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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】情報保護ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20220330BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20220330BHJP
   B42D 11/00 20060101ALN20220330BHJP
   G09F 3/03 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
G09F3/02 M
G09F3/10 A
B42D11/00 E
G09F3/03 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018147461
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020024249
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-195742(JP,A)
【文献】特開2008-250005(JP,A)
【文献】特開2001-305962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 11/00
G09F 3/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が表示される情報表示部を具備する第1のシートと、
前記第1のシートの前記情報が表示される面とは反対側の面に積層された第1の接着層とを有し、
前記第1のシートは、当該第1のシートを貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状を具備する切り込みが前記情報表示部内に形成され、
前記第1の接着層は、少なくとも前記情報表示部に対向する領域が、当該第1の接着層によって基材または被着体に貼着された前記第1のシートの前記基材または被着体からの剥離を可能とする構造を具備し、かつ、前記情報表示部に対向する領域のうち、前記切り込みの凸形状の先端部分の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する、情報保護ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の情報保護ラベルにおいて、
前記基材として、前記第1の接着層によってその全面にて前記第1のシートに擬似貼着され、前記第1のシートとの貼着面とは反対側の面に第2の接着層が積層された第2のシートを有する、情報保護ラベル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報保護ラベルにおいて、
前記切り込みを複数有し、該複数の切り込みが互いに同一方向を向いて形成されている、情報保護ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が表示されるラベルに関し、特に、表示される情報の漏洩を回避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い、個人情報の保護の重要性が高まっている。個人情報は個人を特定する情報であることから、漏洩した場合に悪用されてしまう可能性が高い。このような個人情報は、配送物が配送される際、配送物に貼着される配送ラベルに表示されて用いられる場合があるが、その場合、配送物から剥離した配送ラベルの廃棄とともに個人情報が漏洩する可能性が生じてしまう。
【0003】
ここで、個人情報が表示される情報表示シートと、接着層を介して情報表示シートに剥離可能に接着された基材シートとからなる個人情報保護シートであって、基材シートには、その周縁部と内側領域とを切り離すための切れ目が予め設けられており、情報表示シートには、基材シートの内側領域と重なる領域に、閉じたループ状の接着層も貫通する切れ目が予め設けられた個人情報保護シートが、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された技術によれば、情報表示シートに個人情報が表示されている個人情報保護シートを廃棄する際に、基材シート側から、基材シートの切れ目によって基材シートの内側領域とその周縁部を分離しつつ、基材シートの内側領域を情報表示シートから剥離すると、情報表示シートに設けられたループ状の切れ目の内側領域が、基材シートとともに情報表示シートから分離する一方、ループ状の切れ目の外側領域が情報表示シートに残存し、それにより、情報表示シートに記載された個人情報を分断し、個人情報の漏洩を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4210178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたものにおいては、情報表示シートに閉じたループ状の切れ目が設けられているものの、情報表示シートと基材シートとが剥離可能に貼着されたものであるため、基材シートから情報表示シートを剥離した際、その剥離の速度等の条件によっては、情報表示シートがループ状の切れ目の内側領域と外側領域とが分離せず、情報表示シートに記載された個人情報が分断しないこととなって個人情報が漏洩する可能性が生じてしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、シート上に表示された情報を確実に分断して情報の漏洩を回避できる情報保護ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
情報が表示される情報表示部を具備する第1のシートと、
前記第1のシートの前記情報が表示される面とは反対側の面に積層された第1の接着層とを有し、
前記第1のシートは、当該第1のシートを貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状を具備する切り込みが前記情報表示部内に形成され、
前記第1の接着層は、少なくとも前記情報表示部に対向する領域が、当該第1の接着層によって基材または被着体に貼着された前記第1のシートの前記基材または被着体からの剥離を可能とする構造を具備し、かつ、前記情報表示部に対向する領域のうち、前記切り込みの凸形状の先端部分の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、第1の接着層によって基材または被着体に貼着された第1のシートのうち情報表示部を基材または被着体から剥離する際、第1の接着層が、第1のシートに形成された切り込みの凸形状の先端部分の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、情報表示部は、切り込みの凸形状の先端部分の内側の領域が、基材または被着体から剥離しにくくなっている。そのため、凸形状の突出側を剥離開始端側として情報表示部を基材または被着体から剥離していくと、情報表示部のうち切り込みの凸形状の外側の領域が基材または被着体から剥離される一方、切り込みの凸形状の内側の領域が基材または被着体に貼着されたままとなり、情報表示部が切り込みの凸形状の外側の領域と内側の領域とに分離していく。そして、情報表示部の分離部分が凸形状の開口側の端部に達した後は、凸形状の延長線が向かう方向に情報表示部が分離していく。情報表示部が切り込みの凸形状の外側の領域と内側の領域とに分離した後は、情報表示部には、凸形状の内側の領域が存在しない状態となり、それにより、情報表示部に表示された情報が認識困難なものとなり、情報の漏洩が回避されることとなる。
