(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】被覆部材、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01B 17/56 20060101AFI20220330BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220330BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20220330BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H01B17/56 F
H02G3/04 062
H01B7/00 301
B60R16/02 622
(21)【出願番号】P 2019195860
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田坂 佳郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充洋
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-129240(JP,A)
【文献】実開平05-091114(JP,U)
【文献】国際公開第2016/153045(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0302034(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0054064(US,A1)
【文献】特開2016-025666(JP,A)
【文献】特開2018-082522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/56
H02G 3/04
H01B 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向から視た場合において、周方向の両端に本体両端部を有して配索材の一部を被覆する本体部と、
前記本体部における内部空間に前記配索材の一部が介在した状態で前記本体部に前記配索材を固定する結束部材と、
を備え、
前記本体部は、前記軸線方向から視た場合において、ベース領域と、前記ベース領域を挟んだ一方に位置する第1オーバラップ領域、及び、他方に位置する第2オーバラップ領域とを有し、
前記第1オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第1端部を含み、
前記第2オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第2端部を含み、
前記ベース領域は、前記第1オーバラップ領域と前記第2オーバラップ領域とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成され、
前記本体両端部は、前記内部空間と外部とを連通する一対の開口部における一方の開口部から他方の開口部まで形成され
、
前記本体部は、前記一方の開口部に対応する位置において、径方向の外側に突出して形成されるフランジ部を有し、
前記フランジ部は、前記軸線方向から視た場合において、前記周方向の両端にフランジ両端部を有し、
前記フランジ両端部のうちの一方の端部は、前記ベース領域と前記第1オーバラップ領域との境界に位置し、前記フランジ両端部のうちの他方の端部は、前記本体両端部のうちの前記第2端部に位置することを特徴とする、
被覆部材。
【請求項2】
前記本体部は、前記軸線方向から視た場合において、前記第1オーバラップ領域における径方向の外側が切り欠かれることによって前記第1オーバラップ領域の厚さが前記ベース領域の厚さよりも薄く、かつ、前記第2オーバラップ領域における径方向の内側が切り欠かれることによって前記第2オーバラップ領域の厚さが前記ベース領域の厚さよりも薄い、
請求項
1に記載の被覆部材。
【請求項3】
前記本体部は、
前記軸線方向に対して直交する第1直交方向において互いに対向する一対の湾曲部と、
前記一対の湾曲部において、前記軸線方向及び前記第1直交方向に対して直交する第2直交方向の一方側の端部間を連結する第1直線状部と、
前記一対の湾曲部のうちの第1湾曲部における前記第2直交方向の他方側の端部から第1直交方向に沿って延在して前記第1直線状部に対向する第2直線状部と、
前記一対の湾曲部のうちの第2湾曲部における前記第2直交方向の他方側の端部から第1直交方向に沿って延在して前記第1直線状部に対向する第3直線状部と、
によって形成され、
前記ベース領域は、前記第1直線状部と、前記第1湾曲部と、前記第2湾曲部とであり、
前記第1オーバラップ領域は、前記第2直線状部であり、
前記第2オーバラップ領域は、前記第3直線状部である、
請求項1
又は2に記載の被覆部材。
【請求項4】
前記本体部は、前記軸線方向において前記フランジ部から離隔して位置し、径方向の外側に膨出する膨出部を有し、
前記フランジ部と前記膨出部との間に位置する凹部に前記結束部材が配置される、
請求項
1に記載の被覆部材。
【請求項5】
前記配索材は、
導電性を有して前記軸線方向に延在する電線と、
前記電線の外周面を覆い導電性材料によって形成される編組導体と、
前記編組導体に対して電気的に接続され、電線の前記軸線方向における一端部の外周面を覆うシールドシェルとを備え、
前記本体部は、前記結束部材によって前記シールドシェルに固定される、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の被覆部材。
【請求項6】
軸線方向に延在する配索材と、
被覆部材と、
を備え、
前記被覆部材は、
軸線方向から視た場合において、周方向の両端に本体両端部を有して配索材の一部を被覆する本体部と、
前記本体部における内部空間に前記配索材の一部が介在した状態で前記本体部に前記配索材を固定する結束部材と、
