(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】超伝導ケーブル用の終端部
(51)【国際特許分類】
H01B 12/16 20060101AFI20220330BHJP
H01R 4/68 20060101ALI20220330BHJP
H02G 15/34 20060101ALI20220330BHJP
H01L 39/04 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H01B12/16 ZAA
H01R4/68
H02G15/34
H01L39/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018071101
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501044725
【氏名又は名称】ネクサン
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルク シュテムレ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマ ペド
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ラルエ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン デルプラス
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-034087(JP,A)
【文献】特開2011-234610(JP,A)
【文献】特開2016-226143(JP,A)
【文献】米国特許第04294504(US,A)
【文献】実開昭48-053590(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 12/16
H01R 4/68
H02G 15/34
H01L 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導ケーブル(2)用の終端部(1)において、前記超伝導ケーブル(2)は、冷却剤を運ぶ働きをする管状のクライオスタット内に配置され、少なくとも1つの電気伝導体を有し、前記終端部(1)は内側シース(3)と外側シース(4)を有し、前記内側シース(3)内では前記
超伝導ケーブル(2)の一方の端部が冷却剤の中に配置され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)は電気絶縁材料からなり、前記内側シースと前記外側シースの間に存在する中間空間(5)内に断熱材が配置され、前記内側シース(3)は前記クライオスタットに接続され、前記終端部(1)
は垂直に配置され
、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の下側部分(C)が接地電位に接続され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の上側部分(A)が動作状態で高電位に接続されるようなものである、終端部(1)であって、
前記内側シースおよび前記外側シースの各上端で、前記内側シース(3)は、第1の破裂ディスク(3a)によって閉鎖され、前記外側シース(4)は、第2の破裂ディスク(4a)によって閉鎖されることを特徴とする、終端部(1)。
【請求項2】
超伝導ケーブル(2)用の終端部(1)において、前記超伝導ケーブル(2)は、冷却剤を運ぶ働きをする管状のクライオスタット内に配置され、少なくとも1つの電気伝導体を有し、前記終端部(1)は内側シース(3)と外側シース(4)を有し、前記内側シース(3)内では前記
超伝導ケーブル(2)の一方の端部が冷却剤の中に配置され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)は電気絶縁材料からなり、前記内側シースと前記外側シースの間に存在する中間空間(5)内に断熱材が配置され、前記内側シース(3)は前記クライオスタットに接続され、前記終端部
は垂直に配置され
、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の下側部分(C)が接地電位に接続され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の上側部分(A)が動作状態で高電位に接続されるようなものである、終端部(1)であって、