【0010】
このように、第1の接着層が、第1のシートに形成された切り込みの凸形状の先端部分の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有することにより、凸形状の突出側を剥離開始端側として情報表示部を基材または被着体から剥離した際、情報表示部のうち切り込みの凸形状の外側の領域と、切り込みの凸形状の内側の領域とが分離しやすくなり、シート上に表示された情報を確実に分断して情報の漏洩を回避できる。
【0011】
また、基材として、第1の接着層によってその全面にて第1のシートに擬似貼着され、第1のシートとの貼着面とは反対側の面に第2の接着層が積層された第2のシートを用い、シート基材が2層構造となったラベルとしてもよい。
【0012】
また、切り込みを複数有し、複数の切り込みが互いに同一方向を向いて形成されていれば、切り込みの凸形状の突出側を剥離開始端側として情報表示部を基材または被着体から剥離していくことで、情報表示部に細かい分離部分を多数形成することができ、情報表示部に表示された情報がさらに認識困難となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1のシートが、第1のシートを貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状を具備する切り込みが情報表示部内に形成され、第1の接着層が、第1のシートに形成された切り込みの凸形状の先端部分の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する構成であるため、凸形状の突出側を剥離開始端側として情報表示部を基材または被着体から剥離した際、情報表示部のうち切り込みの凸形状の外側の領域と、切り込みの凸形状の内側の領域とが分離しやすくなり、シート上に表示された情報を確実に分断して情報の漏洩を回避できる。
【0014】
また、切り込みを複数有し、複数の切り込みが互いに同一方向を向いて形成されているものにおいては、切り込みの凸形状の突出側を剥離開始端側として情報表示部を基材または被着体から剥離していくことで、情報表示部に細かい分離部分を多数形成することができ、情報表示部に表示された情報をさらに認識困難とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シートの裏面に積層されたニス層の構成を示す図である。
図2図1に示した配送ラベルが配送物に貼着されるまでの使用方法を説明するための図である。
図3】配送物の配送先に配送される際の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図4】配送物の配送先に配送された後の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図5】本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シートの裏面の構成を示す図である。
図6】本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シートの裏面に積層されたニス層の構成を示す図である。
図7図6に示した配送ラベルが配送物に貼着されるまでの使用方法を説明するための図である。
図8】配送物の配送先に配送される際の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図9】配送物の配送先に配送された後の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図10】配送物の配送先に配送された後の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図11】本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シートの裏面の構成を示す図である。
図12】本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第5の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シートの裏面に積層されたニス層の構成を示す図である。
図13図12に示した配送ラベルが配送物に貼着されるまでの使用方法を説明するための図である。
図14】配送物の配送先に配送される際の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図15】配送物の配送先に配送された後の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図16】配送物の配送先に配送された後の配送ラベルの使用方法を説明するための図である。
図17】本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第6の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シートの裏面の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シート10の裏面に積層されたニス層42a,42bの構成を示す図である。
【0018】
本形態における配送ラベルは図1に示すように、伝票シート10と中間シート20とが擬似接着層40によって剥離可能に擬似貼着されているとともに、中間シート20の伝票シート10との貼着面とは反対側の面に粘着剤層50を介して剥離シート30が剥離可能に貼着された配送ラベル1であって、伝票シート10と擬似接着層40とによって本願発明の情報保護ラベルが構成されている。
【0019】
伝票シート10は、本願発明における第1のシートを構成し、配達票11と貼付票12とがミシン目14を介して分離可能に区画形成されて構成されている。
【0020】
配達票11には、この配送ラベル1が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の宛先情報が印字される配送情報表示欄11aが設けられているとともに、配達票11を中間シート20から剥離する際の剥離開始端部及び剥離方向を示す剥離開始マーク11bが1つの角部に表示されている。
【0021】
貼付票12は、本願発明における情報表示部となるものであって、この配送ラベル1が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の宛先情報が印字される配送情報表示欄12aが設けられているとともに、貼付票12を中間シート20から剥離する際の剥離開始端部及び剥離方向を示す剥離開始マーク12bが1つの角部に表示されている。さらに貼付票12には、切り込みとなるU字状のスリット13が伝票シート10を貫通して複数形成されている。この複数のスリット13は、U字状の突出側が、剥離開始マーク12bによって示される剥離開始端部側となるように互いに同一方向を向いて形成されている。
【0022】
