(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】連結機構、水封トラップ、及び、着脱装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20220330BHJP
E03C 1/28 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03C1/28 B
(21)【出願番号】P 2017185182
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-001907(JP,A)
【文献】特開2015-172415(JP,A)
【文献】実開平02-058070(JP,U)
【文献】特開2013-133680(JP,A)
【文献】特許第5507752(JP,B1)
【文献】特許第2892257(JP,B2)
【文献】特許第6703375(JP,B2)
【文献】特許第4402515(JP,B2)
【文献】特開2005-046309(JP,A)
【文献】特開平2-251764(JP,A)
【文献】特開平2-251756(JP,A)
【文献】特開2009-133121(JP,A)
【文献】特開2006-2892(JP,A)
【文献】特開2014-148804(JP,A)
【文献】特開2015-145563(JP,A)
【文献】特開2004-150038(JP,A)
【文献】特開2015-68056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/298
F16B 3/00、7/00-7/20、21/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有し
、先端側が下方に向けられた被取着体と、
上方に向けられた軸方向一端で開口する中空筒状の取着体とを着脱式に連結するための連結機構であって、
前記取着体の断面視円形状の内周面、及び、前記内周面から径方向内側に突出する突出片を有する取着部と、
前記被取着体の先端で前記取着部を外挿可能な断面視略円形状を有する外周面、前記外周面に凹設された凹溝、及び、前記凹溝よりも前記被取着体の軸方向基端側に位置し、前記取着体の前記被取着体に対する自由落下を阻止し得る圧接力で、前記取着部の内周面に対して径方向に圧接可能に形成された弾性の圧接体を有する被取着部と、を備え、
前記凹溝は、前記被取着部の軸方向先端に開放されて前記突出片を前記凹溝に導入可能な開口端と、前記開口端と対向するように周方向に延在する底壁面との間に形成され、
前記凹溝は、前記開口端から前記底壁面まで延びる第1通路と、前記被取着部の軸方向基端側で前記第1通路に連設され、前記底壁面に沿って周方向に延びる第2通路とからなり、
前記第1通路は、前記開口端を向くように軸方向に対して所定の角度で傾斜するとともに前記開口端から前記底壁面まで延在する傾斜壁面と、前記傾斜壁面に対向する第1対向壁面との間で延在し、
前記第2通路は、前記底壁面と、前記突出片を収容可能な距離で前記底壁面に対向する第2対向壁面との間で延在し、前記第2通路の周方向の一方の端部が前記第1通路側に連通しているとともに前記第2通路の周方向の他方の端部が係止壁面によって定められており、
前記開口端を介して前記突出片が前記第1通路内に導入された状態で前記取着部が前記被取着部の軸方向基端側に相対移動すると、前記突出片が前記取着体の内周面及び前記圧接体が径方向に圧接を開始する第1地点に移動し、前記突出片が第1地点を通過した後、前記圧接体が前記取着部の内周面に
、自由落下を阻止し得る圧接力で径方向に圧着した状態で、前記傾斜壁面によって前記突出片及び前記底壁面が当接する第2地点に前記突出片が案内され、前記突出片が前記第2地点に位置した状態で前記取着部が前記被取着部に対して一方向に回転すると、前記突出片が前記第2通路に進入し、前記突出片が前記係止壁面に係止される第3地点に移動することを特徴とする連結機構。
【請求項2】
前記第2対向壁面には、前記第3地点の前記突出片が前記第1通路側に移動することを抑制するように前記第2通路内に突出する係合突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結機構。
【請求項3】
前記取着部の内周面には、前記圧接体に対して軸方向先端側から当接する当接段部が形成され、前記突出片が前記底壁面に当接するときに前記当接段部が前記圧接体を軸方向に弾性圧縮することを特徴とする請求項1又は2に記載の連結機構。
【請求項4】
前記取着部の内周面の一部には、前記被取着部の外周面と対向し、前記圧接体に圧接する圧接領域が形成され、前記圧接領域に隣接して前記当接段部が設けられており、
前記突出片が前記第3地点に位置するときに、前記当接段部が前記圧接体から軸方向先端側への付勢力を受けることを特徴とする請求項3に記載の連結機構。
【請求項5】
前記第1対向壁面は、前記傾斜壁面と平行に延在していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の連結機構。
【請求項6】
軸方向において、前記底壁面が前記第1対向壁面及び前記第2対向壁面に対向し、前記傾斜壁面のみが前記開口端に臨んでいることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の連結機構。
【請求項7】
前記取着体は、軸方向先端が閉塞されたキャップ体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の連結機構。
【請求項8】
前記取着体は、貯水空間と、前記貯水空間の底部を構成する底壁を有する水受け用のキャップ体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の連結機構。
【請求項9】
軸方向先端で開口して軸方向に延びる外筒と、軸方向両端で開口し、前記外筒に内挿されて軸方向に延びるとともに前記外筒の基端から延び出る内筒とを有する被取着体と、
軸方向一端で開口する筒壁と、前記被取着体と協働して形成する貯水空間の底部を構成する底壁とを有する中空筒状の取着体と、
前記被取着体と前記取着体とを着脱式に連結するための請求項1から8のいずれか一項に記載の連結機構と、を備え、
前記外筒の基端と前記内筒の外周との間が連結壁によって閉塞され、前記内筒の先端から後退した位置で前記外筒と連通する排水口接続部が形成されていることを特徴とする水封トラップ。
【請求項10】
軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有する被取着体と、
前記被取着体の先端に外挿されて嵌着される中空筒状の取着体と、
前記被取着体と前記取着体とを着脱式に連結するための請求項1から8のいずれか一項に記載の連結機構と、を備えることを特徴とする着脱装置。
【請求項11】
軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有
し、先端側が下方に向けられた被取着体と、
上方に向けられた軸方向一端で開口する中空筒状の取着体とを着脱式に連結するための連結機構であって、
前記取着体の断面視円形状の内周面、及び、前記内周面に凹設された凹溝を有する取着部と、
前記被取着体の先端で前記取着部を外挿可能な断面視略円形状を有する外周面、前記外周面から径方向外側に突出する突出片、及び、前記突出片よりも前記被取着体の軸方向基端側に位置し、前記取着体の前記被取着体に対する自由落下を阻止し得る圧接力で、前記取着部の内周面に対して径方向に圧接可能に形成された弾性の圧接体を有する被取着部と、を備え、
前記凹溝は、前記取着部の軸方向一端に開放されて前記突出片を前記凹溝に導入可能な開口端と、前記開口端と対向するように周方向に沿って延在する底壁面との間に形成され、
前記凹溝は、前記開口端から前記底壁面まで延びる第1通路と、前記取着部の軸方向他端側で前記第1通路に連設され、前記底壁面に沿って周方向に延びる第2通路とからなり、
