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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ラベル分離装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018092592
(22)【出願日】2018-05-11
(65)【公開番号】P2019195986
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-05-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月25日に株式会社佐久間に納品。平成30年4月15日に株式会社佐久間において改良工事を実施。
(73)【特許権者】
【識別番号】512318291
【氏名又は名称】株式会社テクノリンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】大木 英史
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-005848(JP,A)
【文献】特開2016-087952(JP,A)
【文献】特開2014-226820(JP,A)
【文献】特表2016-521202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
B09B 3/00
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器の外面に装着されたラベルをこのプラスチック容器から分離するラベル分離装置であって、
ラベルが装着されたプラスチック容器を供給するための容器供給口及びラベルが分離されたプラスチック容器を排出するための容器排出口を有するケーシングと、
前記ケーシング内に回転可能に配置された回転シャフトと、
前記回転シャフトの外周面の周方向複数位置のそれぞれで、軸方向に複数枚のプレート状の搬送羽根を配置して形成された軸方向に延びる搬送羽根の列と、
前記回転シャフトの回転によりプラスチック容器を噛み込んでこのプラスチック容器に装着されている前記ラベルに対して剥離作用を行なう、前記搬送羽根の外縁部に設けられた剥離歯又は剥離歯列及び前記ケーシングの内周部に設けられた剥離歯又は剥離歯列と、を備え、
前記搬送羽根の列の軸方向で隣り合う前記搬送羽根の間にはプラスチック容器が通過できる隙間が形成され、前記搬送羽根の列のぞれぞれの前記搬送羽根は、前記回転シャフトの回転によりプラスチック容器を前記容器排出口に向けて移動させるように前記回転シャフトの外周面の前記搬送羽根の列の配置位置の幅方向に対して傾斜して設けられていて、
前記回転シャフトにはさらに、隣り合う前記搬送羽根の列の間に位置して前記ケーシングの内周部に向かって突出するように誘導部材が設けられ、隣り合う前記搬送羽根の列の一方側から送られたプラスチック容器が前記誘導部材の外縁側に誘導され、この誘導部材の外縁を通過して隣り合う前記搬送羽根の列の他方側の外縁側に送られるように構成されている、ことを特徴とするラベル分離装置。
【請求項2】
前記誘導部材の外縁部は剥離刃又は剥離歯を有している、ことを特徴とする請求項1記載のラベル分離装置。
【請求項3】
前記誘導部材はそれぞれ、前記搬送羽根の列に沿って前記回転シャフトの軸と平行に延びている、ことを特徴とする請求項1又は2記載のラベル分離装置。
【請求項4】
前記誘導部材はそれぞれ、前記回転シャフトからこの回転シャフト又は前記ケーシングの径方向又はほぼ径方向に突出するように設けられている、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のラベル分離装置。
【請求項5】
前記回転シャフトは複数の長方形状の外面部分を有していて、
前記搬送羽根の列は前記回転シャフトのそれぞれの長方形状の外面部分に配置され、
前記誘導部材は前記回転シャフトの長方形状の外面部分の幅方向一端部に設けられている、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のラベル分離装置。
【請求項6】
前記回転シャフトは断面正方形状に形成されていて、
前記誘導部材は前記回転シャフトの外面の角部に位置している、ことを特徴とする請求項5記載のラベル分離装置。
【請求項7】