伝票シート10の裏面に積層された擬似接着層40は、本願発明における第1の接着層を構成し、二種類のニス層42a,42bと接着剤層41とが積層されて構成されており、ニス層42a,42bが伝票シート10側となるようにして伝票シート10に積層されている。ニス層42a,42bは、互いにニスの濃度が異なり、それにより、伝票シート10と中間シート20とは擬似接着層40によって剥離可能に貼着されているものの、ニス層42aが積層された領域とニス層42bが積層された領域とでは、接着力が互いに異なるものとなっている。ニス層42bは、伝票シート10との積層面のうち、スリット13の凸形状の内側に積層されており、ニス層42aは伝票シート10との積層面のそれ以外の領域全面に積層されている。そして、ニス層42aにおけるニス濃度がニス層42bにおけるニスの濃度よりも濃いことにより、擬似接着層40は、貼付票12に対向する領域のうち、スリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するものとなっている。接着剤層41は、ニス層42a,42bの全面を覆うように積層されている。
【0023】
中間シート20は、本願発明における第2のシートを構成するものであって、擬似接着層40によって伝票シート10に剥離可能に擬似貼着されている。中間シート20の擬似接着層40とは反対側の面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着剤層50が積層され、この粘着剤層50によって剥離シート30が剥離可能に貼着されている。なお、中間シート20、粘着剤層50及び剥離シート30としては、中間シート20と剥離シート30が粘着剤層50を介して剥離可能に貼着されたタック紙を用いることが考えられる。
【0024】
以下に、上記のように構成された配送ラベル1の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0025】
図2は、図1に示した配送ラベル1が配送物に貼着されるまでの使用方法を説明するための図である。
【0026】
図1に示した配送ラベル1を使用する場合は、まず、図2(a)に示すように、配送情報表示欄11a,12aに、この配送ラベル1が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の配送情報11c,12cが印字される。
【0027】
配送情報表示欄11a,12aに配送情報11c,12cが印字された後、中間シート20から剥離シート30が剥離され、表出した粘着剤層50によって、図2(b)に示すように配送物2に貼着される。
【0028】
このようにして配送ラベル1が貼着された配送物2は、配送情報表示欄11a,12aに表示された配送情報11c,12cに従って、配送物2の配送先に配送されていく。
【0029】
図3は、配送物2の配送先に配送される際の配送ラベル1の使用方法を説明するための図である。図4は、配送物2の配送先に配送された後の配送ラベル1の使用方法を説明するための図である。
【0030】
上記のように配送ラベル1が貼着された配送物2が配送先に配送されると、図3(a)に示すように、配達票11が配送ラベル1から分離される。配達票11は、ミシン目14を介して貼付票12と分離可能となっているとともに、伝票シート10の裏面に積層された擬似接着層40によって中間シート20に剥離可能に貼着されていることで、例えば、剥離開始マーク11bに従って中間シート20から剥離することができる。その際、配達票11と貼付票12との境界のうち、剥離開始マーク11b側の端部に、剥離開始マーク11b側の端部が配達票11側に斜めに向いたカット部を有するジッパーをミシン目14の代わりに設けておけば、配達票11を配送ラベル1から分離する力が配達票11側に向かった場合でも、配達票11の分離部分がミシン目14からずれて配達票11が破断してしまうことが回避される。
【0031】
中間シート20から剥離された配達票11は、配送業者によって持ち帰られて配送管理に用いられる。
【0032】
このようにして、図3(b)に示すように、配達票11が配送物2から分離されることになる。
【0033】
その後、配送物2の配送先においては、配送物2のパッケージ等の外装を廃棄する際、図4(a)に示すように、貼付票12が配送ラベル1から分離される。貼付票12は、擬似接着層40によって中間シート20に剥離可能に貼着されているため、中間シート20から剥離することで、配送ラベル1から分離することができる。その際、貼付票12は、貼付票12に表示された剥離開始マーク12bに従って中間シート20から剥離されていくことになる。
【0034】
貼付票12が、剥離開始マーク12bに従って中間シート20から剥離されていくと、貼付票12には、U字状のスリット13が複数形成されており、このスリット13は、U字状の突出側が、剥離開始マーク12bによって示される剥離開始端部側となるように互いに同一方向を向いて形成されているため、図4(a)に示すように、スリット13のU字状の外側の領域が中間シート20から剥離していく一方、U字状の内側の領域が中間シート20に貼着されたままとなって、貼付票12がスリット13のU字状の外側の領域と内側の領域とに分離していく。
【0035】
ここで、中間シート20から貼付票12を剥離する際、その剥離の速度等の条件によっては、貼付票12がスリット13のU字状の外側の領域と内側の領域とに分離しない虞がある。
【0036】
しかしながら、本形態における配送ラベル1においては、伝票シート10と中間シート20とを剥離可能に擬似貼着する擬似接着層40が、ニスの濃度が互いに異なる二種類のニス層42a,42bを用いることで、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、貼付票12は、スリット13のU字状の内側の領域が中間シート20から剥離しにくくなっている。そのため、剥離開始マーク12bに従って貼付票12が中間シート20から剥離されていくと、貼付票12のうちスリット13のU字状の外側の領域が中間シート20から剥離される一方、スリット13のU字状の内側の領域が中間シート20に貼着されたままとなり、貼付票12がスリット13のU字状の外側の領域と内側の領域とに分離していく。そして、貼付票12の分離部分がスリット13のU字状の開口側の端部に達した後は、U字状の延長線が向かう方向に貼付票12が分離していく。
【0037】
このようにして、貼付票12が中間シート20から剥離され、配送ラベル1から分離された状態においては、図4(b)に示すように、貼付票12には、スリット13のU字状の内側の領域が抜けた抜け部12dが生じ、スリット13のU字状の内側の領域が存在しない状態となる。その結果、貼付票12に表示された配送情報12cが分断され、認識することが困難となって情報の漏洩が回避されることとなる。
【0038】
また、本形態においては、切り込みをU字状のスリット13とし、このスリット13が、互いに同一方向を向いて複数形成された構成とすることで、スリット13のU字状の突出側を剥離開始端側として貼付票12を中間シート20から剥離していくことで、貼付票12に細かい分離部分を多数形成することができ、貼付票12に表示された情報をさらに認識困難とすることができる。
【0039】
なお、本形態においては、擬似接着層40が、ニスの濃度が互いに異なる二種類のニス層42a,42bを用いることで、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する構成を実現しているが、擬似接着層40の接着剤層41を構成する接着剤の濃度をスリット13のU字状の内側の領域とそれ以外の領域とで異ならせたり、ニス層42を構成するニスと接着剤層41を構成する接着剤のそれぞれについてその濃度をスリット13のU字状の内側の領域とそれ以外の領域とで異ならせたりすることで、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する構成を実現してもよい。さらには、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域にニス層を積層しない構成によっても、その領域に強接着部を有する構成を実現することができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シート10aの裏面の構成を示す図である。