前記内側シースおよび前記外側シースの各上端で、前記内側シース(3)は、内側終端プレート(18)によって閉鎖され、前記外側シース(4)は、外側終端プレート(19)によって閉鎖され、前記
超伝導ケーブル(2)の前記少なくとも1つの導体が前記内側終端プレート(18)に電気的に接続され、前記内側終端プレート(18)が前記外側終端プレート(19)に電気的に接続されることを特徴とする、終端部(1)。
【請求項3】
前記
超伝導ケーブル(2)の前記少なくとも1つの導体が、プラグ(17)によって前記内側終端プレート(18)に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の終端部(1)。
【請求項4】
前記内側終端プレート(18)が、プラグ(20b)または可撓性を有する導体リボン(20a)によって、前記外側終端プレート(19)に接続されることを特徴とする、請求項2または3に記載の終端部(1)。
【請求項5】
前記
超伝導ケーブルの前記端部の前記少なくとも1つの導体が、外側に向かって側方に延びる第1の接触要素(7)に、電気的に接続されることを特徴とする、請求項
1に記載の終端部(1)。
【請求項6】
前記
超伝導ケーブルの前記端部のシールド導体が、外側に向かって側方に延びる第2の接触要素(8)に、電気的に接続されることを特徴とする、請求項
1に記載の終端部(1)。
【請求項7】
冷却剤が、電気絶縁材料からなる冷却管(15)によって、前記終端部(1)の接地電位に接続された下側部分(C)から、前記終端部の内部を、高電圧の上側部分(A)まで案内されることを特徴とする、請求項
1に記載の終端部(1)。
【請求項8】
前記冷却管(15)が、前記内側シース(3)の内部に延び、前記内側シースに対して同心に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の終端部(1)。
【請求項9】
前記中間空間(5)に配置された前記断熱材が、固体で構成されることを特徴とする、請求項
1に記載の終端部(1)。
【請求項10】
大気圧に対する陰圧が、前記中間空間(5)に生成されることを特徴とする、請求項
1に記載の終端部(1)。
【請求項11】
超伝導ケーブル(2)用の終端部(1)を組み立てる方法において、前記超伝導ケーブル(2)は、冷却剤を運ぶ働きをする管状のクライオスタット(32)内に配置され、少なくとも1つの電気伝導体を有し、前記終端部(1)は内側シース(3)と外側シース(4)を有し、前記内側シース(3)内では前記
超伝導ケーブル(2)の一方の端部が冷却剤の中に配置され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)は電気絶縁材料からなり、前記内側シースと前記外側シースの間に存在する中間空間(5)内に断熱材が配置され、前記内側シース(3)は前記
管状のクライオスタット
(32)に接続され、前記終端部(1)
は垂直に配置され
、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の下側部分(C)が接地電位に接続され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の上側部分(A)が動作状態で高電位に接続されるようなものである、方法であって、
前記
管状のクライオスタット(32)に接続される高い可撓性を有するクライオスタット(30)が、水平位置で、前記
超伝導ケーブルの前記端部に嵌められ、前記
高い可撓性を有するクライオスタット(30)は、2つの高い可撓性を有する管で構成され、それらの管は、互いに同心に配置され、真空断熱された間隙(31)によって互いに分離されており、
前記終端部(1)が、前記
超伝導ケーブルの前記端部と、前記
超伝導ケーブルの前記端部に取り付けられた前記高い可撓性を有するクライオスタット(30)とに、水平位置で接続され、
次に、前記終端部(1)が、組み立て済みの状態で垂直位置に移され、前記高い可撓性を有するクライオスタット(30)とその中に位置する前記
超伝導ケーブル(2)が、折り曲げられることを特徴とする、方法。
【請求項12】
