(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】カラーコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
G02C7/04
(21)【出願番号】P 2019543983
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2019004609
(87)【国際公開番号】W WO2020153529
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2019-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0009068
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519293656
【氏名又は名称】パク,グン チャン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,グン チャン
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-514638(JP,A)
【文献】特開2000-327925(JP,A)
【文献】特開2001-083469(JP,A)
【文献】米国特許第06284161(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 ― 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの眼球側に対応する下部層(Bottom Layer)と、
前記下部層に対応する上部層(Upper Layer)と、
前記上部層と前記下部層との間に位置するカラー部(Color Part)と、
を備え、
前記カラー部は、
前記下部層の上部に形成され、無機材料を含むベース層(Base Layer)と、
前記ベース層の上部に形成され、有機顔料を含む有機カラー層(Organic Color Layer)と、
を備え、
前記ベース層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質を含む重合体に前記無機材料として、酸化亜鉛(ZnO
2)材質10~80重量部及び二酸化チタニウム(TiO
2)材質10~30重量部とを混合したベース材料から製造され、
前記酸化亜鉛材質の含量は、前記二酸化チタニウム材質の含量より多く、
前記有機カラー層の透明度は、前記ベース層の透明度より高く、
前記有機カラー層は、複数の個別カラー層(Individual Color Layer)を含み、
前記有機カラー層は、前記個別カラー層として、第1のカラー層(First Color Layer)と第2のカラー層(Second Color Layer)とを含み、
前記第1のカラー層は、第1の有機顔料を含み、前記第2のカラー層は、前記第1の有機顔料と異なる色に対応する第2の有機顔料を含み、
前記ベース層
は、前記下部層の中央に隣接する第1の領域(First Area)及び前記第1の領域より
外側に位置する第2の領域(Second Area)とに区分
され、
前記第2のカラー層の面積は、前記第1のカラー層の面積より広く、
前記第1のカラー層における前記第2の領域に位置する部分の広さは、第1の領域に位置する部分の広さより広く、
前記第2の領域における前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合は、前記第1の領域における前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合より大きいことを特徴とするカラーコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記下部層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質及び硬化剤を含み、
前記上部層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質及び架橋剤を含む請求項1に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記ベース層は、無機顔料をさらに含む請求項1に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項4】
ユーザの眼球側に対応する下部層(Bottom Layer)と、
前記下部層に対応する上部層(Upper Layer)と、
前記上部層と前記下部層との間に位置するカラー部(Color Part)と、
を備え、
前記カラー部は、
前記下部層の上部に形成され、無機材料を含むベース層(Base Layer)と、
前記ベース層の上部に形成され、有機顔料を含む有機カラー層(Organic Color Layer)と、
を備え、
前記ベース層の広さは、前記有機カラー層の広さより広く、
前記有機カラー層の透明度は、前記ベース層の透明度より高く、
前記有機カラー層は、複数の個別カラー層(Individual Color Layer)を含み、
前記有機カラー層は、前記個別カラー層として、第1のカラー層(First Color Layer)と第2のカラー層(Second Color Layer)とを含み、
前記第1のカラー層は、第1の有機顔料を含み、前記第2のカラー層は、前記第1の有機顔料と異なる色に対応する第2の有機顔料を含み、
前記ベース層
は、前記下部層の中央に隣接する第1の領域(First Area)及び前記第1の領域より
外側に位置する第2の領域(Second Area)とに区分
され、
前記第2のカラー層の面積は、前記第1のカラー層の面積より広く、
前記第1のカラー層における前記第2の領域に位置する部分の広さは、第1の領域に位置する部分の広さより広く、
前記第2の領域における前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合は、前記第1の領域における前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合より大きいことを特徴とするカラーコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記下部層は、前記ベース層と接触する部分を含み、
前記上部層は、前記ベース層と接触する部分及び前記有機カラー層と接触する部分を含む請求項4に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項6】
ユーザの眼球側に対応する下部層(Bottom Layer)と、
前記下部層に対応する上部層(Upper Layer)と、
前記上部層と前記下部層との間に位置するカラー部(Color Part)と、
を備え、
前記カラー部は、
前記下部層の上部に形成され、無機材料を含むベース層(Base Layer)と、
前記ベース層の上部に形成され、有機顔料を含む有機カラー層(Organic Color Layer)と、
を備え、
前記有機カラー層は、複数の個別カラー層(Individual Color Layer)を含み、
それぞれの前記個別カラー層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質と互いに異なる有機顔料を含み、
前記ベース層の厚さは、それぞれの前記個別カラー層の厚さより厚く、
前記有機カラー層の透明度は、前記ベース層の透明度より高く、
前記有機カラー層は、前記個別カラー層として、第1のカラー層(First Color Layer)と第2のカラー層(Second Color Layer)とを含み、
前記第1のカラー層は、第1の有機顔料を含み、前記第2のカラー層は、前記第1の有機顔料と異なる色に対応する第2の有機顔料を含み、
前記ベース層
は、前記下部層の中央に隣接する第1の領域(First Area)及び前記第1の領域より