【0041】
本形態は図5に示すように、図1に示した配送ラベル1に対して、伝票シート10aの構成と、伝票シート10aの裏面の構成が異なる配送ラベル1aである。
【0042】
本形態における伝票シート10aにおいては、伝票シート10aの外周に沿ってミシン目14aが形成されており、それにより、配達票11及び貼付票12が、ミシン目14aの外側の領域となる余剰部15から分離可能に区画形成されている。
【0043】
伝票シート10aの裏面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着剤層50が積層され、さらに、粘着剤層50上のうち、スリット13のU字状の内側の領域と余剰部15以外の領域の全面にシリコンが塗布されることでシリコン層31が積層されており、粘着剤層50とシリコン層31とによって剥離シート30が剥離可能に貼着されている。本形態においては、粘着剤層50とシリコン層31とから本願発明における第1の接着層が構成されている。
【0044】
これにより、本形態における配送ラベル1aにおいては、貼付票12のうち、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する構成が実現されている。
【0045】
上記のように構成された配送ラベル1aにおいては、剥離シート30が剥離されて配送物に貼着され、その後、配達票11及び貼付票12が、ミシン目14aが破断されることで配送ラベル1aから分離されて配送物から剥離されることになる。配達票11及び貼付票12は、その裏面に粘着剤層50及びシリコン層31が積層されているため、被着体となる配送物から容易に剥離することができる。その際、第1の実施の形態にて示したものと同様に、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、剥離開始マーク12bに従って貼付票12が配送物から剥離されていくと、貼付票12のうちスリット13のU字状の外側の領域が配送物から剥離される一方、スリット13のU字状の内側の領域が配送物に貼着されたままとなり、貼付票12がスリット13のU字状の外側の領域と内側の領域とに確実に分離することになる。
【0046】
このようにして貼付票12が分離されることで、貼付票12に表示された配送情報が分断され、情報の漏洩が回避されることとなる。
【0047】
なお、本形態においては、伝票シート10aの裏面の全面に積層された粘着剤層50上のうち、貼付票12に形成されたスリット13のU字状の内側の領域と余剰部15以外の領域の全面にシリコン層31が積層されることで、貼付票112のうち、スリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を設けているが、伝票シート10aの裏面のうち、スリット13のU字状の内側の領域と余剰部15以外の領域に粘着剤層50を積層しない構成とすることで、貼付票12のうち、スリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を設けることも考えられる。
【0048】
また、上述した2つの実施の形態においては、スリット13のU字状の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するものを例に挙げて説明したが、U字状の内側の領域のうち、少なくともその先端部に強接着部を有するものであればよい。
【0049】
また、切り込みとしてU字状のスリット13を例に挙げて説明したが、伝票シート10,10aを貫通し、突出側とは反対側が開口した凸形状を具備するものであれば、V字状やコの字状のものであってもよい。
【0050】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シート110の裏面に積層されたニス層142a~142cの構成を示す図である。
【0051】
本形態における配送ラベルは図6に示すように、伝票シート110と中間シート120とが擬似接着層140によって剥離可能に擬似貼着されているとともに、中間シート120の伝票シート110との貼着面とは反対側の面に粘着剤層150を介して剥離シート130が剥離可能に貼着された配送ラベル101であって、伝票シート110と擬似接着層140とによって本願発明の情報保護ラベルが構成されている。
【0052】
伝票シート110は、本願発明における第1のシートを構成し、配達票111と貼付票112とがミシン目114を介して分離可能に区画形成されて構成されている。
【0053】
配達票111には、この配送ラベル101が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の宛先情報が印字される配送情報表示欄111aが設けられているとともに、配達票111を中間シート120から剥離する際の剥離開始端部及び剥離方向を示す剥離開始マーク111bが1つの角部に表示されている。
【0054】
貼付票112は、本願発明における情報表示部となるものであって、この配送ラベル101が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の宛先情報が印字される配送情報表示欄112aが設けられているとともに、貼付票112を中間シート120から剥離する際の剥離開始端部及び剥離方向を示す剥離開始マーク112bが対向する角部にそれぞれ表示されている。さらに貼付票112には、切り込みとなるスリット113が伝票シート110を貫通して形成されている。このスリット113は、貼付票112の外縁上に一方の端部を具備し、その端部から貼付票112上を延び、貼付票112の外縁近傍を折り返し部113aとして折り返し、貼付票112上を再び延びてきて、さらに貼付票112の外縁近傍を折り返し部113aとして折り返すことを繰り返すことで、貼付票112上を、貼付票112の1つの角部からこの角部に対角線上にて対向する角部に向かって往復して進行していく蛇腹状となっている。そして、貼付票112上を往復して進行したスリット113は、貼付票112の外縁上に他方の端部を具備することで、貼付票112を2つの領域に分離するものとなっている。このように、本形態におけるスリット113は、蛇腹状であることで、折り返し部113aにおいて、突出側とは反対側が開口した凸形状を具備するものとなっている。なお、剥離開始マーク112bは、スリット113の蛇腹の進行方向と交差する方向にて対向する2つの角部にそれぞれ表示されており、それにより、スリット113の折り返し部113aが剥離開始マーク112bによる貼付票112の中間シート120からの剥離開始端部側を向いている。
【0055】
