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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】良否判定システム及び良否判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220330BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021549555
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2021016695
(87)【国際公開番号】W WO2021221030
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2020078659
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519146053
【氏名又は名称】株式会社リョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕弓
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴史
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-068965(JP,A)
【文献】特開2006-266845(JP,A)
【文献】特開2019-159961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被検査物の欠陥を含む画像を、該欠陥を特徴づける明るさに応じて分類し、分類された複数の教示データ群を生成する教示データ群生成部と、
クラウドコンピューティングサービスとして提供され機械学習モデルを構築する機械学習モデル構築サービスが前記複数の教示データ群に基づいてそれぞれ構築した複数の前記機械学習モデルを記憶する記憶部と、
前記被検査物の画像を撮像するカメラ部と、
前記記憶部に記憶された前記複数の機械学習モデルに基づいて、それぞれ前記カメラ部によって撮像された前記被検査物の良否を判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果を評価し、前記複数の機械学習モデルの中から最適な機械学習モデルを選択する最適モデル選択部と、を備えた良否判定システム。
【請求項2】
請求項1記載の良否判定システムにおいて、
教示データ群生成部が、前記画像について、それぞれ、
前記欠陥を特徴づける明るさを表す特徴値を求める処理P1と、
前記特徴値に応じて前記複数の画像をそれぞれ分類し、分類された前記複数の教示データ群を生成する処理P2と、を実施する良否判定システム。
【請求項3】
請求項1記載の良否判定システムにおいて、
教示データ群生成部が、前記画像について、それぞれ、
前記欠陥を特徴づける明るさを判断するための基準となる複数の基準値の中から、該欠陥を特徴づける明るさを表す複数の基準値を、それぞれ特徴値として求める処理P1と、
前記特徴値の数と同じ枚数の前記画像を用意し、該画像を前記複数の異なる特徴値に応じてそれぞれ分類し、分類された前記複数の教示データ群を生成する処理P2と、を実施する良否判定システム。
【請求項4】
請求項1記載の良否判定システムを使用した良否判定方法であって、
前記教示データ群生成部が、前記複数の教示データ群を生成するステップと、
前記記憶部が、前記複数の機械学習モデルを記憶するステップと、
前記判定部が、前記複数の機械学習モデルに基づいて、それぞれ前記被検査物の良否を判定するステップと、
前記最適モデル選択部が、前記複数の機械学習モデルの中から最適な機械学習モデルを選択するステップと、
前記判定部が、前記最適モデル選択部が選択した前記機械学習モデルを用いて前記被検査物の良否を判定するステップと、を含む良否判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良否判定システム及び良否判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人工知能による機械学習を利用したサービスを提供するサービス提供システムが記載されている。このサービス提供システムは、人工知能による機械学習を利用したサービスを提供するサービス提供システムであって、ユーザから送られてくる情報を基にした学習データを入力して機械学習によりモデル化した一般的なモデルを生成するための機械学習手段と、ユーザから送られてくる情報に基づいて前記一般的なモデルを当該ユーザに適したモデルにパーソナライズ化するためのパーソナライズ化手段と、前記パーソナライズ化されたモデルを用いて当該ユーザにパーソナライズ化されたサービスを提供するサービス提供手段と、を備え、前記ユーザから送られてくる情報を前記機械学習と前記パーソナライズ化との両方に利用する。
【0003】
特許文献2には、任意の音の発生源の位置を、実空間と対応付けることによってリアルタイムに可視化する音源位置の可視化表示方法が記載されている。この可視化表示方法は、ひとつ以上の音を検知してそのそれぞれの音源の位置を突き止め、少なくとも音源の位置を含む音源に関する情報を可視情報に変換し、音源周辺の実画像とリアルタイムに重ね合わせて表示することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-48417号公報