を備え、
前記本体部は、前記軸線方向から視た場合において、ベース領域と、前記ベース領域を挟んだ一方に位置する第1オーバラップ領域、及び、他方に位置する第2オーバラップ領域とを有し、
前記第1オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第1端部を含み、
前記第2オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第2端部を含み、
前記ベース領域は、前記第1オーバラップ領域と前記第2オーバラップ領域とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成され、
前記本体両端部は、前記内部空間と外部とを連通する一対の開口部における一方の開口部から他方の開口部まで形成され
、
前記本体部は、前記一方の開口部に対応する位置において、径方向の外側に突出して形成されるフランジ部を有し、
前記フランジ部は、前記軸線方向から視た場合において、前記周方向の両端にフランジ両端部を有し、
前記フランジ両端部のうちの一方の端部は、前記ベース領域と前記第1オーバラップ領域との境界に位置し、前記フランジ両端部のうちの他方の端部は、前記本体両端部のうちの前記第2端部に位置することを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆部材、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤハーネスの中には、軸線方向に延在する配索材と、配索材を被覆するグロメット等の被覆部材とを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。被覆部材における一方の開口部が、結束部材である結束バンドによって取り付けるシールドシェルの筒状部の形状に対応するように形成される。言い換えれば、ある特定のシールドシェルの筒状部にはある特定の大きさの開口部を有する被覆部材を設け、別のシールドシェルの筒状部には別の大きさの開口部を有する被覆部材を設けて、シールドシェルの筒状部の形状に応じた開口部を有する被覆部材をそれぞれ設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した被覆部材は、配索材であるシールドシェルの筒状部の形状に応じて一方の開口部の設計を変更する必要がある。その結果、被覆部材の種類が増加してコスト増等を招くこととなる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、配索材の形状によって個別に設計する必要のない汎用性を有する被覆部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る被覆部材は、軸線方向から視た場合において、周方向の両端に本体両端部を有して配索材の一部を被覆する本体部と、前記本体部における内部空間に前記配索材の一部が介在した状態で前記本体部に前記配索材を固定する結束部材と、を備え、前記本体部は、前記軸線方向から視た場合において、ベース領域と、前記ベース領域を挟んだ一方に位置する第1オーバラップ領域、及び、他方に位置する第2オーバラップ領域とを有し、前記第1オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第1端部を含み、前記第2オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第2端部を含み、前記ベース領域は、前記第1オーバラップ領域と前記第2オーバラップ領域とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成され、前記本体両端部は、前記内部空間と外部とを連通する一対の開口部における一方の開口部から他方の開口部まで形成され、前記本体部は、前記一方の開口部に対応する位置において、径方向の外側に突出して形成されるフランジ部を有し、前記フランジ部は、前記軸線方向から視た場合において、前記周方向の両端にフランジ両端部を有し、前記フランジ両端部のうちの一方の端部は、前記ベース領域と前記第1オーバラップ領域との境界に位置し、前記フランジ両端部のうちの他方の端部は、前記本体両端部のうちの前記第2端部に位置することを特徴とする。
【0008】
また、上記被覆部材において、前記本体部は、前記軸線方向から視た場合において、前記第1オーバラップ領域における径方向の外側が切り欠かれることによって前記第1オーバラップ領域の厚さが前記ベース領域の厚さよりも薄く、かつ、前記第2オーバラップ領域における径方向の内側が切り欠かれることによって前記第2オーバラップ領域の厚さが前記ベース領域の厚さよりも薄い、ことが好ましい。
【0009】
また、上記被覆部材において、前記本体部は、前記軸線方向に対して直交する第1直交方向において互いに対向する一対の湾曲部と、前記一対の湾曲部において、前記軸線方向及び前記第1直交方向に対して直交する第2直交方向の一方側の端部間を連結する第1直線状部と、前記一対の湾曲部のうちの第1湾曲部における前記第2直交方向の他方側の端部から第1直交方向に沿って延在して前記第1直線状部に対向する第2直線状部と、前記一対の湾曲部のうちの第2湾曲部における前記第2直交方向の他方側の端部から第1直交方向に沿って延在して前記第1直線状部に対向する第3直線状部と、によって形成され、前記ベース領域は、前記第1直線状部と、前記第1湾曲部と、前記第2湾曲部とであり、前記第1オーバラップ領域は、前記第2直線状部であり、前記第2オーバラップ領域は、前記第3直線状部である、ことが好ましい。
【0010】
また、上記被覆部材において、前記本体部は、前記軸線方向において前記フランジ部から離隔して位置し、径方向の外側に膨出する膨出部を有し、前記フランジ部と前記膨出部との間に位置する凹部に前記結束部材が配置される、ことが好ましい。
【0011】