伝票シート110の裏面に積層された擬似接着層140は、本願発明における第1の接着層を構成し、三種類のニス層142a~142cと接着剤層141とが積層されて構成されており、ニス層142a~142cが伝票シート110側となるようにして伝票シート110に積層されている。ニス層142a~142cは、互いにニスの濃度が異なり、それにより、伝票シート110と中間シート120とは擬似接着層140によって剥離可能に貼着されているものの、ニス層142a~142cが積層された領域は、接着力が互いに異なるものとなっている。ニス層142bは、伝票シート110との積層面のうち、スリット113の折り返し部113aの内側の領域に積層されており、ニス層142cは、配達票111及び貼付票112のうち剥離開始端マーク111b,112dが表示された角部にそれぞれ積層されており、ニス層142aは伝票シート110との積層面のそれ以外の領域全面に積層されている。そして、ニス層142cにおけるニス濃度が最も濃く、ニス層142bにおけるニスの濃度が最も薄いことにより、擬似接着層140は、貼付票112に対向する領域のうち、スリット113の折り返し部213aの内側の領域、すなわち、スリット113の凸形状の先端部分の内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するものとなっている。接着剤層141は、ニス層142a~142cの全面を覆うように積層されている。
【0056】
中間シート120は、本願発明における第2のシートを構成するものであって、擬似接着層140によって伝票シート110に剥離可能に擬似貼着されている。中間シート120の擬似接着層140とは反対側の面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着剤層150が積層され、この粘着剤層150によって剥離シート130が剥離可能に貼着されている。なお、中間シート120、粘着剤層150及び剥離シート130としては、中間シート120と剥離シート130が粘着剤層150を介して剥離可能に貼着されたタック紙を用いることが考えられる。
【0057】
以下に、上記のように構成された配送ラベル101の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0058】
図7は、図6に示した配送ラベル101が配送物に貼着されるまでの使用方法を説明するための図である。
【0059】
図6に示した配送ラベル101を使用する場合は、まず、図7(a)に示すように、配送情報表示欄111a,112aに、この配送ラベル101が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の配送情報111c,112cが印字される。
【0060】
配送情報表示欄111a,112aに配送情報111c,112cが印字された後、中間シート120から剥離シート130が剥離され、表出した粘着剤層150によって、図7(b)に示すように配送物2に貼着される。
【0061】
このようにして配送ラベル101が貼着された配送物2は、配送情報表示欄111a,112aに表示された配送情報111c,112cに従って、配送物2の配送先に配送されていく。
【0062】
図8は、配送物2の配送先に配送される際の配送ラベル101の使用方法を説明するための図である。図9及び図10は、配送物2の配送先に配送された後の配送ラベル101の使用方法を説明するための図である。
【0063】
上記のように配送ラベル101が貼着された配送物2が配送先に配送されると、図8(a)に示すように、配達票111が配送ラベル101から分離される。配達票111は、ミシン目114を介して貼付票112と分離可能となっているとともに、伝票シート110の裏面に積層された擬似接着層140によって中間シート120に剥離可能に貼着されていることで、剥離開始マーク111bに従って中間シート120から剥離することができる。その際、剥離開始端マーク111bが表示された角部に積層されたニス層142cを構成するニスの濃度が、他の領域に積層されたニス層142a,142bを構成するニスの濃度よりも濃いことから、剥離開始端マーク111bが表示された角部の中間シート120との貼着力が最も弱くなっており、それにより、配達票111の剥離開始マーク111bが表示された領域が摘みやすくなっている。また、配達票111と貼付票112との境界のうち、剥離開始マーク111b側の端部に、剥離開始マーク111b側の端部が配達票111側に斜めに向いたカット部を有するジッパーをミシン目114の代わりに設けておけば、配達票111を配送ラベル101から分離する力が配達票111側に向かった場合でも、配達票111の分離部分がミシン目114からずれて配達票111が破断してしまうことが回避される。
【0064】
中間シート120から剥離された配達票111は、配送業者によって持ち帰られて配送管理に用いられる。
【0065】
このようにして、図8(b)に示すように、配達票111が配送物2から分離されることになる。
【0066】
その後、配送物2の配送先においては、配送物2のパッケージ等の外装を廃棄する際、図9(a)に示すように、貼付票112が配送ラベル101から分離される。貼付票112は、擬似接着層140によって中間シート120に剥離可能に貼着されているため、中間シート120から剥離することで、配送ラベル101から分離することができる。その際、貼付票112は、貼付票112に表示された剥離開始マーク112bに従って中間シート120から剥離されていくことになる。ここで、剥離開始端マーク112bが表示された角部に積層されたニス層142cを構成するニスの濃度が、他の領域に積層されたニス層142a,142bを構成するニスの濃度よりも濃いことから、剥離開始端マーク112bが表示された角部の中間シート120との貼着力が最も弱くなっており、それにより、貼付票112の剥離開始マーク112bが表示された領域が摘みやすくなっている。
【0067】
貼付票112が、剥離開始マーク112bに従って中間シート120から剥離されていくと、貼付票112には、蛇腹状のスリット113が形成されており、このスリット113は、蛇腹状の折り返し部113aが剥離開始マーク112bによる貼付票112の中間シート120からの剥離開始端部側を向いているため、図9(a)に示すように、スリット113の折り返し部113aのうち剥離開始端部側を向いた折り返し部113aを介した2つの線部に挟まれた領域が中間シート120に貼着されたままとなる一方、この2つの線部の外側の領域が中間シート120から剥離していき、貼付票112が2つの領域に分離していく。
【0068】
ここで、中間シート120から貼付票112を剥離する際、その剥離の速度等の条件によっては、貼付票112のスリット113の折り返し部113aのうち剥離開始端部側を向いた折り返し部113aを介した2つの線部に挟まれた領域も中間シート120から剥離してしまう虞がある。
【0069】
しかしながら、本形態における配送ラベル101においては、伝票シート110と中間シート120とを剥離可能に擬似貼着する擬似接着層140が、ニスの濃度が互いに異なる三種類のニス層142a~142cを用いることで、貼付票112に形成されたスリット113の蛇腹状の折り返し部113aの内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、貼付票112は、スリット113の蛇腹状の折り返し部113aの内側の領域が中間シート120から剥離しにくくなっている。そのため、剥離開始マーク112bに従って貼付票112が中間シート120から剥離されていくと、貼付票112のうちスリット113の剥離開始端部側を向いた折り返し部113aを介した2つの線部に挟まれた領域が中間シート120に貼着されたままとなる一方、この2つの線部の外側の領域が中間シート120から剥離していき、貼付票112が2つの領域に分離していく。
【0070】
そして、スリット113の両端部が貼付票112の外縁上に配置されていることで、貼付票112が2つの領域に分離し、図9(b)に示すように、貼付票112のうち中間シート120から剥離した部分が貼付票112の中間シート120に貼着されたままとなる部分からきれいに分離することになる。
【0071】