前記第1通路は、前記開口端を向くように軸方向に対して所定の角度で傾斜するとともに前記開口端から前記底壁面まで延在する傾斜壁面と、前記傾斜壁面に対向する第1対向壁面との間で延在し、
前記第2通路は、前記底壁面と、前記突出片を収容可能な距離で前記底壁面に対向する第2対向壁面との間で延在し、前記第2通路の周方向の一方の端部が前記第1通路に連通しているとともに前記第2通路の周方向の他方の端部が係止壁面によって定められており、
前記開口端を介して前記突出片が前記第1通路内に導入された状態で前記取着部が前記被取着部の軸方向基端側に相対移動すると、前記突出片が前記取着体の内周面及び前記圧接体が径方向に圧接を開始する第1地点に移動し、前記突出片が第1地点を通過した後、前記圧接体が前記取着部の内周面に
、自由落下を阻止し得る圧接力で径方向に圧着した状態で、前記傾斜壁面によって前記突出片及び前記底壁面が当接する第2地点に前記突出片が案内され、前記突出片が前記第2地点に位置した状態で前記取着部が前記被取着部に対して一方向に回転すると、前記突出片が前記第2通路に進入し、前記突出片が前記係止壁面に係止される第3地点に移動することを特徴とする連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取着体と被取着体とを連結するための連結機構、該連結機構を備える水封トラップ、及び、取着体と被取着体と連結機構とを備える着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取着体と被取着体とを連結する機構が種々の用途に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、水槽の排水口を排水管に接続する排水設備における排水トラップを開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。排水トラップ(4)は、水槽(1)と既設の排水管(18)との間で、水槽(1)で使用された水を排水管(18)に向けて排水処理を行うとともに、下水で発生する塩化水素等の悪臭ガスや鼠等の衛生害獣の屋内への侵入を阻止するために設けられている。この排水トラップ(4)は、排水口(3)に対して上方から挿入される入口管(5)と、排水口(3)に対して上方から挿入された入口管(5)に下方から螺着される連絡用ナット(6)と、連絡用ナット(6)に下方から取り付けられるトラップ本体(7)と、から主に構成されている。トラップ本体(7)は、上方に向けて開口するとともに、底部が取り外し可能なドレンキャップ(7a)によって閉塞された有底筒状に形成されている。トラップ本体(7)内に流入した水は、第1流路(16)と第2流路(17)とで出口(7c)の下端部の高さ位置までの水位となるまでトラップ本体(7)内に貯えられて封水(19)となり、この封水(19)の上方には空気層(20)が形成される。そして、トラップ本体(7)内に水が流入し続けて封水(19)の水位が上昇することで、上昇した水位分の封水(19)が出口(7c)から排水管(18)に向けて排水されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の排水トラップでは、取着体としてドレンキャップが、被取着体であるトラップ本体に取着されている。ドレンキャップには、ゴミなどが溜まり易く、ドレンキャップが排水トラップから外されて掃除等のメンテナンスが行われる。そして、メンテナンスの後、ドレンキャップが再度トラップ本体に取着される。一般に、ドレンキャップとトラップ部材との連結機構には、封水及び抜け止め状態の連結を確保するために螺子による螺着構造が採用される。それ故、メンテナンスの際、ユーザはドレンキャップをトラップ本体の下端開口に対して、何周も回転させることによって、ドレンキャップとトラップ本体との脱着を行う。そして、トラップ本体は、ユーザの目の届かない狭い空間に配置されていることが多い。狭い空間では、ユーザが手探りでドレンキャップをトラップ本体に対して着脱しなければならず、且つ、限られた空間内で手を自由に動かすことができないことから、従来の螺着式の連結機構では、ドレンキャップを何周も回転させる螺着及び螺脱作業が困難となることが課題である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、取着体を被取着体に対して簡単な作業で着脱することを可能とする連結機構、該連結機構を備えた水封トラップ、及び、該連結機構による着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の連結機構は、軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有し、先端側が下方に向けられた被取着体と、上方に向けられた軸方向一端で開口する中空筒状の取着体とを着脱式に連結するための連結機構であって、
前記取着体の断面視円形状の内周面、及び、前記内周面から径方向内側に突出する突出片を有する取着部と、
前記被取着体の先端で前記取着部を外挿可能な断面視略円形状を有する外周面、前記外周面に凹設された凹溝、及び、前記凹溝よりも前記被取着体の軸方向基端側に位置し、前記取着体の前記被取着体に対する自由落下を阻止し得る圧接力で、前記取着部の内周面に対して径方向に圧接可能に形成された弾性の圧接体を有する被取着部と、を備え、
前記凹溝は、前記被取着部の軸方向先端に開放されて前記突出片を前記凹溝に導入可能な開口端と、前記開口端と対向するように周方向に延在する底壁面との間に形成され、
前記凹溝は、前記開口端から前記底壁面まで延びる第1通路と、前記被取着部の軸方向基端側で前記第1通路に連設され、前記底壁面に沿って周方向に延びる第2通路とからなり、
前記第1通路は、前記開口端を向くように軸方向に対して所定の角度で傾斜するとともに前記開口端から前記底壁面まで延在する傾斜壁面と、前記傾斜壁面に対向する第1対向壁面との間で延在し、
前記第2通路は、前記底壁面と、前記突出片を収容可能な距離で前記底壁面に対向する第2対向壁面との間で延在し、前記第2通路の周方向の一方の端部が前記第1通路側に連通しているとともに前記第2通路の周方向の他方の端部が係止壁面によって定められており、
前記開口端を介して前記突出片が前記第1通路内に導入された状態で前記取着部が前記被取着部の軸方向基端側に相対移動すると、前記突出片が前記取着体の内周面及び前記圧接体が径方向に圧接を開始する第1地点に移動し、前記突出片が第1地点を通過した後、前記圧接体が前記取着部の内周面に、自由落下を阻止し得る圧接力で径方向に圧着した状態で、前記傾斜壁面によって前記突出片及び前記底壁面が当接する第2地点に前記突出片が案内され、前記突出片が前記第2地点に位置した状態で前記取着部が前記被取着部に対して一方向に回転すると、前記突出片が前記第2通路に進入し、前記突出片が前記係止壁面に係止される第3地点に移動することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の連結機構は、請求項1に記載の連結機構において、前記第2対向壁面には、前記第3地点の前記突出片が前記第1通路側に移動することを抑制するように前記第2通路内に突出する係合突起が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の連結機構は、請求項1又は2に記載の連結機構において、前記取着部の内周面には、前記圧接体に対して軸方向先端側から当接する当接段部が形成され、前記突出片が前記底壁面に当接するときに前記当接段部が前記圧接体を軸方向に弾性圧縮することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の連結機構は、請求項3に記載の連結機構において、前記取着部の内周面の一部には、前記被取着部の外周面と対向し、前記圧接体に圧接する圧接領域が形成され、前記圧接領域に隣接して前記当接段部が設けられており