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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】多孔質微細構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/32 20060101AFI20220330BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20220330BHJP
   C08J 9/28 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
C08F2/32
C08F212/08
C08J9/28 102
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021163047
(22)【出願日】2021-10-01
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】110100498
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518213374
【氏名又は名称】台灣創新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】王 斯瑜
(72)【発明者】
【氏名】陳 暉
(72)【発明者】
【氏名】林 鵬
(72)【発明者】
【氏名】許 銘賢
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-513963(JP,A)
【文献】Chem Mater,19,2007年,p.1537-1539
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-246/00
C08J 9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
のステップ、即ち
一つの開始剤と一つの乳化安定剤が存在する条件の下で、単量体と架橋剤を含む連続相組成物及び溶剤を含む分散相組成物を乳化することによって、連続相及び、前記連続相に分散している分散相を含むエマルションを得ること;
前記少なくとも一種の単体及び前記架橋剤の前重合化を行うことによって、前記少なくとも一種の単量体と前記架橋剤の一部を重合させて、前記エマルションの粘度を上げるが、相変わらず前記エマルションの流動性を保留すること;
前記エマルションを遠心分離することと前記分散相と分離する余分な連続相を除去することによって、前記エマルションにおける前記分散相の容積比を前記連続相に対して高くし、前記分散相が前記エマルションに占める容積比が少なくとも74.05%(v/v)である高内相エマルションを得ること;及び
前記高内相エマルションにおける連続相を固化成形し、且つ、前記分散相を除去することによって、前記多孔質微細構造を得る、というステップが含まれ
その中で、前記エマルションにさらに重合反応促進剤が含まれ、前記重合促進剤が、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、N,N,N',N",N"-ペンタメチルジエチリデントリアミン(PMDTA)、トリ(2-ジメチルアミン)エチルアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチリデンテトラアミンと1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(tetraazacyclotetradecane)から構成されるグループから選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方法
【請求項2】
請求項1に記載の多孔質微細構造の製造方法において、
その中で、前記少なくとも一種の単量体が、アルケニル系不飽和単量体とアセチレン系不飽和単量体から構成されるグループから選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方
【請求項3】
請求項2に記載の多孔質微細構造の製造方法において、
その中で、前記少なくとも一種の単量体が、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン及びその派生物、シラン類、ピロール類、ジビニルベンゼン、4-ジビニルベンジルメチルクロリド、ビニルピリジン、及びこれらの組み合わせにより構成されるグループから選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方
【請求項4】
請求項1に記載の多孔質微細構造の製造方法において、
その中で、前記架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、トリエチレングリコールジアクリレート(TriEGDA)と及びジビニルベンゼン(DVB)から構成されるグループから選ばれる油溶性架橋剤から選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方
【請求項5】
請求項1に記載の多孔質微細構造の製造方法において、
その中で、前記架橋剤が、N,N-ジアリルアクリルアミドとN,N'-メチレンビス(アクリルアミド)(MBAA))から構成されるグループから選ばれる水溶性架橋剤でから選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方
【請求項6】
請求項1に記載の多孔質微細構造の製造方法において、
