバ156は、プランジャメンバ154に関連して機能し、流体は、カートリッジ14からカニューレ82を通って流体通路86に実質的に完全に移される。プランジャメンバ154及び付勢メンバ156は、約32kPa(4.6ポンド毎平方インチ(psi))ないし約120kPa(17.4psi)の範囲の初期力を提供することができる。
図1に示す流体送達装置10は、例としてのみ提供される。すなわち、マイクロニードルアレイアセンブリ80は、任意の他の適切なデバイスと共に使用されるか、任意の他の適切なデバイスに組み込まれてもよい。例えば、プランジャメンバ154、付勢メンバ156、及び/または機械的コントローラ16は、流体を流体通路86などに押し込むための他の適切な特徴に置き換えられてもよい。
【0045】
図7は、マイクロニードルアレイアセンブリの一部分、及びその中の流体の流れに対する抵抗を示す図である。マイクロニードルアレイ170の流体分配ネットワーク184は、流体で満たされていると仮定される。分配マニホールド172を通過して流れる流体は、圧力P
IN及び流量Q
INで流入チャンネル190に流入し、供給チャンネル192に運ばれる。流体が供給チャンネル192に沿って流れるとき、供給チャンネル192を通過して流れる流体に対する流れ抵抗は比較的小さく、R1、R2、及びR3によって表される。しかし、流体が抵抗チャンネル194に流入するとき、それぞれR4、R5、及びR6によって表される流れに対する抵抗は、実質的に増加する。例えば、1つの適切な実施形態では、抵抗チャンネル194を通る流れに対する抵抗(抵抗値R4、R5、及びR6によって表される)は、供給チャンネル192を通る流れに対する抵抗より少なくとも約5倍大きい。いくつかの実施形態では、抵抗チャンネル194を通る流れに対する抵抗は、供給チャンネル192を通る流れに対する抵抗より、少なくとも約30倍大きい、少なくとも約50倍大きい、約5倍ないし約100倍大きい、または約50倍ないし約100倍大きい。抵抗チャンネル194は、供給チャンネル192の横断面領域よりはるかに小さい横断面領域で製造されているため、部分的には、抵抗チャンネル194の抵抗値R4、R5、及びR6は、それぞれの抵抗値R1、R2、及びR3より顕著に高い。増加した抵抗値R4、R5、及びR6は、供給チャンネル192に沿った流体の圧力P
1、P
2、及びP
3が実質的に等しいように、抵抗チャンネル194を横切る圧力降下(例えば、P
4-P
1、P
5-P
2、P
6-P
3)をもたらす。したがって、P
1、P
2、及びP
3が実質的に等しいため、抵抗チャンネル194は、本質的に同一の大きさで製造されることにより、実質的に同一の抵抗値R4、R5、及びR6を提供することができる。マイクロニードルアレイ170の各マイクロニードル178を通る流れ抵抗は、実質的に同一であり、それぞれR7、R8、及びR9によって表される。したがって、マイクロニードル178を横切る実質的に等しい圧力降下(例えば、P
7-P
4、P
8-P
5、P
9-P
6)は、それぞれのマイクロニードル178における流量(Q
1、Q
2、及びQ
3)を実質的に同一にする。例示的な実施形態では、各マイクロニードル178を通る流量は、約0.1μL/時間ないし約20.0μL/時間の範囲である。いくつかの適切な実施形態では、各マイクロニードル178を通る流量は、約0.25μL/時間ないし約5.0μL/時間、好ましくは約1μL/時間の範囲である。
【0046】
したがって、例示的な実施形態では、抵抗チャンネル194を横切る抵抗値を実質的に増加させることによって、抵抗値R1、R2、及びR3に起因する圧力、例えばP1、P2、及びP3の理論的な差異は、本質的に排除される。したがって、任意のそれぞれのマイクロニードル178から流出する流量は実質的に同一であり、これにより、マイクロニードルアレイ170の全体をわたる流体の実質的に等しい分配を可能にする。
【0047】
例示的な実施形態では、マイクロニードル178の下流開口部における圧力P7、P8、及びP9は、約2kPa(0.29psi)ないし約50kPa(7.25psi)の範囲であり、1つの適切な実施形態では、ユーザの皮膚に流体を分配するための十分な圧力を確保するために、約20kPa(2.9psi)であることが望ましい。一般に、マイクロニードル178を横切る圧力降下は、マイクロニードル178の上面及び下面への圧力が略同一となるように小さい。マイクロニードル178を横切る抵抗は、分配マニホールド172を横切る抵抗よりはるかに小さいため、これにより、マイクロニードルアレイアセンブリ80は、マイクロニードル178の抵抗変化性の影響を実質的に受けない。例えば、例示的な実施形態では、分配マニホールド172を横切る圧力降下は、少なくとも約20kPa(2.9psi)であり、供給チャンネル192内の圧力を実質的に同一にすることを可能にする。したがって、供給チャンネル192内の圧力は、約32kPa(4.6psi)ないし約80kPa(11.6psi)の範囲であり、1つの適切な実施形態では、マイクロニードルアレイ170の排出口における20kPa(2.9psi)の排出圧力を確保するために、少なくとも約50kPa(7.25psi)であることが望ましい。
