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特許7049051レジスト残渣除去剤及びこれを利用した導体パターン形成方法並びに基板製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】レジスト残渣除去剤及びこれを利用した導体パターン形成方法並びに基板製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/32 20060101AFI20220330BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20220330BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220330BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G03F7/32 501
G03F7/32
G03F7/40 521
H01L21/304 647A
H01L21/30 572B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2016107795
(22)【出願日】2016-05-30
(65)【公開番号】P2017215384
(43)【公開日】2017-12-07
【審査請求日】2019-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000120386
【氏名又は名称】株式会社JCU
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕久
(72)【発明者】
【氏名】庄野 浩己
(72)【発明者】
【氏名】沈 暁鷹
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-072072(JP,A)
【文献】特開2013-101224(JP,A)
【文献】特開2009-029849(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0094886(US,A1)
【文献】特開2007-311729(JP,A)
【文献】特開2016-090753(JP,A)
【文献】特開2004-302271(JP,A)
【文献】特開2015-138222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00 - 7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオグリコール酸アンモニウム及びチオグルコール酸モノエタノールアミンよりなる群から選ばれる1種または2種のメルカプト基を有する還元剤を0.05~20g/L含有するレジスト残渣除去液。
【請求項2】
さらに有機酸またはその塩を含有する請求項1記載のレジスト残渣除去液。
【請求項3】
アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸石けん、α-オレインスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルよりなる群から選ばれる1種または2種以上のアニオン性界面活性剤1~20g/L並びに無機酸を含有するレジスト残渣除去液(但し、ポリマー又はフッ素化水素酸若しくはその塩を含有するものを除く)。
【請求項4】
基板の表面に形成したレジスト層を露光及び現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンを請求項1~のいずれか1項に記載のレジスト残渣除去液で処理することを特徴とするレジスト残渣除去方法。
【請求項5】
基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを請求項1~のいずれか1項に記載のレジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理することを特徴とする導体パターン形成方法。
【請求項6】
基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを請求項1~のいずれか1項に記載されたレジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理して導体パターン形成し、次いで該めっきレジストパターンを剥離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
導体パターンが形成された基板の表面にソルダーレジスト層を形成し、該ソルダーレジスト層を露光及び現像してソルダーレジストパターンを形成し、該レジストパターンを請求項1~のいずれか1項に記載のレジスト残渣除去液で処理することを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
導体パターンが形成された基板の表面にソルダーレジスト層を形成し、該ソルダーレジスト層を露光及び現像してソルダーレジストパターンを形成し、該レジストパターンを請求項1~のいずれか1項に記載のレジスト残渣除去液で処理した後、ニッケル/金めっき、錫めっきまたは有機防錆処理することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを請求項1~のいずれか1項に記載のレジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理することを特徴とする導体パターンのアンダーカット生成防止方法。
【請求項10】
基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理することを特徴とする導体パターン形成方法。
【請求項11】
基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理して導体パターン形成し、次いで該めっきレジストパターンを剥離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
導体パターンが形成された基板の表面にソルダーレジスト層を形成し、該ソルダーレジスト層を露光及び現像してソルダーレジストパターンを形成し、該レジストパターンを、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理することを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法。
