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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20220330BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220330BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20220330BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220330BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20220330BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20220330BHJP
【FI】
H02J50/12
B60L50/60
B60M7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H02J7/00 301D
H02J50/60
H02J50/90
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018138864
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020018069
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 良平
【審査官】大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-188042(JP,A)
【文献】特開2016-037733(JP,A)
【文献】特開2003-061266(JP,A)
【文献】特開2015-154539(JP,A)
【文献】特開2014-090601(JP,A)
【文献】特開2014-075876(JP,A)
【文献】特開平10-004638(JP,A)
【文献】特開2006-101577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00- 3/12、 7/00-13/00
15/00-58/40
B60M 1/00- 7/00
E04H 6/00- 6/44
H02J 7/00- 7/12、 7/34- 7/36
50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両が備えるバッテリへの非接触給電を行う非接触給電装置であって、
非接触給電を行う際の電動車両の停車位置を定めるガイドユニットと、
送電コイルと、該送電コイルを収容する筐体とを備え、前記停車位置に停車した電動車両に対して前記送電コイルから電力を送電する送電ユニットと
を備え、
前記ガイドユニットは、
前記電動車両の車幅方向に離隔配置され、配置間隔を前記電動車両の車幅よりも広くしてある2つのガイドと、
前記電動車両の進入方向奥側に配置される車止め部と
を備え
前記筐体は、前記2つのガイドの間であって、前記車止め部よりも手前側に配置され、かつ、前記電動車両の進入方向奥側へ傾斜する傾斜面を備え、
前記車止め部は、前記電動車両の進入方向手前側へ傾斜する傾斜面を備え、
前記筐体の傾斜面と前記車止め部の傾斜面との間にて、前記電動車両が備える車輪の前後位置を規制す
非接触給電装置。
【請求項2】
前記2つのガイドの前記車幅方向の間隔は、前記電動車両の進入方向奥側よりも進入方向手前側を広くしてある
請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記2つのガイドの高さは、前記筐体の上面の高さよりも高い
請求項1又は請求項2に記載の非接触給電装置。
【請求項4】
前記筐体は、
開閉可能な蓋部と、
前記電動車両が前記停車位置にて停車した場合、前記電動車両の重量によって前記蓋部を開く開閉機構部と
