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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】成形による眼用レンズ
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/117 20060101AFI20220330BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20220330BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A61B3/117
G02B1/04
G02B3/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018543662
(86)(22)【出願日】2017-02-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 US2017018068
(87)【国際公開番号】W WO2017142998
(87)【国際公開日】2017-08-24
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】15/046,795
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516154749
【氏名又は名称】カテナ・プロダクツ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ヒーコック,グレゴリー
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-546020(JP,A)
【文献】特開平05-015493(JP,A)
【文献】特開昭63-122420(JP,A)
【文献】特開2003-279903(JP,A)
【文献】米国特許第06120147(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
G02B 1/00 - 1/18
G02B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用レンズであって、
近位端と遠位端とを有する主本体部分と、
前記主本体部分の前記遠位端の周りに円周方向に延在するリング部分と、
前記主本体部分の前記近位端に形成された目接触部分と、を含み、
記目接触部分、前記主本体部分、および前記リング部分が一体に形成され、前記レンズは、前記レンズの厚さ(T)に対する前記リング部分の高さ(t)のが、約0.1~約0.2である
眼用レンズ。
【請求項2】
約1.1~約1.9の比重、および約1.4~約1.55の屈折率を有する材料から形成される、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項3】
ポリメチルメタクリレートから形成される、請求項2に記載の眼用レンズ。
【請求項4】
前記主本体部分および前記リング部分の直径に対する前記主本体部分の直径の比は、約0.75~約0.9である、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項5】
約1.1~約1.3の比重を有する材料から形成される、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項6】
射出成形または圧縮成形される、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項7】
前記リング部分の回転軸が、前記レンズの中心線に垂直である、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項8】
約1.4~約1.55の屈折率を有する材料から形成される、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項9】
前記レンズの厚さは、少なくとも約10mmである、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項10】
前記リング部分の周りに円周方向、かつ前記リング部分と一体に連結された把持部分をさらに含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項11】
記レンズの厚さ(T)に対する前記把持部分の高さが、約0.15~約0.3である、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項12】