また、上記被覆部材において、前記配索材は、導電性を有して前記軸線方向に延在する電線と、前記電線の外周面を覆い導電性材料によって形成される編組導体と、前記編組導体に対して電気的に接続され、電線の前記軸線方向における一端部の外周面を覆うシールドシェルとを備え、前記本体部は、前記結束部材によって前記シールドシェルに固定される、ことが好ましい。
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係るワイヤハーネスは、軸線方向に延在する配索材と、被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、軸線方向から視た場合において、周方向の両端に本体両端部を有して配索材の一部を被覆する本体部と、前記本体部における内部空間に前記配索材の一部が介在した状態で前記本体部に前記配索材を固定する結束部材と、を備え、前記本体部は、前記軸線方向から視た場合において、ベース領域と、前記ベース領域を挟んだ一方に位置する第1オーバラップ領域、及び、他方に位置する第2オーバラップ領域とを有し、前記第1オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの一方の第1端部を含み、前記第2オーバラップ領域は、前記本体両端部のうちの第2端部を含み、前記ベース領域は、前記第1オーバラップ領域と前記第2オーバラップ領域とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成され、前記本体両端部は、前記内部空間と外部とを連通する一対の開口部における一方の開口部から他方の開口部まで形成され、前記本体部は、前記一方の開口部に対応する位置において、径方向の外側に突出して形成されるフランジ部を有し、前記フランジ部は、前記軸線方向から視た場合において、前記周方向の両端にフランジ両端部を有し、前記フランジ両端部のうちの一方の端部は、前記ベース領域と前記第1オーバラップ領域との境界に位置し、前記フランジ両端部のうちの他方の端部は、前記本体両端部のうちの前記第2端部に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る被覆部材及びワイヤハーネスのベース領域は、第1オーバラップ領域と第2オーバラップ領域とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成される。この結果、本発明に係る被覆部材は、異なる形状の配索材に取り付けることができるから、配索材の形状によって個別に設計する必要はなく、汎用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る被覆部材を備えるワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、軸線方向から被覆部材を視た場合におけるベース領域と、第1オーバラップ領域と、第2オーバラップ領域とを示す断面図である。
【
図4】
図4は、ワイヤハーネスの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、配索材に対する非取付状態において、被覆部材の斜視図である。
【
図6】
図6は、配索材に対する非取付状態において、軸線方向に対して直交する平面における被覆部材の断面図である。
【
図7】
図7は、シェル筒状部の大きさが異なる別のシールドシェルに一方の開口部を取り付けた状態において、軸線方向から被覆部材を視た場合におけるベース領域と、第1オーバラップ領域と、第2オーバラップ領域とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明における実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
[実施形態]
実施形態に係るワイヤハーネスWH1、及び、被覆部材3について詳細に説明する。また、以下の説明では、互いに直交する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「第1直交方向Y」といい、第3方向を「第2直交方向Z」という。軸線方向Xは、配索材Wを構成する第1電線Wa1が、被覆部材3における本体部3Aの内部空間3sを延在する方向である。第1直交方向Yは、本体部3Aを構成する一対の湾曲部33a、33bが互いに対向する方向である。第2直交方向Zは、本体部3Aを構成する第1直線状部34と第2直線状部35とが互いに対向する方向であり、かつ、第1直線状部34と第3直線状部36とが互いに対向する方向である。
【0017】
図1に示す本実施形態に係る被覆部材3は、自動車等の車両に搭載されるワイヤハーネスWH1に組み込まれ、軸線方向Xに延在する配索材Wの一部を被覆し、当該配索材Wの一部を保護するものである。ワイヤハーネスWH1は、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ1等で複数の配索材Wを各機器に接続するものである。ワイヤハーネスWH1は、例えば、配索材Wと、被覆部材3とを備える。配索材Wは、例えば、第1電線Wa1と、編組導体Whと、コネクタ1と、シールドシェル2とを備える。第1電線Wa1は、導電性を有して軸線方向Xに延在する。このような第1電線Wa1は、例えば、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。第1電線Wa1は、端末に金属端子Wb1を設けてある。金属端子Wb1は、導電性を有する金属材料によって貫通孔を有する円環状に形成する。編組導体Whは、2本の第1電線Wa1の外周面を覆い導電性材料によって形成され、第1電線Wa1から発生するノイズが外部に侵入することを抑制する。編組導体Whは、複数の編組線を網目状に編み込んで筒状に形成される。なお、
図1、
図2、
