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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】アサガオ装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
E04G5/00 301C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018124603
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020002693
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】516106726
【氏名又は名称】株式会社ジャストビギン
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】杉本 澄雄
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-331888(JP,A)
【文献】実開平07-042843(JP,U)
【文献】実開昭63-127554(JP,U)
【文献】特開2005-120572(JP,A)
【文献】実開平05-083186(JP,U)
【文献】実公昭44-002354(JP,Y1)
【文献】特公平04-072023(JP,B2)
【文献】特開2001-279922(JP,A)
【文献】国際公開第2018/009984(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置される一対のガイドレールと、
一対のガイドレールによって挟まれて保持され、ガイドレールが延びる方向に沿って一列に配列される複数枚のパネルと、
一対のガイドレールの下端部に固定される下枠と、
一対のガイドレールの上端部に固定される上枠と、を備え、
ガイドレールの内側面には、複数枚のパネルを配列方向に沿ってスライド可能に保持する溝が形成されており、
各パネルは、パネル本体部と、パネル本体部の外周を囲む外枠部とを備え、外枠部がガイドレールの溝に保持され
各パネルの外枠部は、パネルの配列方向に対向する一対の辺に凹部を有し、上側の辺の凹部には把手が設けられており、下側の辺の凹部には、下側に隣接して配置されるパネルの把手が収容される、アサガオ装置。
【請求項2】
各パネルのパネル本体部は、平面視で矩形状であり、
各パネルの外枠部は、ガイドレールの溝に保持される一対の短辺と、短辺同士を接続するとともに凹部を形成する一対の長辺とを有する、請求項1に記載のアサガオ装置。
【請求項3】
各パネルのパネル本体部は、パネルの配列方向に沿って波打った形状を有する、請求項1又は2に記載のアサガオ装置。
【請求項4】
上枠又は下枠と、ガイドレールとを固定する固定部材をさらに備える、請求項1からのいずれか1つに記載のアサガオ装置。
【請求項5】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置される一対のガイドレールと、
一対のガイドレールによって挟まれて保持され、ガイドレールが延びる方向に沿って一列に配列される複数枚のパネルと、
一対のガイドレールの下端部に固定される下枠と、
一対のガイドレールの上端部に固定される上枠と、を備え、
ガイドレールの内側面には、複数枚のパネルを配列方向に沿ってスライド可能に保持する溝が形成されており、
各パネルは、パネル本体部と、パネル本体部の外周を囲む外枠部とを備え、外枠部がガイドレールの溝に保持され、
上枠又は下枠と、ガイドレールとを固定する固定部材をさらに備え、
固定部材は、互いにL字状に形成されるとともにそれぞれが貫通孔を形成した一体的な第1の板部および第2の板部と、第1の板部の貫通孔に挿入される第1のボルトと、第2の板部の貫通孔に挿入される第2のボルトとを備え、
第1の板部は、上枠又は下枠に対して第1のボルトを介して固定され、第2の板部は、ガイドレールに対して第2のボルトを介して固定される、アサガオ装置。
【請求項6】
第2のボルトは、第1の直径を有する頭部と、第1の直径よりも短い第2の直径を有して第2の板部の貫通孔に挿通される軸部と、軸部に対して軸方向と交差するように挿通され第2の直径よりも長い挿通ピンとを有し、
第2の板部の貫通孔の直径は、頭部の第1の直径および挿通ピンの長さよりも短く、かつ、軸部の第2の直径よりも長く設定されている、請求項に記載のアサガオ装置。