前記リング部分の高さ(t)が、約1mm~約7mmである、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項13】
前記レンズの厚さ(T)が、約10~約20mmである、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項14】
使い捨てである、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項15】
前記把持部分が、テクスチャリングされる、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項16】
前記主本体部分の外表面の一部に、ミラー表面を形成するアルミニウムコーティングをさらに含む、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項17】
少なくとも約13.7mmである幅を有する単一ミラーを有する、請求項16に記載の眼
用レンズ。
【請求項18】
前記把持部分の高さが、約3mm~約10mmである、請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項19】
前記リング部分の高さ(t)に対する前記把持部の高さ比が、約0.1~約1.0である、請求項10に記載の眼用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、2014年9月10日付け出願の米国特許出願第14/482,766号の優先権を主張し、その一部継続出願であり、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、低コストで大量生産することができる、向上した光学的品質の、成形による眼用レンズに関する。例えば、本発明は、目の内部の眼底の検査手段をもたらす、成形による眼用集光レンズに関する。本発明は、単回使用レンズを実現するように、射出成形および/または圧縮成形され得る、成形による眼用レンズに関する。眼用レンズは、コストを減少させレンズの光学的品質を向上させるように、同じタイプの既知のレンズとは異なる一体リングおよび非球状形状を有する。別の例として、本発明は、目を見るまたは治療するために臨床家によって使用される、主本体部分、把持部分および目接触部分を有する接触レンズに関する。本発明は、単回使用レンズを実現するように、射出成形および/または圧縮成形され得る、成形による眼用接触レンズに関する。眼用レンズは、コストを減少させレンズの光学的品質を向上させるように、同じタイプの既知の接触レンズとは異なる一体リングおよび形状を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003]眼用レンズは、目の診断および治療のために眼科医および検眼士によって使用される。眼科医によって行われる一般的な処置は、患者の目の内部の検査である。これは、患者の目の内部の形態変異は、眼科医にとって重要な情報である患者の健康またはいくつかの眼疾患の蔓延に関する情報を与えることができるので、重要な手順である。
【0004】
[0004]一般的に、検査手順において、眼科医は、患者の目に局所用薬物を入れて、目の瞳孔を散大させる。眼科医は、既知の集光レンズを用いて、照明システムとあわせて患者の目にごく近接してそれを保持し、患者の目の内部を観察することができる。これらの集光レンズは、一般に、検査を実施する眼科医に有用な画像を生成する。しかし、患者は、視界不良、光過敏および奥行き知覚の低下など、散瞳薬の様々な副作用に耐えなければならない。これらの副作用は、検査後も数時間続くことがある。さらに、例えば高齢の患者または特定の薬剤を服用している患者の中には目がよく散大しないこともある。
【0005】
[0005]参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,526,189号は、目の内部の検査のための手段をもたらす、2つの非球面を含む非対称の眼底観察レンズまたは集光レンズ、より具体的には、散大していない瞳孔を介して目の眼底の広角画像(wide field of view image)を観察するためのレンズを扱っている。
【0006】
[0006]眼底観察レンズまたは集光レンズを含む既知の眼用レンズは、一般的に、機械加工され、磨かれる。そのような眼用レンズは、機械加工されて磨かれるので、生産コストが非常に高く、大量生産ができない。
【0007】