、前記突出片が前記第3地点に位置するときに、前記当接段部が前記圧接体から軸方向先端側への付勢力を受けることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の連結機構は、請求項1から4のいずれか一項に記載の連結機構において、前記第1対向壁面は、前記傾斜壁面と平行に延在していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の連結機構は、請求項1から5のいずれか一項に記載の連結機構において、軸方向において、前記底壁面が前記第1対向壁面及び前記第2対向壁面に対向し、前記傾斜壁面のみが前記開口端に臨んでいることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の連結機構は、請求項1から6のいずれか一項に記載の連結機構において、前記取着体は、軸方向先端が閉塞されたキャップ体であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の連結機構は、請求項1から6のいずれか一項に記載の連結機構において、前記取着体は、前記被取着体と協働して形成する貯水空間の底部を構成する底壁を有する水受け用のキャップ体であることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の水封トラップは、軸方向先端で開口して軸方向に延びる外筒と、軸方向両端で開口し、前記外筒に内挿されて軸方向に延びるとともに前記外筒の基端から延び出る内筒とを有する被取着体と、
軸方向一端で開口する筒壁と、前記被取着体と協働して形成する貯水空間の底部を構成する底壁とを有する中空筒状の取着体と、
前記被取着体と前記取着体とを着脱式に連結するための請求項1から8のいずれか一項に記載の連結機構と、を備え
前記外筒の基端と前記内筒の外周との間が連結壁によって閉塞され、前記内筒の先端から後退した位置で前記外筒と連通する排水口接続部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の着脱装置は、軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有する被取着体と、
前記被取着体の先端に外挿されて嵌着される中空筒状の取着体と、
前記被取着体と前記取着体とを着脱式に連結するための請求項1から8のいずれか一項に記載の連結機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の連結機構は、軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有し、先端側が下方に向けられた被取着体と、上方に向けられた軸方向一端で開口する中空筒状の取着体とを着脱式に連結するための連結機構であって、
前記取着体の断面視円形状の内周面、及び、前記内周面に凹設された凹溝を有する取着部と、
前記被取着体の先端で前記取着部を外挿可能な断面視略円形状を有する外周面、前記外周面から径方向外側に突出する突出片、及び、前記突出片よりも前記被取着体の軸方向基端側に位置し、前記取着体の前記被取着体に対する自由落下を阻止し得る圧接力で、前記取着部の内周面に対して径方向に圧接可能に形成された弾性の圧接体を有する被取着部と、を備え、
前記凹溝は、前記取着部の軸方向一端に開放されて前記突出片を前記凹溝に導入可能な開口端と、前記開口端と対向するように周方向に沿って延在する底壁面との間に形成され、
前記凹溝は、前記開口端から前記底壁面まで延びる第1通路と、前記取着部の軸方向他端側で前記第1通路に連設され、前記底壁面に沿って周方向に延びる第2通路とからなり、
前記第1通路は、前記開口端を向くように軸方向に対して所定の角度で傾斜するとともに前記開口端から前記底壁面まで延在する傾斜壁面と、前記傾斜壁面に対向する第1対向壁面との間で延在し、
前記第2通路は、前記底壁面と、前記突出片を収容可能な距離で前記底壁面に対向する第2対向壁面との間で延在し、前記第2通路の周方向の一方の端部が前記第1通路に連通しているとともに前記第2通路の周方向の他方の端部が係止壁面によって定められており、
前記開口端を介して前記突出片が前記第1通路内に導入された状態で前記取着部が前記被取着部の軸方向基端側に相対移動すると、前記突出片が前記取着体の内周面及び前記圧接体が径方向に圧接を開始する第1地点に移動し、前記突出片が第1地点を通過した後、前記圧接体が前記取着部の内周面に、自由落下を阻止し得る圧接力で径方向に圧着した状態で、前記傾斜壁面によって前記突出片及び前記底壁面が当接する第2地点に前記突出片が案内され、前記突出片が前記第2地点に位置した状態で前記取着部が前記被取着部に対して一方向に回転すると、前記突出片が前記第2通路に進入し、前記突出片が前記係止壁面に係止される第3地点に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の連結機構によれば、被取着体の外周面に凹設された凹溝と、取着体の内周面に凸設された突出片との関係によって取着体と被取着体との着脱が容易となる。具体的には、被取着体に取着体を取着する際、取着部を被取着部に対して軸方向基端側に移動させるように取着体を被取着体に対して軸方向に押し込むと、突出片が凹溝の開口端を介してその第1通路に導入される。開口端を介して突出片が第1通路内に導入された状態で、さらに取着体を被取着体に対して軸方向に押し込むと、突出片が取着体の内周面及び圧接体が圧接を開始する第1地点に移動する。突出片が第1地点を通過した後、さらに取着体を被取着体に対して軸方向に押し込むと、圧接体によって取着体が被取着体に保持された状態で突出片が底壁面に当接する第2地点まで移動する。このとき、傾斜壁面が突出片を第2位置まで案内する。すなわち、取着体の内周面及び圧接体の圧接が開始するのは、突出片が開口端から第1通路に配置された後であり、且つ、第2通路に移動可能となる第2位置に到達する前である。そして、突出片が第1地点と第2地点との間に位置するとき、取着体内周面と圧接体との間の圧接力によって取着体の被取着体に対する自由移動(例えば、自由落下)が阻止される。そのため、ユーザが取着体から手を離しても、取着体がその場に維持され得る。そして、突出片が第2地点に位置した状態で、取着部を被取着部に対して一方向に回転させると、突出片が第1通路から第2通路に進入し、突出片が係止壁面に係止される第3地点に移動する。突出片が第3地点に位置した状態では、突出片が凹溝の底壁面と第2対向壁面との間に配置されていることから、突出片の軸方向先端側の移動が規制され、その結果、取着体の被取着体に対する軸方向に沿った離脱が防止される。圧接体による圧着力と協働して、取着体は被取着体に対して不意に離脱しないように取着される。すなわち、取着体を被取着体に対して軸方向に押し込む操作の後、取着体を被取着体に対して1周未満で回転させる操作を行うことによって取着体を被取着体に容易に取着することができる。他方、取着体を被取着体から離脱させる際には、取着体を被取着体に対して1周未満で回転させる操作の後、取着体を被取着体に対して軸方向に引き抜く操作を行うことによって取着体を被取着体から容易に取り外すことができる。したがって、本発明の連結機構は、取着体と被取着体とを着脱容易に連結するものである。
【0019】
請求項2に記載の連結機構によれば、請求項1の発明の効果に加えて、第2対向壁面から第2通路内に突出した係合突起が設けられていることにより、係合突起が突出片の意図しない移動を妨げ、取着状態にある取着体が不意に被取着体に対して離脱方向に回転することが抑えられる。
【0020】
請求項3に記載の連結機構によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、突出片が底壁面に当接するときに当接段部が圧接体を軸方向に弾性圧縮することにより、第2位置及び第3位置にある突出片が軸方向先端側に付勢されて第2対向壁面側に押し付けられ、取着状態にある取着体が不意に被取着体に対して離脱方向に回転することが抑えられる。
