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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】中継コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20220330BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20220330BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R31/06 Z
H01R13/52 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018197293
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2020064813
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000103493
【氏名又は名称】オータックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230100022
【弁護士】
【氏名又は名称】山田 勝重
(74)【代理人】
【識別番号】100084319
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 智重
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】細谷 真人
(72)【発明者】
【氏名】本橋 宣太郎
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3096948(JP,U)
【文献】特開平10-41007(JP,A)
【文献】特開平10-144400(JP,A)
【文献】特開2000-82537(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3442082(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器の接続部に接続される中継コネクタであって、この中継コネクタに対して電気部品を接続することによって、前記中継コネクタを介して、前記対象機器と前記電気部品が互いに電気的に接続され、
前記中継コネクタは、
前記電気部品の接続方向に沿って移動可能に配置されたプッシュバーと、
前記接続方向に沿って前記電気部品側へ、前記プッシュバーを付勢する弾性部材と、
前記プッシュバーが、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記接続方向に沿って前記接続部側へ移動したときに、前記接続方向に直交する方向の外側又は内側へ、係止端部の位置が変位するフックとを備え、
前記電気部品を前記中継コネクタに接続させるときに前記電気部品は前記プッシュバーに当接し、前記電気部品を前記接続方向に沿って前記接続部側へ移動させることによって、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記プッシュバーが前記接続部側へ移動し、これによって前記フックの係止端部が、前記接続方向に直交する方向の外側又は内側へ変位することを特徴とする中継コネクタ。
【請求項2】
前記中継コネクタは、前記対象機器の接続部に接続されるコンタクトと、前記コンタクトの外側を覆うカバー部とを備え、
前記中継コネクタを前記対象機器の接続部に接続したとき、前記対象機器と前記コンタクトとが前記カバー部によって液密になるように覆われる請求項1に記載の中継コネクタ。
【請求項3】
前記フックは弾性を有し、前記プッシュバーの前記接続部側の端部が当接し、前記プッシュバーが前記接続部側へ移動したときに前記接続方向に直交する方向へ弾性変形する請求項1又は請求項2に記載の中継コネクタ。
【請求項4】
前記フックは、前記弾性変形によって、前記係止端部が、前記中継コネクタの外部へ突出して前記接続部に設けられた係止部に係止され、これによって前記中継コネクタは前記対象機器に対して抜け止められ、
前記プッシュバーが前記弾性部材の弾性力にしたがって初期位置に戻ったとき、前記フックは、前記弾性変形から回復し、前記係止端部と前記係止部の係止が解除される請求項3に記載の中継コネクタ。
【請求項5】
前記フックは、第2の弾性部材によって、前記接続方向に直交する方向の内側へ付勢されており、
前記フックは、前記プッシュバーの前記接続部側の端部が当接し、前記プッシュバーが前記接続部側へ移動したときに、前記プッシュバーの前記端部の側面の形状にしたがって、前記接続方向に直交する方向の外側へ変位する請求項1又は請求項2に記載の中継コネクタ。
【請求項6】
前記プッシュバーの前記接続部側の端部は、前記接続部側の第1側面と、前記第1側面に対して前記電気部品側で連なる第2側面とを備え、
前記第1側面は、前記接続部側へ向かうほど前記接続方向に直交する方向の内側へ向かっており、前記第2側面は前記接続方向に沿って延び、
