(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール組立体
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20220330BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20220330BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 A
(21)【出願番号】P 2018036816
(22)【出願日】2018-03-01
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000223403
【氏名又は名称】住ベシート防水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北野 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】白井 哲之
(72)【発明者】
【氏名】渡部 智之
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠治
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021298(JP,A)
【文献】特開2012-028427(JP,A)
【文献】特開2004-006625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00、13/18
H02S 20/23、30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールを樹脂製の設置面上に支持する第1支持具と、を有し、
前記第1支持具は、金属部と樹脂部を有し、
前記金属部は、少なくとも前記太陽電池モジュールを支持可能な支持部を構成し、
前記樹脂部は、少なくとも、使用時に前記設置面に対向する底面を構成
し、
前記第1支持具は、前記底面と前記支持部との間を延びる立設部を有し、
前記金属部は、前記支持部と、前記立設部の少なくとも一部とを構成し、
前記樹脂部を含む第1部材と、前記金属部を含む第2部材と、を有し、
前記第1部材と前記第2部材のうちの一方は凹部を有し、前記第1部材と前記第2部材のうちの他方は前記凹部に勘合可能な凸部を有し、
前記第1部材は、前記底面における前記第2部材と接する面に、前記凹部を有し、
前記第2部材は、前記第1部材の前記底面に接し、前記第1部材の前記凹部に勘合可能で、前記第1部材に向かって突出する前記凸部を有し、
前記第2部材は、前記立設部と前記凸部とが直交するよう構成される、
太陽電池モジュール組立体。
【請求項2】
前記樹脂部を含む第1部材と、前記金属部を含む第2部材と、を有し、
前記第1部材と前記第2部材は、前記立設部の少なくとも一部を構成し、前記立設部で互いに締結されている、請求項1に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項3】
前記第1部材全体が樹脂部によって構成されている、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項4】
前記第1部材は、樹脂部によって被覆された底面を有する金属部材によって構成されている、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項5】
前記樹脂部は、前記設置面を構成する前記樹脂と同じ種類の樹脂材料によって構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項6】
前記太陽電池モジュールの互いに対向する一対の側辺部を支持する一対の前記第1支持具と、
前記一対の前記第1支持具どうしの間に配置され、前記太陽電池モジュールを下から支える積載部を有する少なくとも1つの第2支持具と、を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項7】
前記第2支持具は、前記積載部上に、前記積載部を構成する材料よりも柔らかい緩衝材を備える、請求項6に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項8】
前記太陽電池モジュールは湾曲可能であり、
前記第2支持具の底面から前記積載部の上面までの高さは、前記第1支持具の底面から前記第1支持具の前記支持部の上面までの高さよりも高い、請求項6又は7に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項9】
前記第2支持具は、前記設置面に直交する方向から見て前記太陽電池パネルに覆われる位置に配置される、請求項6から8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項10】
互いに隣接する少なくとも2つの前記太陽電池モジュールを含み、
前記第2支持具は、互いに隣接する前記太陽電池モジュールの両方を支持可能な位置に配置される、請求項6から9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項11】
互いに隣接する少なくとも2つの前記太陽電池モジュールを含み、