【請求項13】
導体パターンが形成された基板の表面にソルダーレジスト層を形成し、該ソルダーレジスト層を露光及び現像してソルダーレジストパターンを形成し、該レジストパターンを、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理した後、ニッケル/金めっき、錫めっきまたは有機防錆処理することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項14】
基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理することを特徴とする導体パターンのアンダーカット生成防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板等のレジスト現像において、簡単なウェット工程によりレジストの裾引き部分などのレジスト残渣を除去し得るレジスト残渣除去剤及びこれを利用した導体パターン形成方法並びに基板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板はフォトリソグラフィー法によって製造される。フォトリソグラフィー法では、基板上に感光性レジスト層を形成し、パターン露光してレジスト層の露光部を重合硬化させ、未露光部を現像液で除去することにより基板上にレジストパターンを形成し、次いでめっきまたはエッチング処理して導体パターンを形成した後、レジストパターンを剥離除去して導体パターンが完成する。
【0003】
導体パターンの形成方法は、サブトラクティブ法とアディティブ法に大別されるが、微細で高密度のパターンを作成する方法としてセミアディティブ工法が用いられている。この方法では、基板のシード銅薄膜上に形成された感光性レジスト層を露光、現像してレジストパターンを形成し、次いで、レジストパターン間にめっきを施してめっき銅パターンを形成し、レジストを剥離したのち、フラッシュエッチングにより、めっき銅パターンとシード銅薄膜とを同時にエッチングする。
【0004】
レジスト現像工程では、現像時間が長すぎるとレジストが膨潤し、基板からの剥がれが発生し易い。そのため、通常やや現像不十分な状態で終了させる傾向にあるが、未現像部があると、硬化レジストと基板との境界部分に裾引きが生じたり、基板表面に点々とレジスト付着物が残存することがある。レジストパターン間にこのような裾引き部分が存在する状態でめっきを施すと、めっき底部はえぐられたようなアンダーカット部が生じ、形成されためっき銅パターンと銅薄膜との接地面積が減少するため、銅薄膜とめっき銅パターンの界面密着強度が低下し、剥がれやすくなる。レジスト付着物が銅薄膜に点在していた場合にも同様に密着強度の低下が生じる。サブトラクティブ法においてエッチングによりパターン形成する場合でも、裾引き部分等が存在すると現像後に露出した銅箔の表面積が減少するため、エッチング除去が不充分になるおそれがある。
【0005】
このようなレジストの裾引き部分やレジスト付着物を除去するために、めっき前処理としてプラズマ処理が行われている。プラズマ処理により、レジストの裾引き部分やレジスト付着物は除去されるものの、レジストパターンとして正常に残っている硬化レジストまで変性し、レジスト剥離工程において剥離し難くなる場合があった。また高価なプラズマ装置が必要である上、製造工程において、ウェット工程である現像工程とめっき工程の間にドライ工程であるプラズマ処理工程を介在させることになるため、基板を連続処理することができず、工程の煩雑化や生産コストの増大を招く。ソルダーレジストパターン形成においても、レジスト残渣の存在により、ニッケル/金メッキの付着性の低下などが生じるおそれがある。
【0006】
これに対し、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価金属イオンを一定濃度で含む洗浄水で洗浄することにより、レジスト残渣を除去する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、この方法はレジストの裾引き部分等を除去する効果において十分なものとは言い難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-208356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡便で連続的な処理により、正常なレジストパターン部分を変性することなく、レジストの裾引き部分などのレジスト残渣を有効に除去することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、レジスト現像後、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤若しくはアニオン性界面活性剤を含有する液でレジストパターンを処理することにより、硬化レジストと基板との境界部分に生じた裾引きや、基板表面に点在するレジスト付着物などのレジスト残渣を効果的に除去し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を有効成分として含有するレジスト残渣除去剤である。
【0011】
また本発明は、基板の表面に形成したレジスト層を露光及び現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンを上記レジスト残渣除去液で処理することを特徴とするレジスト残渣除去方法である。
【0012】
また本発明は、基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを上記レジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理することを特徴とする導体パターン形成方法である。
【0013】
さらに本発明は、基板の表面に形成しためっきレジスト層を露光及び現像してめっきレジストパターンを形成し、該めっきレジストパターンを上記レジスト残渣除去液で処理した後、めっき処理して導体パターン形成し、次いで該めっきレジストパターンを剥離することを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0014】
また本発明は、導体パターンが形成された基板の表面にソルダーレジスト層を形成し、該ソルダーレジスト層を露光及び現像してソルダーレジストパターンを形成し、該レジストパターンを上記レジスト残渣除去液で処理することを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法である。