【0021】
請求項4に記載の連結機構によれば、請求項3の発明の効果に加えて、圧接体と圧接領域との間の圧接力と、当接段部への圧接体からの軸方向先端側の付勢力とが協働して、取着状態にある取着体が不意に被取着体に対して離脱方向に回転することが抑えられる。
【0022】
請求項5に記載の連結機構によれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加えて、第1対向壁面は、前記傾斜壁面と平行に延在していることにより、取着体を被取着体から取り外す際、第1対向壁面が傾斜壁面と同様に突出片をガイドするように機能する。あるいは、突出片が第1通路に導入された後、取着体に軸方向の押圧力の代わりに回転力が付与された場合であっても、第1対向壁面が傾斜壁面と平行に延在していることにより、周方向に移動する突出片が第1対向壁面に当接し、第1対向壁面によって突出片を第2地点まで案内することが可能である。
【0023】
請求項6に記載の連結機構によれば、請求項1から5のいずれかの発明の効果に加えて、底壁面が開口端を介して外部に臨んでいないことから、第2地点近傍の突出片が開口端から簡単に抜け出ることが抑えられる。
【0024】
請求項7に記載の連結機構によれば、請求項1から6のいずれかの発明の効果に加えて、取着体をキャップ体として機能させることができる。
【0025】
請求項8に記載の連結機構によれば、請求項1から6のいずれかの発明の効果に加えて、取着体を水受け用のキャップ体として機能させることができる。
【0026】
請求項9に記載の連結機構によれば、請求項1から8のいずれかの発明の効果を水封トラップとして発揮することができる。
【0027】
請求項10に記載の取着体によれば、請求項1から8のいずれかの発明の効果を着脱装置として発揮することができる。
【0028】
請求項11に記載の連結機構によれば、被取着体の外周面に凹設された凹溝と、取着体の内周面に凸設された突出片との関係によって取着体と被取着体との着脱が容易となる。具体的には、被取着体に取着体を取着する際、取着部を被取着部に対して軸方向基端側に移動させるように取着体を被取着体に対して軸方向に押し込むと、突出片が凹溝の開口端を介してその第1通路に導入される。開口端を介して突出片が第1通路内に導入された状態で、さらに取着体を被取着体に対して軸方向に押し込むと、取着体の内周面及び圧接体が圧接を開始する第1地点に突出片が移動する。突出片が第1地点を通過した後、さらに取着体を被取着体に対して軸方向に押し込むと、圧接体によって取着体が被取着体に保持された状態で突出片が底壁面に当接する第2地点まで移動する。このとき、傾斜壁面が突出片を第2位置まで案内する。すなわち、取着体の内周面及び圧接体の圧接が開始するのは、突出片が開口端から第1通路に配置された後であり、且つ、第2通路に移動可能となる第2位置に到達する前である。そして、突出片が第1地点と第2地点との間に位置するとき、取着体内周面と圧接体との間の圧接力によって取着体の被取着体に対する自由移動(例えば、自由落下)が阻止される。そのため、ユーザが取着体から手を離しても、取着体がその場に維持され得る。そして、突出片が第2地点に位置した状態で、取着部を被取着部に対して一方向に回転させると、突出片が第1通路から第2通路に進入し、突出片が係止壁面に係止される第3地点に移動する。突出片が第3地点に位置した状態では、突出片が凹溝の底壁面と第2対向壁面との間に配置されていることから、突出片の軸方向先端側の移動が規制され、その結果、取着体の被取着体に対する軸方向に沿った離脱が防止される。圧接体による圧着力と協働して、取着体は被取着体に対して不意に離脱しないように取着される。すなわち、取着体を被取着体に対して軸方向に押し込む操作の後、取着体を被取着体に対して1周未満で回転させる操作を行うことによって取着体を被取着体に容易に取着することができる。他方、取着体を被取着体から離脱させる際には、取着体を被取着体に対して1周未満で回転させる操作の後、取着体を被取着体に対して軸方向に引き抜く操作を行うことによって取着体を被取着体から容易に取り外すことができる。したがって、本発明の連結機構は、取着体と被取着体とを着脱容易に連結するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態の水封トラップの(a)上方からの斜視図、(b)下方からの斜視図。
【
図2】
図1の水封トラップの(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図及び(d)側面図。
【
図3】
図2の水封トラップの(a)A-A断面図、及び(b)B-B断面図。
【
図5】
図1の水封トラップのトラップ本体の(a)上方からの斜視図、(b)下方からの斜視図。
【
図6】
図5のトラップ本体の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図及び(d)側面図。
【
図7】
図6のトラップ本体の(a)C-C断面図、及び(b)D-D断面図。
【
図8】
図1のトラップ本体の凹溝を示す部分拡大正面図。
【
図9】
図1の水封トラップのキャップ体の(a)上方からの斜視図、(b)下方からの斜視図。
【
図10】
図9のキャップ体の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図及び(d)側面図。
【
図11】
図10のトラップ本体の(a)E-E断面図、及び(b)F-F断面図。
【
図12】本発明に係る一実施形態の連結機構において、取着体を被取着体に取着する際の各工程を示す模式図。
【
図13】本発明に係る一実施形態の連結機構において、取着体を被取着体から取り外す際の各工程を示す模式図。
【
図14】
図12,13の各工程におけるパッキンの形態を示す模式図。
【
図15】本発明の一実施形態の水封トラップを備えた配設構造を示す模式図。
【
図16】本発明の連結機構に係る一実施形態の変形例を示す図。
【
図17】本発明の着脱装置に係る一実施形態の変形例を示す図。
【
図18】本発明の別実施形態の連結機構及び着脱装置を示す模式図。
【
図19】
図18の連結機構及び着脱装置において、取着体を被取着体に取り付けた形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0031】
本発明の「連結機構」を備える「着脱装置」の実施形態として、水封トラップ100について説明する。水封トラップ100は、一般的に、建築物に設置された台所の流し台、浴槽、トイレ、給湯器等の機器の排水口に接続されるとともに、機器からの排水を排水系に排水するように排水系上流に開口した排水管に接続される。水封トラップ100は、内部に排水を溜めるように構成され、この溜められた残留排水が排水管を塞いで排水管下流から漂う悪臭が室内へ漏れ出ないようにするように機能する。なお、本実施形態は、本発明の一例にすぎず、その用途、構成を限定するものではないことは言うまでもない。以下、図面に沿って、本発明の一実施形態として水封トラップ100の構成を説明する。
【0032】
図1(a),(b)は、本発明の一実施形態の水封トラップ100の斜視図である。
図2(a)~(d)は、該水封トラップ100の平面図、正面図、底面図及び側面図である。
図3(a),(b)は、該水封トラップ100のA-A縦断面図及びB-B横断面図である。
図4は、該水封トラップ100の分解斜視図である。
【0033】
図1乃至
図4に示すとおり、水封トラップ100は、被取着体としてのトラップ本体101と、該トラップ本体101に着脱式に取着される取着体としての水受け用のキャップ体120とを備える。本実施形態において、説明の便宜上、水封トラップ100の機器側(
図2(a)の上側)の端部を基端とし、その反対側(
図2(b)の下側)の端部を先端と定める。