外側に位置する第2の領域(Second Area)とに区分
され、
前記第2のカラー層の面積は、前記第1のカラー層の面積より広く、
前記第1のカラー層における前記第2の領域に位置する部分の広さは、第1の領域に位置する部分の広さより広く、
前記第2の領域における前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合は、前記第1の領域における前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合より大きいことを特徴とするカラーコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記第1のカラー層は、前記第2のカラー層と重なる(Overlap)部分及び前記第2のカラー層と重ならない部分を含む請求項6に記載のカラーコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記有機カラー層は、前記個別カラー層として、第3のカラー層(Third Color Layer)をさらに備え、
前記第1のカラー層、前記第2のカラー層、または前記第3のカラー層のうち、いずれか1つは、マゼンタ(Magenta)系有機顔料を含み、残りのうち、いずれか1つは、黄色系有機顔料を含み、残りの1つは、青緑(Cyan)系有機顔料を含む請求項7に記載のカラーコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーレンズに関する。より詳細には、減算混合(Subtractive Color Mixture)印刷方法を適用し、少ない個数の層(Layer)を用いて様々な色を実現するカラーレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーコンタクトレンズ(カラーレンズ)は、視力矯正だけでなく、瞳の色合いを変更できる美容効果まで出すことができるコンタクトレンズの一種である。
【0003】
カラーレンズは、大別して2つの部類に分類することができる。
【0004】
第1に、透明カラーレンズがある。
【0005】
透明カラーレンズは、虹彩色相を変更させる目的よりは、透明性を強調したり、光線の遮断効果などのために開発された。
【0006】
従来の透明カラーレンズは、透明顔料(有機顔料)を使用して透明な色を実現するので、ユーザの虹彩の色が透明カラーレンズを介して写る恐れがある。このため、所望の色を実現し難いという問題点がある。
【0007】
第2に、虹彩色相を他の色相に変更させることができる不透明カラーレンズである。
【0008】
従来の不透明カラーレンズは、所望の色を実現するためには、実現しようとする色の個数の分だけ印刷工程を行わなければならないので、工程が複雑で、工程時間が増加し、不良発生可能性が増加し、製造単価が増加するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、減算混合印刷方法を適用して、透明カラーレンズの特徴と不透明カラーレンズの特徴とを共に有するカラーコンタクトレンズを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカラーコンタクトレンズは、ユーザの眼球側に対応する下部層(Bottom Layer)、前記下部層に対応する上部層(Upper Layer)、及び前記上部層と前記下部層との間に位置するカラー部(Color Part)を備え、前記カラー部は、前記下部層の上部に形成され、無機材料を含むベース層(Base Layer)及び前記ベース層の上部に形成され、有機顔料を含む有機カラー層(Organic Color Layer)を備えることができる。
【0011】
また、前記下部層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質及び硬化剤を含み、前記上部層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質及び架橋剤を含むことができる。
【0012】
また、前記ベース層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質を含み、前記無機材料として、酸化亜鉛(ZnO2)材質または二酸化チタニウム(TiO2)材質のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0013】
また、前記ベース層は、前記無機材料として、酸化亜鉛(ZnO2)材質及び二酸化チタニウム(TiO2)材質を含み、前記酸化亜鉛材質の含量は、前記二酸化チタニウムの材質の含量より多くすることが可能である。
【0014】
また、前記ベース層は、無機顔料をさらに含むことができる。
【0015】
また、前記ベース層の広さは、前記有機カラー層の広さよりさらに広くすることが可能である。
【0016】
また、前記下部層は、前記ベース層と接触する部分を含み、前記上部層は、前記ベース層と接触する部分及び前記有機カラー層と接触する部分を含むことができる。
【0017】
また、前記有機カラー層は、複数の個別カラー層(Individual Color Layer)を含み、それぞれの前記個別カラー層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質と互いに異なる有機顔料を含むことができる。
【0018】
また、前記ベース層の厚さは、それぞれの前記個別カラー層の厚さより厚くすることが可能である。
【0019】
また、前記有機カラー層は、前記個別カラー層として、第1のカラー層(First Color Layer)と第2のカラー層(Second Color Layer)とを備え、前記第1のカラー層は、第1の有機顔料を含み、前記第2のカラー層は、前記第1の有機顔料と異なる色に対応する第2の有機顔料を含み、前記第1のカラー層は、前記第2のカラー層と重なる(Overlap)部分及び前記第2のカラー層と重ならない部分を含むことができる。
【0020】
また、前記第1のカラー層は、前記ベース層の上部に配置され、前記第2のカラー層は、前記ベース層の上部に配置される部分と前記第1のカラー層の上部に配置される部分とを含み、前記第2のカラー層の広さは、前記第1のカラー層の広さより広くすることが可能である。
【0021】
また、前記有機カラー層は、前記個別カラー層として、第3のカラー層(Third Color Layer)をさらに備え、前記第1のカラー層、前記第2のカラー層、または前記第3のカラー層のうち、いずれか1つは、マゼンタ(Magenta)系有機顔料を含み、残りのうち、いずれか1つは、黄色系有機顔料を含み、残りの1つは、青緑(Cyan)系有機顔料を含むことができる。
【0022】
また、前記第3のカラー層は、前記第1のカラー層と重なる(Overlap)部分、前記第2のカラー層と重なる部分、前記第1のカラー層及び前記第2のカラー層と共通に重なる部分、及び前記第1のカラー層及び前記第2のカラー層と重ならない部分を含むことができる。
【0023】
また、複数の前記個別カラー層のうち、少なくとも1つで他の個別カラー層と重なる部分の厚さが重ならない部分の厚さと異なることができる。
【0024】
また、前記カラー部の外郭の第1の領域(First Area)で前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合は、前記第1の領域よりカラーレンズの外郭に位置した第2の領域(Second Area)で前記第1のカラー層と前記第2のカラー層との重ね合わせ割合よりさらに低くすることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るカラーコンタクトレンズは、相対的に少ない個数の層(Layer)を用いて相対的に多くの種類の色を実現できるという効果がある。
【0026】