【0048】
例示的な実施形態では、付勢メンバ156は、上部キャビティ102内の流体容積の少なくとも約90%に対して約20kPa(2.9psi)以上の略連続的な流出圧力を維持するように構成される。例えば、一実施形態では、付勢メンバ156は、連続的または一定の圧力デバイス、例えば、プランジャメンバ154(
図2に示す)の移動距離にわたって力が略一定であるか、または力の変化が実質的に小さい定力コイルばねであるように構成される。一般的に、典型的なコイルばねは可変量を有する。すなわち、負荷に対するばねの抵抗は、圧縮/拡張中に変化する。したがって、例示的な実施形態では、典型的な可変量付勢メンバが使用される場合、付勢メンバは上部キャビティ102から流体を押し出すように延在するため、流体に及ぼされる力は減少する傾向がある。これにより、マイクロニードルアレイ170の排出口における排出圧力が、流体がユーザの皮膚に流体を分配することを確実にするのに望ましい20kPa(2.9psi)圧力より低くなる可能性がある。別の実施形態では、付勢メンバ156は、2つの平行なばねを含む。例えば、付勢メンバ156は、第1の長さを有する低力ばねと、低力ばねの第1の長さより短い第2の長さを有する高力ばねとを含むことができる。このような構成により、付勢メンバ156は、第1期間では高圧であり、その後の第2期間では減圧された圧力である圧力プロファイルを有することが可能になる。
【0049】
略一定の排出圧力を維持することに加えて、ユーザの皮膚への流体の略連続的な量での充填を容易にするために、増加した初期の圧力PINを有することが望ましい。付勢メンバ156が略一定な圧力デバイスでない場合、または付勢メンバによって加えられる初期圧力が比較的小さい場合、ユーザの皮膚への流体の流量は、時間とともに実質的に変化し得る。例えば、圧力量の減衰した低い初期圧力は、ユーザの皮膚への流体の充填量の初期増加を、一定時間の間遅くする、及び/または停止させることができる。多くの医薬品は、患者の血流に定常状態濃度を有することから恩恵を受けるため、略連続的な充填量を維持することが望ましい。付勢メンバの初期圧力を増加させることにより、マイクロニードルアレイ170の排出口における20kPa(2.9psi)の所望の排出圧力を依然として維持しながら、略連続的かつ略安定した充填量を維持することが容易になるということがわかる。
【0050】
図8は、
図1に示された流体送達装置10と共に使用するための別の例示的なマイクロニードルアレイアセンブリの分解概略図である。マイクロニードルアレイアセンブリ220は、例示的な流体送達装置10とともに使用されるものとして本明細書に説明されているが、マイクロニードルアレイアセンブリ220を使用してもよく、またはマイクロニードルアレイアセンブリ220を他の適切な流体送達デバイスに組み込んでもよいことが企図される。例えば、流体送達装置10は、マイクロニードルアレイアセンブリ220の流入口または流入チャンネルに流体を送達するための他の適切なデバイスと置き換えられてもよい。
図9は、
図8のマイクロニードルアレイアセンブリの概略横断面図である。例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイアセンブリ220は、接着層222を介して取り付け面74に接合される。マイクロニードルアレイアセンブリ220は、マイクロニードルアレイ224と、マイクロニードルアレイ224の複数のマイクロニードル228及びベース面230を少なくとも部分的にわたって覆う膜226とを含む。マイクロニードルアレイアセンブリ220はまた、マイクロニードルアレイ224の背面234にわたって延在し、背面234に接合される分配マニホールド232を含む。分配マニホールド232は、マイクロニードルアレイ224に流体を提供するための流体分配ネットワーク236を含む。分配マニホールド232から供給される流体は、液体製剤の形態であってもよい。膜で覆われたマイクロニードル228は、例えば、各マイクロニードル228に形成された1以上の開口部を通してユーザの皮膚に液体製剤を提供するように、ユーザの皮膚を突き刺すように構成される。
【0051】
例示的な実施形態では、膜226は、
図3及び
図4に関して本明細書で説明された、膜174と実質的に同一に形成される。膜174と同様に、マイクロニードルアレイアセンブリ220は、いくつかの適切な実施形態における膜226を含んでいなくてもよいことが企図される。
【0052】
例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイ224は、剛性、半剛性、または可撓性の材料、例えば以下に限定されないが、金属材料、セラミック材料、ポリマー(例えば、プラスチック)材料、またはマイクロニードルアレイ224が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な材料のシートから製造されてもよい。例えば、1つの適切な実施形態では、マイクロニードルアレイ224は、反応性イオンエッチング、または任意の他の適切な製造技術によってシリコンから形成され得る。
【0053】
図10は、分配マニホールド232を含む、