[0007]眼科業界に絶えず存在する問題には、器具の汚染および患者間の交差感染がある。眼用デバイスは、使用毎に滅菌されなければならない。しかし、これは、眼科医および彼/彼女のスタッフ側の個人の意識、手順に従う意欲、モニタリングおよびドキュメンテーションに頼るものである。単回使用デバイスは、この問題の解決策を提示することができる。
【0008】
[0008]参照により本明細書に組み入れられる米国特許第8,303,116号は、向上した光学的品質を有し低コストで大量生産することができる、単回使用の成形による眼用レンズを扱っている。そこに記載されるレンズは、患者の目に接触する部分を有し、眼底観察レンズまたは集光レンズとは異なるように形作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]したがって、例えば眼底観察または集光レンズである、間接的な処置で使用される単回使用レンズが望まれており、それは当技術分野で過去には存在していない。同様に、接触による処置で使用される単回使用レンズが望まれており、特許請求される形状を有するそのようなレンズは当技術分野で過去には存在していない。本明細書には、さらなる改良点が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]従来の眼用レンズの欠点は、克服された。一実施形態では、本眼用レンズは、近位面および反対面を含む光学部分と、光学部分の周りに円周方向に延在するリング部分とを有する。本レンズの形状は、眼科医がレンズを使用して、散大されているまたはされていない患者の目の、例えば眼底である患者の目の内部を見ることができるようにする。本レンズの形状は、さらに、射出成形または圧縮成形などの成形によるレンズの形成を可能にする。レンズは、成形され得るので、大量生産可能であり、すなわち、それらは使い捨てまたは単回使用であってよい。
【0011】
[0011]一実施形態では、本眼用レンズは、近位面および反対面を含む光学部分と、光学部分の周りに円周方向に延在するリング部分とを含む。光学部分は、光学的に透明な材料から形成される。レンズは、単回使用または使い捨てを可能にする、射出成形または圧縮成形される。
【0012】
[0012]リング部分は、光学部分と一体にされてよく、光学部分と同じ材料から作られてよい。リング部分の回転軸は、レンズの中心軸に垂直であってよい。
【0013】
[0013]レンズは、リング部分と一体の把持部分をさらに含むことができる。一例として、把持部分は、テクスチャリングされ得る。あるいは、リング部分が把持部分として機能することもできる。この代替実施形態では、リング部分はテクスチャリングされ得る。
【0014】
[0014]レンズは、1.1~1.2の比重、例えば1.15~1.2の比重を有する材料から形成され得る。材料は、1.4~1.55の屈折率を有することができる。そうした材料の一例は、ポリメチルメタクリレートである。
【0015】
[0015]レンズは、少なくとも10mm、例えば10~20ミリメートルの厚さを有することができる。レンズは、.015~0.2の厚さ比t/Tを有することができる。レンズは、少なくとも20mmの直径を有することができる。レンズは、0.75~0.9の直径比d/Dを有することができる。レンズは、1.5~2.0倍の範囲の、近位面を反対面と比較した頂点曲率の比を有することができる。レンズは、0.6~1.0の、厚さに対する焦点距離の比F/Tを有することができる。レンズは、5~40mmの間の、レンズの反対面からの距離に実像を形成することができる。
【0016】
[0016]レンズの光学面は、以下の式
z=Cr/(1+√(1-(1+k)C))
によって定義され得る。面レンズ(surface lens)を定めるk値は、-0.5~-2.0の範囲内であってよい。所与の面の頂点半径(1/C)は、6.0mm~30mmの範囲内であってよい。
【0017】
[0017]他の実施形態では、本眼用レンズは、光学部分および光学部分の周りに円周方向に延在するリング部分を含む主本体部分と、把持部分とを含む。光学部分は、近位面と、反対面とを含み、光学的に透明な材料から形成される。レンズは、その単回使用または使い捨てを可能にする、射出成形または圧縮成形される。
【0018】
[0018]リング部分は、光学部分と一体にされてよく、光学部分と同じ材料から作られてよい。リング部分の回転軸は、レンズの中心軸に垂直であってよい。把持部分は、テクスチャリングされ得る。
【0019】
[0019]レンズは、1.1~1.2、例えば1.15~1.2の比重を有する材料から形成され得る。材料は、1.4~1.55の屈折率を有することができる。そうした材料の一例は、ポリメチルメタクリレートである。
