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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】開口枠の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
E06B1/56 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018090552
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019011667
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017128343
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】舘野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】石塚 洋司
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-100671(JP,U)
【文献】特開2017-115462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口枠を躯体側建材に連結するための構造であって、
前記開口枠は前記躯体側建材に、前記開口枠を形成している枠部材の長さ方向に複数配置された連結具により連結され、これらの連結具は、基部の位置が前記枠部材の長さ方向における同じ位置になって前記開口枠に配置されている2個の連結部材を含んで構成され、これらの連結部材は、互いに前記基部から前記枠部材の長さ方向の反対側へ延びており、前記2個の連結部材の先部が前記躯体側建材に結合されていることにより、前記開口枠が前記躯体側建材に連結されており、
前記2個の連結部材は、前記開口枠の厚さ方向が軸方向となって前記基部に配置されている軸を中心に開閉自在となっており、
前記躯体側建材は第1躯体側建材であり、前記2個の連結部材の先端部は、前記第1躯体側建材が取り付けられている第2躯体側建材における前記開口枠側の面に当接しており、前記2個の連結部材の前記先部が前記第1躯体側建材に結合具によって結合されていることにより、前記開口枠が前記躯体側建材に連結されていることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の開口枠の連結構造において、前記枠部材には、前記軸を支持する軸受け部材が設けられていることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開口枠の連結構造において、前記2個の連結部材は、前記第1躯体側建材における前記開口枠の厚さ方向両側の面を挟む一対の部分を備えていることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項4】
請求項3に記載の開口枠の連結構造において、前記2個の連結部材は、前記一対の部分に架け渡された架け渡し部を備えていることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の開口枠の連結構造において、前記結合具は、前記開口枠の厚さ方向が軸方向となっているものであることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の開口枠の連結構造において、前記結合具は、ドリルねじであることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の開口枠の連結構造において、前記2個の連結部材には、これらの連結部材を前記軸を中心に閉じる方向に付勢するための弾性部材の弾性力が作用していることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項8】
請求項7に記載の開口枠の連結構造において、前記弾性部材は、前記2個の連結部材に架け渡されたコイルばねであることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の開口枠の連結構造において、前記2個の連結部材の前記先端部は、湾曲突出状に面取りされた部分となっていることを特徴とする開口枠の連結構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の開口枠の連結構造において、前記枠部材には、上下方向に延びる側枠部材と、左右方向に延びる上枠部材とがあり、これらの側枠部材と上枠部材のそれぞれが、前記側枠部材と前記上枠部材の長さ方向に複数配置された前記連結具により前記躯体側建材に結合されていることを特徴とする開口枠の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口枠を躯体側建材に連結するための開口枠の連結構造に係り、例えば、開き戸装置や引き戸装置のためのドア枠や、常時通過可能に開口している通過枠等の開口枠に適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、建物等の躯体である壁に形成された開口部の内側に、内部が開き戸で開閉される出入口となっているドア枠が、開口枠として配設されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-71863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
壁に形成された開口部の内側にドア枠等の開口枠を配設する作業は、開口枠を躯体側建材に連結部材を介して連結することにより行われ、この連結作業のために、連結部材の両端部を開口枠と躯体側建材とにビス等の結合具で結合することにより、開口枠を躯体側建材に不動状態で連結することが行われているが、開口枠を躯体側建材に連結する作業を、作業効率の向上のために、容易かつ短時間で実施できるようにすることが求められる。
【0005】
本発明の目的は、ドア枠等の開口枠を躯体側建材に不動状態で連結することを容易かつ短時間で行えるようになる開口枠の連結構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開口枠の連結構造は、開口枠を躯体側建材に連結するための構造であって、前記開口枠は前記躯体側建材に、前記開口枠を形成している枠部材の長さ方向に複数配置された連結具により連結され、これらの連結具は、基部の位置が前記枠部材の長さ方向における同じ位置になって前記開口枠に配置されている2個の連結部材を含んで構成され、これらの連結部材は、互いに前記基部から前記枠部材の長さ方向の反対側へ延びており、前記2個の連結部材の先部が前記躯体側建材に結合されていることにより、前記開口枠が前記躯体側建材に連結されていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係る開口枠の連結構造では、開口枠を躯体側建材に連結することは、開口枠を形成している枠部材の長さ方向に複数配置された連結具により行われ、これらの連結具は、基部の位置が枠部材の長さ方向における同じ位置になって開口枠に配置されている2個の連結部材を含んで構成されていて、これらの連結部材は、互いに基部から枠部材の長さ方向の反対側へ延びており、2個の連結部材の先部が躯体側建材に結合されていることにより、開口枠が躯体側建材に連結されているため、開口枠を躯体側建材に連結するためには、2個の連結部材の先部を躯体側建材に結合する作業を行えばよく、このため、開口枠を躯体側建材に連結する作業を容易に短時間で実施でき、また、2個の連結部材は、互いに基部から枠部材の長さ方向の反対側へ延びていて、これらの連結部材の先部が躯体側建材に結合されるため、開口枠を、この開口枠を形成している枠部材の長さ方向に不動状態にさせて連結具により躯体側建材に連結することができる。
【0008】
以上の本発明において、前記枠部材に、上下方向に延びる側枠部材と、左右方向に延びる上枠部材とがある場合には、これらの側枠部材と上枠部材のそれぞれを、側枠部材と上枠部材の長さ方向に複数配置された前記連結具により躯体側建材に結合することが好ましい。
【0009】
これによると、開口枠を、この開口枠を形成している枠部材の長さ方向に不動状態にさせて連結具により躯体側建材に連結することを、上下方向と左右方向との両方について実現できる。
【0010】
また、以上の本発明において、それぞれの連結具の2個の連結部材を、躯体側建材における開口枠の厚さ方向両側の面を挟む部分を備えているものとすることが好ましい。
【0011】
これによると、それぞれの連結具の2個の連結部材が、躯体側建材における開口枠の厚さ方向両側の面を挟む部分を備えているため、開口枠を、この開口枠を形成している枠部材の長さ方向に不動状態にさせて連結具により躯体側建材に連結すると、開口枠を、この開口枠の厚さ方向にも不動状態にして躯体側建材に連結することができる。