図8のマイクロニードルアレイアセンブリ220の背面234の概略平面図である。例示的な実施形態では、分配マニホールド232は、その中に形成された流体分配ネットワーク236を含む。流体分配ネットワークは、例えば、分配マニホールド232の上面240と底面242との間に延在する複数のチャンネル、及び/または開口部を含む。チャンネル、及び/または開口部は、複数の供給チャンネル246と流体連通して連結された、中央に位置する流入チャンネル244と、マイクロニードルアレイ支持構造42(
図1に示す)の流体通路86(
図1に示す)とを含む。例示的な実施形態では、供給チャンネル246は、分配マニホールド172に沿って長手方向に延在する。供給チャンネル246は、流入チャンネル244によって供給される流体を分配マニホールド232の領域にわたって分配することを容易にする。
【0054】
供給チャンネル246は、マイクロニードルアレイ224の背面234に形成された複数の供給トラフ248と流体連通して連結される。供給トラフ248は、供給チャンネル246から離れて延在し、各供給トラフ248が実質的に同一の流体排出圧力を有することを可能にする、流体の流れに対する抵抗を作り出すように形成される。例えば、一実施形態では、供給チャンネル246は、流体に対して蛇行した流路を形成し、これにより、チャンネルの長さによる、流体の流れに対する供給チャンネル246の抵抗の増加を容易にする。供給トラフ248のそれぞれの1つは、
図9に示すように各マイクロニードル228内に形成された開口部238と流体連通して連結される。他の実施形態では、供給チャンネル246及び供給トラフ248は、分配マニホールド232が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の構成で形成され得る。例示的な実施形態では、供給チャンネル246及び供給トラフ248は、
図6に記載の供給チャンネル192に関して本明細書で説明したように、実質的に略矩形の形状を有する。
【0055】
流入チャンネル244は、ドリル加工、切断、エッチング、または分配マニホールドを通るチャンネルまたは開口部を形成するための任意の他の製造技術によって分配マニホールド232内に形成されてもよい。例示的な実施形態では、供給チャンネル246は、エッチング技術を用いて分配マニホールド232の底面242に形成される。例えば、1つの適切な実施形態では、ウェットエッチングまたはフッ酸エッチングが、供給チャンネル246を形成するために使用される。例えば、マスクを分配マニホールド232の底面242に適用することにより、例えば2マイクロメートル未満の精度でチャンネルの位置を形成する。本明細書で説明するように、エッチング材料(例えば、フッ酸)を底面242に適用して底面から材料を除去することにより、供給チャンネル246を形成する。別の適切な実施形態では、DRIEまたはプラズマエッチングが、供給チャンネル246を作り出すために使用され得る。あるいは、供給チャンネル246は、分配マニホールド232が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の製造プロセスを用いて底面242に形成され得る。例示的な実施形態では、供給トラフは、供給チャンネル246に関して説明されたいくつかのエッチング技術を用いてマイクロニードルアレイ224の背面234に形成される。
【0056】
例示的な実施形態では、分配マニホールド232及びマイクロニードルアレイ224は、対面接触した状態で共に接合されることにより、供給チャンネル246及び供給トラフ248の縁部をシールして閉じる。1つの適切な実施形態では、直接接合、または直接整列接合は、本明細書で説明したように、分配マニホールド232及びマイクロニードルアレイ224の間にプレボンドを作り出すことによって用いられる。別の適切な実施形態では、陽極接合は、分配マニホールド232をマイクロニードルアレイ224に接合するために使用される。代替実施形態では、分配マニホールド232及びマイクロニードルアレイ224は、それらを共に接合するための分配マニホールド232及びマイクロニードルアレイ224への局所的な加熱の適用を含む、レーザーによる接合プロセスを用いて共に接合されてもよい。
【0057】
例示的な実施形態では、分配マニホールド232は、ガラス材料から製造される。あるいは、分配マニホールド232は、シリコンから製造されてもよい。マイクロニードルアレイ224はシリコンから製造される。しかしながら、他の実施形態では、マイクロニードルアレイ224は、ガラス材料から製造されてもよい。分配マニホールド232及びマイクロニードルアレイ224は、マイクロニードルアレイアセンブリ220が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の材料及び材料の組み合わせから製造されてもよい。
【0058】
この実施形態では、流体は、流入チャンネル244を介して供給チャンネル246に流入し、供給チャンネル246を満たすことにより、マイクロニードルアレイ224の背面234に形成された供給トラフ248に流体を分配する。それぞれの個々のマイクロニードル228のためのそれぞれの供給トラフ248は、分配マニホールド232の流入チャンネル244からマイクロニードル228の流路(開口部238)への流量がすべてのマイクロニードル228について同一であるように、長さが異なる。