図4に示す編組導体Whは、図示の便宜のため、編組導体Whにおける網目形状を省略してある。編組導体Whの軸線方向Xにおける一端部は、シールドシェル2と電気的に接続してあり、シールドシェル2、及び、相手方コネクタ100の接地部材を介して接地される。コネクタ1は、第1電線Wa1の端末に設けられた金属端子Wb1、及び、相手方電線Wa2の端末に設けられた相手方金属端子Wb2を収容する(
図2参照)。シールドシェル2は、編組導体Whに対して電気的に接続され、第1電線Wa1の軸線方向Xにおける一端部の外周面を覆う。なお、ワイヤハーネスWH1は、この他、さらに、電気接続箱、グロメット等を含んで構成されてもよい。以下、各図を参照してコネクタ1の構成について詳細に説明する。
【0018】
図1、
図2、
図4に示すコネクタ1は、相手方コネクタ100に取り付けるものであって、絶縁性の合成樹脂によって一体的に形成される。本実施形態のコネクタ1は、第1電線Wa1の端末に設けられた金属端子Wb1を収容空間10sに収容する。コネクタ1は、底壁部11と、一対の側壁部12、13と、連結壁部14とを有する。そして、コネクタ1は、底壁部11と、一対の側壁部12、13と、連結壁部14とによって形成される、収容空間10s、シェル挿通開口部15、及び、相手方コネクタ開口部16を含む。
【0019】
底壁部11は、収容空間10sを区画するための壁体である。底壁部11は、例えば、平板矩形状に形成する。
【0020】
一対の側壁部12、13は、収容空間10sを区画するための壁体であり、第1直交方向Yにおいて互いに対向する。本実施形態における一対の側壁部12、13は、第1直交方向Yに対して底壁部11を挟んで底壁部11の両側に設けられ、底壁部11から第2直交方向Zへ突出して形成される。
【0021】
連結壁部14は、収容空間10sを区画するための壁体であり、一対の側壁部12、13の軸線方向Xにおける一方側の端部12a、13a間を連結し、第1直交方向Yに沿って延在する。本実施形態における連結壁部14は、底壁部11の軸線方向Xにおける一方側の端部に11aに連結される。
【0022】
収容空間10sは、コネクタ1の内部において、第1電線Wa1の端末に設けられた金属端子Wb1、及び相手方コネクタ100の相手方電線Wa2の端末に設けられた相手方金属端子Wb2を収容する空間部である。収容空間10sは、底壁部11と、一対の側壁部12、13と、連結壁部14とに囲われて形成される。
【0023】
シェル挿通開口部15は、収容空間10sに第1電線Wa1及びシールドシェル2を挿通させる開口部である。シェル挿通開口部15は、底壁部11の軸線方向Xにおける他方の端部11b、及び一対の側壁部12、13の軸線方向Xにおけるそれぞれの他方の端部12b、13bによって形成される(
図4参照)。このようなシェル挿通開口部15は、第1直交方向Y、及び、第2直交方向Zに沿って開口する。
【0024】
相手方コネクタ開口部16は、収容空間10sと、相手方コネクタ100の相手方収容空間とを連通する開口部である。相手方コネクタ開口部16は、一対の側壁部12、13において第2直交方向Zにおける底壁部11と反対側の端部12c、13c、及び、連結部において第2直交方向Zにおける底壁部11と反対側の端部14cによって形成される。相手方コネクタ開口部16は、軸線方向X、及び、第1直交方向Yに沿って開口する。
【0025】
底壁部11は、コネクタ1の内部(収容空間10s)において第2直交方向Zに沿って突出する円筒部11dを有する。円筒部11dは、例えば、底壁部11に2つ形成する。円筒部11dは、内周面にネジ孔を有する。ネジ孔は、第1ボルトBo1(
図2参照)のネジ部と締結可能である。そして、コネクタ1は、第1ボルトBo1のネジ部を、金属端子Wb1の貫通孔、及び相手方金属端子Wb2の貫通孔に挿通させた状態で、第1ボルトBo1のネジ部とネジ孔とを締結することによって、金属端子Wb1と相手方金属端子Wb2とを共締めしながらコネクタ1に取り付ける。この状態において、コネクタ1は、金属端子Wb1、及び、相手方金属端子Wb2を収容空間10sに収容する。また、第1電線Wa1と相手方電線Wa2とは、電気的に接続される。
【0026】
一対の側壁部12、13は、コネクタ1の外部に位置する外側ブロック体12d、13dをそれぞれ有する。外側ブロック体12d、13dは、一対の側壁部12、13の外周面に設けてあり、第2直交方向Zに延在する貫通孔12dh、13dhを有している。そして、コネクタ1は、第2ボルトBo2のネジ部を、外側ブロック体12d、13dの貫通孔12dh、13dhに挿通させ、かつ、相手方コネクタ100が有する貫通孔に挿通させた状態で、第2ボルトBo2のネジ部と、ナットのネジ孔とを締結することによって、相手方コネクタ100に取り付ける。
【0027】
一対の側壁部12、13は、コネクタ1の内部(収容空間10s)に位置する内側ブロック体をそれぞれ有する。なお、一対の側壁部12、13のそれぞれの内側ブロック体の構成は同一であるが、説明の便宜上、他方の側壁部13の内側ブロック体13eについて説明し、一方の側壁部12の内側ブロック体の説明を省略する。内側ブロック体13eは、一対の側壁部12、13の内周面に設けてあり、第2直交方向Zに延在するネジ孔13ehを有している。そして、コネクタ1は、第3ボルトBo3のネジ部を、後述するシールドシェル2の貫通孔形成部24d、24eにおける貫通孔24dh、24ehに挿通させた状態で第3ボルトBo3のネジ部と、内側ブロック体13eのネジ孔13ehとを締結することによって、シールドシェル2をコネクタ1に取り付ける。
【0028】
連結壁部14には、収容空間10sに相手方電線Wa2を挿通させる挿通開口部14dを形成する。本実施形態の連結壁部14には、2つの挿通開口部14dを形成してあり、それぞれの挿通開口部14dに相手方電線Waを挿通する。次に、コネクタ1のシェル挿通開口部15に挿通するシールドシェル2について説明する。
【0029】
シールドシェル2は、シェル本体部2Aと、リング部材2Bとを備える(