【0012】
また、それぞれの連結具の2個の連結部材を、開口枠の厚さ方向が軸方向となって前記基部に配置されている軸を中心に開閉自在としてもよい。
【0013】
このようにそれぞれの連結具の2個の連結部材を、開口枠の厚さ方向が軸方向となって前記基部に配置されている軸を中心に開閉自在とすると、軸を中心とした2個の連結部材の開き角度を、開口枠と躯体側建材との間のすき間の大きさに応じて変化させることにより、開口枠と躯体側建材との間のすき間の大きさに有効に対処して、開口枠を、この開口枠を形成している枠部材の長さ方向に不動状態にさせて連結具により躯体側建材に連結することができる。
【0014】
また、このようにそれぞれの連結具の2個の連結部材を、開口枠の厚さ方向が軸方向となって前記基部に配置されている軸を中心に開閉自在とする場合には、前記躯体側建材を第1躯体側建材とし、2個の連結部材の先端部を、第1躯体側建材に取り付けられた第2躯体側建材における開口枠側の面に当接させるとともに、2個の連結部材の先部を第1躯体側建材に結合具によって結合することで開口枠が躯体側建材に連結されるようにしてもよい。
【0015】
これによると、それぞれの連結具の2個の連結部材が、開口枠の厚さ方向が軸方向となって前記基部に配置されている軸を中心に開閉自在となっていても、2個の連結部材の先部を第1躯体側建材に結合具によって結合することで開口枠を第1躯体側建材に連結する際に、2個の連結部材の先端部は、第1躯体側建材に取り付けられた第2躯体側建材における開口枠側の面に当接しているため、2個の連結部材の先部を第1躯体側建材に結合具によって結合する作業を、2個の連結部材が前記軸を中心に開閉することをなくして実施することができる。
【0016】
また、それぞれの連結具の2個の連結部材には、これらの連結部材を前記軸を中心に閉じる方向に付勢するための弾性部材の弾性力を作用させることが好ましい。
【0017】
このようにそれぞれの連結具の2個の連結部材に、これらの連結部材を前記軸を中心に閉じる方向に付勢するための弾性部材の弾性力を作用させると、開口枠と第1又は第2躯体側建材との間のすき間がどのような大きさとなっていても、2個の連結部材の先部を第1躯体側建材に結合具によって結合する作業を行う際に、弾性部材の弾性力により、2個の連結部材の先端部を第2躯体側建材における開口枠側の面に当接させることができる。
【0018】
このような弾性部材は、2個の連結部材に架け渡されたコイルばねでもよく、あるいは、2個の連結部材が開閉するための中心軸となっている前記軸に配置されたねじりコイルばねでもよい。
【0019】
また、前述したようにそれぞれの連結具の2個の連結部材を、開口枠の厚さ方向が軸方向となって前記基部に配置されている軸を中心に開閉自在とし、2個の連結部材の先部を第1躯体側建材に結合具によって結合することで開口枠を第1躯体側建材に連結する際に、2個の連結部材の先端部を、第2躯体側建材における開口枠側の面に当接させる場合には、2個の連結部材の先端部を、湾曲突出状に面取りされている部分とすることが好ましい。
【0020】
これによると、開口枠と第1又は第2躯体側建材との間のすき間の大きさに対処するために、2個の連結部材が前記軸を中心に開閉自在となっていても、2個の連結部材の先端部は湾曲突出状に面取りされている部分となっているため、これらの先端部を、より確実に第2躯体側建材における開口枠側の面に当接させることができる。
【0021】
以上説明した本発明に係る開口枠の連結構造は、建物等の構造物に配設される任意の開口枠を躯体側建材に連結するために用いることができ、この開口枠は、開き戸装置の開き戸で開閉される出入口を形成するためのドア枠でもよく、引き戸装置の引き戸で開閉される出入口を形成するためのドア枠でもよく、開閉する扉等がなくて、常時通過可能に開口している通過枠等でもよい。
【0022】
また、本発明に係る開口枠の連結構造は、建物等の構造物に新設される開口枠に適用できるとともに、改修される開口枠にも適用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、ドア枠等の開口枠を躯体側建材に不動状態で連結することを容易かつ短時間で行えるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る構造が適用される開き戸装置の全体正面図である。
図2図2は、開き戸装置側の建材となっているドア枠を示す正面図である。
図3図3は、開き戸装置の開き戸を示す正面図である。
図4図4は、ドア枠と、躯体側の建材となっている補強部材との連結具による連結構造を示す全体正面図である。
図5図5は、図4の一部拡大正面図である。
図6図6は、図5のS6-S6線断面図である。
図7図7は、連結具を構成する連結部材を示す図であって、(A)は、平面図、(B)は、正面図である。
図8図8は、補強部材にドア枠が連結具により連結される以前であって、ドア枠に連結具が取り付けられたときを示すドア枠の一部拡大正面図である。
図9図9は、図8のS9-S9線断面図である。
図10図10は、図8のときのドア枠の全体を示す正面図である。
図11図11は、図8のときのそれぞれの補強部材を示す正面図である。
図12図12は、ドア枠や開き戸等の建材を開き装置の設置現場まで搬送するための走行搬送台車を示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図である。
図13図13は、走行搬送台車の側面図である。
図14図14は、走行搬送台車を立ち上げ状態にして走行させるときを示す正面図である。
図15図15は、ドア枠を開き戸装置の設置現場で持ち上げるためのジャッキ装置を示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図である。
図16図16は、共に建材となっているドア枠と補強部材との間のすき間の大きさを調整するためのすき間調整装置を示し、(A)は、正面図、(B)は、側面図である。
図17図17は、すき間調整装置の正断面図である。
図18図18は、図17の一部拡大断面図である。
図19図19は、ドア枠を補強部材に連結具により連結する作業を行うときに、ジャッキ装置とすき間調整装置とが用いられることを示す全体正面図である。
図20図20は、すき間調整装置によりドア枠と補強部材との間のすき間の大きさを調整する作業を示す断面図である。
図21図21は、開き戸を開き戸装置の設置現場で上昇させてドア枠にヒンジで連結するためのリフト装置を示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図である。
図22図22は、リフト装置が2個の回動中心軸を有していることを示す平面図である。
図23図23は、リフト装置により開き戸を上昇させたときを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、開き戸装置の全体正面図が示され、この開き戸装置は、開き戸1がドア枠2にヒンジ3を中心に回動自在に取り付けられたものであり、ドア枠2は、建物躯体である壁4に形成された開口部4Aの内側に配置されている。図2には、開き戸1が取り付けられる以前のドア枠2が示され、図3には、開き戸1だけが示されている。ドア枠2には、ヒンジ3のうち、ドア枠側部材となっている図2のドア枠側羽根板3Aが結合され、開き戸1には、ヒンジ3のうち、開き戸側部材となっている図3の開き戸側羽根板3Bが結合され、開き戸1を持ち上げて、ドア枠側羽根板3Aに立設されている図2のピン3Cを、開き戸側羽根板3Bに形成されている縦孔に挿入することにより、開き戸1はドア枠2にヒンジ3を中心に回動自在に取り付けられる。
【0026】
図2に示されているように、ドア枠2は、内部が開き戸1により開閉される出入口11となっている開口枠である。本実施形態のドア枠2は四方枠となっているため、このドア枠2は、上下方向に延びる左右の側枠部材2A,2Bと、左右方向に延びる上枠部材2Cと、左右方向に延びる沓摺部材となっている下枠部材2Dとからなり、これらの枠部材2A,2B,2C,2Dは予め工場で溶接接合され、また、ドア枠側羽根板3Aも予め工場でドア枠2に結合されている。
【0027】
なお、ドア枠2は、下枠部材2Dが存在しない三方枠でもよい。
【0028】
図4には、図1及び図2で示されている壁4へのドア枠2の配置状態が示されており、図5は、図4の一部拡大図であり、図6は、図5のS6-S6線断面図である。図1及び図2で示されている壁4は、図6に示されているように、芯部材5の表裏両面に石膏ボード等の面材6を止着することにより形成され、建物躯体となっているこの壁4に設けられた図1及び図2の開口部4Aの内側にドア枠2が配設されている。図4には、壁4の内部に多数設けられている芯部材5のうち、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと左右方向に対向する箇所において、縦方向が長さ方向となって配置されている芯部材5A,5Bと、ドア枠2の上枠部材2Cと上下方向に対向する箇所において、左右方向が長さ方向となって配置されている芯部材5Cとが示されている。