本発明に係るカラーコンタクトレンズは、印刷工程の数を減らして製造工程を単純化でき、製造単価を低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るカラーコンタクトレンズについて説明するための図である。
【
図2】本発明に係るカラーコンタクトレンズについて説明するための図である。
【
図3】本発明に係るカラーコンタクトレンズについて説明するための図である。
【
図4】本発明に係るカラーコンタクトレンズについて説明するための図である。
【
図10】カラー部について説明するための図である。
【
図11】カラー部について説明するための図である。
【
図12】カラー部について説明するための図である。
【
図13】カラー部について説明するための図である。
【
図14】カラー部について説明するための図である。
【
図15】カラー部について説明するための図である。
【
図16】カラー部について説明するための図である。
【
図17】カラー部について説明するための図である。
【
図18】カラー部について説明するための図である。
【
図19】カラー部について説明するための図である。
【
図20】カラー部について説明するための図である。
【
図21】カラー部について説明するための図である。
【
図22】カラー部について説明するための図である。
【
図23】カラー部について説明するための図である。
【
図24】カラー部について説明するための図である。
【
図25】カラー部について説明するための図である。
【
図26】本発明に係るカラーレンズの製造方法を説明するための図である。
【
図27】本発明に係るカラーレンズの製造方法を説明するための図である。
【
図28】本発明に係るカラーレンズの製造方法を説明するための図である。
【
図29】本発明に係るカラーレンズの製造方法を説明するための図である。
【
図30】本発明に係るカラーレンズの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明に係るカラーコンタクトレンズについて詳細に説明する。
【0029】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳しく説明しようとする。これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むことと理解されることができる。
【0030】
本発明を説明するにあたって、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用され得るが、上記構成要素等は、前記用語により限定されるものではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用されることができる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。
【0031】
及び/又はという用語は、複数の関連した記載された項目等の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目等のうちのいずれの項目を含むことができる。
【0032】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及される場合は、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されることができる。それに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に他の構成要素が存在しないことと理解されることができる。
【0033】
本文書において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含むことができる。
【0034】
本文書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、または、これらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、または、これらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されることができる。
【0035】
別に定義されない限り、技術的であるか、科学的な用語を含めて、ここで使用されるあらゆる用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されることと同じ意味を有することができる。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解釈されることができ、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか、過度に形式的な意味と解釈されないことがある。
【0036】
さらに、本文書に開示された実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者にさらに完全に説明するために提供されるものであって、図面での要素等の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることができる。
【0037】
本文書において本発明を説明するにあたって、関連した公知機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略することができる。
【0038】
図1~
図4は、本発明に係るカラーコンタクトレンズについて説明するための図である。
【0039】
図1に示すように、本発明に係るカラーコンタクトレンズ1(以下では、カラーコンタクトレンズを「カラーレンズ」と称する)は、半球形態からなることができる。
【0040】
カラーレンズ1の凹んだ面は、ユーザの眼球(Eye)側に対応し、凸んだ面は、外部に向かうことができる。
【0041】
このようなカラーレンズ1は、
図2に示されるように、ユーザの眼球側に対応する下部層(Bottom Layer、20)、下部層20に対応する上部層(Upper Layer、30)、及び上部層30と下部層20との間に位置するカラー部(Color Part、10)を備えることができる。
【0042】
下部層20と上部層30の材質は特に制限されないが、共通的に2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl Methacrylate、2-HEMA)材質を含む重ね合わせ体を含むことができる。
【0043】
下部層20は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質に硬化剤を添加した重合体を用いて製造することができる。本発明に適用される硬化剤は、特に制限されるものではない。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)を硬化剤として使用することも可能でありうる。
【0044】
上部層30は、図示してはいないが、下部層20及びカラー部10の有機カラー層と接触することができる。これにより、上部層30は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質に架橋剤を添加した重合体を用いて製造されることが好ましい。本発明に適用される架橋剤は、以下において説明される個別カラー層との仮橋役割を行うものであれば、特に制限されるものではない。
【0045】
下部層20、上部層30、及びカラー部10の関係についての内容は、以下の説明を介して明確になるであろう。
【0046】
図3に示すように、カラーレンズ1の中央部には、カラー部10が省略されて透明な部分が設けられ得る。このような透明な部分PAは、ユーザの眼球の瞳孔(Pupil)に対応する部分でありうる。
【0047】
カラー部10は、透明な部分PAの周辺部に位置することができる。このようなカラー部10は、同心円形態を有することができる。
【0048】
カラー部10は、ユーザの眼球の虹彩(Iris)に対応することができる。
【0049】