【文献】特開2004-77277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より高い精度で被検査物の良否を判定できる良否判定システム及び良否判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の被検査物の欠陥を含む画像を、該欠陥を特徴づける明るさに応じて分類し、分類された複数の教示データ群を生成する教示データ群生成部と、クラウドコンピューティングサービスとして提供され機械学習モデルを構築する機械学習モデル構築サービスが前記複数の教示データ群に基づいてそれぞれ構築した複数の前記機械学習モデルを記憶する記憶部と、前記被検査物の画像を撮像するカメラ部と、前記記憶部に記憶された前記複数の機械学習モデルに基づいて、それぞれ前記カメラ部によって撮像された前記被検査物の良否を判定する判定部と、前記判定部による判定の結果を評価し、前記複数の機械学習モデルの中から最適な機械学習モデルを選択する最適モデル選択部と、を備えた良否判定システムである。
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項1記載の良否判定システムにおいて、教示データ群生成部が、前記画像について、それぞれ、前記欠陥を特徴づける明るさを表す特徴値を求める処理P1と、前記特徴値に応じて前記複数の画像をそれぞれ分類し、分類された前記複数の教示データ群を生成する処理P2と、を実施する。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1記載の良否判定システムにおいて、教示データ群生成部が、前記画像について、それぞれ、前記欠陥を特徴づける明るさを判断するための基準となる複数の基準値の中から、該欠陥を特徴づける明るさを表す複数の基準値を、それぞれ特徴値として求める処理P1と、前記特徴値の数と同じ枚数の前記画像を用意し、該画像を前記複数の異なる特徴値に応じてそれぞれ分類し、分類された前記複数の教示データ群を生成する処理P2と、を実施する。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1記載の良否判定システムを使用した良否判定方法であって、前記教示データ群生成部が、前記複数の教示データ群を生成するステップと、前記記憶部が、前記複数の機械学習モデルを記憶するステップと、前記判定部が、前記複数の機械学習モデルに基づいて、それぞれ前記被検査物の良否を判定するステップと、前記最適モデル選択部が、前記複数の機械学習モデルの中から最適な機械学習モデルを選択するステップと、前記判定部が、前記最適モデル選択部が選択した前記機械学習モデルを用いて前記被検査物の良否を判定するステップと、を含む良否判定方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より高い精度で被検査物の良否を判定できる良否判定システム及び良否判定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る良否判定システムの構成図である。
図2】同良否判定システムが備える教示データ作成装置の説明図である。
図3】同良否判定システムが備えるサーバの説明図である。
図4】同良否判定システムにより生成される教示データ群及びこれら教示データ群によりそれぞれ構築される複数の機械学習モデルの説明図である。
図5】被検査物の欠陥を含む画像の説明図である。
図6】走査位置の一部について模式的に示した水平グレイ値プロファイルグラフの説明図である。
図7A】走査位置の一部について模式的に示した画像Aの水平グレイ値プロファイルグラフである。
図7B】走査位置の一部について模式的に示した画像Bの水平グレイ値プロファイルグラフである。
図7C】走査位置の一部について模式的に示した画像Cの水平グレイ値プロファイルグラフである。
図8】同良否判定システムによる前処理の説明図である。
図9】同良否判定システムが備える端末及び撮像部の説明図である。
図10】同良否判定システムの動作を示すフロー図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係る良否判定システムの構成図である。
図12】同良否判定システムが備える端末及び撮像部の説明図である。
図13】本発明の第3の実施の形態に係る予知保全システムの構成図である。
図14】同予知保全システムが備えるサーバの説明図である。
図15】同予知保全システムが備える端末及び音源可視化装置の説明図である。
図16】同予知保全システムの動作を示すフロー図である。
図17】本発明の第4実施の形態に係る予知保全システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係る良否判定システム10a(図1参照)は、機械学習により、ユーザが製造した製品である被検査物14の外観の良否を判定することができる。この外観の良否は、傷や異物の付着等の欠陥の有無により判定される。
被検査物14は、例えば、自動車や航空機等の輸送機械の部品及び食品である。ただし、被検査物14は、これら部品や食品に限定されるものではない。
この良否判定システム10aによる良否判定サービスは、サービス提供事業者によって、ユーザに対して提供される。
【0014】
良否判定システム10aは、図1に示すように、教示データ作成装置20、サーバ30及び検査システム40aを備えている。
教示データ作成装置20、サーバ30及び検査システム40aはインターネットNを介して互いに接続されている。
【0015】
教示データ作成装置20は、例えばパーソナルコンピュータである。教示データ作成装置20は、サービス提供事業者又は検査システム40aを使用するユーザによって管理され、図2に示すように、教示データ作成部202を有している。
教示データ作成部(教示データ作成手段の一例)202は、例えば検査システム40aに設けられたカメラ460から被検査物14の画像を取得し、機械学習モデルを構築するための教示データとして、被検査物14の画像を作成できる。