【0029】
壁4の開口部4Aの内側にドア枠2を配設する作業を行う以前において、芯部材5A,5B,5Cには、図4図6で示す補強部材7が予め結合されており、また、これらの補強部材7ごとに下地部材8が図6の止着具9により取り付けられており、この下地部材8は、それぞれの補強部材7について、補強部材7の長さ方向の間隔をあけて複数個設けられている。それぞれの下地部材8には、下地部材8の長さ方向両端部において位置決め部材10が結合されており、これらの位置決め部材10を、補強部材7におけるドア枠2の厚さ方向(開き戸1の厚さ方向)両側の面のうち、一方の面に当接させた後に、下地部材8を補強部材7に止着具9で取り付けているため、それぞれの下地部材8は、補強部材7にドア枠2の厚さ方向における所定位置に位置決めされて取り付けられている。
【0030】
以上において、補強部材7及び下地部材8は、建物躯体となっている壁4側の部材となっているため、これらの補強部材7及び下地部材8は、躯体側建材である。これに対して開き戸1及びドア枠2は、壁4に設置される開き戸装置側の部材であるため、これらの開き戸1及びドア枠2は、開き戸装置側建材となっている。
【0031】
なお、本実施形態では、補強部材7と下地部材8のうち、下地部材8は第1躯体側建材となっており、補強部材7は、この第1躯体側建材が取り付けられた第2躯体側建材となっている。
【0032】
図4には、壁4の開口部4Aの内側にドア枠2を配設する作業を行った後に、ドア枠2を連結具20により躯体側建材である補強部材7に下地部材8を介して連結している状態が示されている。この連結具20は、ドア枠2における上下方向に延びる枠部材となっている左右の側枠部材2A,2Bと、左右方向に延びる枠部材となっている上枠部材2Cとのそれぞれについて、下地部材8と対応して複数個設けられており、それぞれの連結具20は同一構造のものとなっているため、図5及び図6には、ドア枠2の側枠部材2Aに設けられていて、この側枠部材2Aと、前述の芯部材5Aに結合されている補強部材7とを連結している連結具20が代表例として示されている。
【0033】
連結具20は、側枠部材2Aに結合された軸受部材21に、ドア枠2の厚さ方向が軸方向となって架設支持されている軸22と、この軸22が開閉のための共通の中心軸となっている2個の連結部材23,24とを含んで構成されたものであり、板材の折り曲げ品となっているこれらの連結部材23,24は、軸22の軸方向と直交する方向(ドア枠2の側枠部材2A,2Bに設けられている連結具20では上下方向、ドア枠の上枠部材2Cに設けられている連結具20では左右方向)へ軸22を中心に開閉自在であり、また、これらの連結部材23,24は、図5に示されているように、軸22から互いに反対側への傾き角度をもって補強部材7側へ延出している。また、連結具20には、連結部材23,24を軸22を中心にして閉じる方向に常時弾性付勢する弾性部材が設けられ、この弾性部材は、本実施形態では、両端部25Aが連結部材23,24に係止されることにより、これらの連結部材23,24に架け渡されたコイルばね25となっている。
【0034】
連結部材23と連結部材24は、形状、構造及び寸法が同じものであって、互いの向きを軸22の軸方向と直交する方向に逆向き(ドア枠2の側枠部材2A,2Bに設けられている連結具20では上下逆向き、ドア枠の上枠部材2Cに設けられている連結具20では左右逆向き)にして用いたものとなっており、図7には、図5で示されている上下の連結部材23,24のうち、上側の連結部材23と同じ向きにした状態で連結部材23,24が示されている。
【0035】
図7に示されているように、連結部材23,24は、ドア枠2側の基部において、軸22を挿通するためにカール加工で形成された軸挿通部26と、図6で示した下地部材8におけるドア枠2の厚さ方向の寸法と同じ間隔又は略同じ間隔で一対設けられたリンク部27と、これらのリンク部27同士を連結するために2個のリンク部27に架け渡された面状の架け渡し部28と、この架け渡し部28における軸挿通部26とは反対側の端部に折り曲げ加工で形成された突片部29とからなる。軸挿通部26は、連結部材23,24を軸22を中心に回動自在とするための連結部材23,24の基部であり、この軸挿通部26における軸22の長さ方向の寸法は、一対のリンク部27の間隔の半分と同じ寸法又はこの寸法よりも短い寸法となっている。連結部材23,24の突片部29に設けられた孔29Aにコイルばね25の両端部25Aを挿入係止することにより、連結部材23,24は、軸22を中心として軸22の軸方向と直交する閉じ方向に弾性付勢されることになる。
【0036】
以上のように構成されている連結部材23,24の基部となっている軸挿通部26に、枠部材2A,2B,2Cに設けられている軸受部材21で支持される軸22が、ドア枠2の厚さ方向が軸方向となって挿通されると、これらの連結部材23,24は、軸22が配置されている基部の位置が、枠部材2A,2B,2Cの長さ方向における同じ位置となってドア枠2に配置されるとともに、図5に示されているように、連結部材23,24は、互いに基部から枠部材2A,2B,2Cの長さ方向の反対側へ延びたものとなる。また、これらの連結部材23,24は、ドア枠2の厚さ方向が軸方向となって基部に配置されている軸22を中心に開閉自在となっている。
【0037】
図6に示されているように、連結部材23,24のそれぞれの一対のリンク部27により、前述の第2躯体側建材となっている補強部材7に取り付けられた下地部材8におけるドア枠2の厚さ方向両側の面を挟み、それぞれのリンク部27の先部に設けられた図7の孔27Aに図5及び図6のドリルねじ等の結合具30を挿入して、この結合具30によってリンク部27の先部を前述の第1躯体側建材となっている下地部材8に結合することにより、ドア枠2は、連結部材23,24が主要の構成部材となっている連結具20により、下地部材8を介して補強部材7に連結されることになる。このような連結具20によるドア枠2と補強部材7との連結は、図4に示されているように、ドア枠2を構成している左右の側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cとにおいて、これらの枠部材2A,2B,2Cの長さ方向の複数箇所で行われる。
【0038】
そして、それぞれのリンク部27の先部を結合具30により下地部材8に結合して、ドア枠2を下地部材8を介して補強部材7に連結する作業を行うときには、図5に示されているように、それぞれのリンク部27の先端部27Bは、コイルばね25の弾性力により、下地部材8が取り付けられている補強部材7におけるドア枠2側の面7Aに当接している。すなわち、リンク部27の先部を結合具30により第1躯体側建材となっている下地部材8に結合する作業は、リンク部27の先端部27Bを、コイルばね25の弾性力により、第2躯体側建材となっている補強部材7におけるドア枠2側の面7Aに当接させて行うことができる。
【0039】
以上説明した連結具20をドア枠2に設ける作業は、左右の側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cと下枠部材2Dとを溶接で接合してドア枠2を製造する工場において行われ、連結具20が取り付けられたドア枠2を図1で示した開き戸装置の設置現場に搬入した後に、この開き戸装置の設置現場において、連結具20の連結部材23,24に設けられているそれぞれのリンク部27の先部が結合具30により下地部材8に結合されることにより、開き戸装置側建材となっているドア枠2は、壁4側の部材であって、躯体側建材となっている補強部材7に下地部材8を連結される。
【0040】
図8は、上記工場でドア枠2に連結具20を取り付けたときを示し、図9は、図8のS9-S9線断面図である。また、図10は、開き戸装置の設置現場に搬入されたときのドア枠2の全体図であり、図11は、ドア枠2が連結具20により連結される以前におけるそれぞれの補強部材7を示し、この図11には、ドア枠2を連結具20で補強部材7に連結する作業のための前作業として、補強部材7に下地部材8を取り付けたときの状態が示されている。図8に示されているように、ドア枠2が連結具20により補強部材7に連結される以前の通常においては、連結具20の連結部材23,24は、これらの連結部材23,24の互いに対面する部分に設けられているストップ部23A,24A同士がコイルばね25の弾性力で当接することにより、閉じた状態となっている。また、作業者は、連結部材23,24を、二点鎖線で示されているように、コイルばね25の弾性力に抗して軸22を中心にして開き回動させることができる。
【0041】
