(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ガラスセラミック物品
(51)【国際特許分類】
A47B 77/08 20060101AFI20220330BHJP
A47B 77/00 20060101ALI20220330BHJP
A47B 88/473 20170101ALI20220330BHJP
A47B 88/919 20170101ALI20220330BHJP
F24C 15/10 20060101ALI20220330BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A47B77/08 B
A47B77/00
A47B88/473
A47B88/919
F24C15/10 B
H05B6/12 305
(21)【出願番号】P 2018555732
(86)(22)【出願日】2017-04-24
(86)【国際出願番号】 FR2017050965
(87)【国際公開番号】W WO2017187072
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-03-24
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504374919
【氏名又は名称】ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ルー
(72)【発明者】
【氏名】パブロ ビラト
(72)【発明者】
【氏名】フランク デモル
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ドブレイエ
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ラベル
(72)【発明者】
【氏名】ビルジニー ゴルデンベルグ
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02469190(EP,A1)
【文献】特開2010-269176(JP,A)
【文献】特表2010-510952(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01627579(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00751354(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/08
A47B 77/00
A47B 88/00-88/994
F24C 15/10
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガラスセラミックシート及び
物品の操作
時に用いる要素で構成されている、物
品であって、前記要素のうちの少なくとも1つが、
電力の供給を遮断することを可能とする安全装置と組み合わせられている二次元又は三次元
の可動性支持体上に配置されており、それによって、前記
可動性支持体が第一の位置にあるときに、前記要素が、前記
ガラスセラミックシートの1つの面を向いて、前記
ガラスセラミックシートから最大で10cmの距離で位置しており、かつ作動させることができ、かつ前記
可動性支持体が、その運動により得られる第二の位置にあるときに、前記
可動性支持体の端部の少なくとも1つが、前記
ガラスセラミックシートに対して少なくとも2mmの距離で、前記
ガラスセラミックシートに対して垂直
に位置しており、かつその第一の位置に対して少なくとも5cmの距離
で位置しており、
前記安全装置によって、前記要素が停止するようにされている、物品。
【請求項2】
前記
ガラスセラミックシート又は前記物品の操作
時に用いる前記要素のうちの少なくとも幾つか、又は全ての前記要素が、前記可動性支持体上に配置されており、前記
可動性支持体が前記第一の位置にあるときに、前記要素が、前記
ガラスセラミックシートの1つの
面を向いて、前記面に対して垂直かつ前記面と前記要素の各々の最も近い端部との間で、前記
ガラスセラミックシートから最大で10cmの距離で位置していること、及び前記
可動性支持体が前記第二の位置にあるときに、前記要素のうちの少なくとも幾つかが停止し
ていることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記可動性支持体が、プレート又はケーシング又はハウジングの形態を採っており
、前記
可動性支持体が、水平に及び/又は鉛直に、並進及び/又は回転運動をすることができ、それによって、前記第二の位置において前記
ガラスセラミックシートから少なくとも部分的に離れるように
前記可動性支持体を動かすようにすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記
可動性支持体が前記第一の位置にあるときに、前記
可動性支持体上に位置している前記要素が、前記
ガラスセラミックシートから最大で4c
mの距離で、前記
ガラスセラミックシートの下面を向いて位置しており、かつ前記
可動性支持体が前記第二の位置にあるときに、前記
可動性支持体の端部のうちの少なくとも1つ、又は前記
可動性支持体の全体が
、その第一の位置に対して少なくとも5c
mの距離で位置しており
、かつ/又
は前記
ガラスセラミックシートから鉛直に少なくとも2mmの距離で、かつその第一の位置から水平に少なくとも5cmの距離で位置していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記安全装置が、少なくとも1つの手動又は自動の回路遮断
器で作られていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記
可動性支持体の運動が、回転軸について
の、前記
可動性支持体の前記第一の位置に対して少なくとも2.5
°の角度での運動であるか、又はガイドレール若しくは滑動
部に沿った運動であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
作動時に操作者が捕捉されることを防止するか、若しくは前記
可動性支持体の過度に鋭い動きを防止する
安全装置を、前記物品が具備しているか、又は前記