なお、教示データ作成装置20は、教示データ作成装置20にて実行されるプログラムによって、教示データ作成手段として機能する。
教示データ作成装置20は、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0016】
サーバ30は、サービス提供事業者によって管理され、図3に示すように、教示データ群生成部302、最適モデル選択部306及び管理部308を有している。
教示データ群生成部(教示データ群生成手段の一例)302は、図4に示すように、教示データ作成装置20が作成した複数の異なる欠陥を含む被検査物14の画像IMG1、IMG2、IMG3、・・・(教示データ群TD)を前処理することで、前処理された教示データ群の集合TDg、すなわち、教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・を作成する。
【0017】
ここで、位置(Xd,Yd)を中心とする欠陥Dを含む被検査物14の各画像IMG1、IMG2、IMG3、・・・が、例えば130万画素のカメラによって撮像されると、図5に示すように、その大きさは、縦が1024px(Y軸方向)、横が1280px(X軸方向)となる。この画像は、水平グレイ値プロファイルグラフによって、図6に示すように表される。
ここで、水平グレイ値プロファイルグラフは、画像の画素を順に走査し、その走査位置に対応する明るさを表したグラフであり、横軸が走査位置、縦軸が明るさを示している。画素の走査方向は、例えば図5の矢印にて示すように、画像の左上から右へと向かう方向(X軸の正方向)であり、これを下方向(Y軸の正方向)へと繰り返して全画素が走査される。
【0018】
図6に示す水平グレイ値プロファイルグラフは、欠陥Dの明るさが、非欠陥部分よりも明るくなっていることを示している。ただし、欠陥のDの明るさは、常に非欠陥部分よりも明るくなっているものではなく、非欠陥部分よりも暗くなっている場合もある。
このように、予め特定された欠陥Dの明るさは、非欠陥部分の明るさと異なる特徴を有し、明るさ(パラメータの一例)によって、欠陥Dが非欠陥部分と区別され、特徴づけられる。
なお、同図6に示した水平グレイ値プロファイルグラフは、走査位置の一部(欠陥Dの近傍)についてのみ示されており、省略した範囲が破線にて示されている。後述する図7A図7Cについても同様である。
【0019】
教示データ群生成部302が行う前処理は、以下の処理P1及び処理P2を含む。
処理P1は、図6に示すように、教示データ群生成部302が、教示データ作成装置20によって予め撮像された複数の被検査物14の画像IMG1、IMG2、IMG3、・・・(教示データ群TD)について、それぞれ、予めその位置が特定された欠陥Dを特徴づける画素の明るさを、予め決められた大きさが異なる複数の閾値(明るさの範囲を判断するための基準となる基準値の一例)TH1~TH10と比較して、その欠陥Dを特徴づける画素の明るさの範囲に含まれる複数の閾値を、欠陥Dを特徴づける明るさを表す特徴値として求める処理である。
処理P2は、教示データ群生成部302が、処理P1にて求められた複数の特徴値に応じて、各画像IMG1、IMG2、IMG3、・・・(教示データ群TD)を教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・に分類する処理である。ただし、その際、教示データ群生成部302が、一つの画像をいずれか一つの教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・に分類するのではなく、元の画像をコピーをすることで特徴値の数と同じ枚数の画像を用意して、各閾値に対応する教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・に分類する。
従って、この前処理により、図4に示すように、教示データ群TDから、教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・が生成される。
【0020】
次に、この前処理の具体例について、それぞれ被検査物14の画像IMG1、IMG2、IMG3の一例である画像A、B、C・・・に基づいて説明する。
画像IMG1に対応する画像Aは、図7Aに示すように予め位置が特定された欠陥D1を含み、欠陥D1を特徴づける明るさの範囲が155~205である。
画像IMG2に対応する画像Bは、図7Bに示すように予め位置が特定された欠陥D2を含み、欠陥D2を特徴づける明るさの範囲が165~215である。
画像IMG3に対応する画像Cは、図7Cに示すように予め位置が特定された欠陥D3を含み、欠陥D3を特徴づける明るさの範囲が155~230である。
【0021】
前述の処理P1においては、まず、複数の閾値(基準値の一例)20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240が設定され、画像A(図7A参照)について、欠陥D1を特徴づける明るさの範囲155~205に含まれる3つの閾値160、180、200が特徴値として求められる。
【0022】
前述の処理P2においては、画像Aをコピーすることにより、特徴値の数と同じ枚数、すなわち、3枚の画像Aが用意され、各画像が、図8に示すように、特徴値160に対応する教示データ群TD1、特徴値180に対応する教示データ群TD2及び特徴値200に対応する教示データ群TD3に分類される。
【0023】
以上の処理P1及び処理P2が、残りの画像B、C・・・についても行われる。