カラー部10は、虹彩の少なくとも一部を隠すことができる。
【0050】
本発明においてカラー部10は、虹彩の全部を隠すか、虹彩の一部を隠すことが可能である。
【0051】
以下では、理解を助けるために、カラー部10が同心円形態を有することと説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0052】
例えば、本発明においてカラー部10の形態は、同心円形態を有することが可能であり、不規則的な様々なパターンを有することも可能でありうる。
【0053】
カラー部10のさらに他のパターンの一例を
図4に示した。
【0054】
このようなカラー部10は、以下の説明によってさらに明確になることができる。
【0055】
図5~
図25は、カラー部について説明するための図である。以下では、以上で説明した部分についての説明は省略されることができる。
【0056】
図5に示すように、カラー部10は、ベース層(Base Layer、100)及び有機カラー層(Organic Color Layer、200)を備えることができる。
【0057】
ベース層100は、下部層20の上部に形成され、無機材料を含むことができる。
【0058】
ベース層100は、無機材料により不透明な性質を有することができる。これにより、ベース層100を不透明層と称することができる。
【0059】
ベース層100は、下部層20の上部に形成されるので、ベース層100と下部層20とは、その性質が類似したことが好ましい。
【0060】
好ましくは、ベース層100は、下部層20との親和力のために、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質を含む重合体を含むことができる。
【0061】
ベース層100を製造するのに使用される重合体は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質20~40重量部、メチルメタクリレート(Methyl Methacrylate)材質0.2~2重量部、メタクリル酸(Methacrylic Acid)材質0.5~2重量部、ブチルアセテート(Butyl Acetate)材質3~8重量部を含むことができる。ここにエチルセロソルブ30~60重量部をさらに混合することも可能でありうる。
【0062】
ベース層100は、有機カラー層200の色を目立つようにするために、無機材料として酸化亜鉛(ZnO2)材質または二酸化チタニウム(TiO2)材質のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0063】
無機材料として二酸化チタニウム(TiO2)を単独で使用する場合には、上記で説明した2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質を含む重合体に二酸化チタニウム(TiO2)材質1.0~50重量部を混合したベース材料を使用できる。
【0064】
このような場合、不透明なホワイト系の二酸化チタニウム(TiO2)は、光反射率が十分に高いので、ベース層100を介して虹彩が写ることを十分に防止でき、有機カラー層200の色感をより一層目立つようにすることができる。
【0065】
無機材料として酸化亜鉛(ZnO2)材質を単独で使用する場合には、上記で説明した2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質を含む重合体に酸化亜鉛(ZnO2)材質10~80重量部を混合したベース材料を使用できる。
【0066】
このような場合にも、ベース層100を介して虹彩が写ることを十分に防止でき、有機カラー層200の色感をより一層目立つようにすることができる。
【0067】
無機材料として二酸化チタニウム(TiO2)を単独で使用する場合と酸化亜鉛(ZnO2)材質を単独で使用する場合とを比較すれば、酸化亜鉛(ZnO2)材質の使用量が二酸化チタニウム(TiO2)材質の使用量よりさらに多いことがある。その理由は、酸化亜鉛(ZnO2)材質の透明度が二酸化チタニウム(TiO2)の透明度よりさらに高いためである。酸化亜鉛(ZnO2)材質は不透明であるが、二酸化チタニウム(TiO2)材質よりは透明度が高い材質と見ることができる。
【0068】
無機材料として酸化亜鉛(ZnO2)材質と二酸化チタニウム(TiO2)材質とを混合して使用する場合には、上記で説明した2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質を含む重合体に酸化亜鉛(ZnO2)材質10~80重量部と二酸化チタニウム(TiO2)材質10~30重量部とを混合したベース材料を使用できる。
【0069】
このような場合、有機カラー層200の色感をより一層目立つようにすることができる。
【0070】
このように、無機材料として酸化亜鉛(ZnO2)材質と二酸化チタニウム(TiO2)材質とを混合して使用する場合には、酸化亜鉛(ZnO2)材質の含量が二酸化チタニウム(TiO2)材質の含量より多いことがある。
【0071】
一方、ベース層100は、無機材料の他に、所定の色を実現できる無機顔料をさらに含むことが可能でありうる。
【0072】
このような場合、ベース層100は、有機カラー層200の全体的な色相トーンを設定できる。例えば、ベース層100が赤色(Red)系の酸化鉄などの無機顔料をさらに含む場合に、ベース層100の上部に形成される有機カラー層200の色相トーンを赤色性向にて設定することができる。
【0073】
無機顔料は、酸化鉄黒色、酸化鉄褐色、酸化鉄黄色、酸化鉄赤色などの使用が可能であり、これらと二酸化チタニウムとを混合して無機顔料として使用したものも可能でありうる。本発明に適用される無機顔料は、これに限定されず、より様々な種類の無機顔料が本発明に適用されることが可能でありうる。
【0074】
有機カラー層200は、ベース層100の上部に形成され、所定の色を実現するために有機顔料を含むことができる。
【0075】
有機カラー層200は、有機顔料により透明な性質を有することができる。これにより、有機カラー層200を透明カラー層と称することができる。
【0076】
このような有機カラー層200は、上部層30の下部に形成されるので、有機カラー層200と上部層30とは、その性質が類似したことが好ましい。
【0077】
好ましくは、有機カラー層200は、上部層30との親和力のために、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質を含む重合体を含むことができる。
【0078】
さらに、有機カラー層200とベース層100との親和力のために、有機カラー層200に使用される重合体は、ベース層100に使用される重合体と同一でありうる。
【0079】
ベース層100は、有機カラー層200の色感を目立つようにするために有機カラー層200の下部に位置するので、ベース層100の広さ(総面積)は、有機カラー層200の広さ(総面積)より大きいことがある。
【0080】
下部層20と上部層30とが連結された状態で、下部層20は、ベース層100と接触する部分を含み、上部層30は、ベース層100と接触する部分及び有機カラー層200と接触する部分を共に含むことができる。さらに、カラーレンズ1の縁で下部層20は、上部層30と接触する部分を含むことができる。
【0081】
図6に示すように、ベース層100は、カラーレンズ1の中央部分の透明な部分PAの外郭に位置することができる。
【0082】
このようなベース層100は、輪(Ring)形態を有することができる。
【0083】
ベース層100の形態は、有機カラー層200の形態によって変更されることが可能である。
【0084】
図7には、さらに他の形態のベース層100の一例が示されている。
【0085】
以下では、理解を助けるために、ベース層100が同心円形態を有する場合を例に挙げて説明する。
【0086】
図8に示すように、ベース層100の上部に有機カラー層200が形成されることができる。
【0087】