その中で、前記乳化安定剤が、非イオン界面活性剤から選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方
【請求項7】
請求項6に記載の多孔質微細構造の製造方法において、
その中で、前記乳化安定剤が、モノラウリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸PEG-200、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ひまし油、リシノレイン酸グリセリル、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムとジオレイルジメチルアンモニウムクロリドから構成されるグループから選ばれる
ことを特徴とする多孔質微細構造の製造方
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質微細構造の製造方法に関わり、 特に、高内相エマルション (high internal phase emulsion; HIPE) テンプレート技術を使用して多孔質微細構造を製造する方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
高内相エマルションテンプレート技術(HIPE Templating)は、多孔質高分子材料製造に関わる新興技術である。高内相エマルションは、エマルションにおいて、乳化微小滴が外相に分散することによって構成される 内相(又は分散相という)に対して、その容積比が74.05%を超え、即ち、均質マイクロスフェアがエマルションに占めることができる最大スペースを超えるようにしてから、高内相エマルションの外相 (又は連続相という) に、重合させた後、内相を除去した後得られる空隙率が高く、且つ、空隙が互いに接続する高内相エマルション (polyHIPE)を指す。高内相エマルション・テンプレート技術を通じて得られた多孔質材料は、極めて大きい比表面積を有しているので、物質分離用基質、組織工学用細胞培養足場及び 酵素固定用吸着材等の用途に適する。高内相エマルション・テンプレート技術ンは、穴寸法を調整し易く、且つ、量産に導入し易い等の優位性を持つ。特に、細胞培養足場の用途にとって、高空隙率を有する多孔質材料は、細胞が浸透してその構造内に入ることに役立つので、細胞が多孔質材料により保護され、ボトル揺れ培養時のせん断力による傷害を防止できる。分離用基質の用途にとって、高空隙率は、物質移動速度低下と背圧過大の問題の克服にも役立つ。
【0003】
CN107311185Aと日本特許4766812は、それぞれ高内相エマルション・テンプレート技術を使用して多孔質微細構造を製造する方法を開示した。US2004204510A1は、高内相油油中水型エマルションを使用して、重合反応を通じて多孔質構造体を制作する方法を公開した。当該方法はは、重合反応完成の前に、エマルションの分散相をある程度に合併することによって、多孔構造の穴を大きくすることができる。クロフード等は、Pickering高内相エマルションを使用して多孔質モノリス (porous monoliths) を製造する方法を述べた。当該方法において、Pickering油中水型エマルションを遠心分離することによって、余分な油相を除去して、高内相エマルションを得ることができる(Colver P.J. and Bon, S.A.F., Cellular Polymer Monoliths Made via Pickering High Internal Phase Emulsions, Chem. Mater. (2007), Vol. 19, p.1537-1539)。但し、多孔質微細構造の高空隙率は、当該材料の機械的強度低下の欠点を齎す可能性がある。従って、関連技術分野において、多孔質微細構造の空隙率を向上させると同時に、機械的強度を実質的に減少させない製造方法に対して、 相変わらず高度なニーズを持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非混和性二相を乳化してエマルションを得た後、外力で沈降させる(例えば、エマルションを遠心分離する)ことによって エマルションにおける分散相と連続相の容積比を上げて、高内相エマルションを得た後、高内相エマルションにおける連続相を固化成形することによって、多孔質微細構造製品の空隙率を挙げる方法に関わる。本発明者は思いがけず、 エマルションを外力で沈降させる前に、事先に前重合を行うことによって、エマルションにおける二相の安定性を高めることができ、更に 分散相における隣のユニットが遠心力を受けた後、合併して容積が比較的に大きい新ユニットを形成する可能性を減少し、多孔質微細構造製品の穴寸法の不均一性による多孔質微細構造の機械的強度低減を避けることができることを発見した。言い換えれば、本発明における前重合ステップと外力による沈降ステップは、多孔質微細構造製品の孔隙率と機械的強度面において、相乗効果を生じることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、多孔質微細構造の製造方法を提供して、下記のステップ、即ち、
一つの開始剤と一つの乳化安定剤が存在する条件の下で、 単量体と架橋剤を含む連続相組成物及び溶剤を含む分散相組成物を乳化することによって、連続相及び、前記連続相に分散している分散相を含むエマルションを得ること、
前記少なくとも一種の単量体及び前記架橋剤の前重合化を行うことによって、前記少なくとも一種の単量体と前記架橋剤の一部を重合させて、前記エマルションの粘度を上げるが、 相変わらず前記エマルションの流動性を保留すること;
