(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】常染色体優性精神遅滞-5とドラベ症候群の処置のためのアンチセンスオリゴマー
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20220330BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220330BHJP
A61K 48/00 20060101ALN20220330BHJP
A61K 31/7105 20060101ALN20220330BHJP
A61K 31/7088 20060101ALN20220330BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20220330BHJP
A61P 25/28 20060101ALN20220330BHJP
A61K 9/08 20060101ALN20220330BHJP
A61K 9/10 20060101ALN20220330BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/63 Z
A61K48/00
A61K31/7105
A61K31/7088
A61P25/00
A61P25/28
A61K9/08
A61K9/10
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2018529250
(86)(22)【出願日】2016-12-14
(86)【国際出願番号】 US2016066708
(87)【国際公開番号】W WO2017106377
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-13
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504278156
【氏名又は名称】コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
(73)【特許権者】
【識別番号】518195690
【氏名又は名称】ストーク セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】アズナレズ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ,ヒュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】クライナー,エイドリアン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0128449(US,A1)
【文献】PNAS,1996年,Vol.93,pp.12840-12844
【文献】PLOS ONE,2012年,Vol.7, No.7,e41802, pp.1-11
【文献】HUMAN MUTATION,2005年,Vol.25,pp.535-542(& S1-S7)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7088-31/713
A61K 48/00
C12N 15/113
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチセンスオリゴマー(ASO)であって、ASOが、SCN1Aタンパク質をコードする保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の標的部分に相補的であり、RIC mRNA前駆体が保持されたイントロンを含み、ASOのRIC mRNA前駆体の標的部分との結合が、RIC mRNA前駆体を発現する細胞内で、保持されたイントロンをRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングさせることにより、細胞内で、SCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNAのレベルを増加させ、RIC mRNA前駆体の標的部分は保持されたイントロン内にあ
り、ASOが、SEQ ID NO:63、69、246、247、251、255~258、2599~2601、2607、および2608から選択される配列を含む、前記アンチセンスオリゴマー。
【請求項2】
保持されたイントロンがイントロン21であり、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して+6~保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-16までの領域内にある、請求項1に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項3】
RIC mRNA前駆体が、SEQ ID NO:4~7から選択される配列を含む、請求項1または2に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項4】
RIC mRNA前駆体の標的部分が、SEQ ID NO:2593内にある、請求項1~3のいずれかに記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項5】
ASOが、SEQ ID NO:63、69、246、247、251、255~258、2599~2601、2607、および2608から選択される配列からなる、請求項1~4のいずれかに記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項6】
SCN1Aタンパク質が、
i)同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態、または
ii)同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態
で生成される、請求項1~
5のいずれかに記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項7】
ASOが、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾、または修飾された糖部もしくは糖アナログを含み、該修飾された糖部もしくは糖アナログが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含んでいてもよい、請求項1~
6のいずれかに記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項8】
ASOが、18~50の核酸塩基からなる、請求項1~
7のいずれかに記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載のASOを含むポリヌクレオチドをコードする、ウイルスベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2015年12月14日に出願された米国仮特許出願第62/267,251号の利益を主張し、該仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列リストへの言及
本出願は配列表を包含しており、これは、ASCIIフォーマットで電子的に出願され、その全体を参照することで本明細書に組み込まれる。2016年12月12日に作成されたASCIIのコピーは、47991_708_601_SL.txtのファイル名であり、1,460,063バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
精神遅滞は、集団の1~3%に影響を与える小児の最も蔓延しているハンディキャップである。常染色体優性精神遅滞-5(MRD5)は、関連する形態の特徴、放射線学的特徴、および代謝の特徴の不足を特徴とする障害の万円している非症候群型である。事例研究は、説明のつかない非症候群の精神遅滞の患者のおよそ3%において切断されたタンパク質の生成を結果としてもたらす、SYNGAP1遺伝子中の新たに遺伝学的な病変を特定した。SYNGAP1は、脳で選択的に表され、正常な発育のために必要とされる、GTPアーゼ活性化酵素である(Hamden, et al., 2009, NEJM 360: 599-605)。
【0004】
乳児期またはSMEIの重症のミオクローヌス性てんかんとしても知られているドラベ症候群(DS)は、1978年にドラベによって最初に記載された。ドラベ症候群は、寛解しない生命の最初の年の間の発作の開始を特徴とする小児期癲癇である。ニューロン電位依存性ナトリウムチャネルのサブユニットを形成するα孔をコードするSCN1A-SCN2A-SCN3A遺伝子群の一部であるSCN1A遺伝子中の変異は、この疾患の発現に関連している(Miller, et al., 1993-2015, GeneReviews, Eds. Pagon RA, et al. Seattle (WA): University of Washington, Seattle, Bookshelf ID: NBK1318, and Mulley, et al., 2005, Hum. Mutat. 25: 535-542)。
【発明の概要】
【0005】
本明細書には、いくつかの実施形態において、被験体の細胞により標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させることによって必要としている被験体の常染色体優性精神遅滞-5(MRD5)またはドラベ症候群(DS)を処置する方法が開示され、ここで該細胞は、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、該RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、ここでRIC mRNA前駆体は、標的タンパク質または機能的RNAをコードし、該方法は、被験体の細胞を、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞内で、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させる。
【0006】
本明細書には、いくつかの実施形態において、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有している細胞によってSYNGAP1またはSCN1Aである標的タンパク質の発現を増加させる方法が記載され、該RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、ここでRIC mRNA前駆体はSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードし、該方法は、細胞を、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロンは、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、細胞内で、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させる。
【0007】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、方法はMRD5を処置する方法であり、標的タンパク質はSYNGAP1であり、あるいは、方法はDSを処置する方法であり、標的タンパク質はSCN1Aである。いくつかの実施形態において、標的タンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足している標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる、補償タンパク質あるいは補償機能的RNAである。いくつかの実施形態では、細胞は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量または活性の不足によって引き起こされた疾病を有する被験体内にあるか又は被験体に由来する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質の量の不足は、標的タンパク質のハプロ不全によって引き起こされ、ここで被験体は、機能的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子、標的タンパク質が生成されない第2の対立遺伝子、または非機能的な標的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する。いくつかの実施形態において、被験体は、標的タンパク質の量または機能の不足に起因する障害により引き起こされた疾病を抱えており、ここで、被験体は、(a)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生成され、(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成され、あるいは、(iii)標的タンパク質が生成されない、第1の変異対立遺伝子と、(b)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生成され、(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成され、あるいは、(iii)標的タンパク質が生成されない、第2の変異対立遺伝子とを有し、ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対立遺伝子(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(ii)であり、ここで、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である第1の変異対立遺伝子、および/または、(b)(i)あるいは(b)(ii)である第2の変異対立遺伝子から転写される。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態で生成される。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態で生成される。
【0008】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにある。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部の保持されたイントロンにある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部にある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部にある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領域;(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域;(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域;あるいは、(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領域。
【0009】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSCN1Aである。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4-7のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2593の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:10-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:10-266または524-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:10-62、524-576、あるいは781-833のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン21にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:63-162、577-675、あるいは834-932のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン21にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:163-258、676-772、あるいは933-1029のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:259-266、773-780、あるいは1030-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0010】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSCN1Aである。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:267-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:267-319のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン23にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:320-418のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン23にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:419-515のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:516-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0011】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSYNGAP1である。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:8または9に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2または3に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2592、2594、または2595の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1038-2591のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して-73e~+499までの領域内、あるいは保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して-496~+1912eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1038-1509または1815-2286のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して-73e~-4eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1038-1050または1815-1827のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して+6~+499の領域内の保持されたイントロン18にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1051-1136または1828-1913のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン19にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1137-1228または1914-2005のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して+17e~+1912eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1229-1509または2006-2286のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0012】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSYNGAP1である。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して-1054e~+251までの領域内、あるいは保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して-256~+157eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1510-1814または2287-2591のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して-4e~-1054eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1510-1686または2287-2463のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して+6~+251の領域内の保持されたイントロン15にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1687-1736または2464-2513のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して-16~-256の領域内の保持されたイントロン15にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1737-1785または2514-2562のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して+2e~+157eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:1786-1814または2563-2591のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0013】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、機能的RNAまたは標的タンパク質をコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、野生型のmRNA前駆体の全長のmRNA前駆体の部分的なスプライシング、または部分的なスプライシングによって生成された。いくつかの実施形態において、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟mRNA、あるいは野生型の成熟mRNAである。いくつかの実施形態において、生成された標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞において生成された標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞において生成された標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの総量の比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパク質の総量は、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する。
【0014】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含む。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む。いくつかの実施形態において、それぞれの糖部は修飾された糖部である。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である。
【0015】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結合する。いくつかの実施形態において、最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する。いくつかの実施形態において、細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する。いくつかの実施形態において、2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する。いくつかの実施形態において、当該方法はSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質発現を評価する工程をさらに含む。
【0016】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、MRD5は処置され、および、アンチセンスオリゴマーはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分へ結合し、標的部分はSEQ ID NO:1038-2591から選択される配列内にあり、あるいは、DSが処置され、および、アンチセンスオリゴマーはSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分へ結合し、標的部分はSEQ ID NO:10-1037から選択される配列内にある。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。いくつかの実施形態では、被験体はヒト以外の動物である。いくつかの実施形態において、被験体は胎児、胚、あるいは子供である。いくつかの実施形態では、細胞はエクスビボである。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、被験体のくも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態において、5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持されたイントロンの+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である。いくつかの実施形態において、保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス部位に隣接するエクソンの+1eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である。いくつかの実施形態では、前述の方法のいずれかに記載されるようなアンチセンスオリゴマーが本明細書に開示される。
【0017】
いくつかの実施形態では、SEQ ID NO:10-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含むアンチセンスオリゴマーが本明細書で開示される。
【0018】
さらに、いくつかの実施形態において、請求項90または91のアンチセンスオリゴマー、および薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、あるいは担体を含む医薬組成物が本明細書で開示される。
【0019】
いくつかの実施形態では、くも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって請求項92の医薬組成物を投与することにより、必要としている被験体を処置する方法が本明細書で開示される。
【0020】
本明細書では、いくつかの実施形態において、不足しているタンパク質または不足している機能的RNAに関係する被験体のMRDD5またはDSを処置するために細胞によって標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させる方法で使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物が開示され、ここで、不足しているタンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足しており、ここで、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の構成的のスプライシングを増強し、ここで、標的タンパク質は:(a)不足しているタンパク質;あるいは(b)被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って代わる、補償タンパク質であり、ここで、機能的RNAは:(c)不足しているRNA;あるいは(d)被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大するか、これに取って代わる、補償機能的RNAであり、ここで、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエクソン、および3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、ここで、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体からスプライシングされ、それによって、被験体の標的タンパク質あるいは機能的RNAの生成あるいは活性を増加させる。
【0021】
いくつかの実施形態において、被験体においてSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質に関連した疾病を処置する方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物が本明細書で開示され、当該方法は、被験体の細胞によるSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させる工程を含み、ここで、細胞は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含む、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、ここで、RIC mRNA前駆体はSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードし、当該方法は、アンチセンスオリゴマーに細胞を接触させる工程を含み、これによって、保持されたイントロンは、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞においてSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、疾病は疾患または障害である。いくつかの実施形態において、疾患または障害はAD精神遅滞5あるいはドラベ症候群である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質とRIC mRNA前駆体はSYNGAP1またはSCN1A遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーはRIC mRNA前駆体の一部を標的とし、これは、以下の内部の保持されたイントロンにある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部にある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域;あるいは(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部にある:(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領域;(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域;(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域;あるいは、(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領域。
【0022】
前述の組成物のいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSCN1Aである。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4-7のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2593の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:10-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:10-266または524-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:10-62、524-576、あるいは781-833のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン21にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:63-162、577-675、あるいは834-932のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン21にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:163-258、676-772、あるいは933-1029のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:259-266、773-780、あるいは1030-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0023】