すなわち、画像B(図7B参照)については、欠陥D2を特徴づける明るさの範囲165~215に含まれる2つの閾値180、200が特徴値として求められ、画像Bが、特徴値180に対応する教示データ群TD2及び特徴値200に対応する教示データ群TD3に分類される(図8参照)。
画像C(図7C参照)については、欠陥D3を特徴づける明るさの範囲155~230に含まれる4つの閾値160、180、200、220が特徴値として求められ、画像Cが、特徴値160に対応する教示データ群TD1、特徴値180に対応する教示データ群TD2、特徴値200に対応する教示データ群TD3及び特徴値220に対応する教示データ群TD4に分類される(図8参照)。
更に、教示データ群TDに含まれる残りの画像(画像A、B、C以外の画像)についても、求められた各特徴値に応じて、対応する教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・に分類され、教示データ群の集合TDg(図4参照)が生成される。
【0024】
欠陥を特徴づける明るさに応じて分類されたこれらの教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・は、それぞれ被検査物14の良否を判定する機械学習モデルM1、M2、M3、M4・・・を構築するための教示データ群となる。
【0025】
なお、前処理において、画像IMG1、IMG2、IMG3、・・・(教示データ群TD)は、明るさに基づいて各教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・に分類されることに限定されるものではなく、明るさ以外のパラメータに基づいて分類されてもよい。明るさ以外のパラメータとして、例えば、HSV色空間を構成する色相(Hue)、彩度(Saturation)及び明度(Value)や、RGBカラーモデルにおける階調表現されたR(Red)、G(Green)及びB(Blue)が挙げられる。すなわち、パラメータは、非欠陥部分と区別して欠陥部分を特徴づけることができれば任意でよい。
また、前処理として、欠陥部分を非欠陥部分よりも際立たせるためのフィルタ処理が含まれてもよい。
【0026】
ここで、図1及び図4に示す機械学習モデル構築サービス80は、クラウドコンピューティングサービスとして提供され、アップロードされた教示データに基づいて、学習済みの機械学習モデルを構築できる。この機械学習モデル構築サービス80は、例えば、Google Cloud Platform(GCP)にて提供されるCloud AutoML Visionである。
【0027】
最適モデル選択部(最適モデル選択手段の一例)306(図3参照)は、機械学習モデル構築サービス80が構築した複数の学習済みの機械学習モデルによる被検査物14の良否の判定結果を評価し、最適な機械学習モデルを選択できる。
【0028】
管理部(管理手段の一例)308は、ユーザが使用する検査システム40aの状態を管理できる。詳細には、管理部308は、検査システム40aが有する撮像部460(図1参照)の稼働状態に関する稼働情報を記録できる。この稼働情報については後述する。
【0029】
なお、サーバ30は、サーバ30の内部にて実行されるプログラムによって、教示データ群生成手段、最適モデル選択手段及び管理手段として機能する。
【0030】
検査システム40aは、図1に示すように、端末440、PLC(Programmable Logic Controller)450及び被検査物14を撮像するとともにその良否を判定する撮像部(判定装置の一例)460を有している。端末440、PLC450及び撮像部460は、有線通信又は無線通信により互いに接続されている。
【0031】
端末440は、ユーザによって管理される。端末440は、例えばパーソナルコンピュータやスマートフォン等の携帯端末であり、PLC450の上位コントローラであってもよい。
端末440は、図9に示すように、機械学習モデル受信部440a、制御部440b及び稼働状態出力部440cを有している。
【0032】
機械学習モデル受信部(受信手段の一例)440aは、機械学習モデル構築サービス80が構築した各機械学習モデルをダウンロードできる。なお、各機械学習モデルのダウンロードは、セキュア通信によりなされる。
【0033】
制御部(制御手段の一例)440bは、PLC450及び撮像部460を制御できる。
【0034】
稼働状態出力部(稼働状態出力手段の一例)440cは、撮像部460の稼働状態に関する稼働情報を出力できる。この稼働情報は、例えば、撮像部460が画像の撮像を開始してから終了するまでの時間の情報である。稼働情報は、撮像部460が撮像した画像の枚数の情報であってもよい。
【0035】
なお、端末440は、端末440の内部にて実行されるプログラムによって、受信手段、制御手段及び稼働状態出力手段として機能する。
また、1台の端末440が機械学習モデル受信部440a、制御部440b及び稼働状態出力部440cを全て有していることに限定されるものではなく、各部が互いに接続された複数の端末に分かれて存在していてもよい。
更に、端末440が、図2に示す教示データ作成装置20に代わって教示データ作成部202を有していてもよい。
【0036】
PLC450は、ユーザによって管理され、図1に示すように、被検査物14を検査する検査装置470を制御するコントローラである。
【0037】
撮像部460(図9参照)は、ユーザによって管理され、被検査物14の画像を撮像できる。また、撮像部460は、複数の機械学習モデルに基づいて、それぞれ撮像した被検査物14の良否を判定できる。
撮像部460は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)を搭載したカメラである。ただし、撮像部460は、スマートフォン等のカメラ付きの携帯端末であってもよい。