有機カラー層200は、不透明なベース層100の上部に形成されるので、有機カラー層200の色感を歪みなしに実現することが可能である。
【0088】
有機カラー層200は、ベース層100の上部において放射形に形成されることが可能である。
【0089】
図8では、有機カラー層200が楕円形態を有することと説明しているが、本発明は、これに限定されず、有機カラー層200の形態は様々に変更されることができる。例えば、有機カラー層200は、ドット(Dot)パターン、ストライプ(Stripe)パターンなど、様々な形態で形成されることができる。
【0090】
このような有機カラー層200は、互いに異なる有機顔料を含む複数の個別カラー層(Individual Color Layer)を備えることができる。
【0091】
例えば、
図9の(A)、(B)のように、有機カラー層200は、個別カラー層として第1のカラー層(First Color Layer、210)と第2のカラー層(Second Color Layer、220)とを備えることができる。
【0092】
ここで、第1のカラー層210と第2のカラー層220とは、形成位置及び/又は形成順序によって区分されることができる。
【0093】
例えば、下部層20の上部にベース層100を先に形成した後、ベース層100の上部に有機カラー層200を形成する場合を仮定してみる。
【0094】
このような場合には、ベース層100の上部に一番先に形成される個別カラー層が第1のカラー層210と命名され、その後に形成される個別カラー層が第2のカラー層220と命名されることができる。
【0095】
これとは反対に、上部層30に先に有機カラー層200を形成し、その後、有機カラー層200を覆うベース層100を形成する場合を仮定してみる。
【0096】
このような場合には、個別カラー層のうち、一番最後に形成されたものを第1のカラー層210と命名し、逆順に、それ以前に形成された個別カラー層を第2のカラー層220と命名することができる。
【0097】
このような規則は、個別カラー層の個数が3個以上である場合にも同様に適用されることができる。
【0098】
図9の(B)は、
図9の(A)を横方向に切断した断面を表示している。
【0099】
さらに、それぞれの個別カラー層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質と互いに異なる有機顔料を含むことができる。
【0100】
例えば、第1のカラー層210は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質と第1の有機顔料を含み、第2のカラー層220は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質と第1の有機顔料と異なる色に対応する第2の有機顔料を含むことができる。
【0101】
有機顔料の例では、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾールパープル、バットオレンジ色1番などとこれらの配合物がある。本発明に適用が可能な有機顔料はこれに限定されず、より様々な有機顔料が本発明に適用されることが可能である。
【0102】
それぞれの個別カラー層は、実質的に透明であり、複数の個別カラー層の重ね合わせ(組み合わせ)により所望の色相を実現するので、個別カラー層の厚さは、相対的に薄いことが好ましい。それに対し、ベース層100は、虹彩の色が写ることを十分に抑制するためには、その厚さも相対的に厚いことが可能でありうる。
【0103】
これを考慮するとき、ベース層100の厚さは、それぞれの個別カラー層の厚さより厚いことが好ましい。
【0104】
ここで、第1のカラー層210と第2のカラー層220とは、互いに部分重ね合わせ(Partially Overlap)られることができる。
【0105】
言い替えれば、第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なる部分c1及び第2のカラー層220と重ならない部分a1を含むことができる。さらに、第2のカラー層220は、第1のカラー層210と重なる部分c1及び第1のカラー層210と重ならない部分b1を含むことができる。
【0106】
他の観点から見ると、a1領域で第1のカラー層210は、上部層30及びベース層100と接触し、b1領域で第2のカラー層220は、上部層30及びベース層100と接触し、c1領域で第1のカラー層210は、ベース層100と接触し、第2のカラー層220は、上部層30と接触することができる。
【0107】
a1領域では、第1の顔料に対応する色相が実現され、b1領域では、第2の顔料に対応する色相が実現され、c1領域では、第1の顔料に対応する色相と第2の顔料に対応する色相とが減算混合された色相が実現され得る。
【0108】
減算混合(Subtractive Color Mixture)は、2つの色を混ぜたとき、明度が2つの色を混ぜる前の平均明度より低くなることを意味できる。
【0109】
例えば、赤色と黄色とを混ぜると橙色になり、黄色と青色とを混ぜると緑色になり、青色と赤色とを混ぜると紫色になることができる。また、赤色、黄色、青色を全て混ぜると、黒色に近い色になることができる。
【0110】
第1の顔料が赤色を実現し、第2の顔料が青色を実現すると仮定すれば、
図9において、a1領域では、赤色に対応する色が実現され、b1領域では、青色に対応する色が実現され、c1領域では、紫色に対応する色が実現され得る。
【0111】
このように、本発明では、2つの顔料(第1の顔料、第2の顔料)を用いて3つの色を実現することが可能である。言い替えれば、2つの個別カラー層、すなわち、第1のカラー層210と第2のカラー層220とを用いて3つの色を実現することが可能である。
【0112】
本発明とは異なり、個別カラー層として無機顔料を含む不透明カラー層を使用する場合、3つの色を実現するためには、それぞれ異なる顔料を含む3つの不透明カラー層を形成しなければならない。このため、製造工程が複雑になり、製造単価が増加し、製造工程上で不良が発生する可能性が増加しうる。
【0113】
それに対し、本発明では、不透明なベース層100の上に有機顔料を含む複数の透明な個別カラー層を重なるように配置するようになると、少ない数の個別カラー層を用いて多数の色相を実現できるので、製造工程を単純化でき、製造単価を低減することができ、不良率を減少させることができる。
【0114】
さらに、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なる領域c1の下部には、実質的に不透明なベース層100が位置するので、減算混合の精密度をより一層向上させることができる。言い替えれば、重ね合わせ領域c1でベース層100によって虹彩の色が写らないので、所望の色を精密に組み合わせることが可能でありうる。
【0115】
ベース層100の上部に形成される個別カラー層の個数は、様々に変更されることができる。
【0116】
例えば、
図10の(A)、(B)のように、有機カラー層200は、個別カラー層として第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び第3のカラー層(Third Color Layer、230)を備えることができる。
【0117】
図10の(B)は、
図10の(A)を横方向に切断した断面(A1-A2)を表示している。
【0118】
第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び第3のカラー層230は、共通的に2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)材質を含み、互いに異なる有機顔料を含むことができる。さらに、第1のカラー層210は、第1の顔料を含み、第2のカラー層220は、第2の顔料を含み、第3のカラー層230は、第3の顔料を含むことができる。
【0119】