少なくとも5つの前記第2支持具が、複数の前記太陽電池モジュールにわたって互いに間隔をあけて並んでおり、
前記第2支持具が並ぶ方向において最も外側に配置される最外の第2支持具と、前記最外の第2支持具に隣接する第2支持具との間の距離は、前記最外の第2支持具を除く第2支持具どうしの間の距離よりも短い、請求項
6から10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール組立体。
【請求項12】
前記設置面は、防水シートによって構成された面である、請求項
1から11のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールと、太陽電池モジュールを設置面上で支える架台と、を含む太陽電池モジュール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールは、屋外の屋根のような設置面に設置される。太陽電池モジュールを設置面上で支える架台として、様々なものが検討されている(特許文献1)。特許文献1は、太陽光を受けて電気を発生させる光起電アレイ(太陽電池モジュール)を屋根のような設置面上で支えるための架台を開示する(特許文献1の
図4等参照)。
【0003】
特許文献1に示す架台は、太陽電池モジュールの側辺に沿ったレールを含む。レールは、設置面に固定される下部ベースと、上部キャップを含む。下部ベースは、太陽電池モジュールを支持する。上部キャップは、下部ベースの上部に取り付けられ、下部ベースに支持された太陽電池モジュールを上方から覆う。架台を構成するレールの下部ベース及び上部キャップは、両方とも、剛性ポリ塩化ビニルのような樹脂から押出し成形されている。また、特許文献1は、レールの下部ベースを屋根の膜と同じ材料で構成し、下部ベースを屋根の膜に熱結合(熱溶接)することを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽電池モジュールは、例えば防水シートのような樹脂製の設置面上に設けられることがある。この場合、特許文献1に記載されているように樹脂製の架台は、熱結合(熱溶接)によって容易に樹脂製の設置面に固定することができる。しかしながら、架台が樹脂によって構成されている場合、太陽電池モジュールの荷重を支えるための強度が不足することがある。
【0006】
一方、太陽電池モジュールを支持する架台が金属から構成されている場合、アンカーやボルトのような締結部材によって、架台を設置面に固定する必要がある。この場合、締結部材が挿入される孔が設置面に形成されるため、設置面の防水性が低下することがある。
【0007】
したがって、太陽電池モジュールを支持するための強度を維持しつつ、設置面の防水性の低下を抑制することができる太陽電池モジュール組立体が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る太陽電池モジュール組立体は、太陽電池モジュールと、太陽電池モジュールを樹脂製の設置面上に支持する第1支持具と、を有する。第1支持具は、金属部と樹脂部を有する。金属部は、少なくとも太陽電池モジュールを支持可能な支持部を構成する。樹脂部は、少なくとも、使用時に設置面に対向する底面を構成する。第1支持具は、底面と支持部との間を延びる立設部を有する。金属部は、支持部と、立設部の少なくとも一部とを構成する。上記一態様に係る太陽電池モジュール組立体は、樹脂部を含む第1部材と、金属部を含む第2部材と、を有する。第1部材と第2部材のうちの一方は凹部を有し、第1部材と第2部材のうちの他方は凹部に勘合可能な凸部を有する。第1部材は、底面における第2部材と接する面に、凹部を有する。第2部材は、第1部材の底面に接し、第1部材の凹部に勘合可能で、第1部材に向かって突出する凸部を有する。第2部材は、立設部と凸部とが直交するよう構成される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、太陽電池モジュールを支持するための強度を維持しつつ、設置面の防水性の低下を抑制することができる太陽電池モジュール組立体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る太陽電池モジュール組立体の斜視図である。
【
図2】
図1の矢印F1方向から見た太陽電池モジュール組立体の側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する架台の斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る架台を構成する第1支持具の斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る架台を構成する第2支持具の斜視図である。
【
図7】
図6の矢印F3方向から見た第2支持具の側面図である。
【
図8】第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する架台の配置を示す模式的上面図である。
【
図9】
図8の矢印F2方向から見た太陽電池モジュール組立体の拡大平面図である。
【
図10】第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する架台の配置を示す模式的上面図である。
【
図11】第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する第1支持具の斜視図である。