【請求項7】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置される一対のガイドレールと、
一対のガイドレールによって挟まれて保持され、ガイドレールが延びる方向に沿って一列に配列される複数枚のパネルと、
一対のガイドレールの下端部に固定される下枠と、
一対のガイドレールの上端部に固定される上枠と、を備え、
ガイドレールの内側面には、複数枚のパネルを配列方向に沿ってスライド可能に保持する溝が形成されており、
各パネルは、パネル本体部と、パネル本体部の外周を囲む外枠部とを備え、外枠部がガイドレールの溝に保持され、
ガイドレールの内側面におけるパネルを挿入する入口部分は、入口から奥に向かって狭くなるように傾斜した傾斜部を有する、アサガオ装置。
【請求項8】
仮設足場に落下物を受け止めるためのアサガオ装置を設置する方法であって、
パネル本体部とパネル本体部の外周を囲む外枠部とをそれぞれが備える複数枚のパネルを準備するステップと、
内側面に溝を形成した一対のガイドレールと、一対のガイドレールの下端部に固定された下枠とを準備するステップと、
複数枚のパネルを順に一対のガイドレールの溝に挿入してスライドさせ、ガイドレールが延びる方向に沿って一列に配列するステップと、
一対のガイドレールの上端部に上枠を固定するステップと、を含
パネルとして、各パネルの外枠部が、パネルの配列方向に対向する一対の辺に凹部を有し、上側の辺の凹部に把手が設けられたものを用い、
複数枚のパネルをスライドさせて配列するステップでは、各パネルの把手が、上側に隣接して配置されるパネルの外枠部における下側の辺の凹部に収容されるようにパネルを配置する、
アサガオ装置の設置方法。
【請求項9】
パネルとして、各パネルのパネル本体部は、平面視で矩形状であり、各パネルの外枠部は、一対の短辺と、短辺同士を接続するとともに凹部を形成する一対の長辺とを有するものを用い、
複数枚のパネルをスライドさせて配列するステップでは、一対の短辺がガイドレールの溝に保持されるようにパネルをスライドさせる、請求項に記載のアサガオ装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中高層建築物の建設または補修工事の現場において、仮設足場から資材や工具等が地面に落下するのを防止するために、仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置されるアサガオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築現場等の仮設足場には、落下した資材や工具等の落下物が下の通行人等に当たらないように受け止めるためのアサガオ装置が、仮設足場から斜め上方に張り出して設置されている。このようなアサガオ装置は、仮設足場の外側に、所定の間隔で複数の支持材を取り付け、この支持材の間に、落下物等を受け止めるための主にアルミ、スチール等の金属板や、繊維強化プラスチック板等のパネルを敷設したものである(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のようなアサガオ装置に用いられるパネルは、金属板や繊維強化プラスチック板などを用いており強度があるが、嵩張るため、設置作業が困難となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平7-42843号公報
【文献】特開平7-207952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、設置作業を容易に行うことができるアサガオ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のアサガオ装置は、落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置される一対のガイドレールと、一対のガイドレールによって挟まれて保持され、ガイドレールが延びる方向に沿って一列に配列される複数枚のパネルと、一対のガイドレールの下端部に固定される下枠と、一対のガイドレールの上端部に固定される上枠と、を備え、ガイドレールの内側面には、複数枚のパネルを配列方向に沿ってスライド可能に保持する溝が形成されており、各パネルは、パネル本体部と、パネル本体部の外周を囲む外枠部とを備え、外枠部がガイドレールの溝に保持される。
【0007】