【0020】
[0020]レンズは、少なくとも10mm、例えば10~20ミリメートルの厚さを有することができる。レンズは、.015~0.2の厚さ比t/Tを有することができる。レンズは、少なくとも20mmの直径を有することができる。レンズは、0.75~0.9の直径比d/Dを有することができる。レンズは、1.5~2.0倍の範囲の、近位面を反対面と比較した頂点曲率の比を有することができる。レンズは、0.6~1.0の、厚さに対する焦点距離の比F/Tを有することができる。レンズは、5~40mmの間の、レンズの反対面からの距離に実像を形成することができる。
【0021】
[0021]レンズの光学面は、以下の式
z=Cr2/(1+√(1-(1+k)C2r2))
によって定義され得る。面レンズを定めるk値は、-0.5~-2.0の範囲内であってよい。所与の面の頂点半径(1/C)は、6.0mm~30mmの範囲内であってよい。
【0022】
[0022]本発明のさらに他の実施形態では、本発明の成形による眼用レンズは、近位面および反対面を含む光学部分を含み、近位面を反対面と比較した頂点曲率の比は、1.5~2.0倍の範囲であり、レンズは単回使用レンズである。レンズは、その単回の使用または使い捨てを可能にする、射出成形または圧縮成形される。
【0023】
[0023]レンズは、リング部分をさらに含むことができる。リング部分は、光学部分と一体にされてよく、光学部分と同じ材料から作られてよい。リング部分の回転軸は、レンズの中心軸に垂直であってよい。
【0024】
[0024]レンズは、リング部分と一体の把持部分をさらに含むことができる。一例として、把持部分は、テクスチャリングされ得る。あるいは、リング部分が把持部分として機能することもできる。この代替実施形態では、リング部分はテクスチャリングされ得る。
【0025】
[0025]レンズは、1.1~1.2、例えば1.15~1.2の比重を有する材料から形成され得る。材料は、1.4~1.55の屈折率を有することができる。そうした材料の一例は、ポリメチルメタクリレートである。
【0026】
[0026]レンズは、少なくとも10mm、例えば10~20ミリメートルの厚さを有することができる。レンズは、.015~0.2の厚さt/Tを有することができる。レンズは、少なくとも20mmの直径を有することができる。レンズは、0.75~0.9の直径比d/Dを有することができる。レンズは、0.6~1.0の、厚さに対する焦点距離の比F/Tを有することができる。レンズは、5~40mmの間の、レンズの反対面からの距離に実像を形成することができる。
【0027】
[0027]レンズの光学面は、以下の式
z=Cr/(1+√(1-(1+k)C))
によって定義され得る。面レンズを定めるk値は、-0.5~-2.0の範囲内であってよい。所与の面の頂点半径(1/C)は、6.0mm~30mmの範囲内であってよい。
【0028】
[0028]別の実施形態では、同じ射出および/または圧縮成形を用いて、接触レンズを形成することができる。ここで接触面は、患者の目に接触するよう適切に形成され、主本体部分には、医師による操作を容易にする一体の把持部分が組み込まれており、さらに主本体部分は、レンズの通常の視軸から離れて位置する眼組織を医師が観察できるようにする少なくとも1つのミラー表面を含む。したがって、単一片の接触レンズを使用して、医師はレンズの視軸に一致した方向を見ることによって患者の目の中の中央に位置する組織を観察することができ、さらに医師は、レンズのミラー部分を用いることによって、軸方向に位置していない患者の目の中の組織を観察することができる。
【0029】
[0029]一実施形態では、本眼用レンズは、リング部分、目接触部分、およびリング部分と目接触部分との間に配設された主本体部分を含み、目接触部分、主本体部分、およびリング部分は一体に形成され、レンズは、約0.1~約0.2の、レンズの厚さに対するリングの高さ比を有する。
【0030】
[0030]特定の実施形態では、レンズは、約1.1~約1.9の比重、および約1.4~約1.55の屈折率を有する材料から形成され得る。例えばレンズは、約1.1~約1.3の比重を有する材料から形成され得る。例えば屈折率は、約1.4~約1.55であってよい。例えばレンズは、ポリメチルメタクリレートから形成され得る。
【0031】
[0031]特定の実施形態では、レンズは、射出成形または圧縮成形され得る。レンズは使い捨てであってよい。
【0032】