図2参照)。シェル本体部2Aは、金属等の導電性材料によって形成され、第1電線Wa1から発生するノイズが外部に侵入することを抑制するものであり、シェル筒状部22と、シェルフランジ部23と、シェル固定部24と、シェル接続部25とを有する。
【0030】
シェル筒状部22は、軸線方向Xに沿って延在する長円筒状に形成され、軸線方向Xの両端に一対のシェル開口部22a、22bを有する。一対のシェル開口部は、軸線方向Xの一端側(先端側)に位置する第1シェル開口部22aと、軸線方向Xの他端側(基端側)に位置する第2シェル開口部22bとを含む(
図4参照)。第1シェル開口部22a及び第2シェル開口部22bには、第1電線Wa1を挿通する。
【0031】
シェルフランジ部23は、シェル筒状部22における軸線方向Xの一端側に位置する第1シェル開口部22aに対応する位置において径方向の外側に突出して形成される。シェルフランジ部23は、コネクタ1における側壁部12、13の内側ブロック体13eに接触して、コネクタ1に対するシールドシェル2の軸線方向Xの位置が決定される(
図2参照)。
【0032】
シェル固定部24は、シールドシェル2をコネクタ1に固定するためのものであって、板状部24aと、一対の対向壁部24b、24cと、一対の貫通孔形成部24d、24eとを有する。板状部24aは、シェルフランジ部23の第2直交方向Zにおける先端側から軸線方向Xの一端側(先端側)に突出する態様で形成する。一対の対向壁部24b、24cは、板状部24aの第1直交方向Yにおける両端から第2直交方向Zの他方側に突出する態様で形成する。貫通孔形成部24d、24eは、一対の対向壁部24b、24cの第1直交方向Yにおける先端部から、第1直交方向Yにおいて互いに離隔する態様で形成する。貫通孔形成部24d、24eは、貫通孔24dh、24ehを有する。貫通孔24dh、24ehは、貫通孔形成部24d、24eを第2直交方向Zに貫通する態様で形成する。この貫通孔24dh、24ehには、上述したように、第3ボルトBo3のネジ部を挿通させた状態で、第3ボルトBo3のネジ部と、内側ブロック体13eのネジ孔13ehとを締結することによって、シールドシェル2をコネクタ1に取り付ける。
【0033】
シェル接続部25は、相手方コネクタ100の接地(アース)された接地部材に電気的に接続されるものであり、第2直交方向Zにおいて、板状部24aに対向する態様で配置してある。
【0034】
リング部材2Bは、金属等の導電性材料によって軸線方向Xに沿って延在する略長円筒状に形成され、リング本体27aと、リング突出部27bと、一対のリング突当部27cとを有し、後述するようにシェル筒状部22の外周面に取り付けられる。
【0035】
リング本体27aは、軸線方向Xの両端に一対のリング開口部27a1、27a2を有る。一対のリング開口部27a1、27a2は、シェル筒状部22を挿通させるためのものである。一対のリング開口部27a1、27a2は、軸線方向Xの一端側(先端側)に位置する第1リング開口部27a1と、軸線方向Xの一端側(先端側)に位置する第2リング開口部27a2と有する。
【0036】
リング突出部27bは、リング本体27aの軸線方向Xの中央に配置され、リング本体27aの内周面に対して径方向の内側に突出する態様で形成する。
【0037】
一対のリング突当部27cは、リング本体27aの軸線方向Xにおける一端側(先端側)に配置され、第1リング開口部27a1に対応する位置において径方向の外側に突出して形成される。このような一対のリング突当部27cは、後述する組み立ての際、被覆部材3の膨出部38a及び凹部39を形成する壁部に接触して、被覆部材3に対するリング部材2Bの軸線方向Xの位置が決定される。シェル筒状部22の外周面、及び、リング部材2Bの外周面は、以下に説明する被覆部材3によって覆われる。
【0038】
被覆部材3は、本体部3Aと、結束部材3Bとを有する。本体部3Aは、例えば、絶縁性を有する合成樹脂材料によって弾性変形可能に形成され、
図1に示すように、軸線方向Xに沿って延在する。被覆部材3は、グロメット及びブーツを含み、リング部材2B等を被覆するものである。
【0039】
本体部3Aは、
図5、
図6に示すように、軸線方向Xから視た場合において、周方向の両端に本体両端部3a、3bを有する。本体部3Aは、軸線方向Xから視た場合において、ベース領域30と、ベース領域30を挟んだ一方に位置する第1オーバラップ領域31、及び、他方に位置する第2オーバラップ領域32とを有する。
【0040】
第1オーバラップ領域31は、本体両端部3a、3bにおける一方の第1端部3aを含む。第2オーバラップ領域32は、本体両端部3a、3bにおける他方の第2端部3bを含む。
【0041】
本体部3Aは、一対の湾曲部33a、33bと、第1直線状部34と、第2直線状部35と、第3直線状部36とによって形成される。一対の湾曲部33a、33bは、第1直交方向Yにおいて互いに対向し、第1湾曲部33aと第2湾曲部33bとを有する。第1直線状部34は、一対の湾曲部33a、33bにおいて、第2直交方向Zの一方側の端部間を連結する。第2直線状部35は、第1湾曲部33aにおける第2直交方向Zの他方側の端部から第1直交方向Yに沿って延在して第1直線状部34に対向する。第3直線状部36と、第2湾曲部33bにおける第2直交方向Zの他方側の端部から第1直交方向Yに沿って延在して第1直線状部34に対向する。
【0042】
本体部3Aは、一対の湾曲部33a、33bと、第1直線状部34と、第2直線状部35と、第3直線状部36とによって囲われて形成された内部空間3sを含む。ベース領域30は、第1直線状部34と、第1湾曲部33aと、第2湾曲部33bとである。第1オーバラップ領域31は、第2直線状部35である。第2オーバラップ領域32は、第3直線状部36である。ベース領域30は、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成される。
【0043】