を備える請求項1から請求項の何れか1つに記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動モータで駆動する電気自動車、電動モータ及びエンジンを併用して駆動するプラグインハイブリッド自動車等の電動車両が普及しつつある。電動車両は、電動モータを駆動するための電力を供給するバッテリを備える。バッテリの充電は外部の充電スタンドを用いて行われる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-239845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電スタンドを利用して電動車両のバッテリを充電する場合、送電側の送電ユニットの位置と、受電側の受電ユニットの位置とが合っていなければ、充電効率が低下するという問題点を有している。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、充電効率の低下を抑制することができる非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る非接触給電装置は、電動車両が備えるバッテリへの非接触給電を行う非接触給電装置であって、非接触給電を行う際の電動車両の停車位置を定めるガイドユニットと、送電コイルと、該送電コイルを収容する筐体とを備え、前記停車位置に停車した電動車両に対して前記送電コイルから電力を送電する送電ユニットとを備え、前記ガイドユニットは、前記電動車両の車幅方向に離隔配置され、配置間隔を前記電動車両の車幅よりも広くしてある2つのガイドと、前記電動車両の進入方向奥側に配置される車止め部とを備える。
【0007】
上記一態様にあっては、電動車両の停車位置を定めるガイドユニットを備えており、停車時における電動車両の位置を定めることができるため、停車位置のずれに伴う充電効率の低下が抑制される。また、配置間隔が電動車両の車幅よりも広いガイドを備えるので、ガイドユニットにより定められる停車位置に停車しようとしている電動車両の左右位置を矯正することができる。更に、ガイドユニットが車止め部を備えるので、電動車両の前後方向における停車位置を定めることができる。
【0008】
本開示の一態様に係る非接触給電装置は、前記2つのガイドの前記車幅方向の間隔は、前記電動車両の進入方向奥側よりも進入方向手前側を広くしてある。
【0009】
上記一態様にあっては、2つのガイドの配置間隔は進入方向手前側の方が広いので、電動車両が進入しやすく、奥側へ進むにつれて電動車両の左右位置が矯正される。
【0010】
本開示の一態様に係る非接触給電装置は、前記筐体は、前記2つのガイドの間であって、前記車止め部よりも手前側に配置され、かつ、前記電動車両の進入方向奥側へ傾斜する傾斜面を備えており、前記車止め部は、前記電動車両の進入方向手前側へ傾斜する傾斜面を備えており、前記筐体の傾斜面と前記車止め部の傾斜面との間にて、前記電動車両が備える車輪の前後位置を規制する。
【0011】
上記一態様にあっては、筐体の傾斜面と車止め部の傾斜面との間にて、電動車両が備える車輪の前後位置が規制されるので、電動車両の前後方向における停車位置を定めることができ、停車位置のずれに伴う充電効率の低下が抑制される。
【0012】
本開示の一態様に係る非接触給電装置は、前記2つのガイドの高さは、前記筐体の上面の高さよりも高い。
【0013】
上記一態様にあっては、2つのガイドの高さが筐体の上面の高さよりも高いので、電動車両の車輪が筐体を乗り越える際、ガイドユニットの外部へ車輪がはみ出すことを防止できる。
【0014】
本開示の一態様に係る非接触給電装置は、前記筐体は、開閉可能な蓋部と、前記電動車両が前記停車位置にて停車した場合、前記電動車両の重量によって前記蓋部を開く開閉機構部とを備える。
【0015】
上記一態様にあっては、電動車両の停車時に蓋部を開放することによって、送電部からの電磁波は蓋部によって遮られることがなくなるため、充電効率が高まる。また、蓋部を開放する前に、蓋部の上に異物が載っていた場合、蓋部を開放することによって異物を振り落とすことが可能となるので、異物の存在に伴う充電効率の低下が抑えられる。
【発明の効果】
【0016】
本願によれば、充電効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1に係る非接触給電装置を示す模式的外観図である。
図2】給電状態を説明する説明図である。
図3】非接触給電装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】非接触給電装置の動作手順を説明するフローチャートである。
図5】実施の形態2に係る非接触給電装置を示す模式図である。
図6】実施の形態3に係る非接触給電装置を示す模式的外観図である。
図7】実施の形態4に係る非接触給電装置を示す模式図である。
図8】蓋部開閉機構を説明する説明図である。