前述の組成物のいずれかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSCN1Aである。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:267-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:267-319のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン23にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:320-418のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン23にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:419-515のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある。いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:516-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0024】
前述の組成物の何れかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSYNGAP1である。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:8または9に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2または3に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2592、2594、または2595の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1038-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補的(complimentary)である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対する-73e~+499の領域内、或いは保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対する-496~+1912eの領域内に存在する。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1038-1509又は1815-2286のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対する-73e~-4eの領域内にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1038-1050又は1815-1827のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対する+6~+499の領域内の保持されたイントロン18にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1051-1136又は1828-1913のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対する-16~-496の領域内の保持されたイントロン19にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1137-1228又は1914-2005のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対する+17e~+1912eの領域内にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1229-1509又は2006-2286のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。
【0025】
前述の組成物の何れかのいくつかの実施形態において、標的タンパク質はSYNGAP1である。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対する-1054e~+251の領域内、或いは保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対する-256~+157eの領域内に存在する。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1510-1814又は2287-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対する-4e~-1054eの領域内にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1510-1686又は2287-2463のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対する+6~+251の領域内の保持されたイントロン15にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1687-1736又は2464-2513のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対する-16~-256の領域内の保持されたイントロン15にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1737-1785又は2514-2562のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対する+2e~+157eの領域内にある。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1786-1814又は2563-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の相補性である配列を含む。
【0026】
前述の組成物の何れかのいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の変異から結果として生じる異常スプライシングを調節することにより標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、全長mRNA前駆体または野生型mRNA前駆体からの部分的スプライシングによって産生された。いくつかの実施形態では、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長成熟mRNAまたは野生型成熟mRNAである。いくつかの実施形態では、産生される標的タンパク質は、全長タンパク質または野生型タンパク質である。いくつかの実施形態では、保持されたイントロンは、律速イントロンである。いくつかの実施形態では、保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体において最も豊富な保持されたイントロンである。いくつかの実施形態では、保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体において2番目に豊富な保持されたイントロンである。
【0027】
前述の組成物の何れかのいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む。いくつかの実施形態では、各糖部は、修飾された糖部である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基から成る。
【0028】
本明細書には、いくつかの実施形態では、請求項94乃至167の組成物の何れかのアンチセンスオリゴマーと薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物が開示される。本明細書にはまた、いくつかの実施形態では、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射によって請求項168の医薬組成物を投与することにより、必要とする被験体を処置する方法が開示される。
【0029】
本明細書には、いくつかの実施形態では、医薬組成物が開示され、該医薬組成物は、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物の標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーであって、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は保持されたイントロンを含み、アンチセンスオリゴマーは、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物からの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、アンチセンスオリゴマー;及び薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、または担体を含む。いくつかの実施形態では、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNA前駆体の転写産物である。いくつかの実施形態では、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNA前駆体の転写産物の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する領域+500から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する領域-500内にある。いくつかの実施形態では、SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物は、SEQ ID NO:1-3のいずれか1に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNA前駆体の転写産物は、SEQ ID NO:4-9のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である。いくつかの実施形態では、SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分は、SEQ ID NO:2592-2595から選択される配列内にある。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:10-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:10-2591から選択されるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射または静脈内注射のために製剤される。
【0030】
本明細書には、いくつかの実施形態では、SCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態をコードする十分に処理されたSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物を産生するために、保持されたイントロンの除去を促進するように、不足したSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物の処理を誘発する方法が開示され、該方法は、(a)アンチセンスオリゴマーを被験体の標的細胞と接触させる工程;(b)不足したSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物にアンチセンスオリゴマーをハイブリダイズする工程であって、ここで、不足したSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は、SCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態をコードすることができ、且つ少なくとも1つの保持されたイントロンを含む、工程;(c)SCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態をコードする十分に処理されたSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物を産生するために、不足したSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物から少なくとも1つの保持されたイントロンを除去する工程;および(d)十分に処理されたSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物からSCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態を翻訳する工程を含む。いくつかの実施形態では、保持されたイントロンは、保持されたイントロン全体である。いくつかの実施形態では、不足したSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNA前駆体の転写産物である。
【0031】
本明細書には、いくつかの実施形態では、不足した量または活性のSCN1AまたはSYNGAP1タンパク質により引き起こされる疾病を患う被験体を処置する方法が開示され、該方法は、SEQ ID NO:10-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体に投与する工程を含む。
【0032】
<引用による組み込み>
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に指示される程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の新規な特徴は、特に、添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の諸原則が利用される例示的な実施形態について説明する以下の詳細な記載と、添付の図面を参照することで、本発明の特徴および利点についてのよりよい理解が得られるであろう。
【0034】
【
図1】
図1は、典型的な保持されたイントロン含有(RIC)mRNA前駆体の転写産物の概略図を示す。5’スプライス部位コンセンサス配列は、-3eから-1eおよび+1から+6(「e」と標識された数字はエクソンであり、標識されていない数字はイントロンである)まで下線を引かれた文字(文字はヌクレオチドである;大文字:エクソン部分、および小文字:イントロン部分)で示されている。3’スプライス部位コンセンサス配列は、-15から-1および+1e(「e」と標識された数字はエクソンであり、標識されていない数字はイントロンである)まで下線を引かれた文字(文字はヌクレオチドである;大文字:エクソン部分、および小文字:イントロン部分)で示されている。ASOスクリ-ニングのためのイントロン標的領域は、保持されたイントロンの5’スプライス部位(左の矢印)に対するヌクレオチド+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位(右の矢印)に対するヌクレオチド-16までを含む。実施形態では、ASOスクリ-ニングのためのイントロン標的領域は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオチド+6から+100、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に対するヌクレオチド-16から-100を含む。エクソン標的部位は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+2eから-4e、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+2eから-4eのヌクレオチドを含む。「n」または「N」はヌクレオチドを表し、「y」はピリミジンを表す。図示された配列は、哺乳動物のスプライス部位に対するコンセンサス配列を表わし、個々のイントロンおよびエクソンは、すべての位置でコンセンサス配列に一致する必要はなない。
【
図2A】核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)方法の概略図を表わす。
図2Aは、核と細胞質区画に分割された細胞を示す。核では、エクソン(長方形)およびイントロン(接続線)からなる標的遺伝子のmRNA前駆体の転写産物は、mRNAを生成するためにスプライシングを受け、このmRNAは細胞質に輸送され、標的タンパク質へと翻訳される。この標的遺伝子については、イントロン1のスプライシングは非効率的であり、保持されたイントロン含有(RIC)mRNA前駆体は、主として核内に蓄積し、細胞質に輸送された場合は劣化し、標的タンパク質の産生にはつながらない。
【
図2B】核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)方法の概略図を表わす。
図2Bは、核と細胞質区画に分割された同様の細胞の例を示す。アンチセンスオリゴマー(ASO)での処置は、イントロン1のスプライシングを促進し、かつmRNAの増加をもたらし、これは順に、高レベルの標的タンパク質へと翻訳される。
【
図3】
図3は、示されるイントロン15をもつSYNGAP1遺伝子中のイントロン保持を詳細に表わす。RNA配列決定(RNAseq)を用いた、SYNGAP1遺伝子中のイントロン保持事象の特定は、UCSCゲノムブラウザで視覚化され示される。上のパネルは、HCN(ヒトの皮質ニューロン)において発現され、且つ細胞質(上)または核分画(下)のいずれかにおいて局在化されたSYNGAP1転写産物に対応する読み取り密度を示す。このパネルの底部には、SYNGAP1遺伝子のグラフ表現が、目盛に合わせて示される。読み取り密度は、ピークとして示される。最も高い読み取り密度は、エクソン(ブラックボックス)に相当し、一方、いずれの細胞分画においてもイントロンの大半(矢印頭部を有する線)について読み取りは観察されない。細胞質分画と比較してより高い読み取り密度は、核分画のイントロン15および18/19(矢印により示される)で検出され、これはイントロン15および18/19のスプライシング効率が低く、結果としてイントロン保持をもたらすことを示している。保持されたイントロン含有mRNA前駆体の転写産物は、核に保持され、細胞質には輸送されない。HCNのイントロン15についての読み取り密度は、生物情報学的な分析によって計算されるとおり25%のイントロン保持を示す下のパネルで詳細に示される。
【
図4】
図4は、典型的なSYNGAP1遺伝子イントロン15(IVS15)ASO walkを表す。2’-O-Me ASO(PS骨格)を使用して、5’スプライス部位のすぐ下流、または3’スプライス部位の上流の配列を標的とするSYNGAP1 IVS 15に対して行われたASO walkのグラフ表現が示される。ASOは、一度に5つのヌクレオチドの位置を変えることにより、これらの領域をカバーするように設計された。SYNGAP1エクソン-イントロン構造は目盛に合わせて示される。
【
図5】
図5は、示されるイントロン18と19をもつSYNGAP1遺伝子中のイントロン保持を詳細に表わす。SYNGAP1遺伝子中のイントロン保持は、本明細書中の実施例において述べられているように、RNA配列決定(RNAseq)によって特定され、UCSCゲノムブラウザ中で視覚化された。HCNのイントロン18と19の読み取り密度は、下のパネルで詳細に示される。イントロン18と19は、代替的にスプライシングされたエクソンであるエクソン19に隣接している。たとえエクソン19が注釈されなくとも、その存在の証拠はRNAseqデータにより示され、そのため明瞭なピークが細胞質分画に観察される。しかし、細胞質分画におけるエクソン19に対応する読み取り密度は、SYNGAP1における構成的にスプライシングされたエクソンよりも低い。HCNのイントロン18/19についての読み取り密度は、生物情報学的な分析によって計算されるとおり42%のイントロン保持を示す下のパネルで詳細に示される。
【
図6】
図6は、典型的なSYNGAP1遺伝子イントロン18(IVS18)およびイントロン19(IVS19)ASO walkを表す。2’-O-Me ASO(PS骨格)を使用して、イントロン18の5’スプライス部位のすぐ下流、またはイントロン19の3’スプライス部位の上流の配列を標的とするSYNGAP1 IVS 18と19に対して行われたASO walkのグラフ表現が示される。代替的なエクソン19に隣接しているスプライス部位のイントロン部位は、エクソン19の含有レベルに影響を及ぼすのを回避するために標的とされない。ASOは、一度に5つのヌクレオチドの位置を変えることにより、これらの領域をカバーするように設計された。SYNGAP1エクソン-イントロン構造は目盛に合わせて示される。
【
図7A】
図7Aは、NM_006772に対応するSYNGAP1のRefSeq遺伝子の模式図を表す。
【
図7B】
図7Bは、偽処理した細胞上で80nMの示されたASOで24時間処置したARPE-19細胞にイントロン15が無いSYNGAP1 mRNAの発現レベルにおける平均(n=3)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【
図7C】
図7Cは、NM_006772に対応するSYNGAP1のRefSeq遺伝子の模式図を表す。
【
図7D】
図7Dは、偽処理した細胞上で80nMの示されたASOで24時間処置したARPE-19細胞にイントロン18が無いSYNGAP1 mRNAの発現レベルにおける平均(n=3)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【
図7E】
図7Eは、偽処理した細胞上で80nMの示されたASOで24時間処置したARPE-19細胞にイントロン18が無いSYNGAP1 mRNAの発現レベルにおける平均(n=3)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【
図8A】
図8Aは、NM_006920に対応するSCN1AのRefSeq遺伝子の一部の模式図を表す。
図8Bと
図8CにおいてRT-PCRアッセイのために使用されるプライマーが示される。
【
図8B】
図8Bは、示された細胞においてRT-PCRにより測定されるようなSCN1A mRNAの発現レベルを示すアガロースゲルを表す(VMおよびCX:ReNcell神経前駆細胞;SK-N-AS:神経芽腫細胞;C:細胞質分画;N:核分画)。
【
図8C】
図8Cは、RT-PCRにより測定されるようなSK-N-AS細胞(左)とVM細胞(右)のイントロン21保持レベルを示すアガロースゲルを表す(VMおよびCX:ReNcell神経前駆細胞;SK-N-AS:神経芽腫細胞;C:細胞質分画;N:核分画)。
【
図8D】
図8Dは、偽処理した細胞上で80nMの示されたASOで24時間処置したSK-N-AS細胞にイントロン21が無いSCN1A mRNAの発現レベルにおける平均(n=2)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【
図8E】
図8Eは、偽処理した細胞上で80nMの示されたASOで24時間処置したSK-N-AS細胞にイントロン21が無いSCN1A mRNAの発現レベルにおける平均(n=2)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【
図8F】
図8Fは、偽処理した細胞上で40nM、80nM、または120nMの示されたASO(エクソン21-エクソン22のスプライス結合に及ぶ)で24時間処置したSK-N-AS細胞にイントロン21が無いSCN1A mRNAの発現レベルにおける平均(n=2)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【
図8G】
図8Gは、偽処理した細胞上で80nMの示されたASOで24時間処置したSK-N-AS細胞にイントロン21が無いSCN1A mRNAの発現レベルにおける平均(n=2)の倍率変化を示す、典型的なグラフを表す。データはRPL32発現に正規化される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
2つ以上のイントロンを有するタンパク質コード遺伝子の一次転写産物中の個々のイントロンは、異なる効率性をもつ一次転写産物からスプライシングされる。ほとんどの場合、完全にスプライシングされたmRNAだけが、続く細胞質での翻訳のために核膜孔を通じて輸送される。スプライシングされていない、または部分的にスプライシングされた転写産物は、核内で検出可能である。完全にスプライシングされていない転写産物の核内蓄積は、タンパク質に翻訳され得る細胞質中での潜在的に有害なmRNAの蓄積を防止するメカニズムであると一般的に考えられる。いくつかの遺伝子については、最も効率性の低いイントロンのスプライシングは、細胞質中での翻訳に先立つ、遺伝子発現における律速的な転写後の工程である。
【0036】
AD精神遅滞5を欠いたSCN1Aタンパク質をコードする部分的にスプライシングされた転写産物、及びドラベ症候群を欠いたSYNGAP1タンパク質をコードする部分的にスプライシングされた転写産物の実質的なレベルは、ヒトの細胞の核の中に発見された。これらのSCN1AまたはSYNGAP1 mRNA前駆体の種は少なくとも1つの保持されたイントロンを含む。本発明は、完全にスプライシングされた成熟mRNAの安定した状態の産生を増加させる、およびそれ故、翻訳されたタンパク質レベルを増加させるために、遺伝子発現の核段階に対して律速的である1つ以上の保持されたSYNGAP1またはSCN1Aイントロンのスプライシングをアップレギュレートするための組成物および方法を提供する。これらの組成物および方法は、核に蓄積する保持されたイントロン含有SYNGAP1またはSCN1A mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)のイントロンスプライス部位において構成的スプライシングを促進するアンチセンスオリゴマー(ASO)を活用する。したがって、実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aそれぞれの不足に起因する疾病を処置するために、本発明の方法を用いて、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質を増加させる。
【0037】
他の実施形態では、本発明の方法は、必要とする被験体の疾病を処置するために、SYNGAP1またはSCN1Aの産生を増加させるために使用される。実施形態では、被験体は、SYNGAP1またはSCN1Aが野性型に対して必ずしも不足していないが、それにも関わらずSYNGAP1またはSCN1Aの増加により緩和される疾病を示す。実施形態では、疾病はSYNGAP1またはSCN1Aハプロ不全によって引き起こされる。
【0038】
常染色体優性精神遅滞5
精神遅滞は、小児の最も頻繁に生じる重篤なハンディキャップである。この障害の非症候性の形態は、異形成の特徴の欠如を特徴とする最も一般的なものである。単一対立遺伝子性病変は、進行の全体的な遅延、筋緊張低下、及び中程度から重度の精神遅滞を特徴とする障害を引き起こすのに十分なものである。非症候性の精神遅滞に関係する遺伝因子は、十分に理解されていないままである。結合及び細胞遺伝学的解析は、29のX結合、及び非症候性精神遅滞に関連した5つの常染色体上の劣性遺伝子の特定へとつながり、これらは共に症例の10%未満を占める(参照により本明細書に組み込まれる、Hamden, et al., 2009)。更に、常染色体上の優性遺伝子は未だに特定されておらず、これは結合分析に従順なファミリーを特定する尤度を次々に減少させる。しかし、ゲノム領域のコピー数の変化に通常関係するデノボ染色体再配置が精神遅滞の最も一般的に認識される原因を表すという事実は、単一対立遺伝子性病変がこの障害を引き起こすのに十分であることを示す。これは、点突然変異などのより小さなデノボ遺伝子病変が障害の病因にも寄与する可能性を高める。症例の研究は、説明されていない非症候群性精神遅滞の患者のおよそ3%に短縮化されたタンパク質の産生を結果としてもたらす、SYNGAP1遺伝子におけるデノボ遺伝子病変を特定した。研究において特定された患者は、2つのナンセンス突然変異および1つの欠失を含んでいたタンパク質短縮型変異に対しヘテロ接合であった(Hamdan, et al., 2009)。この疾病は例えば、参照により本明細書に組み込まれるOMIM #612621(Online Mendelian Inheritance in Man, Johns Hopkins University, 1966-2015)に記載されている。
【0039】
SYNGAP1は、脳の中で選択的に発現されるGTPアーゼ活性化酵素である。グルタミン酸塩のシグナル伝達を媒介するN-メチル-D-アスパルタート(NMDA)-受容体の複合体の成分である、SYNGAP1は、受容体の下流に作用し、RAS-ERKシグナル伝達経路を阻害することによりシナプス後膜にてα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾール・プロピオン酸(AMPA)受容体の挿入を遮断する。SYNGAP1は通常の発達に必要とされ;遺伝子のヌル対立遺伝子に対しホモ接合のマウスは誕生の直後に死亡する。対照的に、ヌル対立遺伝子に対しヘテロ接合のマウスは、シナプス可塑性および学習を損ない、NMDA受容体複合体の成分としてSYNGAP1の役割と一致している(Hamdan, et al., 2009)。
【0040】
SYNGAP1遺伝子の選択的スプライシングは、SYNGAP1の3つのアイソフォームの発現を結果としてもたらす(Hamdan, et al., 2009)。SYNGAP1は、Ras GTPアーゼを活性化するRASGAPドメインを持つ。PDZ結合モチーフであるQTRVは、NMDA受容体の複合体の他の成分との相互作用を媒介するアイソフォーム2に存在する。RASGAPとQRTVのドメインは、学習と発達に必要なシナプス可塑性および樹状突起スパイン形成を調節する。精神遅滞に関連したタンパク質短縮型変異は、完全なRASGAPドメインまたはQTRVモチーフの何れかを欠いており、精神遅滞の病因におけるそれらの役割と一致している。
【0041】
ドラベ症候群
幼児期の重度のミオクローヌス性てんかん(SMEI)としても知られるドラベ症候群(DS)は、生命の最初の年に提示する癲癇性脳症である。ドラベ症候群は、臨床診断が患者のおよそ70-80%におけるナトリウムチャネル遺伝子突然変異の発見によって支持されている、徐々に認識された癲癇性脳症である。イオンチャネル遺伝子の突然変異は、さまざまな癲癇症候群の病因において主な役割を果たし、チャネロパチーと見なされている一部の癲癇を結果としてもたらす。電位依存性ナトリウムチャネル(VGSC)は神経細胞の興奮性において必須の役割を果たし;それ故、DSに関連した多くの突然変異がVGSCサブユニットをコードする遺伝子の中で特定されたことは驚くべきことではない。この疾病は例えば、共に参照により本明細書に組み込まれる、Mulley, et al., 2005、及びOMIM #607208での疾患の記載(Online Mendelian Inheritance in Man, Johns Hopkins University, 1966-2015)に記載されている。
【0042】
患者の70%~80%は、ナトリウムチャネルα1サブユニット遺伝子(SCN1A)異常を持ち(carry)、短縮型変異が約40%を占めており、発作開始の初期の年齢との重要な相関性を有している。配列決定突然変異は症例の約70%に見出され、短縮化(40%)及びミスセンス変異(40%)を含んでおり、残りはスプライス部位変化である。大半の突然変異はデノボであるが、家族性の突然変異は症例の5-10%に生じ、通常は事実上ミスセンスである。残りのSCN1A突然変異は、スプライス部位とミスセンス突然変異を含み、それらの大部分はナトリウムチャネルの細孔形成領域にある。現在、500以上の突然変異がDSに関連しており、遺伝子に沿って無作為に分布している(Mulley, et al., Neurol. 2006, 67, 1094-1095)。
【0043】
SCN1A遺伝子は、ヒト染色体2q24上のナトリウムチャネル遺伝子のクラスタに位置し、神経細胞の電位依存性ナトリウムチャネルのNav1.1として知られるα-細孔形成サブユニットをコードする。SCN1A遺伝子は、およそ100kbのゲノムDNAにおよび、26のエクソンを含む。SCN1Aタンパク質は4つのドメインから成り、各々が6つの膜貫通性部分を有している。2つのスプライス変異体は、エクソン11においてドメイン1と2の間の細胞質ループに11のアミノ酸が存在するまたは存在しないという点で異なる、長い及び短いアイソフォームを結果としてもたらすことが、特定された(参照により本明細書に組み込まれる、Miller, et al., 1993-2015及びMulley, et al., 2005, 25, 535-542)。
【0044】
十分に特徴付けられたシナプス経路においてタンパク質をコードする、非症候群性精神遅滞及びドラベ症候群に関連した遺伝子の特定は、障害を標的とし且つそれらの随伴症状を少なくするために薬理学的治療を発達させる可能性を提示する。
【0045】
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)
実施形態では、本発明の方法は、細胞核中で、SYNGAP1またはSCN1Aから転写され、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の存在を活用する。成熟し、完全にスプライシングされたSYNGAP1またはSCN1A mRNAを産出するための、特定のSYNGAP1またはSCN1A mRNA前駆体の種のスプライシングは、保持されたイントロンのスプライシングアウトを刺激するASOを用いて誘導される。結果として生じる成熟したSYNGAP1またはSCN1A mRNAは細胞質へ輸送されて翻訳され、それにより、患者の細胞中のSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量を増加させ、AD精神遅滞5またはドラベ症候群の症状を和らげることができる。この方法は以下で更に説明される、核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)として知られる。
【0046】
SYNGAP1核の転写産物