一方、貼付票112のうち中間シート120に貼着されたままとなる部分は、貼付票112のうち中間シート120から剥離した部分からきれいに分離されているため、図10(a)に示すように、中間シート120に貼着されたままとなる部分に表示された剥離開始マーク112bに従って中間シート120から剥離されていくと、図10(b)に示すように、一度のアクションで1つのまとまった形状となって中間シート120から剥離することができる。その際、剥離開始端マーク112bが表示された角部に積層されたニス層142cを構成するニスの濃度が、他の領域に積層されたニス層142a,142bを構成するニスの濃度よりも濃いことから、剥離開始端マーク112bが表示された角部の中間シート120との貼着力が最も弱くなっており、それにより、貼付票112の剥離開始マーク112bが表示された領域が摘みやすくなっている。
【0072】
上記のように中間シート120から剥離された貼付票112においては、スリット113を介した2つの領域に分離されているため、貼付票112に表示された配送情報112cが分断され、認識することが困難となって情報の漏洩が回避されることとなる。
【0073】
(第4の実施の形態)
図11は、本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シート110aの裏面の構成を示す図である。
【0074】
本形態は図11に示すように、図6に示した配送ラベル101に対して、伝票シート110aの構成と、伝票シート110aの裏面の構成が異なる配送ラベル101aである。
【0075】
本形態における伝票シート110aにおいては、伝票シート110aの外周に沿ってミシン目114aが形成されており、それにより、配達票111及び貼付票112が、ミシン目114aの外側の領域となる余剰部115から分離可能に区画形成されている。
【0076】
伝票シート110aの裏面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着剤層150が積層され、さらに、粘着剤層150上のうち、スリット113の折り返し部113aの内側の領域と余剰部115以外の領域の全面にシリコンが塗布されることでシリコン層131が積層されており、粘着剤層150とシリコン層131とニス層142cとによって剥離シート130が剥離可能に貼着されている。本形態においては、粘着剤層150とシリコン層131とニス層142cとから本願発明における第1の接着層が構成されている。
【0077】
これにより、本形態における配送ラベル101aにおいては、貼付票112のうち、貼付票112に形成されたスリット113の折り返し部113aの内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する構成が実現されている。
【0078】
上記のように構成された配送ラベル101aにおいては、剥離シート130が剥離されて配送物に貼着され、その後、配達票111及び貼付票112が、ミシン目114aが破断されることで配送ラベル101aから分離されて配送物から剥離されることになる。配達票111及び貼付票112は、その裏面に粘着剤層150とともにシリコン層131及びニス層142cが積層されているため、被着体となる配送物から容易に剥離することができる。その際、第3の実施の形態にて示したものと同様に、貼付票112に形成されたスリット113の折り返し部113aの内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、剥離開始マーク112bに従って貼付票112が配送物から剥離されていくと、貼付票112のうちスリット113の剥離開始端部側を向いた折り返し部113aを介した2つの線部に挟まれた領域が中間シート120に貼着されたままとなる一方、この2つの線部の外側の領域が中間シート120から剥離していき、貼付票112が2つの領域に確実に分離していく。
【0079】
このようにして貼付票112が分離されることで、貼付票112に表示された配送情報が分断され、情報の漏洩が回避されることとなる。
【0080】
(第5の実施の形態)
図12は、本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第5の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シート210の裏面に積層されたニス層242a~242cの構成を示す図である。
【0081】
本形態における配送ラベルは図12に示すように、伝票シート210と中間シート220とが擬似接着層240によって剥離可能に擬似貼着されているとともに、中間シート220の伝票シート210との貼着面とは反対側の面に粘着剤層250を介して剥離シート230が剥離可能に貼着された配送ラベル201であって、伝票シート210と擬似接着層240とによって本願発明の情報保護ラベルが構成されている。
【0082】
伝票シート210は、本願発明における第1のシートを構成し、配達票211と貼付票212とがミシン目214を介して分離可能に区画形成されて構成されている。
【0083】
配達票211には、この配送ラベル201が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の宛先情報が印字される配送情報表示欄211aが設けられているとともに、配達票211を中間シート220から剥離する際の剥離開始端部及び剥離方向を示す剥離開始マーク211bが1つの角部に表示されている。
【0084】
貼付票212は、本願発明における情報表示部となるものであって、この配送ラベル201が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の宛先情報が印字される配送情報表示欄212aが設けられているとともに、貼付票212を中間シート220から剥離する際の剥離開始端部、剥離方向及び剥離の順番を示す剥離開始マーク212b,212dが表示されている。さらに貼付票212には、切り込みとなるスリット213が伝票シート210を貫通して形成されている。このスリット213は、貼付票212の外縁を構成する一方の長辺上に一方の端部を具備し、その端部から貼付票212上を貼付票212の短手方向に延び、貼付票212の他方の長辺近傍を折り返し部213aとして折り返し、貼付票212上を貼付票212の短手方向に再び延びてきて、さらに貼付票212の長辺近傍を折り返し部213aとして折り返すことを繰り返すことで、貼付票212上を、貼付票212の一方の短辺側から他方の短辺側に向かって往復して進行していく蛇腹状となっている。そして、スリット213は、貼付票212の一方の長辺上に両端部を具備することで、貼付票212を2つの領域に分離するものとなっている。このように、本形態におけるスリット213は、蛇腹状であることで、折り返し部213aにおいて、突出側とは反対側が開口した凸形状を具備するものとなっている。また、剥離開始マーク212bは、スリット213の両端部に挟まれた領域において一方の端部の近傍に表示されており、剥離開始マーク212dは、スリット213によって分離される2つの領域のうち剥離開始マーク212bが含まれない領域のうち貼付票212の角部に表示されている。
【0085】