また、本体部3Aは、軸線方向Xから視た場合において、第1オーバラップ領域31における径方向の外側が切り欠かれることによって第1オーバラップ領域31の厚さT2がベース領域30の厚さT1よりも薄い。その上、本体部3Aは、軸線方向Xから視た場合において、第2オーバラップ領域32における径方向の内側が切り欠かれることによって第2オーバラップ領域32の厚さT3がベース領域30の厚さT1よりも薄い。
【0044】
本実施形態において、第1オーバラップ領域31の厚さT2は、ベース領域30の厚さT1の半分(1/2)であり、かつ、第2オーバラップ領域32の厚さT3は、ベース領域30の厚さT1の半分(1/2)である。このため、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とが重なる積層領域の厚さは、ベース領域30の厚さと同一である。この結果、被覆部材3は、外周面に凹凸ができることを抑制することができるため、美観を向上することができる。
【0045】
本体部3Aは、
図5に示すように、軸線方向Xにおける両端部に、内部空間3sと外部とを連通する一対の開口部37a、37bを有する。一対の開口部37a、37bは、軸線方向Xにおける一端側(先端側)に位置する第1開口部(一方の開口部)37aと、軸線方向Xにおける他端側(基端側)に位置する第2開口部(他方の開口部)37bとを含む。第1開口部37aの内径は、第2開口部37bの内径よりも大きい。本体両端部3a、3bは、第1開口部37aから第2開口部37bまで形成される。
【0046】
本体部3Aは、第1開口部37aに対応する位置において、径方向の外側に突出して形成される第1フランジ部(フランジ部)37cを有する。第1フランジ部37cは、軸線方向Xから視た場合において、周方向の両端に第1フランジ両端部37c1、37c2を有し、第1フランジ両端部37c1、37c2のうちの一方の端部37c1は、ベース領域30と第1オーバラップ領域31との境界に位置し、第1フランジ両端部37c1、37c2のうちの他方の端部37c2は、本体両端部3a、3bのうちの第2端部3bに位置する。
【0047】
本体部3Aは、第2開口部37bに対応する位置において、径方向の外側に突出して形成される第2フランジ部37dを有する。第2フランジ部37dは、軸線方向Xから視た場合において、周方向の両端に第2フランジ両端部37d1、37d2を有し、第2フランジ両端部37d1、37d2のうちの一方の端部37d1は、ベース領域30と第1オーバラップ領域31との境界に位置し、第2フランジ両端部37d1、37d2のうちの他方の端部37d2は、本体両端部3a、3bのうちの第2端部3bに位置する。
【0048】
本体部3Aは、軸線方向Xにおいて第1フランジ部37cから離隔して位置し、径方向の外側に膨出する膨出部38aを有する。本体部3Aは、第1フランジ部37cと膨出部38aとの間に凹部39を配置してあり、凹部39に結束部材3Bを配置してある。換言すれば、本体部3Aは、第1フランジ部37cと膨出部38aとの間に位置する凹部39に結束部材3Bが配置される。
【0049】
結束部材3Bは、例えば、結束バンドであって、絶縁性の合成樹脂によって一体的に形成してあり、
図1に示すように、ベルト部3b1と、係止部3b2とを有する。ベルト部3b1は、係止部3b2から一方向へ延在する態様で形成する。係止部3b2は、ベルト部3b1の先端部を挿入可能な係止孔を有する。このような結束部材3Bは、内部空間3sにシールドシェル2の一部を配置した状態で、凹部39の外周面にベルト部3b1を巻き付け、ベルト部3b1の先端を係止部3b2に挿入し、円環状を成すベルト部3b1を締め付けていくことによって本体部3Aに配索材Wを固定する。換言すれば、結束部材3Bは、本体部3Aにおける内部空間3sに配索材Wの一部が介在した状態で本体部3Aに配索材Wを固定する。
【0050】
本体部3Aは、軸線方向Xにおいて第2フランジ部37dに隣接して位置する隣接部38bを有する。
【0051】
本体部3Aは、軸線方向Xにおいて、隣接部38bと膨出部38aとの間に拡幅部38cを有する。拡幅部38cは、軸線方向Xにおいて、隣接部38bから膨出部38aに近接するに従って、第1直交方向Yの幅が徐々に大きくなり、かつ、第2直交方向Zの高さが徐々に大きくなる部分である。
【0052】
次に、上記のように構成したワイヤハーネスWH1の組み立てについて
図4を用いて説明する。先ず、作業者は、編組導体Whに第1電線Wa1の金属端子Wb1を挿通し、リング部材2Bに第1電線Wa1の金属端子Wb1を挿通し、かつ、シールドシェル2のシェル筒状部22に第1電線Wa1の金属端子Wb1を挿通する。
【0053】
次に、作業者は、金属端子Wb1の貫通孔と、相手方金属端子Wb2の貫通孔とを合致させる。次に、作業者は、第1ボルトBo1のネジ部を、金属端子Wb1の貫通孔、及び、相手方金属端子Wb2の貫通孔に挿通させた状態で、第1ボルトBo1のネジ部とネジ孔とを締結することによって、金属端子Wb1と相手方金属端子Wb2とを共締めしながらコネクタ1に取り付ける。これによって、作業者は、金属端子Wb1、及び、相手方金属端子Wb2をコネクタ1の内部の収容空間10sに収容し、かつ、第1電線Wa1と相手方電線Wa2とを電気的に接続する。
【0054】
次いで、作業者は、シールドシェル2のシェル筒状部22の外周面に、編組導体Whの軸線方向Xにおける先端部を配置する。その後、作業者は、編組導体Whの軸線方向Xにおける先端部の外周面にリング部材2Bを配置する。そして、作業者は、リング突出部27bとシェル筒状部22とで編組導体Whを挟持し、編組導体Whとシールドシェル2とを電気的に接続する。その後、作業者は、
図2に示すように、リング部材2Bのリング突当部27cを、シェル本体部2Aのシェルフランジ部23に接触させ、シェル本体部2Aに対するリング部材2Bの軸線方向Xにおける位置を決定する。
【0055】
次に、作業者は、軸線方向Xにおいて、シェル本体部2Aのシェルフランジ部23を、コネクタ1の内側ブロック体13eに接触させ、コネクタ1に対するシールドシェル2の軸線方向Xにおける位置を決定する。