また、本発明のアサガオ装置の設置方法は、仮設足場に落下物を受け止めるためのアサガオ装置を設置する方法であって、パネル本体部とパネル本体部の外周を囲む外枠部とをそれぞれが備える複数枚のパネルを準備するステップと、内側面に溝を形成した一対のガイドレールと、一対のガイドレールの下端部に固定された下枠とを準備するステップと、複数枚のパネルを順に一対のガイドレールの溝に挿入してスライドさせ、ガイドレールが延びる方向に沿って一列に配列するステップと、一対のガイドレールの上端部に上枠を固定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアサガオ装置およびその設置方法によれば、設置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るアサガオ装置の正面図
図2】複数枚のパネルの斜視図
図3】パネルの正面図
図4】パネルの側面図
図5】パネル本体部の正面図
図6】パネル本体部の側面図
図7】隣接するパネル同士が接触する状態を示す図
図8】把手の分解斜視図
図9】把手の2つの位置を示す縦断面図
図10】ガイドレールの一部拡大斜視図
図11】ガイドレールの横断面図
図12】ガイドレールの側面図
図13】ガイドレールを下枠に固定する固定部材を示す図
図14】ガイドレールを上枠に固定する固定部材を示す図
図15】第2のボルトを示す斜視図
図16】固定部材周辺の斜視図
図17】固定部材周辺の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、実施形態のアサガオ装置について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係るアサガオ装置2の正面図である。図1に示すアサガオ装置2は、主としてビルやマンション等の中高層建築物の建設または補修工事の現場において、資材や工具等の落下物を受け止めるために仮設足場に設置される。
【0011】
図1に示すように、アサガオ装置2は、複数枚のパネル4と、一対のガイドレール8と、下枠10と、上枠12とを備える。上枠12が取り付けられる前のガイドレール8に対して、複数枚のパネル4をA1方向に順に挿入することにより、複数枚のパネル4がA方向に沿って一列に配列される。その後、ガイドレール8の上端部に上枠12を固定してアサガオ装置2を完成させ、仮設足場の外面に斜め上方に突き出るように設置する。
【0012】
アサガオ装置2の各構成部材について説明する。まず、図2図4にパネル4を示す。図2は、複数枚のパネル4の斜視図であり、図3は、パネル4の正面図であり、図4は、パネル4の側面図である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態のパネル4は、同寸法、同形のものが複数枚用いられる。それぞれのパネル4は、パネル本体部14と、外枠部16とを備える。パネル本体部14は、パネル4の中央部を構成する部材である。外枠部16は、パネル本体部14の外周を囲む部材である。実施形態の外枠部16は、パネル本体部14の外周全体を囲んでいる。パネル本体部14は例えば、繊維強化プラスチック(FRP)のパネル、あるいは、アルミニウム、スチール等の金属板等で構成される。外枠部16は例えば、アルミニウム等の金属から形成される。
【0014】
図5図6にパネル本体部14を示す。図5は、パネル本体部14の正面図であり、図6は、パネル本体部14の側面図である。
【0015】
図5に示すように、本実施形態のパネル本体部14は平面視(正面視)で矩形状の形状を有する。図6に示すように、パネル本体部14は、パネル4の配列方向であるA方向に沿って波打った形状を有する。このような形状によれば、A方向に直線的に延びる平坦な形状の場合よりも高い強度を実現できる。このようなパネル本体部14の外周を囲むように前述した外枠部16が取り付けられる。
【0016】
図3に戻ると、実施形態の外枠部16は、一対の短辺16Aと、一対の長辺16Bとを有する。
【0017】
2つの長辺16Bのうち、一方の長辺16Bには把手18が設けられている。把手18は、作業者がパネル4を持ち運びする際に持つための部材である。把手18が設けられる長辺16Bは、2つの長辺16Bのうち、パネル4の挿入方向であるA1方向の反対側に位置する長辺16Bである。もう一方の長辺16Bには、図4に示すように凹部20が設けられている。凹部20は、隣接するパネル4の把手18を収容するための空間である。
【0018】
図7に、隣接するパネル4同士が接触する状態を示す。図7に示すように、凹部20を設けることで、隣接するパネル4の長辺16Bと長辺16Bが接触する際に把手18が邪魔にならず、パネル4同士の間に隙間を作らないようにすることができる。
【0019】