超伝導ケーブル(2)用の終端部(1)を組み立てるための接続クライオスタット(30)において、前記超伝導ケーブル(2)は、冷却剤を運ぶ働きをする管状のケーブル・クライオスタット
(32)内に配置され、少なくとも1つの電気伝導体を有し、前記終端部(1)は内側シース(3)と外側シース(4)を有し、前記内側シース(3)内では前記
超伝導ケーブル(2)の一方の端部が冷却剤の中に配置され、前記内側シース
(3)および前記外側シース(
3)
は電気絶縁材料からなり、前記内側シースと前記外側シースの間に存在する中間空間(5)内に断熱材が配置され、前記内側シース(3)は前記
管状のケーブル・クライオスタット
(32)に接続され、前記終端部(1)
は垂直に配置され
、前記内側シース
(3)および前記外側シース(
3)
の下側部分(C)が接地電位に接続され、前記内側シース
(3)および前記外側シー
ス(
4)の上側部分(A)が動作状態で高電位に接続されるようなものである、接続クライオスタット(30)であって、
前記接続クライオスタット(30)が、2つの高い可撓性を有する管で構成され、前記管が、互いに同心に配置され、真空断熱された間隙(31)によって互いに分離され、
前記接続クライオスタット(30)が、前記
超伝導ケーブルの前記端部に嵌められ、一方の端部が前記内側シース(3)に、もう一方の端部が前記
管状のケーブル・クライオスタット
(32)に接続され、
前記接続クライオスタット(30)が、水平に配置された前記
超伝導ケーブル(2)と垂直に配置された前記終端部(1)との間
で動作状態で折り曲げられることを特徴とする、接続クライオスタット(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導ケーブル用の終端部に関し、上記超伝導ケーブルは、冷却剤を運ぶ働きをする管状のクライオスタット内に配置され、少なくとも1つの電気伝導体を有し、上記終端部は内側シースと外側シースを有し、上記内側シース内では上記ケーブルの一方の端部が冷却剤の中に配置され、上記両シースは電気絶縁材料からなり、上記内側シースと上記外側シースの間に存在する中間空間内に断熱材が配置され、上記内側シースは上記クライオスタットに接続される。上記終端部は動作状態で垂直に配置され、上記外側および内側シースの下側部分が接地電位に接続され、上記両シースの上側部分が高電位に接続される。本発明はさらに、超伝導ケーブル用の終端部を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高電圧電気系統などで使用するための超伝導ケーブルは、十分に低い温度で超伝導状態に切り替わる材料からなる1つまたは複数の電気伝導体を有する。この少なくとも1つの導体はまた、超伝導材料と常伝導材料の組合せでも構成されうる。超伝導ケーブルの複数の導体は通常、同心に配置される。このケーブルの1つまたは複数の導体を、外側のシールド導体が取り囲む。シールド導体も同様に、十分に低い温度で超伝導状態に切り替わる材料からなりうる。ただし、このシールド導体もまた、超伝導材料と常伝導材料の組合せ、あるいは常伝導材料のみで構成されうる。これらの導体およびシールド導体は、いずれの場合も、電気絶縁層によって互いに分離された形で配置される。これらの導体およびシールド導体と、それらの間に位置する電気絶縁体は、冷却剤を含んだ断熱シース内に配置される。これに適した冷却剤は、例えば液体状態の窒素や、ヘリウムなどである。
【0003】
超伝導ケーブルの端部はそれぞれ、冒頭で述べたように、終端部を備える。この終端部により、送電区画の両側で、冷却された超伝導系から周囲温度または室温の常伝導系への、電気的かつ熱的な移行が可能になる。常伝導系は、例えば高電圧給電系や配電系である。
【0004】
この種の終端部は、例えば特許文献1に記載されている。この終端部は、超伝導ケーブルの各導体に対して電気伝導体を備えるブッシングを有する。ブッシングの電気伝導体は、例えば、一方の端部が超伝導体に、もう一方の端部が常伝導体に接続されるコネクタである。
【0005】
この種の終端部は、好ましくは垂直に使用される。この垂直配置は、詳細には、終端部の高電位にある端部が地面からできるだけ遠ざけられた、省スペースの配置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、単純な構造であると同時に、全ての熱的/電気的要件を満たす、超伝導ケーブル用の終端部を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、この目的は、シースの各上端で、上記終端部の上記内側シースは、第1の破裂ディスクによって閉鎖され、上記終端部の上記外側シースは、第2の破裂ディスクによって閉鎖されることで、達成される。