【0015】
また本発明は、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト用現像液である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のレジスト残渣除去液でレジストパターンを処理することにより、硬化レジストと基板との境界部分の裾引き部分や、基板表面に残存したレジスト付着物などのレジスト残渣を除去することができる。この除去液をめっきレジストに適用することにより、めっき処理により形成された導体パターンのアンダーカット部の生成が抑制され、基板との界面密着強度が向上するため、導体パターンの剥がれ等を防止することができる。またこの処理は簡単なウェット工程で行うことができるため、基板の連続処理が可能であり、正常なレジストパターンを変性することもないため、その後のレジストパターン剥離工程において剥離性を損ねるおそれがない。さらに、ソルダーレジストに適用すると、微細なパット部などにおけるレジスト残渣を防止し、ニッケル/金めっきの付着性などを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】試験例1において、実施例1の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図2】試験例1において、実施例2の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図3】試験例1において、実施例3の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図4】試験例1において、実施例4の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図5】試験例1において、実施例5の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図6】試験例1において、実施例6の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図7】試験例1において、実施例7の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図8】試験例1において、実施例8の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図9】試験例1において、比較例1の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図10】試験例1において、比較例2の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図11】試験例2において、実施例9の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図12】試験例2において、実施例10の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図13】試験例2において、実施例11の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図14】試験例2において、実施例12の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図15】試験例2において、比較例3の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図16】試験例2において、比較例4の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図17】試験例3において、現像後除去液で処理を行わず、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図18】試験例3において、実施例1の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図19】試験例4において、現像後除去液で処理を行わず、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
図20】試験例4において、実施例1の除去液を用いてレジストパターンを処理した後、電解銅めっきにより銅パターンを形成した試験片の断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のレジスト残渣除去剤(以下、「除去液」ということがある)は、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれた化合物を有効成分として含有する。本発明において、レジスト残渣には、基板上に形成した感光性レジスト層を露光、現像した際に生じる硬化レジストと基板との境界部分の裾引き部分及び基板表面に残存するレジスト付着物等が含まれる。またレジストには、めっきレジスト、ソルダーレジスト等が含まれる。
【0019】
上記還元剤のうち、メルカプト基を有する還元剤としては、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン等のチオグリコール酸塩、システイン等が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。また亜硫酸基を有する還元剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、チオグリコール酸またはその塩などのメルカプト基及びカルボキシル基を有する還元剤が、短時間の処理により優れたレジスト残渣除去効果が得られることから好適である。メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤の濃度は特に限定されないが、レジスト残渣除去効果等の観点から、0.05~20g/Lであることが好ましく、0.1~15g/Lであることがより好ましい。また亜硫酸基を有する還元剤を用いる場合は、レジスト残渣除去効果等の点から有機酸またはその塩を併用することが好ましい。有機酸としては、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられ、その塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩等が例示される。有機酸またはその塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.1~10g/Lであることが好ましく、0.3~5g/Lの範囲がより好ましい。
