(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】部品保持ヘッド
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20220330BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H05K13/04 A
B25J15/06 C
(21)【出願番号】P 2018054883
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2017-0036923
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518098793
【氏名又は名称】ハンファ精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小畑 秀行
(72)【発明者】
【氏名】南海基
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-023194(JP,A)
【文献】特開2010-027855(JP,A)
【文献】特開2013-179117(JP,A)
【文献】特開平08-279697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を実装する部品実装機の部品保持ヘッドにおいて、
ヘッド
凸部と、
前記ヘッド
凸部に、上下動自在に設けられ、内部に第1エア通路が形成された複数個のメインスピンドル部と、
前記メインスピンドル部の軸線方向に、前記メインスピンドル部を下降させる加圧部と、
前記複数個のメインスピンドル部それぞれの下端に設けられ、内部にノズル通路が形成されたノズル部と、
前記ヘッド
凸部に、上下動自在に、前記各メインスピンドル部と平行に設けられ、内部に第2エア通路が形成された補助スピンドル部と、
その内部に、前記第1エア通路及び前記第2エア通路と連通される第3エア通路が形成され、前記メインスピンドル部の下部と、前記補助スピンドル部の下部と、を連結する連結
凸部と、
前記ヘッド
凸部に、前記メインスピンドル部を弾性的に支持する第1弾性部材と、を含み、
前記ヘッド
凸部には、前記メインスピンドル部の少なくとも一部が配置されるメインスピンドル設置孔が形成され、
前記ヘッド
凸部には、前記補助スピンドル部の少なくとも一部が配置される補助スピンドル設置孔が形成され、
前記ヘッド
凸部には、前記補助スピンドル設置孔と連通されるスプール弁設置孔が形成され、
前記スプール弁設置孔には、スプール弁が設けられている、部品保持ヘッド。
【請求項2】
前記メインスピンドル部外周の少なくとも一部にスプラインが形成され、前記メインスピンドル部には、前記スプラインの少なくとも一部を取り囲む外筒が設けられ、前記外筒は、前記メインスピンドル設置孔に回転自在に設けられている請求項
1に記載の部品保持ヘッド。
【請求項3】
前記スプラインと前記外筒との間には、複数個のボールが配置されている請求項
2に記載の部品保持ヘッド。
【請求項4】
前記メインスピンドル部は、前記連結
凸部に対して、相対回転運動自在に設けられている請求項1に記載の部品保持ヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド
凸部に、前記補助スピンドル部を弾性的に支持する第2弾性部材をさらに含む請求項1に記載の部品保持ヘッド。
【請求項6】
前記メインスピンドル部の上部と、前記補助スピンドル部の上部と、を連結する連結支持部をさらに含む請求項1に記載の部品保持ヘッド。
【請求項7】
前記メインスピンドル部は、前記連結支持部に対して、相対回転運動自在に設けられている請求項6に記載の部品保持ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(integrated circuit)チップなどの部品(電子部品)を基板に実装する部品実装機に使用される部品保持ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、部品実装機は、部品保持ヘッドを部品供給部の上方に移動させ、そこで部品保持ヘッドに具備されたスピンドルとノズルとを下降させ、ノズルの下端部に部品を真空吸着してピックアップし、次に、この部品保持ヘッドを基板上方に移動させた後、基板の上方からノズルを下降させ、基板の所定座標位置に部品を実装するように構成されている。
【0003】
部品を基板に実装する場合、スピンドル及びノズルの昇降動作において、適切な制御が必要である。ノズルの下降ストロークを適切に制御するための方法として、ノズルの着地を検知する検知手段を利用した方法が特許文献1に開示されている。
【0004】