前記ケーシングの内周部に設けられた前記剥離歯又は剥離歯列には、高い剥離歯と低い剥離歯とが交互に配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のラベル分離装置。
【請求項8】
前記搬送羽根の外縁部にはこの外縁部に沿って鋸歯が設けられている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のラベル分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用ペットボトルなどのプラスチック容器の外周又は外周面に装着されているラベルを取り外して分離するラベル分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用プラスチック容器には、燃焼カロリーが低く、ダイオキシンの発生原因である塩素を含んでいないポリエチレンテレフタレートが用いられているが、このようなポリエチレンテレフタレートを原料とするペットボトルの外周には商品情報などが記載され、デザインが施されたラベルが装着されている。ペットボトルに装着されるこのようなラベルはシュリンクラベルであったりロールラベルであったりするが、シュリンクラベルには例えば延伸PSフィルムが用いられ、ロールラベルには例えばPPフィルムが用いられていて、材質の異なるこういったラベルが装着されているペットボトルのリサイクルに際しては、ペットボトルからラベルを引き剥がして分離しておかなければならない。
【0003】
ペットボトルからのこのようなラベルの取り外しを手作業で行うと作業効率が良くないので、例えば特許文献1に記載されているようなラベル分離装置が使用されている。このようなラベル分離装置を用いて供給口から円筒状本体内にペットボトルを供給すると、円筒状本体の固定針部と、この円筒状本体内で回転している多角形状回転体の回転刃ブレード部との協働によってペットボトルに装着されているラベルが引き剥がされる。また、回転刃ブレード部は、供給口から円筒状本体内に供給されたペットボトルを排出口に向かって搬送するように傾斜しているので、ラベルが引き剥がされたペットボトルを円筒状本体の排出口から排出して処理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4488537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたラベル分離装置では、円筒状本体の内周面と多角形状回転体の外周面とでペットボトルを挟み込んで処理するため、ペットボトルを排出口側にスムーズに搬送できず、ペットボトルが円筒状本体の内周面と多角形状回転体の外周面との間で詰まりやすいし、円筒状本体の内周面と多角形状回転体の外周面とで常に強く擦られているので摩擦熱でこげてしまうおそれもある。
【0006】
そこで本発明は、ペットボトルなどのプラスチック容器をラベルの剥離を行ないながらスムーズに搬送できるラベル剥離装置又は分離装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明のラベル分離装置は、例えば容易に押しつぶすことができる又は扁平に変形できるプラスチック容器の外面又は外周面に装着されたラベルをこのプラスチック容器から分離するラベル分離装置であって、ラベルが装着されたプラスチック容器を供給するための容器供給口及びラベルが分離されたプラスチック容器を排出するための容器排出口を有するケーシング(例えば固定側ケーシング)と、前記ケーシング内に回転可能に配置された回転シャフトと、前記回転シャフトの外周面の周方向複数位置のそれぞれで、軸方向に複数枚の搬送羽根(傾斜羽根又はパドル)を配置して形成された軸方向に延びる搬送羽根の列と、前記搬送羽根の外縁部及び前記ケーシングの内周部の間に設けられ、前記回転シャフトの回転によりプラスチック容器に装着されている前記ラベルに対して剥離作用を行なう剥離歯又は剥離刃構造と、を備え、前記搬送羽根の列のぞれぞれの前記搬送羽根は、前記回転シャフトの回転によりプラスチック容器を前記容器排出口に向けて移動させるように前記回転シャフトの外周面に傾斜して設けられていて、前記回転シャフトにはさらに、隣り合う前記搬送羽根の列の間に位置するように誘導部材が設けられ、隣り合う前記搬送羽根の列の一方側から送られたプラスチック容器が前記誘導部材の外縁側に誘導され、この誘導部材の外縁を通過して隣り合う前記搬送羽根の列の他方側に送られるように構成されているものである。