なお、連結部材23,24を、これらの連結部材23,24に共通となった1本の軸22を中心に常時閉じ方向へ弾性付勢するための弾性部材は、連結部材23,24に架け渡された上述のコイルばね25でもよく、あるいは、軸22に配置されたねじりコイルばねでもよく、板ばね等でもよい。
【0042】
本実施形態に係る開き戸1はスチールドアであるため、大重量の重量物となっており、また、ドア枠2も重量物となっている。工場で製造されるこれらの重量物は、工場から図1で示した開き戸装置が設置される建物の建築現場に運ばれた後に、この建築現場内を移動させて開き戸装置の設置場所へ搬送される。この搬送作業を、開き戸1やドア枠2が重量物となっていても容易に行えるようにするために、図12図14で示した走行搬送台車40が用いられる。
【0043】
なお、この走行搬送台車40は、図6で示した面材6等の建材を搬送するためにも用いることができ、また、上記工場内において開き戸1やドア枠2等の建材を搬送するためにも用いることができる。
【0044】
図12図14で示されている本実施形態に係る走行搬送台車40は、開き戸1やドア枠2等の被搬送物41が載置される載置部材42と、車軸43の両端部に2個設けられ、床等の走行面45に接地して回転する走行輪44とを含んで構成されている。載置部材42は、被搬送物41が載せられる底部42Aと、この底部42Aの幅方向両側から立ち上がった一対の壁部42B,42Cとからなり、底部42Aにおける図12では左右方向となっている前後方向の両端部は開放された開口部となっている。この載置部材42と、2個の走行輪44を回転自在に支持している車軸43とは、前後方向の長さを有する図12のリンク部材46と、このリンク部材46の前部に設けられた揺動中心軸47とを介して連結されており、この揺動中心軸47は、載置部材42の底部42Aの下面に取り付けられた軸受け部材48により載置部材42に固定されており、車軸43は、リンク部材46の後部に設けられている。リンク部材46は、図13に示されているように、車軸43が貫通した一対のリンク部46A,46Bと、これらのリンク部46A,46B同士を連結する底面部46Cとからなり、2個の走行輪44は、載置部材42の一対の壁部42B,42C及びリンク部材46の一対のリンク部46A,46Bよりも外側に配置されている。また、車軸43とリンク部材46は、載置部材42の下側に配置されている。
【0045】
また、車軸43と平行になっている揺動中心軸47は、リンク部材46の一対のリンク部46A,46Bの前部を貫通しており、また、これらのリンク部46A,46Bは揺動中心軸47に対して回動自在となっているため、リンク部材46と、揺動中心軸47が軸受け部材48を介して取り付けられている載置部材42とは、揺動中心軸47を中心にして互いに揺動自在となっている。すなわち、リンク部材46と、このリンク部材46で支持されている車軸43と、この車軸43に配置されている走行輪44は、揺動中心軸47が取り付けられている載置部材42に対して揺動中心軸47を中心に上下方向に揺動自在であり、揺動中心軸47が取り付けられている載置部材42は、リンク部材46と、このリンク部材46で支持されている車軸43と、この車軸43に配置されている走行輪44に対して揺動中心軸47を中心に上下方向に揺動自在である。
【0046】
このため、図14に示されているように、走行輪44が走行面45に接地した状態で、車軸43を中心にリンク部材46が上向きに揺動し、このリンク部材46に対して載置部材42が水平状態又は略水平状態を維持するために、載置部材42が揺動中心軸47を中心にリンク部材46に対して相対的に揺動することが可能となっている。
【0047】
図12(B)に示されているように、リンク部材46の一対のリンク部46A,46Bのうち、一方のリンク部46Aには、このリンク部46Aと直角又は略直角をなして上方へ延出する棒状の操作部材49が、車軸43と揺動中心軸47との間において配置されており、この操作部材49の下端部には、図12(A)に示されているように、一対のリンク部46A,46Bを水平に貫通してこれらのリンク部46A,46Bと溶接等で結合された水平基端部材50が固定されている。このため、操作部材49はリンク部材46に結合されており、この操作部材49は、リンク部材46を越える高さ位置まで延びている。
【0048】
なお、操作部材49の上下方向の長さ寸法は、走行搬送台車40を倉庫等に収納等するときに、この収納等を容易にするために、リンク部材46を少し越える寸法となっている。このため、操作部材49には、この操作部材49の実質的長さ寸法を延長するための延長操作部材51を取り付け、取り外し可能に接続できるようになっており、この接続は、本実施形態において、操作部材49に対して挿抜可能となっている延長操作部材51を挿入することにより行われる。
【0049】
また、本実施形態では、図12(B)に示されているように、載置部材42の底部42Aの下面において、回転自在の補助輪52が配置されており、この配置箇所は、走行輪44から前後方向に離れた底部42Aの前部となっている。そして、この補助輪52は、底部42Aと直角をなす軸を中心に回動自在となっている回動部材53を介して底部42Aの下面に取り付けられている。
【0050】
載置部材42の底部42Aに開き戸1等の被搬送物41を載せた後に、作業者が手により延長操作部材51に図12(B)の右方向、すなわち、前述した前後方向のうち、後方への押圧操作力を作用させると、図14に示されているように、リンク部材46は、走行輪44が走行面45に接地した状態で、車軸43を中心に上向きに揺動する。このときに作業者が手で被搬送物41を触っていることにより、車軸43を中心に上向きに揺動したリンク部材46に対して載置部材42を水平状態又は略水平状態を維持させるために、揺動中心軸47を中心に載置部材42をリンク部材46に対して相対的に揺動させることができる。
【0051】
これにより、載置部材42及びこの載置部材42に載せられた被搬送物41は、水平状態又は略水平状態を維持して上昇し、これにより、本実施形態に係る走行搬送台車40は、2個の走行輪44だけが走行面45に接地して立ち上がった状態になる。次いで、作業者が上述の押圧操作力によって傾斜している延長操作部材51に図14の左方向、すなわち、前述した前後方向のうち、前方への押し力を作用させると、2個の走行輪44の回転により走行搬送台車40を走行させて、被搬送物41を所定の場所へ搬送することができる。この搬送作業は、走行搬送台車40を2個の走行輪44だけが走行面45に接地している2点支持の状態にして実施できるため、搬送作業を軽快に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、車軸43を中心に回転自在となっている2個の走行輪44は、それぞれ個別に車軸43に対して回転自在となった独立走行輪となっている。このため、走行搬送台車40の走行方向の転換を行う際も、この転換を軽快に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の走行搬送台車40は補助輪52を備えており、走行搬送台車40を走行させていないときに載置部材42に被搬送物41を載置しても、このときの走行搬送台車40は、2個の走行輪44と1個の補助輪52が走行面45に接地した3点支持の状態になっているため、載置部材42を水平状態又は略水平状態にして、被搬送物41をこの載置部材42に載せるための作業を行える。
【0054】
また、本実施形態に係る走行搬送台車40は、1個の補助輪52が走行面45に接地している上述の3点支持の状態でこの走行面45上を走行させることもでき、そして、前述したように、補助輪52は、載置部材42の底部42Aと直角をなす軸を中心に回動自在となっている回動部材53を介して底部42Aの下面に取り付けられているため、走行搬送台車40を3点支持の状態で走行面45上を走行させているときでも、補助輪52の回動により走行搬送台車40の走行方向の転換を軽快に行うことができる。
【0055】
なお、載置部材42の底部42Aの上面に、ガイドローラ等の回転ガイド部材をこの底部42Aの前後方向に複数個並設し、これにより、底部42Aの上面に前述の重量物となっている被搬送物41を回転ガイド部材の回転により容易に載せることができるようにし、また、底部42Aの上面から被搬送物41を回転ガイド部材の回転により容易に取り出すことができるようにしてもよい。
【0056】
また、車軸43の軸長さ寸法や、載置部材42及びリンク部材46の幅寸法を調整可能とすることにより、厚さ寸法等が異なる各種の被搬送物41を搬送できるようにしてもよい。
【0057】
図15には、前述の連結具20が取り付けられて工場で製造された図10のドア枠2を、開き戸装置が設置される現場の図1及び図2の壁4の開口部4A内において所定高さ位置まで持ち上げるためのジャッキ装置60が示されている。また、図16図18には、ジャッキ装置60により持ち上げられた開き戸装置側の建材となっているドア枠2を、躯体側建材となっている図11の補強部材7に連結具20により連結する以前において、ドア枠2と補強部材7との間のすき間の大きさを適正量に調整するためのすき間調整装置70が示されている。