撮像部460は、カメラ部460a、記憶部460b及び判定部460cを有している。
【0038】
カメラ部460aは、被検査物14の画像を撮像し、画像データを取得できる。
記憶部460bは、機械学習モデル受信部440aによってダウンロードされた複数の機械学習モデルを記憶できる。
判定部460cは、カメラ部460aが撮像した被検査物14の画像データ及び記憶部460bに記憶された機械学習モデルに基づいて、被検査物14の欠陥の有無、すなわち、被検査物14の良否を判定できる。判定部460cは、機械学習モデルによる演算処理を高速に行うことができ、例えば、GPUにより構成されている。
【0039】
次に、良否判定システム10aの動作(被検査物14の良否判定方法)について、図10に基づいて説明する。良否判定システム10aは、以下のステップS1~S9に従って動作する。ステップS1~S9のうち、ステップS1~S7は、実際の良否判定を行うまでに必要な準備段階としての動作であり、以降のステップS8、S9は、部品等の出荷前の検査工程における実際の良否判定の動作である。
なお、可能な場合には、各ステップS1~S7は順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0040】
(ステップS1)
教示データ作成装置20(図1参照)の教示データ作成部202(図2参照)が、撮像部460が撮像した被検査物14の画像データに基づいて、図4に示す教示データ群TDとなる被検査物14の画像データを複数作成する。
教示データ群TDは、規定の欠陥を含む被検査物14の複数の画像データ及び規定の欠陥を含まない被検査物14の複数の画像データ群である。なお、欠陥の種類として、例えば、傷、ボイド、汚れ、及び異物混入等が挙げられる。ただし、検査対象とすべき欠陥は、被検査物14によって異なる。
作成された複数の被検査物14の画像は、図示しない記憶手段に記憶され、図3に示すサーバ30に送信される。
教示データ群TDは、教示データ作成部202が作成することに代えて、予め準備された被検査物14の画像データに基づいて手作業により作成されてもよい。
【0041】
(ステップS2)
サーバ30の教示データ群生成部302が、図4に示すように、教示データ作成装置20が生成した被検査物14の複数の画像(教示データ群TD)を前処理し、特徴値に応じて分類された複数の教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・を生成する。前処理においては、例えば、明るさについての複数の閾値TH1~TH10(図6参照)が用いられる。
なお、各閾値は、欠陥Dの明るさの最大値を求め、この最大値を分割することによって、求められてもよい。
その後、サービス提供事業者又はユーザの操作により、サーバ30が、前処理後の教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・をそれぞれ機械学習モデル構築サービス80にアップロードする。
このように、ノウハウが必要な教示データの前処理をユーザではなくサービス提供事業者が行うので、ユーザは簡単に機械学習モデルによる良否判定システム10aを導入できる。
【0042】
(ステップS3)
アップロードされた教示データ群に基づき、機械学習モデル構築サービス80によってそれぞれ機械学習モデルM1、M2、M3、M4・・・が構築される。
構築された学習済みの機械学習モデルは、それぞれサーバ30の最適モデル選択部306(図3参照)によって各機械学習モデルM1、M2、M3、M4・・・の精度が検証される。
なお、精度が予め決められた基準よりも悪い場合には、前ステップS2に戻り、教示データ群生成部302は、フィルタ処理を更に適用するなどして前処理する。
【0043】
(ステップS4)
ユーザの操作により、端末440の機械学習モデル受信部440a(図9参照)が、機械学習モデル構築サービス80によって構築された学習済みの各機械学習モデルをダウンロードする。ダウンロードされた学習済みの各機械学習モデルは、端末440を介して撮像部460に送信される。
【0044】
(ステップS5)
撮像部460の記憶部460bが、機械学習モデル受信部440aによってダウンロードされた各機械学習モデルを記憶する。
【0045】
(ステップS6)
端末440の制御部440bがPLC450及び撮像部460を制御し、検査装置470(図1参照)にて製造された被検査物14の良否を試験的に判定する。
詳細には、被検査物14を出荷する際の良否判定を行う準備段階として、撮像部460のカメラ部460a(図9参照)が被検査物14の画像を撮像し、判定部460cが、撮像された画像及び記憶部460bに記憶された複数の機械学習モデルに基づいて、それぞれ被検査物14に欠陥が存在するか否かを検査し、欠陥がない場合は良品と判定し、欠陥がある場合には不良品と判定する。
【0046】
(ステップS7)
前ステップS6における試験的な各判定結果は、撮像部60から端末440を介して、サーバ30へと送信される。
図3に示すサーバ30が有する最適モデル選択部306は、試験的な各判定結果に基づいて、各機械学習モデルの良否を評価し、最適な機械学習モデル(以下、「最適モデル」という。)を選択する。
選択された最適モデルの情報は、サーバ30から端末440に送信される。
【0047】
前述の通り、本ステップS7までは、実際の良否判定を行うまでに必要な準備段階としての動作である。
次ステップS8以降が、部品等の出荷前の検査工程における実際の良否判定の動作となる。
【0048】
(ステップS8)
端末440の制御部440b(図9参照)がPLC450及び撮像部460を制御し、撮像部60は、選択された最適モデルに基づいて、検査装置470(図1参照)のコンベヤに載って搬送されてくる被検査物14の良否を判定する。