ここでは、回転シャフトの回転によりプラスチック容器に装着されているラベルに対して剥離作用を行なう剥離歯又は剥離刃構造を搬送羽根の外縁部又は外端部及びケーシングの内周部又は内周面の間に設けているので、回転シャフトの外周面とケーシングの内周面との間隔を大きくしてプラスチック容器が自由に又は比較的自由に移動できるように構成しておくことができる。また、剥離歯又は剥離刃構造は周方向に長く連続していないので、剥離歯又は剥離刃構造によってプラスチック容器が常に強く擦られたり引っ掻かれたりするといったこともない。プラスチック容器は剥離歯又は剥離刃構造の中に例えば噛み込まれたり引き込まれたりする。ここでは、例えば、剥離歯又は剥離刃構造の中に噛み込まれたり引き込まれたりしたプラスチック容器はケーシング側に保持され又は主に保持され、搬送羽根の外縁部はケーシング側に保持され又は主に保持されているプラスチック容器を引っ掻きながら通過する。
【0008】
ところで、剥離歯又は剥離刃構造によってプラスチック容器が擦られすぎたり引っ掻かれすぎたりしないようするためには、搬送羽根の列同士の間に比較的大きな空間が形成されるように構成する必要がある。ところが、搬送羽根の列同士の間に大きな空間が形成されていると、この空間内の底部にプラスチック容器が滞留してしまい、プラスチック容器のスムーズな搬送とラベルの確実な剥離が損なわれるおそれがある。そこで本発明では搬送羽根の列同士の間の空間に誘導部材を設けている。誘導部材は、隣り合う搬送羽根の列の一方側から送られたプラスチック容器(隣り合う搬送羽根の列の一方側が停止状態のプラスチック容器を通過する場合を含む)を誘導部材の外縁側に誘導し、誘導部材の外縁を通過させて隣り合う搬送羽根の列の他方側に送る(誘導部材の外縁が停止状態のプラスチック容器を通過する場合を含む)ように構成できる。あるいは、誘導部材は、プラスチック容器が通過又は相対的に通過する際にこのプラスチック容器をケーシングの内周部又は内周面に向けて誘導するものとして構成できる。したがって、例えば、回転方向前側の搬送羽根の列を相対的に通過したプラスチック容器は、誘導部材に誘導されて誘導部材の先端側、外端側又は外縁側に導かれ、誘導部材の先端部、外端部又は外縁部とケーシングの内周部との間を相対的に通って回転方向後側の搬送羽根の列の例えば外側又は径方向外側に相対的に到達し、この回転方向後側の剥離歯又は搬送刃構造に噛み込まれたり容器排出口に向かって搬送されたりする。回転シャフトの例えば外周面に、隣り合う搬送羽根の列の間に位置するように設けられる誘導部材は、隣り合う搬送羽根の列の間の空間の底部にプラスチック容器が滞留しないようにするものとして定義することもできる。
【0009】
剥離歯又は剥離刃構造は、クリアランスを有し、このクリアランスにプラスチック容器を噛み込むように又は引き込むように構成されたものとすることができる。ここでは、クリアランスを回転シャフトの回転方向前方が回転方向後方よりも大きくなるように形成しておき、プラスチック容器をクリアランス内に導きやすく、しかもラベルの剥離機能が低下しないように構成するのが好ましい。
【0010】
ラベルの剥離効果を向上させるために誘導部材の先端部、外端部又は外縁部に剥離刃又は剥離歯を形成しておくことが好ましい。また、それぞれの誘導部材を、回転シャフトの軸方向に延びるように形成しておくことができ、回転シャフトから回転シャフト又はケーシングの径方向又はほぼ径方向に突出するように設けることができる。
【0011】
剥離歯又は剥離刃構造は搬送羽根の外縁部とケーシングの内周部とに設けられた剥離歯又は剥離歯列を有するものとして構成でき、ケーシングの内周部に設けられた剥離歯又は剥離歯列を、高い剥離歯と低い剥離歯とが交互に配置されたものとすることができる。このように構成すれば、剥離歯又は剥離刃構造に噛み込まれた又は引き込まれたプラスチック容器をケーシング側に効果的に留めておくことができる。ケーシングの内周部に設けられた剥離歯又は剥離歯列は剥離歯が周方向に環状に並ぶものとすることができる。
【0012】
本発明のラベル分離装置の誘導部材は、隣り合う搬送羽根の列の間に位置してケーシングの内周部に向かって突出するように回転シャフトに設けられた、プラスチック容器を誘導するための誘導部材とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のラベル分離装置又はラベル剥離装置を用いれば、プラスチック容器からラベルを効率的に剥離できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るラベル分離機の正面図である。