【0058】
図15で示されているジャッキ装置60は、床等の載置面61に載置される基台部材62と、この基台部材62から上方へ延びる支柱部材63と、この支柱部材63に上下動自在に配置された上下動部材64とを含んで構成されており、本実施形態の支柱部材63は、外周面に雄ねじが刻設されている長軸ボルトにより形成されている。上下動部材64は、この長軸ボルトに螺合された六角長ナット65と、この六角長ナット65の2つの平行の外面に基部が溶接等で結合されて、六角長ナット65から水平方向又は略水平方向に延出する2個のアーム部材66と、これらのアーム部材66の先端部に結合されていて、上下方向が長さ方向となっている載置部材67とからなる。
【0059】
載置部材67は、図15(A)に示されているように、2個のフランジ部67Aと、これらのフランジ部67Aにおけるアーム部材66の延出方向先端側の端部同士を結合しているウエブ部67Bとからなる平面視でチャンネル状の部材であり、2個のフランジ部67Aが2個のアーム部材66に溶接等で結合されている。また、ウエブ部67Bの下端部は、図15(B)に示されているように、フランジ部67Aよりも下側へ延出し、この下端部には、ドア枠2を載せるための載置部67Cがアーム部材66側とは反対側へ延出して設けられている。
【0060】
基台部材62の上部には、支柱部材63を上下に貫通させるための孔が形成されており、支柱部材63の下部には、基台部材62の内外において、上述の長軸ボルトに螺合されることにより2個のナット63A(図15(B)では基台部材62の外部に配置されているナット63Aだけが示されている。)が配置されており、これらのナット63Aにより、支柱部材63は基台部材62に対して一定の高さ位置に保持されているとともに、この保持は、支柱部材63の長さ方向に延びる支柱部材中心線を中心にして支柱部材63が基台部材62に対して回転自在となって行われている。
【0061】
支柱部材63の上部には、作業者が支柱部材63を基台部材62に対して回転させるための回転操作部材68が取り付けられており、この回転操作部材68は支柱部材63に結合された結合部68Aと、縦長の寸法を有するこの結合部68Aの上部を水平方向又は略水平方向に貫通しているバー状のハンドル部68Bとからなる。
【0062】
載置部67Cに、図15の二点鎖線で示したようにドア枠2を載せた後に、作業者が回転操作部材68のハンドル部68Bにより支柱部材63を基台部材62に対して回転操作し、この回転操作を、ドア枠2を作業者が手で触ることによってドア枠2及び上下動部材64が支柱部材63を中心に回転することを阻止しながら行うことにより、載置部材67は、支柱部材63の正回転では支柱部材63に沿って上方へ移動し、支柱部材63の逆回転では支柱部材63に沿って下方へ移動するため、ドア枠2を上下動させることができ、これにより、ドア枠2を図1及び図2の壁4の開口部4A内において所定高さ位置まで持ち上げることができる。
【0063】
なお、載置部材67とドア枠2を所定高さ位置まで持ち上げることは、長軸ボルトとなっている支柱部材63が六角長ナット65を移動させる送りねじ作用により行われるため、所定高さ位置まで細かくかつ正確に持ち上げることができる。
【0064】
図16図18で示されているすき間調整装置70は、本体部材71と、この本体部材71に結合された第1当接部材72と、本体部材71及び第1当接部材72に対して図16(A)では左右方向となっている前後方向にスライド自在のスライド部材73と、丸棒で形成されているこのスライド部材73の先端に結合された第2当接部材74とを含んで構成されている。本体部材71は、図16(B)に示されているように、底部71Aと、この底部71Aの幅方向両側に設けられた2個の壁部71Bと、図16(A)に示されているように、底部71Aの前後両端部に設けられた前部立上り部71C及び後部立上り部71Dとからなる箱形状であり、前後方向を長さ方向とするスライド部材73は、前部立上り部71Cと後部立上り部71Dに形成された孔に挿通されることにより、これらの前部立上り部71Cと後部立上り部71Dを貫通して水平方向又は略水平方向に延びている。そして、後部立上り部71Dには、図17に示されているように、スライド部材73を本体部材71に対して円滑にスライド自在とするためのガイド部材75が取り付けられている。
【0065】
第1当接部材72は、本体部材71の底部71Aの外面に溶接等で結合されたベース部72Aと、このベース部72Aの先端から本体部材71とは反対側へ直角に延びる当接部72Bとからなり、この当接部72Bは第2当接部材74と平行又は略平行となっている。また、ベース部72Aにおける本体部材71とは反対側の面にはシート状のマグネット76が取り付けられ、このマグネット76により、本実施形態に係るすき間調整装置70を磁性材料の金属で形成されている前述のドア枠2又は開き戸1に磁力で吸着できるようになっている。また、図16(A)及び図17に示されているように、スライド部材73には、本体部材71の内部において、係止部材77が配置されており、この配置は、図17及び図18に示されているように、係止部材77にスライド部材73を遊合状態で貫通させることができる孔78を形成し、この孔78の内部にスライド部材73を挿通させることにより行われている。
【0066】
図16(A)及び図17に示されているように、本体部材71の後部立上り部71Dには、スライド部材73に対して本体部材71の底部71Aとは反対側において、押圧部材79が配置されている。この押圧部材79は、後部立上り部71Dに結合したナット80に螺入されて後部立上り部71Dを貫通した雄ねじ棒によるものであり、押圧部材79の先端部79Aは、本体部材71の内部において、スライド部材73のスライド方向である前後方向に係止部材77と対向しており、本体部材71の外部に露出している押圧部材79の後端部には、作業者が押圧部材79を回転操作することによりこの押圧部材79をナット80に螺入している雄ねじ棒の送り作用で前後進させることができる回転操作部79Bが設けられている。作業者がこの回転操作部79Bを回転操作することにより、押圧部材79が前進してこの押圧部材79の先端部79Aが係止部材77に当接する。
【0067】
本体部材71の内部において、弾性部材であるコイルばね81がスライド部材73の外周に巻回された状態で配置され、このコイルばね81の配置箇所は、本体部材71の前部立上り部71Cと係止部材77との間である。このため、係止部材77には、コイルばね81による後退方向への弾性力が作用している。
【0068】
係止部材77の孔78の寸法は、丸棒で形成されているスライド部材73の軸方向と直交する断面の直径よりも大きいため、係止部材77は、図18の実線で示されているように、スライド部材に対して傾斜可能となっており、また、作業者は、図18の二点鎖線で示されているように、係止部材77をスライド部材に対して直立させることもできる。係止部材77がスライド部材73に対して傾斜しているときには、係止部材77の孔78は、図18に示されているように、スライド部材73長さ方向となっている前後方向に離れた2つの箇所78A,78Bでスライド部材73と接触しているため、係止部材77がスライド部材73に係止した状態となっている。この係止状態において、押圧部材79の先端部79Aが係止部材77に当接し、押圧部材79の回転操作部79Bの正回転操作によりこの押圧部材79に押圧された係止部材77が前進すると、スライド部材73はコイルばね81を圧縮変形させて前進し、これにより、第2当接部材74も前進して第1当接部材72の当接部72Bとの間の間隔が大きくなる。この状態が図17の二点鎖線で示されている。
【0069】
また、押圧部材79の回転操作部79Bの逆回転操作によりこの押圧部材79を後退させ、次いで作業者が、図18の二点鎖線で示されているように、係止部材77をスライド部材73に対して直立させると、係止部材77のスライド部材73に対する係止が解除されるとともに、圧縮変形しているコイルばね81の弾性力により係止部材77がスライド部材73に沿って後退する。そして、このときの係止部材77はスライド部材73との係止が解除されているため、作業者は、スライド部材73及び第2当接部材74を本体部材71に対して後退させることができ、これにより、第2当接部材74と第1当接部材72の当接部72Bとの間の間隔を小さくできる。
【0070】
そして、この後に、回転操作部79Bの正回転操作により押圧部材79を前進させ、図16(A)及び図17の実線で示されているように、この押圧部材79の先端部79Aを係止部材77に当接させると、係止部材77は図18の実線で示されているようにスライド部材73に対して傾斜して、このスライド部材73に係止するため、さらに押圧部材79を前進させると、この押圧部材79の押圧力を受ける係止部材77は前進し、スライド部材73の前進により第2当接部材74と第1当接部材72の当接部72Bとの間の間隔を再び大きくすることができる。
