(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】出隅用ジョイナ
(51)【国際特許分類】
E04F 19/02 20060101AFI20220330BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
E04F19/02 Q
E04F13/08 101Q
(21)【出願番号】P 2017014327
(22)【出願日】2017-01-30
【審査請求日】2019-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柴田浩之
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-279396(JP,A)
【文献】特開平05-163827(JP,A)
【文献】特開2013-221346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0077922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/02
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式壁材の化粧面部の出隅部をカバーする出隅用ジョイナにおいて、出隅用ジョイナは長尺状の敷目板と短尺状の化粧キャップとからなり、敷目板は水平部と嵌合部とから形成し、水平部は水平面状の固定片を略90度に形成し、嵌合部は水平部のほぼ中央部分を上方に屈曲して形成した2本のガイド片と、両ガイド片の先端を内側方に屈曲し先端を内方に屈曲して断面略U字状の嵌合溝を形成し、嵌合溝内に突出した嵌合爪とから形成した長尺状部材からなり、化粧キャップは水平面状の化粧面部と、化粧面部を略90度に形成し、裏面中央に長手方向に突出した係合部から形成し、係合部は化粧面部の裏面中央に突出可能な位置を45度の適宜間隔で屈曲した立ち上がり部と、立ち上がり部の先端から嵌合時に収ま
る位置において外側方に突出して形成した係合片から形成すると共に、化粧キャップの係合部の根元に立ち上がり部が変形でき
る空間を形成すると共に、化粧面裏面と立ち上がり部間をアール状にしたことを特徴とする出隅用ジョイナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に用いる乾式壁材の長手方向の端部を付き合わせてできる出隅用ジョイナに関するものである。さらに詳しくは、出隅を形成する化粧キャップを敷目板に嵌合する際に、嵌合が確実かつ強固になる出隅用ジョイナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に金属板を表面材とし、合成樹脂発泡体を芯材とし、シート状物を裏面材としたサンドイッチ構造の乾式壁材、あるいは無機系の材料からなる乾式壁材を用いて横張り状に壁体を形成した場合には、乾式壁材の長手方向の突き合わせにより出隅部が形成され、出隅部はL型の出隅材・入隅材を脳天打ちしたり、敷目板と化粧キャップの2部材の嵌合により出隅部を形成する方法がある。(特許文献1~2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-001964号公報
【文献】特開2015-175207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~2は、敷目板と化粧キャップの2部材の嵌合により出隅部を形成する方法である。引用文献1は成形に余裕がなく化粧面となる第1壁部と第2壁部が施工時に変形することにより施工されるものである。また、引用文献2は壁下地に取り付けられたジョイナに目地キャップを嵌合する外壁材の接続部材に関するものであるが、これも化粧面が施工時に変形することにより施工されるものである。このために、各化粧面となる角度を90度に保つことが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために、乾式壁材の化粧面部の出隅部をカバーする出隅用ジョイナにおいて、出隅用ジョイナは長尺状の敷目板と短尺状の化粧キャップとからなり、敷目板は水平部と嵌合部とから形成し、水平部は水平面状の固定片を略90度に形成し、嵌合部は水平部のほぼ中央部分を上方に屈曲して形成した2本のガイド片と、両ガイド片の先端を内側方に屈曲し先端を内方に屈曲して断面略U字状の嵌合溝を形成し、嵌合溝内に突出した嵌合爪とから形成した長尺状部材からなり、化粧キャップは水平面状の化粧面部と、化粧面部を略90度に形成し、裏面中央に長手方向に突出した係合部から形成し、係合部は化粧面部の裏面中央に突出可能な位置を45度の適宜間隔で屈曲した立ち上がり部と、立ち上がり部の先端から嵌合時に収まる位置において外側方に突出して形成した係合片から形成すると共に、化粧キャップの係合部の根元に立ち上がり部が変形できる空間を形成すると共に、化粧面裏面と立ち上がり部間をアール状にした出隅用ジョイナを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明に係る出隅用ジョイナによれば、化粧キャップの係合部の根元に空間を形成すると共に、化粧面裏面と立ち上がり部間をアール状に形成することにより、(1)敷目板に化粧キャップを嵌合する際に、空間内において化粧キャップの立ち上がり部が変形できるために、スムーズな嵌合が可能となる。