【0009】
内側スリーブと外側スリーブの各上端に破裂ディスクを配置することにより、万一破裂した場合は漏れていく液体窒素などの冷却剤が、そこから周囲空気に直接放出され、蒸発できる。流出または排出ガスの管路が不要になる。このようにして、終端部の構造がかなり単純化される。
【0010】
本発明の目的はさらに、シースの各上端で、上記終端部の上記内側シースは、内側終端プレートによって閉鎖され、上記終端部の上記外側シースは、外側終端プレートによって閉鎖され、上記ケーブルの上記少なくとも1つの導体が上記内側終端プレートに電気的に接続され、上記内側終端プレートが上記外側終端プレートに電気的に接続されることで、達成される。
【0011】
本発明による終端部により、その終端部と超伝導ケーブルとの特に単純な接続が可能になる。したがって、上記終端部の組み立ては単純化され、既知の終端部よりも費用対効果が大きい。
【0012】
本発明による終端部の事例では、上記ケーブルの上記少なくとも1つの導体が、上記ケーブル端部に取り付けられたプラグによって上記内側終端プレートに接続されうる。上記内側終端プレートは、プラグまたは可撓性を有する導体リボンによって、外側終端プレートに接続されうる。
【0013】
本発明による終端部の事例では、上記ケーブル端部の上記少なくとも1つの導体が、有利には、外側に向かって側方に延びる接触要素に、電気的に接続されうる。
【0014】
ケーブル端部の冷却に必要な冷却剤は、有利には、電気絶縁材料からなる冷却管によって、終端部の、接地電位に接続された下側部分から、上記終端部の内部を、高電圧の上側部分まで案内されうる。上記終端部の、接地電位に接続された下端のところで冷却管に冷却剤を導入することにより、その終端部の取り扱いと、その終端部と冷却設備との接続が単純化される。上記終端部の上端のところで内側シースに冷却剤を導入することにより、終端部内の熱的な層形成と、気泡の形成が防止される。冷却管は、内側シースの内部に延び、その内側シースに対して同心に配置されてもよく、したがって、それに供給される冷却剤は、内側シースと冷却管の間にある中間空間内を上向きに運ばれる。この冷却管はまた、冷却剤を内側スリーブと外側スリーブの間にある高電位部分まで運びうる。終端部の内部に冷却管が延びることにより、終端部の外側における断熱・電気絶縁供給管路も不要になる。
【0015】
他の態様によると、本発明は、超伝導ケーブル用の終端部を組み立てる方法に関する。上記ケーブル・クライオスタットに接続される可撓性を有するクライオスタットが、水平位置で、突出するケーブル端部をまず覆ってから、上記ケーブル・クライオスタットの端部に嵌められ、上記クライオスタットは、2つの可撓性を有する管で構成され、この管は、互いに同心に配置され、真空断熱された間隙によって互いに分離されている。上記終端部が、同様に水平位置で、上記ケーブル端部と、そのケーブル端部に取り付けられた上記クライオスタットとに接続される。次に、上記終端部が、組み立て済みの状態で垂直位置に移され、上記可撓性を有するクライオスタットとその中に位置する上記ケーブルが、折り曲げられる。
【0016】
本発明による方法の事例では、上記終端部は、高い可撓性を有するクライオスタットによって、超伝導ケーブルの端部に接続される。上記2つの組み立てステップは、有利には、水平位置で実行され、その結果、この作業ステップは、垂直の組み立てに比べてかなり単純化される。組み立て作業が完了した後、組み立て済みの終端部は垂直位置に移される。高い可撓性を有するクライオスタットを用いることから、ケーブル・クライオスタットと終端部クライオスタットの間の接続箇所で組み立て中に生じうる、損傷を招く望ましくない応力が、ケーブル・クライオスタットと終端部の間の境界部のところで回避される。組み立て作業中に、可撓性を有するクライオスタット部分とその中に配置された超伝導ケーブルのみが、約90°にわたって折り曲げられる。
【0017】
本発明はまた、超伝導ケーブル用の終端部を組み立てるための接続クライオスタットに関し、
上記接続クライオスタットは、2つの可撓性を有する管で構成され、上記管は、互いに同心に配置され、真空断熱された間隙によって互いに分離され、