伝票シート210の裏面に積層された擬似接着層240は、本願発明における第1の接着層を構成し、三種類のニス層242a~242cと接着剤層241とが積層されて構成されており、ニス層242a~242cが伝票シート210側となるようにして伝票シート210に積層されている。ニス層242a~242cは、互いにニスの濃度が異なり、それにより、伝票シート210と中間シート220とは擬似接着層240によって剥離可能に貼着されているものの、ニス層242a~242cが積層された領域は、接着力が互いに異なるものとなっている。ニス層242bは、伝票シート210との積層面のうち、スリット213の折り返し部213aの内側と、貼付票212のスリット213によって分離される2つの領域のうち剥離開始端マーク212dが含まれる領域のスリット213の端部に隣接する領域となる伝票シート210の2つの角部とに積層されており、ニス層242cは、配達票211及び貼付票212のうち剥離開始端マーク211b,212dが表示された角部にそれぞれ積層されており、ニス層242aは伝票シート210との積層面のそれ以外の領域全面に積層されている。そして、ニス層242cにおけるニス濃度が最も濃く、ニス層242bにおけるニスの濃度が最も薄いことにより、擬似接着層240は、貼付票212に対向する領域のうち、スリット213の折り返し部213aの内側の領域、すなわち、スリット213の凸形状の先端部分の内側の領域と、伝票シート210の角部のうち貼付票212側の2つの角部とに、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するものとなっている。接着剤層241は、ニス層242a~242cの全面を覆うように積層されている。
【0086】
中間シート220は、本願発明における第2のシートを構成するものであって、擬似接着層240によって伝票シート210に剥離可能に擬似貼着されている。中間シート220の擬似接着層240とは反対側の面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着剤層250が積層され、この粘着剤層250によって剥離シート230が剥離可能に貼着されている。なお、中間シート220、粘着剤層250及び剥離シート230としては、中間シート220と剥離シート230が粘着剤層250を介して剥離可能に貼着されたタック紙を用いることが考えられる。
【0087】
以下に、上記のように構成された配送ラベル201の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0088】
図13は、図12に示した配送ラベル201が配送物に貼着されるまでの使用方法を説明するための図である。
【0089】
図12に示した配送ラベル201を使用する場合は、まず、図13(a)に示すように、配送情報表示欄211a,212aに、この配送ラベル201が貼着されて配送される配送物の配送先の住所や氏名等の配送情報211c,212cが印字される。
【0090】
配送情報表示欄211a,212aに配送情報211c,212cが印字された後、中間シート220から剥離シート230が剥離され、表出した粘着剤層250によって、図13(b)に示すように配送物2に貼着される。
【0091】
このようにして配送ラベル201が貼着された配送物2は、配送情報表示欄211a,212aに表示された配送情報211c,212cに従って、配送物2の配送先に配送されていく。その際、伝票シート210の角部のうち貼付票212側の2つの角部に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、配送物2の配送途中において、貼付票212が中間シート220から不用意に剥離してしまうことが回避される。なお、貼付票212が中間シート220から不用意に剥離してしまうことを回避するためには、貼付票212の角部に強接着部を設けることが好ましいが、配送物が配送先に配送された後に貼付票212を中間シート220から剥離できるようにするために、強接着部は、貼付票212の少なくとも1つを除く角部に設けることが好ましい。
【0092】
図14は、配送物2の配送先に配送される際の配送ラベル201の使用方法を説明するための図である。図15及び図16は、配送物2の配送先に配送された後の配送ラベル201の使用方法を説明するための図である。
【0093】
上記のように配送ラベル201が貼着された配送物2が配送先に配送されると、図14(a)に示すように、配達票211が配送ラベル201から分離される。配達票211は、ミシン目214を介して貼付票212と分離可能となっているとともに、伝票シート210の裏面に積層された擬似接着層240によって中間シート220に剥離可能に貼着されていることで、剥離開始マーク211bに従って中間シート220から剥離することができる。その際、剥離開始端マーク211bが表示された角部に積層されたニス層242cを構成するニスの濃度が、他の領域に積層されたニス層242a,242bを構成するニスの濃度よりも濃いことから、剥離開始端マーク211bが表示された角部の中間シート220との貼着力が最も弱くなっており、それにより、配達票211の剥離開始マーク211bが表示された領域が摘みやすくなっている。また、配達票211と貼付票212との境界のうち、剥離開始マーク211b側の端部に、剥離開始マーク211b側の端部が配達票211側に斜めに向いたカット部を有するジッパーをミシン目214の代わりに設けておけば、配達票211を配送ラベル201から分離する力が配達票211側に向かった場合でも、配達票211の分離部分がミシン目214からずれて配達票211が破断してしまうことが回避される。
【0094】
中間シート220から剥離された配達票211は、配送業者によって持ち帰られて配送管理に用いられる。
【0095】
このようにして、図14(b)に示すように、配達票211が配送物2から分離されることになる。
【0096】
その後、配送物2の配送先においては、配送物2のパッケージ等の外装を廃棄する際、図15(a)に示すように、貼付票212が配送ラベル201から分離される。貼付票212は、擬似接着層240によって中間シート220に剥離可能に貼着されているため、中間シート220から剥離することで、配送ラベル201から分離することができる。貼付票212は、貼付票212に表示された剥離開始マーク212b,212dのうち剥離開始マーク212b,212dによって剥離の順番が先であることが示される剥離開始マーク212bに従って中間シート220から剥離されていくことになる。その際、剥離開始端マーク212bが表示された領域に積層されたニス層242cを構成するニスの濃度が、他の領域に積層されたニス層242a,242bを構成するニスの濃度よりも濃いことから、剥離開始端マーク212bが表示された領域の中間シート220との貼着力が最も弱くなっており、それにより、貼付票212の剥離開始マーク212bが表示された領域が摘みやすくなっている。また、貼付票212のうち剥離開始マーク212bが表示された領域にスリット213を介して隣接する領域に積層されたニス層242bが、他の領域に積層されたニス層242a,242cを構成するニスの濃度よりも薄いことから、貼付票212のうち剥離開始マーク212bが表示された領域にスリット213を介して隣接する領域の中間シート220との貼着力が最も強くなっており、それにより、貼付票212の剥離開始マーク212bが表示された領域を中間シート220から剥離する際、剥離開始マーク212bが表示された領域にスリット213を介して隣接する領域が釣られて中間シート220から剥離してしまうことがない。
【0097】
貼付票212が、剥離開始マーク212bに従って中間シート220から剥離されていくと、貼付票212には、蛇腹状のスリット213が形成されているため、図15(a)に示すように、スリット213の折り返し部213aのうち剥離開始端部側を向いた折り返し部213aを介した2つの線部に挟まれた領域が中間シート220に貼着されたままとなる一方、この2つの線部の外側の領域が中間シート220から剥離していき、貼付票212が2つの領域に分離していく。
【0098】