【0071】
このように本実施形態に係るすき間調整装置70では、スライド部材73に対して係止部材77が係止しているときに、押圧部材79の押圧力を係止部材77に作用させることでスライド部材73及び第2当接部材74を前進させるための作業と、押圧部材79を後退させた後にスライド部材73に対して係止部材77を係止解除させてから、係止部材77、スライド部材73及び第2当接部材74を後退させるための作業とを実施することができ、これらの作業により、第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74との間の間隔を調整することができる。
【0072】
図19には、開き戸装置が設置される現場において、前述した躯体側建材となっている補強部材7に下地部材8を図6の止着具9により取り付けるための前作業が既に行われ、また、図10で示したように連結具20が取り付けられているドア枠2を前述したようにジャッキ装置60により所定高さ位置まで持ち上げた後に、このドア枠2を補強部材7に下地部材8を介して連結具20で連結する作業が行われる以前において、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと、これらの側枠部材2A,2Bと左右に対向している補強部材7との間のすき間の大きさを、左右の側枠部材2A,2Bごとに上下の間隔をあけて複数個配置したすき間調整装置70により適正量に調整するための作業が示されている。この作業のうち、ドア枠2をジャッキ装置60により所定高さ位置まで持ち上げる作業は、図19に示されているように、ドア枠2の左右両側の下端部に2個のジャッキ装置60を配置し、これらのジャッキ装置60の図15で示した上下動部材64の載置部材67に設けられている載置部67Cの上にドア枠2を載せ、作業者がジャッキ装置60の回転操作部材68を回転操作することにより行われる。
【0073】
また、ドア枠2をジャッキ装置60により所定高さ位置まで持ち上げる作業は、図19で示されている床12の上にジャッキ装置60の図15で示した基台部材62を置いて行われる。
【0074】
また、ドア枠2をジャッキ装置60により所定高さ位置まで持ち上げる作業を行うときには、図5及び図6に示されている結合具30によりそれぞれの連結具20の連結部材23,24のリンク部27を躯体側建材となっている前述の下地部材8に結合できる状態となっている。すなわち、この状態とするために、ドア枠2に複数個取り付けられている連結具20の2個の連結部材23,24を、図8の二点鎖線で示すように、連結部材23,24の回動中心軸となっている前述した軸22を中心にコイルばね25の弾性力に抗して作業者が開き、この後に、コイルばね25の弾性力により連結部材23,24を軸22を中心に閉じさせ、これにより、連結部材23,24のそれぞれのリンク部27により下地部材8におけるドア枠2の厚さ方向両側の面を挟み、これらのリンク部27の先端部27Bを、図5に示されているように、躯体側建材となっている補強部材7の前述した面7Aに当接させる。
【0075】
以上の作業により左右方向に対向することになったドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと、躯体側建材である補強部材7との間のすき間の大きさをすき間調整装置70により調整するためには、図19に示されているように、複数個のすき間調整装置70を側枠部材2Aに上下方向に配置するとともに、側枠部材2Bにも上下方向に配置し、これにより、一組のすき間調整装置が左右両側の側枠部材2A,2Bの同じ高さ位置に配置された2個のすき間調整装置70によって形成されるようにする。そして、これらのすき間調整装置70の配置作業は、図20から分かるように、すき間調整装置70の第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74とを、補強部材7の面7Aと、この面7Aと左右方向に対面している側枠部材2A,2Bの面2Eとの間に挿入して行う。前述したように、スライド部材73に対して係止部材77が係止しているときに、押圧部材79の押圧力を係止部材77に作用させることでスライド部材73及び第2当接部材74を前進させるための作業と、押圧部材79を後退させた後にスライド部材73に対して係止部材77を係止解除させてから、スライド部材73及び第2当接部材74を後退させるための作業とを、上述した一組のすき間調整装置を形成している2個のすき間調整装置70について、互いに逆にして交互に行い、第1当接部材72の当接部72Bに対して前進する第2当接部材74によりドア枠2を左右方向に押すことにより、間隔の大きさが変化する第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74とにより、上述の2つの面7Aと面2Eとの間の間隔を変化させて、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと、これらの側枠部材2A,2Bと左右に対向している補強部材7との間のすき間を適切の大きさに調整する。
【0076】
そして、本実施形態では、押圧部材79の押圧力によりスライドするスライド部材73と共に移動する可動式の当接部材となっている第2当接部材74に対して、当接部72Bが設けられている第1当接部材72は移動しない不動の当接部材となっている。
【0077】
なお、図20の実施形態では、第1当接部材72の当接部72Bを補強部材7の面7Aの側とし、第2当接部材74を側枠部材2A,2Bの面2Eの側として、これらの第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74とを、2つの面2Eと面7Aとの間に挿入したが、これを逆にしても、本実施形態に係るすき間調整装置70を用いることができる。
【0078】
そして、本実施形態に係るすき間調整装置70は、互いに対面している補強部材7の面7Aとドア枠2の面2Eとに当接する第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74とを有しており、また、第2当接部材74が取り付けられているスライド部材73に対して係止可能及び係止解除可能となっている係止部材77と、このスライド部材73を押圧力により前進させるための押圧部材79とにより、第1当接部材72の当接部72Bに対して第2当接部材74を移動させるための図16(A)、図17及び図20で示した移動手段85が構成されているため、これらの第1当接部材72と第2当接部材74と移動手段85とにより、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと補強部材7との間のすき間を適正の大きさに調整するための作業を短時間で容易に行える。
【0079】
また、本実施形態に係るすき間調整装置70には、磁性材料の金属製となっているドア枠2にも開き戸1にも吸着するマグネット76が設けられているため、上述したようにスライド部材73及び第2当接部材74を前進させたり、後退させたりして実施するドア枠の左右の側枠部材2A,2Bと補強部材7との間のすき間を適正の大きさに調整するため作業を、すき間調整装置70をドア枠2と開き戸のうち、どちらか一方にマグネット76で取り付けて行えることになり、このため、この作業を一層短時間で容易に行える。
【0080】
さらに、押圧部材79は、回転操作部79Bで回転操作されて送りねじ送り作用で前進する雄ねじ棒によるものとなっているため、スライド部材73及び第2当接部材74の前進量を細かく調整でき、このため、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと補強部材7との間のすき間を適正の大きさに調整するための作業をより正確な作業として行える。
【0081】
また、本実施形態に係るすき間調整装置70には、係止部材77をスライド部材73に沿って弾性的に後退させることができるコイルばね81が設けられているため、押圧部材79の押圧力により係止部材77を、例えば、図17の二点鎖線で示されているように、前進限位置に近い位置まで大きく前進させても、押圧部材79を後退させてからスライド部材73に対する係止部材77の係止を解除することにより、コイルばね81の弾性力により係止部材77を後退位置まで戻すことができ、この後に、押圧部材79を前進させることにより、スライド部材73に係止した係止部材77も前進させることにより、スライド部材73と第2当接部材74とをさらに前進させることができ、このため、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと補強部材7との間の調整されるすき間が大きくても、この大きなすき間の調整を実施することができる。
【0082】