【0056】
次いで、作業者は、貫通孔形成部24d、24eの貫通孔24dh、24ehに、第3ボルトBo3のネジ部を挿通させた状態で、第3ボルトBo3のネジ部と、内側ブロック体13eのネジ孔13ehとを締結することによって、シールドシェル2をコネクタ1に取り付ける。
【0057】
次に、作業者は、第2ボルトBo2のネジ部を、外側ブロック体12d、13dの貫通孔12dh、13dhに挿通させ、かつ、相手方コネクタ100が有する貫通孔に挿通させた状態で、第2ボルトBo2のネジ部と、ナットのネジ孔とを締結することによって、相手方コネクタ100にコネクタ1を取り付ける。
【0058】
この状態では、第1電線Wa1と相手方電線Wa2とが電気的に接続されているため、従来の筒状に形成されたグロメット、及び、筒状に形成されたコネクタ1を配索材Wに外装するができない。しかし、本実施形態に係る被覆部材3の本体両端部3a、3bは、軸線方向Xにおいて、第1開口部37aから第2開口部37bまで形成されているため、本体両端部3a、3bが離隔するようにベース領域30を変形させれば、本体両端部3a、3bの間に内部空間3sを露出させることができる。この状態、つまり、第1電線Wa1と相手方電線Wa2とが電気的に接続された状態において、作業者は、本体部3Aの内部空間3sに、シェル筒状部22、及び、リング部材2Bを配置する。
【0059】
その後、作業者は、第1オーバラップ領域31に第2オーバラップ領域32を重ねた後、本体部3Aのベース領域30を変形させることによって、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とが重なるオーバラップ量を変更し、配索材Wに被覆部材3を外装する。より具体的に説明すると、この状態の本体部3Aは、
図3に示すように、第1オーバラップ領域31と、第2オーバラップ領域32とが重なる積層領域S1と、第1オーバラップ領域31の第1領域S2と、第2オーバラップ領域32のみの第2領域S3とを有する。そして、被覆部材3は、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とが重なるオーバラップ量を増大させれば、第1開口部37a及び第2開口部37bの内径が小さくなる一方、オーバラップ量を減少させれば、第1開口部37a及び第2開口部37bの内径が大きくなる。その際、被覆部材3は、第1オーバラップ領域31に第1フランジ部37cが存在しないから、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ねる際に、余分なフランジ部が邪魔になることがない。さらに、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ねる場合において、ベース領域30に位置するフランジ両端部37c1、37c2のうちの一端部37c1、及び、本体両端部3a、3bのうちの第2端部3bに位置するフランジ両端部37c1、37c2のうちの他端部37c2を作業者が摘めば、オーバラップ量を容易に変更することができる。本体部3Aは、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ね合わせた状態において軸線方向Xから視た場合、略長円筒状である。このようにして、シールドシェル2の外周面に被覆部材3を巻き付けることによってシールドシェル2に被覆部材3を外装する。また、被覆部材3は、本体部3Aの内部空間3sにシールドシェル2が配置された状態において、凹部39の内周面にシェル筒状部22の外周面が接触し、膨出部38aの内周面にリング部材2Bの外周面の外周面が接触する。
【0060】
次に、作業者は、凹部39の外周面に結束部材3Bのベルト部3b1を巻き付け、ベルト部3b1の先端を係止部3b2に挿入することによって本体部3Aに配索材Wを固定する。
【0061】
最後に、作業者は、第2フランジ部37dの外周面、及び、第2フランジ部37dに隣接して位置し、かつ、第2開口から露出する第1電線Wa1の外周面にテープ部材TAを巻き付けることによって、第1電線Wa1に本体部3Aを固定し、ワイヤハーネスWH1の組み立てを終了する。
【0062】
このような被覆部材3は、上記シールドシェル2と形状が異なるシールドシェル2cに外装することができる。本体部3Aは、
図7に示すように、第1オーバラップ領域31と、第2オーバラップ領域32とが重なる積層領域S1と、第1オーバラップ領域31の第1領域S2と、第2オーバラップ領域32のみの第2領域S3とを有する。積層領域S1の幅は、シールドシェル2Cの形状に合わせ、
図3と比較すると狭くなり、第1開口部37aの内径は小さくなっている。
【0063】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。本発明に係る被覆部材3及びワイヤハーネスWH1のベース領域は、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とが重なるオーバラップ量を変更可能に形成される。この結果、本発明に係る被覆部材3は、異なる形状の配索材Wに取り付けることができるから、配索材Wの形状によって個別に設計する必要はなく、汎用性を有する。
【0064】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。軸線方向Xから視た場合において、フランジ両端部のうちの一端部は、ベース領域30と第1オーバラップ領域31との境界に位置し、フランジ両端部のうちの他端部は、本体両端部3a、3bのうちの他方の端部に位置する。このため、本実施形態に係る被覆部材3は、第1オーバラップ領域31にフランジ部が存在しないから、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ねる際に、余分なフランジ部が邪魔になることがない。この結果、本実施形態に係る被覆部材3は、組み立て時の作業性を向上することができる。その上、実施形態に係る被覆部材3は、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ねる場合において、ベース領域30に位置するフランジ両端部のうちの一端部、及び、本体両端部3a、3bのうちの第2端部3bに位置するフランジ両端部のうちの他端部を作業者が摘めば、オーバラップ量を容易に変更することができる。この結果、被覆部材3は、オーバラップ量の変更作業を容易に行うことができる。
