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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】収納ケース
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/04 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
A47B67/04 501Z
A47B67/04 502Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017219781
(22)【出願日】2017-11-15
(65)【公開番号】P2019088523
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 文勇
(72)【発明者】
【氏名】関戸 駿介
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3012552(JP,U)
【文献】登録実用新案第3002858(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0079425(US,A1)
【文献】実開昭52-046924(JP,U)
【文献】登録実用新案第3072871(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102010009355(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口する内部空間を有するカバー本体と、
該カバー本体の底板上に載置され、該カバー本体の前面の開口から出し入れ自在の引出本体を有し、
該引出本体の前側板の下部に手の指が入る袋状の凹状部を、出し入れ方向と直行する方向に沿って複数形成したものであり、
隣接する2つの凹状部間が、引出本体の収納空間側において、仕切り板用の第1縦溝となることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
該凹状部が形成される前側板と対峙する後側板面に、該第1縦溝に対応する第2縦溝を形成したことを特徴とする請求項記載の収納ケース。
【請求項3】
該第2縦溝は、2つの突起壁間の隙間であることを特徴とする請求項記載の収納ケース。
【請求項4】
該引出本体内の収納空間を仕切る、略四角形状の仕切り板を、更に設置したことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭等において、例えば衣装や雑貨類の整理用に使用される収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭等において使用される、前面が開口する内部空間を有するカバー本体と、該カバー本体の底板上に載置され、該カバー本体の前面の開口から出し入れ自在に設けられる引出本体を有する合成樹脂製の収納ケースがよく知られている。また、収納ケースの使用の利便性を高めるための種々の提案がされている。
【0003】
実用新案登録第3175827号公報には、前面が開口した内部空間をもつ合成樹脂製の枠本体1と、内部空間を形成する枠本体の底板1a上に載置され、枠本体の前面の開口を介して引出収納自在に設けられた合成樹脂製の引出体とからなり、引出体の底面に引出収納方向に延びる凸条部Tを形成し、凸条部に嵌入凸部Hを形成し、枠本体の底板に嵌入凸部が嵌入可能な嵌入凹部Gを形成してなる収納ケースが開示されている。
【0004】
実用新案登録第3175827号公報の収納ケースによれば、枠本体内の内部空間に引出体を収納したとき、嵌入凸部が嵌入可能な嵌入凹部に嵌入し、この嵌入により引出体が内部空間に収納されたことを手応えで感得することができると共に、枠本体の設置状態や引出体内の収納物の収納状態、外力が加わった場合において、引出体が前方に飛び出してくることを防ぐことができ、使用の利便性及び使用の安全性を高めることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3175827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の収納ケースは、カバー本体(枠本体)と引出本体(引出体)との関係における使用の利便性を向上させたものである。一方、使用勝手をよくするため収納ケース内を細かく区画して、小物の収納に使用したいという要望もある。