前記フックは、前記プッシュバーの前記端部の側面形状にしたがった変位によって、前記係止端部が、前記中継コネクタの外部へ突出して前記接続部に設けられた係止部に係止され、これによって前記中継コネクタは前記対象機器に対して抜け止められ、
前記プッシュバーが前記弾性部材の弾性力にしたがって初期位置に戻ったとき、前記フックは、前記接続方向に直交する方向の内側へ変位し、前記係止端部と前記係止部の係止が解除される請求項5に記載の中継コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器と電気部品の間に配置して、これらを互いに電気的に接続するための中継コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器にコネクタ等を接続するための中継コネクタとして、例えば特許文献1に記載の中継コネクタがある。特許文献1は、電子機器が備える複数の機器コネクタに一括で複数のケーブルコネクタを嵌合接続するための一括嵌合アダプタに関するものであり、板状のパネルに複数の中継コネクタが設けられ、これらの中継コネクタを上記複数の機器コネクタに嵌合接続した際に、コネクタ同士の接続状態を維持固定するためのロック機構を備えている。ロック機構は、引掛けリングとレバーからなる引込ロックであり、引込ロックは、コネクタの嵌合方向に弾性力を生じさせるようにコイルばねを備え、このコイルばねにより上記複数の機器コネクタと複数の中継コネクタの機器コネクタ側接続部との嵌合方向の弾性力を生じさせるように構成されている。このような構成により、複数の機器コネクタと複数の中継コネクタの機器コネクタ側接続部とが押し付け合うように嵌合接続されて固定され、機器コネクタの外部導体と中継コネクタの外部導体とを常に接触させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-4653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療分野の電子機器及びコネクタに用いる中継コネクタにおいては、両手が同時に空かない状態で機器の切り替えを迅速かつ確実に行うことが求められる場面がある。しかしながら、特許文献1のロック機構では、両手を使って、電子機器を押さえながらロック操作を行うような複雑な操作が必要となる。
【0005】
また、医療分野においては、高い測定精度や耐久性の確保等の観点から、埃や異物の浸入を防止することが求められ、さらに、濡れた手などで操作したときの水分等の浸入を確実に防ぐことが必要となる。
【0006】
そこで本発明は、簡便な操作によって対象機器と電気部品との接続操作を行うことができ、かつ、対象機器と電気部品とを確実にロックさせることができる中継コネクタを提供することを目的とする。本発明の更なる目的は、埃、異物、水分等の浸入を確実に防止することができる中継コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の中継コネクタは、対象機器の接続部に接続される中継コネクタであって、この中継コネクタに対して電気部品を接続することによって、中継コネクタを介して、対象機器と電気部品が互いに電気的に接続され、中継コネクタは、電気部品の接続方向に沿って移動可能に配置されたプッシュバーと、接続方向に沿って電気部品側へ、プッシュバーを付勢する弾性部材と、プッシュバーが、弾性部材の弾性力に逆らって接続方向に沿って接続部側へ移動したときに、接続方向に直交する方向の外側又は内側へ、係止端部の位置が変位するフックとを備え、電気部品を中継コネクタに接続させるときに電気部品はプッシュバーに当接し、電気部品を接続方向に沿って接続部側へ移動させることによって、弾性部材の弾性力に逆らってプッシュバーが接続部側へ移動し、これによってフックの係止端部が、接続方向に直交する方向の外側又は内側へ変位することを特徴としている。
【0008】
本発明の中継コネクタは、対象機器の接続部に接続されるコンタクトと、コンタクトの外側を覆うカバー部とを備え、中継コネクタを対象機器の接続部に接続したとき、対象機器とコンタクトとがカバー部によって液密になるように覆われることが好ましい。
【0009】
本発明の中継コネクタにおいて、フックは弾性を有し、プッシュバーの接続部側の端部が当接し、プッシュバーが接続部側へ移動したときに接続方向に直交する方向へ弾性変形することが好ましい。
【0010】
本発明の中継コネクタにおいて、フックは、弾性変形によって、係止端部が、中継コネクタの外部へ突出して接続部に設けられた係止部に係止され、これによって中継コネクタは対象機器に対して抜け止められ、プッシュバーが弾性部材の弾性力にしたがって初期位置に戻ったとき、フックは、弾性変形から回復し、係止端部と係止部の係止が解除されることが好ましい。
【0011】
本発明の中継コネクタにおいて、フックは、第2の弾性部材によって、接続方向に直交する方向の内側へ付勢されており、フックは、プッシュバーの接続部側の端部が当接し、プッシュバーが接続部側へ移動したときに、プッシュバーの端部の側面形状にしたがって、接続方向に直交する方向の外側へ変位することが好ましい。