ガラスセラミックシートに組み合わせていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記ガラスセラミックシートが配置されている面の50%
超を占め
ていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記
ガラスセラミックシートが、15mm未満の厚さ、20℃~400℃での30×10
-7K
-1未満の膨張係数、及び0.7m
2以上の表面積を有する一体となっているシートであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記物品又は前記
ガラスセラミックシートが、
前記物品の操作
時に用いる要素として、
加熱要素、光源、可聴若しくは振動要素、表示システム、電子ボード、制御インターフェース若しくはユニット、又はセンサーのうちの少なくとも1つを具備していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の物
品。
【請求項11】
前記物品が、テーブル又はワークトップ又は家具ユニッ
トであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミック(製)のシートで作られた物品であって、このシートが、特に家具ユニットの(特に水平な)ワークトップ又は表面として働くことを意図している、物品に関し、このシートは特に、大きな面積のシートであり(物品は、例えばこれによって作られた家具ユニットであり)、物品は、その操作において、又はシートの操作において用いる要素、例えば加熱要素、電子部材等を具備している。
【背景技術】
【0002】
ガラスセラミックは、ガラス質のセラミック加熱部を作るために特に幾年もの間、用いられている。ガラス質のセラミック加熱部は、その魅力的な外観及び清掃の容易さのため、ハウスキーピングのエキスパート、家庭の電気器具の製造者、及び同様に使用者にとって非常に好評である。
【0003】
概して、ワークトップ自体は、他の材料、例えば木、石英、Corian(登録商標)等から作られているが、これらのワークトップを作るガラスセラミックシートの使用は、材料に固有の問題を誘発するものの、特に魅力的であることがわかっている。
【0004】
ガラスセラミックは、前駆体ガラス(又は母材ガラス若しくはグリーンガラス)として称されるガラスとして出発する。前駆体ガラスの固有の化学組成が、セラミック化と称される適切な熱処理により、制御された結晶化を引き起こすことを可能とする。この部分的に結晶化した特定の構造は、ガラスセラミックに固有の性質を与える。
【0005】
求められている性質に好ましくない影響を及ぼすリスクなしに、ガラスセラミック及び/又はガラスセラミックを得る方法に修正を施すことが難しいと仮定すると、各々のガラスセラミック製品は、特定の研究及び多くの試験の成果である:例えば加熱部としてのその通常の役割において、ガラスセラミックシートは、概して、停止時において下層の加熱要素を隠蔽するのに十分低く、かつ安全の目的のため、作動時にこの加熱要素を使用者が視認でき、かつ/又は存在し得るあらゆる表示を読むのに十分に高い、可視領域における透過性を有することを必要とする。ガラスセラミックシートは、それらの用途のために必要なものとして、十分な機械的強度も有していなければならず、特にサイズが大きい場合には一層その傾向が強まり、かつ特に家庭の電気器具の分野において、ガラスセラミックシートは、(器具を支持し、器具の落下に耐える等のため)圧力、衝撃等に耐えるための(加熱部としてのそれらの通常の役割については、例えば標準規格EN 60335-2-6により定められるような)良好な性質を示さなければならない。
【0006】
それらに割り当てられた1又は複数の機能を満足するため、ガラスセラミックシートは、(例えば、加熱部の場合には、加熱要素又は制御ストリップを有する)それらの最終目的のために必要な(装飾的な又は機能的な)付属品又は追加の要素、特に電子部材を有する付属品又は追加の要素を概して備えており、上記の要素又は付属品は、概して、嵌め込む目的でシートに備えられているハウジングに嵌め込むことにより、及び/又は、場合により、存在する場合には加熱要素と区別できる領域に結合させることにより、取り外せないようにシートに取り付けられる。このように、付属品の位置及び選択は前もって決定され、ひとたびシート及びその付属品が組み立てられると、ある要素が欠陥品である場合、特殊目的の工具を用いてアセンブリを分解しなければならないか、又は修理がシート全体若しくはアセンブリの交換を伴う。
【0007】
ガラスセラミックシートが、特に大きな面積の場合には重く、かつ適切な場合には、安全及び封止の目的のため、シールの挿入によりそれらの支持体に概して取り付けられているため、解体作業がより一層複雑となっている。結果として、相互作用的かつ/又は多機能的な家具ユニットのワークトップ又は表面を作る電子部材と組み合わせたガラスセラミックの使用は、特にそれが作り出すべき修正可能な性質の設置に関わる問題である場合に、部材の取付又は取り外しに関する問題を示し、欠陥のある要素があった場合に、あらゆる介入が特に複雑であり、必然的に全体の交換を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、物品、例えばワークトップ又は家具ユニットであって、少なくとも1つのガラスセラミックシート、及びその操作のために必要な要素(特に電子設備)、特に操作中に上記の物品内のシートにより隠蔽されている要素で作られている、物品を開発することを求めており、この物品は、特殊目的の工具に頼ることなく、かつシートを交換する必要なく、操作中に上記のシートにより通常は隠蔽されている、その操作のために必要な、その構成部材の要素のより容易な整備を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明による物品によって達せられている。