上記接続クライオスタットは、上記ケーブル端部に嵌められ、一方の端部が上記内側シースに、もう一方の端部が上記ケーブル・クライオスタットに接続され、
上記接続クライオスタットは、水平に配置された上記ケーブルと垂直に配置された上記終端部との間の組み立て位置で折り曲げられる。
【0018】
本発明の対象の例示的な実施形態が各図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の例示的な一実施形態による終端部の断面図である。
【
図2】他の例示的な実施形態による終端部の断面図である。
【
図3】(A)および(B)は、本発明による終端部の他の2つの例示的な実施形態の細部の概略図である。
【
図4】本発明による方法に従って組み立てられた終端部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
各図面において、同一の参照符号は同じ技術的特徴に関連する。
【0021】
図1および2に、本発明の各実施形態による終端部1が示されている。終端部1は、垂直に配置されている。超伝導ケーブル2の端部が、終端部1に配置されている。超伝導ケーブル2は、1つまたは複数の同心に配置された電気伝導体と、1つのシールド導体を有しうる。図示されている例では、ケーブル2は、1つの電気伝導体と、1つのシールド導体を有する。ケーブル2は、送電区画全体にわたって、ケーブル・クライオスタット32によって取り囲まれている。ケーブル2の端部は、ケーブル・クライオスタット32の端部を越えて突出している。
【0022】
超伝導ケーブル2の導体は、ブッシング7の電気伝導体に接続され、このブッシング7は、高電位にあり、終端部1の外部にあるエネルギー供給システム(図示せず)への電気的接続を確立する。他のブッシング8は、超伝導ケーブル2のシールド導体を、接地電位に接続する働きをする。2つのブッシング7、8は、終端部1から側方に延びる側方ブッシングである。これの代替として、高電位用のブッシングは、終端部1から上向きにも延びうる。
【0023】
終端部1は、
図1および2に示されているように、大部分は内側シース3と外側シース4で実質的に構成される。シース3、4はそれぞれ、例えば回転対称の管ピースとして具体化される。内側シース3は、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの複合材料やセラミックの電気絶縁材料からなる。内側シース3および外側シース4はそれぞれ、少なくともブッシング7と8の間の領域Bでは、電気絶縁材料からなる。さらに、シース3、4は、上側ブッシング7の上に位置する終端部の領域Aと、下側ブッシング8の下に位置する終端部の領域Cでは、金属で構成されうる。内側および外側シース3、4のこれらの部分ピースは、例えば金属フランジ継手9a、9b、10a、10bなどによって、互いに接続される。
【0024】
内側シース3は、ケーブル端部を冷却するための冷却剤を運ぶ働きをし、例えばフランジ継手などによって、ケーブル・クライオスタットに接続される。
【0025】
外側シース4は、有利には、例えば外側表面にシリコーンリブ4bが取り付けられたGFRPなどで構成される複合碍子を形成する。外側シース4は内側シース3と共に、中間空間5を形成し、この中間空間5には断熱材が充填される。この断熱材は、例えば断熱発泡体やガラスビーズなどで構成されうる。さらに、中間空間5内の断熱効果を向上させる目的で、周辺領域に対して陰圧が生成されうる。
【0026】
図示されている例示的な実施形態では、内側シース3内に突出しているケーブル端部が電界制御電極6を備える。この電界制御装置は、ケーブル端部における電界強度の過剰な局所的増大を避けるために必要である。他の例示的な実施形態によると、電界制御装置は、導電性の挿入体からなる装置で構成された容量性の電界制御装置として実装されうる。
図1および2において参照番号13および14で示されているリングは、高電位または接地電位にある金属フランジ9と10の間の電界制御の働きをするシールド装置を示す。
【0027】
図1による例示的な実施形態では、内側シース3は、その上端で第1の破裂ディスク3aによって閉鎖され、外側シース4は、その上端で第2の破裂ディスク4aによって閉鎖されている。破裂ディスク3a、4aは、好ましくは金属、例えば鋼鉄などからなる。破裂ディスク3a、4aのところで所定の圧力を超えると、それらの破裂ディスクは破裂して開き、終端部1の残りの構成部品は損傷を受けない。第2の外側破裂ディスク4aは、有利には、内側破裂ディスク3aよりもかなり低い応答圧力で設計される。