図2】本発明に係るラベル分離機の平面図である。
図3】本発明に係るラベル分離機の断面図である。
図4】本発明に係るラベル分離機の右側面図である。
図5】ケーシングの剥離部の内部構造を示す図である。
図6】回転シャフトの斜視図である。
図7】誘導プレートの図示を省略した回転シャフトの斜視図である。
図8】搬送羽根の正面図である。
図9】剥離歯リングの鋸歯の列を示す図である。
図10】剥離歯リングの取り付け態様を示す図である。
図11】ラベル分離機内でのペットボトルの搬送態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面の参照により説明する。
【0016】
まず、図1乃至図4を参照して本発明に係るラベル分離機の全体的な構成を説明する。
【0017】
ラベル分離機1(ラベル分離装置)は、主に飲料用などのペットボトルに装着されたラベルを引き剥がしてペットボトルから分離するためのものであり、脚部3を有する支持体5と、この支持体5に支えられて固定された円筒状のケーシング7と、ケーシング7内でペットボトルから引き剥がされたラベルを吸い上げる吸引装置9(吸引方向は矢印参照)と、このケーシング7内に回転可能に配置された回転シャフト11(回転シャフト11の本体部49を回転シャフトと捉えることもできる。)と、この回転シャフト11を回転駆動するための例えば油圧式の駆動装置13と、を備えている。
【0018】
固定されているケーシング7は、軸方向一端部の大径の投入部15と、軸方向中間部の剥離部17と、軸方向他端部の排出部19と、を備え、投入部15の上側には容器投入口21が形成され(投入方向は矢印参照)、排出部19の上側にはラベル排出口23が設けられ、排出部19の下側には容器排出口25が形成されていて(排出方向は矢印参照)、吸引装置9は排出部19のラベル排出口23に接続されている。ケーシング7の剥離部17の内周面には内周に鋸歯27を有する剥離歯リング29(図5参照)が軸方向に間隔を設けて複数個取り付けられ、剥離部17及び投入部15の下側には水抜孔31が複数個あけられている。
【0019】
ケーシング7の剥離部17の上側半分を構成する剥離上部33は連結部35によってケーシング7の剥離部17の下側半分を構成する剥離下部37に回転可能に接続されていて、剥離下部37に固定された支持片39(連結部35)に回転可能に支えられている作動シャフト41(連結部35)を回転させることにより、作動シャフト41と剥離上部33に固定された作動片43(連結部35)を介して剥離上部33を回転させて開き、剥離部17の内部を開放できるように構成されている(図3の仮想線参照)。剥離上部33の回転による開放及び反回転による閉塞は作動シャフト41の回転及び反回転によって行なわれるが、作動シャフト41の回転及び反回転は例えば油圧式の駆動シリンダ45の伸縮作動により作動アーム47(連結部35)を上下に揺動させることにより行なわれる。剥離部17の内周面に設けられている剥離歯リング29は2分割されていて、それぞれのリング分割体が剥離上部33及び剥離下部37の内面に取り付けられている。
【0020】
回転シャフト11は、断面正方形状の本体部49と、この本体部49を軸方向に貫通して設けられた回転軸部51と、を備え、本体部49の4つの軸方向に細長い長方形状の外面53のそれぞれに取り付けられた搬送羽根(傾斜羽根又はパドル)55と誘導プレート57(誘導部材)とを有している。回転シャフト11は、本体部49がケーシング7内に位置し、回転軸部51の一端部及び他端部がそれぞれ、ケーシング7又は投入部15の軸方向一端壁59及びケーシング7又は排出部19の軸方向他端壁61に設けられたベアリング63、65を通過して軸受け67、69で回転可能に支えられ、軸受け67を通過した回転軸部51の一端部が回転駆動装置13に接続されるようにケーシング7に取り付けられている。
【0021】
次に、図6及び図7を参照してラベル分離機1の回転シャフト11の構成を詳細に説明する。
【0022】