この物品は、特にワークトップ若しくは家具ユニット、又は特に家庭用途及び/若しくは備品用途のための別の器具であり、この物品は、少なくとも1つのガラスセラミックシート及びその操作のための要素(シートは、例えば種々の用途のための電子部材を備えることを意図しており、かつ特に加熱要素を被覆するか又は受けることができる)、要素のうちの少なくとも1つが、安全(又は保護)装置、例えば回路遮断器又は接触器又はブレーカースイッチと組み合わせられている二次元又は三次元可動性支持体(例えばプレート又はケーシング)上に配置されており、それによって、支持体が第一の位置(要素の操作の位置)にあるときに、(支持体上に位置している)上記の要素が、シートの1つの面(特にその下面)を向いて、シートから最大で10cmの(上記の面に対して垂直で、かつ上記の面と要素の最も近い端部との間の)距離で位置しており、かつ作動させることができ、かつ支持体が、その運動により得られる、第二の位置にあるときに、支持体の端部の少なくとも1つ(又は縁の1つ)が、シートに対して少なくとも2mmの距離で、前記シートに対して垂直(特に鉛直に)に移動しており(又はこの距離で位置しており)、かつその第一の位置(支持体が第一の位置にあるときに支持体が占める位置)に対して少なくとも5cmの距離で(シートに対して垂直であっても垂直でなくてもよい)移動しており(又はこの距離で位置しており)、要素が(有利には安全装置の作用により)停止するようにされている。
【0010】
好ましくは、シート又は物品の操作において用いる複数の要素(又は要素の集合体の少なくとも一部)、又はシート又は物品を操作することを可能とする全ての要素が、可動性支持体上に配置されて(位置して)おり、それによって、支持体の第一の(第一及び第二は、相対的な位置を言及するものであり、必ずしもこの順番ではなく、他の介在する又は追加の位置も、潜在的に与えることもできる)位置(要素及び/又はシートの操作の位置)において、上記の要素が、シートの1つの面(特にその下面)を向いて、(上記の面に対して垂直かつ上記の面と上記の要素の各々の最も近い端部との間で)シートから最大で10cmの距離で位置しており、かつ作動させることができ、かつ支持体が、その運動により得られる、第二の位置にあるときに、支持体の端部の少なくとも1つ(又は縁の1つ)が、シートに対して少なくとも2mmの距離で、シートに対して垂直に移動しているか、又はこの距離で位置しており、かつその第一の位置に対して少なくとも5cmの距離で移動しているか、又はこの距離で位置しており、要素のうちの少なくとも幾つか(又は全部)が(有利には安全装置の作動により)停止するようにされており、殆ど危険を示さない要素(例えば操作電圧が12Vac未満又は30Vdc未満であるタブレット又は光源)であって、かつ安全装置と組み合わせられている電気回路から独立して電気回路に接続されている、特定の要素を、適切な場合に作動したままにすることが可能である。
【0011】
可動性支持体は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ガラス、積層体等の材料で作られている、特にプレート又はケーシング又は(特に開いている)ハウジングの形態を採ることができ、この支持体は、好ましくはシートの下方に位置しており、かつ支持体が第一の位置にあるときに向いて位置しているシートの面の表面積の全部又は一部に対応する表面積を占めることができ、支持体は、概して上記の第一の位置におけるシートの上記の面に対して平行又は略平行に配置されている。支持体は、水平に及び/又は鉛直に、並進及び/又は回転運動することができ、それによって、本発明に従って言及する第二の位置におけるシートから少なくとも部分的に離れるように支持体を動かすようにし、更に、支持体は、安全装置と組み合わせられており、この装置は、特に回路遮断器であるか、又は少なくとも1つの手動若しくは自動の回路遮断器、特に、プレートの運動により始動し、かつ用いる装置及び所望の安全性の程度に応じ、プレートの進行における種々の位置で、位置すること若しくは作動することができる、回路遮断器で作られており、それによって、支持体上に位置しているシート又は物品を操作することを可能とする要素に容易かつ安全に近づくことを可能とするようにされている。安全装置は、例えば、支持体が運動したときに電源を切り、それによって、電気システムの通常の使用を防止する、接触スイッチにより作られていてもよい。
【0012】
支持体は、好ましくは回転運動及び/又は少なくとも2つの方向、例えば鉛直及び水平での運動をすることができ、それによって、要素を鉛直にシートから離して移動させ、かつそれらの第一の位置に対して要素を水平にずらし(推移させ)、特に適切な場合にシートにより画定されておりかつそれらの操作位置(支持体の第一の位置)において要素が下方に位置している空間から、要素が離れるようにし、これらの要素は、それらの操作位置において未だシートにより隠蔽されており、かつそれによって、物品の包囲部から(特に、適切な場合には、閉じられているか又はコンパクトな位置にあるときには、家具ユニットの包囲部から)引き抜くこと、並びにそれらのうちの少なくとも1つが介入又は交換を必要とする場合に、視認可能かつ接近可能となることができる。
【0013】
支持体の運動は、例えば回転軸(例えば、シートから離れるように移動することを意図している縁と反対側の縁に沿って位置している軸についての運動であってよく、かつ後で図示するように、この運動によって操作者が支持体上に位置している要素に近づくことを意図しているか、又は局所的には例えば、シートの下方のハッチ等の様式の適切な軸について)についての運動であってもよく、又は(ガイド)レール若しくは滑動部、適切な場合には鉛直及び水平な運動を可能とするレール若しくは滑動部、例えば後で図示するようにおよそS字型であるレール上の運動であってもよく、又は1若しくは複数のラックに沿った運動であってもよい。支持体は、例えば後者の例において、引出しの形状を採ってよく、又は引出しの一部を作っていてもよく、又は引出し内に位置していてもよく、この支持体は、後で図示するように、例えば引出しの視認できる外壁上に位置している取っ手を引っ張ることにより、滑動部に沿って滑動し、かつ滑動部が位置している家具ユニット又は物品から完全に又は部分的に引き出すことができる。
【0014】