実施例に記載されるように、SYNGAP1遺伝子はイントロン保持事象について分析され、イントロン15および18/19の保持が観察された。UCSCゲノムブラウザによって視覚化されたRNA配列決定(RNAseq)は、ヒト皮質ニューロンに発現したSYNGAP1転写産物を示し、細胞質分画あるいは核分画のいずれかに局在した。どちらの分画においても、読み取りは大多数のイントロンにおいて観察されなかった。しかしながら、細胞質分画と比較して、より高い読取密度が核分画のイントロン15、および18/19において検出され、これはイントロン15、および18/19のスプライシング効率が低く、結果としてイントロン保持をもたらすことを示している。保持されたイントロン含有mRNA前駆体の転写産物は、核に保持され、細胞質には輸送されない。イントロン18/19の読取密度は42%のイントロン保持を示した。イントロン18/19のイントロン保持率(PIR)の値は、4つの値(54、50、35および29)を平均することにより得られ、それぞれの値は、4つの異なるアルゴリズムのうちの1つを使用し、HCN細胞において判定された。イントロン15の読取密度は、25%のイントロン保持を示した。イントロン15のイントロン保持率(PIR)の値は、4つの値(49、0、26および23)を平均することにより得られ、それぞれの値は、4つの異なるアルゴリズムのうちの1つを使用し、HCN細胞において判定された。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、SCN1Aゲノム配列から転写されたRIC mRNA前駆体を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1Aゲノム配列からのRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1Aゲノム配列からのRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSEQ ID NO:1のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSEQ ID NO:1のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、SCN1A RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含む、SCN1A RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含む、SCN1A RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:4-7のいずれか一つに係る、SCN1A RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含む、SEQ ID NOs:4、6または7のいずれか一つに係る、SCN1A RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含む、SEQ ID NO:5に係るSCN1A RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるASOは、SEQ ID NO:2593を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:10-1037のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体のエクソン21を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも上流(または5’)のエクソン21配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約4から約264ヌクレオチド上流(または5’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:10-62、524-576または781-833のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体中のイントロン21を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(または3’)のイントロン21配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約6から約496ヌクレオチド下流(または3’)のイントロン21配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:63-161、577-675または834-932のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(または5’)のイントロン21配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約16から約496ヌクレオチド上流(または5’)のイントロン21配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:162-258、676-772または933-1029のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体中のエクソン22を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(または3’)のエクソン22配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン21を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約2から約37ヌクレオチド下流(または3’)のエクソン22配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:259-266、773-780または1030-1037のいずれか1つに係る配列を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体のエクソン23を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも上流(または5’)のエクソン23配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約4から約264ヌクレオチド上流(または5’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:267-319のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体中のイントロン23を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(または3’)のイントロン23配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約6から約496ヌクレオチド下流(または3’)のイントロン23配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:320-419のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(または5’)のイントロン23配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約16から約496ヌクレオチド上流(または5’)のイントロン23配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:420-515のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体中のエクソン24を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(または3’)のエクソン24配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン23を含むSCN1A RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約2から約37ヌクレオチド下流(または3’)の、エクソン24配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:516-523のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、SYNGAP1ゲノム配列から転写されたRIC mRNA前駆体を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18を含むSYNGAP1ゲノム配列からのRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン19を含むSYNGAP1ゲノム配列からのRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1ゲノム配列からのRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:2のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:3のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18を含むSEQ ID NO:2のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン19を含むSEQ ID NO:2のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSEQ ID NO:2のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18を含むSEQ ID NO:3のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン19を含むSEQ ID NO:3のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSEQ ID NO:3のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18を含む、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン19を含む、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含む、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:8-9のいずれか一つに係る、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18を含む、SEQ ID NOs:8-9のいずれか一つに係る、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン19を含む、SEQ ID NOs:8-9のいずれか一つに係る、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含む、SEQ ID NOs:8-9のいずれか一つに係る、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されたASOは、SEQ ID NOs:2592、2594または2595のいずれか1つを標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1038-2591のいずれか一つにかかる配列を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも上流(または5’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約4から約73ヌクレオチド上流(または5’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1030-1050または1815-1827のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体におけるイントロン18またはイントロン19を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(または3’)の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約6から約499ヌクレオチド下流(または3’)の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1051-1136または1828-1913のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(または5’)のイントロン18またはイントロン19配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約16から約496ヌクレオチド上流(または5’)の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1137-1228または1914-2005のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(または3’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン18またはイントロン19を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約17から約1912ヌクレオチド下流(または3’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1229-1509または2006-2286のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体のエクソン15を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも上流(または5’)のエクソン15配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約4から約1054ヌクレオチド上流(または5’)のエクソン配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1510-1686または2287-2463のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体におけるイントロン15を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(または3’)のイントロン15配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも約6から約251ヌクレオチド下流(または3’)のイントロン15配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1687-1736または2644-2513のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(または5’)のイントロン15配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約16から約256ヌクレオチド上流(または5’)のイントロン15配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1737-1785または2514-2562のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体におけるエクソン16を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(または3’)のエクソン16配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン15を含むSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも約2から約157ヌクレオチド下流(または3’)の、エクソン16配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NOs:1786-1814または2563-2591のいずれか1つにかかる配列を有する。
【0065】
実施形態では、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部位はイントロン15、18または19にある。本明細書で使用されるSYNGAP1イントロンの番号付けは、NM_006772.2でのmRNA配列に相当する。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部位へのASOのハイブリダイゼーションは、結果として、保持されたイントロン15、18または19の少なくとも1つのスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’スプライス部位)におけるスプライシングの増強と、その後のSYNGAP1タンパク質産生の増大をもたらした。イントロンの番号付けは異なるSYNGAP1アイソフォーム配列に関して変化しうると解される。当業者であれば、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、またはNM_006772.2におけるmRNA配列に関して得られるイントロン番号を使用することで、任意のアイソフォームにおける対応するイントロン番号を判定することができる。当業者はさらに、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、またはNM_006772.2におけるmRNA配列に関して得られるイントロン番号を使用することで、本発明の方法を使用して標的化のための任意のSYNGAP1アイソフォームにおける隣接するエクソンの配列を判定することができる。
【0066】
実施形態では、SCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分は、イントロン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または、25にある(イントロンの番号付けは、NM_001202435.1でのmRNA配列に対応する)。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部位へのASOのハイブリダイゼーションは、結果として、保持されたイントロン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25の少なくとも1つのスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’スプライス部位)におけるスプライシングの増強と、その後のSCN1Aタンパク質産生の増大をもたらした。実施形態では、SCN1A RIC mRNA前駆体の標的部位はイントロン21または23にある。当業者であれば、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、またはNM_006920、NM_001202435、NM_001165964、またはNM_001165963におけるmRNA配列に関して得られるイントロン番号を使用することで、任意のアイソフォームにおける対応するイントロン番号を判定することができる。当業者はさらに、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、または、NM_006920、NM_001202435、NM_001165964、またはNM_001165963におけるmRNA配列に関して得られるイントロン番号を使用することで、本発明の方法を使用して標的化のための任意のSCN1Aアイソフォームにおける隣接するエクソンの配列を判定することができる。
【0067】
イントロン保持の程度は、イントロン保持率(PIR)、すなわち、所与のイントロンが保持される転写産物のパーセンテージとして表現することができる。要約すると、PIRは、エクソン-イントロンジャンクションの読み取りとエクソン-エクソンジャンクションの読み取りとの平均の合計に対し、エクソン-イントロンジャンクションにマッピングする平均読み取り数のパーセンテージとして計算することができる。
【0068】
SCN1AのPIR値は、例えばBraunschweig、et al.、2014(例えば補足の表S9参照)により報告されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、本発明の方法および組成物は、SCN1A RICmRNA前駆体の保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘導することにより、SCN1Aの発現を増加させるために使用される。実施形態では、保持されたイントロンはイントロン1-25のいずれかである。実施形態では、保持されたイントロンはイントロン2、4、6、13、14、15、16、17、18、20、21、22、23、24、および、25のいずれかである。実施形態では、保持されたイントロンはイントロン15、18および19のいずれかである。実施形態では、保持されたイントロンは任意のSCN1Aイントロンである可能性がある。実施形態では、保持されたイントロンはイントロン21である。実施形態では、保持されたイントロンはイントロン23である。本明細書で使用されるSCN1Aイントロンの番号付けは、NM_001202435.1におけるmRNA配列に相当する。異なるSCN1Aアイソフォーム配列に関連して、イントロンの番号付けは変化しうると解される。
【0069】
SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質発現
上述されるように、AD非症候性精神遅滞(AD nonsyndromic mental retardation)におけるSYNGAP1突然変異は全タンパク質に拡大し、かつ、高いデノボ突然変異率がある。連鎖および細胞遺伝学的な解析により、症例の10%未満を占める、AD非症候性精神遅滞に関連する29のX連鎖および5常染色体劣性遺伝子が特定された。これは、点突然変異(point mutation)のような、より小さなデノボ遺伝病変が疾患の病因に寄与し得ることを示唆している。
【0070】
上述されるように、ドラベ症候群におけるSCN1A突然変異は全タンパク質に広がる。100を超える新規な突然変異が、遺伝子全体にわたり特定され、より消耗性のものがデノボで生じる。これらは、短縮型変異(47%)、ミスセンス変異(43%)、欠失(3%)およびスプライス部位の変異(7%)から構成される。SCN1A突然変異を保持する被験体のパーセンテージは33から100%の間で変動する。大多数の突然変異は新規な変化である(88%)。
【0071】
実施形態では、本明細書において記載される方法は、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の産生を増大させるために使用される。本明細書において使用されるように、「機能的」という用語は、例えばAD精神遅滞5またはドラベ症候群などの、処置される疾病の1つ以上の症状を除去するのに必要なSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の活性または機能の量を指す。実施形態では、部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の産生を増大させるために、前記方法が使用される。本明細書において使用されるように、「部分的機能的」という用語は、疾患または疾病の1つ以上の症状を除去または予防するために必要な、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の活性または機能の任意の量を指す。いくつかの実施形態では、部分的機能的タンパク質またはRNAは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の、完全な機能的タンパク質またはRNAに比してより小さな活性を持つだろう。
【0072】
実施形態では、前記方法は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体を有する被験体の細胞により、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増大させる方法であり、ここで、該被験体は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質活性量の不足に起因するAD精神遅滞5またはドラベ症候群を有し、そのSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質量の不足は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質のハプロ不全に起因する。そのような実施形態では、被験体は、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質を産生しない第2の対立遺伝子とを有する。別のそのような実施形態では、被験体は、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、非機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態では、被験体は、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有する。これらの実施形態のいずれの場合でも、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子(機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする)から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部位に結合し、それによって、RIC mRNA前駆体から保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘導し、かつ、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNA量の増加と、被検体の細胞中のSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質発現の増大をもたらす。
【0073】
実施形態では、被験体は、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子(機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする)から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部位、または、第2の対立遺伝子(部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする)から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部位に結合し、それによって、RIC mRNA前駆体から保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘導し、機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNA量の増加と、被検体の細胞中の機能的または部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質発現の増大をもたらす。
【0074】
関連する実施形態では、前記方法は、タンパク質あるいは機能RNAの発現を増大させるためにASOを用いる方法である。実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体を有する被験体の細胞中のSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させるために、ASOを使用し、ここで、該被験体は、例えばAD精神遅滞5またはドラベ症候群など、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量または機能の不足を有する。
【0075】
実施形態では、疾患または疾病を引き起こすタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の転写産物は、本明細書に記載されるASOによって標的化される。いくつかの実施形態では、疾患の原因ではないタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の転写産物は、ASOによって標的化される。例えば、特定の経路における第1のタンパク質の突然変異または不足がもたらす疾患は、第2のタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体を標的とし、それによって第2のタンパク質産生が増加することで、改善しうる。いくつかの実施形態では、第2のタンパク質の機能は、第1のタンパク質の突然変異または不足(それは疾患または疾病の原因である)を補うことができる。
【0076】
実施形態では、被験体は、
(a)第1の変異対立遺伝子であって、
(i)SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質が、野生型対立遺伝子からの生成と比較して低下したレベルで産生され、
(ii)SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低下した機能を有する形態で産生され、または、
(iii)SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質または機能的RNAが産生されない、第1の変異対立遺伝子と、
(b)第2の変異対立遺伝子であって、
(i)SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質が、野生型対立遺伝子からの生成と比較して低下したレベルで産生され、
(ii)SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して、低下した機能を有する形態で生成され、または、
(iii)SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質は産生されない、第2の変異対立遺伝子と、を有し、
ここで、RIC mRNA前駆体は第1の対立遺伝子および/または第2の対立遺伝子から転写される。
これらの実施形態では、ASOは、第1の対立遺伝子または第2の対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部位に結合し、これにより、RIC mRNA前駆体から保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘導し、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNA量の増加を引き起こし、被験体の細胞の標的タンパク質または機能的RNAの発現の増加をもたらす。これらの実施形態では、RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングの結果として、発現量の増加した標的タンパク質または機能的RNAは、同等の野性型タンパク質(部分的機能的)と比較して機能性が低い、または、同等の野性型タンパク質(完全機能性)と比較して十分な機能性を有する、いずれの形態もありうる。
【0077】
実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAの量は、例えば、アンチセンスオリゴマーで処置されない、または、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部位と結合しないアンチセンスオリゴマーで処置される、制御セル中で産生されるSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAの量と比較すると、1.1から10倍に増加する。
【0078】
実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量あるいは活性の不足に起因する疾病は、ASOが標的とする保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常スプライシングに起因する疾病ではない。実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量あるいは活性の不足に起因する疾病は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体中の保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常スプライシングに起因する疾病ではない。実施形態では、選択的スプライシングまたは異常スプライシングが、SYNGAP1またはSCN1A遺伝子から転写されたmRNA前駆体において生じうるが、しかし、本発明の組成物および方法は、この選択的スプライシングまたは異常スプライシングを予防しないし、修正することもない。
【0079】
実施形態では、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子から部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質を発現し、ここで、その部分的機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質は、フレームシフト変異、ナンセンス変異、ミスセンス変異、または部分的な遺伝子欠失によってもたらされる。実施形態では、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子から非機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質を発現し、ここで、その非機能的SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質は、1つの対立遺伝子中のフレームシフト変異、ナンセンス変異、ミスセンス変異、あるいは部分的な遺伝子欠失によってもたらされる。実施形態では、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子にSYNGAP1またはSCN1A全体の遺伝子欠失を有する。