回転シャフト11は、本体部49のそれぞれの長方形状の外面53に、軸方向に列をなすように同一の軸方向間隔で取り付けられた複数の搬送羽根55から構成されている搬送羽根の列71を有している。それぞれの搬送羽根の列71の搬送羽根55は、取り付け部73及び羽根本体75を一体的に有するように断面L字状に形成された薄肉のプレート体であり、羽根本体75が長方形状の外面53の幅方向とθ1の角度を有して互いに平行に傾斜するように、取り付け部73が取り付け台77を介して本体部49の外面53に固定されている(図5も参照)。角度θ1は例えば30度乃至40度とすることができ、軸方向で隣り合う搬送羽根55の羽根本体75の間隔L1は例えば150mm乃至180mmとすることができる。それぞれの搬送羽根の列71の対応する搬送羽根55は回転シャフト11の本体部49の同一の軸方向位置に配置されている。
【0023】
図8に詳細に示すように、羽根本体75の上端部(外端部又は外縁部)79は円弧状又はほぼ円弧状に湾曲し、この上端部79から複数の直角三角形状の鋸歯81が突出して鋸歯の列83(剥離歯又は剥離歯列)を構成していて、それぞれの鋸歯81は羽根本体75の上端部79と垂直又はほぼ垂直な部分85が回転シャフト11の回転方向X(図5図6及び図9も参照)を向くように形成されている。鋸歯81の垂直又はほぼ垂直な部分85は回転シャフト11の回転方向Xに対して傾いて位置している。羽根本体75は幅方向中央で最も高く、幅方向中央の高さH1は例えば220mm乃至250mmとすることができ、搬送羽根55又は羽根本体75の幅W1は例えば290mm乃至330mmとすることができる。また、取り付け部73には4つの取り付け用ボルト通し孔87が設けられている。ただし、投入部15又は投入部15個所に位置する搬送羽根55の羽根本体75は、幅方向中央の高さH1が例えば120mm乃至140mmと低く形成されている。したがって、投入部15又は投入部15個所では羽根本体75の鋸歯の列83とケーシング5の内周部との隙間が大きいので、容器投入口21に投入されたペットボトルが羽根本体75の鋸歯の列83にはじかれてケーシング5の投入部15内にスムーズに導かれないといったことは防止される。なお、最も軸方向他方側に配置された搬送羽根55はケーシング7の排出部19内に位置している。
【0024】
回転シャフト11の本体部49のそれぞれの外面53には幅方向一端側(回転方向X側)で全長に延びるように誘導プレート57が取り付けられているが、4枚取り付けられているそれぞれの誘導プレート57は、取り付け部89及び誘導部91(誘導部91を誘導部材と捉えることもできる)を有するように断面への字状に形成され、取り付け部89が外面53の幅方向一端から外側に若干突出する状態で取り付け台93を介して外面53に固定されることにより本体部49に取り付けられている。誘導部91は回転シャフト11の回転方向Xと反対方向に傾斜するように取り付け部89に対して折り曲げられ又は屈曲していて、取り付け部89と誘導部91の間の角度θ2はほぼ150度に設定されている(図5参照)。それぞれの誘導部91は、先端又は外端が羽根本体75の先端側と同じ径方向位置まで延び、回転軸部51側への延長線が回転シャフト11又は回転軸部51の軸心、ほぼ軸心又は軸心近くを通るように配置されていて、先端はペットボトルに装着されているラベルを引き破る、引き剥がす又は強く擦る剥離刃として形成されている。ただし、投入部15又は投入部15個所に位置する誘導部91は、高さが低い羽根本体75に対応して径方向で短く形成されているが、投入部15又は投入部15個所では誘導部91又は誘導プレート57を設けないでおくこともできる。
【0025】
図9及び図10を参照して剥離部17の内周面に取り付けられた剥離歯リング29の形状を説明する。
【0026】
剥離歯リング29は、環状の取り付け部95及びこの取り付け部95の幅方向両側に一体的に若干突出形成された環状の歯台部97を有するように断面浅いコ字状に形成されたリング体99と、それぞれの歯台部97に全周にわたって一体的に突出形成された複数の直角三角形状の鋸歯27から構成されている鋸歯の列101(剥離歯又は剥離歯列)と、を有している。歯台部97に設けられた鋸歯27は歯台部97と垂直又はほぼ垂直な部分103が回転シャフト11の回転方向Xに面するように又は羽根本体75の鋸歯の列83を構成する鋸歯81の垂直又はほぼ垂直な部分85に面するように形成され、鋸歯の列101は高い鋸歯27と低い鋸歯27が交互に並んで形成されることにより構成されている。高い鋸歯27と低い鋸歯27との高さの差は5mm又はほぼ5mmとすることができる。剥離歯リング29は剥離部17の内周面に一定のピッチP1で取り付け部95を固定することにより軸方向に並んで複数個が取り付けられていて、ピッチP1はそれぞれの剥離歯リング29の歯台部97又は鋸歯の列101の間隔P2に等しく、したがって、それぞれの鋸歯の列101は軸方向に一定間隔で剥離部17の内側に配置されている。ピッチP1は例えば40mm乃至60mmとすることができる。