支持体が第一の位置にあるときに、支持体上に位置している要素は、シートの下面を向いて、シートから(上記の面に対して垂直に、かつ上記の面と各々の要素に最も近い端部との間で測定した)最大で10cm、好ましくは最大で4cmであり、かつ特に好ましくは1cm未満、有利には5mm未満の距離で位置しており、考えられる要素に応じて、要素がシートと接触していること(例えば誘導加熱器)、又はシートから例えば少なくとも1mm又は数ミリメートルの短い距離にあることが可能であり、この第一の位置は、特にこれらの要素がこれらの機能を行うことを可能とする;支持体が第二の位置にあるときに、その端部の少なくとも1つ、又は支持体全体が、(特に支持体の運動がシートを損傷させず、特に擦過しないために)シートに対して垂直に、シートから少なくとも2mm、好ましくは少なくとも1cmの距離を動かされるか又はこの距離で位置しており、かつその第一の位置に対して少なくとも5cm、特に少なくとも10cm、特に好ましくは少なくとも15cm、特に少なくとも50cmの距離(この距離は、2つの位置の間で測定する)を(支持体をシートから離して動かすために用いた運動と同一の1つの運動で、又は同時の若しくは連続的な第二の運動で)動かされるか又はこの距離で位置しており、この距離はまた、シートの長さ又は奥行きの好ましくは少なくとも30%、又は少なくとも100%に対応しており、それによって、特に要素を適切に見えるようにし、かつ接近可能となるようにする。特に、第二の位置においては、支持体の端部のうちのの少なくとも1つ、又は支持体の全体が、例えば支持体を回転すること若しくは低下させることにより、第一の位置から鉛直に少なくとも10cmの距離で動かされるか又はこの距離で位置しており、及び/又は、例えば支持体を低下させ、次いで並進運動させることにより、シートから鉛直に少なくとも2mmの距離で、かつその第一の位置に対して水平に少なくとも5cm、特に少なくとも10cm、特に好ましくは少なくとも15cm、特に少なくとも50cmの距離で動かされるか又はこの距離で位置しており、この運動は、特に並進又は回転により行われ、特に最後の例においては、第一の位置に対して少なくとも2.5°、特に少なくとも10°、若しくは少なくとも20°、若しくは少なくとも30°、特に少なくとも45°、若しくは少なくとも60°の角度での運動である。
【0015】
安全(又は保護)装置は、好ましくは、支持体が第一の位置から第二の位置へと移動したとき及び/又は電気的な短絡の場合に、支持体上に位置している少なくとも幾つかの要素への電力の供給を遮断すること(例えば、適切な場合には、加熱要素があらゆる燃焼を避けること)を可能とする、少なくとも1つの部材又は装置で作られており、かつ少なくとも上記の機器又は装置の一部の場合に、遮断すべき電気システム(特に適切な場合には、支持体上に位置している他の部分)と組み合わせられており、かつ例えば支持体の運動により始動する、例えば機械的に作動するか又は電気的に作動する装置(回路遮断器、接触器、ブレーカースイッチ等)の形態を採っている。
【0016】
適切な場合には、物品は、(上記の安全装置と独立していてもよく又は独立していなくてもよい)安全装置、例えばブレーキ若しくはダンパーを具備していてよく(又はシートが安全装置と組み合わせられていてよく)、それによって、作動時に操作者が捕捉されることを防止するか、若しくは支持体の過度に鋭い動きを防止するか、又は支持体が(少なくとも)1つの使用位置(特にその第一の位置及び/又は第二の位置)にあるときに固定若しくは係止するための1若しくは複数のエンドストップ、若しくは1若しくは複数の掛け具、若しくは1若しくは複数の装置若しくはシステム(を組み込んでいる安全装置)を、物品が具備しているか、若しくはシートに組み合わせていてよく、それによって、必要な場合に、この位置又は各々の位置における十分な安定性を支持体に与えるようにする。
【0017】
支持体(又は本発明による物品)は、他の部材、例えばそれを扱うための1又は複数の取っ手を備えていてもよく、後で詳述するように、物品が、(支持体上に位置していてもいなくてもよい)種々の要素を備えていることも可能である。適切な場合には、支持体は、各々が独立して動かせても動かせなくてもよい複数の部材の状態であってもよい。
【0018】
本発明による物品は、その表面の1つを作っているガラスセラミックシートにより隠蔽されている、その操作に必要なその構成部材のより容易な整備を可能とし、巧妙な解体操作の必要なしに、かつ外部の要素、例えばシートの取り外しを必然的に伴うことなしに、この整備を完全に安全に実施することが可能となり、それによって、時間の節約を可能とする一方で、同時に、万一要素が機能不全となった場合に、過剰な出費を避ける。更には、提案する解決策は、特に大きい面積である場合に特に重いガラスセラミックシートを操って移動させる必要性をなくし、上記のシート又はその操作に必要な要素のあらゆる損傷を防止し、その一方で同時に、上記の要素が操作位置でシートと組み合わせてその機能を行うこと(例えばその要素により加熱すること、加熱領域を発光させること、又はデータを表示すること)が可能となる。
【0019】
ガラスセラミックシートは、有利には、本発明による物品の1つの面、特に上面の表面積の過半(シートが配置されている面の50%超、好ましくは80%超、特に90%超)、又は全てを占めており、上記のシート又は上記の物品が意図する目的に応じた種々の条件を支持することが可能な連続的な表面を与える。適切な場合には、ガラスセラミックシートは、概してその周囲で、適切な場合には、(ガラスセラミックシートがこの表面積の一部を占めており、この表面積にガラスセラミックシートが嵌め込まれている装置の場合と異なり)これらの部分の間にシールを介在させるいかなる必要もなしに(いかなる介在しているシールもなしに)、少なくとも1つのケーシング又は1若しくは複数の支持脚上に載置されている。ガラスセラミックシートはまた、有利には、一体となっており(又は一体鋳造であるか、又は一体成形として作られている)、かつ(審美的な又は機能的な目的のために基材に作られた可能性のある局所的な変形を除いて)本質的に平坦である。このようにして、ガラスセラミックシートは、主に接続が連続的であり/一様であり/なく、魅力的で、かつ容易に維持できる表面を与える。シートは、適切な場合には、後で特定するように、(特に数十ナノメートル~数百ナノメートル程度の、又はこれを超える程度の)薄い厚さの装飾的な又は機能的なコーティング、例えばエナメル、塗料、薄層等で作られたコーティングを備えていてもよく、又はサンドブラスト若しくはエッチング等により潜在的に装飾されていてもよい。
【0020】