【
図12】
図11の矢印F4方向から見た第1支持具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0012】
(1)第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュール組立体の斜視図である。
図2は、
図1の矢印F1方向から見た太陽電池モジュール組立体の側面図である。
図3は、第1実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する架台の斜視図である。言い換えると、
図3は、太陽電池モジュール組立体から太陽電池モジュール100を取り除いた状態を示している。
【0013】
太陽電池モジュール組立体は、太陽電池モジュール100と、太陽電池モジュール100を設置面10上で支える架台と、を有する。なお、本明細書において、「太陽電池モジュール組立体」の用語は、太陽電池モジュール100と架台とが組み立てた状態だけでなく、太陽電池モジュール100と架台とを組み立てる前の状態(すなわち部品の集合体の状態)をも意味するものとする。
【0014】
太陽電池モジュール100は、略平板状の形状、例えば略長方形の平板形状を有していてよい。太陽電池モジュールは、湾曲可能な太陽電池パネルから構成されていてよいが、これに限られない。
【0015】
設置面10は、樹脂製の設置面であってよい。例えば、設置面10は、屋外の屋根面のような面にコーティングされた樹脂材料によって構成された面であってもよく、屋外の屋根面のような面上に敷かれた防水シートによって構成された面であってもよい。設置面10を構成する樹脂は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又はABS樹脂のような合成樹脂であってよい。
【0016】
太陽電池モジュール100を設置面10上で支える架台は、少なくとも第1支持具120を有する。好ましくは、太陽電池モジュール100を設置面10上で支える架台は、図に示すように、第1支持具120と第2支持具160の両方を有する。
【0017】
本実施形態において、太陽電池モジュール組立体は、太陽電池モジュール100の互いに対向する2辺を保持する一対の第1支持具120を有する。一対の第1支持具120構造は、互いに同一であってよい。各々の第1支持具120は、太陽電池モジュール100の側辺部を支持可能に構成されている。
【0018】
次に、第1支持具120の構成について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、第1実施形態に係る架台を構成する第1支持具120の斜視図である。
図5は、
図2の領域Rの拡大側面図である。
【0019】
第1支持具120は、樹脂部122を含む第1部材と金属部132を含む第2部材を有する。第1実施形態では、第1部材全体が樹脂部122によって構成されており、第2部材全体が金属部132によって構成されている。樹脂部122及び金属部132は、ともに、第1支持具120の延在する方向に延びていてよい。樹脂部122は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又はABS樹脂のような合成樹脂によって構成されていてよい。樹脂部122は、少なくとも、使用時に設置面10に対向する底面124を構成する。図示したように、樹脂部122は、底面124から上方に延び、底面124から立設する第1立設部126を構成していてもよい。
【0020】
樹脂部122が使用時に設置面10に対向する底面124を構成するため、第1支持具120の樹脂部122を、樹脂製の設置面10に、例えば接着剤、熱溶着又は溶剤による溶着のような方法で固定することができる。熱溶着又は溶剤による溶着では、樹脂部122の一部と樹脂製の設置面10の一部が溶けて一体化することによって、第1支持具120が、樹脂製の設置面10に固定される。すなわち、設置面10にアンカーやボルトのような締結部材を挿入する孔をあけることなく、第1支持具120を設置面10に固定できる。これにより、設置面10の防水性の低下を抑制することができる。このように、アンカーやボルトのような締結部材を使用することなく第1支持具120を設置面10に固定できるため、第1支持具120の底面124は、締結部材の挿入用の孔を有していなくてよい。
【0021】
第1支持具120と設置面10との間の接着強度を増大させる観点では、樹脂部122を構成する樹脂材料は、設置面10を構成する樹脂材料と同じ種類の樹脂によって構成されていることがより好ましい。
【0022】
好ましい一例として、設置面10は、軟質の樹脂材料、例えば軟質塩化ビニル樹脂によって構成され、樹脂部122は硬質の樹脂材料、例えば硬質塩化ビニル樹脂によって構成されていてよい。樹脂部122が硬質の樹脂材料によって構成されることにより、第1支持具120の耐荷重性を高めることができる。
【0023】
金属部132は、少なくとも、太陽電池モジュール100を支持可能な支持部138を構成する。支持部138は、設置面10から離れた位置で、太陽電池モジュール100を下から支えるよう構成されていてよい。本実施形態では、支持部138は、太陽電池モジュール100の側辺部を載せることができるよう、使用時に設置面10に沿った方向に突出している。
【0024】