以上のようにしてドア枠の左右の側枠部材2A,2Bと補強部材7との間のすき間を適正の大きさに調整するための作業を終了した後に、図19に示されているように、ドア枠の左右の側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cに設けられているそれぞれの連結具20の2個の連結部材23,24について、これらの連結部材23,24のリンク部27の先部を補強部材7に結合されている前述の下地部材8に、前述したように、図5で示した結合具30によって結合する作業を行う。これにより、開き戸装置側の建材となっているドア枠2は、壁4の躯体側の建材となっている補強部材7に複数個の連結具20により連結されることになる。
【0083】
このようにドア枠2を補強部材7に複数個の連結具20により連結したときには、それぞれの連結具20は2個の連結部材23,24を備えていて、これらの連結部材23,24のドア枠2側の基部は、ドア枠2に設けられた1本の共通の軸22が挿通された軸挿通部26となっており、また、2個の連結部材23,24の補強部材7側の先部は、言い換えると、2個の連結部材23,24の前述したリンク部27の先部は、図5及び図6の結合具30により下地部材8に結合されているとともに、この結合箇所は、2個の連結部材23,24により、1個の連結具20について、側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cの長さ方向に二箇所あり、そして、2個の連結部材23,24は、互いに基部から枠部材2A,2B,2Cの長さ方向の反対側に延びたものとなっているため、それぞれの連結具20によりドア枠2を補強部材7に下地部材8を介して連結した後は、ドア枠2は、側枠部材2A,2Bの長さ方向である上下方向にも、また、上枠部材2Cの長さ方向である左右方向にも、不動となって補強部材7に下地部材8を介して連結されていることになる。
【0084】
また、それぞれの連結具20の連結部材23,24は、ドア枠2の厚さ方向に離れた一対のリンク部27を有しており、これらのリンク部27の先部は、補強部材7に取り付けられた下地部材8におけるドア枠2の厚さ方向両側の面に配置されていて、これらの面を挟んでいるため、連結具20によりドア枠2を補強部材7に下地部材8を介して連結したときには、ドア枠2を、補強部材7に対してドア枠2の厚さ方向に不動状態とさせることができる。
【0085】
また、前述したようにそれぞれの下地部材8は、この下地部材8に設けられている位置決め部材10により、ドア枠2の厚さ方向における所定位置に位置決めされて補強部材7に取り付けられているため、連結具20によりドア枠2を補強部材7に下地部材8を介して連結したときには、ドア枠2は、前述した芯部材5や補強部材7等によって構成されている壁4の厚さ方向の所定位置、言い換えると、ドア枠2の厚さ方向の所定位置に位置出しされて配置されていることになる。
【0086】
また、本実施形態では、図5に示されているように、連結具20の連結部材23,24のそれぞれのリンク部27の先端部27Bは、リンク部27の先部が結合具30により前述の第1躯体側建材となっている下地部材8に結合されるときには、コイルばね25の弾性力により、下地部材8が取り付けられている前述の第2躯体側建材となっている補強部材7におけるドア枠2側の面7Aに当接している。したがって、リンク部27の先部を結合具30により下地部材8に結合する作業を、連結部材23,24が軸22を中心に開閉自在な部材となっていても、リンク部27の先端部27Bをコイルばね25の弾性力により補強部材7におけるドア枠2側の面7Aに当接させて行うことができ、このため、この作業を容易に行える。
【0087】
また、リンク部27の先部を結合具30により下地部材8に結合する以前では、連結部材23,24をコイルばね25の弾性力により軸22を中心に閉じ回動させて、リンク部27の先端部27Bを補強部材7の面7Aに当接させ、この後において、補強部材7に対するドア枠2の位置関係を適正の位置関係とするために、すき間調整装置70によってドア枠2を補強部材7に対して左右方向に移動させることにより、ドア枠2と補強部材7との間のすき間の大きさを変化させたときには、図5の二点鎖線で示されているように、連結具20の連結部材23,24についての軸22を中心とした開き角度が変化することになる。この後に、リンク部27の先部を結合具30により下地部材8に結合する作業を行うため、本実施形態に係る連結具20は、ドア枠2と補強部材7との間のすき間の大きさの変化に対処できるものとなっている。
【0088】
また、連結部材23,24は、コイルばね25の弾性力により軸22を中心にして閉じる方向に常時回動付勢されており、ドア枠2と補強部材7との間のすき間がどのような大きさになっても、それぞれのリンク部27の先端部27Bが第2躯体側建材となっている補強部材7の面7Aに当接しているため、ドア枠2と補強部材7との間のすき間を所定の大きさとした後に、リンク部27の先部を結合具30により第1躯体側建材となっている下地部材8に結合するための作業を、それぞれの連結部材23,24が軸22を中心に回動することを阻止して実施できることになり、このため、連結具20によりドア枠2を下地部材8を介して補強部材7に連結するための作業を容易かつ短時間で行える。
【0089】
さらに、本実施形態では、図5に示されているように、補強部材7の面7Aに当接するリンク部27の先端部27Bは湾曲突出状に面取りされているため、補強部材7の面7Aに対するこの先端部27Bの円滑な当接を維持しながら、ドア枠2と補強部材7との間のすき間の大きさを調整することができる。
【0090】
なお、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bのそれぞれに複数個設けられる前述の連結具20のうち、全部又は一部の連結具20と前述のすき間調整装置70とを連結して連動するものとし、すき間調整装置70により側枠部材2A,2Bと補強部材7との間のすき間が所定の大きさとなったときに、連結具20によりこれらの側枠部材2A,2Bと補強部材7を連結できるようにしてもよい。
【0091】
前述のようにして複数個の連結具20によりドア枠2を補強部材7に連結した後に、図19で示されているジャッキ装置60とすき間調整装置70とを開き戸装置設置現場から取り外し、そして、次いで、図6に示した面材6を芯部材5に止着する作業や、図19で示した床12を仕上げる作業等を行う。この床12を仕上げる作業を行うときに、ドア枠2の下枠部材2Dと床12との間には、ジャッキ装置60によるドア枠2の持ち上げ分のすき間が生じているため、このすき間をコンクリートやコーキング材等の充填材によって埋める作業も行う。
【0092】
以上説明した本実施形態に係るジャッキ装置60はドア枠2を持ち上げるために用いたが、このジャッキ装置60は、ドア枠2とは別の建材、例えば、図6の面材6を持ち上げるためにも用いることができ、適用する建材は任意である。
【0093】
また、ドア枠2等をジャッキ装置60により持ち上げるときには、図15の回転操作部材68を作業者が回転操作することになり、この操作を行うことが、回転操作部材68のバー状のハンドル部68Bがドア枠2等に近づくために困難である場合には、支柱部材63を、基台部材62の内部に挿入されている下部において、図15(B)の二点鎖線で示されているように、鉛直方向に対して傾けることができるように首振り可能としてもよい。このように支柱部材63を基台部材62に対して首振り可能とすることは、支柱部材63の下部を挿入するために基台部材62の上部に上下に形成している孔の大きさを、支柱部材63の直径よりも大きく、かつ前述したナット63Aの直径よりも小さくすることにより可能となる。
【0094】
また、支柱部材63を基台部材62に対して首振り可能とすることは、支柱部材63の下部と基台部材62とをユニバーサルジョイントやボールジョイント等の揺動自在の連結手段により連結することによっても実現できる。
【0095】
さらに、ドア枠2等の建材を上下させるために支柱部材63を回転操作する作業をドア枠2等に阻害されずに作業者が行えるようにするために、支柱部材63の上端部と、作業者が回転操作する回転操作部材とを、例えば、フレキシブルワイヤー等のように可撓性を有していて、回転操作部材の回転力を支柱部材63に伝達できる可撓性回転力伝達部材を介して連結し、回転操作部材を配置する位置を、可撓性回転力伝達部材の可撓性によりドア枠2等から所定距離以上に離れた位置としてもよい。
【0096】
また、支柱部材63の上部に回転操作部材68を取り付けるのではなく、支柱部材63の上部に、着脱可能の電動工具により回転する回転部材を取り付け、これにより、支柱部材63を電動工具によって回転させてもよい。
【0097】
さらに、前述した本実施形態に係るすき間調整装置70は、ドア枠2や補強部材7との間のすき間だけではなく、例えば、建物の柱同士や梁同士の間のすき間の大きさを調整するためにも用いることができ、適用する建材は任意である。