【0020】
上記アニオン性界面活性剤としては特に限定されるものではなく、例えば、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等の脂肪酸石けん、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等のα-オレインスルホン酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C12,13)エーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル等がレジスト残渣除去効果に優れることから好適である。アニオン性界面活性剤の濃度は特に限定されないが、レジスト残渣除去効果等の観点から、0.1~20g/Lであることが好ましく、1~15g/Lであることがより好ましい。
【0021】
アニオン性界面活性剤を用いる場合には、さらに硫酸、塩酸などの無機酸を添加することによりレジスト残渣除去効果が向上する。無機酸の濃度は特に限定されるものではないが、1~20g/Lであることが好ましく、5~15g/Lがより好ましい。
【0022】
本発明の除去液は、上記メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤、アニオン性界面活性剤、無機酸等を水に溶解することにより調製される。水としては、イオン交換水、純水、超純水等の不純物を除去した水を用いることが好ましい。
【0023】
本発明の除去液には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらにカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等の成分を添加することができる。
【0024】
本発明のレジスト残渣除去方法は、基板の表面に形成したレジスト層を露光及び現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンを上記した本発明のレジスト残渣除去剤を用いて処理することを特徴とする。レジストとしては、めっきレジスト、ソルダーレジスト等が挙げられる。
【0025】
めっきレジストのレジストパターン形成は公知の方法に従って行うことができる。基板としては、銅張積層板、ビルドアップ樹脂を積層し無電解銅めっきを施した基板、また、1um程度の薄い電気銅めっき(ストライク銅めっき)を施した基板等が例示でき、これらの基板に液体の感光性レジストを塗布、乾燥するか、感光性ドライフィルムレジストをラミネーターを用いて基板に加熱圧着し、基板にレジスト層を形成する。
【0026】
次に、レジスト層が形成された基板にフォトマスクを通して活性光で露光する。露光量は適宜設定できる。
【0027】
さらに、露光によりレジスト層に形成された潜像を現像液を用いて顕像とする。現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が用いられ、現像液に基板を浸漬したり、スプレー等で噴霧することにより現像が行われる。現像により、レジスト層のうち未露光部が除去されて、レジストパターンが形成される。
【0028】
このようにして形成されたレジストパターンを、上記メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理する。この処理によって、硬化レジストと基板との境界部分に生じた裾引き部分や基板表面に残存したレジスト付着物などのレジスト残渣を除去することができる。本発明において、レジスト残渣除去液によるレジストパターンの処理には、レジストパターン間の基板表面の処理も含まれる。
【0029】
上記レジスト残渣除去液による処理は、レジストパターンが形成された基板を当該レジスト残渣除去液に浸漬するか、基板上に当該レジスト残渣除去液をスプレー等により噴霧する方法が例示される。処理温度は、レジスト残渣除去の過剰処理によるドライフィルムパターン剥がれを防止する観点から15~30℃が好ましく、20~25℃がより好ましい。スプレーの場合、処理時間は5~60秒程度が好ましく、10~30秒程度がより好ましい。またスプレーの場合、圧力は0.02MPa~0.2MPaであることが好ましく、0.05MPa~0.15MPaであることがより好ましい。
【0030】
以上のようにして、レジスト残渣除去液による処理を行った後、現像により露出した基板の面に、めっきまたはエッチング処理を行うことにより導体パターンを形成する。
【0031】
めっき方法としては、例えば、硫酸銅めっき等が例示される。エッチングは、塩化第二銅-塩酸水溶液、硫酸-過酸化水素等の酸性エッチング液を用いて、常法に従って行えばよい。
【0032】
めっきまたはエッチング終了後、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ剥離液や有機アミン系剥離液を用いて、レジストパターンの剥離除去を行う。上記レジスト残渣除去液による処理によってレジストパターン部分が変性することはなく、剥離性の低下等は生じない。以上の工程を経て、プリント配線板等の回路基板上に導体パターンを形成することができる。
【0033】
以上のようにして導体パターンが形成された基板には、さらに必要に応じてソルダーレジストパターンが形成される。本発明のレジスト残渣除去液は、ソルダーレジストにも適用することができる。ソルダーレジストパターン形成は公知の方法に従って行うことができる。導体パターンが形成された基板表面に、液状のソルダーレジストを塗布、乾燥するか、ソルダーレジスト層を有するドライフィルムをラミネーターを用いて基板に加熱圧着し、導体パターンの形成された基板上にソルダーレジスト層を形成する。
【0034】
次に、レジスト層が形成された基板にフォトマスクを通して活性光で露光する。露光量は適宜設定できる。
【0035】
露光後、現像することにより、ソルダーレジスト層のうち未露光部が除去されて、ソルダーレジストパターンが形成される。現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が用いられ、現像液に基板を浸漬したり、スプレー等で噴霧することにより現像が行われる。
【0036】
このようにして形成されたソルダーレジストパターンを、上記メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれる化合物を含有するレジスト残渣除去液で処理する。この処理によって、硬化レジストと基板との境界部分に生じた裾引き部分や基板表面に残存したレジスト付着物などのレジスト残渣を除去することができる。
