(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】有害物質用容器の超音波による識別及び認証
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20220330BHJP
G21F 5/005 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G01N29/04
G21F5/005
(21)【出願番号】P 2018555197
(86)(22)【出願日】2017-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2017059171
(87)【国際公開番号】W WO2017182462
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-02-03
(32)【優先日】2016-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507275338
【氏名又は名称】ザ ヨーロピアン アトミック エナジー コミュニティ(ユーラトム)、リプリゼンテッド バイ ザ ヨーロピアン コミッション
【氏名又は名称原語表記】THE EUROPEAN ATOMIC ENERGY COMMUNITY(EURATOM) represented by The EUROPEAN COMMISSION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ リットマン
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-144541(JP,A)
【文献】米国特許第04530241(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第01826422(EP,A1)
【文献】特開2002-296383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - 29/52
G21F 1/00 - 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核物質及び/又は有害物質用の容器(122)であって,
該容器(122)は,金属製の容器本体(306)及び該容器本体(306)と同一材料よりなる蓋(308)を備え,該蓋(308)及び前記容器本体(306)は,密封容器を形成するよう互いに溶接可能であり,
前記蓋(308)は,複数の可走査素子(1006)を備え,該可走査素子は前記蓋(308)上で空間的に配置され,かつ,第1超音波スキャナ(802)により走査可能であり,
1つ又は複数の前記可走査素子(1006)が傾斜面素子(702)であり,各傾斜面素子(702)は前記蓋(308)の軸線に対して傾斜しており,
使用に当たり,前記可走査素子(1006)を前記第1超音波スキャナ(802)により走査すると第1走査信号が生成され,該第1走査信号は,どの可走査素子(1006)が傾斜面素子(702)であるかに依存し,
前記容器(122)は,前記容器本体(306)及び前記蓋(308)の突合せ面に形成される溶接ゾーン(1202)を更に備え,該溶接ゾーン(1202)は前記容器(122)の固有特性を付与するものであり,前記溶接ゾーン(1202)は第2超音波スキャナ(1520)により走査可能であり,
使用に当たり,前記溶接ゾーン(1202)は前記第2超音波スキャナにより走査すると第2走査信号が生成され,該第2走査信号は,前記容器(122)における前記溶接ゾーン(1202)の固有特性に従属する,容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって,前記第1超音波スキャナ(802)は前記第2超音波スキャナとして使用される,容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器であって,前記傾斜面素子(702)は平坦である,容器。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の容器であって,前記軸線は,前記蓋(308)の底面(902)の平面に対して垂直である,容器。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の容器であって,前記第1走査信号は前記容器の識別コードを表す,容器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の容器であって,前記蓋(308)は円形であり,前記可走査素子(1006)は前記蓋(308)の外周部(1004)に配置される,容器。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の容器であって,前記可走査素子(1006)はランダムに,又は等間隔で配置される,容器。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の容器であって,前記可走査素子(1006)は,前記蓋(308)の周縁部(704)
に配置される,容器。
【請求項9】
請求項8に記載の容器であって,前記周縁部(704)は前記蓋(308)の最下側部に位置する,容器。
【請求項10】
請求項6
に記載の容器であって,前記可走査素子(1006)は前記外周部における連続的で等長の弧状部分を備える,容器。