把手18を図8図9に示す。図8は、把手18の分解斜視図であり、図9は、把手18の2つの位置を示す縦断面図である。図8に示すように、本実施形態の把手18は、把持部22と、取付固定部24とを備える。把持部22は、ユーザが把持するための棒状部分を含む部材である。取付固定部24は、把持部22を外枠部16の長辺16Bに取り付けるための部材である。取付固定部24は長辺16Bに固定されている。
【0020】
取付固定部24には、切欠き24Aが形成される。切欠き24Aには把持部22の端部が挿入される。これにより、図9に示すように、把持部22はA方向に移動可能でありながら脱落が防止された状態で取付固定部24に保持される。このような構成によれば、作業者が把持できる上昇位置(図9にて実線で示される位置)と、上昇位置から下降して隣接するパネル4の凹部20に収容される下降位置(図9にて点線で示される位置)の間で把持部22が移動可能となる。
【0021】
上述したパネル4の外枠部16をスライド可能に保持するガイドレール8について、図10図12を用いて説明する。図10は、ガイドレール8の一部拡大斜視図、図11は、ガイドレール8の横断面図、図12は、ガイドレール8の側面図である。
【0022】
ガイドレール8の内側面25には溝26が形成されている。溝26は、パネル4の外枠部16をスライド可能に保持するための溝である。溝26は、パネル4の配列方向であるA方向に沿って連続的に延在する。A方向は、ガイドレール8が延びる方向に一致する。
【0023】
溝26は、内側面25に設けられた一対の突起28によって画定される。突起28は、互いに対向するように内側面25から突出した突起であって、溝26と同様に、A方向に連続的に延在する。図11に示すように、ガイドレール8の横断面において、一方のガイドレール8A(図11の紙面左側)の突起28は、もう一方のガイドレール8B(図11の紙面右側)から離れる方向に向かって突出している。このような傾斜した構成によれば、溝26の中に配置したパネル4が溝26の中から脱落することを抑制するように突起28を作用させることができる。
【0024】
図12などに示すように、突起28のA方向の端部には傾斜部28Aが設けられている。傾斜部28Aは、パネル4が挿入される内側面25の入口部分において、入口から奥に向かって内側面25が狭くなるように傾斜した部分である。傾斜部28Aを設けることで、パネル4を溝26の内部に案内することができ、パネル4の挿入を容易に行うことができる。
【0025】
上述した構成を有するガイドレール8は、図1に示した下枠10および上枠12に固定される。ガイドレール8を下枠10に固定する固定部材30を図13に示し、上枠12に固定する固定部材40を図14に示す。
【0026】
図13に示すように、ガイドレール8と下枠10の接続箇所には、固定部材30が設けられている。固定部材30は、板状部材32と、第1のボルト34と、第2のボルト36とを備える。
【0027】
板状部材32は、第1の板部32Aと第2の板部32Bとを備える。第1の板部32Aおよび第2の板部32Bは、互いにL字状に形成された一体的な板状の部材である。第1の板部32Aと第2の板部32Bのそれぞれに貫通孔35、37が形成されている。第1の板部32Aには第1の貫通孔35が形成され、第2の板部32Bには第2の貫通孔37が形成されている。第1の貫通孔35と第2の貫通孔37のそれぞれの内周面はネジ形状(図示せず)を有する。第1の貫通孔35に第1のボルト34が挿通して締結され、第2の貫通孔37に第2のボルト36が挿通して締結される。
【0028】
第1のボルト34は、第1の板部32Aの第1の貫通孔35および下枠10の貫通孔39に挿通される。第1のボルト34を第1の貫通孔35に締結することで、下枠10と第2の板部32Bが互いに固定される。
【0029】
第2のボルト36は、第2の板部32Bの第2の貫通孔37およびガイドレール8の貫通孔41に挿通される。第2のボルト36を第2の貫通孔37に締結することで、ガイドレール8と第2の板部32Bが互いに固定される。
【0030】
このようにして、固定部材30を介してガイドレール8と下枠10が互いに固定される。
【0031】
上述したように、固定部材30は、第1の板部32Aおよび第2の板部32Bと、第1の板部32Aの第1の貫通孔35に挿入される第1のボルト34と、第2の板部32Bの第2の貫通孔37に挿入される第2のボルト36とを備える。第1の板部32Aは、下枠10に対して第1のボルト34を介して固定され、第2の板部32Bは、ガイドレール8に対して第2のボルト36を介して固定される。このような構成によれば、簡単な構成で強固な固定を実現することができる。
【0032】