外力で前記エマルションを沈降させることによって、前記エマルションにおける前記分散相と前記連続相の容積比を上げて、高内相エマルションを得ること(その中で、前記分散相が前記高内相エマルションに占める容積比が少なくとも74.05% (v/v)であり、且つ、その中で、前記外力による沈降が、前記エマルションを遠心分離することと前記分散相と分離する余分な連続相を除去することを含む);及び
記高内相エマルションにおける連続相を固化成形し、且つ、 前記分散相を除去することによって、前記多孔質微細構造を得る、というステップが含まれている。
【0006】
好ましい実施形態において、前記少なくとも一種の単量体が、アルケニル系不飽和単量体とアセチレン系不飽和単量体から構成されるグループから選ばれる。一層好ましい実施形態において、前記少なくとも一種の単量体が、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、 スチレン及びその派生物、シラン類、ピロール類、ジビニルベンゼン、4-ジビニルベンジルメチルクロリド、 ビニルピリジン、及びこれらの組み合わせにより構成されるグループから選ばれる。
【0007】
好ましい実施形態において、前記架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート (PEGDMA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、トリエチレングリコールジアクリレート(TriEGDA)と 及びジビニルベンゼン(DVB)から構成されるグループから選ばれる油溶性架橋剤から選ばれる。 その他の好ましい実施形態において、前記架橋剤が、N,N-ジアリルアクリルアミドとN,N'-メチレンビス(アクリルアミド) (MBAA) から構成されるグループから選ばれる水溶性架橋剤である。
【0008】
好ましい実施形態において、前記乳化安定剤が、非イオン界面活性剤から選ばれる。一層好ましい実施形態において、 前記乳化安定剤が、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール類、ポリオキシエチレン化直鎖アルカノール類、ポリオキシエチレン化プロピレングリコール類、ポリオキシエチレン化メルカプタン類、長鎖カルボン酸エステル類、アルカノラミン縮合物、ブチンジオール類、ポリオキシエチレン化ポリシロキサン類、 N-アルキルビニルピロリドン類、フッ素含有炭化物液体とアルキルポリグルコシドから構成されるグループから選ばれる。一層好ましい実施形態において、前記乳化安定剤が、モノラウリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸PEG-200、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ひまし油、リシノレイン酸グリセリル、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムと ジオレイルジメチルアンモニウムクロリドから構成されるグループから選ばれる。
【0009】
好ましい実施形態において、前記エマルションにまた重合促進剤が含まれ、前記重合促進剤が、N,N,N',N'- テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、N,N,N',N",N"-ペンタメチルジエチリデントリアミン(PMDTA)、トリ(2-ジメチルアミン)エチルアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミンと 1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(tetraazacyclotetradecane)から構成されるグループから選ばれる。一層好ましい実施形態において、前記重合促進剤が、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)から選ばれる。
【0010】
好ましい実施形態において、前記分散相の組成物に、また電解質が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の前記目的とその他の目的及び特徴と効果、下記好ましい実施形態の説明と添付図式を参照すると、前記事項を明らかにすることができる。その中で、
【0012】
図1】本発明における多孔質微細構造の製造方法のフローチャートである;及び
【0013】
図2】本発明の一つの実施形態によって製造された多孔質微細構造の電子顕微鏡写真である;
【0014】
図3図3(a)と3(b)は、高内相エマルションが、固定時間内に異なる遠心力を受けることによって得た圧縮比、及びこれによる多孔質微細構造製品の空隙率を表す;
【0015】
図4図4(a)と4(b)は、高内相エマルションが異なる時間内に同じ遠心力を受けることによって得た圧縮比、及びこれによる多孔質微細構造製品の空隙率を表す;
【0016】
図5図5(a)と5(b)は、高内相エマルションが異なる遠心力を受けるか、及び/又は異なる遠心時間を経る状況の下で、これによる多孔質微細構造製品における最小通し穴直径をそれぞれ表す;その上
【0017】
図6】電子顕微鏡写真であり、前重合及び/又は外力による沈降処理を受けた高内相エマルションで製造された多孔質微細構造を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