ところで、部品実装機のスピンドル及びノズルの昇降動作において、ヘッドブロックから露出されたスピンドルの露出長が長ければ長いほど、スピンドルの作動時、スピンドルの端部に設けられたノズル部分の振動もさらに大きくなるようになるが、ノズル部分の揺れが大きくなれば、ノズルの位置制御に困難さが生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面によれば、安定した制御が可能な部品保持ヘッドの具現を主な課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、 部品を実装する部品実装機の部品保持ヘッドにおいて、ヘッド凸部と、前記ヘッド凸部に、上下動自在に設けられ、内部に第1エア通路が形成された複数個のメインスピンドル部と、前記メインスピンドル部の軸線方向に、前記メインスピンドル部を下降させる加圧部と、前記複数個のメインスピンドル部それぞれの下端に設けられ、内部にノズル通路が形成されたノズル部と、前記ヘッド凸部に、上下動自在に、前記各メインスピンドル部と平行に設けられ、内部に第2エア通路が形成された補助スピンドル部と、その内部に、前記第1エア通路及び前記第2エア通路と連通される第3エア通路が形成され、前記メインスピンドル部の下部と、前記補助スピンドル部の下部と、を連結する連結凸部と、前記ヘッド凸部に、前記メインスピンドル部を弾性的に支持する第1弾性部材と、を含み、前記ヘッド凸部には、前記メインスピンドル部の少なくとも一部が配置されるメインスピンドル設置孔が形成され、前記ヘッド凸部には、前記補助スピンドル部の少なくとも一部が配置される補助スピンドル設置孔が形成され、前記ヘッド凸部には、前記補助スピンドル設置孔と連通されるスプール弁設置孔が形成され、前記スプール弁設置孔には、スプール弁が設けられている、部品保持ヘッド提供する。
【0008】
【0009】
ここで、前記メインスピンドル部外周の少なくとも一部にスプラインが形成され、前記メインスピンドル部には、前記スプラインの少なくとも一部を取り囲む外筒が設けられ、前記外筒は、前記メインスピンドル設置孔に回転自在に設けられていてもよい。
【0010】
ここで、前記スプラインと前記外筒との間には、複数個のボールが配置されていてもよい。
【0011】
【0012】
ここで、前記メインスピンドル部は、前記連結凸部に対して相対回転運動自在に設けられていてもよい。
【0013】
ここで、前記部品保持ヘッドは、前記ヘッド凸部に、前記補助スピンドル部を弾性的に支持する第2弾性部材をさらに含んでもよい。
【0014】
ここで、前記部品保持ヘッドは、前記メインスピンドル部の上部と、前記補助スピンドル部の上部と、を連結する連結支持部をさらに含んでもよい。
【0015】
ここで、前記メインスピンドル部は、前記連結支持部に対して、相対回転運動自在に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面による部品保持ヘッドは、メインスピンドル部に平行に設けられた補助スピンドル部を具備することにより、メインスピンドル部の昇降時の揺れを低減させ、安定した制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係わる部品保持ヘッドの全体構成を図示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係わる部品保持ヘッドのメインスピンドル部と補助スピンドル部とが上昇した状態を図示した概略的な断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係わる加圧部がメインスピンドル部を押してメインスピンドル部を下降させる様子を図示した概略的な図面である。
【
図4】本発明の一実施形態に係わるメインスピンドル部、ノズル部、補助スピンドル部、連結
凸部、第1弾性部材、第2弾性部材が組み立てられた様子を図示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係わる部品保持ヘッドのメインスピンドル部と補助スピンドル部とが下降した状態を図示した概略的な断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の一変形例に係わる部品保持ヘッドのメインスピンドル部と補助スピンドル部とが上昇した状態を図示した概略的な断面図である。
【
図7】本実施形態の一実施形態の一変形例に係わるメインスピンドル部、ノズル部、補助スピンドル部、連結
凸部、第1弾性部材、連結支持部が組み立てられた様子を図示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付された図面を参照し、望ましい実施形態による本発明について詳細に説明する。また、本明細書及び本図面において、実質的に同一構成を有する構成要素については、同一符号を使用することにより、重複説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係わる部品保持ヘッドの全体構成を図示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係わる部品保持ヘッドのメインスピンドル部と補助スピンドル部とが上昇した状態を図示した概略的な断面図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係わる加圧部がメインスピンドル部を押してメインスピンドル部を下降させる様子を図示した概略的な図面であり、