物品が家具ユニット又はワークトップである場合、ガラスセラミックシートは、0.7m2以上、好ましくは0.9m2超、特に1m2超、又は2m2超の表面積(最大の寸法のシートの面の長さ×幅)を特に有していてよい。好ましくは、この場合、シートはまた、次の特徴のうちの1つ及び/又は他方を有する(与えた境界値は含まれる):(標準規格ASTM C 1259に従って測定した)80~100GPaのヤング率、110~220MPaの曲げ強度(70mm×70mm×4mmのプレート上でのリングオントライポッド試験により測定した。直径40mmの円に内接している正三角形の頂点に配置した3つの直径9.5mmの球上にサンプルを載置し、直径10mmの環により5mm/minの進行速度でサンプルの中央に力を印加した。「A statistical distribution of strength of Materials」(Royal Swedish Institute For Engineering Research,W.Weibull,Stockholm 1939,1-45)に記載されているWeibullモデルにより結果を解釈する。得られたデータは、「スケールファクター」とも称され、平均の破断応力を示しており、屈曲の破壊係数(MOR:modulus of rupture)測定であるWeibull法による分析から得られ、MPaで示される)、(標準規格DIN 51936に従って測定した)2W/m.K未満の熱伝導性、250℃~700℃の耐熱衝撃性、2.3~2.7の密度、(標準規格DIN12116に従って測定した)0~2mg/cm2の耐酸性、及び(標準規格ISO 695に従って測定した)0~1mg/cm2の耐塩基性。
【0021】
本発明によるガラスセラミックシートは、有利には平坦(又は支配的に若しくは実質的に平坦)であり、かつ基材の大きさ/表面積/対角線に応じ、特に基材の対角線の0.1%未満、好ましくは3mm未満、特に2mm未満、特に1mm未満、又は約ゼロの平坦さ(審美的な又は機能的な目的のために基材に生み出されたあらゆる可能性のある意図的な変形を除いた、基材の平均の平面に対する、基材の最高点と最低点との間の高さ)を有する。平坦さは、Visuolにより販売されているSurFlatうねり測定器により測定される。概して、ガラスセラミックシートは、特に長方形、実際には正方形、実際には円形若しくは楕円形等の形状を有し、かつ概して使用位置において「上」面(視認可能である面)、使用位置において別の「下」面(概して上記のシートを組み込んでいる家具の枠組又はケーシングに隠れている)、及び端面(又は縁又は厚さ)を示している。上面は、概して平坦であり、かつ滑らかであるが、少なくとも1つの突出領域及び/又は少なくとも1つの凹部及び/又は少なくとも1つの開口部及び/又は勾配付きの縁等を示してもよく、これらの形状の変化は、有利にはシートにおける(材料の変化又は継ぎ目がない)連続的な変化を構成している。下面は、特に平坦であってよく、又はその機械的強度を上昇させ、かつ例えば圧延により得られるスタッドを備えている。
【0022】
ガラスセラミックシートの厚さは、少なくとも2mm、特に少なくとも2.5mmであり、概して30mm未満、特に15mm未満であり、特に3~15mm程度である。
【0023】
ガラスセラミックは、ゼロ又は実質的にゼロの膨張係数、特に20℃~400℃での30x10-7K-1未満、及び好ましくは13x10-7K-1未満の膨張係数を有し、かつ特にリチウムアルミノケイ酸塩ガラスセラミックである。特に、ガラスセラミックは、所望の用途及び所望の外観に応じ、暗色(黒色、暗褐色)又は薄色(白色、クリーム色)であってよく、かつ半透明又は不透明又は透明であってよい。ガラスセラミックは、特にヒ素で精製されていてもよく(すなわち、0.5重量%~1.5重量%程度の(As2O3として示す)酸化ヒ素を含有している組成(を有する母材ガラス)を有する)、又はヒ素で精製されていなくてもよく(特に0.2%未満、特に0.1%未満、又はゼロの酸化ヒ素の含有率を有する)、錫で精製されており、又は硫化物で精製されており、また圧延により又はフロート処理により得てもよい。
【0024】
殆どの場合かつ好ましくは本発明に従い、本発明による物品を作るために用いるシートは、一体となっており、かつ同時に以下を有する:15mm未満の厚さ;20℃~400℃での30x10-7K-1未満の膨張係数;0.7m2以上の表面積。
【0025】
本発明による物品はまた、操作のために必要な要素、より具体的には上記のガラスセラミックシートの操作のために必要な要素で作られている。これらの要素は、例えば1又は複数の加熱要素(例えば誘導コイル)、1又は複数の表示システム、1又は複数の電子ボード、1又は複数の光源、1又は複数の制御ユニット若しくはインターフェース、1又は複数のセンサー、1又は複数の充電器(例えば誘導コイル、電話等の充電器)、特に無線充電器、1又は複数の導線、(鍋タイプの物体が近づいてきていることを知らせる)1又は複数の可聴若しくは振動要素等であってよい。
【0026】
例えば、このシートは、1又は複数の光源、特に発光ダイオードで作られており、かつ例えば1若しくは複数の領域、又はシートの1若しくは複数の要素若しくは表示を、特にシートを通る光の透過により具現化する(視認可能にする)ことを意図する、1又は複数の光源を備えていてもよい。これらの光源は、(例えば表面の下に配置され、かつコネクターを用いて同様に取り付けることができるセンサーを用いた)シートの表面上の接触により、又は(特に無線通信により)遠隔的に、実際には手の単純な運動により(例えば、適切な場合には、外部に配置され、かつ例えば三角測量により動きを記録して、特に適切なアルゴリズム及び適切なインターフェースを用いて、運動を機能の作動に変換する、センサーにより)、又は適切な場合には、所定の物体をシートの所定の位置に配置することにより、作動することができる(キー、ロゴ、又はキーパッド等の形態の)操作を示すことを特に可能とする。光源は、例えば適切なインターフェースを用いた無線通信によりダウンロードし、かつ光源からシートの表面上に投影し又は透過した装飾又は種々のデータ(表示するデータ、例えばコンピューターページ、調理レシピ等)を表示することも可能とする。
【0027】