詳細には、撮像部460のカメラ部460a(図9参照)が被検査物14の画像を撮像し、判定部460cが、撮像された画像及び記憶部460bに記憶されている最適モデルに基づいて、被検査物14に欠陥が存在するか否かを検査し、欠陥がない場合は良品と判定し、欠陥がある場合には不良品と判定する。
【0049】
(ステップS9)
端末440の稼働状態出力部440c(図9参照)が、撮像部460の稼働状態に関する稼働情報をサーバ30に送信する。送信された稼働情報はサーバ30の記憶部(不図示)に記憶され、良否判定システム10aの稼働状態がサーバ30にて一元的に管理される。
【0050】
このように、本実施の形態に係る良否判定システム10aは、構築された複数の機械学習モデルの中から選択された最適な機械学習モデルを用いて被検査物14の良否を判定するので、より精度が高い判定結果が得られる。
なお、良否判定システム10aは、カメラ部460aの種類によっては、被検査物14の外観以外についての状態の良否を判定できる。例えば、カメラ部460aが赤外線カメラである場合には、被検査物14の内部の状態の良否を判定することも可能である。
【0051】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る良否判定システム10bについて説明する。第1の実施の形態に係る良否判定システム10aと同一の機能を有する構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する場合がある。
良否判定システム10bは、図11に示すように、教示データ作成装置20、サーバ30及び検査システム40bを備えている。
検査システム40bは、端末442、PLC(Programmable Logic Controller)450及び被検査物14を撮像する撮像部462を有している。
【0052】
端末442(判定装置の一例)は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、MR(Mixed Reality)を実現するためのMRデバイス、又はAR(Augmented Reality)を実現するためのARデバイスである。
端末442は、図12に示すように、機械学習モデル受信部(受信手段の一例)440a、制御部(制御手段の一例)440b、稼働状態出力部(稼働状態出力手段の一例)440c、記憶部(記憶手段の一例)460b及び判定部(判定手段の一例)460cを有し、複数の機械学習モデルに基づいてそれぞれ被検査物の良否を判定できる。
なお、端末442は、端末442の内部にて実行されるプログラムによって、受信手段、制御手段、稼働状態出力手段、記憶手段及び判定手段として機能する。
【0053】
撮像部462は、カメラ部460aを有している。
【0054】
すなわち、本良否判定システム10bは、第1の実施の形態に係る撮像部460が有していた記憶部460b及び判定部460cを端末442が有している。
なお、端末442が、機械学習モデル受信部440a、制御部440b、稼働状態出力部440c、記憶部460b及び判定部460cのうちの一部を有し、PLC450が、それ以外を有していてもよい。すなわち、検査システム40bが全体として機械学習モデル受信部440a、制御部440b、稼働状態出力部440c、記憶部460b及び判定部460cを有していればよい。
更に言えば、機械学習モデル受信部440a、記憶部460b及び判定部460cを検査システム40bが有しているのではなく、図11に示すサーバ30が有していてもよい。
【0055】
本実施の形態に係る良否判定システム10bと、第1の実施の形態に係る良否判定システム10aと、を比較すると、図9及び図12に示すように、撮像部460に設けられていた記憶部460b及び判定部460cが端末442に設けられている点が相違するのみである。
従って、良否判定システム10bの動作については、実質的に良否判定システム10aの動作(ステップS1~S9)と同様であるので、その説明は省略する。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
続いて、本発明の第3の実施の形態に係る予知保全システム(良否判定システムの一例)10cについて説明する。第2の実施の形態に係る良否判定システム10bと同一の機能を有する構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する場合がある。
【0057】
本実施の形態に係る予知保全システム10cは、監視対象が発する音を測定することで監視対象の稼働状態の良否を判定でき、監視対象の不具合を予知する予知保全に適用できる。
監視対象は、例えば、機械装置であり、具体的にはプレス機である。ただし、監視対象は、音により不具合が予知できる装置や機器であればプレス機に限定されるものではない。
【0058】
予知保全システムは、図13に示すように、音源可視化装置(可視化装置の一例)500、教示データ作成装置20、サーバ33及び端末443を備えている。
【0059】
音源可視化装置500は、被監視対象600を撮像するカメラ(不図示)及び被監視対象600から発生する音源を特定するための複数のマイクロフォン502を有し、音源周辺の実画像に音の強度分布をリアルタイムに重ね合わせて音源を可視化した音源可視化画像を出力できる。この音の強度分布は、音圧の大きさに応じた異なる色によって、ヒートマップ状の視覚化された情報として表現される。
なお、音源可視化装置500は、音響カメラと呼ばれる場合がある。
【0060】
教示データ作成装置20は、図2に示すように、教示データ作成部202を有し、音源可視化画像を取り込んで教示データとしての画像を作成できる。
【0061】