【請求項11】
請求項10に記載の容器であって,前記弧状部分は,前記蓋の中心で4~8°,5~7°又は6°の角度を規定する,容器。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の容器であって,前記蓋(308)は平坦なU字状の断面を有する,容器。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の容器であって,前記蓋(308)の底壁(705)及び側壁(706)は,肉厚が所定の最小肉厚よりも大きく,前記蓋(308)に肉厚は,傾斜平坦表面素子(702)と前記蓋(308)の上面(709)における最近接点(708)との間で,前記所定の最小肉厚よりも大きい,容器。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の容器であって,前記蓋(308)は,前記容器本体(306)の第1内面部(504)と突き合わせるための第1外面部(502)を画定する軸線方向断面を有する,容器。
【請求項15】
請求項14
に記載の容器であって,前記蓋の底面は前記軸線に対して垂直に延在するように画定され,前記周縁部(704)は前記第1外面部と前記底面との交差部により画定される,容器。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載の容器であって,各傾斜面素子(702)につき,その傾斜角(α2)は,複数の所定角度のうちの1つである,容器。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の容器であって,前記傾斜角((α2)は,40~60°又は45~55°の範囲内,あるいは50°である,容器。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載の容器であって,前記蓋(308)及び前記容器本体(306)は,密封容器を形成するために互いに摩擦溶接され,前記容器(122)の固有特性を与える溶接ゾーン(1202)が,前記容器本体(306)及び前記蓋(308)の突き合わせ面(502-508)に形成される,容器。
【請求項19】
請求項18に記載の容器であって,前記蓋(308)は,前記容器本体(306)の第1内面部(504)と突き合わされる第1外面部(502)を有する,容器。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の容器であって,前記蓋(308)は,前記容器本体(306)の端面部(508)と突き合わされる第2外面部(506)を有する,容器。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の容器であって,前記溶接ゾーンは,(i) 互いに突き合わされる前記第1外面部(502)及び第1内面部(504),及び/又は (ii) 互いに突き合わされる前記第2外面部(506)及び前記端面部(508)の少なくとも一部と重なる,容器。
【請求項22】
請求項19又は20に記載の容器であって,前記溶接ゾーン(1202)の近傍において,シグネチュア表面素子が,(i) 前記溶接ゾーン(1202)の外側でこれに近接する,互いに突き合わされる前記第1外面部(502)及び第1内面部(504)の一部により,及び/又は(ii) 前記容器本体(306)の内側において,互いに突き合わされる前記第1外面部(502)及び第1内面部(504)に近接する前記溶接ゾーン(1202)の表面の一部により形成され,前記容器(122)の固有特性が,前記シグネチュア表面素子に依存する,容器。
【請求項23】
請求項18~22の何れか一項に記載の容器であって,使用に当たり,前記第2超音波スキャナで前記溶接ゾーンの近傍を走査すると第2走査信号が生成され,該第2走査信号は前記固有特性及び/又は前記シグネチュア表面素子に依存する,容器。
【請求項24】
核物質又は有害物質用の容器の識別・認証方法であって,
請求項1~23の何れか一項に記載の容器(122)を配備するステップ,
前記第1超音波スキャナ(802)及び第2超音波スキャナ(1520)を有する測定装置(1504)を配備するステップ,
該測定装置(1504)を作動させることにより,前記第1超音波スキャナ(802)で前記可走査素子(1006)を走査して前記容器(122)の識別コードを表す第1走査信号を生成すると共に,前記第2超音波スキャナ(1520)で前記溶接ゾーンの近傍を走査して前記固有特性及び/又は前記シグネチュア表面素子に依存する第2走査信号を生成するステップを備える,方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって,
前記第1走査信号及び第2走査信号の交差点を結合して第3走査信号を取得し,
該第3走査信号を少なくとも1つの蓄積済み信号と比較して前記容器を認証する,方法。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の方法であって,
前記容器本体(306)を略円筒形とすると共に前記蓋(308)を円形とし,
前記測定装置(1504)の作動は,前記蓋(308)の軸線周りで前記測定装置(1504)を回転させることを含む,方法。
【請求項27】
請求項24~26の何れか一項に記載の方法であって,前記蓋(308)の上部に水を配置し,前記測定装置(1504)の作動の間,該測定装置(1504)を水(1506)中に浸漬するステップを更に備える,方法。
【請求項28】