次に、第2のボルト36について図15を用いて説明する。図15は、第2のボルト36を示す斜視図である。図15に示すように、第2のボルト36は、頭部36Aと、軸部36Bと、挿通ピン36Cとを備える。
【0033】
ガイドレール8の貫通孔41に軸部36Bが挿通された状態で、ガイドレール8に対して一方側に頭部36Aが配置され、他方側に挿通ピン36Cが配置されている。軸部36Bは貫通孔41の中を移動可能な状態で挿通されている。
【0034】
挿通ピン36Cは、軸部36Bに挿通して固定された棒状の部材である。軸部36Bの軸方向であるB方向に対して、挿通ピン36CはB方向に交差するC方向に延びるように配置されている。本実施形態ではB方向とC方向は互いに直交する。
【0035】
頭部36Aは、第1の直径D1を有し、軸部36Bは、第2の直径D2を有する。挿通ピン36Cは、長さD3を有する。第1の直径D1と長さD3は、第2の直径D2よりも長く設定されている。
【0036】
貫通孔41の直径D4は、頭部36Aの第1の直径D1および挿通ピン36Cの長さD3よりも短く、かつ、軸部36Bの第2の直径D2よりも長く設定されている。このような長さの設定によれば、軸部36Bを貫通孔41に挿通しながら、挿通ピン36Cによって第2のボルト36が貫通孔41から脱落することを防止することができる。第2のボルト36をこのような脱落防止状態にてガイドレール8に取り付けておくことで、作業者がガイドレール8を取扱う際に第2のボルト36が脱落しないようにしながら作業を行うことができ、安全性を向上させることができる。
【0037】
次に、固定部材30の斜視図を図16図17に示す、図16図17は、ガイドレール8および第2のボルト36を省略した固定部材30周辺の斜視図である。
【0038】
図16図17に示すように、固定部材30の第2の板部32Bの背面には間隔調整部38が設けられている。間隔調整部38は、第2の板部32Bとガイドレール8の間隔を調整するための部材である。本実施形態の間隔調整部38は、第2の板部32Bの背面から突出した板状の部材である。間隔調整部38の内側に第2のボルト36(図示せず)が設けられる。
【0039】
図13に戻ると、間隔調整部38を設けることで、第2の板部32Bとガイドレール8の間隔を空けた状態で固定することができ、第2のボルト36の締付けによる変形を防止することができる。
【0040】
次に、図14に戻ると、ガイドレール8を上枠12に固定するための固定部材40が設けられている。固定部材40は、板状部材42と、第1のボルト44と、第2のボルト46とを備える。板状部材42は、第1の板部42Aと第2の板部42Bとを備える。固定部材40の構成については、上述した固定部材30の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
上述した構成のアサガオ装置2を設置する方法の一例について説明する。
【0042】
まず、複数枚のパネル4を準備する(ステップS1)。具体的には、図2などに示したパネル本体部14と外枠部16とをそれぞれ備える複数枚のパネル4を準備する。本実施形態では4枚のパネル4を準備する。
【0043】
次に、一対のガイドレール8を準備する(ステップS2)。ガイドレール8は図10などを用いて説明したように、内側面25にパネル4をスライドさせる溝26を形成したものを用いる。
【0044】
次に、一対のガイドレール8の下端部に下枠10を固定する(ステップS3)。具体的には、前述した固定部材30を用いて一対のガイドレール8と下枠10を互いに固定する。固定方法については説明を省略する。
【0045】
次に、1枚目のパネル4の外枠部16を一対のガイドレール8の溝26に挿入する(ステップS4)。前述したように、溝26の入口部分には傾斜部28Aが設けられているため、パネル4を容易に挿入することができる。挿入したパネル4を溝26に沿ってA1方向にスライドさせることで、ガイドレール8の下端部に固定された下枠10に接触させる。
【0046】
作業者がパネル4を操作する際にはパネル4の把手18を持ちながら作業を行う。パネル4は配列方向であるA方向に交差するB方向に長いため、作業者がパネル4をガイドレール8に挿入する際には容易に挿入することができる。
【0047】
次に、2枚目以降のパネル4の外枠部16を一対のガイドレール8の溝26に順に挿入する(ステップS5)。本実施形態では、2枚目~4枚目のパネル4をガイドレール8の溝26に順に挿入する。これにより、図1等に示すように4枚のパネル4を、ガイドレール8が延びるA方向に沿って一列に配列した状態で保持することができる。