[0032]特定の実施形態では、レンズは以下の寸法を有することができる。レンズは、約0.75~約0.9の直径比を有することができる。レンズは、少なくとも約10mmであるレンズの厚さを有することができる。例えばレンズは、約10~約20mmの範囲であるレンズの厚さを有することができる。レンズは、約1mm~約7mmであるリング部分の高さを有することができる。
【0033】
[0033]一実施形態では、レンズは、レンズの中心線に垂直であり得るリング部分の回転軸を有することができる。
【0034】
[0034]レンズは、リング部分と一体に連結された把持部分をさらに含むことができる。把持部分は、テクスチャリングされ得る。特定の実施形態では、レンズは以下の寸法を有することができる。把持部分の高さは、約3mm~約10mmであってよい。レンズの厚さに対する把持部分の高さ比は、約0.15~約0.3であってよい。リングの高さに対する把持部の高さ比は、約0.1~約1.0であってよい。
【0035】
[0035]一実施形態では、レンズは、ミラー表面のアルミニウムコーティングをさらに含む。例えばレンズは、少なくとも約13.7mmである幅を有する単一ミラーを有することができる。
【0036】
[0036]本発明の上記その他の目的、利点および新規の特徴、ならびにその例示的な実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】[0037]患者の目にごく近接して示されている、本発明の一実施形態の眼底観察レンズの概略断面図である。
図2】[0038]本発明の一実施形態の眼底観察レンズの概略断面図である。
図3】[0039]レンズが患者の目に接触している、本発明の一実施形態の接触レンズの概略図断面である。
図4】[0040]示されている本発明の一実施形態の接触レンズの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[0041]先述した概要、ならびに以下にある本発明のいくつかの実施形態の詳細説明は、添付の図面とあわせて読めばより良く理解されるであろう。いくつかの実施形態は、例示を目的に図面に示される。しかし、特許請求の範囲は、添付の図面に示される装置および手段に限定されないと理解されたい。さらに、図面に示される外観は、システムの決められた機能を達成するために利用され得る多くの装飾的外観のうちの1つである。
【0039】
[0042]本発明は、低いコストで大量生産することができる、向上した光学的品質の、成形による眼用レンズに関する。例えば、本発明は、目の内部の検査のための、成形による眼用眼底観察または集光レンズに関する。本発明は、単回使用レンズを提供するように、射出成形および/または圧縮成形され得る、成形による眼用レンズに関する。眼用レンズは、同じタイプの既知のレンズとは異なる、一体リングおよび非球状形状を有し、コストを減少させ、レンズの光学的品質を向上させる。別の例として、本発明は、目を見るまたは治療するために臨床家によって使用される、主本体部分、把持部分および目接触部分を有する接触レンズに関する。本発明は、単回使用レンズを実現するように、射出成形および/または圧縮成形され得る、成形による眼用接触レンズに関する。眼用レンズは、コストを減少させレンズの光学的品質を向上させるように、同じタイプの既知の接触レンズとは異なる一体リングおよび形状を有する。
【0040】
[0043]図1において、成形による眼用眼底観察または集光レンズ1は、患者の目2にごく近接して配置されている。レンズ1は、光学的に透明な材料から形成され、患者の目2に対向して、角膜5に近接して配置される第1の面または近位面3と、観察する眼科医13に対向する第2のレンズ面または反対面4とを有する。
【0041】
[0044]図示されない光源は、目の眼底を照明し、それによって、目2の眼底6から発出する外側の束になった光線8、10のような光線が生成される。光線は、眼底から分散し、目の制限開口である、目の(散大されたまたは散大されていない)瞳孔12を通る。光線は、目の角膜5から外に出てレンズ1の第1の面3によってとらえられる。レンズ1の第1の面3は、目2から発出した光線8、10を第2のレンズ面4の方に向ける。第2のレンズ面4は、眼底6の二次元の倒立実像7を形成するようにそれぞれの点9、11に光線8、10の焦点を合わせる。眼科医は、例えば倒像検眼鏡、屈折鏡、または単にペンライト、または目を照明する光源を形成する同様のものを用いて、目の内部の画像7を観察することができる。
【0042】
[0045]本眼用レンズは、成形レンズである。それは、射出成形および/または圧縮成形され得る。本発明の眼用レンズは、高い光学的品質で大量生産することができる。これは、汚染および疾病伝播を防ぐことができる単回使用レンズを可能にする。さらに、本発明の眼用レンズが単一片であることの性質およびそれがより少ない構成要素からなることにより、より低いコストのレンズの生産能が実現する。