【0080】
実施形態では、被験体にはSYNGAP1またはSCN1Aのミスセンス変異がある。被験体はSYNGAP1およびSCN1A突然変異を有する可能性がある。場合によっては、SYNGAP1突然変異は短縮型変異(truncating mutation)である可能性がある。SYNGAP1短縮型変異はK138X、R579XまたはL813RfsX22の突然変異である可能性がある。K138X突然変異は、RASGAPドメインを欠くことがある切断型SYNGAP1タンパク質をもたらす可能性がある。前記K138X突然変異はc.412A→T突然変異をコードすることができる。場合によっては、R579X突然変異が、RASGAPドメインに続く領域中のSYNGAP1を切断しうる。実施形態では、c.2438delTはまた、RASGAPドメインに続く領域中のSYNGAP1を切断しうる。場合によっては、L813RfsX22突然変異が、突然変異のc.2438delT配列をコードしうる。前記突然変異が、選択的にスプライスされることができるSYNGAP1遺伝子の3’末端の上流で生じる場合がある。実施形態では、前記3’末端における突然変異は、SYNGAP1タンパク質のC末端部分のコーディングを変更しうる。
【0081】
本発明はまた、前記SYNGAP1の少なくとも3つのアイソフォームを産生することができるスプライシングプロセスを開示する。本発明のアイソフォームはまた、突然変異することがある。場合によっては、SYNGAP1アイソフォームは少なくとも1343アミノ酸からなる可能性がある。アイソフォームは機能的ドメインを含んでもよい。第1のSYNGAP1アイソフォームは、突然変異する機能的ドメインを含むことができる。SYNGAP1アイソフォームは、プレクストリン相同ドメイン、C2ドメイン、RASGAP、SH3、CCドメインおよびCamKII結合ドメイン(CamKII binding domain)を有する可能性がある。K138X突然変異はプレクストリン相同ドメインの上流にある場合がある。K138X突然変異はプレクストリン相同ドメイン内にある場合がある。K138X突然変異はプレクストリン相同ドメインの下流にある場合がある。R579X突然変異はRASGAPドメインの領域にある場合がある。R579X突然変異はまた、RASGAPドメインに隣接している場合がある。同様に、L813RfsX22突然変異はSH3 SYNGAP1ドメインに隣接している場合がある。L813RfsX22突然変異はまた、SH3 SYNGAP1ドメイン内にある場合がある。
【0082】
実施形態では、突然変異はまた、前記SYNGAP1の第2または第3のアイソフォームに存在することができる。
【0083】
実施形態では、被験体は判定されない突然変異を有することがある。判定されない突然変異はSYNGAP1突然変異またはSCN1A突然変異である場合がある。判定されない突然変異はSYNGAP1突然変異である場合がある。場合によっては、SYNGAP1突然変異はI1115Tである場合がある。前記I1115T突然変異はc.3344T→C突然変異をコードすることがある。特定の実施形態では、SYNGAP1における突然変異は、非症候性精神遅滞でない疾患に関連する場合がある。SYNGAP1における突然変異は自閉症障害および統合失調症に関連しうる。場合によっては、SYNGAP1に関連する突然変異は多型である場合がある。
【0084】
本発明の実施形態では、被験体はSCN1Aにおける突然変異を有する可能性がある。SCN1Aにおける変化は前記遺伝子の全体にわたって広がりうる。SCN1Aタンパク質は4つのドメインからなる場合がある。前記SCN1Aドメインには膜貫通セグメントを有する場合がある。前記SCN1Aタンパク質における突然変異は前記タンパク質の全体にわたって生じることがある。前記SCN1Aタンパク質は少なくとも2つのアイソフォームからなることがある。SCN1Aにおける突然変異はR931C、R946C、M934I、R1648CまたはR1648Hから構成されることがある。場合によっては、突然変異がSCN1Aタンパク質のC末端で観察されることがある。SCN1Aタンパク質における突然変異はまた、前記SCN1Aタンパク質の最初の3つのドメインのセグメント5と6の間のループで見つかることがある。場合によっては、突然変異はSCN1Aタンパク質のN-末端で観察されることがある。SCN1Aにおける突然変異はR222X、R712X、I227S、R1892X、W952X、R1245X、R1407X、W1434R、c.4338+1GA、S1516X、L1670fsX1678またはK1846fsX1856である場合がある。本発明で標的とすることができる突然変異はまた、イオンチャネルのポアをコードしてもよい。
【0085】
実施形態では、本発明はドラベ症候群を処置するために使用することができる。他の実施形態では、本発明は、乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)を処置するために使用することができる。他の実施形態では、本発明は境界型ドラベ症候群を処置することができる。本発明はまた境界型SMEIを処置することができる。さらに、本発明は、全般てんかん熱性痙攣プラス(GFES+)を処置することができる。GEFS+は、SCN1BまたはGABRG2のようなてんかん関連イオンチャネルサブユニットの突然変異と関連している可能性がある。本発明はまたナトリウムチャネル病(sodium channelopathies)を処置することができる。ナトリウムチャネル病は、SCN1Aにおける突然変異に関連しうる。ナトリウムチャネル病も、ベータサブユニット、SCN1Bなどの前記SCN1Aのサブユニットに関連しうる。場合によっては、SCN1A突然変異に関する付加的な疾病も、本発明で治療されてもよい。SCN1A突然変異に関する関連SCN1A疾患は、非定型筋萎縮症、高カリウム血症性周期性麻痺、または先天性筋緊張症である可能性がある。
【0086】
実施形態では、当技術分野において既知であり、かつ、上述した文献(例えば、Hamdan, et al., 2009, Mulley, et al., 2005)に記載されたSYNGAP1またはSCN1Aの突然変異を有する被験体が、本発明の方法および組成物を用いて処置される。実施形態では、突然変異が任意のSYNGAP1またはSCN1Aのイントロン内にある可能性がある。
【0087】
SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質発現を増加させるためのTANGOの使用
前述したように、実施形態では、核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させるために、本発明の方法において使用される。これらの実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)は、細胞の核内にある。SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエクソン、および3’スプライス部位に隣接するエクソンを含むSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体を有する細胞は、RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させられる。RIC mRNA前駆体の標的部分へのASOのハイブリダイゼーションは、保持されたイントロンのスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’スプライス部位)のスプライシングを増強し、その後の標的タンパク質産生を増加させる。
【0088】
用語「mRNA前駆体」および「mRNA前駆体の転写産物」は、交換可能に使用され、少なくとも1つのイントロンを含むmRNA前駆体種を指すこともある。実施形態では、mRNA前駆体またはmRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシンキャップ、および/またはポリA末端を含む。実施形態では、mRNA前駆体またはmRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシンキャップおよびポリA末端の両方を含む。いくつかの実施形態では、mRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシンキャップ、および/またはポリA末端を含まない。タンパク質に翻訳されない場合(あるいは核から細胞質へと輸送された場合)、mRNA前駆体の転写産物は非生産的メッセンジャーRNA(mRNA)分子である。
【0089】
本明細書において使用されるように、「保持されたイントロン含有mRNA前駆体」(「RIC mRNA前駆体」)は、少なくとも1つの保持されたイントロンを含むmRNA前駆体の転写産物である。RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、標的タンパク質をコードする。「標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体」は、完全にスプライシングされた場合に、標的タンパク質をコードすると解される。「保持されたイントロン」は、同じ遺伝子によってコードされた、隣接するイントロン等の1つ以上の他のイントロンが、同じmRNA前駆体の転写産物からスプライシングアウトされた場合に、mRNA前駆体の転写産物に存在するイントロンである。いくつかの実施形態では、保持されたイントロンは、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体において最も豊富なイントロンである。実施形態では、保持されたイントロンは、細胞内の標的タンパク質をコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団において最も豊富なイントロンであり、該RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含む。実施形態では、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の集団において最も豊富なイントロンに標的とされたアンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴマーが標的とされた、あるいは結合する保持されたイントロンを含む集団内の、2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する。実施形態では、標的タンパク質をコードする成熟mRNAは、それによって産生される。「成熟mRNA」および「完全にスプライシングされたmRNA」の用語は、標的タンパク質をコードする完全に処理されたmRNA(例えば、核から細胞質へと輸送され、標的タンパク質に翻訳されたmRNA)、あるいは完全に処理された機能的RNAを記載するように、本明細書において交換可能に使用される。用語「生産的mRNA」もまた、標的タンパク質をコードする完全に処理されたmRNAについて記載するように使用することができる。実施形態では、標的領域は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に最も豊富に存在するイントロンである、保持されたイントロンにある。実施形態では、SYNGAP1タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に最も保持されたイントロンは、イントロン18/19である。実施形態では、SYNGAP1タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に最も保持されたイントロンは、イントロン15である。
【0090】
実施形態では、保持されたイントロンは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、あるいは少なくとも約50%の保定の保持率に基づき、保持されたイントロンとして特定されたイントロンである。実施形態では、保持されたイントロンはすなわち、約5%から約100%、約5%から約95%、約5%から約90%、約5%から約85%、約5%から約80%、約5%から約75%、約5%から約70%、約5%から約65%、約5%から約60%、約5%から約55%、約5%から約50%、約5%から約45%、約5%から約40%、約5%から約35%、約5%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約10%から約100%、約10%から約95%、約10%から約90%、約10%から約85%、約10%から約80%、約10%から約75%、約10%から約70%、約10%から約65%、約10%から約60%、約10%から約55%、約10%から約50%、約10%から約45%、約10%から約40%、約10%から約35%、約10%から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約15%から約100%、約15%から約95%、約15%から約90%、約15%から約85%、約15%から約80%、約15%から約75%、約15%から約70%、約15%から約65%、約15%から約60%、約15%から約55%、約15%から約50%、約15%から約45%、約15%から約40%、約15%から約35%、約15%から約30%、約15%から約25%、約20%から約100%、約20%から約95%、約20%から約90%、約20%から約85%、約20%から約80%、約20%から約75%、約20%から約70%、約20%から約65%、約20%から約60%、約20%から約55%、約20%から約50%、約20%から約45%、約20%から約40%、約20%から約35%、約20%から約30%、約25%から約100%、約25%から約95%、約25%から約90%、約25%から約85%、約25%から約80%、約25%から約75%、約25%から約70%、約25%から約65%、約25%から約60%、約25%から約55%、約25%から約50%、約25%から約45%、約25%から約40%、または約25%から約35%の、保定の保持率に基づき、保持されたイントロンとして特定されたイントロンである。保持されたイントロンを特定する手助けとして、ENCODEデータ(例えば、Tilgner,et al.,2012,「Deep sequencing of subcellular RNA fractions shows splicing to be predominantly co-transcriptional in the human genome but inefficient for IncRNAs」Genome Research 22(9):1616-25に記載)を用いることができる。
【0091】
本明細書において使用されるように、用語「含む(comprise)」、あるいは「含む(comprises)」または「含む(comprising)」等の変化形は、列挙された特徴(例えば、アンチセンスオリゴマーの場合、定義された核酸塩基配列)を含むが、他のいかなる特徴をも除外しないことを示すと解されるべきである。したがって、本明細書において使用されるように、用語「含む(comprising)」は包含的で、追加の列挙されていない特徴(例えば、アンチセンスオリゴマーの場合、追加の列挙されていない核酸塩基の存在)を除外しない。
【0092】
本明細書において提供される組成物および方法のいずれかの実施形態において、「含む(comprising)」は「から本質的に成る(consisting essentially)」または「から成る(consisting of)」と置換可能である。「から本質的に成る(consisting essentially)」という句は、特定された特徴(例えば核酸塩基配列)と共に、請求される本発明の性質または機能に実質的に影響しない特徴も必要とするために本明細書で使用される。本明細書で使用されるように、用語「成る(consisting)」は、列挙された特徴(例えば核酸塩基配列)単独の存在を示すために使用される(その結果、特定された核酸塩基配列から成るアンチセンスオリゴマーの場合には、追加の列挙されていない核酸塩基の存在は除外される)。
【0093】
実施形態では、標的領域は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に2番目に豊富なイントロンである保持されたイントロンにある。例えば、2番目に豊富な保持されたイントロンは、最も豊富な保持されたイントロンよりもむしろ標的とされ得る。その要因は、2番目に豊富な保持されたイントロンのヌクレオチド配列の独自性、特定のヌクレオチド配列を標的とするASO設計の容易さ、および/またはASOによりイントロンを標的とすることから生じるタンパク質産生量の増加である。実施形態では、保持されたイントロンは、細胞内の標的タンパク質をコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体集団において2番目に豊富なイントロンであり、そのRIC mRNA前駆体集団は、2つ以上の保持されたイントロンを含む。実施形態では、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体集団における2番目に豊富なイントロンを標的とするアンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴマーが標的とする、または結合する保持されたイントロンを含む集団において、2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する。それによって、実施形態では、標的タンパク質をコードする完全にスプライシングされた(成熟)RNAが産生される。実施形態では、SYNGAP1タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に2番目に多く保持されたイントロンは、イントロン15である。実施形態では、SYNGAP1タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体に2番目に多く保持されたイントロンは、イントロン18/19である。
【0094】
実施形態では、ASOは、RIC mRNA前駆体の保持されていないイントロン内にある標的領域に相補的である。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は:保持されていないイントロンの5’スプライス部位に対する+6から+100の領域;または保持されていないイントロンの3’スプライス部位に対する-16から-100の領域内にある。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されていないイントロンの5’スプライス部位に対する+100の領域から、保持されていないイントロンの3’スプライス部位に対する-100の領域内にある。領域または配列の場所を特定するために使用されるように、「内(within)」は、列挙される位置で残基を含むように理解される。例えば、+6から+100の領域は、+6および+100の位置に残基を含む。それによって、実施形態では、標的タンパク質をコードする完全にスプライシングされた(成熟)RNAが産生される。
【0095】
実施形態では、RIC mRNA前駆体の保持されたイントロンは、非効率的にスプライシングされたイントロンである。本明細書で使用されるように、「非効率的にスプライシングされた」は、RIC mRNA前駆体における別のスプライス部位でのスプライシングの頻度と比較して、保持されたイントロンに隣接するスプライス部位(5’スプライス部位または3’スプライス部位)でのスプライシングの頻度が比較的低いことを指し得る。用語「非効率的にスプライシングされた」はまた、スプライス部位でのスプライシングの相対速度または動態(kinetics)を指し得る。この「非効率的にスプライシングされた」イントロンは、RIC mRNA前駆体における別のイントロンと比較して、より遅い速度でスプライシングあるいは除去され得る。
【0096】
実施形態では、5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3eから-1e、および保持されたイントロンの+1から+6の9-ヌクレオチド配列は、対応する野生型配列と同一である。実施形態では、保持されたイントロンの-15から-1および3’スプライス部位に隣接するエクソンの+1eの16ヌクレオチド配列は、対応する野生型配列と同一である。本明細書で使用されるように、「野生型配列」は、生体および科学の情報のNCBIリポジトリ(National Center for Biotechnology Information, National Library of Medicine,8600 Rockville Pike,Bethesda,MD USA 20894によって運営される)に寄託された公開された参照ゲノムのSYNGAP1またはSCN1Aに対するヌクレオチド配列を指す。さらに本明細書で使用されるように、「e」で示されたヌクレオチド位置は、ヌクレオチドがエクソン(例えば、5’スプライス部位に隣接するエクソン、または3’スプライス部位に隣接するエクソン)の配列中に存在することを示す。本明細書で使用されるように、「野生型配列」は、SYNGAPのNCBI GENE ID8831、およびSCN1AのNCBI GENE ID6323で得られる標準配列を指す。
【0097】
該方法では、細胞を、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNA前駆体の一部に相補的であるASOと接触させ、結果としてSYNGAP1またはSCN1Aの発現が増加する。本明細書で使用されるように、細胞に「接触させる」または投与することは、ASOと細胞が相互作用するように、ASOを細胞に即座に近接させる方法を指す。ASOと接触させられる細胞は、ASOを細胞へと取り込む又は輸送する。該方法は、疾病または疾患に関係する又は疾病または疾患に関連する細胞を、本明細書に記載されるASOのいずれかと接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、ASOは、ASOを細胞型に対して標的とする、ASOと疾病または疾患に関係する又は疾病または疾患に関連する細胞との間の接触を増強する、またはASOの取り込みを増強するために、さらに修飾され得るかまたは別の分子に結合され得る(例えば、共有結合される)。
【0098】
本明細書で使用されるように、用語「タンパク質産生を増加させる」または「標的タンパク質の発現を増加させる」は、細胞中のmRNAから翻訳されるタンパク質の量を増加させることを意味する。「標的タンパク質」は、発現/産生の増加が望まれるタンパク質で有り得る。
【0099】
実施形態では、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に相補的であるASOに、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体を発現する細胞を接触させることにより、mRNA前駆体によってコードされたSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質(例えば標的タンパク質)の量の測定可能な増加をもたらす。タンパク質の産生を測定または検出する方法は、当業者に明白となり、あらゆる既知の方法、例えば、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELISAを含む。
【0100】
実施形態では、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に相補的であるASOに、細胞を接触させることにより、ASOの欠如/処置の欠如下における細胞によって産生されたタンパク質の量と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、500、または1000%の、産生されたSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量の増加をもたらす。実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させられた細胞によって産生されたSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の総量は、対照細胞において産生された標的タンパク質の総量と比較して、約1.1倍から約10倍、約1.5倍から約10倍、約2倍から約10倍、約3倍から約10倍、約4倍から約10倍、約1.1倍から約5倍、約1.1倍から約6倍、約1.1倍から約7倍、約1.1倍から約8倍、約1.1倍から約9倍、約2倍から約5倍、約2倍から約6倍、約2倍から約7倍、約2倍から約8倍、約2倍から約9倍、約3倍から約6倍、約3倍から約7倍、約3倍から約8倍、約3倍から約9倍、約4倍から約7倍、約4倍から約8倍、約4倍から約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍増加する。対照化合物は、例えば、RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的でないオリゴヌクレオチドでもよい。
【0101】
幾つかの実施形態では、細胞を、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に相補的であるASOと接触させることで、標的タンパク質をコードする成熟mRNAを含む、SYNGAP1またはSCN1AをコードするmRNA量の増加がもたらされる。幾つかの実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNA、またはSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNAの量は、ASOの欠如/処置の欠如下における細胞によって産生されたタンパク質の量と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、500、または1000%増加する。実施形態では、アンチセンスオリゴマーが接触させられた細胞で産生された、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNA、またはSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNAの総量は、処置されていない細胞、例えば処置されていない細胞または対照化合物により処置された細胞、において産生された成熟RNAの量と比較して、約1.1から約10倍、約1.5から約10倍、約2から約10倍、約3から約10倍、約4から約10倍、約1.1から約5倍、約1.1から約6倍、約1.1倍から約7倍、約1.1倍から約8倍、約1.1倍から約9倍、約2倍から約5倍、約2倍から約6倍、約2倍から約7倍、約2倍から約8倍、約2倍から約9倍、約3倍から約6倍、約3倍から約7倍、約3倍から約8倍、約3倍から約9倍、約4倍から約7倍、約4倍から約8倍、約4倍から約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍増加する。対照化合物は、例えば、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的でないオリゴヌクレオチドでもよい。
【0102】
RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシング
本明細書において提供される方法およびアンチセンスオリゴヌクレオチドの組成物は、例えば、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量または活性の不足によって引き起こされるAD精神遅滞5またはドラベ症候群を有する被験体において、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNA、または、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNAのレベルを増加させることによって、細胞内のSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させるのに有用である。特に、本明細書に記載されるような方法および組成物は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の転写産物からの保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘発し、それによって、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNA、またはSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする成熟mRNAのレベルが増加し、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現が増加する。
【0103】
RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングは、保持されたイントロンをRIC mRNA前駆体から正しく除去し、ここで保持されたイントロンは、野生型スプライス配列を有する。構成的スプライシングは、本明細書で使用されるように、遺伝子または対立遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異を有する遺伝子または対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンのスプライシングを包含しない。例えば、本明細書で提供される方法およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して誘発された、保持されたイントロンの構成的スプライシングは、mRNA前駆体における異常スプライシングを訂正しない、またはmRNA前駆体の選択的スプライシングに影響せず、結果的に標的タンパク質または機能性RNAの発現が増加する。
【0104】
実施形態では、構成的スプライシングは、保持されたイントロンをSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体から正しく除去し、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体は、野生型の遺伝子または対立遺伝子、あるいは多形性の遺伝子または対立遺伝子から転写され、完全に機能的な標的タンパク質または機能的RNAをコードし、および遺伝子または対立遺伝子は、保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異を有さない。
【0105】
幾つかの実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングは、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体から、保持されたイントロンを正しく除去し、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体は、野生型対立遺伝子からの産生と比較して減少したレベルで標的遺伝子あるいは機能的RNAを産生する遺伝子または対立遺伝子から転写され、および遺伝子または対立遺伝子は、保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異を有さない。これらの実施形態では、構成的にスプライシングされた保持されたイントロンの正しい除去は、結果として、同等の野生型タンパク質または機能的RNAと比較したときに機能的である標的タンパク質または機能的RNAの産生をもたらす。
【0106】
他の実施形態では、構成的スプライシングは、保持されたイントロンをSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体から正しく除去し、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体は、同等の野生型タンパク質または機能的RNAと比較して、機能の低下した形態で産生された標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子または対立遺伝子から転写され、遺伝子または対立遺伝子は、保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常スプライシングを引き起こす突然変異を有さない。これらの実施形態では、構成的にスプライシングされた保持されたイントロンの正しい除去は、結果として、部分的に機能的な標的タンパク質、または同等の野生型タンパク質または機能的RNAと比較したときに部分的に機能的である機能的RNAの産生をもたらす。
【0107】
構成的スプライシングによる保持されたイントロンの「正しい除去」は、エクソンのいかなる部分も除去することのない、全イントロンの除去を指す。
【0108】
実施形態では、本明細書に記載されるような、あるいは本明細書に記載の方法に使用されるアンチセンスオリゴマーは、SYNGAP1またはSCN1Aから転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングまたは異常スプライシングを調節することによって、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAの量、またはSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量を増加させない。選択的スプライシングまたは異常スプライシングの調節は、RNA種の配列および長さを解析する既知の方法を使用して、例えば、RT-PCRによって、および本明細書および文献中で別記される方法を使用して測定することができる。実施形態では、選択的スプライシングまたは異常スプライシングの調節は、対象となるスプライシングされた種の量の、少なくとも10%または1.1倍の増加または減少に基づいて判定される。実施形態では、調節は、本発明の方法において、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAの増加の判定に関連して本明細書に記載されるように、少なくとも10%から100%または1.1倍から10倍のレベルでの増加または減少に基づいて判定される。
【0109】