【0028】
冷却剤は、冷却剤供給装置によって終端部1に供給される。これが
図2に示されている。冷却剤供給装置は冷却管15で構成され、冷却管15は冷却剤を、終端部1の、接地電位に接続された下側領域Cから、高電位にある上側領域Aへと運ぶ。冷却管15は、全体が絶縁材料で構成されてもよく、あるいは終端部1の領域Bは絶縁材料で、領域AおよびCは金属で構成されてもよい。冷却管は、その下端16のところで、冷却設備(図示せず)に接続される。ただし、上側領域Aへの供給は、別の適切な形でも行われうる。
【0029】
図3(A)および
図3(B)にそれぞれ、本発明の他の2つの実施形態による終端部の上端が示されている。原則的に、この終端部の構造は、
図1および2に関してすでに説明したものと同じである。
図3(A)および
図3(B)による例は、超伝導ケーブル2との接触接続が上記の例と異なる。
図1および2によると、ケーブルと接触接続するためのブッシング7、8は、終端部1から側方に延びる。
図3(A)および
図3(B)に記載されている例では、ケーブル端部2は、終端部から直接上方に延びる接続要素に接続される。ケーブル2の導体2aは、プラグ17によって第1の内側終端プレート18に接続される。それと同時に、内側終端プレート18は、内側シース3をその上端のところで閉鎖する。外側シース4は、第2の外側終端プレート19によって閉鎖される。外側終端プレート19は、高電位にあるブッシングに相当する。内側終端プレート18と外側終端プレート19は、導電性の接触要素20a、20bによって互いに接続される。この導電性の接触要素は、例えば
図3(A)に示されているように、可撓性を有する導体リボン20aにしうる。導電性の接触要素はまた、第2のプラグ20bにしうる。第2のプラグ20bは、
図3(B)に示されているように、その挿入のために設けられた2つの終端プレート18、19のレセプタクル21a、21bのそれぞれに、挿入される。
【0030】
図4に、本発明の方法に従って組み立てられた終端部1が示されている。この方法によると、高い可撓性を有するクライオスタット30がまず、ケーブル端部を覆って水平位置に配置される。本発明による可撓性を有する接続クライオスタット30は、2つの高い可撓性を有する管で構成される。この2つの管は、互いに同心に配置され、真空断熱された間隙31によって互いに分離されている。これらの管は、例えば金属製の波形管である。高い可撓性を有するクライオスタット30は、ケーブル・クライオスタット32に接続される。次に、ケーブル端部と可撓性を有するクライオスタット30が、同様に水平位置で、例えば
図1および2に関して説明したように、終端部1に接続される。このとき、ケーブル端部は終端部1の内側シース3内に位置する。次に、終端部1が、
図4に示されているように、組み立て済みの状態で垂直位置まで移される。この工程で、高い可撓性を有するクライオスタット30とその中に位置するケーブル2は、約90°にわたって折り曲げられる。このとき、接続クライオスタット30は、一方の端部が内側シース3に接続され、もう一方の端部がケーブル・クライオスタット32に接続されている。接続クライオスタット30の真空チャンバ31は、有利には、終端部1の内側シース3と外側シース4の間にある中間空間5から分離される。その結果、接続クライオスタット30は、早ければ終端部1の設置前に、排気できる。
【符号の説明】
【0031】
1 終端部
2 超伝導ケーブル
2a ケーブル2の導体
3 内側シース
3a 第1の破裂ディスク
4 外側シース
4a 第2の破裂ディスク
4b シリコーンリブ
5 中間空間
6 電界制御電極
7 ブッシング
8 ブッシング
9 金属フランジ
9a 金属フランジ継手
9b 金属フランジ継手
10 金属フランジ
10a 金属フランジ継手
10b 金属フランジ継手
13 リング
14 リング
15 冷却管
16 冷却管の下端
17 プラグ
18 第1の内側終端プレート
19 第2の外側終端プレート
20a 導体リボン
20b 第2のプラグ
21a レセプタクル
21b レセプタクル
30 接続クライオスタット
31 接続クライオスタット30の真空チャンバ
32 ケーブル・クライオスタット