図9】非接触給電装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る非接触給電装置1を示す模式的外観図であり、図2は給電状態を説明する説明図である。以下では、図1及び図2の矢印により示される前後、左右、上下の各方向を用いて、実施の形態1に係る非接触給電装置1の構成について説明する。
【0019】
非接触給電装置1は、送電ユニット10、ガイドユニット20、及び異物除去ユニット30を備える。非接触給電装置1は、駐車スペースに設置され、所定の停車位置に停車した電動車両5に対して非接触給電を行い、電動車両5のバッテリ51を充電する。電動車両5は、エンジンを備えずに電動モータの駆動力により走行する電気自動車、電動モータ及びエンジンを併用して走行するプラグインハイブリッド自動車等の車両であり、バッテリ51に充電された電力を利用して走行することが可能である。実施の形態1では、送電ユニット10、ガイドユニット20、及び異物除去ユニット30が一体的に構成されている。
【0020】
送電ユニット10は、停車位置に停車した電動車両5に対して電力を送電する送電部11と、送電部11の動作を制御する送電制御部15とを備える。
【0021】
送電部11は、送電コイルLtと、送電コイルLtを収容する筐体110とを備える。筐体110は、左右に延びる長方形状の上面111、上面111から前側へ下向きに傾斜する第1傾斜面112、上面111から後側へ下向きに傾斜する第2傾斜面113、及び上面111と対向する下面(不図示)により構成される。上面111の左右方向の幅は、給電対象として想定している電動車両5の車幅よりも少しだけ広い幅を有する。第1傾斜面112及び第2傾斜面113は、電動車両5の車輪が乗り越えられる程度の比較的緩やかな傾斜角度に設定されている。なお、上面111は、必ずしも平面状である必要はなく、前後方向又は左右方向に傾斜した面であってもよい。上面111が前後方向又は左右方向に傾斜している場合、異物は上面111から滑り落ちるので、非接触給電装置は、異物が存在しない状態で給電を開始することができる。
【0022】
送電制御部15は、例えば直方体形状の筐体150を有する。筐体150の内部には、送電部11に電力を供給する高周波電源部153、送電動作を制御するための制御部151等を備える(図3を参照)。送電制御部15は、図に示していない配線部を介して送電部11に接続される。
【0023】
ガイドユニット20は、電動車両5の停車位置を定めるために、左右一対のガイド21,21と、車止め22とを備える。なお、図2では、説明のためにガイド21,21を除いた構成を示している。2つのガイド21,21は、それぞれ地表に対して垂直に配した帯状の板材により構成されており、電動車両5のタイヤ(例えば前輪)が乗り越えることができない程度の高さを有する。また、2つのガイドの高さは、筐体110の上面111の高さよりも高く、上面111を通過するタイヤが乗り越えることができない程度の高さを有していることが好ましい。
【0024】
2つのガイド21,21は、送電制御部15の筐体150の前面から同じ方向に突出して地表に沿って延びている。実施の形態1では、ガイド21,21の後端部は、送電制御部15の筐体150に接続されている。また、ガイド21,21の前側端部は相互間距離が漸次長くなるように、外向きに屈曲している。前述の送電部11は2つのガイド21,21の間に設けられる。車止め22は、送電制御部15の筐体150の前面側に筐体150と一体的に設けられている。車止め22は、左右方向に延びており、2つのガイド21,21の後端部に連なる。
【0025】
2つのガイド21,21の対向間距離は、電動車両5の横幅に対応している。電動車両5が2つのガイド21,21の前側端部の間から送電制御部15に向かって進入する場合、電動車両5は、ガイド21,21に沿って停車位置へ案内される。電動車両5のタイヤ(例えば前輪)が送電部11の筐体110を乗り越え、車止め22に接触した状態にて停止した場合、電動車両5のタイヤは、車止め22と送電部11の筐体110との間に形成される凹部23に嵌まり込む。電動車両5のタイヤが凹部23に嵌まり込んだ位置(停車位置)にて電動車両5は停車する。この停車位置において、送電部11の送電コイルLtと電動車両5の受電ユニット50とが対向するように各ユニットの配置が調整されている。
【0026】
電動車両5の受電ユニット50は、送電側の送電コイルLtと磁気結合して送電部11から送電される高周波電力を非接触で受電する受電コイル、受電した高周波電力を直流電力に変換する整流平滑回路等を備え、変換した直流電流をバッテリ51へ供給し、電動車両5のバッテリ51を充電する。
【0027】