図3に示すように、キャップ体120がトラップ本体101の先端部位に外挿されて嵌着され、トラップ本体101の先端部位を閉塞している。そして、本発明の連結機構によって、キャップ体120がトラップ本体101に容易に抜け落ちないように保持されるとともに、キャップ体120がトラップ本体101から容易に分離可能である。以下、水封トラップ100の各構成部材について説明する。
【0034】
図5乃至
図8を参照して、被取着体であるトラップ本体101について説明する。
図5(a),(b)は、トラップ本体101の斜視図である。
図6(a)~(d)は、該トラップ本体101の平面図、正面図、底面図及び側面図である。
図7(a),(b)は、トラップ本体101のC-C縦断面図及びD-D横断面図である。
図8は、トラップ本体101の凹溝113の拡大図である。
【0035】
トラップ本体101は、軸方向先端(下端)で開口して軸方向に沿って延びる中空筒状の外筒102と、軸方向両端で開口し、該外筒102に内挿されて軸方向に沿って延びるとともに外筒102の基端(上端)から延び出る(外筒102よりも小径の)内筒103と、該外筒102の先端から軸方向に沿って延びる円柱又は円筒状の先端形状として形成された被取着部111とを備える。外筒102及び被取着部111の外径はほぼ等しい。そして、外筒102と被取着部111との間には、拡径したフランジ106が形成されている。該フランジ106の下面は、被取着部111に外挿されるキャップ体102の端面を受けるように構成されている。
【0036】
内筒103は、基端で水封トラップ100の上流に位置する機器の排水口に接続され、機器からの排水をトラップ本体101内部に導入するように構成されている。また、内筒103の先端は、外筒102の先端近傍まで延びてトラップ本体101の先端から後退又は離隔して位置している。そして、外筒102の基端と内筒103の外周面との間が連結壁105によって閉塞されている。
図7(a)に示すように、トラップ本体101の内部には、キャップ体120と協働して貯水空間108が形成される。そして、内筒102の先端から後退した位置で外筒102と連通する排水側接続部104が形成されている。該排水側接続部104は、外筒102の基端近傍に形成され、貯水空間108と連通している。貯水空間108が残留排水で満たされることにより、排水側接続部104から臭気が逆流することが防止される。
【0037】
被取着部111は、軸方向に略一様な断面視略円形状を有する外周面112、該外周面112から径方向内側に凹設された凹溝113、及び、該凹溝113よりも軸方向の基端側に配置された弾性のパッキン(圧接体)118を備える。
【0038】
凹溝113は、キャップ体120の突出片125を受け入れるように外周面112の所定の領域に形成されている。つまり、凹溝113は突出片125を収容可能な深さを有している。本実施形態では、被取着部111の軸方向先端側において、4つの凹溝113が周方向に等間隔で形成されている。
【0039】
図8に示すように、凹溝113は、被取着部111の軸方向先端に開放されて突出片125を凹溝113に導入可能な開口端1131と、該開口端1131と対向するように被取着部111の軸方向基端側に形成され、周方向に沿って延在する底壁面1132との間に形成されている。凹溝113は、開口端1131から底壁面1132まで所定の幅で直線的に延びる第1通路114と、被取着部111の軸方向基端側で第1通路114に連設され、底壁面1132に沿って直線的に延びる細幅の第2通路115とからなる。第1通路114及び第2通路115は互いに屈折して連設されている。つまり、凹溝113は、被取着部111の外周面112で「く」字状に屈折した領域である。
【0040】
第1通路114は、開口端1131を向くように軸方向に対して所定の角度で傾斜するとともに開口端1131から底壁面1132まで延在する傾斜壁面1133と、傾斜壁面1133に対向する第1対向壁面1134との間で延在する領域である。傾斜壁面1133及び第1対向壁面1134は直線的に互いに平行に延在している。第1通路114の幅(傾斜壁面1133及び第1対向壁面1134の距離)は、少なくとも突出片125の幅よりも大きく定められている。なお、本実施形態では、傾斜壁面1133は、筒軸に対して約50度の傾斜角で延在している。傾斜壁面1133が突出片125を第2通路115の入り口(一方の端部)まで周方向側に効果的に案内すべく、傾斜角は30度から70度の範囲であることが好ましい。しかしながら、本発明の傾斜壁面の傾斜角は上記範囲に限定されない。
【0041】
第2通路115は、第1通路114に隣接して、底壁面1132と、該底壁面1132に対向する第2対向壁面1135との間で延在している領域である。
図8では、第1通路114と第2通路115との境界が点線で示されている。第2対向壁面1135は、第1対向壁面1134に対して周方向に隣接し、周方向に沿って延在している。つまり、底壁面1132及び第2対向壁面1135は直線的に互いに平行に延在している。第2通路115の幅(底壁面1132及び第2対向壁面1135の距離)は、第1通路114の幅よりも小さく、且つ、突出片125の幅よりも僅かに大きくなるように定められている。また、第2通路115の周方向の一方(開口端側)の端部が第1通路114側に開放されている。他方、第2通路115の周方向の他方(深部側)の端部が係止壁面1136によって閉塞されている。すなわち、第2通路115は、底壁面1132、第2対向壁面1135、係止壁面1136、及び、第1通路114と第2通路115との境界によって区画された周方向に延びる細幅の領域である。
【0042】
底壁面1132は、軸方向において、第1対向壁面1134及び第2対向壁面1135に対向し、開口端1131には対向していない。他方、傾斜壁面1133は、軸方向において、第1対向壁面1134及び開口端1131に対向し、第2対向壁面1132には対向していない。すなわち、傾斜壁面1131のみが開口端1131に臨んでいる。当該構成により、開口端1131の周方向の任意の位置から突出片125が第1通路114に導入されたとしても、軸方向に沿って進む突出片125が底壁面1132に当接するよりも先に傾斜壁面1133に当接することが可能となる。
【0043】
第2対向壁面1135の周方向の他方の端部近傍には、第2通路115内に突出する係合突起116が形成されている。係合突起116先端と底壁面1132との間の距離は、突出片125の軸方向の幅とほぼ等しい。また、係合突起116外面と係止壁面1136との間隔は、突出片125の周方向の幅とほぼ等しい。係合突起116は、底壁面1132から連続的に凸曲面状に隆起している。後述するとおり、係合突起116は、突出片125が周方向に沿って係止壁面1136側に移動することを許容する一方で、取着状態において突出片125を係止して該突出片125が周方向に沿って第1通路114側に移動することを抑制するように働く。
【0044】
凹溝113の第1通路114及び第2通路115の周方向の合計長さは、外周面112における中心角約90度の円弧長とほぼ等しい。また、底壁面1132の周方向の長さは、外周面112における中心角約45度の円弧長とほぼ等しい。凹溝113及び底壁面1132の周方向の長さが、キャップ体120(取着部123)のトラップ本体101(被取着部111)に対する、着脱に必要な回転量を左右する。
【0045】
パッキン118は、ゴム等の弾性材料からなる環状体であり、外周面112に形成された環状の細溝に収容されている。パッキン118の外周面が外周面112よりも径方向外側に所定の高さで突出している。パッキン118は、キャップ体120の筒壁121の内周面124に圧接可能に形成されている。本実施形態では、パッキン118は、排水側接続部104の基端近傍で外周面112に装着されている。
【0046】
次に、
図9乃至
図11を参照して、取着体であるキャップ体120について説明する。
図9(a),(b)は、キャップ体120の斜視図である。
図10(a)~(d)は、該キャップ体120の平面図、正面図、底面図及び側面図である。