ここで、第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び第3のカラー層230は、互いに部分重ね合わせられることができる。詳しくは、第1のカラー層210と第2のカラー層220とは、部分重ね合わせられ、第1のカラー層210と第3のカラー層230とは部分重ね合わせられ、第2のカラー層220と第3のカラー層230とは部分重ね合わせられることができる。
【0120】
言い替えれば、第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なる部分d2、第3のカラー層230と重なる部分e2、第2のカラー層220及び第3のカラー層230と共通に重なる部分f2、及び第2のカラー層220及び第3のカラー層230と重ならない部分a2を含むことができる。
【0121】
さらに、第2のカラー層220は、第1のカラー層210及び第3のカラー層230と重ならない部分b2を含むことができる。
【0122】
さらに、第3のカラー層230は、第1のカラー層210及び第2のカラー層220と重ならない部分c2を含むことができる。
【0123】
図10の(B)に示すように、a2領域で第1のカラー層210は、上部層30及びベース層100と接触し、f2領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第2のカラー層220と接触することができる。
【0124】
a2領域では、第1の顔料に対応する色相が実現され、b2領域では、第2の顔料に対応する色相が実現され、c2領域では、第3の顔料に対応する色相が実現され、d2領域では、第1の顔料に対応する色相と第2の顔料に対応する色相とが減算混合された色相が実現され、e2領域では、第1の顔料に対応する色相と第3の顔料に対応する色相とが減算混合された色相が実現され、f2領域では、第1の顔料に対応する色相と第2の顔料に対応する色相と第3の顔料に対応する色相とが減算混合された色相が実現され得る。
【0125】
このように、本発明では、3つの個別カラー層、すなわち、第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び第3のカラー層230を用いて4つ以上の色、例えば、6つの色を実現することが可能である。本発明では、3つの個別カラー層を用いて7つの色相を実現することが可能でありうる。これについては、以下の
図16において説明する。
【0126】
図11は、
図10の(A)を縦方向に切断した断面(B1-B2)を表示している。
【0127】
図11に示すように、c2領域で第3のカラー層230は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0128】
e2領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第3のカラー層230及びベース層100と接触することができる。
【0129】
f2領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第2のカラー層220と接触し、第2のカラー層220は、第3のカラー層230及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第2のカラー層220及びベース層100と接触することができる。
【0130】
d2領域で第2のカラー層220は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第2のカラー層220及びベース層100と接触することができる。
【0131】
b2領域で第2のカラー層220は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0132】
図10及び
図11とは異なるパターンで第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び/又は第3のカラー層230を配置することが可能でありうる。
【0133】
例えば、
図12の(A)のように、c2領域で第1のカラー層210は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0134】
e2領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第3のカラー層230及びベース層100と接触することができる。
【0135】
f2領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第2のカラー層220と接触し、第2のカラー層220は、第3のカラー層230及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第2のカラー層220及びベース層100と接触することができる。
【0136】
d2領域で第3のカラー層220は、上部層30及び第2のカラー層220と接触し、第2のカラー層220は、第3のカラー層230及びベース層100と接触することができる。
【0137】
b2領域で第2のカラー層220は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0138】
または、
図12の(B)のように、c2領域で第1のカラー層210は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0139】
e2領域で第2のカラー層230は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第2のカラー層220及びベース層100と接触することができる。
【0140】
f2領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第2のカラー層220と接触し、第2のカラー層220は、第3のカラー層230及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第2のカラー層220及びベース層100と接触することができる。
【0141】
d2領域で第3のカラー層220は、上部層30及び第2のカラー層220と接触し、第2のカラー層220は、第3のカラー層230及びベース層100と接触することができる。
【0142】
b2領域で第3のカラー層230は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0143】
図13の(A)、(B)に示すように、第1のカラー層210は、第2のカラー層220または第3のカラー層230と各々部分重ね合わせられることができる。
【0144】
図13の(B)は、
図13の(A)を縦方向に切断した断面(B1-B2)を表示している。
【0145】
第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なる部分d3、第3のカラー層230と重なる部分e3、及び第2のカラー層220及び第3のカラー層230と重ならない部分a3を含むことができる。
【0146】
なお、第2のカラー層220は、第1のカラー層210及び第3のカラー層230と重ならない部分b3を含むことができる。
【0147】
さらに、第3のカラー層230は、第1のカラー層210及び第2のカラー層220と重ならない部分c3を含むことができる。
【0148】
図13の(B)に示すように、c3領域で第3のカラー層230は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0149】
e3領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第3のカラー層230及びベース層100と接触することができる。
【0150】
a3領域で第1のカラー層210は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0151】