【0048】
次に、一対のガイドレール8の上端部に上枠12を固定する(ステップS6)。具体的には、前述した固定部材40を用いて一対のガイドレール8と上枠12を互いに固定する。固定方法については説明を省略する。
【0049】
次に、ガイドレール8を仮設足場に設置する(ステップS7)。具体的には、下枠10および上枠12が固定された一対のガイドレール8(図1)を作業者が持って仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように設置して、固定する。
【0050】
上述したステップS1-S7を実行することにより、複数枚のパネル4をA方向に沿って一列に配列したアサガオ装置2を、仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置することができる。
【0051】
上述したように、本実施形態の落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置2は、複数枚のパネル4と、一対のガイドレール8と、下枠10と、上枠12とを備える。一対のガイドレール8は、仮設足場の外面に斜め上方に突き出すように設置される。複数枚のパネル4は、一対のガイドレール8によって挟まれて保持され、ガイドレール8が延びるA方向に沿って一列に配列される。下枠10は、一対のガイドレール8の下端部に固定されパネル4を支持する。上枠12は、一対のガイドレール8の上端部に固定される。このような構成において、ガイドレール8の内側面25には、複数枚のパネル4を配列方向であるA方向にスライド可能に保持する溝26が形成されている。また、各パネル4は、パネル本体部14と、パネル本体部14の外周を囲む外枠部16とを備える。外枠部16がガイドレール8の溝26に保持される。
【0052】
さらに、本実施形態のアサガオ装置2を設置する方法は、パネル本体部14とパネル本体部14の外周を囲む外枠部16とをそれぞれが備える複数枚のパネル4を準備するステップを含む(ステップS1)。当該方法はさらに、内側面25に溝26を形成した一対のガイドレール8と、一対のガイドレール8の下端部に固定された下枠10とを準備するステップを含む(ステップS2、S3)。当該方法はさらに、複数枚のパネル4を順に一対のガイドレール8の溝に挿入してスライドさせ、ガイドレール8が延びる方向に沿って一列に配列するステップを含む(ステップS4、S5)。当該方法はさらに、一対のガイドレール8の上端部に上枠12を固定するステップを含む(ステップS6)。
【0053】
このような構成・方法によれば、ガイドレール8に対してパネル4を順にスライドさせることにより、複数のパネル4を順に配列することができる。これにより、簡単な操作でパネル4を設置することができ、設置作業を容易に行うことができる。またパネル本体部14と外枠部16によりパネル4を構成することで、パネル本体部14に強度を補強するような形状(例えば波打った形状)を採用した場合でも、外枠部16をガイドレール8の溝26に係合させればスライド可能とすることができる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、実施形態では、4枚のパネル4を用いる場合について説明したが、このような場合に限らず、複数枚であれば任意の枚数であってもよい。また実施形態では、パネル4のパネル本体部14がA方向に波打った形状である場合について説明したが、このような場合に限らず、平板状などの任意の形状であってもよい。また、パネル本体部14および外枠部16の材質には任意の材料を用いてもよい。
【0055】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、アサガオ装置に有用である。
【符号の説明】
【0057】
2 アサガオ装置
4 パネル
8 ガイドレール
10 下枠
12 上枠
14 パネル本体部
16 外枠部
16A 短辺
16B 長辺
18 把手
20 凹部
22 把持部
24 取付固定部
24A 切欠き
25 内側面
26 溝
28 突起
28A 傾斜部
30 固定部材
32 板状部材
32A 第1の板部
32B 第2の板部
34 第1のボルト
35 第1の貫通孔
36 第2のボルト
36A 頭部
36B 軸部
36C 挿通ピン
37 第2の貫通孔
38 間隔調整部
40 固定部材
41 貫通孔
42 板状部材
42A 第1の板部
42B 第2の板部
44 第1のボルト
46 第2のボルト
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