【0012】
本発明の中継コネクタにおいて、プッシュバーの接続部側の端部は、接続部側の第1側面と、第1側面に対して電気部品側で連なる第2側面とを備え、第1側面は、接続部側へ向かうほど接続方向に直交する方向の内側へ向かっており、第2側面は接続方向に沿って延び、フックは、プッシュバーの端部の側面形状にしたがった変位によって、係止端部が、中継コネクタの外部へ突出して接続部に設けられた係止部に係止され、これによって中継コネクタは対象機器に対して抜け止められ、プッシュバーが弾性部材の弾性力にしたがって初期位置に戻ったとき、フックは、接続方向に直交する方向の内側へ変位し、係止端部と係止部の係止が解除されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、簡便な操作によって対象機器と電気部品との接続操作を行うことができ、かつ、対象機器と電気部品とを確実にロックさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る中継コネクタ、対象機器としての送信機、及び、電気部品としてのプローブが互いに接続される前の状態を示す斜視図である。
図2】(a)は本発明の実施形態に係る中継コネクタを背面側から見た斜視図、(b)は中継コネクタを正面側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る中継コネクタの断面図である。
図4】本発明の実施形態における送信機の構成を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る中継コネクタと送信機を互いに接続し、プローブは接続していない状態を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る中継コネクタ、送信機、及び、プローブを互いに接続した状態を示す断面図である。
図7】変形例に係る中継コネクタと送信機を互いに接続し、プローブは接続していない状態を示す断面図の一部拡大図である。
図8】変形例に係る中継コネクタ、送信機、及び、プローブを互いに接続した状態を示す断面図の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る中継コネクタについて図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る中継コネクタ10、対象機器としての送信機50、及び、電気部品としてのプローブ60が互いに接続される前の状態を示す斜視図である。図2(a)は中継コネクタ10を背面側(プローブ60側)から見た斜視図、(b)は中継コネクタ10を正面側(送信機50側)から見た斜視図である。図3は中継コネクタ10の断面図である。図4は送信機50の構成を示す斜視図である。図5は、中継コネクタ10と送信機50を互いに接続し、プローブ60は接続していない状態を示す断面図である。図6は、中継コネクタ10、送信機50、及び、プローブ60を互いに接続した状態を示す断面図である。ここで、図3図5、及び、図6は、中継コネクタ10、送信機50、及び、プローブ60の接続方向(D1-D2方向)に沿った断面図である。
以下の説明において、接続方向(D1-D2方向)に直交する方向の内側又は外側を、内側又は外側とそれぞれ述べることがある。
【0016】
本実施形態に係る中継コネクタ10は、まず、対象機器としての送信機50の接続部51に接続される(図5)。次に、送信機50に接続された中継コネクタ10に対して、電気部品としてのプローブ60を接続することによって、中継コネクタ10を介して、送信機50とプローブ60が互いに電気的に接続される(図6)。
【0017】
対象機器としての送信機50は、例えばテレメトリー送信機の本体であるが、対象機器はこれに限定されない。図1図4に示すように、送信機50は、背面側(中継コネクタ10側)に接続部51を備え、接続部51には接続孔52が設けられている。接続部51は、非導電性の凹部53内に設けられており、この凹部53を構成する壁部のうち、上下の壁部の対応する位置に2つの係止部54がそれぞれ設けられている(図4図5図6)。上壁部の係止部は、上側(各図の上側)へ凹んだ凹部であり、底壁部の係止部は下側(各図の下側)へ凹んだ壁部とされている。ここで、凹部53を構成する壁部を、弾性と液密性を備えた材料として、例えばシリコーンゴムや合成ゴムで形成すると、中継コネクタ10と接続したときに、密着性と液密性を確保できるため好ましい。
【0018】
電気部品としてのプローブ60は、患者の身体に接続される心電計やパルオキシメータなどと接続され、患者のECG(心電図)、SPO(経皮的動脈血酸素飽和度)等のバイタルデータを送信機50側へ出力する。ここで、電気部品は、対象機器に対して、その種類・仕様等に応じたるデータや信号を与えるものであり、プローブに限定されない。
【0019】