【0059】
図11は、
図1に示された流体送達装置10と共に使用するための別の例示的なマイクロニードルアレイアセンブリ250の分解概略図である。マイクロニードルアレイアセンブリ250は、例示的な流体送達装置10と共に使用されているものとして本明細書に記載されるが、マイクロニードルアレイアセンブリ250は、他の適切な流体送達デバイスを使用していてもよく、または他の適切な流体送達デバイスに組み込まれていてもよいことが企図される。例えば、流体送達装置10は、マイクロニードルアレイアセンブリ250の流入口または流入チャンネルに流体を送達するための他の適切なデバイスに置き換えられてもよい。
図12は、
図11のマイクロニードルアレイアセンブリの概略横断面図である。例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイアセンブリ250は、接着層252を介して取り付け面74(
図1に示す)に接合される。マイクロニードルアレイアセンブリ250は、
図3及び
図4に関して本明細書で説明したマイクロニードルアレイ170と実質的に同一の構造であるマイクロニードルアレイ254と、マイクロニードルアレイ254の複数のマイクロニードル258及びベース面260を少なくとも部分的にわたって覆う膜256とを含む。マイクロニードルアレイアセンブリ250はまた、マイクロニードルアレイ254の背面264にわたって延在し、背面264に接合される分配マニホールド262を含む。分配マニホールド262は、マイクロニードルアレイ254に流体を提供するための、複数の供給チャンネル274及び/または開口部(272、276)を含む、流体分配ネットワーク266を含む。膜で覆われたマイクロニードル258は、各マイクロニードル258に形成された1以上の開口部を通してユーザの皮膚に流体を提供するように、ユーザの皮膚を突き刺すように構成される。
【0060】
例示的な実施形態では、膜256は、
図3及び
図4に関して本明細書で説明された、膜174と実質的に同一に形成される。膜174と同様に、マイクロニードルアレイアセンブリ250は、いくつかの適切な実施形態における膜256を含んでいなくてもよいことが企図される。
【0061】
例示的な実施形態では、マイクロニードルアレイ254は、剛性、半剛性、または可撓性の材料、例えば以下に限定されないが、金属材料、セラミック材料、ポリマー(例えば、プラスチック)材料、またはマイクロニードルアレイ254が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な材料のシートから製造されてもよい。例えば、1つの適切な実施形態では、マイクロニードルアレイ254は、反応性イオンエッチング、または任意の他の適切な製造技術によってシリコンから形成され得る。
【0062】
図13は、
図11のマイクロニードルアレイアセンブリ250と共に使用するための分配マニホールド262の背面264の概略平面図である。例示的な実施形態では、分配マニホールド262は、その中に形成された流体分配ネットワーク266を含む。流体分配ネットワークは、例えば、分配マニホールド262の上面270と背面264との間に延在する複数のチャンネル、及び/または開口部を含む。チャンネル、及び/または開口部は、複数の供給チャンネル274と流体連通して連結された、中央に位置する流入チャンネル272と、マイクロニードルアレイ支持構造42(
図1に示す)の流体通路86(
図1に示す)とを含む。例示的な実施形態では、供給チャンネル274は、分配マニホールド262に沿って長手方向に延在し、流体に対して蛇行した流路を形成することにより、供給チャンネル274の抵抗の増加を容易にする。供給チャンネル274は、流入チャンネル272によって供給される流体を分配マニホールド262の領域にわたって分配することを容易にする。
【0063】
供給チャンネル274のそれぞれは、排出チャンネル276と流体連通して連結される。各排出チャンネル276は、
図12に示すように、マイクロニードル258の流路268を通る流体を分配するために、それぞれのマイクロニードル258と略整列される。他の実施形態では、供給チャンネル274及び排出チャンネル276は、分配マニホールド262が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の構成で形成されてもよい。例示的な実施形態では、供給チャンネル274は、
図6に記載の供給チャンネル192に関して本明細書で説明したように、実質的に略矩形の形状を有する。
【0064】
流入チャンネル272は、ドリル加工、切断、または分配マニホールドを通るチャンネルまたは開口部を形成するための任意の他の製造技術によって分配マニホールド262内に形成されてもよい。例示的な実施形態では、供給チャンネル274は、供給チャンネル274のセットを分配マニホールド262に形作ることにより、分配マニホールド262の底面(背面264)に形成される。あるいは、供給チャンネル274は、分配マニホールド262が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の製造プロセスを用いて底面(背面264)に形成されてもよい。