また、送電部11には、筐体110の上面111に存在する異物を取り除く異物除去ユニット30が設けられている。異物除去ユニット30は、筐体110の上面111に接触しながら移動するブレード31と、ブレード31を駆動する駆動モータ32(図3を参照)とを備える。
【0028】
駆動モータ32は筐体110の内部に収容されており、送電制御部15の制御部151から出力される駆動信号によって回転する回転軸32aを備える。回転軸32aは鉛直上方へ延び、筐体110の上面111を貫通するように構成されている。回転軸32aと筐体110の貫通面との間には、異物が筐体110の内部に入り込むことを防止するために、シール材が設けられていてもよい。
【0029】
回転軸32aの端部にはブレード31が取り付けられている。ブレード31は、例えば樹脂部材又はワイヤなどの柔軟性及び耐衝撃性の高い素材によって構成される。ブレード31は筐体110の上面111に沿って延びている。
【0030】
送電制御部15の制御部151は、例えば送電を開始させる前のタイミングにて、駆動信号を駆動モータ32へ出力し、回転軸32aを回転させることにより、ブレード31を駆動する。ブレード31は、筐体110の上面111に接触しながら、回転軸32aの回転に伴って回転することにより、筐体110の上面111に存在する異物を取り除くことができる。
【0031】
なお、ブレード31を駆動するタイミングは任意に設定することができる。例えば、筐体110の上面111に存在する異物を検知する異物検知部155(図3を参照)を設け、異物検知部155により異物を検知した場合に制御部151がブレード31を駆動する構成としてもよい。また、制御部151は、給電対象の電動車両5を検知したタイミング、送電が開始されたタイミング、送電が行われていない定期的なタイミング等のタイミングにて、ブレード31を駆動してもよい。
【0032】
図3は非接触給電装置1の制御系の構成を示すブロック図である。非接触給電装置1の送電制御部15は、例えば、制御部151、記憶部152、高周波電源部153、通信部154、異物検知部155、及び接続部156を備える。
【0033】
制御部151は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。制御部151が備えるROMには、上記ハードウェア各部の動作を制御するための制御プログラム等が記憶される。制御部151内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムや記憶部152に記憶された各種プログラムを実行し、上記ハードウェア各部の動作を制御する。なお、制御部151が備えるRAMには、各種プログラムの実行中に一時的に利用されるデータが記憶される。
【0034】
なお、制御部151は、上記の構成に限定されるものではなく、シングルコアCPU、マルチコアCPU、マイコン、揮発性又は不揮発性のメモリ等を含む1又は複数の処理回路であればよい。また、制御部151は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0035】
記憶部152は、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどを用いた記憶装置を備える。記憶部152には、各種データ及びCPUによって実行される各種コンピュータプログラム等が記憶される。
【0036】
高周波電源部153は、直流電源装置、インバータ回路等を備える。直流電源装置は、商用電源から入力される交流電圧を整流回路により整流し、平滑コンデンサにより平滑することによって、直流電圧を生成する。そして、直流電源装置は、生成した直流電圧を、DC-DCコンバータ回路により目標電圧の直流電圧に変換してインバータ回路へ出力する。インバータ回路は、直流電力を高周波電力に変換する回路であり、変換して得られる高周波電圧を送電部11へ出力する。インバータ回路は、例えば、単相フルブリッジ型のインバータ回路であり、4個のスイッチング素子を備える。スイッチング素子として、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用することができる。また、スイッチング素子として、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などを使用してもよい。
【0037】