図11(a),(b)は、キャップ体120のE-E縦断面図及びF-F横断面図である。
【0047】
キャップ体120は、軸方向一端が開放された筒壁121、及び、該筒壁121の軸方向他端を閉塞する底壁122とからなる中空の円筒体である。キャップ体120の筒壁121内面には、上述した被取着部111に対応する取着部123が設けられている。取着部123は、取着体120の断面視円形状の内周面124、及び、該内周面124から径方向内側に突出する突出片125を有する。また、キャップ体101の内周面124の径は、被取着部111の外周面112の径に対応するように定められる。具体的には、キャップ体101の内周面124の内径は、被取着部111の外周面112の外径よりも僅かに大きく、且つ、パッキン118の外径よりも小さくなるように定められている。これにより、キャップ体101の内周面124が被取着部111の外周面112に対して軸方向に移動又は摺動可能である。
【0048】
本実施形態では、突出片125は、径方向に対向する位置に2つ形成されている。突出片125は、円柱状の小突起であり、上述した凹溝113内に進入可能な高さ及び幅(径)を有している。突出片125の内周面124における軸方向の位置は、キャップ体120をトラップ本体101に取着したときに、突出片125が凹溝113の第2通路115に収容されるように定められている。本実施形態では、突出片125はキャップ体120の軸方向の略中央近傍に形成されている。また、各突出片125の周方向位置は、各突出片125が対応する各凹溝113に同時に進入し、各凹溝113内で同じ相対位置に配置されるように定められている。
【0049】
また、内周面124の一端(開口側端部)近傍の領域の内径が、他端側(底壁122側)の内径よりも相対的に拡径し、その拡径した部位に圧接領域126が形成されている。この圧接領域126に隣接して当接段部127が形成されている。換言すると、当接段部127は、内径において相対的に拡径した部位と他の部位との間の境界に形成された環状の段差である。圧接領域126の内径は、被取着部111の外周面112の外径よりも僅かに大きく、且つ、パッキン118の外径よりも小さくなるように定められている。これにより、圧接領域126が被取着部111の外周面112に対して軸方向に移動可能であるとともに、圧接領域126がパッキン118に対して径方向に圧接可能である。当該パッキン118の圧接領域126への圧接力によって、キャップ体120がトラップ本体101に対して仮保持され得る。さらに、当接段部127は、パッキン118に対して被取着部111の軸方向先端側から(下側から上方へと)当接するように圧接領域126から張り出している。後述するように、キャップ体120がトラップ本体101に取着されたときに、当接段部127がパッキン118を軸方向に弾性圧縮し、パッキン118の弾性復帰力によってキャップ体120が軸方向先端側(下方)に付勢される。換言すると、圧接領域126及び当接段部127の軸方向の位置は、パッキン118の位置に従って定められている。
【0050】
続いて、取着体であるキャップ体120を被取着体であるトラップ本体101に着脱式に連結するための連結機構について説明する。
図12は、本実施形態の連結機構により、キャップ体120をトラップ本体101に取着する機構を説明する模式図である。
図13は、本実施形態の連結機構により、キャップ体120をトラップ本体101から取り外す機構を説明する模式図である。
図14は、
図12及び
図13の一工程におけるパッキン118と当接段部127との関係を示す模式図である。
【0051】
連結機構は、トラップ本体101の被取着部111とキャップ本体120の取着部から構成される装置又は概念である。
図3(a),(b)に示すとおり、被取着部111がキャップ体120に完全に取着された状態では、パッキン118がキャップ体120の内周面124の圧接領域126に圧接するとともに、キャップ体120の突出片125が凹溝113に配置されている。この取着状態では、突出片125が凹溝113の開口端1131から離隔した深部に配置されることにより、キャップ体120がトラップ本体101に対して軸方向に沿って分離しないようにロックされている。以下、
図12,
図13を参照して、凹溝113及び突出片125との関係によって構成される連結機構の着脱形態を詳細に説明する。
【0052】
キャップ体120をトラップ本体101に取り付けるには、キャップ体120をトラップ本体101に被せるように軸方向に沿って近接移動させた上で、キャップ体120をトラップ本体101に対して一方向に一周未満の回転角度で回転させればよい。
【0053】
詳細には、
図12(a)に示すように、キャップ体120の取着部123がトラップ本体101の被取着部111に近接するように軸方向に沿って移動する。そして、凹溝113の開口端1131を介して突出片125が凹溝113の第1通路114内に導入される(
図12(b)参照)。開口端1131を介して突出片125が第1通路114内に導入された状態で取着部123が被取着部111に対して、被取着部111の軸方向基端側に移動すると、突出片125が突出片125が傾斜壁面1133に当接し、突出片125が傾斜壁面1133に沿って凹溝113の深部に移動する。そして、突出片125が凹溝113内で、取着体123の内周面124(圧接領域126)及びパッキン118が圧接を開始する第1地点に移動する(
図12(c)、
図14(a)参照)。換言すると、突出片125が傾斜壁面1133に当接し、突出片125が傾斜壁面1133に沿って案内され、軸方向への押圧力が、傾斜壁面1133によって回転方向に変換されてキャップ体120が回転しながら、凹溝113の深部の第1地点に移動する。つまり、軸方向の押圧力が回転力へと変換されることから、ユーザがキャップ体120に回転力を付与することなく、突出片125をより深部の第1位置へと効果的に移動させることができる。なお、パッキン118及び圧接領域126が圧接している状態で、キャップ体120から手を離したとしても、キャップ体120がトラップ本体101に仮保持されて自由落下することが防止される。また、突出片125が通過する開口端1131の周方向の位置に応じて、突出片125が傾斜壁面1133に当接するよりも先に第1地点に到達するように構成されてよい。
【0054】
そして、突出片125が第1地点を通過した後、パッキン118が取着部123の内周面124に圧着した状態で、突出片125が傾斜壁面1133上を摺動して底壁面1132に当接する(
図12(d)参照)。突出片125及び底壁面1132が当接する地点が第2地点として定められる。このとき、被取着部111の先端面がキャップ体120の底壁122に当接又はごく近接し、キャップ体120の筒壁121の開口端面がトラップ本体101のフランジ106に当接又はごく近接している。同時に、キャップ体120の当接段部127がパッキン118に軸方向先端側に圧接し、パッキン118が軸方向基端側に弾性変形している(
図14(b)参照)。つまり、キャップ体120の内周面124及びパッキン118の圧接が開始するのは、突出片125が開口端1131から第1通路114に配置された後であり、且つ、第2通路115に移動可能となる第2位置に到達する前である。そして、この間、キャップ体120の自由落下が防止されている。また、第2地点では、突出片125が軸方向において開口端1131に臨んでいないので、キャップ体120及びトラップ本体101の仮保持が効果的に維持されている。
【0055】