別段の説明がない限り、本特許明細書及び各請求項に使用されている下記の用語は、次の文に記載されている定義を有する。注意すべきこととしては、本発明の明細書と各請求項に使用されている単数形用語「一つ」が、単一の記載事項の代わりに、一つ又は一つの以上の記載事項 (例えば、少なくとも一つ、少なくとも二つ又は少なくとも三つ)を含むのを意図することである。更に、本発明の各請求項に使用されている「含む」と「有する」等の開放式接続詞が、請求項に記載されている部品又は成分の組合の中で、 請求項に記載されていないその他の部品又は成分の可能性をぬぐいきれないを表すことである。もう一つの注意すべき点としては、用語「又は」が、その意味から言うと、内容にはっきり表されている場合を除いて、一般的に「及び/又は」も含む。本出願の明細書及び特許請求の範囲で使われている用語「約」と「実質的に」は、些細な変更を行える如何なる誤差を修飾する為に使用されるが、これらの些細な変更が本発明の本質を変更しない。
【0019】
本発明は、多孔質微細構造の製造方法を提供する。 図1で表示されている実施形態において、本発明の方法に、次のように、溶剤を含む一つの連続相組成物と一つの分散相組成物を乳化することによって、 一つのエマルションを得ること;外力で前記エマルションを沈降させることによって、 高内相エマルションを得ること;及び前記高内相エマルションを固化成形することによって、 前記多孔質微細構造を得ること等、というステップが含まれている。
【0020】
本発明に使われている用語「高内相エマルション」又は「HIPE」という略称は、一つの連続相 (又は外相という) 及び 前記連続相と混和しない分散相 (又は内相という)から 構成されるエマルションを指して、好ましくは、油中水型エマルション又は水中油滴型エマルションである。その中で、前記分散相が前記高エマルションに占める容積比が 74.05% (v/v)を超え、即ち、 均質球体が一番密集的に積み重ね時に占める最大なスペース 比例を超え、ひどいのになると、75-90% (v/v)と高い。 本発明に称される「連続相」は、同じ組成物から構成される、相互に接続している一つの相であり、もう一方で、「分散相」は、前記連続相に分布している、多くの相互に隔離している組成物ユニットから共に構成される一つの相を指す; 分散相における各隔離ユニットは、連続相により囲まれている。本発明によって、連続相は、通常に重合反応が発生する相であり、その中に少なくとも一種の単量体と架橋剤が含まられ、且つ、選択的に開始剤と乳化安定剤が含まれている; もう一方で、分散相に、溶剤と電解質が含まれる可能性がある。
【0021】
前記少なくとも一種の単量体は、重合反応を通じて、高分子を形成できる単量体(monomers)とオリゴマー (oligomers)を含むのを意図する。好ましい実施形態において、 前記少なくとも一種の単量体は、遊離基の重合反応に適する少なくとも一種のエチレン性不飽和単量体(ethylenically unsaturated monomer)アセチレン性不飽和単量体 (acetylenically unsaturated monomer)を含み、分子で炭素-炭素二重結合又は三重結合を有する有機単量体を指す;これは、アクリル酸及びそのエステル類(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(2-Hydroxyethyl Acrylate)、メタクリル酸及びそのエステル類(例えば、メタクリル酸グリセリル (GMA))、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-Hydroxyethyl acrylate) (HEMA)とメチルメタクリレート(MMA));アクリルアミド類; メタクリルアミド類; スチレン及びその派生物(例えば、クロロメチルスチレン(CMS)、ビニルベンゼン (DVB)とスチレンスルホン酸);シラン類(例えば、ジクロロジメチルシラン);ピロール類;ビニルピリジン及び これらの組み合わせを含むが、これらに限らない。
【0022】
本発明に使われている用語「架橋剤」は、前記少なくとも一種の単量体が重合して形成した、重合物の主鎖の間に化学的架橋を形成する試薬を指す。好ましい実施形態において、 「架橋剤」が一種の架橋単量体であっても良く、前記少なくとも一種の単量体と、連続相に相互溶解することができ、通常の状況の下で、複数の官能基があるので、前記少なくとも一種の単量体が重合して形成した重合物の主鎖の間に、共有結合を形成することができる。適用される架橋剤は、本発明の技術分野において熟知され、且つ、前記少なくとも一種の単量体のタイプによって選択されることができ、これが、油溶性架橋剤 (例えば、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、トリエチレングリコールジアクリレート (TriEGDA)と ビニルベンゼン (DVB));及び水溶性架橋剤 (例えば、 N,N-ジアリルアクリルアミドと N,N'-メチレンビス(アクリルアミド)(MBAA))を含むが、これらに限らない。本発明の技術分野における、通常な知識を持つ人員が分かるように、架橋剤の使用量と、製造される多孔質微細構造の機械的強度が正の相関関係を持ち、即ち、架橋程度が高ければ高いほど、多孔質微細構造の機械的強度が高くなる。好ましくは、架橋剤が連続相で約5~50%重量比(wt%)の含有量を有することである。例えば、約5~50%重量比(wt%)の含有量を有する。
【0023】
単量体と架橋剤を除いて、連続相は、選択的にその他の物質を含むことによって、 製造する多孔質微細構造の物理的及び/又は化学的性質を変更することができる。これらの物質の実例は、磁性金属微粒子(例えば、Fe 微粒子;多糖類(例えば、繊維素、デキストラン (dextrans)、寒天、アガロース、 アルギン酸塩);無機材料(例えば、酸化シリコン;及びグラフェンを含むが、これらに限らない。一つの例としては、Fe微粒子を追加することによって、多孔質微細構造の機械的強度を向上させることができ、且つ、それに強磁性を賦与することができる。