高周波電源部153には、図に示していない配線部を介して送電部11が接続されている。送電部11は、送電コイルLtを備える。送電コイルLtは、高周波電源部153から供給される高周波電力を、給電対象である電動車両5へ送電する。送電コイルLtは、図に示してない共振コンデンサに直列(又は並列)に接続されて、直列共振回路(又は並列共振回路)を構成する。送電コイルLt及び共振コンデンサは、共振周波数が高周波電源部153より供給される高周波電力の周波数と一致するように設計される。
【0038】
通信部154は、電動車両5が備える車載機(不図示)と無線通信を行うための通信インタフェースを備える。通信部154では、Bluetooth(登録商標) 、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、その他の無線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準じた無線伝送方式を用いて、車載機と無線通信を行う。なお、通信部154では、無線到達距離又は伝送帯域等を考慮して適切な無線伝送方式を使用すればよく、状況に応じて複数の無線伝送方式を使い分けてもよい。
【0039】
異物検知部155は、送電部11の筐体上に存在する異物を検知するための装置又はセンサを備える。異物検知部155は、例えば、筐体付近を撮像するCCD(Charge-Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像装置を備え、撮像装置から入力される撮像信号に基づく画像を解析することにより、筐体上に存在する異物を検知する。この場合、異物検知部155は、筐体上に異物が存在しない画像を予め用意しておき、当該画像と新たに入力された撮像画像との差分を算出することによって、異物を検出することができる。
【0040】
また、異物検知部155は、送電部11が備える筐体110の表面温度(熱)を検知する熱検知センサを備えるものであってもよい。この場合、異物検知部155は、表面温度が周囲とは異なる局所領域の存在を検知することにより、異物を検知することができる。
【0041】
なお、異物検知部155は、上述した特定の検知手法に限定されるものではなく、公知の任意の検知手法を用いてもよい。また、異物検知部155は、複数の検知手法を組み合わせて、異物を検知する構成としてもよい。
【0042】
接続部156は、異物除去ユニット30の駆動モータ32を接続するインタフェースを備える。接続部156は、異物除去ユニット30を駆動する際に制御部151から出力される駆動モータ32用の制御信号を取得し、取得した制御信号を駆動モータ32へ出力する。
【0043】
図4は非接触給電装置1の動作手順を説明するフローチャートである。送電制御部15の制御部151は、給電対象の電動車両5を検知したか否かを判断する(ステップS101)。制御部151は、例えば、通信部154と電動車両5に搭載される車載機との間で所定の通信が行われた場合、給電対象の電動車両5を検知したと判断することができる。検知していないと判断した場合(S101:NO)、制御部151は、給電対象の電動車両5を検知するまで待機する。
【0044】
給電対象の電動車両5を検知したと判断した場合(S101:YES)、制御部151は、異物検知部155を通じて、筐体110の表面に存在する異物を検知したか否かを判断する(ステップS102)。
【0045】
異物を検知したとした判断した場合(S102:YES)、制御部151は、異物除去ユニット30の駆動モータ32を駆動する制御信号を出力することにより、異物除去ユニット30を駆動する(ステップS103)。異物除去ユニット30の駆動を開始した後、制御部151は、処理をステップS102へ戻す。
【0046】
異物を検知していないと判断した場合(S102:NO)、制御部151は、高周波電源部153を通じて送電部11へ高周波電圧を出力することにより、送電部11に送電を開始させる(ステップS104)。
【0047】
次いで、制御部151は、給電対象の電動車両5においてバッテリ51の充電が完了したか否かを判断する(ステップS105)。制御部151は、例えば、電動車両5の車載機から充電が完了した旨の通知信号を通信部154にて受信した場合、充電が完了したと判断することができる。充電が完了していないと判断した場合(S105:NO)、制御部151は、充電が完了するまで待機する。
【0048】
充電が完了したと判断した場合(S105:YES)、制御部151は、高周波電源部153による高周波電圧の出力を停止させることにより、送電を停止させる(ステップS106)。
【0049】