すなわち、傾斜壁面1133は、取着部123の内周面124(圧接領域126)及びパッキン118が圧接を開始する第1地点に突出片125を案内可能であり、その後、パッキン118が圧接領域126に圧着した状態で、突出片125及び底壁面1132が当接する第2地点に突出片125を案内可能に構成されている。つまり、キャップ体120に軸方向の押圧力を付加すると、軸方向から傾斜した傾斜壁面1133にガイドされ、軸方向の押圧力が軸方向の推進力と周方向への回転力へと変換されるので、キャップ体120は回転しつつ軸方向に進行する。このように、ユーザがキャップ体120を軸方向に沿って簡単に押圧するだけで、傾斜壁面1133によって突出片125がより深部側に位置する第2通路115の入り口まで誘導されるので、キャップ体120の無駄な回転操作量が減少され、結果として、より優れた使用感がユーザに提供される。なお、本実施形態によれば、ユーザは、作業環境に応じて、傾斜壁面1133のガイドを経ずに、第1位置又は第2位置まで移動させることもできる。例えば、周囲に空間があってキャップ体120を回転させる動作がし易ければ、ユーザは、突出片125が凹溝113に導入した後で軸方向の押圧力でなく回転力をキャップ体120に付与することによっても、突出片125を第2地点まで移動させることができる。この場合、突出片125が、傾斜壁面1133と平行に延びる第1対向壁面1135に当接し、周方向の回転力が軸方向の推進力へと変換される。すなわち、第1対向壁面1135は、傾斜壁面1133と同様に突出片125を第1地点又は第2地点にガイドするように機能することができる。
【0056】
突出片125が
図12(d)の第2地点に位置した状態で、取着部123に回転力が付加されて取着部123が被取着部111に対して一方向に回転すると、突出片125が第1通路114から第2通路115へと進入する。回転に伴って、突出片125が底壁面1132に沿って第2通路115内を周方向に移動する(
図12(e)参照)。そして、突出片125は、係合突起116を越えて係止壁面1136に係止されるまで移動する。
図12(f)に示した突出片125が係止壁面1136に当接する地点が第3地点として定められる。つまり、第3地点は、凹溝113の最深部に位置する。そして、キャップ体120への軸方向基端側への押圧力の付加がなくなると、パッキン118の軸方向先端側への弾性復帰力によって、キャップ体120が被取着部111の先端側へと僅かに移動する(
図14(c)参照)。これに伴い、突出片125が底壁面1132側から第2対向壁面1135側へと第2通路115内で移動する(
図12(f)参照)。このとき、パッキン118が突出片125を第2対向壁面1135側へと付勢するとともに、突出片125に対して周方向に隣接するように係合突起116が配置されている。その結果、突出片125の周方向の(意図しない)移動が係合突起116によって抑制されている。すなわち、突出片125が第3位置に保持されることによって、キャップ体120がトラップ本体101に取着された状態が維持されている。
【0057】
続いて、キャップ体120をトラップ本体101から取り外すには、キャップ体120をトラップ本体101に対して他方向に一周未満の回転角度で回転させた上で、キャップ体120をトラップ本体101に対して軸方向に沿って離脱させるように移動させればよい。
【0058】
詳細には、
図13(a)に示すように、キャップ体120の他方向への回転の開始に伴って、突出片125が第2通路115内で開口端1131(第1通路114)側へと移動を開始する。そして、突出片125が係合突起116を乗り越えるように移動する(
図13(b)参照)。すなわち、係合突起116の第2対向壁面1135から連続的に隆起した形状によって、突出片125が係合突起116を乗り越えるようにガイドされる。つまり、キャップ体120に付加された回転力が、パッキン118の付勢力に抗する軸方向基端側への力へと部分的に変換される。その結果、突出片125が底壁面1132側に移動するとともに、パッキン118が当接段部127によって軸方向基端側に弾性変形する(
図14(b)参照)。
【0059】
キャップ体120が他方向にさらに回転すると、突出片125が第2通路115から第1通路114内へと移動すべく、傾斜壁面1133に当接するまで移動する(
図13(c)参照)。キャップ体120が他方向にさらに回転すると、突出片125が傾斜壁面1133上を摺動しつつ、キャップ体120が被取着部111の先端側へと移動して、パッキン118と圧接領域126との圧接が解消される(
図13(d)、
図14(a)参照)。圧接が解消されたことにより、キャップ体120が被取着部111に対して自由に移動可能となり、
図13(e),(f)に示すように、突出片125が開口端1131へと軸方向に移動する。その結果、キャップ体120が軸方向先端側に移動してトラップ本体101から離脱する。なお、突出片125が軸方向において第1対向壁面1134に対向する位置に移動するまで、キャップ体120が他方向に回転し、その直後に、キャップ体120に軸方向の力が加えられてもよい。その場合、突出片125が傾斜する第1対向壁面1134上を摺動し、開口端1131へと案内される。
【0060】
続いて、
図15を参照して、本実施形態の水封トラップ100の使用例を説明する。
図15は、本実施形態の水封トラップ100を配管した配設構造10の模式図である。配設構造10は、給湯器などの機器11と、排水を処理する排水系12と、該機器11と排水系12との間に配置された水封トラップ100とを備える。機器11の排水口に接続管13aが接続されている。該接続管13aにトラップ本体101の内筒103が外挿されることにより、水封トラップ100が機器11に接続されている。他方、排水系12の流入口には接続管13bが接続されている。該接続管13bにトラップ本体101の排水側接続部104が接続されることにより、水封トラップ100が排水系12に接続されている。そして、水封トラップ100は、機器11からの排水を貯水空間108にトラップし、排水系12からの臭気等が逆流することを防止するように機能する。さらに、配設構造10の排水用の配管が狭く目の届かない空間に配置されていたとしても、上述した要領で、水封トラップ100のキャップ体120を容易に脱着することができる。これにより、該配設構造10において、水封トラップ100内の掃除やメンテナンスを効果的に実施することができる。
【0061】
以下、本発明に係る一実施形態の水封トラップ(着脱装置)100又は連結機構における作用効果について説明する。
【0062】
本実施形態の水封トラップ100によれば、被取着体であるトラップ本体101の外周面112に凹設された凹113溝と、取着体であるキャップ体120の内周面124に凸設された突出片125との関係によってキャップ体120のトラップ本体101への着脱が容易となる。具体的には、トラップ本体101にキャップ体120を取着する際、取着部123を被取着部111に対して軸方向基端側に移動させるようにキャップ体120をトラップ本体101に対して軸方向に押し込むと、突出片125が凹溝113の開口端1131を介してその第1通路114に導入される。開口端1131を介して突出片125が第1通路114内に導入された状態で、さらにキャップ体120をトラップ本体101に対して軸方向に押し込むと、突出片125が傾斜壁面1133に当接し、突出片125が傾斜壁面1133によって案内されて、キャップ体120の内周面124の圧接領域126及びパッキン118が圧接を開始する第1地点に移動する。突出片125が第1地点を通過した後、さらにキャップ体120をトラップ本体101に対して軸方向に押し込むと、パッキン118によってキャップ体120がトラップ本体101に保持された状態で突出片125が底壁面1132に当接する第2地点まで移動する。突出片125が第1地点と第2地点との間に位置するとき、圧接領域126とパッキン118との間の圧接力によってキャップ体120のトラップ本体101に対する自由移動(自由落下)が阻止される。そのため、ユーザがキャップ体120から手を離しても、キャップ体120がその場に維持され得る。そして、突出片125が第2地点に位置した状態で、取着部121を被取着部111に対して一方向に回転させると、突出片125が第1通路114から第2通路115に進入し、突出片125が係止壁面1136に係止される第3地点に移動する。突出片125が第3地点に位置した状態では、突出片125が凹溝113の底壁面1132と第2対向壁面1135との間に配置されていることから、突出片125の軸方向先端側の移動が規制され、その結果、キャップ体120のトラップ本体101に対する軸方向に沿った離脱が防止される。したがって、パッキン118による圧着力と協働して、キャップ体120はトラップ本体101に対して不意に離脱しないように取着される。すなわち、キャップ体120をトラップ本体101に対して軸方向に押し込む操作の後、キャップ体120をトラップ本体101に対して一周未満で回転させる操作を行うことによってキャップ体120をトラップ本体101に容易に取着することができる。他方、キャップ体120をトラップ本体101から離脱させる際には、キャップ体120をトラップ本体101に対して一周未満で回転させる操作の後、キャップ体120をトラップ本体101に対して軸方向に引き抜く操作を行うことによってキャップ体120をトラップ本体101から容易に取り外すことができる。したがって、本発明の水封トラップ100及びその連結機構は、トラップ本体101とキャップ体120とを着脱容易に連結するものである。