請求項24~27の何れか一項に記載の方法であって,前記測定装置(1504)の作動の間,前記第1超音波スキャナ(802)は,前記蓋(308)の底面(902)の平面に入射角(α1)で入射する第1超音波を検出するように取り付ける,方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって,前記入射角(α1)は,スネルの法則により,前記第1超音波の水中での伝播速度と,前記蓋(308)の構成材料中における伝播速度との速度差から決定する,方法。
【請求項30】
請求項24~29の何れか一項に記載の方法であって,前記蓋(308)及び前記容器本体(306)は銅製である,方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって,前記傾斜角(α2)が50°,前記入射角(α1)は14°である,方法。
【請求項32】
請求項24~31の何れか一項に記載の方法であって,前記測定装置(1504)の作動の間,前記第2超音波スキャナ(1502)は,第2超音波を前記底面(902)の平面と略平行に,例えば略水平に照射するように取り付ける,方法。
【請求項33】
請求項24~32の何れか一項に記載の方法であって,前記第3走査信号と前記少なくとも1つの蓄積済み信号との比較は,
前記第1信号から得られる識別コードを使用して,前記少なくとも1つの蓄積済み信号を検索し,該少なくとも1つの蓄積済み信号は蓄積済みの認証信号又は署名とし,
前記第3走査信号と,前記少なくとも1つの蓄積済み信号との間の相関係数を計算し,
該相関係数が真正性を表す既定のしきい値よりも高ければ,前記容器(122)を認証することを備える,方法。
【請求項34】
記録可能,書き換え可能又は記録済みの媒体であって,処理回路で実行されると共に少なくとも,請求項24~33の何れか一項に記載した方法のステップに対応する指令を規定し又は該指令に変換可能な機械可読データが記録又は蓄積されている媒体。
【請求項35】
通信装置及びメモリー装置を備えるサーバーコンピュータであって,処理回路で実行されると共に少なくとも,請求項24~33の何れか一項に記載した方法のステップに対応する指令を規定し又は該指令に変換可能な機械可読データを,デマンド等に応じて送信可能なサーバーコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,一般的に,核物質又はその他の有害物質を貯蔵及び/又は輸送するための容器に関する。この種の容器は,個別の容器を識別及び/又は認証するための手段を備える。本発明は,更に,容器の識別及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の状況下では,セキュアリティの高いシールが必要とされる。これは,そのような容器が危険な物質,例えば核分裂材料を収蔵する場合に特に重要である。
【0003】
核施設からの使用済み燃料の最終処分についてのコンセプトが開発されている。使用済み燃料は,長期処分のために銅製の容器,いわゆる「キャニスタ」内にカプセル化される。銅製の蓋は銅製容器に摩擦攪拌溶接され,その溶接部が検査され,キャニスタの表面が研磨されて汚染除去される。
【0004】
タングステンプレートと,各種の放射性同位体を使用する一つの解決策が提案されている。この場合,蓋で閉鎖する前のキャニスタ内にプレートを配置し,外的な放射性同位体検出器を使用してコードを復号化する。しかしながら,これは単なる識別方法に止まり,認証/検証を行うものではない。今日まで,キャニスタに異物を挿入することは許可されていない。
【0005】
安全性に係るアプローチでは,知識の連続性(CoK;Continuity of Knowledge)を支援するためのキャニスタ識別手段の使用を提案している。しかしながら,銅製キャニスタにラベル付けするための適当な方法は,未だ提示されていない。キャニスタの刻印又はマーキングは,腐食プロセスを誘発しかねず,長期の安全性及び健全性を阻害する懸念がある。今日に至るまで,偽造を困難とする固有の識別/認証方法は提案されていない。
【0006】
特許文献1:米国特許第4530241号明細書は,保護を必要とする核物質等の材料を容器内に収蔵した後にその容器を,例えばカバー及びシール素子を備える閉鎖手段によりシールする技術を開示している。初めに圧電変換器を使用して容器の構造全体を超音波走査することにより出力を取得し,その出力に基づき,容器の少なくとも一部の内部構造の特定の特性で決定される容器の固有同一性を引き出し,また,容器の健全性が損なわれていない場合の容器全体を表す参照信号を使用する。
【0007】
その問題点は,一旦材料を収蔵して摩擦攪拌溶接及び機械加工されたキャニスタは,全てが同一となることである。外的なマーキング,タグ付け又はいかなる改変も許されていない。溶接部の3D測定や摩擦溶接部の非破壊検査等の従来方法では,蓋及びキャニスタが融合しているため,キャニスタを互いに区別することができない。
【0008】
