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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】異常判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20220330BHJP
   G01H 3/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G01M3/24 A
G01H3/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018192319
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2020060458
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000204240
【氏名又は名称】株式会社TAIYO
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 元昭
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-134135(JP,A)
【文献】特表2009-510443(JP,A)
【文献】特開平02-059637(JP,A)
【文献】特開平08-114580(JP,A)
【文献】米国特許第04571994(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
G01H 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧機器で生じた音を検知する音センサと、
前記空気圧機器の耐久試験の試験動作毎に前記空気圧機器で生じる音についてFFT解析を行う音質判定部と、
前記試験動作毎の前記FFT解析の解析結果が記録されたメモリと、
前記音センサによって検知された音の音量であってバンドパスフィルタを通過した所定の周波数帯域の音の音量と、前記FFT解析の解析結果から求めた試験動作毎の周波数帯域毎の音量とを比較し、周波数帯域毎に前記空気圧機器の寿命を予測する音量判定部とを備えていることを特徴とする異常判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異常判定装置において、
さらに、警報を発する警報部を備え、
前記警報部は、前記音センサによって検知された音が前記音量判定部によって異常であると判定された場合に警報を発するものであることを特徴とする異常判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧機器で生じる音を利用して空気圧機器の異常の有無の判定や寿命の予測を行う異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアシリンダや電磁弁などの空気圧機器の故障の原因の1つとしてエアー漏れがある。このエアー漏れの有無を検知することにより、空気圧機器の異常の有無を判定したり、空気圧機器の交換時期(寿命)を予測することが可能になる。空気圧機器のエアー漏れを検知するためには、例えば特許文献1に記載されているように、空気圧回路からエアーが漏れることにより空気圧力が低下する現象を利用して行うことができる。
【0003】
一方、エアシリンダにおいて異常の有無を判定するためには、実際のストローク量を測定し、このストローク量を設計値と比較して行うことができる。これを実現するためには、エアシリンダのストローク量を高い精度で測定することが必要になる。エアシリンダのストローク量は、例えば特許文献2に記載されているように、超音波を用いて測定することにより高い精度で測定することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-105879号公報
【文献】実開昭59-32707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気圧機器の異常の有無を判定したり、故障を予測するにあたって、特許文献1に開示されているように空気圧を用いると、異常が生じている空気圧機器を特定することはできない。この理由は、空気圧回路の全体の空気圧力を圧力センサで検知しているからである。空気圧機器のうちエアシリンダは、特許文献2に開示されているような高い精度の測定装置によって測定されたストローク量に基づいて異常の有無の判定を行ったり、故障することを予測することが可能である。しかし、個々のエアシリンダに高い精度の測定装置を装備することは費用が嵩むために難しい。
【0006】
本発明の目的は、空気圧機器の異常の有無を判定したり故障を予測することが可能で、しかも安価な異常判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る異常判定装置は、空気圧機器で生じた音を検知する音センサと、前記音センサによって検知された音を解析して現在の状況を判定する判定部とを備えたものである。
【0008】
本発明は、前記異常判定装置において、前記判定部は、前記音センサによって検知された音の音量を予め定めた音量と比較して現在の状況を判定するものであってもよい。
【0009】
本発明は、前記異常判定装置において、前記音センサによって検知された音の音量は、バンドパスフィルタを通過した所定の周波数帯域の音の音量であってもよい。
【0010】
本発明は、前記異常判定装置において、前記判定部は、前記音センサによって検知された音の周波数成分を測定し、この周波数成分に基づいて現在の状況を判定するものであってもよい。