また、従来の収納ケースは、前方への引き出しを容易にするため、引出本体の前側板の下部に手の指が入る凹状部が形成されており、前側板の裏面に前後方向に延びる仕切り板を支持する係止溝は設置し難いという問題があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、引出本体の前側板の下部に手の指が入る凹状部が形成されていても、前後方向に延びる仕切り板を設置でき、小物の収納に適した低コストで製作可能な収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、前面が開口する内部空間を有するカバー本体と、該カバー本体の底板上に載置され、該カバー本体の前面の開口から出し入れ自在の引出本体を有し、該引出本体の前側板の下部に手の指が入る袋状の凹状部を、出し入れ方向と直行する方向に沿って複数形成したことを特徴とする前記収納ケースを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、隣接する2つの凹状部間が、引出本体の収納空間側において、仕切り板用の第1縦溝となることを特徴とする前記収納ケースを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該凹状部が形成される前側板と対峙する後側板面に、該第1縦溝に対応する第2縦溝を形成したことを特徴とする前記収納ケースを提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該第2縦溝は、2つの突起壁間の隙間であることを特徴とする前記収納ケースを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該引出本体内の収納空間を仕切る、略四角形状の仕切り板を、更に設置したことを特徴とする前記収納ケースを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、引出本体の前側板の下部に形成された下方開口の袋状の凹状部は、複数形成されており、引出本体の収納空間側では、隣接する2つの凹状部間の隙間が仕切り板の溝として利用できる。このため、別途の仕切り板用溝がなくとも、前後方向に延びる略四角形状の仕切り板の設置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における収納ケースの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態における収納ケースの分解斜視図である。
図3図1の収納ケースの引出本体と仕切り板の関係図である。
図4図3の収納ケースの引出本体の使用状態図である。
図5図1の収納ケースの引出本体の斜視図である。
図6図5の符号X方向から見た内側コーナー部の拡大図である。
図7図5の収納ケースの幅方向の中央で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の収納ケースの実施の形態例を図1図7を参照して説明する。本明細書において、「前後」とは、特段の説明がない限り、カバー本体の開口側を「前」、その反対方向を「後」とする。また、「左右方向」は特段の説明がない限り、カバー本体の開口側から見た方向を言う。
【0016】
収納ケース10は、前面が開口する内部空間を有するカバー本体1と、カバー本体1の底板上に載置され、カバー本体1の前面の開口から出し入れ自在の引出本体2を有する。すなわち、カバー本体1は、左右側板、天板、底板及び後側板で囲まれた平面視が長方形状の枠体である。また、天板には、収納ケースを積み重ねる際、上方の収納ケースの設置を安定させる周回溝が形成されている。引出本体2は、カバー本体1の前面の開口から出し入れ自在の形状であって、前後側板21、24、左右側板22、23及び底板25からなる上方が開口の箱形状である。
【0017】
収納ケース10は、引出本体2の前側板21の下部に手の指が入る袋状の凹状部3を、出し入れ方向と直行する方向に沿って複数形成したものである。本例では、前側板21の下部に手の指が入る3つの袋状の凹状部3a~3cを、出し入れ方向と直行する方向に沿って形成したものである。引出本体2の前側板21の下方に3つの凹状部3a~3cを形成することで、収納ケース10から引出本体2を手前に引出し易くなる。
【0018】
収納ケース10において、凹状部3a~3cは、全て同じ形状であり、凹状部3bのみ説明し、凹状部3a、3cの説明は、省略する。凹状部3bは、前側板2の下端角に形成され、手の指が入る開口と幅寸法と奥行長さを有する。すなわち、凹状部3bは、左右側板33b、33b、後側板31b、天板32b及び天板32bから下方へ垂れる前側板34bで囲まれた内部空間を有する(図6及び図7)。また、前側板34bの上下方向の長さが小であるため、前面に手の指が入る開口が形成されると共に、前側板34bの裏面に手の指の腹が当たるようになる。また、後側板31bと天板32bとの接続部は、丸み形状となっている。これにより、手の指が、前側板34bの裏面に当たり易くなる。
【0019】
凹状部3aと隣接する凹状部3b間、凹状部3bと隣接する凹状部3c間には、それぞれ区画壁4a、4bが形成されている(図1)。すなわち、2つの凹状部間は、引出本体2の収納空間側から見て、仕切り板11b用の第1縦溝5となっている(図6)。収納ケース10においては、この溝を利用し、凹状部3aと隣接する凹状部3b間の溝において、更に縦壁51aを凹状部3aの奥側の側板33aの頂点から上方へ延びるように、縦壁52aを凹状部3bの手前の側板33bの頂点から上方へ延びるように52aを形成して、仕切り板用の第1縦溝5aを形成している。すなわち、第1縦溝5aは、区画壁4aの内部空間側(裏側)に形成されている。
【0020】