プロセスの開始時点におけるカプセル化プラントから,終了時点における深度貯蔵エリアに至るまでのCoKを維持するためには,識別性と固有の健全性が必要である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は,例えば請求項1に記載されているような,改善された識別/認証性を有し,偽造が困難な蓋及び/又は容器を提供することである。本発明の更なる課題は,例えば請求項24に記載されているような容器の識別/認証方法を提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば,核物質及び/又は有害物質用の容器が提供される。該容器は,金属製の容器本体と,該容器本体と同一材料よりなる蓋とを備え,該蓋及び前記容器本体は,密封容器を形成するよう互いに溶接可能である。蓋は,複数の可走査素子を備え,該可走査素子は前記蓋上で空間的に配置され,かつ,第1超音波スキャナにより走査可能である。1つ又は複数の可走査素子は傾斜面素子であり,各傾斜面素子は蓋の軸線に対して傾斜している。使用に当たり,可走査素子を第1超音波スキャナにより走査すると第1走査信号が生成され,該第1走査信号は,どの可走査素子が傾斜面素子であるかに依存する。
【0011】
容器は,容器本体及び蓋の突合せ面に形成される溶接ゾーンを更に備え,該溶接ゾーンは容器の固有特性を付与するものであって,第2超音波スキャナにより走査可能である。使用に当たり,溶接ゾーンを第2超音波スキャナにより走査すると第2走査信号が生成され,該第2走査信号は,容器における溶接ゾーンの固有特性に従属する。
【0012】
外的マーキングが許されていないので,一実施形態において,溶接に先だって蓋の内部に何らかのキャビティを形成しておき,そのキャビティを蓋の溶接後に外部から超音波変換器で読取り可能とする。この識別に加えて,摩擦攪拌溶接部から更なる超音波測定を行って認証シグネチュアを取得する。
【0013】
本発明の利点は,工場から貯蔵施設に至るまでの知識の連続性(CoK)を,保護機関が維持できることである。これに加えて,単純で製造が容易であり,効率的である。
【0014】
第1超音波スキャナ及び第2超音波スキャナとして2つの別個のスキャナを使用することもできるが,単一のスキャナを使用して第1及び第2走査信号の双方を生成するのが有利であり得る。
【0015】
好適には,前記軸線は,蓋の底面の平面に対して垂直である。
【0016】
好適には,第1走査信号は容器の識別コードを表す。
【0017】
好適には,蓋は円形であり,可走査素子は蓋の外周部に配置される。可走査素子は,ランダム離散配置することが可能ではあるが,好適には等間隔で配置される。可走査素子は,蓋の周縁部に配置することができる。好適には,その周縁部は蓋の最下側部に位置する。
【0018】
好適には,可走査素子は外周部における連続的で等長の弧状部分を備える。好適には,その弧状部分は,蓋の中心で4-8°,5-7°又は6°の角度を規定する。
【0019】
好適には,蓋は平坦なU字状の断面を有する。
【0020】
好適には,蓋の底壁及び側壁は,肉厚が所定の最小肉厚よりも大きく,蓋の肉厚は,傾斜平坦表面素子と蓋の上面における最近接点との間で,前記所定の最小肉厚よりも大きい。
【0021】
一実施形態において,蓋は,容器本体の第1内面部と突き合わせるための第1外面部を画定する軸線方向断面を有する。好適には,蓋の底面は前記軸線に対して垂直に延在するように画定され,前記周縁部は前記第1外面部と前記底面との交差部により画定される。
【0022】
一実施形態において,各傾斜面素子につき,その傾斜角は,複数の所定角度のうちの1つである。好適には,前記傾斜角は,40~60°又は45~55°の範囲内,あるいは52.5°又は50°である
【0023】
本発明の一態様において,蓋及び容器本体は,密封容器を形成するために互いに摩擦溶接され,容器の固有特性を与える溶接ゾーンが,容器本体及び蓋の突き合わせ面に形成される。
【0024】
好適には,蓋は,容器本体の第1内面部と突き合わされる第1外面部を有する
【0025】
好適には,蓋は,容器本体の端面部と突き合わされる第2外面部を有する。
【0026】
一実施形態において,前記溶接ゾーンは,(i) 互いに突き合わされる前記第1外面部及び第1内面部,及び/又は(ii) 互いに突き合わされる前記第2外面部及び端面部の少なくとも一部と重なる。
【0027】
一実施形態において,前記溶接ゾーンの近傍において,シグネチュア表面素子が,(i) 前記溶接ゾーンの外側でこれに近接する,互いに突き合わされる前記第1外面部及び第1内面部の一部により,及び/又は
(ii) 前記容器本体の内側において,互いに突き合わされる前記第1外面部及び第1内面部に近接する溶接ゾーンの表面の一部により形成される。前記容器の固有特性は,前記シグネチュア表面素子に依存する。
【0028】
好適には,使用に当たり,第2超音波スキャナで前記溶接ゾーンの近傍を走査すると第2走査信号が生成され,該第2走査信号は前記固有特性及び/又は前記シグネチュア表面素子に依存する。
【0029】
本発明の他の態様によれば,核物質又は有害物質用の容器の識別・認証方法が提供される。この方法は,上述した容器を配備するステップと,第1超音波スキャナを有する測定装置を配備するステップとを備える。この方法は,測定装置を作動させることにより,前記第1超音波スキャナで前記可走査素子を走査して前記容器の識別コードを表す第1走査信号を生成するステップを更に備える。
【0030】
本発明の他の態様によれば,核物質又は有害物質用の容器を認証するために,前項に記載した方法を実施する方法が提供される。測定装置は第2超音波スキャナを有し,測定装置の作動は,第2超音波スキャナが溶接ゾーン近傍を走査して,前記固有特性及び/又は前記シグネチュア面素子に依存する第2走査信号を生成するように行う。この方法では,更に,第1走査信号及び第2走査信号の交差点を結合して第3走査信号を取得することができる。この方法では,更に,第3走査信号を少なくとも1つの蓄積済み信号と比較して容器を認証することができる。
【0031】