図4は、本発明の一実施形態に係わるメインスピンドル部、ノズル部、補助スピンドル部、連結
凸部、第1弾性部材、第2弾性部材が組み立てられた様子を図示した斜視図である。
【0020】
図1ないし
図4に図示されているように、本実施形態による部品保持ヘッド100は、ヘッド
凸部110、メインスピンドル部120、加圧部130、ノズル部140、補助スピンドル部150、連結
凸部160、第1弾性部材170、第2弾性部材180を含む。
【0021】
本実施形態の部品保持ヘッド100は、ロータリヘッド形式の部品保持ヘッドであり、固定的に配置されたヘッド本体Hに、ヘッド凸部110が垂直軸周囲のR方向に回転自在に装着されている。
【0022】
本実施形態による部品保持ヘッド100は、回転するロータリヘッド形式を有しているが、本発明は、それに限定されるものではない。すなわち、本発明による部品保持ヘッドは、回転しない形式であってもよい。
【0023】
ヘッド凸部110は、ヘッド本体Hに設けられたRサーボモータRMの駆動により、R方向に回転することができる。また、各メインスピンドル部120は、ヘッド本体Hに設けられたTサーボモータTMの駆動により、各メインスピンドル部120の軸線周囲のT方向に回転することができる。
【0024】
ヘッド凸部110には、その周方向に沿って、等間隔で複数のメインスピンドル部120と補助スピンドル部150とが配置される。
【0025】
図2に図示されているように、ヘッド
凸部110には、Z軸方向に、メインスピンドル設置孔111と、補助スピンドル設置孔112とが形成されるが、メインスピンドル設置孔111には、メインスピンドル部120の少なくとも一部が配置され、補助スピンドル設置孔112には、補助スピンドル部150の少なくとも一部が配置される。
【0026】
また、ヘッド凸部110には、スプール弁設置孔113が形成されるが、スプール弁設置孔113には、スプール弁SVが設けられ、スプール弁設置孔113は、連結通路116により、補助スピンドル設置孔112に連通される。同時に、ヘッド凸部110には、スプール弁設置孔113に連通される正圧供給ライン114及び負圧供給ライン115も形成されているが、正圧供給ライン114と負圧供給ライン115は、それぞれ正圧供給源と負圧供給源とに連結されている。すなわち、スプール作用部SPにより、スプール弁SVが動けば、このスプール弁SVの位置により、連結通路116、第2エア通路151、第3エア通路161、第1エア通路120a、ノズル通路141の空圧が負圧または正圧に変化する。
【0027】
一方、メインスピンドル部120は、ヘッド凸部110に上下動自在に設けられ、メインスピンドル部120下部の内部には、第1エア通路120aが形成される。
【0028】
メインスピンドル部120外周の少なくとも一部には、スプライン121が形成されており、メインスピンドル部120には、スプライン121の少なくとも一部を取り囲む外筒122が設けられ、スプライン121と外筒122との間には、複数個のボール123が配置され、外筒122は、メインスピンドル設置孔111にベアリングBで、回転自在に設けられることにより、メインスピンドル部120は、ボール・スプライン構造で、ヘッド凸部110に設けられる。また、外筒122の下部には、駆動ギア124が設けられるが、駆動ギア124は、TサーボモータTMから動力を伝達され、外筒122及びメインスピンドル部120をT方向に回転させる。
【0029】
本実施形態によるメインスピンドル部120は、ボール・スプライン構造で、ヘッド凸部110に設けられるが、本発明は、それに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、メインスピンドル部120がZ軸方向に移動することができ、かつT方向に回転するように設けられればよく、それ以外の特別な制限はない。例えば、本発明によれば、メインスピンドル部120の設置構造において、ボール123を具備しないか、あるいはベアリングBを具備しないこともある。ただし、その場合、十分な潤滑が必要である。
【0030】
一方、ヘッド本体Hには、特定位置にあるメインスピンドル部120を、軸線方向に沿ったZ方向に昇降させるための昇降手段として、ZサーボモータZMが配置されている。RサーボモータRMの駆動により、ヘッド凸部110をR方向に回転させる機構、及びTサーボモータTMの駆動により、各メインスピンドル部120をT方向に回転させる機構については、周知であるので、ここでは、その説明は省略する。ZサーボモータZMの駆動により、メインスピンドル部120を昇降させる機構については、以下で説明する。
【0031】
図3は、
図1の部品保持ヘッド100において、メインスピンドル部120をZ方向に昇降させる機構を図示した説明図である。ヘッド本体Hに配置されたZサーボモータZMのモータ軸は、ボールねじ機構のねじ軸(図示せず)に連結され、このねじ軸に設けられたナットに、加圧部130が連結されている。従って、ZサーボモータZMの駆動により、加圧部130がZ方向に移動する。
【0032】