図5図6に示すように、プローブ60は、正面側(中継コネクタ10側)から、接続方向(D1-D2方向)に沿って延びる複数のコンタクト61を備える。コンタクト61は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性のカバー部62によって囲まれている。ここで、カバー部62を、弾性と液密性を備えた材料として、例えばシリコーンゴムや合成ゴムで形成すると、中継コネクタ10と接続したときに、密着性と液密性を確保できるため好ましい。
【0020】
図3に示すように、中継コネクタ10は、プッシュバー20と、弾性部材としてのコイルばね30と、フック40とを備える。
プッシュバー20は、耐久性や耐摩耗性を備えた硬性の材料で構成され、上下の対応する位置に一対設けられ、中継コネクタ10の内部に設けられた移動路16(図5図6)内にそれぞれ挿通される。移動路16は、中継コネクタ10の内部を接続方向(D1-D2方向)に沿って貫通するように設けた空間である。プッシュバー20は、移動路16の中に挿通させることによって、接続方向(D1-D2方向)に沿って移動可能となる。
【0021】
中継コネクタ10には、各移動路16に連なる空間を形成するように、接続方向(D1-D2方向)の途中位置に規制空間17(図6)がそれぞれ設けられている。この規制空間17は、接続方向に直交する方向において中継コネクタ10の内側へ向けて形成されている。
【0022】
プッシュバー20には、接続方向の途中位置に突起部21が設けられている。この突起部21は、接続方向(D1-D2方向)に直交する方向において中継コネクタ10の内側へ突出するように形成されている。
【0023】
図3図5、及び図6に示すように、プッシュバー20の突起部21は規制空間17内に配置される。規制空間17内において、突起部21よりも正面側(D1方向の先端側、送信機50側)には、圧縮ばねであるコイルばね30(弾性部材)が配置されている。このコイルばね30は、規制空間17内において接続方向に沿って伸縮可能とされている。規制空間17内において、突起部21は、コイルばね30の弾性力によってD2方向へ付勢されている。このため、図5に示すように、中継コネクタ10にプローブ60が挿入されておらず、突起部21に対して接続方向の外力が加わっていない場合、突起部21は、規制空間17内の最も背面側(D2方向の先端側、プローブ60側)に位置する。
【0024】
これに対して、図6に示すように、中継コネクタ10にプローブ60が挿入されて中継コネクタ10とプローブ60が接続され、突起部21に対して、D1方向に沿って、プローブ60をD1方向へ進ませる外力が加わった場合には、突起部21(プッシュバー20)は、コイルばね30の弾性力に抗して、規制空間17内の正面側(D1方向の先端側、送信機50側)へ移動する。
【0025】
図2(a)又は図2(b)に示すように、中継コネクタ10は、正面側(D1方向の先端側、送信機50側)から、接続方向に沿って延びる複数のコンタクト11を備えるとともに、背面側には複数の接続孔15を備えた接続部14を備える。複数のコンタクト11と複数の接続孔15はそれぞれ対応する位置に設けられ、それぞれが互いに導通している。また、接続孔15の内面には電気伝導性の膜が形成されている。コンタクト11は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性の第1カバー部12によって囲まれている。接続部14は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性の第2カバー部13によって囲まれている。第1カバー部12は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性の第3カバー部18によって囲まれている。
【0026】
第1カバー部12、第2カバー部13、及び、第3カバー部18を、弾性と液密性を備えた材料として、例えばシリコーンゴムや合成ゴムで形成すると、中継コネクタ10と、送信機50(対象機器)及びプローブ60(電気部品)とをそれぞれ接続したときに、密着性と液密性を確保できるため好ましい。
【0027】
中継コネクタ10の先端側(D1方向の先端側)であって、一対の移動路16の外側(D1-D2方向に直交する面内において外側)には、フック40がそれぞれ配置されている。フック40は、弾性変形可能で耐摩耗性を有する材料で構成されている。図5図6に示すように、フック40は、後端部41が中継コネクタ10に固定され、送信機50側へ延びている。後端部41から延びるフック40の途中には、中継コネクタ10の内側(D1-D2方向に直交する面内において内側)へ向かうように曲げられた屈曲部42が設けられている。フック40は、屈曲部42よりも先端側において、中継コネクタ10の外側(D1-D2方向に直交する面内において外側)へ折り曲げられ、中継コネクタ10の外側へ向いた先端部43(係止端部)に至る。フック40は、その弾性により、後端部41が支持された状態で、中継コネクタ10の内側又は外側へ変形可能である。
【0028】
次に、中継コネクタ10と、送信機50及びプローブ60との接続について説明する。