好適には,容器本体を略円筒形とすると共に蓋を円形とし,測定装置の作動は,該測定装置を蓋の軸線周りで回転させることを含む。
【0032】
好適には,蓋の上部に水を配置し,測定装置の作動の間,該測定装置を水中に浸漬する。
【0033】
好適には,測定装置の作動の間,第1超音波スキャナは,蓋の底面の平面に入射角(α1)で入射する第1超音波を検出するように取り付ける。好適には,入射角(α1)は,スネルの法則により,第1超音波の水中での伝播速度と,蓋の構成材料中における伝播速度との速度差から決定する。
【0034】
好適には,蓋及び容器本体は銅で構成される。好適には,傾斜角(α2)を50°,入射角(α1)は14°とする。
【0035】
好適には,測定装置の作動の間,第2超音波スキャナは,第2超音波を前記底面の平面と略平行に,例えば略水平に照射するように取り付ける。
【0036】
好適には,第3走査信号と少なくとも1つの蓄積済み信号との比較に当たり,第1信号から得られる識別コードを使用して前記少なくとも1つの蓄積済み信号を検索し,該少なくとも1つの蓄積済み信号は蓄積済みの認証信号又は署名とし,第3走査信号と,前記少なくとも1つの蓄積済み信号との間の相関係数を計算し,該相関係数が真正性を表す既定のしきい値よりも高ければ容器を認証することを備える。
【0037】
本発明の他の態様によれば,記録可能,書き換え可能又は記録済みの媒体が提供される。この媒体は,処理回路で実行されると共に少なくとも,請求項24~33の何れか一項に記載した方法のステップに対応する指令を規定し又は該指令に変換可能な機械可読データが記録又は蓄積されている。
【0038】
本発明の他の態様によれば,通信装置及びメモリー装置を備えるサーバーコンピュータが提供される。このサーバーコンピュータは,処理回路で実行されると共に少なくとも,請求項24~33の何れか一項に記載した方法のステップに対応する指令を規定し又は該指令に変換可能な機械可読データを,デマンド等に応じて送信可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下,本発明の更なる詳細及び利点につき,添付図面に示す幾つかの非限定的な実施形態を参照しつつ詳述する。
【
図1】原子力発電所から最終処分サイトに至るまでの使用済み核燃料のハンドリングプロセスを示す説明図である。
【
図2】
図1のプロセスにおいて使用されるキャニスタ(a),クレー貯蔵素子(b)及び最終処分構造(c)の説明図である。
【
図3】
図2(a)のキャニスタの解体状態における容器本体及びインサート(a),並びに蓋(b)及び別形態のインサート(c)の説明図である。
【
図4】
図2(a)のキャニスタを蓋の一部断面状態で示す説明図である。
【
図6】摩擦攪拌溶接後における
図5の蓋及び容器本体の要部切断図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る蓋における外周部の部分断面図である。
【
図8】超音波検出器を使用しての,
図7の蓋上における傾斜面部の検出方法を示す説明図である。
【
図9】入射角及び伝送角を示す,傾斜面部の検出方法の詳細図である。
【
図10】蓋の外周部における可走査素子の分布状態を示す,本発明の一実施形態に係る蓋の略線図である。
【
図12】摩擦攪拌溶接後における蓋及び容器本体の接合部を示す断面図である。
【
図13】特定の実施形態における寸法を示す,蓋及び容器本体の接合部の代替的な説明図である。
【
図14】特定の実施形態における寸法を示す,蓋及び容器本体の接合部の代替的な説明図である。
【
図15】ランダムな溶接不連続部を示す,蓋及び容器本体の接合部の断面図である。
【
図16】第1及び第2信号の交差点からの第3信号(曲線)の取得方法を示す説明図である。
【
図17】第1及び第2走査信号を生成する測定装置を取り付けた蓋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書及び図面において,同様の構成要素は同様の参照符号で表されている。特に明示しない限り,個別的な設計上の特徴,部品又は段階は,ここに開示される他の設計上の特徴,部品又は段階と組み合わせて使用することができる。
【0041】
上述した通り,使用済み核燃料を収蔵したキャニスタは,地下約500mの深度における花崗岩の岩盤中に貯蔵することが望ましい。
【0042】
使用済み燃料の水中貯蔵池における典型的な冷却時間は,10年間~60年間で変化するものである。その期間の経過後,燃料を輸送キャニスタに移し,輸送キャニスタにカプセル化すべき燃料が装入される。輸送キャニスタはハンドリングセルに移され,その場合には集合体を1つずつ持ち上げて乾燥させた後に銅製キャニスタ内に装入する。これが,銅製キャニスタ上に蓋を被せる前に燃料を識別し得る最後の位置である。
【0043】
銅製のキャニスタは鋳鉄製のインサートを有し,インサートは12体のBWR燃料又は4体のPWR燃料の集合体のための既定位置を有する。銅製の蓋を銅製のキャニスタに摩擦攪拌溶接し,その接部を検査し,キャニスタの表面を研磨して汚染を除去する。キャニスタ全体は,地層処分サイトに輸送する前に,特別に設計された輸送キャスク内に移され,当該施設において一時的に貯蔵される。
【0044】
これらのキャニスタは,溶接され,陸路及び海路で工場から深度処分エリアまで輸送されるものであり,識別により,特に効果的には固有の認証済み署名により,そのCoKを確保することが極めて重要である。
【0045】