【0024】
本発明に使われている用語「乳化安定剤」は、界面活性剤の一種を指し、安定的な高内相エマルションに適用され、且つ、 エマルションにおける、連続により隔離される分散相ユニット間の相互合併を避けることができる。 乳化安定剤を、エマルション調製の前に、 連続相組成物又は分散相組成物に入れることができる。本発明に適用される乳化安定剤は、非イオン界面活性剤であってもいいし、又は陰イオン或いは陽イオン界面活性剤であっても良い。 高内相エマルションが、油中水型エマルションである実施形態において、 好ましくは、乳化安定剤が、3~14という親水親油バランス値(HLB値) (hydrophilic - lipophilic balance、縮写がHLBである)であり、一層好ましくは、4~16というHLB値である。 好ましい実施形態において、 本発明に使われる非イオン界面活性剤は、乳化安定剤として、適用されるタイプがポリオキシエチレン化アルキルフェノール類、ポリオキシエチレン化直鎖アルカノール類、ポリオキシエチレン化プロピレングリコール類、ポリオキシエチレン化メルカプタン類、長鎖カルボン酸エステル類、アルカノラミン縮合物、ブチンジオール類、 ポリオキシエチレン化ポリシロキサン類、 N-アルキルビニルピロリドン類、フッ素含有炭化物液体と アルキルポリグルコシドを含むが、これらに限らない。乳化安定剤の特定な実例は、モノラウリン酸ソルビタン(商品名Span(r) 20)、トリステアリン酸ソルビタン (商品名Span(r) 65)、モノオレイン酸ソルビタン(商品名Span(r) 80)、モノオレイン酸グリセリル、 ジオレイン酸PEG-200、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体(例えば、Pluronic(r) F-68、Pluronic(r) F-127、Pluronic(r) L-121と Pluronic(r) P-123)、ひまし油、リシノレイン酸グリセリル、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムと ジオレイルジメチルアンモニウムクロリドを含むが、これらに限らない。
【0025】
「開始剤」は、前記少なくとも一種の単量体及び/又は架橋剤の重合反応及び/又は架橋反応を引き起こすことができる試薬 である。好ましくは、本発明に使われている開始剤が熱重合開始剤であり、即ち、 熱の影響を受けて、前記重合反応及び/又は架橋反応を引き起こすことができる試薬である。開始剤は、高内相エマルション調製の前に、連続相組成物又は分散相組成物に入れることができる。本発明によって、連続相組成物に入れることに適される開始剤は、アゾジイソブチロニトリル (AIBN)、アゾジイソヘプトニトリル (ABVN)、アゾジイソバレロニトリル、2,2-ビス[4,4-ビス(イソブチルペルオキシ)シクロヘキシル]プロパンと 過酸化ベンゾイル(BPO)を含むが、これらに限らない; もう一方で、分散相組成物に入れることに適される開始剤は、過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウムと過硫酸カリウム)を含むが、これらに限らない。本発明にける高内相エマルションは、更に紫外線又は可視光により活性化された光開始剤を含むことによって、前記重合反応及び/又は架橋反応を引き起こすことができる;ひどいのになると、光開始剤で前記熱重合開始剤を代替することもできる。
【0026】
分散相は、主に溶剤を含む。前記溶剤は、前記連続相と混和しない如何なる液体であってもよい。連続相が高い疎水性を持つ実施形態において、前記溶剤は、水、フルオロカーボン液体 (fluorocarbon liquids) 及び連続相と混和しないその他の有機溶剤を含むが、これらに限らない。好ましくは、前記溶剤が水である。当該実施形態において、分散相に、またその他の一つの電解質が含まれることができる。当該電解質は、実質的に自由イオンに解離することができ、且つ、当該溶剤に溶解することができ、それに加えて、塩、酸とアルカリを含む。 好ましくは、当該電解質が、アルカリ金属の硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム)及び 及びアルカリ金属とアルカリ土類金属の塩素塩 (例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウムと塩化マグネシウム)を含むことである。連続相が高い親水性を持つ実施形態において、前記溶剤は、シクロヘキサン、ヘキサン、 ヘプタンとオクタンから選ばれることができる。分散相は、一種又は多種のその他の溶質(例えば、タンパク質、アミノ酸、アルコール類とフェノール類等の水溶性非イオン溶質)を含んでも良い。
【0027】
本発明にける高内相エマルションに、重合促進剤を添加しても良い。「促進剤」は、前記少なくとも一種の単量体及び/又は架橋剤の重合反応及び/又は架橋反応を促すことができる試薬を指す。 促進剤の典型的な実例は、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、N,N,N',N",N"-ペンタメチルジエチリデントリアミン (PMDTA)、トリ(2-ジメチルアミン)エチルアミン、 1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミンと 1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(tetraazacyclotetradecane)を含むが、これらに限らない; 当該促進剤は、過硫酸アンモニウム等の開始剤の遊離基への分解を促すことによって、前記重合反応及び/又は架橋反応を加速することができる。好ましくは、促進剤の使用量が、開始剤の使用量の10-100%(モル数比)である。