実施形態では、該方法は、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体が、野生型SYNGAP1またはSCN1A mRNA前駆体の部分的スプライシングによって産生された方法である。実施形態では、該方法は、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体が、全長の野生型SYNGAP1またはSCN1A mRNA前駆体の部分的スプライシングによって産生された方法である。実施形態では、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体は、全長のSYNGAP1またはSCN1A mRNA前駆体の部分的スプライシングによって産生された。これらの実施形態では、全長のSYNGAP1またはSCN1A mRNA前駆体は、野生型スプライス部位配列を有する保持されたイントロンのスプライシングと比較して、保持されたイントロンの正しいスプライシングを損なわない保持されたイントロンのスプライス部位に多型性を有し得る。
【0110】
実施形態では、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAは、全長の成熟mRNAまたは野生型成熟mRNAである。これらの実施形態では、全長の成熟mRNAは、野生型成熟mRNAによってコードされたSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の活性と比較して、成熟mRNAによってコードされた標的タンパク質または機能的RNAの活性に影響しない多型性を有し得る。
【0111】
アンチセンスオリゴマー
本開示の一態様は、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に結合することによってスプライシングを増強するアンチセンスオリゴマーを含む組成物である。本明細書で使用されるように、用語「ASO」および「アンチセンスオリゴマー」は、交換可能に使用され、ワトソン・クリック塩基対またはゆらぎ塩基対(G-U)によって標的核酸(例えば、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体)配列にハイブリダイズする核酸塩基を含む、ポリヌクレオチドなどのオリゴマーを指す。ASOは、標的配列に相補的な、またはほぼ相補的(例えば、標的配列に結合し、スプライス部位でスプライシングを増強させるのに十分な相補性)である正確な配列を有し得る。ASOは、標的核酸(例えば、mRNA前駆体の転写産物の標的とされた部分)に結合し(ハイブリダイズし)、生理学的条件下でハイブリダイズされたままであるように設計されている。典型的に、ASOは、意図した(標的とされた)核酸配列以外の部位にハイブリダイズする場合、標的核酸でない限られた数の配列に(標的核酸以外の少数の部位に)ハイブリダイズする。ASOの設計は、mRNA前駆体の転写産物の標的とされた部分の核酸配列、あるいはゲノムまたは細胞のmRNA前駆体またはトランスクリプトームにおける他の場所での十分に類似した核酸配列の発生を考慮に入れることができ、その結果、ASOが他の部位に結合し「オフターゲット」効果を引き起こす可能性は限定される。例えば、引用により本明細書に組み込まれた、発明の名称「Reducing Nonsense-Mediated mRNA Decay」のWO2015/035091として公開されたPCT国際出願番号PCT/US2014/054151におけるものなどの、当業者に既知のアンチセンスオリゴマーは、本明細書に記載される方法を実施するために使用され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、ASOは、標的核酸またはRIC mRNA前駆体の標的とされた部分に「特異的にハイブリダイズする」または「特異的である」。典型的に、そのようなハイブリダイゼーションは、37℃より実質的に高い融解温度(Tm)で、好ましくは少なくとも50℃で、および典型的に60℃からおよそ90℃の間で生じる。そのようなハイブリダイゼーションは、好ましくは、厳しいハイブリダイゼーション条件に対応している。与えられたイオン強度およびpHで、Tmは、標的配列の50%が相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする温度である。
【0113】
オリゴヌクレオチドなどのオリゴマーは、ハイブリダイゼーションが2つの一本鎖ポリヌクレオチド間の逆平行構成で生じるときに、互いに「相補的」である。二本鎖ポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションが第1のポリヌクレオチドの鎖の1つと第2のポリヌクレオチドの鎖の1つとの間に生じる場合に、別のポリヌクレオチドに「相補的」であり得る。相補性(1つのポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチドと相補的である程度)は、一般に容認された塩基対合則に従って、互いに水素結合を形成すると予期される対向する鎖における塩基の割合(例えばパーセンテージ)の点から数量化できる。アンチセンスオリゴマー(ASO)の配列は、ハイブリダイズするその標的核酸の配列に100%相補的である必要はない。特定の実施形態では、ASOは、標的とされる標的核酸配列内の標的部分に対する、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列相補性を含むことができる。例えば、オリゴマー化合物の20の核酸塩基のうちの18が標的領域に相補的であり、それゆえに特異的にハイブリダイズするASOは、90パーセントの相補性を表わす。この例において、残りの相補的でない核酸塩基は、ともにクラスター化され得るか、または相補的な核酸塩基と分散され(interspersed)、互いに又は相補的な核酸塩基に隣接している必要はない。ASOの標的核酸の領域とのパーセント相補性は、当該技術分野で既知のBLASTプログラム(基礎的なローカルアライメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403-410;Zhang and Madden,Genome Res.,1997,7,649-656)を慣例的に使用して判定され得る。
【0114】
ASOは、標的配列におけるすべての核酸塩基にハイブリダイズする必要はなく、それがハイブリダイズする核酸塩基は、隣接しているか又は隣接していない場合もある。ASOは、mRNA前駆体の転写産物の1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズし得、その結果、介在する又は隣接するセグメントは、ハイブリダイゼーション事象に関係しない(例えば、ループ構造またはヘアピン構造が形成され得る)。特定の実施形態では、ASOは、標的mRNA前駆体の転写産物において隣接していない核酸塩基にハイブリダイズする。例えば、ASOは、ASOがハイブリダイズしない1つ以上の核酸塩基によって分離される、mRNA前駆体の転写産物における核酸塩基にハイブリダイズすることができる。
【0115】
本明細書に記載されるASOは、RIC mRNA前駆体の標的部分に存在する核酸塩基に相補的である核酸塩基を含む。用語「ASO」は、オリゴヌクレオチド、および標的mRNA上の相補的な核酸塩基にハイブリダイズすることができる核酸塩基を含むが、ペプチド核酸(PNA)などの糖部を含まない、他のオリゴマー分子を具体化する。ASOは、自然発生のヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、修飾されたヌクレオチド、またはそれらの2つ又は3つの任意の組み合わせを含み得る。用語「自然発生のヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「修飾されたヌクレオチド」は、修飾された又は置換された糖類及び/又は修飾された骨格を有するヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ASOのヌクレオチドのすべてが、修飾されたヌクレオチドである。本明細書に記載される方法および組成物と適合性のあるASOの化学修飾およびASOの成分は、当業者に明白となり、例えば、米国特許第8,258,109号 B2、米国特許第5,656,612号、米国特許公開番号2012/0190728、およびDias and Stein,Mol.Cancer Ther.2002,347-355に見出すことができ、それら全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0116】
ASOの核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルなどの自然発生の未修飾の核酸塩基、または標的mRNA前駆体上に存在する核酸塩基との水素結合が可能であるように未修飾の核酸塩基に十分に類似している合成または修飾された核酸塩基であり得る。修飾された核酸塩基の例としては、限定されないが、ヒポキサンチン、キサンチン、7-メチルグアニン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、および5-ヒドロキシメチルシトシンが挙げられる。
【0117】
本明細書に記載されるASOはまた、オリゴマーの成分に結合する骨格構造を含む。用語「骨格構造」および「オリゴマー結合」は、交換可能に使用され、ASOの単量体間の結合を指し得る。自然発生のオリゴヌクレオチドでは、骨格は、オリゴマーの糖部を結合する3’-5’ホスホジエステル結合を含む。本明細書に記載されるASOの骨格構造またはオリゴマー結合は、(限定されないが)ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート(phosphoraniladate)、ホスホラミデート(phosphoramidate)などを含む。例えば、LaPlanche et al.,Nucleic Acids Res.14:9081(1986);Stec,et al.,J.Am.Chem.Soc.106:6077(1984),Stein,et al.,Nucleic Acids Res.16:3209(1988),Zon,et al.,Anti Cancer Drug Design 6:539(1991);Zon,et al.,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,pp.87-108(F.Eckstein,Ed.,Oxford University Press,Oxford England(1991));Stec,et al.,米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman,Chemical Reviews 90:543(1990)を参照されたい。幾つかの実施形態では、ASOの骨格構造は、亜リン酸を含有していないが、例えば、ペプチド核酸(PNA)、またはカルバミン酸塩、アミド、および直鎖および環式の炭化水素基を含む連結基において、ペプチド結合を含有している。幾つかの実施形態では、骨格修飾は、ホスホチオエート結合である。幾つかの実施形態では、骨格修飾は、ホスホラミデート結合である。
【0118】
実施形態では、ASO骨格のリンヌクレオチド間の結合の各々での立体化学は、ランダムである。実施形態では、ASO骨格のリンヌクレオチド間の結合の各々での立体化学は、制御され、ランダムではない。例えば、引用によって本明細書に組み込まれた米国特許出願公開番号2014/0194610、「Methods for the Synthesis of Functionalized Nucleic Acids」は、核酸オリゴマーにおいて各リン原子でキラリティーの掌性(handedness)を独立して選択する方法について記載している。実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法に使用されるASOは、ランダムでないリンヌクレオチド間の結合を有するASOを含む。実施形態では、本発明の方法に使用される組成物は、純粋なジアステレオマーASOを含む。実施形態では、本発明の方法に使用される組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、約100%、約90%から約100%、約91%から約100%、約92%から約100%、約93%から約100%、約94%から約100%、約95%から約100%、約96%から約100%、約97%から約100%、約98%から約100%、または約99%から約100%のジアステレオマー純度を有するASOを含む。
【0119】
実施形態では、ASOは、そのリンヌクレオチド間の連鎖でRpおよびSpの構成のランダムでない混合物を有している。例えば、RpとSpの混合物が、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、優れた活性とヌクレアーゼ安定性との間のバランスを達成するために必要であることが示唆されてきた(Wan,et al.,2014,「Synthesis,biophysical properties and biological activity of second generation antisense oligonucleotides containing chiral phosphorothioate linkages」Nucleic Acids Research 42(22):13456-13468、引用によって本明細書に組み込まれる)。実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法に使用されるASOは、約5~100%のRp、少なくとも約5%のRp、少なくとも約10%のRp、少なくとも約15%のRp、少なくとも約20%のRp、少なくとも約25%のRp、少なくとも約30%のRp、少なくとも約35%のRp、少なくとも約40%のRp、少なくとも約45%のRp、少なくとも約50%のRp、少なくとも約55%のRp、少なくとも約60%のRp、少なくとも約65%のRp、少なくとも約70%のRp、少なくとも約75%のRp、少なくとも約80%のRp、少なくとも約85%のRp、少なくとも約90%のRp、または少なくとも約95%のRpと、残りのSpまたは100%のRpを含む。実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法に使用されるASOは、約10%から約100%のRp、約15%から約100%のRp、約20%から約100%のRp、約25%から約100%のRp、約30%から約100%のRp、約35%から約100%のRp、約40%から約100%のRp、約45%から約100%のRp、約50%から約100%のRp、約55%から約100%のRp、約60%から約100%のRp、約65%から約100%のRp、約70%から約100%のRp、約75%から約100%のRp、約80%から約100%のRp、約85%から約100%のRp、約90%から約100%のRp、約95%から約100%のRp、約20%から約80%のRp、約25%から約75%のRp、約30%から約70%のRp、約40%から約60%のRp、または約45%から約55%Rpと、残りのSpを含む。
【0120】
実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法の使用されるASOは、約5-100%のSp、少なくとも約5%のSp、少なくとも約10%含のSp、少なくとも約15%のSp、少なくとも約20%のSp、少なくとも約25%のSp、少なくとも約30%のSp、少なくとも約35%のSp、
少なくとも約40%のSp、少なくとも約45%のSp、少なくとも約50%のSp、少なくとも約55%のSp、少なくとも約60%のSp、少なくとも約65%のSp、少なくとも約70%のSp、少なくとも約75%のSp、少なくとも約80%のSp、少なくとも約85%のSp、少なくとも約90%のSp、または少なくとも約95%のSpと、残りのRp、あるいは約100%のSpを含む。実施形態では、限定されないが、本明細書で表1に明記されるASOのいずれかを含む、本発明の方法に使用されるASOは、約10%から約100%のSp、約15%から約100%のSp、約20%から約100%のSp、約25%から約100%のSp、約30%から約100%のSp、約35%から約100%のSp、約40%から約100%のSp、約45%から約100%のSp、約50%から約100%のSp、約55%から約100%のSp、約60%から約100%のSp、約65%から約100%のSp、約70%から約100%のSp、約75%から約100%のSp、約80%から約100%のSp、約85%から約100%のSp、約90%から約100%のSp、または約95%から約100%のSp、約20%から約80%のSp、約25%から約75%のSp、約30%から約70%のSp、約40%から約60%のSp、または約45%から約55%のSpと、残りのRpを含む。
【0121】
本明細書に記載されるASOのいずれかは、自然発生のヌクレオチド中に存在する、リボースまたはデオキシリボースを含む糖部、あるいはモルホリン環を含む、修飾された糖部または糖アナログを含有し得る。修飾された糖部の限定しない例としては、2’-O-メチル(2’-O-Me)、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)、2’-O-アミノエチル、2’F;N3’->P5’ホスホラミデート、2’ジメチルアミノオキシエトキシ、2’ジメチルアミノエトキシエトキシ、2’-グアニジニウム(guanidinidium)、2’-O-グアニジニウムエチル、カルバミン酸塩修飾した糖、および二環式修飾した糖などの、2’置換基が挙げられる。幾つかの実施形態では、糖部修飾は、2’-O-Me、2’F、および2’MOEから選択される。幾つかの実施形態では、糖部修飾は、ロックド核酸(LNA)におけるような追加の架橋結合である。幾つかの実施形態では、糖アナログは、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)などのモルホリン環を含有している。幾つかの実施形態では、糖部は、リボフラノシルまたは2’デオキシリボフラノシルの修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、2’4’抑制された(constrained)2’O-メチルオキシエチル(cMOE)修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、cEt 2’,4’抑制された2’-OエチルBNA修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、トリシクロDNA(tcDNA)修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、エチレン核酸(ENA)修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、MCE修飾を含む。修飾は当該技術分野で既知であり、文献、例えば、Jarver, et al., 2014,「A Chemical View of Oligonucleotides for Exon Skipping and Related Drug Applications,」Nucleic Acid Therapeutics 24(1): 37-47に記載され、これは、この目的のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0122】
幾つかの例では、ASOの各単量体は、同じ方法で修飾され、例えば、ASOの骨格の各連鎖は、ホスホロチオエート連鎖を含むか、または各リボース糖部は2’O-メチル修飾を含む。ASOの単量体成分の各々の上に存在する、そのような修飾は、「均一な修飾」と呼ばれる。幾つかの例では、異なる修飾の組み合わせが望まれ、例えば、ASOは、ホスホロジアミデート連鎖とモルホリン環を含む糖部(モルホリノ)との組み合わせを含み得る。ASOへの異なる修飾の組み合わせは、「混合修飾」または「混合化学作用」と呼ばれる。
【0123】
幾つかの実施形態では、ASOは、1つ以上の骨格修飾を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、1つ以上の糖部修飾を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、1つ以上の骨格修飾および1つ以上の糖部修飾を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、2’MOE修飾およびホスホロチオエート骨格を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、ペプチド核酸(PNA)を含む。本明細書に記載されるASOのいずれか又はASOの成分(例えば、核酸塩基、糖部、骨格)は、ASOの望ましい特性または活性を達成するために又はASOの望ましくない特性または活性を減少させるために修飾され得る。例えば、ASOまたは任意のASOの1つ以上の成分は、mRNA前駆体の転写産物上の標的配列への結合親和性を増強する;非標的配列への結合を減少させる;細胞のヌクレアーゼ(つまり、RNase H)による分解を減少させる;細胞及び/又は細胞の核へのASOの取り込みを改善する;ASOの薬物動態(pharmacokinetics)または薬力(pharmacodynamics)を変更する;およびASOの半減期を調節するために修飾され得る。
【0124】
幾つかの実施形態では、ASOは、2’-O-(2-メトキシエチル)(MOE)のホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドで構成される。そのようなヌクレオチドで構成されたASOは、特に、本明細書で開示される方法によく適しており、そのような修飾を有しているオリゴマーは、ヌクレアーゼ分解に対する著しく増強された耐性および増大したバイオアベイラビリティを有すると示されており、これによって、例えば、本明細書に記載される幾つかの実施形態における経口送達に適するようになる。例えば、Geary, et al., J Pharmacol Exp Ther. 2001; 296(3):890-7; Geary, et al., J Pharmacol Exp Ther. 2001; 296(3):898-904を参照。
【0125】
ASOを合成する方法は、当業者に既知となる。代替的に又は加えて、ASOは商用源から得られ得る。
【0126】
他に明記されない限り、一本鎖核酸(例えば、mRNA前駆体の転写産物、オリゴヌクレオチド、ASOなど)配列の左端は、5’末端であり、一本鎖または二本鎖の核酸配列の左方向は、5’方向と呼ばれる。同様に、核酸配列(一本鎖または二本鎖)の右端または右方向は、3’末端または3’方向である。一般に、核酸中の基準点に対して5’にある領域または配列は「上流」として言及され、核酸中の基準点に対して3’にある領域または配列は「下流」として言及される。一般に、mRNAの5’方向または5’末端は、開始コドン(initiation or start codon)が位置する場所であり、一方で3’末端または3’方向は、終止コドンが位置する場所である。幾つかの態様では、核酸中の基準点の上流にあるヌクレオチドは、負の数によって指定され、基準点の下流にあるヌクレオチドは、正の数によって指定され得る。例えば、基準点(例えば、mRNA中のエクソン-エクソン連結)は「ゼロ」部位として指定され得、基準点に直接隣接しその上流にあるヌクレオチドは、「マイナス1」、例えば「-1」と指定され、一方で基準点に直接隣接しその下流にあるヌクレオチドは、「プラス1」、例えば「+1」と指定される。
【0127】
幾つかの実施形態では、ASOは、SCN1A RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの5’スプライス部位の下流(3’方向)であるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分(例えば5’スプライス部位に対して正の数で示された方向)に対して相補的である(およびそれに結合する)(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して約+6から約+500の領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、5’スプライス部位に対して+1から+5までのヌクレオチド(5’スプライス部位の下流に位置付けられた最初の5つのヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して約+6から約+496の間の領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約+6から約+500、約+6から約+490、約+6から約+480、約+6から約+470、約+6から約+460、約+6から約+450、約+6から約+440、約+6から約+430、約+6から約+420、約+6から約+410、約+6から約+400、約+6から約+390、約+6から約+380、約+6から約+370、約+6から約+360、約+6から約+350、約+6から約+340、約+6から約+330、約+6から約+320、約+6から約+310、約+6から約+300、約+6から約+290、約+6から約+280、約+6から約+270、約+6から約+260、約+6から約+250、約+6から約+240、約+6から約+230、約+6から約+220、約+6から約+210、約+6から約+200、約+6から約+190、約+6から約+180、約+6から約+170、約+6から約+160、約+6から約+150、約+6から約+140、約+6から約+130、約+6から約+120、約+6から約+110、約+6から約+100、約+6から約+90、約+6から約+80、約+6から約+70、約+6から約+60、約+6から約+50、約+6から約+40、約+6から約+30、または約+6から約+20の領域内にある標的部分に相補的である。
【0128】
幾つかの実施形態では、ASOは、SCN1A RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの5’スプライス部位の上流(5’方向)であるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分(例えば5’スプライス部位に対して負の数で示された方向)に対して相補的である(およびそれに結合する)(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して約-4eから約-270eの領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、5’スプライス部位に対して-1eから-3eまでのヌクレオチド(5’スプライス部位の上流に位置付けられた最初の3つのヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4eから-264eの間の領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約-4eから約-270e、約-4eから約-260e、約-4eから約-250e、約-4eから約-240e、約-4eから約-230e、約-4eから約-220e、約-4eから約-210e、約-4eから約-200e、約-4eから約-190e、約-4eから約-180e、約-4eから約-170e、約-4eから約-160e、約-4eから約-150e、約-4eから約-140e、約-4eから約-130e、約-4eから約-120e、約-4eから約-110e、約-4eから約-100e、約-4eから約-90e、約-4eから約-80e、約-4eから約-70e、約-4eから約-60e、約-4eから約-50e、約-4eから約-40e、約-4eから約-30e、または約-4eから約-20eの領域内にある標的部分に相補的である。
【0129】
幾つかの実施形態では、ASOは、SCN1A RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの3’スプライス部位の上流(5’方向)であるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的領域(例えば、負の数で示された方向)に対して相補的である(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して約-16から約-500の領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位に対して-1から-15までのヌクレオチド(3’スプライス部位の上流に位置付けられた最初の15のヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16から-496の領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約-16から約-500、約-16から約-490、約-16から約-480、約-16から約-470、約-16から約-460、約-16から約-450、約-16から約-440、約-16から約-430、約-16から約-420、約-16から約-410、約-16から約-400、約-16から約-390、約-16から約-380、約-16から約-370、約-16から約-360、約-16から約-350、約-16から約-340、約-16から約-330、約-16から約-320、約-16から約-310、約-16から約-300、約-16から約-290、約-16から約-280、約-16から約-270、約-16から約-260、約-16から約-250、約-16から約-240、約-16から約-230、約-16から約-220、約-16から約-210、約-16から約-200、約-16から約-190、約-16から約-180、約-16から約-170、約-16から約-160、約-16から約-150、約-16から約-140、約-16から約-130、約-16から約-120、約-16から約-110、約-16から約-100、約-16から約-90、約-16から約-80、約-16から約-70、約-16から約-60、約-16から約-50、約-16から約-40、または3約-16から約-30の領域内にある標的部分に相補的である。
【0130】
幾つかの実施形態では、ASOは、SCN1A RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの3’スプライス部位の下流(3’方向)であるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的領域(例えば、正の数で示された方向)に対して相補的である(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約+2eから約+40eの領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位に対して+1eのヌクレオチド(3’スプライス部位の下流に位置付けられた最初の5つのヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して約+2eから約+37eの間の領域内にあるSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約+2eから約+40e、約+2eから約+30e、約+2eから約+20e、または+2eから約+10eの領域内にある標的部分に相補的である。
【0131】
幾つかの実施形態では、ASOは、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの5’スプライス部位の下流(3’方向)であるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分(例えば5’スプライス部位に対して正の数で示された方向)に対して相補的である(およびそれに結合する)(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して約+6から約+500の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、5’スプライス部位に対して+1から+5までのヌクレオチド(5’スプライス部位の下流に位置付けられた最初の5つのヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して約+6から約+496の間の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約+6から約+251の間の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約+6から約+500、約+6から約+490、約+6から約+480、約+6から約+470、約+6から約+460、約+6から約+450、約+6から約+440、約+6から約+430、約+6から約+420、約+6から約+410、約+6から約+400、約+6から約+390、約+6から約+380、約+6から約+370、約+6から約+360、約+6から約+350、約+6から約+340、約+6から約+330、約+6から約+320、約+6から約+310、約+6から約+300、約+6から約+290、約+6から約+280、約+6から約+270、約+6から約+260、約+6から約+250、約+6から約+240、約+6から約+230、約+6から約+220、約+6から約+210、約+6から約+200、約+6から約+190、約+6から約+180、約+6から約+170、約+6から約+160、約+6から約+150、約+6から約+140、約+6から約+130、約+6から約+120、約+6から約+110、約+6から約+100、約+6から約+90、約+6から約+80、約+6から約+70、約+6から約+60、約+6から約+50、約+6から約+40、約+6から約+30、または約+6から約+20の領域内にある標的部分に相補的である。
【0132】