中継コネクタ10は、まず、送信機50へ接続される。この接続は、中継コネクタ10のコンタクト11を送信機50の接続部51の接続孔52にそれぞれ挿入させることによって行う(図5)。これにより、送信機50内の不図示の導通部材に対してコンタクト11が電気的に接続される。
【0029】
第1カバー部12の内側面12aと接続部51の外側面は形状が互いに対応しており、さらに、第3カバー部18の外側面と凹部53の内側面は形状が互いに対応しているため、コンタクト11を接続部51に挿入させたときに、接続部51と第1カバー部12は液密な状態、すなわち液体を通さない状態で互いに連結される。したがって、接続部51から送信機50内へ、また、中継コネクタ10へ、液体や異物が侵入することを防ぐことができる。
【0030】
このように中継コネクタ10と送信機50を接続した状態においては、図5に示すように、プッシュバー20はコイルばね30の弾性力によって規制空間17内の最も後側(送信機50から遠い側)に位置している。このときプッシュバー20はフック40に接触しているのみで、フック40に対して外側へ付勢する力を及ぼしていない。
【0031】
つづいて、送信機50と接続された中継コネクタ10に対してプローブ60が接続される。この接続は、プローブ60の複数のコンタクト61を中継コネクタ10の接続部14に設けた複数の接続孔15にそれぞれ挿入させることによって行う。接続孔15の内面には電気伝導性の膜が形成されているため、この電気伝導性の膜を介して、接続孔15に挿入されたコンタクト61と、この接続孔15に対応するコンタクト11が互いに導通する。これにより、中継コネクタ10を介して、送信機50とプローブ60が電気的に接続される(図6)。
【0032】
ここで、第2カバー部13の内側面13aとカバー部62の外側面は形状が互いに対応しているため、コンタクト61を接続孔15に挿入させたときに、第2カバー部13とカバー部62は液密な状態で互いに連結される。したがって、中継コネクタ10及びプローブ60内へ液体や異物が侵入することを防ぐことができる。
【0033】
第2カバー部13内に挿入されたカバー部62は、接続方向(D1-D2方向)に直交する方向において、プッシュバー20に対応する位置に配置される。このため、プローブ60を送信機50側へ挿入していくと、カバー部62の先端がプッシュバー20の後端に当接し、プローブ60の移動にともなって、コイルばね30の弾性力に逆らってプッシュバー20が送信機50側へ移動する。そして、中継コネクタ10とプローブ60の接続が完了した状態においては、図6に示すように、プッシュバー20は、コイルばね30の弾性力に抗して、規制空間17内で先端側(送信機50側)に位置する。このとき、プローブ60は、その外表面と第2カバー部13の内面との摩擦力により、接続方向の位置が維持される。
【0034】
プローブ60が第2カバー部13の最も奥まで挿入されたとき、プッシュバー20の先端部22は、フック40の屈曲部42に対して内側から当接し、かつ、フック40を外側へ付勢する。この付勢により、フック40の先端部43は、図5に示す状態よりも外側へ突出するように変位し、中継コネクタ10の第3カバー部18から外部へ突出して送信機50の係止部54内に入り込む。このため、フック40が係止部54に係止されることとなり、中継コネクタ10の後方への移動が規制され、中継コネクタ10が送信機50に対して抜け止められる。
【0035】
これに対して、プローブ60を後側へ移動させて中継コネクタ10から外すと、プッシュバー20に対する外力がなくなるため、コイルばね30の弾性力にしたがってプッシュバー20は初期位置(図5の位置)に回復する。これにより、プッシュバー20によるフック40に対する付勢力がなくなるため、先端部43が送信機50の係止部54から外れ、フック40による送信機50と中継コネクタ10の係止が解除される。
【0036】
以上のように、中継コネクタ10は、送信機50に接続された状態でプローブ60を挿入するという簡便な操作を行うだけで、送信機50とプローブ60とを電気的に接続することができ、かつ、プッシュバー20の変位にともなうフック40の変形によって確実に抜け止めを行うことができる。さらに、各接続箇所が液密となるように構成されているため、埃、異物、水分等の浸入を確実に防止することができる。
【0037】
ここで、規制空間17、突起部21、及び、コイルばね30は、上述のように、コイルばね30の弾性力によってプッシュバー20が背面側へ付勢されるとともに、プローブ60を中継コネクタ10に接続することによってプッシュバー20が正面側へ移動させることができれば、上述以外の構成・配置としても良い。また、プッシュバー20を付勢する弾性部材としては、コイルばね30以外の弾性部材を用いても良い。
【0038】
図7図8を参照して、上記実施形態の変形例について説明する。図7は、変形例に係る中継コネクタ110と送信機50を互いに接続し、プローブ60は接続していない状態を示す断面図の一部拡大図である。図8は、変形例に係る中継コネクタ110、送信機50、及び、プローブ60を互いに接続した状態を示す断面図の一部拡大図である。図7図8において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0039】