【0028】
乳化作用を通じてエマルションを得るプロセスは、関連技術分野における、通常な知識を持つ人員により熟知されていて、一般に、まず単量体と架橋剤等の成分を均一に混ぜて、連続相組成物に調製し、且つ、溶剤と電解質等の成分を、均一に混ぜて分散相組成物に調製する;それから予定比例の連続相組成物と分散相組成物を混ぜると同時に (例えば、連続相組成物と分散相組成物を、5: 95~40: 60の容積比で混ぜる)、攪拌することによって、分散相が、連続相に均一的に分散するようにする。一つの実施形態において、 分散相組成物を連続相組成物に1滴ずつ添加すると同時に、激しく攪拌することによってエマルションを調製することができる。その他の好ましい実施形態において、 全ロットの分散相組成物を一回的に直接連続相に添加すると同時に、 激しく攪拌することによってエマルションを調製することができる。 全ロットの分散相組成物を添加する好ましい実施形態において、高回転速度のホモジナイザーで激しく攪拌して、エマルションに高いせん断力を与えることによって、 各隔離ユニットの寸法を均一にすることができる。関連技術分野における、通常な知識を持つ人員にが熟知しているように、エマルションにおける分散相と連続相の容積比、分散相組成物の添加速度、乳化安定剤の種類と濃度及び攪拌の速度と温度等のパラメータを変更することによって、分散相における各隔離ユニットの寸法と均一度を調製することができる。
【0029】
前記乳化処理で得られたエマルションにおいて、分散相が占める容積比が 74.05% (v/v)を超えても良く、即ち、高内相を有しても良く、又は 74.05% (v/v)を下回っても良く、即ち、 高内相を有さなくても良い。本発明によって、乳化ステップで製造されたエマルションが高内相を有するかどうかにも関わらず、皆外力による沈降のステップ(forced sedimentation)を通じてエマルションにおける分散相と連続相の容積比を上げて、 一つの高内相エマルションを得ることができる。前記外力による沈降は、エマルションに余分な物理的力又は化学的力(例えば、遠心力、圧力、電力、磁力と超音波等)を与えることによって、一部の連続相組成物が、その分散相組成物との重力以外の差異に基づいて、分離されるようにする。従って、好ましくは、前記外力による沈降を達成する手段が、遠心、加圧と 超音波振動等を含むことであり、特に遠心を与えることが良い。遠心は、連続相組成物と分散相組成物との間の密度差異を通じて、 連続相組成物と分散相組成物との部分的な分離を促す。 前記手段により、エマルションにおいて、局所に予想二相容積比があるが、その他の部分が純連続相であるようにする; 後者を除去した後、上げられた分散相/連続相容積比のある高内相エマルションを得ることができる。例として、下記が挙げられます。分散相組成物が、連続相組成物と比べて一層高い密度を有する場合、分散相組成物が遠心期間において、遠心管の下端に沈降するが、連続相組成物が遠心管の上端に残る;これで、遠心管の下端に、上げられた分散相/連続相容積比のある高内相エマルションを得ることができる。これに反して、分散相組成物が、連続相組成物と比べて一層低い密度を有する場合、遠心管の上端に、高内相エマルションを収集することができる。本発明によって、 遠心力の強度と遠心力の印加時間は、エマルションの空隙率を決めることができる。 後文実施形態1-4に示すように、 与えられる遠心力が強ければ強いほど、又は遠心の時間が長ければ長いほど、これによる多孔質微細構造製品の空隙率が高くなる。スチレンとジビニルベンゼン(DVB)を、連続相組成物の主成分とし、且つ、水を分散相組成物の主成分とする実施形態において、好ましくは、エマルションに与えられる遠心力が50~500g である。特定な理論により拘束されようとしないいが、本発明者は、遠心が、エマルションにおける分散相と連続相の容積比を上げるので、分散相における隣のユニット間の接触領域が増加し、これで、これらの接触領域が、その後の真空乾燥ステップで通し穴を生じることによって、通し穴の数量が増加し、且つ、穴径が拡大し、これで、多孔質微細構造の空隙率が高くなるようにすることを信じている。
【0030】
前記外力による沈降ステップの前に 乳化が完了したエマルションに対して、短時間で加熱するか及び/又は適当に光の照射を与えるか、及び/又は少量の的重合促進剤を添加することによって、一部の連続相組成物に対して前重合を行い、即ち、 前記少なくとも一種の単量体及び/又は架橋剤の一部に対して前重合を行う。前重合の程度は、連続相組成物が、重合反応及び架橋反応を完成する為に必要な加熱又は光の照射時間の一つの部分を受けるようにすることによって調整することができる; 好ましくは、加熱又は光の照射時間の5%~50%である(例えば、加熱又は光の照射時間の10%~20%である); 又は連続相組成物が、反応を完成する為に必要な促進剤の総量の一つの部分を添加することによって調整する; 好ましくは、当該促進剤総量の5%~50%を添加することである(例えば、 当該促進剤総量の10%~20%を添加する);これで、連続相組成物の5%~50% (例えば、10%~20%)の重合反応及び/又は架橋反応を促し、更に、エマルションの粘度を上げると同時に、相変わらず前記エマルションの流動性を保留することができる。適用される加熱/光の照射時間及び促進剤の総量について、背景技術を参照して決定することができる; その上、連続相組成物における、少なくとも一種の単量体と架橋剤のモル濃度比によって調整する。前重合ステップのプロセスにおいて、重合促進剤を、一回的に全部添加したり、又は是段階的に添加したりすることができる。本発明に使われている用語「段階的な添加」は、促進剤を、決められたスケジュールによって、 幾つかの部分に分けて順次に添加することを指す。促進剤を添加する時に、低速でエマルションを攪拌することによって、促進剤を、エマルションに均一に混ぜることができる。