サーバ33は、サービス提供事業者によって管理され、図14に示すように、教示データ群生成部302、判定部334、最適モデル選択部306及び管理部308を有している。
教示データ群生成部(教示データ群生成手段の一例)302は、図4に示すように、教示データ作成装置20が作成した教示データ群TDを前処理し、前処理された教示データ群の集合TDg、すなわち、教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・を作成する。
【0062】
判定部(判定手段の一例)334は、教示データ群TD及び械学習モデル構築サービス80が構築した複数の学習済みの機械学習モデルに基づいて、それぞれ被監視対象600の稼働状態の良否を仮想的に判定できる。
【0063】
最適モデル選択部(最適モデル選択手段の一例)306は、判定部334による判定結果を評価し、最適な機械学習モデルを選択できる。
【0064】
管理部(管理手段の一例)308は、端末443又は音源可視化装置500の状態を管理できる。詳細には、管理部308は、端末443又は音源可視化装置500の稼働状態に関する稼働情報を記録できる。
なお、サーバ33は、サーバ33の内部にて実行されるプログラムによって、教示データ群生成手段、判定手段、最適モデル選択手段及び管理手段として機能する。
【0065】
端末(判定装置の一例)443は、図15に示すように、音源可視化装置500に接続されている。端末443は、機械学習モデル受信部440a、制御部443b、稼働状態出力部443c、記憶部443d及び判定部443eを有し、最適モデルに基づいて被監視対象600の良否を判定できる。
【0066】
機械学習モデル受信部(受信手段の一例)440aは、サーバ33から最適モデル選択部306が選択した最適モデルを受信できる。なお、最適モデルの受信は、セキュア通信によりなされる。
【0067】
制御部(制御手段の一例)443bは、PLC450及び音源可視化装置500を制御できる。
【0068】
稼働状態出力部(稼働状態出力手段の一例)443cは、端末443又は音源可視化装置500の稼働状態に関する稼働情報を出力できる。この稼働情報は、例えば、音源可視化装置500が画像の撮像を開始してから終了するまでの時間の情報である。稼働情報は、音源可視化装置500から出力された画像の枚数の情報であってもよい。
【0069】
記憶部(記憶手段の一例)443dは、機械学習モデル受信部400aが受信した最適モデルを記憶できる。
【0070】
判定部(判定手段の一例)443eは、音源可視化装置500が出力する複数の音源可視化画像及び記憶部443dに記憶された最適モデルに基づいて、被監視対象600の稼働状態の良否を判定できる。
なお、端末443は、端末443の内部にて実行されるプログラムによって、受信手段、制御手段、稼働状態出力手段、記憶手段及び判定手段として機能する。
【0071】
次に、予知保全システム10cの動作(被監視対象600の稼働状態の良否判定方法)について、図16に基づいて説明する。予知保全システム10cは、以下のステップS3-1~S3-9に従って動作する。ステップS3-1~S3-9のうち、ステップS3-1~S3-7は、準備段階としての動作であり、以降のステップS3-8、S3-9は、実際の監視対象600の稼働状態の良否判定の動作である。
なお、可能な場合には、各ステップS3-1~S3-7は順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0072】
(ステップS3-1)
教示データ作成装置20(図13参照)の教示データ作成部202(図2参照)が、音源可視化装置500が生成した音源可視化画像を取り込んで教示データとし、図4に示す教示データ群TDを作成する。
複数の音源可視化画像(教示データ群TD)は、図示しない記憶手段に記憶され、図14に示すサーバ33に送信される。
教示データ群TDは、教示データ作成部202が作成することに代えて、予め準備された被監視対象600の音源可視化画像に基づいて手作業により作成されてもよい。
【0073】
(ステップS3-2)
サーバ33の教示データ群生成部302が、図4に示すように、教示データ作成装置20が生成した音源可視化画像(教示データ群TD)を前処理し、特徴値に応じて分類された複数の教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・を生成する。なお、前処理においては、例えば、明るさについての複数の閾値TH1~TH10(図6参照)が用いられる。
なお、各閾値は、欠陥Dの明るさの最大値を求め、この最大値を分割することによって、求められてもよい。
その後、サービス提供事業者又はユーザの操作により、サーバ33が、前処理後の教示データ群TD1、TD2、TD3、TD4、・・・をそれぞれ機械学習モデル構築サービス80にアップロードする。
このように、ノウハウが必要な教示データの前処理をユーザではなくサービス提供事業者が行うので、ユーザは簡単に機械学習モデルによる予知保全システムを導入できる。
【0074】
(ステップS3-3)
アップロードされた教示データ群に基づき、機械学習モデル構築サービス80によってそれぞれ機械学習モデルM1、M2、M3、M4・・・が構築される。
構築された学習済みの機械学習モデルは、それぞれサーバ33の最適モデル選択部306(図14参照)によってモデルの精度が検証される。
なお、精度が悪い場合には、前ステップS3-2に戻り、教示データ群生成部302は、異なるフィルタ処理を適用するなどして音源可視化画像(教示データ群TD)を異なる方法で前処理する。
【0075】
(ステップS3-4)