【0027】
剥離歯リング29の鋸歯の列101と羽根本体75の鋸歯の列83との間にはペットボトルを噛み込むためのクリアランスが設けられている。具体的には、剥離歯リング29の鋸歯の列101に対して、羽根本体75の鋸歯の列83は、高い鋸歯27と、最も間隔(例えば径方向の間隔)が狭い個所(回転方向後方)でほぼ4.5mm乃至6.5mmの間隔(例えばL2参照)、最も間隔(例えば径方向の間隔)が広い個所(回転方向前方)でほぼ32mm乃至36mmの間隔(例えばL3参照)、平均でほぼ18mm乃至21mmの間隔(例えば径方向の間隔)、低い鋸歯27と平均でほぼ23mm乃至26mmの間隔(例えば径方向の間隔)を保持して回転する。なお、誘導部91の先端は、高い鋸歯27とほぼ10mm乃至12mmの間隔(例えば径方向の間隔、L4参照)、低い鋸歯27とほぼ15mm乃至17mmの間隔(例えば径方向の間隔、L5参照)を保持して回転する(図5参照)。また、羽根本体75の鋸歯の列83は複数本(例えば3本又は4本)の鋸歯の列101を横切るように配置されている。
【0028】
図11を参照してラベル剥離機1の典型的作動態様を説明する。
【0029】
容器投入口21からラベルが装着されたペットボトルBをケーシング7内に投入すると、回転している回転シャフト11の外面53に傾斜して配置されている例えば高さの低い搬送羽根55によってペットボトルBはケーシング7内を剥離部17まで搬送される。剥離部17に到達したペットボトルBは、搬送羽根55の鋸歯の列83と剥離歯リング29の鋸歯の列101(剥離歯又は剥離刃構造)の間に噛み込まれて扁平につぶされ(図11a)、ペットボトルBに装着されているラベルは引き裂かれたり切断されたりする。ここでは、剥離歯リング29の鋸歯の列101がペットボトルBに食い込み、搬送羽根55の鋸歯の列83がペットボトルB(ペットボトルBに装着されたラベル)を引っ掻きながらペットボトルBを通過する。回転方向前方の搬送羽根55の鋸歯の列83が通過すると、噛み込まれていたペットボトルBは例えば回転シャフト11の本体部49側に落下又は移動するが、誘導プレート57の誘導部91に当接し(図11b)、誘導部91の先端側に導かれて誘導部91の先端と剥離歯リング29の鋸歯の列101の間を相対的に通過する(図11c)。誘導部91の先端は剥離刃(例えば角張った断面あるいは尖った断面を有する)として形成されているので、ペットボトルBが誘導部91の先端と剥離歯リング29の鋸歯の列101の間を相対的に通過するときにラベルは強く引っ掻かれる。そして、例えば回転方向後方の搬送羽根55の先端側又は外縁側に導かれ(図11d)、回転方向後方の搬送羽根55の鋸歯の列83と剥離歯リング29の鋸歯の列101(剥離歯又は剥離刃構造)の間に噛み込まれ(図11a参照)、そして下流側に搬送される。
【0030】
ペットボトルBに装着されているラベルは、搬送羽根55の鋸歯の列83又は誘導部91の剥離刃と剥離歯リング29の鋸歯の列101との間で引き破かれたり、搬送羽根55の側端部、剥離歯リング29の鋸歯の列101あるいは誘導プレート57の誘導部91に当たって切り裂かれたりしてペットボトルBから分離される。ペットボトルB内に残留していた飲料はケーシング7の水抜孔31から排出される。なお、投入されたペットボトルBにキャップが取り付けられている場合には、キャップも破壊されてペットボトルBから取り外される。
【0031】
ラベルが分離されてケーシング7内を軸方向他端側まで移動したペットボトルBは容器排出口25から排出され、ペットボトルBから分離されてケーシング7内を軸方向他端側まで移動したラベルはラベル排出口23から吸引装置9に吸い込まれて回収される。
【符号の説明】
【0032】
1 ラベル分離機(ラベル分離装置)
7 ケーシング
11 回転シャフト
21 ボトル投入口(容器供給口)
25 ボトル排出口(容器排出口)
49 本体部
55 搬送羽根
57 誘導プレート(誘導部材)
71 搬送羽根の列
83 鋸歯の列(剥離歯又は剥離構造)
91 誘導部(誘導部材)
101 鋸歯の列(剥離歯又は剥離構造)
B ペットボトル(プラスチック容器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11