【0031】
遠心力を与えることによって、分散相の合併 (coalescence)を引き起こし、隣の隔離ユニットが、合併して容積が比較的に大きい新ユニットを形成する可能性があるので、 多孔質微細構造製品の穴寸法が大きい過ぎるようになり、多孔質微細構造の機械的強度が低減する可能性がある。本発明者は、 エマルションを外力で沈降させる前に、事先に前重合ステップを行うことによって、分散相の合併を低減することができることを発見した。特定な理論により拘束されようとしないいが、本発明者は、前記前重合ステップが、エマルションにおける二相の安定性を高めることができ、更に 遠心力による分散相の合併を低減することができるのを信じている。
【0032】
前記方法で製作される高内相エマルションにおいて、 分散相が自発的に大まかな球体を呈する微小滴に成形して、連続相に均一的に分散する。 高内相エマルションに対して、更に加熱するか及び/又は適当に光の照射を与えるか、又は更に促進剤を添加することによって、 前記少なくとも一種の単量体及び/又は架橋剤が重合反応及び/又は架橋反応を完成してから、固化・成形するようにする。ここに称される「固化」は、高内相エマルションを、安定的且つ独立的な外形(stable free-standing configuration) を有するものに変換することを指す。それから、固化を完成した高内相エマルションから分散相を除去する。高内相エマルションが、油中水型エマルションである実施形態において、直接に固化が完了した高内相エマルションを乾燥することができる。好ましくは、真空の下で乾燥を行うことによって、分散相における微小滴が破裂して通し穴を生じることに役立つ。図2は、乾燥後製作された多孔質微細構造を表す。その中で、分散相での微小滴を除去することによって残すスペースは、多孔質微細構造の巨大穴になり、もう一方で、 隣の巨大穴の間に、一つ又は複数の通し穴を通じて接続する。
【0033】
本出願の方法で製作された多孔質微細構造は、極めて大きい比表面積を有していて、且つ、複数の約1ミクロン~150ミクロン直径の球状巨大穴及び 及び幾つかの巨大穴を接続する通し穴を含み、約500ナノメートル~25ミクロンの直径を有する。本発明の多孔質微細構造は、余分な加工製造プロセスを請け負って、各種の商用製品を製造することができる。一つの好ましい実施形態において、本発明の多孔質微細構造は、裁断と カプセル化等の常用のプロセスを使用したり、及び/又は化学的変性を行ったりすることによって、適当な表面機能性を賦与し、全体カラムに製作して、クロマトグラフィー分離用固定値材料として使用されることができる。本出願に称される「全体カラム」は、前記多孔質微細構造から構成される連続的な一つの媒質を含む。その他の一つの好ましい実施形態において、 本発明の多孔質微細構造は、細胞培養足場として用いられることができ、その効用が、細胞外基質を真似って、細胞付着に用いられる; 又はこの細胞培養足場に注入・接種することによって、細胞が細胞培養足場で成長するようにする。
【0034】
下記の実施形態は、本発明の例示のみとして用いられ、 本発明の範囲を制限することではない。
【0035】
多孔質微細構造の製作:
【0036】
0.4gスチレン(Acros Organics B.V.B.A.)、0.1gジビニルベンゼン(DVB;米国Sigma-Aldrich社)、0.02gアゾジイソブチロニトリル(AIBN;Uniregion Bio-Tech Inc.)と0.12gモノオレイン酸ソルビタン(商品名Span(r) 80;日本帝一化工原料股フン有限公司)に対して、超音波振動を与えて、連続相混合物を製作する。1.0g脱イオン水を前記連続相混合物に入れてから、高回転速度のホモジナイザーで激しく(製品モデルT25;ドイツIKA社)攪拌して、油中水型エマルションを調製する。等量のエマルションを取って15 mL円筒状遠心管(広州潔特生物濾過股フン有限公司)に入れた後、遠心機(Thermo Sorvall X4R Pro;米国Thermo Fisher Scientific Inc.)の中で、表1に記載されている回転速度と時間によって遠心を行う。これから、遠心後のエマルションを、オーブン(DENG YNG DO60型)に入れて 70℃の下で9時間加熱することによって、重合反応を完成する。エタノールで、得られたポリスチレン多孔質微細構造を洗い流すことによって、 未反応のスチレン単量体 、DVB単量体とモノオレイン酸ソルビタンを除去する。前記多孔質微細構造をオーブン(DENG YNG DO60型)に入れて、50℃の下で真空乾燥を12 時間行った後、 乾燥された多孔質微細構造を得る。

【表1】
【0037】
多孔質微細構造の特性分析
【0038】
ここで、多孔質微細構造の空隙率 (porosity)は、穴容積が、多孔質微細構造の総容積に占める百分比と定義されている。 実施形態1-4と対照例1-3で製作された多孔質微細構造の空隙率は、次の計算式で計算される。