本実施の形態では、送電部11の筐体上に異物が存在する場合、異物除去ユニット30を駆動することによって取り除くことができる。例えば、クリップ、硬貨、くぎなどの金属製の異物が筐体上に存在する場合、送電時に異物が発熱する可能性があるが、異物除去ユニット30により異物を除去することによって、異物の発熱を防止し、安全性を高めることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、給電対象の電動車両5を検知した場合であって、送電部11の筐体上に存在する異物を検知した場合、異物除去ユニット30を駆動する構成としたが、給電対象の電動車両5を検知した場合、異物の有無に関わらずに異物除去ユニット30を設定時間だけ駆動する構成としてもよい。この場合、非接触給電装置1は、異物検知部155を備えていなくてもよい。さらに、送電制御部15の制御部151は、電動車両5の有無に関わらずに、異物除去ユニット30を定期的に駆動する構成としてもよい。
【0051】
以上のように、実施の形態1では、送電ユニット10、ガイドユニット20、及び異物除去ユニット30を備える非接触給電装置1を一体的に構成することができるので、生産コスト及び設置コストの上昇を抑えることが可能となる。
【0052】
また、非接触給電装置1は、電動車両5の停車位置を定めるガイドユニット20を備えており、停車時における電動車両5の左右位置は2つのガイド21,21によって矯正され、前後位置は車止め22によって定まるため、停車位置のずれに伴う充電効率の低下を抑制することができる。
【0053】
また、2つのガイド21,21の前側端部が外側へ広がっているので、電動車両5が進入しやすく、電動車両5が奥側へ進むに連れて電動車両5の左右位置が矯正される。よって、運転者の運転技能に依らずに適切な停車位置へ電動車両5を案内することができる。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態2では、非接触給電装置1の変形例について説明する。
【0055】
図5は実施の形態2に係る非接触給電装置1を示す模式図である。実施の形態2では、車止め22が前方に傾斜する傾斜面22aを有する。給電対象の電動車両5がガイドユニット20により規定される停車位置に停車する際、電動車両5のタイヤは車止め22の傾斜面22aに接触する。実施の形態2に係る非接触給電装置1の車止め22以外の構成は、実施の形態1と同様であり、その説明な説明を省略する。
【0056】
非接触給電装置1は、電動車両5の停車位置を定めるガイドユニット20を備えており、停車時における電動車両5の前後位置は、車止め22の傾斜面22aと、筐体110が備える第2傾斜面113との間に規制されるタイヤの位置によって定まるので、停車位置のずれに伴う充電効率の低下を抑制することができる。
【0057】
(実施の形態3)
実施の形態1では、送電ユニット10、ガイドユニット20、及び異物除去ユニット30を一体的に構成した形態について説明したが、送電ユニット10、及びガイドユニット20を別体として構成してもよい。
実施の形態3では、送電ユニット10及びガイドユニット20を別体として構成した形態について説明する。
【0058】
図6は実施の形態3に係る非接触給電装置1を示す模式的外観図である。以下では、図6の矢印により示される前後、左右、上下の各方向を用いて、実施の形態3に係る非接触給電装置1の構成について説明する。
【0059】
実施の形態3では、送電ユニット10及びガイドユニット20が別体として構成されている。送電ユニット10は、停車位置に停車した電動車両5に対して電力を送電する送電部11と、送電部11の動作を制御する送電制御部15とを備える。
【0060】
送電部11は、送電コイルLtと、送電コイルLtを収容する筐体120とを備える。筐体120は、扁平な直方体形状をなしており、矩形状の上面121、上面121と対向して配置される下面122、並びに、上面121及び下面122を連結し、上面121及び下面122の全周に配置される周面123を有する。送電部11は、上面121を露出させて地上に設置される。送電部11は、配線部14を介して送電制御部15に接続される。なお、上面121は、必ずしも平面状である必要はなく、前後又は左右方向に傾斜した傾斜面を有する面であってもよい。上面111が前後方向又は左右方向に傾斜している場合、異物は上面111から滑り落ちるので、非接触給電装置は、異物が存在しない状態で給電を開始することができる。
【0061】