d3領域で第2のカラー層220は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第2のカラー層220及びベース層100と接触することができる。
【0152】
b3領域で第2のカラー層220は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0153】
このように、主に重なる個別カラー層を中間に位置させることができる。
【0154】
これとは異なり、
図14の場合のように、c3領域で第1のカラー層210は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0155】
e3領域で第3のカラー層230は、上部層30及び第1のカラー層210と接触し、第1のカラー層210は、第3のカラー層230及びベース層100と接触することができる。
【0156】
a3領域で第1のカラー層230は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0157】
d3領域で第1のカラー層210は、上部層30及び第2のカラー層220と接触し、第2のカラー層220は、第1のカラー層210及びベース層100と接触することができる。
【0158】
b3領域で第2のカラー層220は、上部層30及びベース層100と接触することができる。
【0159】
図15に示すように、第1のカラー層210は、第2のカラー層220または第3のカラー層230と各々部分重ね合わせられ、第2のカラー層220は、第3のカラー層230と部分重ね合わせられることができる。
【0160】
第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なる部分d4、第3のカラー層230と重なる部分e4、及び第2のカラー層220及び第3のカラー層230と重ならない部分a4を含むことができる。
【0161】
なお、第2のカラー層220は、第3のカラー層230と重なる部分f4、第1のカラー層210及び第3のカラー層230と重ならない部分b4を含むことができる。
【0162】
さらに、第3のカラー層230は、第1のカラー層210及び第2のカラー層220と重ならない部分c4を含むことができる。
【0163】
図16に示すように、第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なる部分d5、第3のカラー層230と重なる部分e5、第2のカラー層220及び第3のカラー層230と共通に重なる部分g5、第2のカラー層220及び第3のカラー層230と重ならない部分a5を含むことができる。
【0164】
なお、第2のカラー層220は、第3のカラー層230と重なる部分f5、第1のカラー層210及び第3のカラー層230と重ならない部分b5を含むことができる。
【0165】
さらに、第3のカラー層230は、第1のカラー層210及び第2のカラー層220と重ならない部分c5を含むことができる。
【0166】
図16のように、本発明では、3つの個別カラー層、すなわち、第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び第3のカラー層230を用いて7つの色を実現することが可能である。
【0167】
このように、3つの個別カラー層(第1のカラー層210、第2のカラー層220、第3のカラー層230)を使用する場合には、マゼンタ(Magenta)系有機顔料、黄色系有機顔料、及び青緑(Cyan)系有機顔料を使用することが可能でありうる。
【0168】
詳しくは、第1のカラー層210、第2のカラー層220、または第3のカラー層230のうち、いずれか1つは、マゼンタ系有機顔料を含み、残りのうち、いずれか1つは、黄色系有機顔料を含み、残りの1つは、青緑(Cyan)系有機顔料を含むことが可能である。
【0169】
このような場合、それぞれの顔料の使用量を調節するならば、十分に多くの種類の色相を実現することが可能でありうる。
【0170】
以上では、個別カラー層等が部分重ね合わせる場合を重点として説明したが、本発明は、これに限定されず、少なくとも1つの個別カラー層が他の個別カラー層に完全重ね合わせ(Fully Overlap)られることも可能でありうる。
【0171】
例えば、
図17の場合のように、第2のカラー層220は、第1のカラー層210に完全重ね合わせられることができる。
【0172】
このような場合には、第1のカラー層210において第2のカラー層220と重ならない部分では、第1の顔料に対応する色相が実現され得る。
【0173】
さらに、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なる部分では、第1の顔料に対応する色相と第2の顔料に対応する色相とが減算混合された色相が実現され得る。
【0174】
それに対し、第2の顔料に対応する色相は、単独で実現されないことがある。すなわち、第2の顔料を使用する第2のカラー層220は、所定の色相を実現するための材料として使用され、単独で第2の顔料に対応する色相は実現されないことがある。
【0175】
一方、個別カラー層の面積を考慮して形成位置を決定することが可能でありうる。
【0176】
例えば、
図18の(A)、(B)のように、互いに重なる第1のカラー層210と第2のカラー層220のうち、第1のカラー層210の総面積が第2のカラー層220の総面積よりさらに広いことがある。
【0177】
または、
図19の(A)、(B)のように、互いに重なる第1のカラー層210と第2のカラー層220のうち、第2のカラー層220の総面積が第1のカラー層210の総面積よりさらに広いことがある。
【0178】
または、
図20の(A)、(B)のように、第1のカラー層210、第2のカラー層220、及び第3のカラー層230のうち、2番目である第2のカラー層220の総面積が第1のカラー層210の総面積及び第3のカラー層230の総面積よりさらに小さいことがある。
【0179】
このように、個別カラー層の面積によって形成位置を設定する方法は、個別カラー層とベース層100との間の親和力、個別カラー層と上部層30との間の親和力、個別カラー層の乾燥条件などの要因によって適用されることが可能である。
【0180】
一方、少なくとも1つの個別カラー層の厚さを調節することが可能でありうる。
【0181】
好ましくは、複数の個別カラー層のうち、少なくとも1つで他の個別カラー層と重なる部分の厚さが重ならない部分の厚さと異なることがある。
【0182】
例えば、
図21の(A)の場合のように、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが部分重ね合わせる場合を仮定してみる。
【0183】
このような場合、第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なる部分c6及び第2のカラー層220と重ならない部分a6を含み、第2のカラー層220は、第1のカラー層210と重ならない部分b6を含むことができる。
【0184】
他の観点から見ると、c6領域で第1のカラー層210は、第2のカラー層220と重なり、a6領域及びb6領域では、第1のカラー層210と第2のカラー層220とは、互いに重ならないことがある。
【0185】
ここで、c6領域における第1のカラー層210の厚さt2は、a6領域における第1のカラー層210の厚さt1より小さいことがある。
【0186】
このような場合には、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なる領域c6で第1のカラー層210の第1の顔料の影響を減少させることができる。
【0187】
一方、c6領域における第2のカラー層220の厚さは、b6領域における第2のカラー層220の厚さより小さいことも可能でありうる。
【0188】
図22に示すように、
図21とは異なり、c6領域における第1のカラー層210の厚さt4は、a6領域における第1のカラー層210の厚さt3より大きいことが可能である。
【0189】