図1は,原子力発電所から最終処分サイトに至るまでの使用済み核燃料のハンドリングプロセスを示す説明図である。
【0046】
原子力発電所104からの燃料集合体102は,陸上輸送車両106を使用して荷降ろし地点まで輸送し,ここで燃料集合体102は,遠隔地までの輸送のために船舶108に移すことができる。その遠隔地において,燃料集合体は,道路輸送車両110を使用して陸路112にて中間貯蔵及び処理サイト114まで輸送することができる。中間貯蔵及び処理サイト114において,燃料集合体は,受け入れステーション116で荷降ろしを行い,当業者にとって周知の所定期間に亘って貯蔵プール内で保管することができる。
【0047】
カプセル化区画120において,核燃料集合体102は,
図2(a)に示す態様でキャニスタ122内にカプセル化することができる。キャニスタ122は保管エリア124まで移送し,保管エリアにおいて,道路輸送車両126により船舶128まで輸送される前に,所定時間に亘って保管することができる。キャニスタ122は,船舶128により最終処分サイト130まで輸送し,最終処分サイトにおいて保管エリア132内で保管することができる。保管エリア132からキャニスタ122は,ランプ136上の構内車両134を使用して第1地下エリア138まで輸送し,ここでキャニスタを貯蔵装置140上に移すことができる。その後,キャニスタ122は貯蔵装置140を使用して地下深度Dの第2地下エリアまで移送し,ここでキャニスタ122は貯蔵孔144内に配置することができる。深度Dは,500mオーダとすることができる。
【0048】
図2は,
図1のプロセスにおいて使用されるキャニスタ(a),クレー貯蔵素子(b)及び最終処分構造(c)の説明図である。
図2(a)に示すように,キャニスタ122は,多数の燃料集合体202をカプセル化するものである。また,燃料集合体は,詳細に後述する態様で,鋳鉄製インサート204の凹部内に挿入し得るものである。
【0049】
貯蔵施設内での長期貯蔵のため,各キャニスタは,
図2(b)に示すように,ベントナイト(クレー)カプセル化素子208の受け孔206内に配置することができる。更に,
図2(c)に示すように,貯蔵素子208は,最終処分貯蔵施設210内における連続層内でアレーとして貯蔵することができる。
【0050】
図3は,
図2(a)のキャニスタの分解状態で,キャニスタ及びインサート(a)と,蓋(b)及び別形態のインサート(c)を示す説明図である。
図3(a)を参照すると,例えば鋳鉄製のインサート204は,燃料集合体(図示せず)を受け入れて長期貯蔵するための,多数の伸長凹部を含むことができる。カプセル化のため,インサート204を容器本体306内に装入し,次に蓋308を端部310上に取り付ける。他の実施形態(
図3(c))において,インサート204'は,4つの伸長凹部302'のみを備える。
【0051】
図4は,蓋308の一部を破断して
図2(a)のキャニスタを示す説明図である。同図に示すように,インサート204の伸長凹部302内には燃料集合体202が装入されている。また,部分的に破断した蓋308から分かるように,インサートは外側肩部402を含み,これにより蓋308の表面が容器本体306における対応形状の表面上に載置されて当接する。
【0052】
図5は,
図4の蓋308及び容器本体306の要部拡大図である。
図5に詳細に示すように,蓋308は,その外周部に肩部402を含み,その際に蓋308は,容器本体306の第1内面部504に近接又は接触する第1外面部502(周方向に延在する)を有する。これに加えて,蓋308は,容器本体306の端面部508に近接又は接触する第2表面部506(径方向に延在する)を有する。すなわち,
図5は,摩擦攪拌溶接前における蓋308及び容器本体306の接合部を示すものである。
【0053】
図6は,摩擦攪拌溶接後における
図5の蓋308及び容器本体306を示す要部切断図である。同図に示すように,摩擦攪拌溶接に引き続き,蓋308及び容器本体306の材料の接合は,第1及び第2内面部と内面部504及び端面部508がもはや区別できなくなるように行われる。従って,蓋308が容器本体306に強固かつ緊密に結合されて,その内部に収蔵した核材料を安全にカプセル化する。
【0054】
図7は,蓋308の外周部を示す部分的な断面図である。銅製キャニスタへ122内へのカプセル化の場合,典型的に,キャニスタ122内の全ての部位で,内側キャビティ及び外部の間における材料(銅)の肉厚は,既定の最小肉厚以下であることが望ましい。この肉厚は,銅製の場合に例えば50mmである。本発明の一実施形態において,傾斜面部702を蓋308の下側縁部704に形成する。このような傾斜面部702は,蓋308の外周における複数箇所の何れに設けても良く,好適には平坦である。傾斜面部702を形成するための機械加工後,底壁705及び側壁706の肉厚のみならず,傾斜した平坦な表面素子702と上面709における最近接点708との間における蓋308の肉厚も,所定の最小肉厚,例えば50mmよりも大きい。
【0055】
図8は,超音波検出器を使用して傾斜面(表面部702)を検出する方法を示す。本発明の一実施形態において,傾斜表面部702が走査される(又は走査され得る)各場所(周方向部位)は,第1超音波スキャナ802(図示の便宜のため,手動位置決めされる。)を使用する。第1超音波変換器は,図示のとおり矢印A方向に向けて超音波エネルギを放射し,傾斜面部702が存在する場合に第1形式の戻り信号を受信し,当該周方向部位に傾斜面部702が存在しない場合には第2形式の戻り信号を受信する。
【0056】