加圧部130は、メインスピンドル部120の軸線方向に、メインスピンドル部120を下降させるが、ヘッド本体H側に1個だけ設けられている。メインスピンドル部120を下降させるときには、加圧部130に対して、メインスピンドル部120を相対的に移動させ、複数個のメインスピンドル部120のうち、下降させるメインスピンドル部120(特定位置にあるメインスピンドル部120aを選択し、加圧部130を下降させ、メインスピンドル部120の上部端部面TSを押すことにより、当該メインスピンドル部120aを下降させる。
【0033】
すなわち、
図3に図示されているように、本実施形態においては、ヘッド
凸部110をR方向に回転させ、加圧部130に対してメインスピンドル部120を相対移動させることにより、下降させるメインスピンドル部120aを、加圧部130真下に位置させる。次に、加圧部130を押し、加圧部130真下にあるメインスピンドル部120aの上部端部面TSに力を加え、メインスピンドル部120aを下降させる。ここで、特定位置にあるスピンドル120aを選択して下降させる構成は、前述のような構成に限定されるものではない。例えば、下降されるメインスピンドル部120aを選択するために、メインスピンドル部120を移動させず、むしろ加圧部130を移動させて下降させるメインスピンドル部120aを選択する構成を採ることができる。なお、前記特定位置は、2ヵ所以上あってもよい。
【0034】
一方、ノズル部140は、複数個のメインスピンドル部120それぞれの下端に設けられ、内部に、ノズル通路141が形成されている。
【0035】
すなわち、ノズル通路141を介して、負圧または正圧が付与されれば、ノズル部140が部品を吸着したり、下ろしたりするが、ノズル通路141は、メインスピンドル部120の第1エア通路120aに連通される。
【0036】
補助スピンドル部150は、上下動自在にヘッド凸部110に設けられるが、それぞれのメインスピンドル部120と平行に設けられる。
【0037】
すなわち、補助スピンドル部150は、補助スピンドル設置孔112に上下動自在に設けられ、内部に、第2エア通路151が形成される。
【0038】
第2エア通路151は、補助スピンドル設置孔112のエアポートに連通されるように設けられるが、補助スピンドル設置孔112は、スプール弁設置孔113と連通されているので、スプール弁SVの動きにより、第2エア通路151に負圧または正圧が作用することになる。
【0039】
一方、連結凸部160は、メインスピンドル部120の下部と、補助スピンドル部150の下部と、を連結する。
【0040】
連結凸部160は、メインスピンドル部120との連結部分に、ベアリングBを利用して装着されることにより、メインスピンドル部120は、連結凸部160に対して、相対回転運動自在に設けられる。
【0041】
連結凸部160と補助スピンドル部150との下部は、互いに固定されるように設けられる。
【0042】
連結凸部160の内部には、第3エア通路161が形成されるが、第3エア通路161は、第1エア通路120a及び第2エア通路151と連通されるように構成され、第2エア通路151に負圧または正圧が作用すれば、第3エア通路161、第1エア通路120a及びノズル通路141にも、負圧または正圧がそのまま作用することになる。
【0043】
一方、第1弾性部材170は、メインスピンドル部120を、ヘッド凸部110に弾性的に支持する。
【0044】
第1弾性部材170は、1個の円筒コイルスプリングを含んでなるが、本発明によれば、第1弾性部材をなすスプリングの個数及び種類には、特別な制限がない。例えば、本発明による第1弾性部材は、複数のコイルスプリングを含んでなり、スプリングの種類も、円錐状コイルスプリング、ボリュートコイルスプリング、長鼓形コイルスプリングなど多様なスプリングが適用される。
【0045】
第2弾性部材180は、補助スピンドル部150を、ヘッド凸部110に弾性的に支持する。
【0046】
第2弾性部材180は、1個の円筒コイルスプリングを含んでなるが、本発明によれば、第2弾性部材をなすスプリングの個数及び種類には、特別な制限がない。例えば、本発明による第2弾性部材は、複数のコイルスプリングを含んでなり、スプリングの種類も、円錐状コイルスプリング、ボリュートコイルスプリング、長鼓型コイルスプリングなど多様なスプリングが適用される。
【0047】
本実施形態による部品保持ヘッド100は、第2弾性部材180を含んでいるが、本発明は、それに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、部品保持ヘッド100は、第2弾性部材180を含まないこともある。
【0048】
次に、本実施形態による部品保持ヘッド100の動作について説明する。
【0049】
本実施形態による部品保持ヘッド100を具備した部品実装機は、メインスピンドル部120の下端に装着されたノズル部140を利用し、部品供給部(図示せず)から部品をピックアップして保持し、ピックアップされた部品を基板Pに移送し、基板Pの所定位置に部品を実装する。
【0050】
以下、
図2及び
図5を参照し、ノズル部140に吸着されてピックアップされた部品を基板に移送させ、部品を基板に実装する動作について説明する。
【0051】