支持部138は、太陽電池モジュール100の荷重を直接受ける部分である。金属は、一般に樹脂よりも強度が高い。したがって、金属部132が太陽電池モジュール100を支持可能な支持部138を構成することにより、太陽電池モジュールを支持するための強度を維持することができる。すなわち、第1支持具120を敢えて樹脂部122と金属部132の両方によって構成することにより、太陽電池モジュール100を支持するための強度を維持しつつ、設置面10の防水性の低下を抑制可能としている。
【0025】
金属部132を構成する金属材料は、耐荷重性を維持することが可能であれば、特に限定されない。例えば、金属部132を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム合金やステンレス合金を含んでいてよい。
【0026】
好ましくは、金属部132は、支持部138から下方に延びる第2立設部136を構成する。第2立設部136は、第1立設部126に接していてよい。金属部(第2部材)132と樹脂部(第1部材)122とは、第1立設部126及び第2立設部136(両方合わせたものを単に「立設部」と称することがある。)において、例えばボルトのような締結部材139によって互いに締結されていてよい。この立設部は、第1支持具120の底面124と支持部138との間を上方に延びている。すなわち、金属部132は、支持部138と、立設部の少なくとも一部とを構成することが好ましい。これにより、第1支持具120の耐荷重性をより高めることができる。
【0027】
さらに、金属部132は、第2立設部136の設置面10側の端部で、設置面10に実質的に平行な方向に突出した金属底部134を構成していてもよい。これにより、第1支持具120の耐荷重性をよりいっそう高めることができる。この場合、樹脂部122によって構成された底面124は、金属底部134の下面の少なくとも一部を覆っていてよい。
【0028】
本実施形態では、樹脂部122は、金属底部134の全体を覆っている。これにより、接着剤、熱溶着又は溶剤による溶着のような方法により固定された第1支持具120と設置面10との間の固定強度をより高めることができる。一方、第1支持具120を設置面10に十分な強度で固定することができれば、樹脂部122は、金属底部134の一部のみを覆っていてもよい。例えば、樹脂部122は、第1支持具の延在する方向に沿って間隔をあけて複数設けられていてもよい。
【0029】
また、
図5に示すように、樹脂部(第1部材)122は、金属部(第2部材)132と接する面に凹部125を有していても良い。さらに、金属部132(第2部材)は、樹脂部122の凹部125に勘合可能な凸部135を有していても良い。樹脂部122の凹部125と金属部132の凸部135とが互いに勘合することによって、樹脂部122と金属部132は、互いに安定的に固定される。
【0030】
互いに勘合可能であれば、凹部125と凸部135の形状は、特に限定されない。本実施形態では、凹部125及び凸部135は、それぞれ樹脂部122及び金属部132の延在する方向に沿って延びている。
【0031】
金属部132の凸部135は、金属部132の底部を構成していることが好ましい。本実施形態では、金属部132の凸部135は、前述した金属底部134とは反対の方向に突出している。これにより、第1支持具120はより安定的に太陽電池モジュールを支持することができる。
【0032】
第1支持具120は、押さえ板140をさらに有していてもよい。押さえ板140は、第1支持具120の支持部138に支持された太陽電池モジュール100を上方から押さえるよう構成されている。押さえ板140は、例えば、支持部138に対向する平板形状であってよい。太陽電池モジュール100の側辺部は、支持部138と押さえ板140との間に挟まれる。この状態で、締結部材144が、押さえ板140、太陽電池モジュール100の側辺部、及び支持部138を締結することによって、太陽電池モジュール100が強固に支持される。
【0033】
本実施形態では、押さえ板140は、支持部138とは別体として構成されている。したがって、締結部材144を取り外すことによって、押さえ板140を支持部138から取り外すことができる。これにより、設置面10に設置された太陽電池モジュール100の交換が容易になる。
【0034】
図示した態様の代わりに、押さえ板140は、支持部138と一体に構成されていてよい。言い換えると、押さえ板140は、支持部138に対して着脱不能に構成されていてよい。この場合、太陽電池モジュール組立体の製造時に、第1支持具120が太陽電池モジュール100に取り付けられた状態にすればよい。この場合には、太陽電池モジュール組立体を設置面10に設置する際に、施工者が、施工場所にて第1支持具120に太陽電池モジュール100を取り付ける手間を省略することができる。
【0035】
次に、架台を構成する第2支持具160の構成について
図6及び
図7を参照し説明する。
図6は、第1実施形態に係る架台を構成する第2支持具160の斜視図である。
図7は、
図6の矢印F3方向から見た第2支持具160の側面図である。
【0036】
太陽電池モジュール組立体は、1つ又は複数の第2支持具160を含んでいてよい。第2支持具160の数やサイズ等は、太陽電池モジュール100を適切に支えることができれば、特に制限されない。
【0037】