ガイドユニット20は、電動車両5の停車位置を定めるために、左右一対のガイド21,21を備える。2つのガイド21,21は、それぞれ地表に対して垂直に配した帯状の板材により構成されており、電動車両5のタイヤ(例えば前輪)が乗り越えることができない程度の高さを有する。2つのガイド21,21は、送電制御部15の筐体150の前面から同じ方向に突出して地表に沿って延びている。実施の形態3では、ガイド21,21は送電制御部15の筐体150に接続されておらず、送電制御部15とは独立して設置することが可能である。ガイド21,21の前側端部は、相互間距離が漸次長くなるように、外向きに屈曲している。前述の送電部11は2つのガイド21,21の間に設けられる。
【0062】
ガイドユニット20は、送電部11と送電制御部15との間であって、2つのガイド21,21の間のスペースに、車止め24を備える。車止め24は例えば直方体形状をなす。2つのガイド21,21の対向間距離は、電動車両5の横幅に対応し、左右の車止め24,24の外側に設けられる。電動車両5が2つのガイド21,21の前側端部の間から送電制御部15に向かって進入する場合、電動車両5は、ガイド21,21に沿って給電位置へ案内される。送電部11は、電動車両5がガイドユニット20により定められる停車位置へ進入する際(又は停車位置から退出する際)、電動車両5の車輪の軌跡上に存在しないように、左右方向において2つのガイド21,21の略中央に配置されている。電動車両5のタイヤが車止め24に接触した状態にて停止した場合、送電部11の送電コイルLtと電動車両5の受電ユニット50とが対向するように各ユニットの配置が調整されている。
【0063】
送電部11には、筐体120の上面121に存在する異物を取り除く異物除去ユニット30が設けられている。異物除去ユニット30は、筐体120の上面111に接触しながら移動するブレード31と、ブレード31を駆動する駆動モータ32とを備える。
【0064】
駆動モータ32は筐体120の内部に収容されており、送電制御部15の制御部151から出力される駆動信号によって回転する回転軸32aを備える。回転軸32aは鉛直上方へ延び、筐体120の上面121を貫通するように構成されている。回転軸32aと筐体120の貫通面との間には、異物が筐体120の内部に入り込むことを防止するために、シール材が設けられていてもよい。
【0065】
回転軸32aの端部にはブレード31が取り付けられている。ブレード31は、例えば樹脂部材又はワイヤなどの柔軟性及び耐衝撃性の高い素材によって構成される。ブレード31は筐体120の上面121に沿って延び、その先端部は筐体120の縁端よりも外側に位置する。すなわち、ブレード31の寸法は、回転軸32aの中心と筐体120の縁端との間の寸法よりも長い寸法を有する。
【0066】
送電制御部15の制御部151は、例えば送電を開始させる前のタイミングにて、駆動信号を駆動モータ32へ出力し、回転軸32aを回転させることにより、ブレード31を駆動する。ブレード31は、筐体110の上面111に接触しながら、回転軸32aの回転に伴って回転することにより、筐体110の上面111に存在する異物を取り除くことができる。
【0067】
なお、ブレード31を駆動するタイミングは任意に設定することができる。例えば、筐体110の上面111に存在する異物を検知する異物検知部155を設け、異物検知部155により異物を検知した場合に制御部151がブレード31を駆動する構成としてもよい。また、制御部151は、給電対象の電動車両5を検知したタイミング、送電が開始されたタイミング、送電が行われていない定期的なタイミング等のタイミングにて、ブレード31を駆動してもよい。
【0068】
以上のように、実施の形態3では、送電ユニット10及びガイドユニット20を別体として構成しているので、非接触給電装置1を設置する際のレイアウトの自由度が高まる。
【0069】
なお、実施の形態3は、直方体形状の車止め24を備える構成としたが、実施の形態2と同様に、車止め24が前方へ傾斜する傾斜面を有する構成であってもよい。
【0070】
(実施の形態4)
実施の形態4では、開閉可能な蓋部を備えた筐体の中に送電部11が収容された構成について説明する。
【0071】
図7は実施の形態4に係る非接触給電装置1を示す模式図である。以下では、図7の矢印により示される前後、左右、上下の各方向を用いて、実施の形態4に係る非接触給電装置1の構成について説明する。実施の形態4に係る非接触給電装置1は、実施の形態1と同様に、送電ユニット10、ガイドユニット20、及び異物除去ユニット30を備える。なお、図7では、説明のためにガイド21を除いた構成を示している。
【0072】