幾つかの実施形態では、ASOは、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの5’スプライス部位の上流(5’方向)であるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分(例えば5’スプライス部位に対して負の数で示された方向)に対して相補的である(およびそれに結合する)(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して約-4eから約-1,060eの領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、5’スプライス部位に対して-1eから-3eまでのヌクレオチド(5’スプライス部位の上流に位置付けられた最初の3つのヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、-4eから-1054eの間の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、-4eから-73eの間の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、約-4eから約-1,060e、約-4eから約-1,050e、約-4eから約-1,040e、約-4eから約-1,030e、約-4eから約-1,020e、約-4eから約-1,010e、約-4eから約-1,000e、約-4eから約-990e、約-4eから約-980e、約-4eから約-970e、約-4eから約-960e、約-4eから約-950e、約-4eから約-940e、約-4eから約-930e、約-4eから約-920e、約-4eから約-910e、約-4eから約-900e、約-4eから約-890e、約-4eから約-880e、約-4eから約-870e、約-4eから約-860e、約-4eから約-850e、約-4eから約-840e、約-4eから約-830e、約-4eから約-820e、約-4eから約-810e、約-4eから約-800e、約-4eから約-790e、約-4eから約-780e、約-4eから約-770e、約-4eから約-760e、約-4eから約-750e、約-4eから約-740e、約-4eから約-730e、約-4eから約-720e、約-4eから約-710e、約-4eから約-700e、約-4eから約-690e、約-4eから約-680e、約-4eから約-670e、約-4eから約-660e、約-4eから約-650e、約-4eから約-640e、約-4eから約-630e、約-4eから約-620e、約-4eから約-610e、約-4eから約-600e、約-4eから約-590e、約-4eから約-580e、約-4eから約-570e、約-4eから約-560e、約-4eから約-550e、約-4eから約-540e、約-4eから約-530e、約-4eから約-520e、約-4eから約-510e、約-4eから約-500e、約-4eから約-490e、約-4eから約-480e、約-4eから約-470e、約-4eから約-460e、約-4eから約-450e、約-4eから約-440e、約-4eから約-430e、約-4eから約-420e、約-4eから約-410e、約-4eから約-400e、約-4eから約-390e、約-4eから約-380e、約-4eから約-370e、約-4eから約-360e、約-4eから約-350e、約-4eから約-340e、約-4eから約-330e、約-4eから約-320e、約-4eから約-310e、約-4eから約-300e、約-4eから約-290e、約-4eから約-280e、約-4eから約-270e、約-4eから約-260e、約-4eから約-250e、約-4eから約-240e、約-4eから約-230e、約-4eから約-220e、約-4eから約-210e、約-4eから約-200e、約-4eから約-190e、約-4eから約-180e、約-4eから約-170e、約-4eから約-160e、約-4eから約-150e、約-4eから約-140e、約-4eから約-130e、約-4eから約-120e、約-4eから約-110e、約-4eから約-100e、約-4eから約-90e、約-4eから約-80e、約-4eから約-70e、約-4eから約-60e、約-4eから約-50e、約-4eから約-40e、約-4eから約-30e、または約-4eから約-20eの領域内にある標的部分に相補的である。
【0133】
幾つかの実施形態では、ASOは、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの3’スプライス部位の上流(5’方向)であるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的領域(例えば負の数で示された方向)に対して相補的である(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して約-16から約-500の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位に対して-1から-15までのヌクレオチド(3’スプライス部位の上流に位置付けられた最初の15のヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16から-256の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16から-496の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約-16から約-500、約-16から約-490、約-16から約-480、約-16から約-470、約-16から約-460、約-16から約-450、約-16から約-440、約-16から約-430、約-16から約-420、約-16から約-410、約-16から約-400、約-16から約-390、約-16から約-380、約-16から約-370、約-16から約-360、約-16から約-350、約-16から約-340、約-16から約-330、約-16から約-320、約-16から約-310、約-16から約-300、約-16から約-290、約-16から約-280、約-16から約-270、約-16から約-260、約-16から約-250、約-16から約-240、約-16から約-230、約-16から約-220、約-16から約-210、約-16から約-200、約-16から約-190、約-16から約-180、約-16から約-170、約-16から約-160、約-16から約-150、約-16から約-140、約-16から約-130、約-16から約-120、約-16から約-110、約-16から約-100、約-16から約-90、約-16から約-80、約-16から約-70、約-16から約-60、約-16から約-50、約-16から約-40、または約-16から約-30の領域内にある標的部分に対して相補的である。
【0134】
幾つかの実施形態では、ASOは、SYNGAP1 RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの3’スプライス部位の下流(3’方向)であるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的領域(例えば正の数で示された方向)に対して相補的である(
図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約+2eから約+1,920eの領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位に対して+1eのヌクレオチド(3’スプライス部位の下流に位置付けられた最初のヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位に対して+16eのヌクレオチド(3’スプライス部位の下流に位置付けられた最初の16のヌクレオチド)に対して相補的でない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して約+2eから約+157eの間の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して約+2eから約+1,912eの間の領域内にあるSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であり得る。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、約+2eから約+1,920e、約+2eから約+1,910e、ら約+2eから約+1,900e、約+2eから約+1,890e、約+2eから約+1,880e、約+2eから約+1,870e、約+2eから約+1,860e、約+2eから約+1,850e、約+2eから約+1,840e、約+2eから約+1,830e、約+2eから約+1,820e、約+2eから約+1,810e、約+2eから約+1,800e、約+2eから約+1,790e、約+2eから約+1,780e、約+2eから約+1,770e、約+2eから約+1,760e、約+2eから約+1,750e、約+2eから約+1,740e、約+2eから約+1,730e、約+2eから約+1,720e、約+2eから約+1,710e、約+2eから約+1,700e、約+2eから約+1,690e、約+2eから約+1,680e、約+2eから約+1,670e、約+2eから約+1,660e、約+2eから約+1,650e、約+2eから約+1,640e、約+2eから約+1,630e、約+2eから約+1,620e、約+2eから約+1,610e、約+2eから約+1,600e、約+2eから約+1,590e、約+2eから約+1,580e、約+2eから約+1,570e、約+2eから約+1,560e、約+2eから約+1,550e、約+2eから約+1,540e、約+2eから約+1,530e、約+2eから約+1,520e、約+2eから約+1,510e、約+2eから約+1,500e、約+2eから約+1,490e、約+2eから約+1,480e、約+2eから約+1,470e、約+2eから約+1,460e、約+2eから約+1,450e、約+2eから約+1,440e、約+2eから約+1,430e、約+2eから約+1,420e、約+2eから約+1,410e、約+2eから約+1,400e、約+2eから約+1,390e、約+2eから約+1,380e、約+2eから約+1,370e、約+2eから約+1,360e、約+2eから約+1,350e、約+2eから約+1,340e、約+2eから約+1,330e、約+2eから約+1,320e、約+2eから約+1,310e、約+2eから約+1,300e、約+2eから約+1,290e、約+2eから約+1,280e、約+2eから約+1,270e、約+2eから約+1,260e、約+2eから約+1,250e、約+2eから約+1,240e、約+2eから約+1,230e、約+2eから約+1,220e、約+2eから約+1,210e、約+2eから約+1,200e、約+2eから約+1,190e、約+2eから約+1,180e、約+2eから約+1,170e、約+2eから約+1,160e、約+2eから約+1,150e、約+2eから約+1,140e、約+2eから約+1,130e、約+2eから約+1,120e、約+2eから約+1,110e、約+2eから約+1,100e、約+2eから約+1,090e、約+2eから約+1,080e、約+2eから約+1,070e、約+2eから約+1,060e、約+2eから約+1,050e、約+2eから約+1,040e、約+2eから約+1,030e、約+2eから約+1,020e、約+2eから約+1,010e、約+2eから約+1,000e、約+2eから約+990e、約+2eから約+980e、約+2eから約+970e、約+2eから約+960e、約+2eから約+950e、約+2eから約+940e、約+2eから約+930e、約+2eから約+920e、約+2eから約+910e、約+2eから約+900e、約+2eから約+890e、約+2eから約+880e、約+2eから約+870e、約+2eから約+860e、約+2eから約+850e、約+2eから約+840e、約+2eから約+830e、約+2eから約+820e、約+2eから約+810e、約+2eから約+800e、約+2eから約+790e、約+2eから約+780e、約+2eから約+770e、約+2eから約+760e、約+2eから約+750e、約+2eから約+740e、約+2eから約+730e、約+2eから約+720e、約+2eから約+710e、約+2eから約+700e、約+2eから約+690e、約+2eから約+680e、約+2eから約+670e、約+2eから約+660e、約+2eから約+650e、約+2eから約+640e、約+2eから約+630e、約+2eから約+620e、約+2eから約+610e、約+2eから約+600e、約+2eから約+590e、約+2eから約+580e、約+2eから約+570e、約+2eから約+560e、約+2eから約+550e、約+2eから約+540e、約+2eから約+530e、約+2eから約+520e、約+2eから約+510e、約+2eから約+500e、約+2eから約+490e、約+2eから約+480e、約+2eから約+470e、約+2eから約+460e、約+2eから約+450e、約+2eから約+440e、約+2eから約+430e、約+2eから約+420e、約+2eから約+410e、約+2eから約+400e、約+2eから約+390e、約+2eから約+380e、約+2eから約+370e、約+2eから約+360e、約+2eから約+350e、約+2eから約+340e、約+2eから約+330e、約+2eから約+320e、約+2eから約+310e、約+2eから約+300e、約+2eから約+290e、約+2eから約+280e、約+2eから約+270e、約+2eから約+260e、約+2eから約+250e、約+2eから約+240e、約+2eから約+230e、約+2eから約+220e、約+2eから約+210e、約+2eから約+200e、約+2eから約+190e、約+2eから約+180e、約+2eから約+170e、約+2eから約+160e、約+2eから約+150e、約+2eから約+140e、約+2eから約+130e、約+2eから約+120e、約+2eから約+110e、約+2eから約+100e、約+2eから約+90e、約+2eから約+80e、約+2eから約+70e、約+2eから約+60e、約+2eから約+50e、約+2eから約+40e、約+2e+から約30e、または約+2e+から約+20eの領域内にある標的部分に相補的である。
【0135】
実施形態では、SYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+100の領域から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-100の領域内にある。ASOは、スプライシングの特異的結合および有効な増強に適した長さであり得る。幾つかの実施形態では、ASOは、8から50の核酸塩基から成る。例えば、ASOは、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、45、または50の核酸塩基であり得る。幾つかの実施形態では、ASOは、50よりも多い核酸塩基から成る。幾つかの実施形態では、ASOは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10、50の核酸塩基、10、40の核酸塩基、10、35の核酸塩基、10、30の核酸塩基、10、25の核酸塩基、10、20の核酸塩基、10、15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、12~15の核酸塩基、13~50の核酸塩基、13~40の核酸塩基、13~35の核酸塩基、13~30の核酸塩基、13~25の核酸塩基、13~20の核酸塩基、14~50の核酸塩基、14~35の核酸塩基、14~30の核酸塩基、14~25の核酸塩基、14~20の核酸塩基、15~50の核酸塩基、15~40核酸塩基、15~35核酸塩基、15~30核酸塩基、15~25核酸塩基、15~20核酸塩基、20、50の核酸塩基、20、40の核酸塩基、20、35の核酸塩基、20、30の核酸塩基、20、25の核酸塩基、25~50の核酸塩基、25~40の核酸塩基、25~35の核酸塩基、または25~30の核酸塩基の長さである。幾つかの実施形態では、ASOは、長さが18のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは、長さが15のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは、長さが25のヌクレオチドである。
【0136】
幾つかの実施形態では、異なる化学作用を有するがRIC mRNA前駆体の同じ標的部分に相補的である2つ以上のASOが使用される。幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の異なる標的部分に対して相補的である2つ以上のASOが使用される。
【0137】
実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の部分または抱合体、例えば、オリゴヌクレオチドの活性または細胞取り込みを増強する標的とする部分または他の抱合体に化学的に連結される。そのような部分は、限定されないが、例えば、コレステロール部分、コレステリル部分のような脂質部分、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシルの残留物、ポリアミン鎖もしくはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸を含む。親油性部分を含むオリゴヌクレオチドおよび調製方法は、公開された文献に記載されている。実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されないが、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、例えば、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-Ac-グルコサミン(GulNAc)、またはマンノース(例えば、マンノース-6-リン酸塩)、脂質、またはポリ炭化水素化合物を含む部分で抱合される。抱合体は、例えばリンカーを使用して、当技術分野において理解され、文献中に記載されるように、糖、塩基またはリン酸基上の幾つかの位置のいずれかでアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むヌクレオチドの1つ以上に連結され得る。リンカーは、二価または三価の分枝したリンカーを含むことができる。実施形態では、抱合体は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの3’末端に結合される。オリゴヌクレオチド抱合体を調製する方法は、例えば、米国特許第8,450,467号「Carbohydrate conjugates as delivery agents for oligonucleotides」に記載され、これは引用によって本明細書に組み込まれる。
【0138】
幾つかの実施形態では、ASOによって標的とされる核酸は、真核細胞などの細胞において発現されたSYNGAP1またはSCN1A RIC mRNA前駆体である。幾つかの実施形態では、用語「細胞」は、細胞の集団を指し得る。幾つかの実施形態では、細胞は被験体内に存在する。幾つかの実施形態では、細胞は被験体から分離されている。幾つかの実施形態では、細胞はエクスビボにある。幾つかの実施形態では、細胞は、疾病または疾患関連の細胞または細胞株である。幾つかの実施形態では、細胞はインビトロに(例えば、細胞培養液中に)ある。
【0139】
<医薬組成物>
記載された組成物のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む及び記載された方法のいずれかにおいて使用するための医薬組成物または製剤は、製薬産業において周知の及び公開された文献に記載された従来の技術に従って調製され得る。実施形態では、被験体を処置するための医薬組成物または製剤は、上記されるような有効量のアンチセンスオリゴマー、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、またはエステル、および薬学的に許容可能な希釈剤を含む。医薬製剤のアンチセンスオリゴマーはさらに、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤または担体を含み得る。
【0140】
薬学的に許容可能な塩は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがない、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適しており、合理的なベネフィット・リスク比に相応している(例えば、S. M. Berge, et al., J. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19 (1977)を参照し、これは、この目的のための参照によって本明細書に組み込まれる)。その塩は、化合物の最終的な分離および精製中に、または別に遊離塩基の官能基を適切な有機酸と反応させることによって、インサイチュで調製され得る。薬学的に許容可能で無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸か、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸か、またはイオン交換などの他の文書で立証された方法を用いることによって形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。さらに薬学的に許容可能な塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルのスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成された、無毒なアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンのカチオンを含む。
【0141】
実施形態において、組成物は、限定されないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、ソフトゲル、坐剤、および浣腸剤などの多くの考えられる剤形のいずれかへと製剤される。実施形態において、組成物は、水性培地、非水性培地、または混合培地状の懸濁液として製剤化される。水性懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ソルビトールおよび/またはデキストラン)を含む懸濁液の粘度を増加させる物質をさらに含むこともある。その懸濁液は、安定化剤も含むこともある。実施形態において、本発明の医薬製剤または医薬組成物は、限定されないが、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、発泡体またはリポソーム含有製剤(例えばカチオンリポソームまたは非カチオンリポソーム)を含む。
【0142】
本発明の医薬組成物または医薬製剤は、必要に応じて当業者に周知されたように、または公開文献において記載されているように、1つ以上の透過促進剤、担体、賦形剤、または他の活性成分もしくは非活性成分を含むこともある。実施形態において、リポソームは立体的に安定したリポソーム、例えば1つ以上の特定の脂質を含むリポソームも含む。これらの特定の脂質は、循環寿命が増強されたリポソームを結果としてもたらす。実施形態において、立体的に安定したリポソームは、1つ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール(PEG)部分などの1つ以上の親油性ポリマーを用いて誘導される。実施形態において、界面活性剤は医薬製剤または医薬組成物中に含まれる。薬物製品、製剤およびエマルジョンにおける界面活性剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。実施形態では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの効率的な送達を達成する、例えば、細胞膜にわたる拡散を助ける及び/又は脂溶性薬物の浸透性を増強するために、浸透促進剤を利用する。実施形態では、浸透促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、または非キレート性の非界面活性剤である。
【0143】
実施形態において、医薬製剤は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは他の薬物または治療剤と組み合わせて投与される。
【0144】
<被験体の処置>
本明細書に提供される組成物のうちのいずれかが個体に投与されうる。「個体」は、「被験体」または「患者」と互換的に使用されてもよい。個体は、哺乳動物、例えば、ヒト、またはヒト以外の霊長類、げっ歯類、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ロバ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、またはヒツジなどの動物であってもよい。実施形態では、個体はヒトである。実施形態では、個体は胎児、胚、または小児である。他の実施形態では、個体は植物などの別の真核生物かもしれない。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は細胞にエクスビボで投与される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、疾病または障害を処置する方法として個体に投与される。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記述されたいずれかの疾病などの遺伝病を有する。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記述されたいずれかの疾病などの疾病を有するリスクがある。いくつかの実施形態では、個体は、不十分な量のタンパク質または不十分な活性のタンパク質により引き起こされる疾病または障害を有するリスクが増大している。個体が、不十分な量のタンパク質または不十分な活性のタンパク質により引き起こされる疾病または障害を有するリスクが増大している場合、方法は防止的または予防的な処置を含む。例えば、個体は、その疾病の家族歴のために、そのような疾病または障害を有するリスクが増大している場合がある。典型的には、そのような疾病または障害を有するリスクが増大している個体は、予防的処置(例えば、疾病または障害の発症または悪化を予防するかまたは遅らせることによる)から利益を受ける。実施形態では、胎児は、例えばASO組成物を胎児に対して直接または間接的(例えば母を介して)に投与することにより、子宮内で処置される。
【0146】
本発明のASOの投与に適切な経路は、ASOの送達が所望される細胞型に応じて変わりうる。多数の組織および器官はアラジールAD知的障害5およびドラベ症候群によって影響を受け、脳が最も著しく影響を受ける組織である。本発明のASOは、例えば、くも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射により、患者に非経口的に投与されてもよい。
【0147】
実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当技術分野において知られている任意の方法によって、血液脳関門を介する主題のアンチセンスオリゴヌクレオチドの浸透を促進することができる1つ以上の薬剤と共に投与される。例えば、筋組織内の運動ニューロンへアデノウイルスベクターを投与することによる薬剤の送達は、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,632,427号「Adenoviral-vector-mediated gene transfer into medullary motor neurons」に記載されている。脳、例えば、線条体、視床、海馬、または黒質への直接のベクターの送達は、例えば、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,756,523号「Adenovirus vectors for the transfer of foreign genes into cells of the central nervous system particularly in brain」に記載される。
【0148】
実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、望ましい薬理学的性質または薬力学的性質を提供する薬剤に結合されるか抱合される。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、血液脳関門を介する浸透または輸送を促進すると当技術分野において知られている物質、例えばトランスフェリン受容体の抗体に結合される。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、アンチセンス化合物をより効果的にするために、または血液脳関門を介する輸送を増加させるためにウイルスベクターに結合される。実施形態において、浸透性の血液脳関門の破壊は、砂糖、例えばメソエリスリトール、キシリトール、D(+)ガラクトース、D(+)ラクトース、D(+)キシロース、ズルシトール、ミオ-イノシトール、L(-)フルクトース、D(-)マンニトール、D(+)グルコース、D(+)アラビノース、D(-)アラビノース、セロビオース、D(+)マルトース、D(+)ラフィノース、L(+)ラムノース、D(+)メリビオース、D(-) リボース、アドニトール、D(+)アラビトール、L(-)アラビトール、D(+)フコース、L(-)フコース、D(-)リキソース、L(+)リキソース、およびL(-)リキソース、または アミノ酸、例えばグルタミン、リジン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン、およびタウリンを注入することにより促進される。血液脳関門の浸透性を増強するための方法および物質は、例えば、米国特許第9,193,969号「Compositions and methods for selective delivery of oligonucleotide molecules to specific neuron types」、米国特許第4,866,042号「Method for the delivery of genetic material across the blood brain barrier」、米国特許第6,294,520号「Material for passage through the blood-brain barrier,” and U.S. Pat. No. 6,936,589, ”Parenteral delivery systems」に記載されており、それぞれが引用によって本明細書に取り込まれる。
【0149】
実施形態では、本発明のASOは、例えば引用に本明細書に取り込まれる米国特許第9,193,969号に記載されている方法を用いて、ドーパミン再取り込み阻害剤(DRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NRI)、ノルエピネフリンドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)、およびセロトニンノルエピネフリンドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI)に結合される。
【0150】
実施形態では、方法および組成物を用いて処置された被験体は、当技術分野において既知であり記載されている任意の方法を使用して、状態の向上に関して評価される。
【0151】
<スプライシングを増強する追加のASOを識別する方法>
本発明の範囲内にはまた、特に標的イントロンにおけるSYNGAP1 RICまたはSCN1A RIC mRNA前駆体のスプライシングを増強する追加のASOを識別する(判定する)方法が存在する。mRNA前駆体の標的領域内で様々なヌクレオチドを特異的にハイブリダイズさせるASOは、標的イントロンのスプライシングの速度および/または程度を改善するASOを識別する(判定する)ためにスクリーニングされてもよい。いくつかの実施形態では、ASOはスプライシング抑制因子/サイレンサーの結合部位でブロックまたは妨害することもある。当該技術分野において既知の任意の方法は、イントロンの標的領域にハイブリダイズされた時に所望の効果(例えばスプライシング、タンパク質または機能性RNAの産生の向上)をもたらすASOを識別する(判定する)ために使用されてもよい。これらの方法はまた、保持されたイントロンに隣接するエクソン中、または保持されていないイントロン中の標的領域へ結合することにより、保持されたイントロンのスプライシングを増強するASOを識別するために使用することができる。使用されうる方法の一例が下記に提供される。
【0152】
mRNA前駆体の標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを用いて、ASO「ウォーク」(walk)と呼ばれる1ラウンドのスクリーニングを行うこともある。例えば、ASOウォークに使用されるASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位の上流のおよそ100ヌクレオチド(例えば、標的とされた/保持されたイントロンの上流に位置するエクソンの配列の一部)から標的とされた/保持されたイントロンの5’スプライス部位の下流のおよそ100ヌクレオチドまで、および/または、保持されたイントロンの3’スプライス部位の上流のおよそ100ヌクレオチドから標的とされた/保持されたイントロンの3’スプライス部位の下流のおよそ100ヌクレオチド(例えば、標的とされた/保持されたイントロンの下流に位置するエクソンの配列の一部)まで、5つのヌクレオチドごとに敷き詰められうる。例えば、長さが15ヌクレオチドの第1のASOは、標的とされた/保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオチド+6から+20まで特異的にハイブリダイズするように設計されうる。第2のASOは、標的とされた/保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオチド+11から+25まで特異的にハイブリダイズするように設計されている。ASOは、mRNA前駆体の標的領域に及ぶように設計されている。実施形態では、ASOは、より密に、例えば、1、2、3、または4つのヌクレオチドごとに敷き詰められうる。さらに、ASOは、5’スプライス部位の下流の100ヌクレオチドから3’スプライス部位の上流の100ヌクレオチドまで敷き詰められうる。いくつかの実施形態では、ASOは、5’スプライス部位の上流の約1,160ヌクレオチドから5’スプライス部位の下流の約500ヌクレオチドまで敷き詰められ得る。いくつかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位の上流の約500ヌクレオチドから3’スプライス部位の下流の約1,920ヌクレオチドまで敷き詰められ得る。
【0153】