【0011】
本発明は、前記異常判定装置において、前記現在の状況は、異常の有無を含み、前記判定部は、現在の空気圧機器で生じている音の音量と音質との少なくともいずれか一方を、予め定めた許容範囲と耐久試験のデータとのうち少なくともいずれか一方と比較して異常を検出するものであってもよい。
【0012】
本発明は、前記異常判定装置において、さらに、警報を発する警報部を備え、前記警報部は、前記音センサによって検知された音が前記判定部によって異常であると判定された場合に警報を発するものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
空気圧機器でエアー漏れが生じると音が発生する。本発明によれば、この音が音センサによって検知されて判定部によって解析されることにより、異常の有無を判定することができる。また、空気圧機器に故障に繋がる異常が生じると、動作音が変化する。本発明によれば、この音が音センサによって検知されて判定部によって解析されることにより、故障することを予測することができる。音センサは、例えば超音波式の測定装置に用いられている超音波発信器と較べると安価なものである。
したがって、個々の空気圧機器の異常の有無を判定したり寿命を予測することが可能で、しかも安価な異常判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る異常判定装置の構成を示すブロック図である。
図2】空気圧シリンダの側面図である。
図3】空気圧バルブの側面図である。
図4】制御装置のブロック図である。
図5】音量の変化を示すグラフである。
図6】周波数と音量との関係を示すグラフである。
図7】周波数と音量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る異常判定装置の一実施の形態を図1図7を参照して詳細に説明する。
図1に示す異常判定装置1は、空気圧シリンダ2と空気圧バルブ3とについて異常の有無の判定と寿命の予測とを行うものである。
空気圧シリンダ2は、複動型エアシリンダである。空気圧バルブ3は、空気圧シリンダ2の動作を切り換えるためのもので、5ポート型の電磁弁によって構成されている。
【0016】
空気圧シリンダ2の一端部は、第1の配管4と第1のスピードコントローラ5とを介して空気圧バルブ3の第1のポート6に接続されている。空気圧シリンダ2の他端部は、第2の配管7と第2のスピードコントローラ8とを介して空気圧バルブ3の第2のポート9に接続されている。
空気圧シリンダ2は、図2に示すように、シリンダボディ11と、このシリンダボディ11の一端部から突出するピストンロッド12とを備えている。シリンダボディ11には、第1の音センサ13が取付けられている。この第1の音センサ13は、アンプ14とA/D変換器15とを介して制御装置16に接続されており、空気圧シリンダ2で生じた音を検知し、検知信号として制御装置16に送る。制御装置16の構成は後述する。
【0017】
空気圧バルブ3は、上述した第1および第2のポート6,9の他に、空気圧源17に接続された第3のポート18と、第1のサイレンサ19に接続された第4のポート20と、第2のサイレンサ21に接続された第5のポート22とを備えている。空気圧バルブ3は、図3に示すように、バルブボディ23と、このバルブボディ23の両端部に設けられた第1および第2のソレノイド24,25とを備えている。これらの第1および第2のソレノイド24,25の動作は、後述する制御装置16によって制御される。
【0018】
バルブボディ23には、第2の音センサ31が取付けられている。この第2の音センサ31は、アンプ32とA/D変換器33とを介して制御装置16に接続されており、空気圧バルブ3で生じた音を検知し、検知信号として制御装置16に送る。
第1および第2のサイレンサ19,21は、詳細には図示してはいないが、消音材をハウジングの中に充填した構造のものである。第1のサイレンサ19のハウジングには第3の音センサ34が取付けられている。第2のサイレンサ21のハウジングには第4の音センサ35が取り付けられている。第1および第2のサイレンサ19,21の排気口と第3および第4の音センサ34,35との間には、排気の圧力が第3および第4の音センサに直接加えられることがないように、遮蔽部材(図示せず)を設けることが望ましい。
【0019】
第3の音センサ34は、アンプ36とA/D変換器37とを介して制御装置16に接続されており、第1のサイレンサ19で生じた音を検知し、検知信号として制御装置16に送る。
第4の音センサ35は、アンプ38とA/D変換器39とを介して制御装置16に接続されており、第2のサイレンサ21で生じた音を検知し、検知信号として制御装置16に送る。
この実施の形態においては、空気圧シリンダ2と、空気圧バルブ3と、第1および第2のサイレンサ19,21とが本発明でいう「空気圧機器」に相当する。なお、以下において、音の発生源を表現するときには、空気圧シリンダ2と、空気圧バルブ3と、第1および第2のサイレンサ19,21などの総称として単に空気圧機器という。
【0020】
制御装置16は、図4に示すように、上述した第1~第4の音センサ13,31,34,35、第1および第2のソレノイド24,25が接続されており、電磁弁制御部41と、判定部42と、通信部43と、メモリ44とを備えている。また、制御装置16は、警報装置としての表示灯45が接続されているとともに、インターネット46に接続されている。
【0021】
電磁弁制御部41は、空気圧シリンダ2が所定の作動タイミングで動作するように空気圧バルブ3の第1および第2のソレノイド24,25の動作を制御する。