【0063】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0064】
(1)本実施形態の連結機構の凹溝の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、
図16(a)の着脱装置200(連結機構)のように、傾斜壁面2133に対向する第1対向壁面2135は、傾斜壁面2133と平行でなくてもよい。当該変形例の連結機構によって、取着体220及び被取着体201が着脱容易に連結可能である。
【0065】
(2)本実施形態の連結機構の凹溝の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、
図16(b)の着脱装置300(連結機構)では、係合突起316が第2対向壁面3135でなく、底壁面3132に形成されている。さらに、取着体320の内周面324には、当接段部が設けられていない。当該変形例の連結機構によって、取着体320及び被取着体301が着脱容易に連結可能である。
【0066】
(3)本実施形態の連結機構の凹溝の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、
図16(c)の着脱装置400(連結機構)では、第2通路415の深部側がテーパー状になっている。そして、該連結機構において、このテーパー部分に突出片425が係止される。つまり、テーパー状に形成された係止壁面4131によって、第2通路415の周方向の他方(深部側)の端部が定められている。そして、
図16(c)に示すように、突出片425が係止壁面4131に係止された状態で軸方向の両方から挟まれることで、突出片425が第3地点に効果的に維持され得る。当該変形例の連結機構によって、取着体420及び被取着体401が着脱容易に連結可能である。
【0067】
(4)本発明の着脱装置及び連結機構は、上記実施形態の水封トラップの構成に限定されない。例えば、
図17は、本発明の連結機構を備える着脱装置としての蓋付き容器500を示している。蓋付き容器500は、例えば、水筒等であってもよい。蓋付き容器500は、軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有する被取着体である容器本体501と、軸方向一端で開口する中空筒状の取着体である蓋体520とからなる。そして、容器本体501及び蓋体520は、上記実施形態の連結機構によって着脱容易に連結可能である。
【0068】
[第2実施形態]
(5)本実施形態の連結機構では、突出片が取着体(キャップ体)の取着部に形成され、凹溝が被取着体(トラップ本体)の被取着部に形成されたが、本発明はこれに限定されず、上記実施形態と逆の関係、すなわち、突出片が被取着体の被取着部に形成され、凹溝が取着体の取着部に形成されてもよい。
図18,
図19は、本発明の別実施形態の着脱装置600を示す。
【0069】
図18及び
図19に示すように、着脱装置600は、軸方向に延びる円柱又は円筒状の先端形状を有する被取着体601と、軸方向一端で開口する中空筒状の取着体620と、被取着体601及び取着体620を着脱式に連結する連結機構とを備える。連結機構は、取着体620の断面視円形状の内周面624、及び、内周面624に凹設された凹溝613を有する取着部623と、被取着体601の先端で取着部623を外挿可能な断面視略円形状を有する外周面612、外周面612から径方向外側に突出する突出片625、及び、突出片625よりも被取着体601の軸方向基端側に位置し、取着部623の内周面624に圧接可能に形成された弾性の圧接体618を有する被取着部611と、を備える。
【0070】
凹溝613は、取着部623の軸方向一端に開放されて突出片625を凹溝613に導入可能な開口端6131と、開口端6131と対向するように取着部623の軸方向他端側に形成され、周方向に沿って延在する底壁面6132との間に形成されている。凹溝613は、開口端6131から底壁面6132まで所定の幅で延びる第1通路614と、取着部623の軸方向他端側で第1通路614に連設され、底壁面6132に沿って周方向に延びる第2通路615とからなる。第1通路614は、開口端6131を向くように軸方向に対して所定の角度で傾斜するとともに開口端6131から底壁面6132まで延在する傾斜壁面6133と、傾斜壁面6133に対向する第1対向壁面6134との間で延在ている。第2通路615は、底壁面6132と、突出片625を収容可能な距離で底壁面6132に対向する第2対向壁面6135との間で延在している。第2通路615の周方向の一方の端部が第1通路614に連通しているとともに第2通路615の周方向の他方の端部が係止壁面6136によって定められている。そして、係合突起616が第2対向壁面6135に形成されている。
【0071】
取着体620を被取着体601に取り付ける際、開口端6131を介して突出片625が第1通路614内に導入された状態で取着部623が被取着部611の軸方向基端側に相対移動すると、傾斜壁面6133は、取着体623の内周面624及び圧接体618が圧接を開始する第1地点に突出片625を案内し、突出片625が第1地点を通過した後、圧接体618が取着部623の内周面624に圧着した状態で、突出片625及び底壁面6132が当接する第2地点に突出片625を案内する。そして、突出片625が第2地点に位置した状態で取着部623が被取着部611に対して一方向に回転すると、突出片625が第2通路615に進入し、突出片625が係止壁面6136に係止される第3地点に移動する。すなわち、別実施形態の連結機構は、上記一実施形態の連結機構と同様に機能可能である。したがって、別実施形態の着脱装置600及び連結機構は、被取着体601と取着体620とを着脱容易に連結するものである。
【0072】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。すなわち、本発明の技術的範囲の下で、本実施形態の一部の構成が省略又は修正されてもよく、あるいは、他の構成が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 配設構造
11 機器
12 排水系
13a、b 接続管
100 水封トラップ(着脱装置)
101 トラップ本体(被取着体)
102 外筒
103 内筒
104 排水側接続部
105 連結壁
106 フランジ
108 貯水空間
111 被取着部
112 外周面
113 凹溝
1131 開口端
1132 底壁面
1133 傾斜壁面
1134 第1対向壁面
1135 第2対向壁面
1136 係止壁面
114 第1通路
115 第2通路
116 係合突起
118 パッキン(圧接体)
120 キャップ体(取着体)
121 筒壁
122 底壁
123 取着部
124 内周面
125 突出片
126 圧接領域
127 当接段部