1つ以上のASO、または1つの対照ASO(標的領域にハイブリダイズするとは予期されていない配列である、スクランブル配列を有するASO)は、例えばトランスフェクションによって、標的mRNA前駆体(例えば、本明細書で別記されるRIC mRNA前駆体)を発現する疾患関連の細胞株へと送達される。ASOの各々のスプライシングを誘発する効果は、本明細書で記載されるように、当該技術分野で既知の方法、例えば、スプライスジャンクションに及ぶプライマーを使用する逆転写酵素(RT)-PCRによって評価されうる(例えば実施例1を参照)。対照ASO処理された細胞と比較して、ASO処理された細胞におけるスプライスジャンクションに及ぶプライマーを使用して生成されたRT-PCR産物が減少または欠如しているということは、標的イントロンのスプライシングが増強されたことを示している。いくつかの実施形態では、スプライシング効率、スプライシングされていないmRNA前駆体に対するスプライシングされたmRNA前駆体の比率、スプライシングの速度、またはスプライシングの程度は、本明細書に記載のASOを使用して改善されうる。標的mRNA前駆体によってコード化されるタンパク質または機能性RNAの量も、各ASOが所望の効果(例えば、タンパク質産生の増強)を達成したかどうかを判定するために評価されうる。ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELISAなどの、タンパク質産生を評価および/または定量するための当該技術分野で既知の方法も使用することができる。
【0154】
ASO「ミクロウォーク」(micro-walk)と呼ばれる第2ラウンドのスクリーニングは、mRNA前駆体の標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを使用して実行されうる。ASOミクロウォークに使用されるASOは、ASOでハイブリダイズされたときに結果的にスプライシングを増強させるmRNA前駆体のヌクレオチド酸配列をさらに改良する(refine)ために、1つのヌクレオチドごとに敷き詰められる。
【0155】
標的イントロンのスプライシングを促進するASOによって定義される領域は、1-ntのステップで間隔を置かれたASO、ならびに典型的には18-25ntであるより長いASOを含む、ASO「ミクロウォーク」によって、より詳細に調査される。
【0156】
上記にASOウォークに関して記載されたように、1つ以上のASO、または対照ASO(標的領域にハイブリダイズすると予期されていない配列である、スクランブル配列を有するASO)を、例えばトランスフェクションによって、標的mRNA前駆体を発現する疾患関連細胞株へと送達することによって、ASOミクロウォークが実行される。ASOの各々のスプライシングを誘発する効果は、本明細書で記載されるように、当該技術分野で既知の方法、例えば、スプライスジャンクションに及ぶプライマーを使用する逆転写酵素(RT)-PCRによって評価されうる(例えば実施例1を参照)。対照ASO処理された細胞と比較して、ASO処理された細胞におけるスプライスジャンクションに及ぶプライマーを使用して生成されたRT-PCR産物が減少または欠如しているということは、標的イントロンのスプライシングが増強されたことを示している。いくつかの実施形態では、スプライシング効率、スプライシングされていないmRNA前駆体に対するスプライシングされたmRNA前駆体の比率、スプライシングの速度、またはスプライシングの程度は、本明細書に記載のASOを使用して改善されうる。標的mRNA前駆体によってコード化されるタンパク質または機能性RNAの量も、各ASOが所望の効果(例えば、タンパク質産生の増強)を達成したかどうかを判定するために評価されうる。ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELISAなどの、タンパク質産生を評価および/または定量するための当該技術分野で既知の方法も使用することができる。
【0157】
mRNA前駆体の領域にハイブリダイズされたときに、結果的にスプライシングを増強させ、タンパク質産生を増加させるASOは、動物モデル、例えば、全長ヒト遺伝子がノックインされたトランスジェニックマウスモデルまたは疾患のヒト化マウスモデルを使用して、インビボで試験されうる。ASOの投与に適した経路は、ASOの送達が望まれる疾患及び/又は細胞型に応じて変化しうる。ASOは、例えばくも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射により投与されてもよい。投与後に、モデル動物の細胞、組織、及び/又は臓器は、当該技術分野に既知の方法および本明細書に記載される方法によって、例えば、スプライシング(効率、速度、程度)およびタンパク質産生を評価することにより、ASO処置の効果を判定するために評価されうる。動物モデルはまた、疾患または疾患重症度の表現型または行動的徴候でありうる。
【0158】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示され記述された一方、そのような実施形態が一例としてしか提供されていないことは当業者にとって明白だろう。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されることもあることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法および構造およびそれらの同等物がそれによって包含されることが意図されている。
【実施例】
【0159】
本発明は、以下の実施例によってより具体的に例証されるだろう。しかしながら、本発明がいかなる方法においてもこれらの実施例によって限定されないことが理解されるべきである。
【0160】
<実施例1:次世代配列決定を用いたRNAseqによるSYNGAP1転写産物のイントロン保持事象の特定>
イントロン保持事象を特定するためにSYNGAP1遺伝子によって生成された転写産物のスナップショットを明らかにするために、次世代配列決定を使用して、全トランスクリプトームショットガン配列決定を実行した。このために、HCN(ヒト皮質ニューロン)の核および細胞質の画分からのpolyA+ RNAを分離し、IlluminaのTruSeq Stranded mRNAライブラリPrepキットを用いてcDNAライブラリを構築した。ライブラリに対してペア-エンド配列決定(pair-end sequence)を行い、結果として、ヒトゲノム(2009年2月、GRCh37/hg19アセンブリ)にマッピングされた100ヌクレオチドの読み取りをもたらした。SYNGAP1に対する配列決定の結果を、
図3に示す。簡潔に言うと、
図3は、UCSC Genome Informatics Group (Center for Biomolecular Science & Engineering, University of California, Santa Cruz, 1156 High Street, Santa Cruz, CA 95064)によって操作され、かつ、例えばRosenbloom, et al., 2015,”The UCSC Genome Browser database: 2015年アップデート,”Nucleic Acids Research 43, Database Issue (doi: 10.1093/nar/gku1177)に記載された、UCSCのゲノムブラウザを使用して視覚化されマッピングされた読み取りを示し、読み取りの範囲および数はピーク信号によって推論されうる。ピークの高さは、特定の領域における読取密度によって与えられた発現のレベルを示している。ピークがSYNGAP1エクソン領域およびイントロン領域に適合されるように、(読み取りシグナルの下の)UCSCゲノムブラウザによってSYNGAP1の模式図(縮尺通りに描かれている)が提供される。このディスプレイに基づいて、HCNの核分画において高い読み取り密度を持つが、これらの(
図3の下のチャート中のイントロン15、および
図5の下のチャート中のイントロン18および19に対して示されるような)細胞の細胞質分画においては非常に低い読み取りしか持たないか、全く読み取りを持たない、3つのイントロン(矢印により示される15、18および19;それぞれ、NM_006772イントロン15、NM_006772イントロン18、およびNM_006772イントロン19に対応する)を識別した。このことは、これらのイントロンが保持されること、および イントロン-15、イントロン-18およびイントロン-19含有転写産物は細胞核中に残存し、かつそれらが細胞質へと運び出されないため、これらの保持されたSYNGAP1 RIC mRNA前駆体は非産生的であることが示唆されることを示す。
【0161】
<実施例2:SYNGAP1のイントロン15を標的とするASOウォークの設計>
ASOウォークを、本明細書中(
図4;表1、SEQ ID NO: 1510から1814および2287から2591)に記載された方法を使用して、イントロン15を標的とするよう設計した。ヌクレオチド+251から-1,054eに及ぶ、イントロン15の5’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域、およびヌクレオチド-256から+157eに及ぶイントロン15の3’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域が、保持されたイントロン15 SYNGAP1 RIC mRNA前駆体を標的とするようにASOを設計するために利用される。表1は、設計された例示的なASOおよびそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチド間隔だけシフトした2’-O-MeRNA、PS骨格、18-mer ASOは、SYNGAP1-タンパク質産生を増加させるためにSYNGAP1 RIC mRNA前駆体を標的化するよう産生され、利用される(
図4および
図7Bを参照)。
【0162】
【0163】
<実施例3:SYNGAP1のイントロン18および19を標的とするASOウォークの設計>
ASOウォークを、本明細書中(
図6;表1、SEQ ID NO:1815から2286および1038から1509)に記載された方法を使用して、イントロン18および19を標的とするよう設計した。ヌクレオチド+499から-73eに及ぶ、イントロン18の5’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域、およびヌクレオチド-496から+1,912eに及ぶイントロン19の3’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域を、保持されたイントロン18または19 SYNGAP1 RIC mRNA前駆体を標的とするようにASOを設計するために利用した。表1は、設計された例示的なASOおよびそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチド間隔だけシフトした2’-O-MeRNA、PS骨格、18-mer ASOは、SYNGAP1-タンパク質産生を増加させるためにSYNGAP1 RIC mRNA前駆体を標的化するよう産生され、利用される(
図6および
図7D-Eを参照)。代替的なエクソン19に隣接するスプライス部位のイントロン領域は、エクソン19の包含レベルに影響を与えることを回避するために標的としない。
【0164】
<実施例4:SYNGAP1イントロン15、18、または19のASO標的による改善されたスプライシング効率は、転写産物のレベルを増加させる>
ASOを用いた標的遺伝子のイントロンのスプライシング効率の増加を測定するために、本明細書において記載される方法を使用した。ヒト網膜上皮細胞株であるARPE-19細胞(アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)(USA))を、偽トランスフェクトするか、または実施例2および3に記載される標的ASOを用いてトランスフェクトした。細胞を、供給業者の仕様書に従って、Lipofectamine RNAiMaxトランスフェクション試薬(Thermo Fisher)を用いてトランスフェクトした。簡潔に述べると、ASOを96ウェル組織培養プレートに播種し、Opti-MEMで希釈したRNAiMaxと組み合わせた。トリプシンを用いて細胞を剥離し、完全培地中で再懸濁し、約25,000個の細胞をASOトランスフェクション混合物に加えた。トランスフェクション実験は3通りのプレート複製において実行された。最終的なASO濃度は80nMであった。供給業者の仕様書に従って、培地をトランスフェクションの6時間後に交換し、DNAse(Thermo Fisher)を補充したCells-to-Ct溶解試薬を用いて、細胞を24時間で回収した。供給業者の仕様書に従い、cDNAをCells-to-Ct RT試薬(Thermo Fisher)で生成した。対象のイントロンでスプライシングする量を定量化するために、対応するエクソン-エクソン連結(Thermo Fisher)に及ぶプローブでTaqmanアッセイを用いて、定量PCRを実施した。Taqmanアッセイを、QuantStudio 7Flex Real-Time PCRシステム(Thermo Fisher)上の供給業者の仕様書に従い実行した。標的遺伝子アッセイ値を、RPL32(ΔCt)およびプレート適合偽トランスフェクションサンプル(ΔΔCt)に対して正規化し、モック定量(2^-(ΔΔCt)に対して倍数変化を生成した。保持されたイントロン15を標的とするASOに関する3通りのプレート複製のモックに対する平均倍率変化は、
図7Bにプロットされている。位置-31および-36に対して標的とされたASOにより、>1.5倍増加した標的遺伝子発現が示され、これによりこの標的イントロンにおけるスプライシングの増加が示唆された。保持されたイントロン18を標的とするASOに関する3通りのプレート複製のモックに対する平均倍率変化は、
図7Dにプロットされている。位置-36および-41に対して標的とされたASOにより、>~2倍増加した標的遺伝子発現が示され、これによりこの標的イントロンにおけるスプライシングの増加が示唆された。保持されたイントロン19を標的とするASOに関する3通りのプレート複製のモックに対する平均倍率変化は、
図7Eにプロットされている。位置-55および-60に対して標的とされたASOにより、>2倍増加した標的遺伝子発現が示され、これによりこの標的イントロンにおけるスプライシングの増大が示唆された。標的イントロン(実施例1)の保持を確認する全トランスクリプトームデータと共に、これらの結果は、ASOが比率制限イントロンのスプライシング効率を改善し得ることを確認する。
【0165】
<実施例5:次世代配列を使用するRNAseqによるSCN1A転写産物におけるイントロン保持事象の特定>
SCN1Aイントロン21の保持を、
図8Cに記載のRT-PCRアッセイを使用して確認した。イントロン21は、核分画におけるバンドの存在により示されるSKN-AS細胞およびRenCell VM細胞において保持される。
【0166】
<実施例6:SYNGAP1のイントロン21を標的とするASOウォークの設計>
ASOウォークを、本明細書中(表2、SEQ ID NO:10-266および524-1037)に記載された方法を使用して、イントロン21を標的とするよう設計した。ヌクレオチド-264eから+496に及ぶイントロン21の5’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域、およびヌクレオチド-496から+37eに及ぶイントロン21の3’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域を、保持されたイントロン21 SCN1A RIC mRNA前駆体を標的とするようにASOを設計するために利用した。表2は、設計された例示的なASOおよびそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチド間隔だけシフトした2’-O-MeRNA、PS骨格、18-mer ASOは、SCN1A-タンパク質産生を増加させるためにSCN1A RIC mRNA前駆体を標的化するよう産生され、利用される(
図8D-Eおよび表3-4を参照)。
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
<実施例7:SCN1AのASOウォーク標的イントロン23の設計>
ASOウォークは、本明細書中(表2、SEQ ID NO:267-523)に記載された方法を使用して、イントロン23を標的とするよう設計されうる。ヌクレオチド-264eから+496に及ぶイントロン23の5’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域、およびヌクレオチド-496から+37eに及ぶイントロン23の3’スプライス部位のすぐ上流および下流の領域を、保持されたイントロン23 SCN1A RIC mRNA前駆体を標的とするようにASOを設計するために利用する。表2は、設計された例示的なASOおよびそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチド間隔だけシフトした2’-O-MeRNA、PS骨格、18-mer ASOを産生し、SCN1Aタンパク質産生を増加させるために、SCN1A RIC mRNA前駆体を標的化するよう利用することができる。
【0171】
<実施例8:SCN1A保持イントロンのASO標的による改善したスプライシング効率のは、転写レベルを増加させる>
ASOを使用してSCN1Aイントロン21のスプライシング効率を向上させることによってSCN1A発現の増大を達成することができるかを判定するために、RT-PCR製品をTaqman RT-qPCRにより評価する。その目的のために、RNAiMAX(Invitrogen)送達試薬を独立して使用し、細胞を偽トランスフェクトするか、または表3のイントロン21に関して記載されるASOを用いてトランスフェクトする。実験を、24時間にわたって80nMのASOを使用して実施される。対象のイントロンでスプライシングする量を定量化するために、対応するエクソン-エクソン連結(Thermo Fisher)に及ぶプローブでTaqmanアッセイを用いて、定量PCRを実施した。Taqmanアッセイを、QuantStudio 7Flex Real-Time PCRシステム(Thermo Fisher)上の供給業者の仕様書に従い実行した。標的遺伝子アッセイ値を、RPL32(ΔCt)およびプレート適合偽トランスフェクションサンプル(ΔΔCt)に対して正規化し、モック定量(2^-(ΔΔCt))に対して倍数変化を生成した。3通りのプレート複製のモック(mock)に対する平均倍数変化を
図8D-Eにプロットする。いくつかのASOは、標的遺伝子発現を>~1.25倍増加させると識別され、それによって、その標的イントロンにおけるスプライシングの増加が示唆された。
【0172】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示され記述された一方、そのような実施形態が一例としてしか提供されていないことは当業者にとって明白だろう。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されることもあることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法および構造およびそれらの同等物がそれによって包含されることが意図されている。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
被験体の細胞により標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させることによって被験体の常染色体優性精神遅滞-5(MRD5)またはドラベ症候群(DS)を処置する方法であって、
ここで、細胞は、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、RIC mRNA前駆体は、標的タンパク質または機能的RNAをコードし、
前記方法は、
被験体の細胞を、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞内で、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させる、方法。
[2]
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有している細胞によってSYNGAP1またはSCN1Aである標的タンパク質の発現を増加させる方法であって、
RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、ここで、RIC mRNA前駆体はSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードし、
前記方法は、
細胞を、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロンは、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、細胞内で、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させる、方法。
[3]
前記方法はMRD5を処置する方法であり、標的タンパク質はSYNGAP1であり、あるいは、前記方法はDSを処置する方法であり、標的タンパク質はSCN1Aである、[1]に記載の方法。
[4]
標的タンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足している標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる、補償タンパク質あるいは補償機能的RNAである、[1]に記載の方法。
[5]
細胞は、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の量または活性の不足によって引き起こされた疾病を有する被験体内にあるかまたは被験体に由来する、[2]に記載の方法。
[6]
標的タンパク質の量の不足は、標的タンパク質のハプロ不全によって引き起こされ、ここで被験体は、機能的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子、標的タンパク質が生成されない第2の対立遺伝子、または非機能的な標的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する、[1]-[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]
被験体は、標的タンパク質の量または機能の不足に起因する障害により引き起こされた疾病を抱えており、
ここで、被験体は、
(a)
(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、
第1の変異対立遺伝子と、
(b)
(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、
第2の変異対立遺伝子とを有し、
ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対立遺伝子(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(ii)であり、ここで、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である第1の変異対立遺伝子、および/または、(b)(i)あるいは(b)(ii)である第2の変異対立遺伝子から転写される、[1]-[5]のいずれか1つに記載の方法。
[8]
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態で生成される、[7]に記載の方法。
[9]
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態で生成される、[7]に記載の方法。
[10]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにある、[1]-[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、
の内部の保持されたイントロンにある、[1]-[9]のいずれか1つに記載の方法。
[12]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域、
の内部にある、[1]-[9]のいずれか1つに記載の方法。
[13]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領域、
(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、
(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、あるいは、
(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領域、
の内部にある、[1]-[9]のいずれか1つに記載の方法。
[14]
標的タンパク質はSCN1Aである、[1]-[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4-7のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[14]に記載の方法。
[16]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる、[14]に記載の方法。
[17]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2593の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[14]に記載の方法。
[18]
ASOは、SEQ ID NO:10-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[14]に記載の方法。
[19]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある、[14]に記載の方法。
[20]
ASOは、SEQ ID NO:10-266または524-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[19]に記載の方法。
[21]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある、[14]に記載の方法。
[22]
ASOは、SEQ ID NO:10-62、524-576、あるいは781-833のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[21]に記載の方法。
[23]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン21にある、[14]に記載の方法。
[24]
ASOは、SEQ ID NO:63-162、577-675、あるいは834-932のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[23]に記載の方法。
[25]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン21にある、[14]に記載の方法。
[26]
ASOは、SEQ ID NO:163-258、676-772、あるいは933-1029のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[25]に記載の方法。
[27]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある、[14]に記載の方法。
[28]
ASOは、SEQ ID NO:259-266、773-780、あるいは1030-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[27]に記載の方法。
[29]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある、[14]に記載の方法。
[30]
ASOは、SEQ ID NO:267-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[29]に記載の方法。
[31]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある、[14]に記載の方法。
[32]
ASOは、SEQ ID NO:267-319のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[31]に記載の方法。
[33]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン23にある、[14]に記載の方法。
[34]
ASOは、SEQ ID NO:320-418のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[33]に記載の方法。
[35]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン23にある、[14]に記載の方法。
[36]
ASOは、SEQ ID NO:419-515のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[35]に記載の方法。
[37]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある、[14]に記載の方法。
[38]
ASOは、SEQ ID NO:516-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[37]に記載の方法。
[39]
標的タンパク質はSYNGAP1である、[1]-[13]のいずれか1つに記載の方法。
[40]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:8または9に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[39]に記載の方法。
[41]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2または3に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる、[39]に記載の方法。
[42]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2592、2594、または2595の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[39]に記載の方法。
[43]
ASOは、SEQ ID NO:1038-2591のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[39]に記載の方法。
[44]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して-73e~+499までの領域内、あるいは保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して-496~+1912eの領域内にある、[39]に記載の方法。
[45]
ASOは、SEQ ID NO:1038-1509または1815-2286のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[44]に記載の方法。
[46]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して-73e~-4eの領域内にある、[39]に記載の方法。
[47]
ASOは、SEQ ID NO:1038-1050または1815-1827のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[44]に記載の方法。
[48]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して+6~+499の領域内の保持されたイントロン18にある、[39]に記載の方法。
[49]
ASOは、SEQ ID NO:1051-1136または1828-1913のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[48]に記載の方法。
[50]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン19にある、[39]に記載の方法。
[51]
ASOは、SEQ ID NO:1137-1228または1914-2005のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[50]に記載の方法。
[52]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して+17e~+1912eの領域内にある、[39]に記載の方法。
[53]
ASOは、SEQ ID NO:1229-1509または2006-2286のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[52]に記載の方法。
[54]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して-1054e~+251までの領域内、あるいは保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して-256~+157eの領域内にある、[39]に記載の方法。
[55]
ASOは、SEQ ID NO:1510-1814または2287-2591のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[54]に記載の方法。
[56]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して-4e~-1054eの領域内にある、[39]に記載の方法。
[57]
ASOは、SEQ ID NO:1510-1686または2287-2463のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[56]に記載の方法。
[58]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して+6~+251の領域内の保持されたイントロン15にある、[39]に記載の方法。
[59]
ASOは、SEQ ID NO:1687-1736または2464-2513のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[58]に記載の方法。
[60]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して-16~-256の領域内の保持されたイントロン15にある、[39]に記載の方法。
[61]
ASOは、SEQ ID NO:1737-1785または2514-2562のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[60]に記載の方法。