第2支持具160は、一対の第1支持具120どうしの間に配置されていてよい。好ましくは、第2支持具160は、設置面10に垂直な方向から見て、太陽電池モジュール100に覆われる位置に配置されていてよい。これにより、後述するように第2支持具160が樹脂材料を含む場合であっても、紫外線による樹脂材料の劣化を抑制することができる。
【0038】
図3に示す例では、1つの太陽電池モジュール100に対して、複数の第2支持具160が用いられている。第2支持具160は、第1支持具120の延在する方向と直交する方向に延びていてよい。また、複数の第2支持具160は、第1支持具120の延在する方向に互いに間隔あけて設置されている。
【0039】
第2支持具160は、使用時に設置面10に対向する底部162と、使用時に太陽電池モジュールを積載する積載部166と、を有していてよい。第2支持具160の積載部166と底部162は、立設部164によって連結されていてよい。本実施形態において、底部162、立設部164及び積載部166は、一体的に形成されている。
【0040】
第2支持具160の少なくとも底部162は、樹脂によって構成されていてよい。本実施形態では、底部162、立設部164及び積載部166が、樹脂によって構成されている。これにより、第2支持具160は、第1支持具120と同様に、例えば接着剤、熱溶着又は溶剤による溶着のような方法で固定することができる。すなわち、設置面10にアンカーやボルトのような締結部材を挿入する孔をあけることなく、第2支持具160を設置面10に固定できる。第2支持具160の少なくとも底部162を構成する樹脂は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又はABS樹脂のような合成樹脂であってよい。
【0041】
第2支持具160と設置面10との間の接着強度を増大させる観点では、第2支持具160の底部162を構成する樹脂材料は、設置面10を構成する樹脂材料と同じ種類の樹脂によって構成されていることがより好ましい。より好ましくは、第2支持具160の底部162を構成する樹脂材料は、第1支持具120の樹脂部122を構成する樹脂材料と同じ材料によって構成されていてよい。好ましい一例として、第2支持具160の底部162を構成する樹脂材料は、硬質の樹脂材料、例えば硬質塩化ビニル樹脂によって構成されていてよい。
【0042】
第2支持具160の積載部166は、太陽電池モジュール100に固定又は接合される必要はない。すなわち、第2支持具160は、太陽電池モジュール100の荷重を支えるために設けられていればよい。特に、太陽電池モジュール100が湾曲可能である場合、第2支持具160によって太陽電池モジュール100を支えることが好ましい。
【0043】
また、第2支持具160は、積載部166上に緩衝材168を有していてもよい。緩衝材168は、第2支持具160の積載部166を構成する材料よりも柔らかい材料によって構成されていることが好ましい。具体的には、緩衝材168の引張弾性率が、第2支持具160の積載部166を構成する材料の引張弾性率よりも小さいことが好ましい。例えば、緩衝材168は、ウレタンフォームのようなスポンジや、ゴムなどによって構成されていてよい。このような緩衝材168によって、太陽電池モジュール100にかかる負荷を軽減することができる。
【0044】
太陽電池モジュール100が湾曲可能である場合、第2支持具160の底面から上面までの高さは、第1支持具120の底面124から第1支持具120の支持部138の上面までの高さH1よりも高いことが好ましい。具体的には、第2支持具160の底面から積載部166の上面までの高さH2、又は第2支持具160の底面から緩衝材168の上面までの高さH3が、第1支持具120の底面124から第1支持具120の支持部138の上面までの高さH1よりも高いことが好ましい。高さH2,H3と高さH1との差は、例えば0.5~5.0cm程度であってよい。これにより、
図2に示すように、太陽電池モジュール100を若干湾曲させた状態で保持することができるため、第2支持具160によって第1支持具120にかかる加重をより低減させることができる。
【0045】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立体について説明する。
図8は、第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する架台の配置を示す模式的上面図である。
図9は、
図8の矢印F2方向から見た太陽電池モジュール組立体の拡大平面図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号が付されている。以下では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。しかしながら、可能な限り、第2実施形態に係る太陽電池モジュール組立体に第1実施形態と同様の構成を適用できることに留意されたい。
【0046】
第2実施形態では、太陽電池モジュール組立体は、互いに格子状に配列された複数の太陽電池モジュール100を含む。
図8に示す例では、太陽電池モジュール組立体は、4つの太陽電池モジュール100を含む。具体的には、一方向に2つの太陽電池モジュール100が並び、当該一方向に直交する方向に2つの太陽電池モジュール100が並ぶ。
【0047】