図2に図示された部品保持ヘッド100の様子は、ノズル部140で部品Cをピックアップした状態であり、まだ、基板に部品Cを実装するための作動が始まっていない状態である。その場合、制御部(図示せず)は、ZサーボモータZMを制御し、加圧部130がメインスピンドル部120の上部端部面TSを押さないようにし、スプール弁SVの位置を適切に調節し、ノズル部140に負圧が維持されるようにし、部品Cのピックアップ作用が持続される。
【0052】
次に、制御部(図示せず)は、部品保持ヘッド100を動かし、ピックアップされた部品Cが、基板P上方に位置するようにし、ZサーボモータZMを作動させ、加圧部130がメインスピンドル部120の上部端部面TSを押す。それにより、
図5に図示されているように、メインスピンドル部120が下降する。
【0053】
メインスピンドル部120が下降すれば、メインスピンドル部120と共に、補助スピンドル部150及び連結凸部160も下降する。補助スピンドル部150は、ヘッド凸部110の補助スピンドル設置孔112によって下降動作がガイドされるので、補助スピンドル部150と連結凸部160とに連結されたメインスピンドル部120は、安定した下降が可能になる。このとき、第1弾性部材170と第2弾性部材180は、圧縮され、弾性エネルギーを保存する。
【0054】
部品Cが、基板Pの表面に当接すれば、制御部(図示せず)がZサーボモータZMを作動させ、加圧部130の下降を中止し、スプール作用部SPを作動させ、スプール弁SVを動かすことにより、ノズル部140に正圧が作用するようにし、部品Cが基板Pに載置される。このとき、この正圧は、順次に正圧供給ライン114、スプール弁設置孔113、連結通路116、補助スピンドル設置孔112、第2エア通路151、第3エア通路161、第1エア通路120a、ノズル通路141を介して、部品Cに適用される。
【0055】
以上のように、本実施形態による部品保持ヘッド100によれば、連結凸部160により、メインスピンドル部120と連結された補助スピンドル部150が、ヘッド凸部110の補助スピンドル設置孔112によって昇降動作がガイドされるので、メインスピンドル部120が上下に動く場合、メインスピンドル部120の下端に設けられたノズル部140の揺れが低減される。
【0056】
また、本実施形態による部品保持ヘッド100は、ノズル部140に空圧を作用させるために、補助スピンドル部150に、第2エア通路151を形成し、第2エア通路151がスプール弁設置孔113及び第3エア通路161と連通されるように構成することにより、メインスピンドル部120の構造が簡単になる。すなわち、従来のメインスピンドルに、スプール弁と直接連通される空圧管路が形成され、メインスピンドルの構造が複雑になり、長さが長かったことに対し、本実施形態の部品保持ヘッド100のメインスピンドル部120は、その構造が簡単になり、長さも短くなる。それにより、部品保持ヘッド100のZ軸方向の長さも短くなるので、その分、ピックアップ、及び実装する部品Cの高さを高くすることができ、部品保持ヘッド100に適用することができる部品Cの種類も、その分多様になる。
【0057】
また、本実施形態の部品保持ヘッド100は、メインスピンドル部120を弾性的に支持する第1弾性部材170だけではなく、補助スピンドル部150を弾性的に支持する第2弾性部材180も含むので、結局、1つのメインスピンドル部120の運動に関与する弾性部材の個数は2個になるため、それぞれ1つの弾性部材を使用する従来の部品保持ヘッドに比べ、長さが短い弾性部材を使用することができる。すなわち、本実施形態の部品保持ヘッド100は、長さが短い弾性部材を使用しても、2個が並列で使用されるために、十分な弾性力を具現することができ、しかも短い弾性部材であるため、線形的な弾性力を具現しやすく、精密な制御の具現が容易になる。併せて、本実施形態の場合には、第1弾性部材170及び第2弾性部材180の2個の弾性部材を使用するので、2個の弾性部材の組み合わせにより、多様な弾性力を具現することができ、部品保持ヘッド100の精密な制御が可能になる。
【0058】
以下、
図6及び
図7を参照し、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200の一変形例の形態について説明する。
【0059】
図6は、本実施形態の一変形例に係わる部品保持ヘッドのメインスピンドル部と補助スピンドル部とが上昇した状態を図示した概略的な断面図であり、
図7は、本実施形態の一変形例に係わるメインスピンドル部、ノズル部、補助スピンドル部、連結
凸部、第1弾性部材、連結支持部が組み立てられた様子を図示した斜視図である。
【0060】
本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200のヘッド凸部210、メインスピンドル部220、加圧部230、ノズル部240、補助スピンドル部250、連結凸部260、第1弾性部材270は、それぞれ前述の部品保持ヘッド100のヘッド凸部110、メインスピンドル部120、加圧部130、ノズル部140、補助スピンドル部150、連結凸部160、第1弾性部材170と実質的に同一であるので、それらに係わる詳細な説明は省略する。
【0061】