ユーザの操作により、サーバ33(図14参照)が、機械学習モデル構築サービス80によって構築された学習済みの各機械学習モデルをダウンロードする。ダウンロードされた学習済みの各機械学習モデルは、図示しない記憶部に記憶される。
【0076】
(ステップS3-5)
サーバ33の判定部334が、教示データ群TDを記憶部(不図示)に記憶された各機械学習モデルに入力し、被監視対象600の稼働状態の良否を仮想的に判定する。
【0077】
(ステップS3-6)
最適モデル選択部306が、前ステップS3ー6における判定部334による被監視対象600の稼働状態の良否の判定結果を評価し、複数の機械学習モデルの中から最適モデルを選択する。
【0078】
(ステップS3-7)
最適モデル選択部306によって選択された最適モデルが、サーバ33から端末442に送信される。
送信された最適モデルは、機械学習モデル受信部440a(図15参照)にて受信され、記憶部443dに記憶される。
【0079】
(ステップS3-8)
本ステップS3-8は、被監視対象600を監視するステップである。
端末443の制御部443bがPLC450を制御し、被監視対象600を稼働させる。一方で、音源可視化装置500が、被監視対象600から発生する音を測定し、予め決められた周期で音源可視化画像を出力する。
端末442は、出力された音源可視化画像及び記憶部443eに記憶されている最適モデルに基づいて、被監視対象600の稼働状態の良否を判定する。
【0080】
(ステップS3-9)
端末440の稼働状態出力部443cが、音源可視化装置500の稼働状態に関する稼働情報をサーバ33に送信する。送信された稼働情報はサーバ33の記憶部(不図示)に記憶され、予知保全システム10cの稼働状態がサーバ33にて一元的に管理される。
【0081】
このように、本実施の形態に係る予知保全システム10cによれば、構築された複数の機械学習モデルの中から選択された最適な機械学習モデルを用いて被監視対象600の稼働状態の良否を判定するので、より高い精度で予知保全が可能となる。
なお、音源可視化システムに代えて、被監視対象600の不具合が発生する予兆に起因して変化する物理量を測定するための検出器を有し、その物理量を可視化した複数の可視化画像を生成できる任意の可視化装置でもよい。
【0082】
〔第4の実施の形態〕
続いて、本発明の第4の実施の形態に係る予知保全システム(良否判定システムの一例)10dについて説明する。第3の実施の形態に係る予知保全システム10c(図13参照)と同一の機能を有する構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する場合がある。
【0083】
本実施の形態に係る予知保全システムは、監視対象が発する振動を測定することで監視対象の稼働状態の良否を判定でき、監視対象の不具合を予知する予知保全に適用できる。
監視対象は、例えば、機械装置であり、具体的には、プレス機や搬送装置である。ただし、監視対象は、振動により不具合が予知できる装置や機器であれば任意でよい。
【0084】
予知保全システム10dは、図17に示すように、振動可視化装置(可視化装置の一例)700、教示データ作成装置20、サーバ33及び端末443(判定装置の一例)を備えている。
振動可視化装置700は、被監視対象600から発生する振動を検出するための複数の振動センサ702を有し、各振動センサ702により検出された振動を可視化した複数の振動可視化画像を出力できる。この振動可視化画像は、例えば、振動の大きさ及び周波数のうちの少なくとも一方に応じた異なる色によって、視覚化された情報として表現された画像である。
【0085】
ここで、予知保全システム10dにおいて、振動可視化装置700及び振動可視化画像が、それぞれ第3の実施の形態における音源可視化装置500及び音源可視化画像に対応する。
【0086】
このような予知保全システム10dを使用し、前述の動作ステップS3-1~S3-9(図16参照)を実施することによって、端末443が有する判定部443e(図15参照)は、被監視対象600に不具合が発生すると、異常であると判定することができる。
【0087】
このように、本実施の形態に係る予知保全システム10dによれば、構築された複数の機械学習モデルの中から選択された最適な機械学習モデルを用いて被監視対象600の良否を判定するので、より高い精度で予知保全が可能となる。
なお、振動可視化システムに代えて、被監視対象600の不具合が発生する予兆に起因して変化する物理量を測定するための検出器を有し、その物理量を可視化した複数の可視化画像を生成できる任意の可視化装置でもよい。
【0088】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、前述の形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0089】
10a、10b 良否判定システム
10c、10d 予知保全システム
14 被検査物
20 教示データ作成装置
30 サーバ
40a、40b 検査システム
450 PLC
80 機械学習モデル構築サービス
202 教示データ作成部
302 教示データ群生成部
306 最適モデル選択部
308 管理部
334 判定部
440 端末
440a 機械学習モデル受信部
440b 制御部
440c 稼働状態出力部
442、443 端末
443b 制御部
443c 稼働状態出力部
443d 記憶部
443e 判定部
460 撮像部
460a カメラ部
460b 記憶部
460c 判定部
462 撮像部
470 検査装置
500 音源可視化装置
502 マイクロフォン
600 被監視対象
700 振動可視化装置
702 振動センサ
N インターネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17