図9は,傾斜面部(表面部702)の検出方法の詳細図であり,入射角及び伝送角を示すものである。傾斜面部702の超音波検出の目的のため,物理学におけるスネルの法則に基づいて,第1超音波スキャナ802の入射角α1は,(後述するように,超音波走査プロセスの間に第1超音波スキャナ802が水中に浸漬されるために)水と銅との間の超音波の伝播速度差によって与えられる。
図9に示すように,傾斜面部702が蓋の軸線に対して40°の角度をなす場合,すなわち傾斜面部が蓋308の底面902を含む平面に対して50°(=90°-40°)の角度をなす場合,スネルの法則によれば,水中における入射角α1は14°となる。
【0057】
図10は,本発明の一実施形態に係る蓋の略線図であり,蓋の外周部における可走査素子の分布状態を示す。本明細書における「空間的に分布」とは,可走査素子につき,(i) 隣接する可走査素子が,蓋308上において互いに離間して,例えば等間隔に配置されるように分布すること,あるいは (ii) 使用時に第1超音波スキャナ802が走査する蓋308上の地点から見たときに,隣接する可走査素子が蓋308上で互いに重ならないように分布すること,を意味するものと解することができる。
図10の実施形態において,蓋は非常に多くのセクター1002に分割すべきものと考えられる。この実施形態においては60個のセクターが設けられ,各セクターは6°の角度を規定する。しかしながら,当業者であれば理解できるように,セクターの数は60個超又は60個未満でも差し支えない。従って,外周部1004(
図7における周縁部704に対応する)には60個の可走査素子1006(弧状部分)が配置され,その各々において傾斜面部702が存在することも,存在しないこともある。すなわち,傾斜面部702の数及び相対位置により,非常に多数の識別コードを外周部1004に与えることができる。可走査素子1006(傾斜面部を含むもの又は含まないもの)の配置によりバーコードを効果的に形成することができ,そのバーコードは,蓋308(従ってキャニスタ122)を数千もの異なるキャニスタ122から識別可能とするものである。
【0058】
図11は,
図10の蓋の側面図である。同図は,蓋308の下側縁部704における傾斜表面部702を明示するものである。
【0059】
上述したように,本明細書に開示される実施形態は,所与のキャニスタ122を識別可能とし,識別に関する課題の可決手段を提供する。しかしながら,1つの蓋308における「バーコード」(傾斜表面部のパターン)が複製され,同一識別コードを有する偽のキャニスタ122が製造される可能性が存在している。それ故,この識別コード(バーコード)を別の固有の,複製できない特徴と関連付けてキャニスタ122が真正なキャニスタであることの認証を与えることが重要である。従って,本発明の一実施形態において,第2の超音波スキャナを使用して摩擦攪拌溶接部周りにおける金属の不規則性を検出することができる。
【0060】
図12は,摩擦攪拌溶接後における蓋及び容器本体の接合部の断面図である。
図12に示すように,摩擦溶接部1202は,容器本体306における端面部508と蓋306における第2外面部との突き合わせ部1204を含んでいる。実際,溶接部として言及されるとは言え,蓋308及び容器本体306の銅が融合しているので,不完全性を有効に検出することはできず,融合が完全であって不純物や欠陥を含まないことを保証するために想定される全ての操作は製造業者によって行われる。
【0061】
認証のため,本発明の一実施形態において,第2超音波変換器(図示せず)からの超音波を,少なくとも,上述した表面が突き合わされた摩擦攪拌溶接部における水平ゾーン1202の直下に位置する垂直エリア1206に向けて(矢印B方向に)放射する。このエリア1206には,溶融流れに由来する銅の融合による不連続部が存在する。これらの不連続部は,複製することのできない固有の健全性又は署名を形成する。従って,そのような不連続部は,蓋308又はキャニスタ122の偽造を検出するための手段を提供するものである。第2超音波変換器により検出可能な不連続部は,蓋308の第1外面部502と容器本体306の内面部との間の突き合わせ部における第1不連続素子1208を含むことができる。代替的又は付加的に,検出可能な不連続部は,照射エリア1212内(従ってエリア1206内)における溶接ゾーン1202と容器本体306との界面における第2不連続素子1210を含む。
【0062】
図13は,蓋308及び容器本体306の接合部の代替的な説明図であり,本発明の特定の実施形態における寸法を示すものである。第2超音波変換器(図示せず)を使用して,溶接ゾーン1202の上側における蓋308の全体的な(径方向の)肉厚,本例では100 mmを測定する。
【0063】
図14は,蓋308及び容器本体306の接合部の代替的な説明図であり,本発明の特定の実施形態における寸法を示すものである。本例でも,第2超音波変換器(図示せず)を使用して,水平溶接ゾーン1202の下側における蓋308の小さな(径方向の)肉厚,本例では51.4 mmを測定する。
【0064】
図15は,蓋308及び容器本体306の接合部の断面図であり,ランダムな溶接不連続性を示すものである。すなわち,
図13及び14の間(2つの別個の肉厚エリア)において,測定装置1504上に取り付けられた第2超音波変換器1502を使用して超音波応答を測定する。前述したように,測定は,少なくとも蓋308を部分的に満たす水1506を使用して行うものである。更に,以下に詳述するように,測定装置1504は,超音波をエリア1212に向けて(矢印B方向に)向けている間に,蓋308の軸線周りで回転させることができる。第2超音波変換器に戻って受信される応答は第2走査信号を構成し,第1走査信号は可走査素子1006(