【0098】
さらに、上述のすき間調整装置70では、スライド部材73に対して係止可能及び係止解除可能となっている板状の係止部材77の個数は1個であったが、この個数をスライド部材73のスライド方向に分離自在に重ねた複数個とし、これらの係止部材に図18の孔78を設けてもよい。これによると、スライド部材73に対して係止可能及び係止解除可能となる箇所がスライド部材73のスライド方向に複数個設けられることになり、また、係止部材全体のスライド方向の強度も大きくなるため、押圧部材79の押圧力により第2当接部材74を前進させて重量物のドア枠2等を移動させるための充分に大きな力を生じさせることができるようになる。
【0099】
また、第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74とについてのスライド部材73のスライド方向の強度を大きくするために、これらの第1当接部材72の当接部72Bと第2当接部材74とに、スライド部材73のスライド方向に延出する寸法を有する補強用リブ部を設けてもよい。
【0100】
図21図23は、図3で示した開き戸1を上昇させるためのリフト装置90を示し、このリフト装置90で開き戸1を上昇させることは、前述の作業により壁4の躯体側建材となっている補強部材7に連結具20で連結されたドア枠2に開き戸1を前述のヒンジ3を介して連結する作業を行うために行われる。
【0101】
本実施形態に係るリフト装置90は、ベース部材91と、このベース部材91を上下に貫通した支柱部材92と、この支柱部材92の下端部に設けられ、床等の載置面93に載置される基台部材94と、ベース部材91に互いに平行となって上下に2個配置されたリンク部材95,96と、これらのリンク部材95,96を介してベース部材91に連結されている昇降部材97とを含んで構成されている。リンク部材95,96と昇降部材97はピン97A,97Bにより回動自在に連結され、ベース部材91とリンク部材95,96はピン91A,91Bにより回動自在に連結されている。また、本実施形態では、図21から分かるように、リンク部材95は、ベース部材91と昇降部材97の厚さ方向両側に2個あり、リンク部材96も、ベース部材91と昇降部材97の厚さ方向両側に2個あり、2個のリンク部材95同士は、縦長の補強部材95Aにより補強されて連結され、2個のリンク部材96同士は、平板状の補強部材96Aにより補強されて連結されている。
【0102】
昇降部材97には載置部材98が取り付けられており、この載置部材98は、昇降部材97に上下に挿通された軸99を中心に回動自在となっていて、昇降部材97の上下両面に配置されたブラケット部98A,98Bと、これらのブラケット部98A,98Bの先端部同士を上下に連結している連結部98Cと、この連結部98Cの下端から昇降部材97とは反対側に延出している載置部98Dとを有し、この載置部98Dは、図21に示されているように、ベース部材91と昇降部材97の厚さ方向に離れて2個設けられ、これらの載置部98Dの上に開き戸1が載せられるようになっている。
【0103】
上下2個のリンク部材95,96は、ベース部材91と、このベース部材91の前方に配置された昇降部材97とを連結する平行リンク機構を構成しており、上側のリンク部材95には、ベース部材91から昇降部材97とは反対側へ斜め上方に屈曲して延びる屈曲延出部95Bが設けられ、ベース部材91の厚さ方向両側に設けられているこれらの屈曲延出部95Bには、操作部材100の下端部が結合されている。この操作部材100の上下方向の長さ寸法は、リフト装置90を倉庫等に収納等するときに、この収納等を容易にするために、屈曲延出部95Bを大きく越える寸法となっていない。このため、この操作部材100には、この操作部材100の実質的長さ寸法を延長するための延長操作部材101を取り付け、取り外し可能に接続できるようになっており、この接続は、本実施形態において、操作部材100に対して挿抜可能となっている延長操作部材101を挿入することにより行われる。
【0104】
載置部材98の載置部98Dの上に開き戸1を載せた後に、作業者が延長操作部材101を押し下げ操作すると、ベース部材91に上下2個のリンク部材95,96からなる平行リンク機構を介して連結されている昇降部材97は、図23に示されているように、ベース部材91と同じく直立姿勢を維持したまま上昇し、このため、載置部材98の載置部98Dの上に載せられている開き戸1も直立状態で上昇する。また、ベース部材91は、支柱部材92を中心に回動可能であるため、作業者が延長操作部材101を支柱部材92を中心に回動させると、図22の方向Aに示されているように、昇降部材97や載置部材98、開き戸1を支柱部材92を中心に回動させることができる。さらに、載置部材98は、支柱部材92と平行に昇降部材97に設けられている軸99を中心に回動可能となっているため、開き戸1を手で触っている作業者は、図22の方向Bに示されているように、軸99を中心に載置部材98及び開き戸1を回動させることができる。
【0105】
このため、本実施形態のリフト装置90によると、延長操作部材101の操作により開き戸1を上昇させることにより、この開き戸1に設けられている図3の前述したヒンジ3の開き戸側羽根板3Bの高さ位置を、ドア枠2に設けられている図2のヒンジ3のドア枠側羽根板3Aよりも高い位置にするための作業と、この後に、互いに平行となって軸方向が鉛直方向となっている支柱部材92と軸99による2本の軸を中心に開き戸1を図22の方向Aと方向Bに回動させるための作業とを実施することができる。そして、支柱部材92を中心に開き戸1を図22の方向Aに回動させる作業は、開き戸側羽根板3Bの位置をドア枠側羽根板3Aの位置に近づけるための粗調整作業として行え、軸99を中心に開き戸1を図22の方向Bに回動させる作業は、開き戸側羽根板3Bの位置をドア枠側羽根板3Aの位置と一致させるための微調整作業として行える。
【0106】
この後に、作業者が延長操作部材101を操作してベース部材91に対して昇降部材97、載置部材98及び開き戸1を下降させることにより、図2のドア枠側羽根板3Aに立設されているピン3Cを、開き戸側羽根板3Bに形成されている前述の縦孔の内部に挿入することができ、これにより、開き戸1はヒンジ3を介してドア枠2に回動自在に取り付けられる。
【0107】
また、本実施形態のリフト装置90では、ベース部材91の高さ位置は、支柱部材92に沿って変更可能となっている。すなわち、図21(B)に示されているように、支柱部材92は長軸ボルトであり、この長軸ボルトにベース部材91の上下において螺合した2個のナット92A,92Bを緩めることにより、支柱部材92におけるベース部材91の高さ位置を変更することができ、この後に、ナット92A,92Bを締め付けることにより、ベース部材91をその高さ位置において支柱部材92に固定することができる。
【0108】
このように本実施形態のリフト装置90におけるベース部材91の高さ位置は変更可能となっているため、延長操作部材101の操作と、ベース部材91の高さ位置の変更とにより、開き戸1を上昇させる高さ位置を調整することができ、これにより、開き戸1を上昇させて行う作業を一層有効に行える。
【0109】
また、図21(B)及び図23に示されているように、載置部材98の載置部98Dの下面には、ゴムや軟質合成樹脂等で形成された板状の緩衝部材102が取り付けられている。このため、ドア枠側羽根板3Aに立設されているピン3Cを、開き戸側羽根板3Bに形成されている縦孔の内部に挿入するために、延長操作部材101の操作により昇降部材97及び載置部材98を下降させたときに、載置部98Dが、図2に示されているドア枠2の下枠部材2Dに直接接触することを緩衝部材102によって防止でき、これにより、下枠部材2Dの安全性を確保することができる。
【0110】
さらに、本実施形態に係るリフト装置90は、開き戸装置の開き戸1を上昇させるものであったが、このリフト装置90は、開き戸装置の開口枠であるドア枠2や図6で示した面材6等の建材を上昇させる作業のために用いることができ、適用する建材は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、例えば、開き戸装置や引き戸装置等の装置側建材となっているドア枠等の開口枠を躯体側建材に連結するために利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
2 開口枠であるドア枠
2A,2B 側枠部材
2C 上枠部材
7 第2躯体側建材である補強部材
7A 第2躯体側建材における開口枠側の面である補強部材におけるドア枠側の面
8 第1躯体側建材である下地部材
20 連結具
22 軸
23,24 連結部材
25 弾性部材であるコイルばね
27 リンク部
27B 先端部
30 結合具
図1
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