送電ユニット10が備える送電部11の筐体120は、例えば扁平な直方体形状をなしている。前述の如く、送電部11には、筐体120の上面121に存在する異物を取り除く異物除去ユニット30が設けられている。また、異物除去ユニット30は、筐体120の上面111に接触しながら移動するブレード31と、ブレード31を駆動する駆動モータ32とを備える。
【0073】
実施の形態4では、送電部11を収容する筐体130を備える。筐体130は、上面を構成する蓋部131、蓋部131から前側へ下向きに傾斜する第1傾斜面132、蓋部131から後側へ下向きに傾斜する第2傾斜面133、及び蓋部と対向する下面134により構成される。蓋部131の左右方向の幅は、給電対象として想定している電動車両5の車幅よりも少しだけ広い幅を有する。第1傾斜面132及び第2傾斜面133は、電動車両5の車輪が乗り越えられる程度の比較的緩やかな傾斜角度に設定されている。
【0074】
また、筐体130は、ガイドユニット20によって定められる停車位置に電動車両5が停車した場合、この電動車両5の重量によって、蓋部131を開放する蓋部開閉機構140(図8を参照)を備える。
【0075】
図8は蓋部開閉機構140を説明する説明図であり、図9は非接触給電装置1の平面図である。蓋部開閉機構140は、左右に延びる回動軸141aによって回動可能に軸支されるペダル部141、及び、ペダル部141の前端に設けられた連結部141bと、蓋部131の中途に設けられた連結部131bとに連結されるリンク部142部とを備える。ペダル部141は、図9に示すように、停車位置に停車する電動車両5の左右両側のタイヤに対応する位置にそれぞれ設けられている。蓋部131は、蓋部131の後端側に位置し、左右に延びる回動軸131aによって回動可能に軸支されている。
【0076】
電動車両5がガイドユニット20によって定められる停車位置に停車していない場合、ペダル部141は後端部が上方に持ち上がるように回動軸141aによって軸支されている。このとき、蓋部131は閉じられた状態となる。
【0077】
電動車両5がガイドユニット20によって定められる停車位置に停車した場合、ペダル部141は電動車両5のタイヤによって踏み込まれる。電動車両5のタイヤによってペダル部141が踏み込まれた場合、ペダル部141は回動軸141aを中心にして回動し、前端部が上方へ持ち上がる。ペダル部141の回動に伴い、リンク部142は回動軸131aを中心にして蓋部131を回動させ、蓋部131を開放させる。
【0078】
以上のように、実施の形態4では、電動車両5がガイドユニット20によって定められる停車位置に停車した場合、電動車両5の重量によって送電部11を収容している筐体130の蓋部131を開放することができる。蓋部131を開放することによって、送電部11からの電磁波は蓋部131によって遮られることがなくなるため、充電効率が高まる。
【0079】
また、蓋部131を開放する前に、蓋部131の上に異物が載っていた場合、蓋部131を開放することによって異物を振り落とすことが可能となるので、異物の存在に伴う充電効率の低下が抑えられる。すなわち、本実施の形態では、蓋部開放機構140は、異物除去ユニットとしても機能し得る。この場合、送電部11に異物除去ユニット30が搭載されていなくてもよい。また、電動モータなどの駆動手段を設けることなく、蓋部131を開放することができるので、運用コストを抑えることができる。
【0080】
なお、実施の形態4では、送電ユニット10及びガイドユニット20を別体として構成した形態としたが、送電ユニット10、ガイドユニット20、及び異物除去ユニット30を一体的に構成してもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、左右両側にペダル部141を備える構成としたが、左右の片側にペダル部141を備える構成としてもよく、電動車両の左右両輪によって踏み込めるように、左右方向に延びた形状のペダル部141であってもよい。
【0082】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 非接触給電装置
5 電動車両
10 送電ユニット
11 送電部
15 送電制御部
20 ガイドユニット
21 ガイド
22,24 車止め
23 凹部
30 異物除去ユニット
31 ブレード
32 駆動モータ
32a 回転軸
110,120,130 筐体
131 蓋部
141 ペダル部
142 リンク部
151 制御部
152 記憶部
153 高周波電源部
154 通信部
155 異物検知部
156 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9