ここで、中間シート220から貼付票212を剥離する際、その剥離の速度等の条件によっては、貼付票212のスリット213の折り返し部213aのうち剥離開始端部側を向いた折り返し部213aを介した2つの線部に挟まれた領域も中間シート220から剥離してしまう虞がある。
【0099】
しかしながら、本形態における配送ラベル201においては、伝票シート210と中間シート220とを剥離可能に擬似貼着する擬似接着層240が、ニスの濃度が互いに異なる三種類のニス層242a~242cを用いることで、貼付票212に形成されたスリット213の蛇腹状の折り返し部213aの内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、貼付票212は、スリット213の蛇腹状の折り返し部213aの内側の領域が中間シート220から剥離しにくくなっている。そのため、剥離開始マーク212bに従って貼付票212が中間シート220から剥離されていくと、貼付票212のうちスリット213の剥離開始端部側を向いた折り返し部213aを介した2つの線部に挟まれた領域が中間シート220に貼着されたままとなる一方、2つの線部の外側の領域が中間シート220から剥離していき、貼付票212が2つの領域に分離していく。
【0100】
そして、スリット213の両端部が貼付票212の外縁上に配置されていることで、貼付票212が2つの領域に分離し、図15(b)に示すように、貼付票212のうち中間シート220から剥離した部分が貼付票212の中間シート220に貼着されたままとなる部分からきれいに分離することになる。
【0101】
一方、貼付票212のうち中間シート220に貼着されたままとなる部分は、貼付票212のうち中間シート220から剥離した部分からきれいに分離されているため、図16(a)に示すように、中間シート220に貼着されたままとなる部分に表示された剥離開始マーク212dに従って中間シート220から剥離されていくと、図16(b)に示すように、一度のアクションで1つのまとまった形状となって中間シート220から剥離することができる。その際、剥離開始端マーク212dが表示された角部に積層されたニス層242cを構成するニスの濃度が、他の領域に積層されたニス層242a,242bを構成するニスの濃度よりも濃いことから、剥離開始端マーク212dが表示された角部の中間シート220との貼着力が最も弱くなっており、それにより、貼付票212の剥離開始マーク212dが表示された領域が摘みやすくなっている。
【0102】
上記のように中間シート220から剥離された貼付票212においては、スリット213を介した2つの領域に分離されているため、貼付票212に表示された配送情報212cが分断され、認識することが困難となって情報の漏洩が回避されることとなる。
【0103】
本形態においては、スリット213が、貼付票212の一方の短辺側から他方の短辺側に向かって往復して進行していく蛇腹状となっていることから、スリット213の折り返し部213aの内側に積層されるニス層242bが配達票211と貼付票212との連接方向に直交する方向に並んでいる。そのため、第3の実施の形態に示したものと比べて、ニス層242bの積層工程が容易なものとなる。
【0104】
(第6の実施の形態)
図17は、本発明の情報保護ラベルを利用した配送ラベルの第6の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は伝票シート210aの裏面の構成を示す図である。
【0105】
本形態は図17に示すように、図12に示した配送ラベル201に対して、伝票シート210aの構成と、伝票シート210aの裏面の構成が異なる配送ラベル201aである。
【0106】
本形態における伝票シート210aにおいては、伝票シート210aの外周に沿ってミシン目214aが形成されており、それにより、配達票211及び貼付票212が、ミシン目214aの外側の領域となる余剰部215から分離可能に区画形成されている。
【0107】
伝票シート210aの裏面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着剤層250が積層され、さらに、粘着剤層250上のうち、スリット213の折り返し部213aの内側の領域と伝票シート210aの角部のうち貼付票211側となる2つの角部と余剰部215とを除く領域の全面にシリコンが塗布されることでシリコン層231が積層されており、粘着剤層250とシリコン層231とニス層242cとによって剥離シート230が剥離可能に貼着されている。本形態においては、粘着剤層250とシリコン層231とニス層242cとから本願発明における第1の接着層が構成されている。
【0108】
これにより、本形態における配送ラベル201aにおいては、貼付票212のうち、貼付票212に形成されたスリット213の折り返し部213aの内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有する構成が実現されている。
【0109】
上記のように構成された配送ラベル201aにおいては、剥離シート230が剥離されて配送物に貼着され、その後、配達票211及び貼付票212が、ミシン目214aが破断されることで配送ラベル201aから分離されて配送物から剥離されることになる。配達票211及び貼付票212は、その裏面に粘着剤層250とともにシリコン層231及びニス層242cが積層されているため、被着体となる配送物から容易に剥離することができる。その際、第5の実施の形態にて示したものと同様に、貼付票212に形成されたスリット213の折り返し部213aの内側の領域に、それ以外の領域よりも強い接着力を具備する強接着部を有するため、剥離開始マーク212bに従って貼付票212が配送物から剥離されていくと、貼付票212のうちスリット213の剥離開始端部側を向いた折り返し部213aを介した2つの線部に挟まれた領域が中間シート220に貼着されたままとなる一方、この2つの線部の外側の領域が中間シート220から剥離していき、貼付票212が2つの領域に確実に分離していく。
【0110】
このようにして貼付票212が分離されることで、貼付票212に表示された配送情報が分断され、情報の漏洩が回避されることとなる。
【0111】
なお、上述した実施の形態においては、切り込みとしてスリット13,113,213を例に挙げて説明したが、切り込みとしては、スリットの一部にタイ部を有するものや、カット部とタイ部とからなるミシン目等、シートを分離可能なものであれば適宜使用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1,1a,101,101a,201,201a 配送ラベル
2 配送物
10,10a,110,110a,210,210a 伝票シート
11,111,211 配達票
11a,12a,111a,112a,211a,212a 配送情報表示欄
11b,12b,111b,112b,211b,212b,212d 剥離開始マーク
11c,12c,111c,112c,211c,212c 配送情報
12,112,212 貼付票
12d 抜け部
13,113,213 スリット
14,14a,114,114a,214,214a ミシン目
15,115,215 余剰部
20,120,220 中間シート
30,130,230 剥離シート
31,131,231 シリコン層
40,140,240 擬似接着層
41,141,241 接着剤層
42a~42c,142c~142c,242c~242c ニス層
50,150,150 粘着剤層
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