中継コネクタ110は、プッシュバー120と、弾性部材としての第1コイルばね130と、第2の弾性部材としての第2コイルばね131と、フック140とを備える。
【0040】
プッシュバー120は、耐久性や耐摩耗性を備えた硬性の材料で構成され、上記実施形態のプッシュバー20と同様に、上下の対応する位置に一対設けられ、中継コネクタ110の内部に設けられた移動路116内にそれぞれ挿通される。移動路116は、中継コネクタ110の内部を接続方向(D1-D2方向)に沿って貫通するように設けた空間である。プッシュバー120は、移動路116の中に挿通させることによって、接続方向(D1-D2方向)に沿って移動可能となる。
【0041】
中継コネクタ110には、各移動路116に連なる空間を形成するように、接続方向(D1-D2方向)の途中位置に規制空間117(図8)がそれぞれ設けられている。この規制空間117は、接続方向に直交する方向において中継コネクタ110の内側へ向けて形成されている。
【0042】
プッシュバー120には、接続方向の途中位置に突起部121が設けられている。この突起部121は、接続方向(D1-D2方向)に直交する方向において中継コネクタ110の内側へ突出するように形成されている。
【0043】
プッシュバー120の突起部121は規制空間117内に配置される。規制空間117内において、突起部121よりも正面側(D1方向の先端側、送信機50側)には、圧縮ばねである第1コイルばね130(弾性部材)が配置されている。この第1コイルばね130は、規制空間117内において接続方向に沿って伸縮可能とされている。規制空間117内において、突起部121は、第1コイルばね130の弾性力によってD2方向へ付勢されている。このため、中継コネクタ110にプローブ60が挿入されておらず、突起部121に対して接続方向の外力が加わっていない場合、突起部121は、規制空間117内の最も背面側(D2方向の先端側、プローブ60側)に位置する。
【0044】
これに対して、図8に示すように、中継コネクタ110にプローブ60が挿入されて中継コネクタ110とプローブ60が接続され、突起部121に対して、D1方向に沿って、プローブ60をD1方向へ進ませる外力が加わった場合には、突起部121(プッシュバー120)は、第1コイルばね130の弾性力に抗して、規制空間117内の正面側(D1方向の先端側、送信機50側)へ移動する。
【0045】
プッシュバー120において、送信機50の接続部51側の端部122は、第1側面122aと第2側面122bという2つの連続する側面を有している。第1側面122aは、最も接続部51側の側面であって、接続部51側、すなわち先端へ向かうほど、接続方向に直交する方向の内側へ向かうように傾斜した平面とされている。第2側面122bは、第1側面122aに対してプローブ60側で連なっており、接続方向に沿って延びる平面をなしている。
【0046】
上記実施形態のコンタクト11、接続部14、及び、接続孔15と同様に、中継コネクタ110は、正面側(D1方向の先端側、送信機50側)から、接続方向に沿って延びる複数のコンタクト111を備えるとともに、背面側には複数の接続孔115を備えた接続部114を備える。コンタクト111は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性の第1カバー部112によって囲まれている。接続部114は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性の第2カバー部113によって囲まれている。第1カバー部112は、接続方向に直交する面方向の外側に設けられた、非導電性の第3カバー部118によって囲まれている。
【0047】
第1カバー部112、第2カバー部113、及び、第3カバー部118を、弾性と液密性を備えた材料として、例えばシリコーンゴムや合成ゴムで形成すると、中継コネクタ110と、送信機50(対象機器)及びプローブ60(電気部品)とをそれぞれ接続したときに、密着性と液密性を確保できるため好ましい。
【0048】
中継コネクタ110の先端側(D1方向の先端側)であって、一対の移動路116の外側(D1-D2方向に直交する面内において外側)には、フック140がそれぞれ配置されている。
【0049】
フック140は、耐久性や耐摩耗性を備えた硬性の材料で構成され、プローブ60側に第2コイルばね131の一方の端部が収容される凹部141を備える。第2の弾性部材としての第2コイルばね131は、他方の端部が第2カバー部113の内面に固定されている。これにより第2コイルばね131は、接続方向に直交する方向に沿って伸縮可能に配置され、その弾性力によって、フック140を接続方向に直交する方向の内側へ付勢する。このように第2コイルばね131を設けることによって、フック140が送信機50側又はプローブ60側へ移動することが規制される。
【0050】