シートは、光源に関して記載したように、種々の方法で作動することもできる1又は複数の加熱要素、例えば誘導コイル、放射要素を備えていてよく、かつ少なくとも1つの隣接する要素(例えば光源又は加熱要素)との接続インターフェース、及び/又は適切な場合には少なくとも1つの外部要素、例えば無線通信のための外部モジュールを備えていてよく、上記のインターフェースは、例えば制御ユニット、タブレット若しくはタッチスクリーン、Bluetooth、WLAN、wifi、RFIDチップ、Lifi等のタイプのシステムである。
【0028】
シートは、上記で言及したように、他の要素、例えば1又は複数の導波管、及び種々の他の部材、特に電気及び/又は電子部材、例えば(例えば電話、誘導コイル等のための)充電器、1又は複数の導線、可聴若しくは振動要素等を備えていてもよい。
【0029】
シートは、必要に応じて特にガラスセラミックに概して用いられているコーティングの中から、種々の機能的及び/又は装飾的なコーティング、例えばエナメル、塗料、薄層(例えば金属、誘電体等)等をベースとするコーティングを具備していてもよい。例えば、1つの面は、装飾目的を有する、及び/又は1又は複数の要素(表示部等)に信号を送るための、及び/又は(例えば光源が直視されることを防止するための)マスキングとして働く、及び/又は(光抽出部としての、又は均一な照明を与える等のための)他の機能のための、1若しくは複数のエナメル層、又は1若しくは複数のエナメルパターンを具備していてもよい。シートは、1又は複数の追加の性質、例えば耐擦過性、機械的強度、非マーキング性、あふれ出し防止性等をシートに与える1又は複数の機能層を備えていてもよく、特に1又は複数のコーティングは、コーティングのタイプ及び所望の機能に応じ、視認できる面又は反対側の面に存在することが可能である。
【0030】
本発明は、特に、物品として、ガラスセラミックシートにより作られており、かつ種々の活動を同時に又は連続的に行うことを可能とすることができ、かつ/又は物体を支持する表面又はプレート、特に大きな面積の上面又はプレートを具備している、テーブル又はワークトップ又は家具ユニットに関する。この家具ユニットは、例えば部屋の中央の島状構造物、例えばアイランドキッチン、又は種々の用途、例えば実験テーブル、テーブル若しくはコーヒーテーブルのための随意のワークテーブル若しくはワークトップ、又は代替的に、サイドテーブルのユニット、食器棚タイプ、収納家具の物品、カウンタートップ等であってよい。
【0031】
本発明による物品は、特にガラスセラミックシート、特に大きな面積の、セラミック化により得られるガラスセラミックシートから、適切な場合にはケーシング又は支持脚の上で、ガラスセラミックシートを配置して、例えば接合(両面テープ、シリコーン、磁性ストリップ等によりガラスセラミックシートを取り付け、そしてガラスセラミックシートを取り付ける前又は取り付けている間に、可動性支持体及び(要素のうちの少なくとも幾つかの場合には)可動性支持体上に配置されているその操作に必要な要素をガラスセラミックシートと組み合わせることにより製造される。
【0032】
実際には、概して以下のようにしてガラスセラミックシートを製造する:ガラスセラミックを作るために選択した組成を有するガラスを溶融炉で溶融させ、次いで、溶融ガラスを成形ローラーの間で通過させることにより、溶融ガラスを巻き取って標準的なリボン又はシートを与え、ガラスリボンを所望の寸法に切断する。次いで、既に切断されているか又は切断されていないプレートを、それ自体公知の方法でセラミック化する。セラミック化は、ガラスを、「ガラスセラミック」と称され、膨張係数がゼロ又は実質的にゼロであり、かつ700℃までもの耐熱衝撃性を有する、多結晶材料へと変化させるため、選択された温度プロファイルに従ってプレートを焼成することからなる。概して、セラミック化は、概してガラス転移領域の付近に存在する核形成領域まで温度を徐々に上昇させる段階、核形成範囲を数分間かけて通過させる段階;セラミック化安定相の温度まで、新たに温度を徐々に上昇させる段階;セラミック化安定相の温度で数分間保持する段階;及び次いで周囲温度まで急速に冷却させる段階を含む。
【0033】
本発明による大きなサイズのシート、特に0.7m2超の表面積を有するシートを得るためには、0.4m2未満の表面積を有するガラスセラミック基材を得るための最適かつ一般的なやり方である速度、長さ又は滞留時間に対してそれぞれ、セラミック化サイクルの間の移動速度を、選択的に、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%低減させるか、又はセラミック化徐冷窯の長さ若しくはセラミック化徐冷窯における滞留時間を、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%上昇させる。
【0034】
適切な場合には、この方法は、例えば水噴射物、切断砥石による機械的な切込み等の、(概してセラミック化前の)切断操作、続いて成形操作(研磨、面取り等)を含む。この方法は、特定の突出部を作るため、圧延又は沈下湾曲工程を含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の他の有利な特徴及び詳細は、本発明の実施態様の非限定的な記載から、添付図面を参照しながら以下で明らかにしよう。
【0036】
【
図1】
図1は、物品の操作を可能とする要素が隠蔽されておりかつ作動させることができる第一の位置における、本発明の第一の実施態様による物品の概略透視図を示している;
【
図2】
図2は、要素を支えている支持体が第一の位置にあるときの、
図1の物品の(家具ユニットのサイドパネル及び引出しのサイドパネルがこの側から取り外されている)部分的な概略側面図を示している;
【
図3】
図3は、このとき、支持体が、要素が接近可能でありかつ停止しているその第二の位置にあることを除き、
図2と類似の部分的な側面概略図を示している;
【
図4】
図4は、支持体が、物品を操作することを可能としている要素が接近可能でありかつ(少なくとも幾つかの場合)停止している位置にある状態である、本発明の第二の実施態様による物品の概略透視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面全体を通して、同一のタイプの要素を示すために、同一の参照番号を用いており、図を理解しやすくするため、全ての要素を同じ縮尺に描いていない。
【0038】
図1~3においては、本発明による物品は、食事の準備及び消費、物体の支持、食物の調理等を含む種々の(連続的な又は同時の)用途を意図している、家具ユニット(1)、例えばアイランドキッチンユニットであり、このユニットは、2.88m