また、(2)空間内にて変形が可能なために、化粧キャップの変形が防止でき、化粧面部間の角度を化粧キャップ加工時の90度に保つことが可能である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る出隅用ジョイナに使用する敷目板と化粧キャップの一実施例を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る出隅用ジョイナの一実施例を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る出隅用ジョイナに使用する化粧キャップの一実施例を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る出隅用ジョイナに使用する化粧キャップの一実施例を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る出隅用ジョイナに使用する乾式壁材の一実施例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る出隅用ジョイナに使用する化粧キャップのその他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
以下に図面を用いて本発明に係る出隅用ジョイナの代表的な実施例について詳細に説明する。
図1は本発明に係る出隅用ジョイナに使用する敷目板B、化粧キャップを示す断面図、
図2は本発明に係る出隅用ジョイナを示す断面図であり、Aは出隅用ジョイナ、Bは敷目板、Cは化粧キャップ、Dは乾式壁材、αは壁下地、βは固定具である。
【0009】
図3(a)、(b)は化粧キャップを示す斜視図、
図4(a)、(b)は化粧キャップを示す一部切り欠き斜視図、
図5は乾式壁材Dを示す断面図である。
【0010】
出隅用ジョイナAは金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形ものである。
【0011】
敷目板Bは長尺状板材であり、
図1(a)に示すように水平部1と嵌合部4とから形成したものである。さらに詳説すると、水平部1は水平面状の固定片2と、固定片2の先端をはぜ状に屈曲した舌片3とから形成したものである。また、嵌合部4は水平部1のほぼ中央部分を上方に屈曲して形成した2本のガイド片5と、両ガイド片5の先端を内側方に屈曲し先端を内方に屈曲して断面略U字状の嵌合溝6を形成し、嵌合溝6内に突出した嵌合爪7とから形成したものである。この嵌合部4は後記する化粧キャップCの係合部9を係合する部分である。
【0012】
化粧キャップCは乾式壁材Dの化粧面および断面形状によって定めるものであり、
図5に示すような乾式壁材Dを使用して壁体を形成する場合には、
図3(a)、(b)に示すような化粧キャップCとなる。
【0013】
さらに詳説すると、化粧キャップCは乾式壁材Dの化粧面D1と化粧目地D2と同形状に形成した狭い幅の化粧面8aと化粧目地8bよりなる化粧面部8と、化粧面部8の裏面中央に長手方向に突出した係合部9から形成したものであり、化粧面部8は
図1に示すように、乾式壁材Dの端部を被覆し意匠性、防水性を向上する部分である。
【0014】
係合部9は化粧面部8の裏面中央に突出可能な位置を90°で適宜間隔で屈曲した立ち上がり部10と、立ち上がり部10の先端から嵌合時に嵌合溝に収まる位置において外側方に突出して形成した係合片11からなり、係合片11は敷目板Bの嵌合爪7に係合され、化粧キャップCを壁下地αに固定するためのものである。なお、図では成形加工上、化粧面8aの裏面部分にのみ係合部9を形成している。また、12aは固定孔であり、固定具βで化粧キャップCに上端を壁下地αに固定するための部分である。
【0015】
化粧面裏面8aと立ち上がり部10間は図に示すようにアール状に形成することにより空間Kを形成するものである。
【0016】
このように、係合部9の根元に空間Kを形成すると共に、化粧面裏面8aと立ち上がり部10間は図に示すようにアール状に形成することにより、
図1に示すように敷目板Bに化粧キャップCを嵌合する際に、空間K内において化粧キャップCの立ち上がり部10が変形できるために、スムーズな嵌合が可能となるものである。また、空間K内にて変形が可能なために、化粧キャップCの変形が防止でき、化粧面部8間の角度を化粧キャップC加工時の90度に保つことが可能である。
【0017】
防水片12は化粧面部8の上端部分をさらに上方に突出して形成したものであり、乾式壁材D同士の連結溝内に挿入される部分である。
【0018】
目地カバー片13は化粧面部8の下端部分を内方に屈曲して形成したものであり、乾式壁材Dの横目地部分を被覆するものである。
【0019】
化粧キャップCの化粧面部8の断面形状は乾式壁材Dの化粧面部14の断面形状と同一とするものである。
【0020】
乾式壁材Dは
図5に示すように、化粧面D1と化粧目地D2を形成した雄雌嵌合構造の乾式壁材Dであり、金属系サイディング材、窯業系サイディング材、セラミック、等より成形したものである。
【0021】
図6(a)、(b)は、化粧キャップCのその他の実施例を示す斜視図であり、係合部9を連続状で形成したものである。
【符号の説明】
【0022】
A 出隅用ジョイナ
B 敷目板
C 化粧キャップ
D 乾式壁材
D1 化粧面
D2 化粧目地
K 空間
α 壁下地
β 固定具
1 水平部
2 固定片
3 舌片
4 嵌合部
5 ガイド片
6 嵌合溝
7 嵌合爪
8 化粧面部
8a 化粧面
8b 化粧目地
8c 化粧面裏面
9 係合部
10 立ち上がり部
11 係合片
12 防水片
12a 固定孔
13 目地カバー片
14 化粧面部