【0037】
上記レジスト残渣除去液による処理は、ソルダーレジストパターンが形成された基板を当該レジスト残渣除去液に浸漬するか、基板上に当該レジスト残渣除去液をスプレー等により噴霧する方法が例示される。処理温度は、レジスト残渣除去の過剰処理によるドライフィルムパターン剥がれを防止する観点から15~30℃が好ましく、20~25℃がより好ましい。処理時間は5~60秒程度が好ましく、10~30秒程度がより好ましい。スプレーの場合、圧力は0.02MPa~0.2MPaであることが好ましく、0.05MPa~0.15MPaであることがより好ましい。
【0038】
以上のようにして、ソルダーレジスト残渣除去液による処理を行った後、水洗、乾燥、硬化処理を行う。その後、基板の表面処理として、パット部などにニッケルめっき、金めっき、錫めっきまたは有機防錆処理を行う。微小なパット部などにソルダーレジスト残渣が残存すると、めっきの付着性が低下するなどの問題が生じるが、本発明のレジスト残渣除去剤で処理することにより、このようなめっき付着性の低下等を抑制することができる。
【0039】
また本発明においては、上記除去剤による処理に代えて、または除去剤による処理とともに、メルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれた化合物を含有するレジスト用現像液で現像することによって、レジスト残渣を除去ないし防止することができる。
【0040】
現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が用いられるが、本発明のレジスト用現像液は、さらにメルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤及びアニオン性界面活性剤よりなる群から選ばれた化合物を含有する。上記還元剤のうち、メルカプト基を有する還元剤としては、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン等のチオグリコール酸塩、システイン等が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。また亜硫酸基を有する還元剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、チオグリコール酸またはその塩などのメルカプト基及びカルボキシル基を有する還元剤が、短時間の処理により優れたレジスト残渣除去効果が得られることから好適である。本発明のレジスト用現像液におけるメルカプト基または亜硫酸基を有する還元剤の濃度は特に限定されないが、レジスト残渣除去効果等の観点から、0.05~20g/Lであることが好ましく、0.1~15g/Lであることがより好ましい。また亜硫酸基を有する還元剤を用いる場合は、レジスト残渣除去効果等の点から有機酸またはその塩を併用することが好ましい。有機酸としては、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられ、その塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩等が例示される。有機酸またはその塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.1~10g/Lであることが好ましく、0.3~5g/Lの範囲がより好ましい。
【0041】
上記アニオン性界面活性剤としては特に限定されるものではなく、例えば、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等の脂肪酸石けん、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等のα-オレインスルホン酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C12,13)エーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル等がレジスト残渣除去効果に優れることから好適である。アニオン性界面活性剤の濃度は特に限定されないが、レジスト残渣除去効果等の観点から、0.1~20g/Lであることが好ましく、1~15g/Lであることがより好ましい。
【0042】
本発明のレジスト残渣除去方法は、基板の表面に形成したレジスト層を露光した後、上記本発明のレジスト用現像液を用いて現像してレジストパターンを形成することを特徴とする。レジストとしては、めっきレジスト、ソルダーレジスト等が挙げられる。
【0043】
めっきレジストのレジストパターン形成は公知の方法に従って行うことができる。基板としては、銅張積層板、ビルドアップ樹脂を積層し無電解銅めっきを施した基板、また、1um程度の薄い電気銅めっき(ストライク銅めっき)を施した基板等が例示でき、これらの基板に液体の感光性レジストを塗布、乾燥するか、感光性ドライフィルムレジストをラミネーターを用いて基板に加熱圧着し、基板にレジスト層を形成する。
【0044】
次に、レジスト層が形成された基板にフォトマスクを通して活性光で露光する。露光量は適宜設定できる。
【0045】
さらに、露光によりレジスト層に形成された潜像を上記本発明のレジスト用現像液を用いて顕像とする。当該現像液に基板を浸漬したり、スプレー等で噴霧することにより現像が行われる。現像により、レジスト層のうち未露光部が除去されて、レジストパターンが形成される。本発明のレジスト用現像液を用いて現像することにより、硬化レジストと基板との境界部分に生じ得る裾引き部分や基板表面に残存し得るレジスト付着物などのレジスト残渣を除去ないし防止することができる。
【0046】
このようにして形成されたレジストパターンを、さらに必要に応じ、上記レジスト残渣除去液で処理してもよい。レジスト残渣除去液による処理方法としては、レジストパターンが形成された基板を当該レジスト残渣除去液に浸漬するか、基板上に当該レジスト残渣除去液をスプレー等により噴霧する方法が例示される。処理温度は、レジスト残渣除去の過剰処理によるドライフィルムパターン剥がれを防止する観点から15~30℃が好ましく、20~25℃がより好ましい。スプレーの場合、処理時間は5~60秒程度が好ましく、10~30秒程度がより好ましい。またスプレーの場合、圧力は0.02MPa~0.2MPaであることが好ましく、0.05MPa~0.15MPaであることがより好ましい。
【0047】