各々の太陽電池モジュールを支える架台、すなわち第1支持具120と第2支持具160の構造は、第1実施形態と同様である。ただし、互いに隣接する太陽電池モジュール100どうしの間に配置される第1支持具120は、互いに隣接する太陽電池モジュール100の両方を支持する(
図9参照)。すなわち、第1支持具120は、一方の太陽電池モジュール100の側辺部と、他方の太陽電池モジュール100の側辺部とを支持する一対の支持部138を有していてよい。この場合、前述した押さえ板140は、各々の太陽電池モジュール100の側辺部を押さえるため、2つ設けられていてよい。
【0048】
第2実施形態では、太陽電池モジュール組立体は、第1支持具120の樹脂部122の底面124と設置面10との間に設けられる追加の樹脂材料170を有する。この場合、第1支持具120の樹脂部122は、例えば接着剤、熱溶着又は溶剤による溶着のような方法で追加の樹脂材料170に固定することができる。さらに、追加の樹脂材料170は、例えば接着剤、熱溶着又は溶剤による溶着のような方法で設置面10に固定することができる。
【0049】
追加の樹脂材料170の引張弾性率は、設置面10を構成する樹脂の引張弾性率以下であることが好ましい。これにより、熱膨張によって、第1支持具120と設置面10が互いに異なる割合で膨張したとしても、追加の樹脂材料170によって、膨張の割合の差に伴う歪みを緩和することができる。したがって、設置面10を構成する樹脂に切れ目が生じることを抑制することができ、その結果、設置面10の防水性の低下をより抑制することができる。
【0050】
なお、追加の樹脂材料170は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又はABS樹脂のような合成樹脂によって構成されていてよい。第1支持具120の樹脂部122と追加の樹脂材料170と設置面10の接着強度を増大させる観点では、追加の樹脂材料170を構成する樹脂材料は、樹脂部122及び設置面10を構成する樹脂材料と同じ種類の樹脂によって構成されていることがより好ましい。
【0051】
一例として、第2支持具160の底部162を構成する樹脂材料が、硬質の樹脂材料、例えば硬質塩化ビニル樹脂によって構成され、設置面10を構成する樹脂材料が、軟質の樹脂材料、例えば軟質塩化ビニル樹脂によって構成され、かつ追加の樹脂材料170を構成する樹脂材料が、軟質の樹脂材料、例えば軟質塩化ビニル樹脂によって構成されていてよい。
【0052】
追加の樹脂材料170は、各々の第1支持具120ごとに設けられてもよく、複数の第1支持具120にわたる1つのシート状に設けられてもよい。また、追加の樹脂材料170は、第2支持具160と設置面10との間にも設けられてよい。
【0053】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、
図8の縦方向に複数の第2支持具160が間隔をあけて並んでいる。この場合、太陽電池モジュール100の荷重を効果的に支持しつつ、第2支持具160の数を抑制するため、複数の第2支持具160のうちの1つは、互いに隣接する太陽電池モジュールどうしに跨がって配置されていてよい。すなわち、複数の第2支持具160のうちの1つ、すなわち
図8の縦方向における中央に配置された第2支持具160は、互いに隣接する太陽電池モジュール100の両方を支持可能な位置に配置される(
図8参照)。
【0054】
太陽電池モジュール100の荷重をバランス良く支えるため、第2支持具160は、第2支持具160が並ぶ方向(
図8の縦方向)において、互いにほぼ等間隔に配置されていてよい。ただし、太陽電池モジュール100の荷重をバランス良く支えつつ、第2支持具160を設置面10に直交する方向において太陽電池モジュール100に覆われる位置に配置するため、第2支持具160が並ぶ方向において最も外側に配置される最外の第2支持具160を、第2支持具160が並ぶ方向における内側にずらして配置してもよい。すなわち、少なくとも5つの第2支持具160が複数の太陽電池モジュール100にわたって互いに間隔をあけて並んでいる場合、第2支持具160が並ぶ方向において最も外側に配置される最外の第2支持具160と、最外の第2支持具160に隣接する第2支持具160との間の距離L2は、最外の第2支持具を除く第2支持具160どうしの間の距離L1よりも短くてよい。
【0055】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立体について説明する。
図10は、第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する架台の配置を示す模式的上面図である。第3実施形態において、第1実施形態や第2実施形態と同様の構成については、同じ符号が付されている。以下では、第1実施形態や第2実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。しかしながら、可能な限り、第3実施形態に係る太陽電池モジュール組立体に第1実施形態や第2実施形態と同様の構成を適用できることに留意されたい。
【0056】
第3実施形態では、太陽電池モジュール組立体は、第2実施形態と同様に、互いに格子状に配列された複数の太陽電池モジュール100を含む。各々の太陽電池モジュールを支える架台、すなわち第1支持具120と第2支持具160の構造は、第1実施形態と同様である。また、第1支持具120の配置は、第2実施形態と同様である。