また、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200のメインスピンドル設置孔211、補助スピンドル設置孔212、スプール弁設置孔213、正圧供給ライン214、負圧供給ライン215、連結通路216、第1エア通路220a、スプライン221、外筒222、ボール223、駆動ギア224、ノズル通路241、第2エア通路251、第3エア通路261は、それぞれ前述の部品保持ヘッド100のメインスピンドル設置孔111、補助スピンドル設置孔112、スプール弁設置孔113、正圧供給ライン114、負圧供給ライン115、連結通路116、第1エア通路120a、スプライン121、外筒122、ボール123、駆動ギア124、ノズル通路141、第2エア通路151、第3エア通路161と実質的に同一であるので、それらに係わる説明も省略する。
【0062】
一方、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200は、前述の部品保持ヘッド100の第2弾性部材180に対応する構成を有さない。
【0063】
本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200は、連結支持部280を含んでいるが、このような連結支持部280は、前述の部品保持ヘッド100にはない構成である。
【0064】
連結支持部280は、メインスピンドル部220の上部と、補助スピンドル部250の上部と、を連結する。連結支持部280は、メインスピンドル部220と補助スピンドル部250とを互いに支持することにより、作動時、メインスピンドル部220と補助スピンドル部250との揺れを防止し、正確な制御の一助とする。
【0065】
連結支持部280は、メインスピンドル部220との連結部分に、ベアリングBを利用して装着されることにより、メインスピンドル部220は、連結支持部280に対して、相対回転運動自在に設けられ、補助スピンドル部250の上部は、連結支持部280に互いに固定されるように設けられる。
【0066】
以上のように、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200によれば、連結凸部260により、メインスピンドル部220と連結された補助スピンドル部250が、ヘッド凸部210の補助スピンドル設置孔212によって昇降動作がガイドされるので、メインスピンドル部220が上下に動く場合、メインスピンドル部220の下端に設けられたノズル部240の揺れが低減される。
【0067】
また、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200は、ノズル部240に空圧を作用させるために、補助スピンドル部250に第2エア通路251を形成し、第2エア通路251が、スプール弁設置孔213及び第3エア通路261と連通されるように構成することにより、メインスピンドル部220の構造が簡単になる。すなわち、従来のメインスピンドルに、スプール弁と直接連通される空圧管路が形成され、メインスピンドルの構造が複雑になって長さが長かったことに対し、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200のメインスピンドル部220は、その構造が簡単になり、長さも、短くなる。それにより、部品保持ヘッド200のZ軸方向の長さも短くなり、その分ピックアップ、及び実装する部品Cの高さも高くなり、部品保持ヘッド200に適用することができる部品Cの種類も、その分多様になる。
【0068】
また、本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200は、メインスピンドル部220の上部と、補助スピンドル部250の上部と、を連結する連結支持部280を具備しているが、連結支持部280は、メインスピンドル部220と補助スピンドル部250とを互いに支持することにより、作動時、メインスピンドル部220と補助スピンドル部250との揺れを防止し、正確な制御の一助となる。特に、メインスピンドル部220と補助スピンドル部250との上下方向の長さが長くなるほど、振動の危険が大きくなるが、連結支持部280を具備すれば、その振動が大きく低減される。
【0069】
以上のように説明した構成、作用及び効果以外の本実施形態の一変形例による部品保持ヘッド200の構成、作用及び効果は、前記本発明の実施形態による部品保持ヘッド100の構成、作用及び効果と同一であるので、本説明では省略する。
【0070】
本発明の一側面を、添付された図面に図示された実施形態を参照して説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によってのみ決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明、は部品実装機の部品保持ヘッドの製造及び運用に使用される。
【符号の説明】
【0072】
100,200 部品保持ヘッド
110,210 ヘッド凸部
120,220 メインスピンドル部
130,230 加圧部
140,240 ノズル部
150,250 補助スピンドル部
160,260 連結凸部
170,270 第1弾性部材
180 第2弾性部材
280 連結支持部