以上のようにして、現像により露出した基板の面に、めっきまたはエッチング処理を行うことにより導体パターンを形成する。
【0048】
めっき方法としては、例えば、硫酸銅めっき等が例示される。エッチングは、塩化第二銅-塩酸水溶液、硫酸-過酸化水素等の酸性エッチング液を用いて、常法に従って行えばよい。
【0049】
めっきまたはエッチング終了後、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ剥離液や有機アミン系剥離液を用いて、レジストパターンの剥離除去を行う。上記レジスト残渣除去液による処理によってレジストパターン部分が変性することはなく、剥離性の低下等は生じない。以上の工程を経て、プリント配線板等の回路基板上に導体パターンを形成することができる。
【0050】
以上のようにして導体パターンが形成された基板には、さらに必要に応じてソルダーレジストパターンが形成される。ソルダーレジストパターン形成は公知の方法に従って行うことができる。導体パターンが形成された基板表面に、液状のソルダーレジストを塗布、乾燥するか、ソルダーレジスト層を有するドライフィルムをラミネーターを用いて基板に加熱圧着し、導体パターンの形成された基板上にソルダーレジスト層を形成する。
【0051】
次に、レジスト層が形成された基板にフォトマスクを通して活性光で露光する。露光量は適宜設定できる。
【0052】
露光後、上記本発明のレジスト用現像液を用いて現像することにより、ソルダーレジスト層のうち未露光部が除去されて、ソルダーレジストパターンが形成される。現像は、現像液に基板を浸漬したり、スプレー等で噴霧することにより行われる。本発明のレジスト用現像液を用いて現像することにより、硬化レジストと基板との境界部分に生じ得る裾引き部分や基板表面に残存し得るレジスト付着物などのレジスト残渣を除去ないし防止することができる。
【0053】
このようにして形成されたソルダーレジストパターンを、さらに必要に応じ、上記レジスト残渣除去液で処理してもよい。レジスト残渣除去液による処理は、ソルダーレジストパターンが形成された基板を当該レジスト残渣除去液に浸漬するか、基板上に当該レジスト残渣除去液をスプレー等により噴霧する方法が例示される。処理温度は、レジスト残渣除去の過剰処理によるドライフィルムパターン剥がれを防止する観点から15~30℃が好ましく、20~25℃がより好ましい。処理時間は5~60秒程度が好ましく、10~30秒程度がより好ましい。スプレーの場合、圧力は0.02MPa~0.2MPaであることが好ましく、0.05MPa~0.15MPaであることがより好ましい。
【0054】
以上のようにして、ソルダーレジスト残渣除去液による処理を行った後、水洗、乾燥、硬化処理を行う。その後、基板の表面処理として、パット部などにニッケルめっき、金めっき、錫めっきまたは有機防錆処理を行う。微小なパット部などにソルダーレジスト残渣が残存すると、めっきの付着性が低下するなどの問題が生じるが、本発明のレジスト用現像液で現像することにより、このようなめっき付着性の低下等を抑制することができる。
【実施例
【0055】
次に、実施例等を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
【0056】
試験例1
レジスト残渣除去効果確認試験(1)
銅張積層板(日立化成社製MCL-E-67に銅箔GTS-MP35umを積層した基板)上に、ドライフィルム(旭化成社製、UFG-258(SAP用)、25um厚)をラミネートした。フォトマスクを介して露光量60mJ/cmで露光し、露光後、1%炭酸ナトリウム水溶液で25℃、45秒スプレー現像することにより、ライン/スペース(L/S)が、8/8μmのレジストパターンを有する試験片を作製した。
下記表1に記載の成分を水に溶解して調製した除去液を用いて試験片を処理した後、水洗し、ハンドドライヤーで約1分間乾燥した。処理は、0.1MPaで15秒間のスプレー処理とした。処理後、電気銅めっき(JCU社製硫酸銅めっきCU-BRITE VL)を施し、銅パターンを形成した。その後レジストパターンを有機アミン溶液(JCU製レジスト剥離液RS-083)で40℃、1.5分間処理し、レジストパターンを剥離した。エッチング液として、硫酸-過酸化水素溶液(JCU社製フラッシュエッチングSAC)を用い、30℃、2分間フラッシュエッチングを行った。各試験片についてその断面を観察し、アンダーカット(銅パターン裾部のえぐれ)の有無を評価した。結果を表1に併せて示す。また各試験片断面の顕微鏡写真を図1~10に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
以上の結果より、実施例1~8の除去液でレジストパターンを処理することにより、レジストの裾引き部分が除去され、その後形成された銅パターンのアンダーカットの生成が抑制されることが示された。
【0059】
試験例2
レジスト残渣除去効果確認試験(2)
除去液として、下記表2に記載の成分を水に溶解して調製したものを用い、また処理方法を2分間の浸漬処理(除去液中で試験片を揺動)とした以外は試験例1と同様にしてレジスト除去効果確認試験を行った。結果を表2に併せて示す。また各試験片断面の顕微鏡写真を図11~16に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
以上の結果より、実施例9~12の除去液でレジストパターンを処理することにより、レジストの裾引き部分が除去され、その後形成された銅パターンのアンダーカットの生成が抑制されることが示された。
【0062】
試験例3
ドライフィルムとして、日立化成社製RY3625(25um厚)を使用し、ライン/スペース(L/S)を20/20μmとした以外は試験例1と同様にして、実施例1の除去液で処理しアンダーカットの有無を評価した。試験片断面の顕微鏡写真を図17(未処理)及び図18に示す。
【0063】
試験例4
ドライフィルムとして、ニチゴーモートン社製NIT3025U(25um厚)を使用し、ライン/スペース(L/S)を30/30μmとした以外は試験例1と同様にして、実施例1の除去液で処理しアンダーカットの有無を評価した。試験片断面の顕微鏡写真を図19(未処理)及び図20に示す。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のレジスト残渣除去剤は、レジストパターンのレジスト残渣を除去する効果に優れるものであるため、プリント配線板等の製造において有用なものである。
図1
図2
図3
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