【0057】
第3実施形態では、第2支持具160は、第1支持具120の延在する方向に沿って延びている。第2支持具160は、1つの太陽電池モジュール100あたり、1つ又は複数設けられていてよい。1つの太陽電池モジュール100あたり複数の第2支持具160が設けられる場合、複数の第2支持具160は、第1支持具120の延在する方向に直交する方向に互いに間隔をあけて配置されていてよい。
【0058】
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する第1支持具について説明する。
図11は、第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立体を構成する第1支持具の斜視図である。
図12は、
図11の矢印F4方向から見た第1支持具の側面図である。第4実施形態において、第1~3実施形態と同様の構成については、同じ符号が付されている。以下では、第1~3実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。しかしながら、可能な限り、第4実施形態に係る太陽電池モジュール組立体に第1~3実施形態と同様の構成を適用できることに留意されたい。
【0059】
第1支持具120は、樹脂部122を含む第1部材121と金属部132を含む第2部材131を有する。第4実施形態において、第2部材131は、金属部132によって構成されており、第1実施形態に係る金属部132と同様の構成を有する。
【0060】
第4実施形態において、第1部材121は、樹脂部122によって被覆された底面124を有する金属部材132bによって構成されている。樹脂部122は、第1部材121の少なくとも底面に設けられていてよい。本実施形態では、樹脂部122は、第1部材121の底面124とその付近のみに設けられている。
【0061】
また、本実施形態では、第2部材131は一方向に延びている。また、複数の第1部材121が、互いに間隔をあけて第2部材131に取り付けられている。この場合、
図11に示すように、第1部材121は、設置面に固定される必要がある箇所にのみ配置されていてよい。
【0062】
第1部材121を構成する金属部材132bは、樹脂部122によって被覆された底部134bと、底部134bから上方に立設する第1立設部136bと、を有していてよい。第1部材121は、第1立設部136bのところで例えば締結部材139によって第2部材122に締結されている。第1部材121を構成する金属部材132bは、耐荷重性を維持することが可能であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム合金やステンレス合金を含んでいてよい。
【0063】
また、
図12に示すように、第1部材121を構成する金属部材132bは、第2部材131と接する面に凹部125を有していても良い。さらに、第2部材131は、第1部材121の凹部125に勘合可能な凸部135を有していても良い。第1部材121の凹部125と第2部材131の凸部135とが互いに勘合することによって、第1部材121と第2部材131は、互いに安定的に固定される。
【0064】
(5)その他
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0065】
例えば、上記実施形態では、第1支持具120の樹脂部122と金属部132は、締結部材139によって互いに締結されている。この代わりに、樹脂部122は、例えば製造時に金属部の表面に一体的に皮膜形成されることによって金属部132の表面に形成されていてもよい。この場合、締結部材139は不要であり、第1支持具120を構成する部品の数を少なくすることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、第1支持具120は、一方向に長く延在している。この代わりに、第1支持具120は、当該一方向に分離されていてもよい。すなわち、太陽電池モジュール100の一側辺は、互いに分離された複数の第1支持具によって支持されてもよい。この場合、太陽電池モジュール100の一側辺全体ではなく、太陽電池モジュール100の一側辺の必要な箇所にのみ、第1支持具を取り付ければよい。
【0067】
上記実施形態では、第1部材が凹部125を有し、かつ第2部材が当該凹部125に勘合可能な凸部135を有する。この代わりに、第2部材が凹部125を有し、かつ第1部材が当該凹部125に勘合可能な凸部135を有していてもよい。すなわち、第1部材と第2部材のうちの一方が凹部125を有し、第1部材と第2部材のうちの他方が当該凹部125に勘合可能な凸部135を有していればよい。もっとも、第1部材と第2部材とがしっかりと固定されれば、第1部材及び第2部材は、このような凹部125及び凸部135を有していなくてもよい。
【0068】
さらに、上記の複数の実施形態で説明された構成は、可能な限り、置き換え又は組み合わせ可能であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0069】
10 設置面
100 太陽電池モジュール
120 第1支持具
122 樹脂部
124 底面
126 第1立設部
132 金属部
136 第2立設部
138 支持部
139 締結部材
160 第2支持具
162 底部
170 追加の樹脂材料