2の表面積を有する一体となっているガラスセラミック基材(4)で全体が作られている(すなわちワークトップの全面が作られている)ワークトップ(3)を載置している、寸法240cm(長さ)×120cm(奥行き)×95cm(高さ、ケーシング基底部(2’)を含む)のケーシング(2)で構成されている。この基材は、例えば、Eurokera社により呼称KeraBlack+の下で販売されている種類のシートであり、このシートは、平滑な上面及びスタッドのある下面を有し、かつ6mmの厚さを有している。この基材は、例えば、国際公開第2012156444号パンフレットと同等であるが、セラミック化徐冷窯を通過する速度を50%低減させた手順により得られ、得られたガラスセラミック基材は、2mm未満の平坦さを示している。
【0039】
物品はまた、取っ手(6)を取り付けている寸法238cm(長さ)×100cm(奥行き)×5cm(高さ)の引出し(5)、及び同様に取っ手(6’)を取り付けているドア(7)、並びに適切な場合には、シートの操作のための要素(8)を具備しており、これらの要素は、特にこの例においては、シートの下部に配置されている、食品の調理のための加熱要素、例えば誘導要素である。加熱要素の設置位置は、適切な場合には、装飾(9)により、例えばエナメルで、シートの表面で示してよく、必要に応じて加熱領域を画定する(
図1においては、4つの加熱領域をこのように示している)。
【0040】
加熱要素は、例えば滑走部及び/又は台車及び/又はローラー及び/又はシューのシステム(11)を介して、引出しの内側(特に対向している側壁の各々で)に位置しているS字型のガイドレール(12)上に載置されているプレートの形態の支持体(10)上に位置しており、引出しは、それ自体、例えば伸縮自在タイプでかつ引出しの側縁の各々に沿って位置している1又は複数の滑動部(13)上に載置されている。
【0041】
引出しが作動したとき、加熱要素及び適切な場合にはシート又は物品の操作のための他の要素が位置している支持体は、レール(12)に沿って移動し、要素がシートの下面を向いて位置しており、かつそれらの少なくとも幾つか(例えば加熱要素)の場合、上記のシートに接して/シートから離れる距離がゼロで位置しており、又は、適切な場合には、他の場合(例えばタッチパッド又は充電器)に、上記のシートから少なくとも1mm及び10cm未満の距離(この距離は、上記の面に対して垂直に、かつ上記の面と各々の要素に最も近い端部との間で測定した)で位置しており、かつ作動することができる、第一の位置(
図2)から、支持体の全体が、シートに対して、少なくとも50cmの距離にわたって水平に、かつシートに対して少なくとも2mm、好ましくは少なくとも1cmの距離にわたって鉛直に動かされている位置であり、かつ要素(8)が停止しておりかつ接近可能である、支持体の第二の位置(
図3)へと通過し、要素は、プレートの運動の間に、安全装置(図示していないが、例えば引出し又は支持体の後部に位置している)により、例えば回路遮断器の作動により、及び/又は接触器の解除により停止されることとなる。
【0042】
引出しを押し戻したときに、低い位置にある支持体は、ユニット内の高い位置へと徐々に戻り、次いで、引出しがその初期位置で寄りかかると、係止システム(図示せず)は、アセンブリを操作位置で固定することができ、かつ接触器は、例えば、電流を供給することによりプレート上の要素を操作することを再び可能とする。上記の接触器は、引出しの前面がユニットと接した(又は支持体がその第一の位置にある)時点にのみ作動する。
【0043】
図4に示した実施態様においては、ユニット(1)は、前と同様に一体となっているガラスセラミック基材(4)で全体が作られているワークトップ(3)を載置しており、かつシートの下部に配置されており、食品の調理のための加熱要素(8)、例えば誘導要素を備えている、前の図のケーシングと類似するケーシング(2)で前と同様に作られており、加熱要素の設置位置は、装飾(9)によりシートの上面に示されており、このとき、ユニットは、2つのドア(7’)、及び少なくとも上記の加熱要素を支えるための支持体を備えているが、このとき、シートから離れるように移動することを意図している縁(15)と反対側の縁(14)ついての回転により可動性であり、それによって操作者が(図示したような)支持体上に位置している要素に近づくことを意図しているか、又は局所的には例えばシートの下方のハッチの様式の適切な軸についての回転により可動性である。
【0044】
支持体は、支持体上の要素がシートの下面を向いて位置しており、かつそれらの少なくとも幾つか(例えば加熱要素)の場合、上記のシートに接して/シートから離れる距離がゼロで位置しており、又は、適切な場合には、他の場合(例えばタッチパッド(17)又は充電器)に、上記のシートから少なくとも1mm及び10cm未満の距離で位置している、その第一の位置において、支持体をシートに接した状態にする掛け金(又は係止システム)により固定することができる。ユニットのドアを開いて掛け金を取り外すことにより、その結果、支持体は、(矢印で示したように)下方に戻り、支持体の端部(15)が(本質的に鉛直に)20cmの距離にわたって(及び20°の回転の角度で)動かされており、かつ要素(8)が停止しておりかつ接近可能である、(
図4に示した)第二の位置を通過し、これらの要素は、例えば、接触器(図示せず)の解除による、支持体の解除及び運動の間に停止する。適切な場合には、支持体は、必要に応じて支持体をその第二の位置に保持することを可能とする、支え(16)(追加の安全装置)を備えていてもよい。
【0045】
支持体は、他の要素、例えばタッチスクリーン又はタブレット(17)を具備していてもよく、これらの要素は、支持体が旋回したときに停止することが可能であり、又は停止しないことも可能である。
【0046】
上記の図に示したユニットは、種々の目的、例えば描画すること、物体を支持すること (特に食事、又は熱い可能性がある調理容器を下に置くこと等を可能とする)キッチンテーブルとしての使用等のために用いることができる。適切な場合には、ケーシングを、支持脚で置き換えて(ワークトップの下の設備は、シートの下の数センチメートルの厚さで局所的に閉じ込めることにより、隠蔽することができる)、テーブルに見せることもできる。