1-[(多孔質微細構造の重量/連続相の密度)/多孔質微細構造の外観容積]又は走査型電子顕微鏡(Thermo Fisher Scientific Inc., Phenom Pro)で多孔質微細構造の断面画像を撮影してから、ImageJソフトウェア(米国科学アカデミー、米国メリーランド州Bethesda市)で空隙率を計算する。高内相エマルションの圧縮比は、高内相エマルションの分散相が、遠心処理を受けた後の遠心管での最終的な高さが、 遠心処理前の遠心管における初期高さに占める百分比と定義されている。多孔質微細構造製品における最小通し穴直径は、毛細管流動穴測定法 (capillary flow porometry,PMI Porous Materials Inc.,CFP-1100AE) によって測定される。機械的強度の評価は、手で多孔質微細構造を抓むことによって、壊れやすいか確認する。測定結果は、下表2で示されている。

【表2】
【0039】
表1に示すように,実施形態1-4と対照例1-3は、固定時間(10分間) 内に高内相エマルションに、異なる遠心力を与えることに関わる。表2と図3(a)、3(b) に示すように、固定時間内に、与える遠心力が強ければ強いほど、高内相エマルションの圧縮比は、高くなり、且つ、これによる多孔質微細構造製品の空隙率が高くなる。但し、遠心力が大きすぎると(例えば、遠心機の回転速度が1000 rpmを超える場合)、これによる多孔質微細構造製品は、徒手で抓んでも壊れやすいので、機械的強度が明らかに低くなることを表す。
【0040】
もう一方では、実施形態1-3は、高内相エマルションが、固定的な遠心力の作用の下で、異なる時間を経ることに関わる。 表2と図4(a)、4(b)に示すように、固定的な遠心力の作用の下で、経過時間が長ければ長いほど、高内相エマルションの圧縮比は高くなり、且つ、これによる多孔質微細構造製品の空隙率が高くなる。
【0041】
図5(a)と5(b)に更に示すように、高内相エマルションは、受ける遠心力が強ければ強いほど、又は遠心経過時間が長ければ長いほど、これによる多孔質微細構造製品における通し穴直径が大きくなる。
【0042】
前重合ステップと外力による沈降ステップによる相乗効果
【0043】
21gスチレン(Acros Organics B.V.B.A.)、9gジビニルベンゼン (米国Sigma-Aldrich社)、 0.8g過酸化ベンゾイル(BPO) と2gモノオレイン酸ソルビタン(Span(r)80;日本帝一化工原料股フン有限公司) に対して、超音波振動を与えて、連続相混合物を製作する。60g脱イオン水と0.6gCaClを前記連続相混合物に入れてから、高回転速度のホモジナイザーで40秒間激しく攪拌して、一つの油中水型エマルションを調製する。その次に、本実験を、4グループに分ける;その中で、第1と3グループに対して、ホモジナイザーで攪拌し始めてから30秒後、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を反応促進剤として添加することによって、一部のスチレン単量体とDVB架橋剤との前重合を促す; 第2と4グループに対して、TEMEDを添加しない; その次に、第1と2グループに対して、遠心を行い、第3と4グループに対して、遠心を行わない。
【0044】
その次に、エマルションを、オーブンに入れて加熱して、重合反応を完成する。エタノールで、得られた多孔質微細構造を洗い流すことによって、未反応の内容物を除去する。前記多孔質微細構造をオーブンに置いて真空乾燥を行った後、乾燥された多孔質微細構造を得る。毛細管流動穴測定法 (capillary flow porometry)で 多孔質微細構造の平均穴径を測定する;測定結果は、下表3で示されている。更に走査型電子顕微鏡で多孔質微細構造の断面画像を撮影する。結果は、図6で示されている。


【表3】
【0045】
表3と図6に示すように、第2グループで製作された多孔質微細構造の平均穴径が非常に小さく、僅かに0.27 μmであり、 電子X線写真法でも、穴寸法の不均一性を観察した。相対的に言うと、第1グループの多孔質微細構造に、寸法が一層均一的な穴構造を観察して、平均穴径が1.36 μmに達した。これは、前重合ステップが、小穴の生成を有効に減少でき、且つ、穴寸法を一層均一にすることができることを示す。もう一方では、第3と4グループに皆遠心を行わなかったので、電子顕微鏡で球状巨大穴の間の穴壁が厚い為、通し穴の寸法が一層一致しなくなった。これは、遠心が、穴寸法の統一に役立つことを表す。 前記実験データから見ると、 前重合及び外力にる沈降という二つのステップを相前後に実行して製作される多孔質微細構造(第1グループ)だけは、 寸法が均一な穴多孔構造を得ることができ、更に、高孔隙率を維持する前提の下で高機械的強度を維持することができる。
【0046】
以上の好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、好ましい実施形態が例示の目的で提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。関連技術を熟知する者にとって極めて明らかな各種の変更と変更を行うことができ、本発明の宗旨と保護範囲から外れないことがない。
【要約】      (修正有)
【課題】多孔質微細構造製品の穴寸法の不均一性による多孔質微細構造の機械的強度低減を避けることができる、高内相エマルション・テンプレートを使用した多孔質微細構造の製造方法を提供する。
【解決手段】非混和性二相を乳化してエマルションを得た後、外力で沈降させる(例えば、エマルションを遠心分離する)ことによってエマルションにおける分散相と連続相の容積比を上げて、高内相エマルションを得た後、高内相エマルションにおける連続相を固化成形することによって多孔質微細構造製品の空隙率を上げることを特徴とする、孔質微細構造の製造方法とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6