同様に、縦壁51bを凹状部3bの奥側の側板33bの頂点から上方へ延びるように、縦壁52bを、凹状部3cの手前の側板33cの頂点から上方へ延びるように形成して、仕切り板用の第1縦溝5bを形成している。すなわち、第1縦溝5bは、区画壁4bの内部空間側(裏側)に形成されている。すなわち、2つの仕切り板用の第1縦溝5は、隣接する2つの袋状の凹状部3が形成されることで、必然的に形成されることになる。第1縦溝5a、5bの溝幅としては、2~5mm程度である。
【0021】
収納ケース10において、前側板21と対峙する後側板24には、第1縦溝5a、5bに対応する位置に、第2縦溝9、9が形成されている。第2縦溝9は2本の小高さの板状突起壁で形成されている。これにより、引出本体2の内寸法(前後長さ)に相当する仕切り板11bの両端部をそれぞれ、第1縦溝5aと第2縦溝9及び第1縦溝5bと第2縦溝9に差し込めば、2つの仕切り板11bの設置が可能となる。特に、第1縦溝5a、5bの下方部は、隣接する2つの凹状部3間の隙間を利用しており、溝深さが深く、仕切り板の設置が更に安定する。また、仕切り板11bは、略四角形状であり、前後の区別なく使用できる。
【0022】
収納ケース10において、左右両側板22、23には、仕切り板が係止する第2縦溝9、9縦溝が形成されている。第2縦溝9は2本の小高さの板状突起壁により形成されている。これにより、引出本体2の内寸法(左右長さ)に相当する仕切り板11aの両端部をそれぞれ、右側板の第1縦溝9と対応する位置にある左側板の第1縦溝9に差し込めば、仕切り板11aの設置が可能となる。
【0023】
なお、前後方向を仕切る仕切り板11aと左右方向を仕切る仕切り板11bは、両者が交差する部分に、公知の嵌合用の切り欠きが形成されており、これにより、引出本体2内を細かく、区画することができる。本例では、3枚の仕切り板11aと2枚の仕切り板11bを使用するため、12の区画に細分化できる。また、底板25の表面において、第1縦溝5aと後側板の第2縦溝9を結ぶライン上であって、且つ左右側板の内側に形成された第2縦溝9を結ぶライン上の3箇所の交差部及び第1縦溝5bと後側板の第2縦溝9を結ぶライン上であって、且つ左右側板の内側に形成された第2縦溝を結ぶライン上の3箇所の交差部には、それぞれ4つの突起で形成される十字溝26が形成されている。これにより、仕切り板11a及び仕切り板11bの仕切りが安定する。仕切り板は、仕切り板11a及び仕切り板11bのいずれか一方の使用であっても、両方の使用であってもよい。
【0024】
収納ケース10は、引出本体2をケース本体1に組み込んで使用することができ、また、引出本体2を単独で使用することができる。引出本体2をケース本体1に組み込んで使用する方法において、ケース本体1に組み込まれた引出本体2を引き出すには、前側板21の下部に形成された凹状部3a~3cのいずれか又は2箇所に、片方又は両方の手先を入れ、凹状部3を形成する前側板34の裏面に指の腹をあてがい、手前に引くことで、ケース本体1から引出本体2を容易に取り出すことができる。引出本体2を単独使用で、正面視が縦方向に長い設置姿勢の場合、凹状部3a~3cが手前となるように設置する。そして、引出本体2を手前に移動させるには、前側板21の下部に形成された凹状部3a~3cのいずれか又は2箇所に、片方又は両方の手先を入れ、凹状部3を形成する前側板34の裏面に指の腹をあてがい、手前に引くことで、ケース本体1から引出本体2を縦長姿勢のまま容易に手前に移動させることができる。
【0025】
本発明の収納ケースは、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。収納ケース10において、第1縦溝5a、5bの上部の例えば、2つの縦壁51aと52a及び2つの縦壁51bと52bは省略できる。すなわち、引出本体2において、仕切り板用の溝は、隣接する2つの凹状部間の溝のみでよい。また、引出本体2において、後側板の第2縦溝9や底板25上の十字溝26は省略できる。また、凹状部3a~3cの形成場所は、前側板に限定されず、左側板又は右側板にも形成してもよい。これにより、引出本体2の単独使用であって且つ横長方向に設置する場合に好適である。また、前側板の凹状部3a~3cの設置個数は、3個に限定されず、2個であってもよい。この場合、隣接する凹状部間の区画壁の厚みは、本例と同じとすればよい。これにより、凹状部の設置個数が変わっても、第1縦溝の溝幅が変わらず、同じ厚みの仕切り板が使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、引出本体の前側板の下方に形成された袋状の凹状部は、複数形成されており、引出本体の収納空間側において、隣接する2つの凹状部間の隙間が仕切り板の溝として利用できる。このため、四角形状の仕切り板を前後区別なく使用でき、使用勝手のよい収納ケースを低コストで製作することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 カバー本体
2 引出本体
3、3a~3c 凹状部
4、4a、4b 区画壁
10 収納ケース


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7