【0043】
[0046]眼用レンズは、光学的に透明な材料から作られる。光学的に透明な材料は、任意の成形可能材料であってよい。例えば、それは、プラスチック材料、または他の適当な透明材料であってよい。一実施形態では、材料は、光学グレードの、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレンもしくはポリカーボネートなどのアクリル樹脂、または当業界で周知の他の材料である。材料(例えば、PMMAのようなアクリル樹脂)の比重は、1.1~1.9、または好ましくは1.1~1.2、または好ましくは1.19未満であってよい。さらに、材料の屈折率は、1.4~1.55、または好ましくは1.49であってよい。
【0044】
[0047]図2は、本出願による成形による眼用レンズ21の一実施形態を示している。眼用レンズは、光学部分25を含む主本体部分22を有する。光学部分は、具体的に、患者の目の瞳孔から出る眼底からの画像光線をとらえて最小限の歪曲の目の内部の倒立実像を形成するように形作られる2つの湾曲した非球面23、24を含む非対称レンズである。患者の目の瞳孔から出た眼底からの画像光線は、レンズの面23に入り、面24から出る。主本体部分の近位面23は、目に近接するが接触せず、その一方で、主本体部分の反対面24は目から離れている。
【0045】
[0048]レンズの光学面23、24は、以下の式、
z=Cr/(1+√(1-(1+K)C))
によって定義される。
式中、
Cは、光学部品(optic)の頂点における面の曲率、
Kは、コーニック定数であり、直径の増加と共に湾曲を平坦化する項(term)、
rは、光学部品の直径に関する変数であり、値は、0(光学面の頂点)からr最大(光学部品の1/2直径)まで増加する、
zは、rに対する光学面上の点の幾何学的深さである。
【0046】
[0049]0.67のヒトの目の眼底画像の倍率を有する主本体レンズ22の近位面23の場合、以下の値である、
1/C=14.0±1.0
K=-2.0+/0.1
が好ましい。
主本体レンズ22の反対面24については、以下の値である、
1/C=8.0±1.0
K=-2.0±0.1
が好ましい。
【0047】
[0050]倍率が0.77倍の眼用レンズ21の場合、主本体レンズ22の近位面23については、以下の値である、
1/C=15.5±1.0
K=-2.0±0.1
が好ましく、主本体レンズ22の反対面24については、以下の値である、
1/C=9.6±1.0
K=-1.5±0.5
が好ましい。
【0048】
[0051]倍率が1.0倍の眼用レンズ21の場合、主本体レンズ22の近位面23については、以下の値である、
1/C=25.0±1.0
K=-1.5±0.5
が好ましく、主本体レンズの反対面24については、以下の値である、
1/C=-11.5.0±1.0
K=-1.5±0.5
が好ましい。
【0049】
[0052]本発明の他の実施形態によれば、眼用レンズ21は、反対面については頂点半径Rを有し近位面についてはRを有する2つの非球面23、24を含む。近位面23を反対面24と比較した2つの湾曲面の頂点半径の比は、1.5~2.0倍の範囲であり、すなわち、近位面は、常に、反対面よりも平坦である。一実施形態では、倍率0.67のレンズの場合、近位レンズ面23は、頂点半径14を有し、その一方で、主本体レンズの反対面24は、頂点半径8.0を有する。
【0050】
[0053]眼用レンズの面は、非球状カーブから構成されるので、面のカーブが、目に最も近接する曲率半径が目とは反対の面の曲率半径よりも急ではない、頂点半径を有するのであれば、レンズは、例えば高齢者および小児である目が散大し難い患者の眼底を見るための先に知られているレンズよりも良好に働く。したがって、臨床家は、さらに、診断および/または治療のために目の内部をより簡単に見ることができるようになる。
【0051】
[0054]成形のために眼用レンズ21を改良するために、一実施形態では、主本体部分は、さらに、リング部分26を有する。図2に示されるように、リング部分26は、眼用レンズの視軸に対して主本体部分22の周りに円周方向に向けられる。
【0052】
[0055]レンズの厚さ(T)に対するリングの高さ(t)は、厚さ比t/Tをもたらす。主本体部分22は、0.1~0.2の厚さ比t/Tを有することができる。光学部分25とリング部分の直径(D)に対する光学部分の直径(d)の比は、直径比d/Dをもたらす。主本体部分22は、0.75~0.9の直径比を有することができる。厚さ(T)は、10~20mmであってよい。一実施形態では、それは少なくとも10mmである。