判定部42は、音量判定部51と、音質判定部52と、警報部53とを備え、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検出された音を解析して現在の状況を判定する機能を有している。ここでいう「現在の状況」とは、異常の有無と寿命である。この実施の形態による判定部42は、詳細は後述するが、上述した空気圧機器の異常の有無を判定する機能と、寿命を予測する機能と、警報を発する機能とを有している。判定部42は、詳細は後述するが、現在の空気圧機器で生じている音の音量と音質との少なくともいずれか一方を、予め定めた許容範囲と耐久試験のデータとのうち少なくともいずれか一方と比較して異常を検出する。
【0022】
音量判定部51は、いわゆる騒音計(図示せず)を用いて構成されており、一般的なマイクロコンピュータ{CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)}で音の解析を行う。この実施の形態による音量判定部51は、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音の音量を予め定めた音量と比較して異常の有無を判定したり、寿命を予測する。空気圧機器が正常であるか否かは、図5に示すように、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音の音量の最大値Aが予め定めた判定用の音量を上回っているか否かで判定することができる。また、実際に使用されている空気圧機器で生じている現在の音の音量が正常時の音量あるいは予め定めた判定用の音量や、前回の音検出時の音量より大きい場合、言い換えれば音量が所定の許容範囲を超えた場合には「異常」としてとらえて検知する。このような異常が生じる場合は、予測しない事態となっていることを意味する。
【0023】
音量を用いて空気圧機器の寿命を予測するためには、空気圧機器が交換時期に達したとき(寿命に達した時)の音の音量と、現在の音量とを比較して予測することができる。交換時期に達したときの音の音量のデータは、耐久試験を行って予め音センサを用いて検知し、制御装置16のメモリ44に保存しておくことができる。このため、交換時期に達していない空気圧機器で生じている現在の音の音量が交換時期の音の音量に達している場合には、異常であり、寿命に達したと判定される。
音量判定部51が異常の有無を判定するために用いる音の音量は、図6(A)~(C)に示すように、バンドパスフィルタを通過した所定の周波数帯域の音の音量であってもよい。
【0024】
図6(A)においては、低域の周波数帯域の音のみを通すバンドパスフィルタを通過した音の周波数成分が実線で示され、その他の周波数成分は破線で示されている。
図6(B)においては、中域の周波数帯域の音のみを通すバンドパスフィルタを通過した音の周波数成分が実線で示され、その他の周波数成分は破線で示されている。
図6(C)においては、高域の周波数帯域の音のみを通すバンドパスフィルタを通過した音の周波数成分が実線で示され、その他の周波数成分は破線で示されている。
【0025】
音質判定部52は、いわゆるFFT(Fast Fourier Transform)アナライザー(図示せず)や、スペクトラムアナライザー(図示せず)を用いて構成されており、高性能なCPU、DSP(Digital Signal Processing:演算処理装置)で解析を行う。
音質判定部52は、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音の周波数成分を測定し、この周波数成分に基づいて現在の状況、すなわち上述した空気圧機器の異常の有無を判定したり、寿命を予測する。
【0026】
音質を用いて異常の有無を判定するためには、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音(現在の空気圧機器で生じている音)の周波数成分を測定し、この周波数成分と、正常時の周波数成分とを比較して行う。詳述すると、実際に使用されている空気圧機器で生じている現在の音の周波数成分が、正常時の音あるいは予め定めた判定用の音の周波数成分や前回検出時の音の周波数成分と較べて所定の許容範囲を超えている場合には「異常」としてとらえて検知する。このような異常が生じる場合は、予測しない事態となっていることを意味する。すなわち、現在の空気圧機器の音の波形(図7参照)と、正常時の空気圧機器の音の波形(図示せず)とを比較し、正常時の波形に較べて現在の波形が変化している場合は異常と判定する。
【0027】
音質を用いて寿命を予測するにあたっては、予め空気圧機器の耐久試験を行う。そして、耐久試験の試験動作毎に空気圧機器で生じる音についてFFT解析を行い、音質の変化の特徴を捉える。試験動作毎のFFT解析の解析結果はメモリ44に記録する。
寿命の予測は、現在の音についてFFT解析を行って得られた音の周波数成分と、試験動作毎にFFT解析を行って得られた音の周波数成分とを比較して行う。すなわち、現在の音の周波数成分に近い周波数成分となる試験動作回数が現在の空気圧機器の実質的な試験動作回数に相当するから、この空気圧機器の寿命を予測することができる。交換時期に達していない空気圧機器が寿命に達したと予測された場合には、異常であると判定することができる。
【0028】
寿命を予測するにあたっては、耐久試験で得た試験動作毎の音のFFT解析結果から試験動作毎の周波数帯域毎の音量を求め、この音量を図6(A)~(C)に示したような現在の周波数帯域毎の音量と比較して行うことができる。この場合は、低域の最大音量と、中域の最大音量と、高域の最大音量とを順番に求めることにより、帯域毎に寿命の予測を行うことができる。この予測方法を採ることにより、耐久試験以外はFFT解析を行う必要がなくなる。