【0065】
例示的な実施形態では、分配マニホールド262及びマイクロニードルアレイ254は、対面接触した状態で共に接合されることにより、供給チャンネル274の縁部をシールして閉じる。1つの適切な実施形態では、直接接合、または直接整列接合は、本明細書で説明したように、分配マニホールド262及びマイクロニードルアレイ254の間にプレボンドを作り出すことによって用いられる。別の適切な実施形態では、陽極接合は、分配マニホールド262をマイクロニードルアレイ254に接合するために使用される。代替実施形態では、分配マニホールド262及びマイクロニードルアレイ254は、それらを共に接合するための分配マニホールド262及びマイクロニードルアレイ254への局所的な加熱の適用を含む、レーザーによる接合プロセスを用いて共に接合されてもよい。
【0066】
例示的な実施形態では、分配マニホールド262は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーから製造される。あるいは、分配マニホールド232は、マイクロニードルアレイアセンブリ250が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の材料及び材料の組み合わせから製造されてもよい。
【0067】
この実施形態では、流体は、流入チャンネル272を通って供給チャンネル274に流入し、供給チャンネル274を満たすことにより流体をそれぞれの個々のマイクロニードル258に分配する。各供給チャンネル274は、分配マニホールド262の流入チャンネルからマイクロニードル258の流路268へのすべての流れ抵抗がすべてのマイクロニードル258について同一であるように、実質的に同一の長さである。したがって、各マイクロニードル258に対して抵抗は実質的に同一であるため、流量もまたすべてのマイクロニードル258と実質的に同一である。個々の供給チャンネル274の流路は、チャンネルが接続されるそれぞれのマイクロニードル258の位置に基づいて決定される。
【0068】
本明細書で詳細に説明される装置、システム、及び方法は、マイクロニードルアレイアセンブリがマイクロニードルアセンブリの各アセンブリを通る実質的に等しい量の医薬品を分配することを可能にする。マイクロニードルアレイアセンブリと共に使用するためのマイクロ流体分配マニホールドは、各供給チャンネル内のすべての流れ抵抗が実質的に等しくなることを可能にし、これにより等しい流量を生成する。さらに、流体チャンネルの抵抗レベルは、長時間にわたって流体の実質的に一定の流量を可能にするように構成されてもよく、これによりユーザの血流中の流体が定常状態濃度であることを容易にする。
【0069】
マイクロ流体分配マニホールドのための装置、システム、及び方法の例示的な実施形態は、詳細に上述される。本明細書で説明された装置、システム、及び方法は、記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、装置、システムの構成要素、及び/または方法のステップは、本明細書に記載の他の構成要素、及び/またはステップと独立して、別々に利用されてもよい。例えば、方法はまた、他の流体送達装置、システム、及び方法と組み合わせて使用されてもよく、本明細書に記載の装置、システム、及び方法のみによる実施に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの流体送達用途に関連して実施及び利用され得る。
【0070】
本開示の様々な特定の特徴は、いくつかの図面に示され、かつ他の図面には示されないが、これは便宜上のためである。本開示の原理にしたがって、図面の任意の特徴は任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて言及されてもよく、及び/または特許請求されてもよい。
【0071】
この記述された説明は、最良の形態を含む実施形態を開示するための実施例を使用し、任意のデバイスまたはシステムの作成及び使用、及び任意の組み込まれた方法の実行を含む、当業者による実施形態の実施を可能にする。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字通りの言葉と非実質的な差異を有する均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【0072】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に様々な変更が可能であるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての内容は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味ではないものとして解釈されることが意図される。