【0053】
[0056]その他の重要な比は、F/T、すなわち厚さに対する焦点距離である。それは、0.6~1.0の範囲であってよく、好ましくは約0.8である。
【0054】
[0057]光学部分と一体であり主本体から延在するリング部分26の形状は、成形による眼用レンズの光学的品質を向上させるように、成形プロセスの間、鋳型の表面に付着する傾向がある任意の破片、泡および同様のものを、レンズの光学中心線から離れたところで集めることを可能にする。さらに、リング機能の形状は、成形プロセスの間の収縮を最小にする。
【0055】
[0058]眼用レンズは、さらに、主本体部分22と一体の把持部分27を有することができる。好ましい一実施形態では、把持部分27は、臨床家が診断または治療の間にレンズ21上を簡単に把持し続けることができるようにテクスチャリングされる。眼用レンズ21の把持部分27は、全体的に円筒形の側壁を有することができる。
【0056】
[0059]一実施形態では、リング部分26は、臨床家が診断または治療の間にレンズ21上を簡単に把持し続けることができるようにする把持部分として機能することもできる。これは、例えば、リング部分27をテクスチャリングすることによってなされる。
【0057】
[0060]本発明の眼用レンズは、レンズの成形プロセスを最適化し、レンズの光学的品質を向上させるように形作られる。具体的には、眼用レンズは、コストを減少させレンズの光学的品質を向上させるように、同じタイプの既知のレンズとは異なる、一体リングおよび非球状形状を有する。さらに、本発明の眼用レンズは、機械加工とは対照的に、成形されるので、低コストで大量生産することができる。したがって、本発明の眼用レンズは、レンズの単回使用または使い捨て適用例に特に適している。本発明の眼用レンズは、1回使用されて廃棄され得る単回使用または使い捨ての眼用レンズであるので、レンズを介した疾病伝播が大幅に最小にされる。
【0058】
[0061]図3では、成形による眼用接触レンズ31が、患者の目32に接触して位置付けられている。レンズ31は、光学的に透明な材料から形成され、患者の角膜33に触れる接触面と、観察する眼科医35に対向する第2のレンズ面または反対面4とを有する。
【0059】
[0062]本眼用接触レンズは、成形レンズである。それは、射出成形および/または圧縮成形され得る。本発明の眼用レンズは、高い光学的品質で大量生産することができる。これは、汚染および疾病伝播を防ぐことができる単回使用レンズを可能にする。さらに、本発明の眼用レンズが単一片であることの性質およびそれがより少ない構成要素からなることにより、より低いコストのレンズの生産能が実現する。
【0060】
[0063]眼用接触レンズは、光学的に透明な材料から作られる。光学的に透明な材料は、任意の成形可能材料であってよい。例えば、それは、プラスチック材料、または他の適当な透明材料であってよい。一実施形態では、材料は、光学グレードの、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレンもしくはポリカーボネートなどのアクリル樹脂、または当業界で周知の他の材料である。材料(例えば、PMMAのようなアクリル樹脂)の比重は、1.1~1.9、または好ましくは1.1~1.3、または好ましくは1.3未満であってよい。さらに、材料の屈折率は、1.4~1.55、または好ましくは1.49であってよい。
【0061】
[0064]図4は、本出願による成形による眼用接触レンズ41の一実施形態を示している。眼用レンズはリング部分42を有する。眼用レンズの使用時に、患者の目に接触させて眼用レンズを保持するために臨床家によって直接または間接的に把持される把持部分43に、リング部分が取り付けられてもよく、またはその把持部分43としてリング部分が機能してもよい。眼用レンズは、目接触部分44も有する。目接触部分44とリング部分42の間は主本体部分45である。眼用レンズの目接触部分44は、目の角膜に合うように形作られる。好ましい一実施形態では、レンズの目接触部分44は、約12.5mmの直径、および7.75mmの曲率半径を有する。眼用レンズのリング部分42および/または把持部分43は、全体的に円筒形の側壁を有することができる。好ましい一実施形態では、把持部分43は、臨床家が診断または治療の間にレンズ上を簡単に把持し続けることができるようにテクスチャリングされる。所望される場合には、把持部分43上により大きい把持表面が加えられてもよいことに留意すべきである。目接触部分の反対側のレンズの表面は平坦でもよく、または拡大されるように湾曲していてもよい。