【0047】
本発明による設備は、適切な場合には、それらの部材の幾つかの大きさ及び重量にかかわらず、より修理がより容易である、新規な範囲の多目的な家具ユニットを生み出すために特に有利に用いることができる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~11に記載する。
〈項目1〉少なくとも1つのガラスセラミックシート及びその操作のための要素で構成されている、物品、特に家庭用途及び/又は備品用途のための物品、特にワークトップ又は家具ユニットであって、前記要素のうちの少なくとも1つが、安全装置と組み合わせられている二次元又は三次元可動性支持体上に配置されており、それによって、前記支持体が第一の位置にあるときに、前記要素が、前記シートの1つの面を向いて、前記シートから最大で10cmの距離で位置しており、かつ作動させることができ、かつ前記支持体が、その運動により得られる第二の位置にあるときに、前記支持体の端部の少なくとも1つが、前記シートに対して少なくとも2mmの距離で、前記シートに対して垂直に移動しているか、又はこの距離で位置しており、かつその第一の位置に対して少なくとも5cmの距離で移動しているか、又はこの距離で位置しており、前記要素が停止するようにされている、物品。
〈項目2〉前記シート又は前記物品の操作において用いる前記要素のうちの少なくとも幾つか、又は全ての前記要素が、前記可動性支持体上に配置されており、前記支持体が前記第一の位置にあるときに、前記要素が、前記シートの1つの面、特にその下面を向いて、前記面に対して垂直かつ前記面と前記要素の各々の最も近い端部との間で、前記シートから最大で10cmの距離で位置していること、及び前記支持体が前記第二の位置にあるときに、前記要素のうちの少なくとも幾つかが停止しており、有利には前記安全装置の作動により停止していることを特徴とする、項目1に記載の物品。
〈項目3〉前記可動性支持体が、プレート又はケーシング又はハウジングの形態を採っており、好ましくは前記シートの下方に位置しており、前記支持体が、水平に及び/又は鉛直に、並進及び/又は回転運動をすることができ、それによって、前記第二の位置において前記シートから少なくとも部分的に離れるように支持体を動かすようにすることを特徴とする、項目1又は2に記載の物品。
〈項目4〉前記支持体が前記第一の位置にあるときに、前記支持体上に位置している前記要素が、前記シートから最大で4cm、好ましくは1cm未満、有利には5mm未満の距離で、前記シートの下面を向いて位置しており、かつ前記支持体が前記第二の位置にあるときに、前記支持体の端部のうちの少なくとも1つ、又は前記支持体の全体が、例えば前記支持体を回転又は下降させることにより、その第一の位置に対して少なくとも5cm、特に少なくとも10cm、特に好ましくは少なくとも15cm、特に少なくとも50cmの距離で位置しており、特にその第一の位置から鉛直に少なくとも10cmの距離で位置しており、かつ/又は、例えば前記支持体を下降させ、続いて並進運動させることにより、前記シートから鉛直に少なくとも2mmの距離で、かつその第一の位置から水平に少なくとも5cmの距離で位置していることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の物品。
〈項目5〉前記安全装置が、少なくとも1つの手動又は自動の回路遮断器、特にプレートの運動及び/又は短絡により始動する回路遮断器、及び/又は接触器及び/又は遮断器スイッチで作られていることを特徴とする、項目1~4のいずれか一項に記載の物品。
〈項目6〉前記支持体の運動が、回転軸について、例えば、前記シートから離れるように移動することを意図している縁と反対側の縁に沿って位置している回転軸について、前記支持体の前記第一の位置に対して少なくとも2.5°、特に少なくとも10°、若しくは少なくとも20°、若しくは少なくとも30°、特に少なくとも45°、若しくは少なくとも60°の角度での運動であるか、又はガイドレール若しくは滑動部、適切な場合には鉛直及び水平な運動を可能とする、例えばおよそS字型である、ガイドレール若しくは滑動部に沿った運動であることを特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載の物品。
〈項目7〉安全装置、例えば作動時に操作者が捕捉されることを防止するか、若しくは前記支持体の過度に鋭い動きを防止するブレーキ、又は例えば1若しくは複数のエンドストップ、若しくは1若しくは複数の掛け具、若しくは前記支持体を少なくとも1つの使用位置で固定するための1若しくは複数の装置を、前記物品が具備しているか、又は前記シートに組み合わせていることを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載の物品。
〈項目8〉前記ガラスセラミックシートが配置されている面の50%超、好ましくは80%超、特に90%超の表面を、前記ガラスセラミックシートが占めているか、又は前記物品の1つの面、特に上面の表面積の全てを占めており、前記シートが、中間のシールなしに、特に少なくとも1つのケーシング又は1又は複数の支持脚の上に載置されていることを特徴とする、項目1~7のいずれか一項に記載の物品。
〈項目9〉前記シートが、15mm未満の厚さ、20℃~400℃での30×10
-7
K
-1
未満の膨張係数、及び0.7m
2
以上の表面積を有する一体となっているシートであることを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載の物品。
〈項目10〉前記物品又は前記シートが、その操作において用いる要素として、次の要素のうちの少なくとも1つを具備していることを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の物品:加熱要素、光源、可聴若しくは振動要素、表示システム、電子ボード、制御インターフェース若しくはユニット、又はセンサー。
〈項目11〉前記物品が、テーブル又はワークトップ又は家具ユニット、例えば部屋の中央の島状構造物ユニット、アイランドキッチンユニット、実験テーブル、コーヒーテーブル、サイドテーブル、食器棚、収納家具の物品、又はカウンタートップであることを特徴とする、項目1~10のいずれか一項に記載の物品。