なお、音質を用いて空気圧機器の寿命を予測する動作は、リアルタイムで常時行う他に、予め定めた所定の時間をおいて定期的に行うことができる。
【0029】
警報部53は、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音が判定部42によって異常であると判定された場合に警報を発する。警報は、表示灯45(図1参照)を点灯することにより実施される。
通信部43は、インターネット46を介して遠隔監視装置61に接続されており、異常の判定結果や寿命のデータを遠隔監視装置61に送る。
【0030】
このように構成された異常判定装置1においては、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音が制御装置16の判定部42で解析されることにより空気圧機器の異常の有無が判定されたり、空気圧機器の寿命が予測される。
空気圧シリンダ2が正常時より音量が大きい異常音を発している場合は、第1の音センサ13によって検知された空気圧シリンダ2の音の音量が正常時の音量より大きくなるために、判定部42が異常が生じていると判定する。この判定結果に基づいて警報部53が表示灯45を点灯させる。
【0031】
空気圧シリンダ2のストローク中に異常音が生じる場合は、ピストン(図示せず)やピストンロッド12の「かじり」が原因で摺動音が発生していると判定することができる。
空気圧シリンダ2のストローク端で異常音が生じている場合は、音量の大きさに基づいてクッション異常が生じていると判定することができる。
空気圧シリンダ2が停止中に異常音が生じている場合は、空気圧シリンダ2内のシール部材(図示せず)が破損して空気が漏洩していると判定することができる。
【0032】
空気圧バルブ3が切替え動作を行っているときに第2の音センサ31で音を検知することができない場合は、第1および第2のソレノイド24,25および給電系のケーブルが断線していると判定することができる。
第2の音センサ31によって検知された音が小さい(音量が少ない)場合は、空気圧バルブ3の動作が重い(動作が悪い)と判定することができる。
第2の音センサ31によって検知された音が大きい(音量が多い)場合は、空気圧バルブ3の動作が軽い(動作が円滑である)と判定することができる。
第2の音センサ31が継続的な音を検知している場合は、空気が漏洩していると判定することができる。
【0033】
空気圧シリンダ2および空気圧バルブ3が停止しているときに第3の音センサ34あるいは第4の音センサ35によって検知された音(排気音)の音量が正常時より大きいときは、空気圧シリンダ2あるいは空気圧バルブ3で内部漏れが生じていると判定することができる。
第1~第4の音センサ13,31,34,35は、例えば超音波式の測定装置に用いられている超音波発信器と較べると安価なものである。
【0034】
したがって、この実施の形態によれば、個々の空気圧機器の異常の有無を判定したり寿命を予測することが可能で、しかも安価な異常判定装置を提供することができる。
【0035】
この実施の形態による判定部42は、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音の音量を予め定めた音量と比較して現在の状況を判定する音量判定部51を有している。このため、例えば停止中に排気音が生じていれば内部漏れと判断できるから、異常の有無を簡単に判定可能な異常判定装置を実現することができる。
【0036】
この実施の形態において、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音のうち、バンドパスフィルタを通過した所定の周波数帯域の音の音量に基づいて異常の有無を判定したり寿命を予測する場合は、異常発生箇所や寿命が短い部位を特定することが可能になる。例えば、高域の音量が大きい場合は、音の主な発生箇所が金属部分であると考えられるから、金属部分に異常が生じていてその部分の寿命が短くなると予測することができる。
【0037】
この実施の形態による判定部42は、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音の周波数成分を測定し、この周波数成分に基づいて現在の状況を判定する音質判定部52を有している。
このため、高度な音の解析を行うことができ、空気漏れ、寿命に関係する音の特徴をとらえやすい。また、空気圧機器の周囲の騒音(ノイズ)と空気圧機器から生じる音とを容易に判別することができるから、判定結果の信頼性が高い。
【0038】
この実施の形態による異常判定装置1は警報を発する警報部53を備えている。警報部53は、第1~第4の音センサ13,31,34,35によって検知された音が判定部42によって異常であると判定された場合に警報を発するものである。
このため、異常の発生を操作者に確実に知らせることができ、重大な故障が生じる以前に修理、交換を行うことが可能になる。
【0039】
上述した実施の形態に示す判定部42は音量判定部51と音質判定部52を備えている。しかし、本発明はこのような限定にとらわれることはない。本発明に係る異常判定装置1は、音量判定部51と音質判定部52のいずれか一方のみを判定部42に設ける場合であっても実現可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…異常判定装置、2…空気圧シリンダ(空気圧機器)、3…空気圧バルブ(空気圧機器)、13…第1の音センサ、19…第1のサイレンサ(空気圧機器)、21…第2のサイレンサ(空気圧機器)、31…第2の音センサ、34…第3の音センサ、35…第4の音センサ、42…判定部、51…音量判定部、52…音質判定部、53…警報部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7