【0062】
[0065]眼用接触レンズの主本体45は、少なくとも1つの平らなミラー表面46とともに成形することもできる。単一のミラー表面を有する眼用レンズについては、ミラー表面の幅は、少なくとも6mm以上とすることができる。眼用レンズの厚さTは、少なくとも約21mmである。好ましい実施形態では、ミラー表面は、アルミニウムコーティングを有する。
【0063】
[0066]図4は、少なくとも1つのミラー表面46を有する眼用接触レンズ41を示しており、ミラー表面46はレンズ41の主本体部分45に形成される。眼用レンズ41の長さTは、少なくとも約16mmである。好ましい実施形態では、ミラー表面46はアルミニウムコーティングを有する。
【0064】
[0067]本発明の眼用接触レンズを改善するために、リング/把持部分42/43は、眼用レンズの視軸に対して主本体部分45周りに周方向に配向される。
【0065】
[0068]レンズの厚さ(T)に対するリング部分の高さ(t)は、レンズの厚さに対するリングの高さ比t/Tをもたらす。眼用レンズは、約0.1~約0.2の、レンズの厚さに対するリングの高さ比t/Tを有することができる。光学部分とリング部分の直径(D)に対する光学部分の直径(d)、直径比d/Dをもたらす。眼用レンズは、約0.75~約0.9の直径比を有することができる。レンズの厚さ(T)は、約10mm~約20mmであってよい。一実施形態では、それは少なくとも約10mmである。リングの高さ(t)は約1~約7mmであってよい。
【0066】
[0069]レンズの厚さ(T)に対する把持部分の高さ(W)は、レンズの厚さに対する把持部の高さ比W/Tをもたらす。眼用レンズは、約0.15~約0.3の、レンズの厚さに対する把持部の高さ比W/Tを有してもよい。把持部分の高さ(W)は3~10mmであってよい。
【0067】
[0070]リング部分の高さ(t)に対する把持部分の高さ(W)は、リングの高さに対する把持部の高さ比W/tをもたらす。眼用レンズは、約0.1~約1.0の、リングの高さに対する把持部の高さ比W/tを有することができる。
【0068】
[0071]主本体から延在しているリング部分および/または把持部分の形状は、成形による眼用レンズの光学的品質を向上させるように、成形プロセスの間、鋳型の表面に付着する傾向がある任意の破片、泡および同様のものを、レンズの光学中心線から離れたところで集めることを可能にする。さらに、リング機能の形状は、成形プロセスの間の収縮を最小にする。
【0069】
[0072]眼用接触レンズは、主本体部分45と一体の把持部分43を有することもできる。好ましい実施形態では、把持部分43は、臨床家が診断または治療の間にレンズ上を簡単に把持し続けることができるようにテクスチャリングされる。眼用レンズの把持部分43は、全体的に円筒形の側壁を有することができる。
【0070】
[0073]一実施形態では、リング部分42は、臨床家が診断または治療の間にレンズ上を簡単に把持し続けることができるようにする把持部分43として機能することもできる。これは、例えば、リング部分42をテクスチャリングすることによってなされる。
【0071】
[0074]本発明の眼用接触レンズは、レンズの成形プロセスを最適化し、レンズの光学的品質を向上させるように形作られる。具体的には、眼用接触レンズは、コストを減少させレンズの光学的品質を向上させるように、同じタイプの既知のレンズとは異なる一体リングを有する。さらに、本発明の眼用接触レンズは、機械加工とは対照的に、成形されるので、低コストで大量生産することができる。したがって、本発明の眼用レンズは、レンズの単回使用または使い捨て適用例に特に適している。本発明の眼用レンズは、1回使用されて廃棄され得る単回使用または使い捨ての眼用レンズであるので、レンズを介した疾病伝播が大幅に最小にされる。
【0072】
[0075]本発明は、いくつかの実施形態を参照して述べてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、均等物に置き換えることができることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるように多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、開示の特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に入るすべての実施形態を包含する。
図1
図2
図3
図4