このような場合には、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なる領域c6で第1のカラー層210の第1の顔料の影響を強化させることができる。
【0190】
このように、個別カラー層の厚さを調節すれば、重ね合わせ領域でより様々な色相を実現することが可能でありうる。
【0191】
一方、形成位置によって少なくとも1つの個別カラー層の厚さ調節を異なるように適用することが可能でありうる。
【0192】
例えば、
図23の(B)のように、カラーレンズ1上の任意のa領域ARa及びb領域ARbで各々第1のカラー層210と第2のカラー層220とが部分重ね合わせられることと仮定してみる。
【0193】
図23の(A)は、a領域ARaで第1のカラー層210と第2のカラー層220とを縦方向に切断した断面(B1-B2)を表示している。
【0194】
図23の(C)は、b領域ARbで第1のカラー層210と第2のカラー層220とを縦方向に切断した断面(B3-B4)を表示している。
【0195】
図23を見ると、(A)のように、a領域ARaでは、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なるc6領域における第1のカラー層210の厚さt2は、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重ならないa6領域における第1のカラー層210の厚さt1より小さいことがある。
【0196】
これとは異なり、(C)のように、b領域ARbでは、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なるc6領域における第1のカラー層210の厚さt2と第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重ならないa6領域における第1のカラー層210の厚さt2とは略同一でありうる。
【0197】
このような場合、a領域ARaのc6領域で実現される色相とb領域ARbのc6領域で実現される色相とは、互いに異なることができる。このように、同じ有機顔料を使用しても、重ね合わせ領域で少なくとも1つの個別カラー層の厚さを異なるように設定するようになると、より一層様々な色相の実現が可能でありうる。
【0198】
一方、個別カラー層の総面積によって個別カラー層の形成位置を設定することも可能でありうる。
【0199】
好ましくは、総面積が相対的に小さい個別カラー層をカラーレンズ1の外郭に配置することができる。
【0200】
例えば、
図24の(A)、(B)のように、ベース層100の上部に互いに重なる第1のカラー層210と第2のカラー層220が形成され、第1のカラー層210の総面積が第2のカラー層220の総面積よりさらに小さい場合を仮定してみる。
【0201】
ここで、第1のカラー層210は、カラーレンズ1の外郭に偏るように配置されることができる。
【0202】
言い替えれば、ベース層100を同心円形態で第1の領域(First Area、AR1)と第1の領域AR1の外郭の第2の領域(Second Area、AR2)とに区分する場合、第1のカラー層210は、第2の領域AR2に主に位置することができる。
【0203】
このような場合、第1のカラー層210と第2のカラー層220とが重なる部分は、第2の領域AR2に主に位置することができる。
【0204】
図24では、第1のカラー層210は、第1の領域AR1に位置する部分は含まない場合を説明しているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0205】
例えば、
図25の場合のように、第1のカラー層210は、第1の領域AR1に位置する部分及び第2の領域AR2に位置する部分を含み、第2の領域AR2に位置する部分の総面積が第1の領域AR1に位置する部分の総面積よりさらに広いことが可能である。
【0206】
このような場合、第1の領域AR1で第1のカラー層210と第2のカラー層220との重ね合わせ割合は、第1の領域AR1よりカラーレンズ1の外郭に位置した第2の領域AR2で第1のカラー層210と第2のカラー層220との重ね合わせ割合よりさらに低いことがある。
【0207】
このような場合、カラーレンズ1の外郭へ行くほど、カラー部10の明度が低くなりうる。言い替えれば、カラーレンズ1の外郭へ行くほど、カラー部10が暗い色を有する可能性が増加し得る。このような場合、ユーザの瞳がより大きく見える効果を増大させることができる。
【0208】
以上で説明した本発明に係るカラーレンズ1の製造方法について、添付された図面を参照して説明すれば、下記のとおりである。
【0209】
図26~
図30は、本発明に係るカラーレンズの製造方法を説明するための図である。以下では、以上で説明した部分についての説明は省略されることができる。
【0210】
図26に示すように、まず、レンズモールド(Lens Mold、300)に下部層20を配置(S100)することができる。詳しくは、
図27の(A)、(B)のように、凸んだ形状のレンズモールド300の上部に凸んだ面が上部に向かうように下部層20を配置できる。
【0211】
さらに、印刷用ヘッド(Head、510)にベース層100の形成に使用されるベース材料を一次的に印刷(S200)することができる。
【0212】
例えば、
図28の場合のように、所定のパターンが形成されたインキモールド(Ink Mold、400)にベース材料100aを塗布し、その後、印刷装置500のヘッド510をベース材料100aが塗布されたインキモールド400に密着させることができる。
【0213】
すると、弾力性のあるヘッド510表面にベース材料100aがくっつくことができる。言い替えれば、ヘッド510の表面にベース材料100aが一次的に印刷されることができる。
【0214】
その後、下部層20の上部にベース材料100aを印刷(S110)することができる。例えば、
図29の場合のように、表面にベース材料100aが印刷されたヘッド410を下部層20の上部に密着させることができる。
【0215】
すると、ヘッド510表面に塗布されていたベース材料100aが下部層20の上部表面に二次的に印刷されることができる。
【0216】
図28と同様に、他のインキモールドに個別カラー層を形成するための有機カラー材料を塗布し、その後、他のヘッドを他のインキモールドに密着させて、他のヘッド表面に有機カラー材料がくっつくように(一次有機カラー材料印刷)することができる(S300)。
【0217】
その後、ベース材料100aが印刷されている下部層20に有機カラー材料を二次的に印刷(S120)することができる。
【0218】
その後、
図30のように、ベース材料100aと有機カラー材料200aとが印刷された下部層20の上部に上部層30を配置して結合(S130)することができる。
【0219】
その後、乾燥(S140)過程を経ると、本発明に係るカラーレンズ1が完成され得る。
【0220】
このように、上述した本発明の技術的構成は、本発明の属する技術分野の当業者が本発明のその技術的思想や必須的特徴を変更せずに、他の具体的な形態で実施され得るということが理解できるであろう。
【0221】
したがって、以上で記述した実施形態等は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的なものでないことと理解されなければならず、本発明の範囲は、前述した詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって表され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その等価概念から導かれる全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明に係るカラーコンタクトレンズは、様々なカラーを実現でき、製造工程が単純であり、製造単価が低くて、カラーコンタクトレンズ製造企業及び販売企業等によって利用される可能性が極めて高い。