[62]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して+2e~+157eの領域内にある、[39]に記載の方法。
[63]
ASOは、SEQ ID NO:1786-1814または2563-2591のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[62]に記載の方法。
[64]
アンチセンスオリゴマーは、機能的RNAまたは標的タンパク質をコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない、[1]-[63]のいずれか1つに記載の方法。
[65]
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない、[1]-[64]のいずれか1つに記載の方法。
[66]
RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的なスプライシング、または野生型のmRNA前駆体の部分的なスプライシングによって生成された、[1]-[65]のいずれか1つに記載の方法。
[67]
標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟mRNA、あるいは野生型の成熟mRNAである、[1]-[66]のいずれか1つに記載の方法。
[68]
生成された標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である、[1]-[67]のいずれか1つに記載の方法。
[69]
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞において生成された標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞において生成された標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する、[1]-[68]のいずれか1つに記載の方法。
[70]
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパク質の総量は、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する、[1]-[69]のいずれか1つに記載の方法。
[71]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む、[1]-[70]のいずれか1つに記載の方法。
[72]
アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含む、[1]-[71]のいずれか1つに記載の方法。
[73]
アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、[1]-[72]のいずれか1つに記載の方法。
[74]
それぞれの糖部は修飾された糖部である、[73]に記載の方法。
[75]
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、[1]-[74]のいずれか1つに記載の方法。
[76]
アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、[1]-[75]のいずれか1つに記載の方法。
[77]
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結合する、[1]-[76]のいずれか1つに記載の方法。
[78]
最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、[77]に記載の方法。
[79]
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する、[1]-[78]のいずれか1つに記載の方法。
[80]
2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するRIC mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、[79]に記載の方法。
[81]
前記方法はSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質発現を評価する工程をさらに含む、[1]-[80]のいずれか1つに記載の方法。
[82]
MRD5は処置され、および、アンチセンスオリゴマーはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の標的部分へ結合し、標的部分はSEQ ID NO:1038-2591から選択される配列内にあり、あるいは、DSが処置され、および、アンチセンスオリゴマーはSCN1A RIC mRNA前駆体の標的部分へ結合し、標的部分はSEQ ID NO:10-1037から選択される配列内にある、[1]-[81]のいずれか1つに記載の方法。
[83]
被験体はヒトである、[1]-[82]のいずれか1つに記載の方法。
[84]
被験体はヒト以外の動物である、[1]-[82]のいずれか1つに記載の方法。
[85]
被験体は胎児、胚、あるいは子供である、[1]-[83]のいずれか1つに記載の方法。
[86]
細胞はエクスビボである、[1]-[85]のいずれか1つに記載の方法。
[87]
アンチセンスオリゴマーは、被験体のくも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって投与される、[1]-[86]のいずれか1つに記載の方法。
[88]
5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持されたイントロンの+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、[1]-[87]のいずれか1つに記載の方法。
[89]
保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス部位に隣接するエクソンの+1eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、[1]-[88]のいずれか1つに記載の方法。
[90]
[1]-[89]のいずれか1つの方法で使用されるアンチセンスオリゴマー。
[91]
SEQ ID NO:10-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含むアンチセンスオリゴマー。
[92]
[90]または[91]のアンチセンスオリゴマー、および薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、あるいは担体を含む医薬組成物。
[93]
くも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって[92]の医薬組成物を投与することにより被験体を処置する方法。
[94]
不足しているタンパク質または不足している機能的RNAに関係する被験体のMRDD5またはDSを処置するために細胞によって標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させる方法で使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、
ここで、不足しているタンパク質または不足している機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足しており、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の構成的のスプライシングを増強し、
ここで、標的タンパク質は、
(a)不足しているタンパク質、あるいは、
(b)被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って代わる、補償タンパク質であり、
ここで、機能的RNAは、
(c)不足しているRNA、あるいは、
(d)被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大するか、これに取って代わる、補償機能的RNAであり、
ここで、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接するエクソン、および3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、ここで、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体からスプライシングされ、それによって、被験体の標的タンパク質あるいは機能的RNAの生成あるいは活性を増加させる、組成物。
[95]
被験体においてSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質に関連した疾病を処置する方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、
当該方法は、被験体の細胞によりSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させる工程であって、細胞が保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含む、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、ここで、RIC mRNA前駆体がSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードする、工程と、アンチセンスオリゴマーに細胞を接触させる工程であって、これによって、保持されたイントロンは、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞においてSYNGAP1またはSCN1Aタンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、SYNGAP1またはSCN1Aタンパク質の発現を増加させる、工程とを含む、組成物。
[96]
疾病は疾患または障害である、[95]に記載の組成物。
[97]
疾患または障害はAD精神遅滞5あるいはドラベ症候群である、[96]に記載の組成物。
[98]
標的タンパク質とRIC mRNA前駆体はSYNGAP1またはSCN1A遺伝子によってコードされる、[97]に記載の組成物。
[99]
アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[100]
アンチセンスオリゴマーはRIC mRNA前駆体の一部を標的とし、これは、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、
の内部の保持されたイントロンにある、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[101]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[102]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4eの領域、
の内部にある、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[103]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して-4e~-1,054eの領域、
(b)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6~+499の領域、
(c)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16~-496の領域、あるいは、
(d)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して+2e~+1,912eの領域、
の内部にある、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[104]
標的タンパク質はSCN1Aである、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[105]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4-7のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[104]に記載の組成物。
[106]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる、[104]に記載の組成物。
[107]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2593の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[104]に記載の組成物。
[108]
ASOは、SEQ ID NO:10-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[104]に記載の組成物。
[109]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある、[104]に記載の組成物。
[110]
ASOは、SEQ ID NO:10-266または524-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[109]に記載の組成物。
[111]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある、[104]に記載の組成物。
[112]
ASOは、SEQ ID NO:10-62、524-576、あるいは781-833のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[111]に記載の組成物。
[113]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン21にある、[104]に記載の組成物。
[114]
ASOは、SEQ ID NO:63-162、577-675、あるいは834-932のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[113]に記載の組成物。
[115]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン21にある、[104]に記載の組成物。
[116]
ASOは、SEQ ID NO:163-258、676-772、あるいは933-1029のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[115]に記載の組成物。
[117]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン21の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある、[104]に記載の組成物。
[118]
ASOは、SEQ ID NO:259-266、773-780、あるいは1030-1037のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[117]に記載の組成物。
[119]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~+496までの領域内、あるいは保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-496~+37eの領域内にある、[104]に記載の組成物。
[120]
ASOは、SEQ ID NO:267-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[119]に記載の組成物。
[121]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して-264e~-4eの領域内にある、[104]に記載の組成物。
[122]
ASOは、SEQ ID NO:267-319のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[121]に記載の組成物。
[123]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の5’スプライス部位に対して+6~+496の領域内の保持されたイントロン23にある、[104]に記載の組成物。
[124]
ASOは、SEQ ID NO:320-418のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[123]に記載の組成物。
[125]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン23にある、[104]に記載の組成物。
[126]
ASOは、SEQ ID NO:419-515のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[125]に記載の組成物。
[127]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン23の3’スプライス部位に対して+2e~+37eの領域内にある、[104]に記載の組成物。
[128]
ASOは、SEQ ID NO:516-523のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、あるいは100%相補的な配列を含む、[127]に記載の組成物。
[129]
標的タンパク質はSYNGAP1である、[94]-[98]のいずれか1つに記載の組成物。
[130]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:8または9に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性を備えた配列を含む、[129]に記載の組成物。
[131]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2または3に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によってコードされる、[129]に記載の組成物。
[132]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2592、2594、または2595の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性を備えた配列を含む、[129]に記載の組成物。
[133]
ASOは、SEQ ID NO:1038-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[129]に記載の組成物。
[134]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して-73e~+499の領域内、あるいは保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して-496~+1912eの領域内に存在する、[129]に記載の組成物。
[135]
ASOは、SEQ ID NO:1038-1509または1815-2286のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[134]に記載の組成物。
[136]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して-73e~-4eの領域内にある、[129]に記載の組成物。
[137]
ASOは、SEQ ID NO:1038-1050または1815-1827のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[136]に記載の組成物。
[138]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン18の5’スプライス部位に対して+6~+499の領域内の保持されたイントロン18にある、[129]に記載の組成物。
[139]
ASOは、SEQ ID NO:1051-1136または1828-1913のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[138]に記載の組成物。
[140]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して-16~-496の領域内の保持されたイントロン19にある、[129]に記載の組成物。
[141]
ASOは、SEQ ID NO:1137-1228または1914-2005のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[140]に記載の組成物。
[142]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン19の3’スプライス部位に対して+17e~+1912eの領域内にある、[129]に記載の組成物。
[143]
ASOは、SEQ ID NO:1229-1509または2006-2286のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[142]に記載の組成物。
[144]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して-1054e~+251の領域内、あるいは保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して-256~+157eの領域内に存在する、[129]に記載の組成物。
[145]
ASOは、SEQ ID NO:1510-1814または2287-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[144]に記載の組成物。
[146]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して-4e~-1054eの領域内にある、[129]に記載の組成物。
[147]
ASOは、SEQ ID NO:1510-1686または2287-2463のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[146]に記載の組成物。
[148]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の5’スプライス部位に対して+6~+251の領域内の保持されたイントロン15にある、[129]に記載の組成物。
[149]
ASOは、SEQ ID NO:1687-1736または2464-2513のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[148]に記載の組成物。
[150]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して-16~-256の領域内の保持されたイントロン15にある、[129]に記載の組成物。
[151]
ASOは、SEQ ID NO:1737-1785または2514-2562のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[150]に記載の組成物。
[152]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン15の3’スプライス部位に対して+2e~+157eの領域内にある、[129]に記載の組成物。
[153]
ASOは、SEQ ID NO:1786-1814または2563-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、または100%相補的な配列を含む、[152]に記載の組成物。
[154]
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない、[94]-[153]のいずれか1つに記載の組成物。
[155]
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の突然変異から結果として生じる異常スプライシングを調節することにより標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない、[94]-[154]のいずれか1つに記載の組成物。
[156]
RIC mRNA前駆体は、全長mRNA前駆体または野生型mRNA前駆体からの部分的スプライシングによって生成された、[94]-[155]のいずれか1つに記載の組成物。
[157]
標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長成熟mRNAまたは野生型成熟mRNAである、[94]-[156]のいずれか1つに記載の組成物。
[158]
生成される標的タンパク質は、全長タンパク質または野生型タンパク質である、[94]-[157]のいずれか1つに記載の組成物。
[159]
保持されたイントロンは、律速イントロンである、[94]-[158]のいずれか1つに記載の組成物。
[160]
前記保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体において最も豊富な保持されたイントロンである、[94]-[158]のいずれか1つに記載の組成物。
[161]
保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体において2番目に豊富な保持されたイントロンである、[94]-[159]のいずれか1つに記載の組成物。
[162]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む、[94]-[161]のいずれか1つに記載の組成物。
[163]
アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、[94]-[162]のいずれか1つに記載の組成物。
[164]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含む、[94]-[163]のいずれか1つに記載の組成物。
[165]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む、[94]-[164]のいずれか1つに記載の組成物。
[166]
それぞれの糖部は、修飾された糖部である、[165]に記載の組成物。
[167]
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基からなる、[94]-[166]のいずれか1つに記載の組成物。
[168]
[94]-[167]の組成物のいずれかのアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、または担体とを含む医薬組成物。
[169]
髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射によって[168]の医薬組成物を投与することにより、被験体を処置する方法。
[170]
SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物の標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーであって、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物が保持されたイントロンを含み、アンチセンスオリゴマーがSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物からの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、アンチセンスオリゴマーと、
薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、または担体と、
を含む、医薬組成物。
[171]
SCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は、SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物である、[170]に記載の医薬組成物。
[172]
SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+500から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500の領域内にある、[170]または[171]に記載の医薬組成物。
[173]
SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物は、SEQ ID NO:1-3のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を備えた遺伝子配列によりコードされる、[170]または[171]に記載の医薬組成物。
[174]
SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物は、SEQ ID NO:4-9のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を備えた配列を含む、[170]または[171]に記載の医薬組成物。
[175]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む、[170]に記載の医薬組成物。
[176]
アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、[170]に記載の医薬組成物。
[177]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含む、[170]に記載の医薬組成物。
[178]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む、[170]に記載の医薬組成物。
[179]
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基を含む、[170]に記載の医薬組成物。
[180]
アンチセンスオリゴマーは、SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である、[170]または[171]に記載の医薬組成物。
[181]
SCN1AまたはSYNGAP1 RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分は、SEQ ID NO:2592-2595から選択される配列内にある、[170]または[171]に記載の医薬組成物。
[182]
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:10-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性であるヌクレオチド配列を含む、[170]に記載の医薬組成物。
[183]
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:10-2591から選択されるヌクレオチド配列を含む、[170]に記載の医薬組成物。
[184]
医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射または静脈内注射のために製剤される、[170]-[183]のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[185]
SCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態をコードする十分に処理されたSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物を生成するために、保持されたイントロンの除去を促進するように、不足しているSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物の処理を誘発する方法であって、
前記方法は、
(a)アンチセンスオリゴマーを被験体の標的細胞と接触させる工程、
(b)不足しているSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物にアンチセン
スオリゴマーをハイブリダイズする工程であって、ここで、不足しているSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は、SCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態をコードすることができ、かつ少なくとも1つの保持されたイントロンを含む、工程、
(c)SCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態をコードする十分に処理されたSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物を生成するために、不足しているSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物から少なくとも1つの保持されたイントロンを除去する工程、および、
(d)十分に処理されたSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物からSCN1AまたはSYNGAP1タンパク質の機能形態を翻訳する工程を含む、方法。
[186]
保持されたイントロンは、保持されたイントロン全体である、[185]に記載の方法。
[187]
不足しているSCN1AまたはSYNGAP1 mRNAの転写産物は、SCN1AまたはSYNGAP1 mRNA前駆体の転写産物である、[185]に記載の方法。
[188]
不足している量または活性のSCN1AまたはSYNGAP1タンパク質により引き起こされる疾病を患う被験体を処置する方法であって、
SEQ ID NO:10-2591のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を備えたヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体に投与する工程を含む、方法。
【配列表】