フック140の送信機50側においては、接続方向に直交する方向の最も内側に位置する底面143から、プローブ60側へ傾斜面142が延びている。底面143は、接続方向に沿って延びる平面であり、傾斜面142は、プローブ60側へ向かうほど外側へ向かうような傾斜を有する平面である。傾斜面142の傾斜角度及び平面形状は、プッシュバー120の端部122の第1側面122aの傾斜角度及び平面形状にそれぞれ対応している。
【0051】
また、フック140の送信機50側においては、接続方向に直交する方向の外側に延出するように係止端部144が設けられている。
【0052】
次に、中継コネクタ110と、送信機50及びプローブ60との接続について説明する。
中継コネクタ110は、上記実施形態と同様に、まず、送信機50へ接続される。中継コネクタ110と送信機50を接続した状態においては、図7に示すように、プッシュバー120は第1コイルばね130の弾性力によって規制空間117内の最も後側(送信機50から遠い側)に位置している。このときプッシュバー120は、端部122の第1側面122aがフック140の傾斜面142に当接しているのみである。
【0053】
つづいて、上記実施形態と同様に、送信機50と接続された中継コネクタ110に対してプローブ60が接続される。第2カバー部113内に挿入されたカバー部62は、接続方向(D1-D2方向)に直交する方向において、プッシュバー120に対応する位置に配置される。このため、プローブ60を送信機50側へ挿入していくと、カバー部62の先端がプッシュバー120の後端に当接し、プローブ60の移動にともなって、第1コイルばね130の弾性力に逆らってプッシュバー120が送信機50側へ移動する。そして、中継コネクタ110とプローブ60の接続が完了した状態においては、図8に示すように、プッシュバー120は、第1コイルばね130の弾性力に抗して、規制空間117内で先端側(送信機50側)に位置する。このとき、プローブ60は、その外表面と第2カバー部113の内面との摩擦力により、接続方向の位置が維持される。
【0054】
プローブ60を第2カバー部113の最も奥まで挿入する過程において、プッシュバー120が送信機50側へ移動するにしたがって、端部122の第1側面122aは、フック140の傾斜面142に当接する位置(図7)から、底面143の内側に移動し、さらに、プッシュバー120は、第2側面122bが底面143に当接する位置(図8)まで移動する。このようなプッシュバー120の移動にともなって、フック140は、第2コイルばね131の弾性力に逆らって、プッシュバー120によって外側へ押し上げられ、接続方向に直交する方向の外側へ変位する。すなわち、フック140は、プッシュバー120の端部122の側面(第1側面122a、第2側面122b)の形状にしたがって外側へ変位する。
【0055】
このようなフック140の外側の変位によって、係止端部144は、図7に示す状態よりも外側へ突出するように変位し、中継コネクタ110の第3カバー部118から外部へ突出して送信機50の係止部54内に入り込む。このため、フック140が係止部54に係止されることとなり、中継コネクタ110の後方への移動が規制され、中継コネクタ110が送信機50に対して抜け止められる。
【0056】
これに対して、プローブ60を後側へ移動させて中継コネクタ110から外すと、プッシュバー120に対する外力がなくなるため、第1コイルばね130の弾性力にしたがってプッシュバー120は初期位置(図5の位置)に回復する。これにより、プッシュバー120によるフック140に対する付勢力がなくなるため、係止端部144が送信機50の係止部54から外れ、フック140による送信機50と中継コネクタ110の係止が解除される。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的又は本発明の思想の範囲内において改良又は変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明に係る中継コネクタは、簡便な操作によって対象機器と電気部品との接続操作を行うことができ、かつ、対象機器と電気部品とを確実にロックさせることができる点で有用である。
【符号の説明】
【0058】
10、110 中継コネクタ
11、111 コンタクト
12、112 第1カバー部
12a 内側面
13、113 第2カバー部
13a 内側面
14、114 接続部
15、115 接続孔
16、116 移動路
17、117 規制空間
18、118 第3カバー部
20、120 プッシュバー
21、121 突起部
22、122 端部
30 コイルばね(弾性部材)
40、140 フック
41 後端部
42 屈曲部
43 先端部(係止端部)
50 送信機(対象機器)
51 接続部
52 接続孔
53 凹部
54 係止部
60 プローブ(電気部品)
61 コンタクト
62 カバー部
122a 第1側面
122b 第2側面
130 第1コイルばね(弾性部材)
131 第2コイルばね(第2の弾性部材)
141 凹部
142 傾斜面
143 底面
144 係止端部
D1、D2 接続方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8