図10)を走査する間に第1超音波変換器802(
図8)に戻って受信される戻り応答である。
【0065】
図16は,第1及び第2走査信号の交差点から第3信号(曲線)を取得する方法を示す。
図16において,第1走査信号(c2)及び第2走査信号(c1)は,同一グラフ上にプロットされている。これらより,交差点(P)の導出又は算出可能であり,交差点Pの集合で形成される曲線が第3信号を構成し,第3信号は蓋308及び/又はキャニスタ122を認証するための懸賞信号として使用される。すなわち,第3信号は,蓋/キャニスタの識別コードに関連付けられた蓄積済みの検証信号又は署名と比較して,キャニスタが認証されるか否かを決定することができる。第3信号を形成するための第1及び第2走査信号の組み合わせについては,特許文献2:欧州特許第1987261号明細書に詳細に記載されている。
【0066】
図17は,第1及び第2走査信号を生成するための測定装置1504を取り付けた蓋308の断面図である。測定装置1504は,矢印Cで示すように,蓋308の軸線1508周りで回転する。測定装置1504は,適当な軸受1510上に取り付けられ,少なくとも一部が水1506中に浸漬される。超音波を蓋308における底面902の平面に対してある角度(α1;例えば14°;
図9を参照)で放射するため,第1超音波変換器1802を取り付ける。また,超音波を蓋308における底面902の平面に対して平行に,すなわち水平に放射するため,第2超音波変換器1502を取り付ける。従って,一実施形態において,測定装置は,超音波を蓋308に対して異なる角度で入射させるための第1及び第2超音波変換器を備えている。
【0067】
上述した実施形態において,第1及び第2超音波変換器802, 1502は直径線上で対向して配置されているが,これらの装置は,実質的に同一部位に配置し,又は周方向に180°未満の角度で離間させて配置することもできる。測定装置1504は,時計方向又は反時計方向に回転するよう駆動することができる。測定値(第1及び第2走査信号)を決定する目的で,測定装置1504は任意の適当な速度,例えば1rpm~50rpmの範囲内,又はより好適には1rpm~10rpmの範囲内の速度で回転させることができる。
【0068】
測定装置1504の回転の間に,第1走査信号(識別用)及び第2走査信号(健全性/認証用)を取得する。
【0069】
一実施形態において,回転機構,超音波取得システム(測定装置1504)及び適当なプロセッサ装置を,自律作動及び場合によっては遠隔制御を可能とするバッテリーと共に,蓋308内における統合パッケージ内に取り付ける。そして,一旦検索が行われると,取得した信号を収集して蓄積し,又は必要であれば遠隔地に無線伝送する。一実施形態において,第1信号(識別コード)を使用して,システムは,その識別コードを有数rキャニスタ122に関連する元の健全性信号(測定値)を検索するように作動させることができる。そして,導き出した健全性信号(第3信号)を,検索された健全性信号と比較し,相関係数を計算する。その相関係数は,キャニスタ122の真正性を表す所定のしきい値である。
【0070】
測定装置1504を使用しての信号検出が完了すると,水1506を蓋308からプラットフォームタンク(図示せず)に排出し,接続バルブ(図示せず)及び測定装置を取り外す。
【0071】
以上,各種の構成要素を有する実施形態について本発明を記載したが,その他の実施形態において,これらの構成要素及びその他の構成要素のその他の組み合わせや順列を適用し得ることは,言うまでもない。
【0072】
本発明を好適と確信される実施形態について記載したが,本発明の技術的範囲を逸脱することなく,その他の修正や更なる修正が可能であることは勿論であり,そのような変更及び修正は本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
102 燃料集合体
104 原子力発電所
106 道路輸送車両
108 船舶
110 道路輸送車両
112 道路
114 中間貯蔵及び処理ステーション
116 受入れステーション
118 貯蔵プール
120 カプセル化区画
122 キャニスタ
124 保管エリア
126 道路輸送車両
128 船舶
130 最終貯蔵施設
132 保管エリア
134 構内車両
136 ランプ
138 第1地下エリア
140 貯蔵装置
142 第2地下エリア
144 貯蔵孔
202 燃料集合体
204 インサート
204’ インサート
206 孔
208 カプセル化素子
210 最終貯蔵施設
302 伸長凹所
302’ 伸長凹所
306 容器本体
308 蓋
310 端部
402 外側肩部
502 第1外面部
504 第1内面部
506 第2外面部
508 端面部
702 傾斜面部
704 下側縁部
802 第1超音波スキャナ―
902 底面
1002 セクター
1004 外周部
1006 可走査素子
1202 摩擦溶接ゾーン
1204 突合わせ部
1206 垂直エリア
1208 第1不連続素子
1210 第2不連続素子
1212 照射エリア
1502 第2超音波変換器
1504 測定装置
1506 水
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【文献】米国特許第4530241号明細書
【文献】欧州特許第1987261号明細書