【0065】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。本体部3Aは、軸線方向Xから視た場合において、第1オーバラップ領域31における径方向の外側が切り欠かれて形成されることによって第1オーバラップ領域31の厚さがベース領域30の厚さよりも薄い。また、本体部3Aは、第2オーバラップ領域32における径方向の内側が切り欠かれて形成されることによって第2オーバラップ領域32の厚さがベース領域30の厚さよりも薄い。このため、ベース領域30の厚さと、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とが重なる領域の厚さとの相違が大きくなることを抑制することができる。この結果、本実施形態の被覆部材3は、美観が低下することを抑制することができる。
【0066】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。本体部3Aは、一対の湾曲部33a、33bと、第1直線状部34と、第2直線状部35と、第3直線状部36とによって形成される。一対の湾曲部33a、33bは、第1直交方向Yにおいて互いに対向し、第1湾曲部33aと第2湾曲部33bとを有する。第1直線状部34は、一対の湾曲部33a、33bにおいて、第2直交方向Zの一方側の端部間を連結する。第2直線状部35は、第1湾曲部33aにおける第2直交方向Zの他方側の端部から第1直交方向Yに沿って延在して第1直線状部34に対向する。第3直線状部36と、第2湾曲部33bにおける第2直交方向Zの他方側の端部から第1直交方向Yに沿って延在して第1直線状部34に対向する。ベース領域30は、第1直線状部34と、第1湾曲部33aと、第2湾曲部33bとである。第1オーバラップ領域31は、第2直線状部35である。第2オーバラップ領域32は、第3直線状部36である。このため、本実施形態に係る被覆部材3は、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ねる際、相互に直線状部分によって形成される一方のオーバラップ領域31、32を他方のオーバラップ領域31、32に重なればよい。このため、本実施形態に係る被覆部材3は、一方のオーバラップ領域31、32を他方のオーバラップ領域31、32に重なる作業を容易にすることができる。
【0067】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。本体部3Aは、軸線方向Xにおいてフランジ部から離隔して位置し、径方向の外側に膨出する膨出部38aを有する。フランジ部と膨出部38aとの間に位置する凹部39に結束部材3Bが配置される。このため、本実施形態に係る被覆部材3は、軸線方向Xにおける結束部材3Bの移動を、フランジ部と膨出部38aとによって規制することができるため、結束部材3Bによる本体部3Aを配索材Wに固定する固定作業を容易にすることができる。
【0068】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。配索材Wは、導電性を有して軸線方向Xに延在する電線と、電線の外周面を覆い導電性材料によって形成される編組導体Whと、編組導体Whに対して電気的に接続され、第1電線Wa1の軸線方向Xにおける一端部の外周面を覆うシールドシェル2とを備え、本体部3Aは、結束部材3Bによってシールドシェル2に固定する。この結果、本実施形態に係る被覆部材3は、シールドシェル2の一部、及び、編組導体Whの軸線方向Xにおける一端部の外周面を被覆部材3によって覆うことができる。このため、ワイヤハーネスWH1の美観を向上することができる。
【0069】
本実施形態に係る被覆部材3、及び、ワイヤハーネスWH1は、以下の構成を有する。本体両端部3a、3bは、一対の開口部37a、37bにおける第1開口部37aから第2開口部37bまで形成される。このため、本実施形態に係る被覆部材3は、第1電線Wa1と相手方電線Wa2とが電気的に接続された状態において、本体両端部3a、3bの第1端部3aと第2端部3bとを離隔させて内部空間3sに配索材Wを配置し、本体部3Aを配索材Wに外装することができる。このため、本実施形態に係る被覆部材3は、取り付け作業の作業性を向上することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態には、配索材Wに第1電線Wa1を用いるものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、配索材Wとして金属棒、電線束、ケーブル等を用いることができる。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、複数の第1電線Wa1を束ねて構成したものである。ケーブルは、第1電線Wa1の被覆部の外側を、絶縁性を有するシースによって覆ったものである。
【0071】
また、上述した実施形態には、第2フランジ部37dの外周面、及び、第2フランジ部37dに隣接して位置し、かつ、第2開口部37bから露出する第1電線Wa1の外周面にテープ部材を巻き付けることによって、第1電線Wa1に本体部3Aを固定するものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、本体部3Aの第2フランジ部37dに隣接する部分の外周面に結束部材3Bを巻き付けることによって、第1電線Wa1に本体部3Aを固定してもよい。
【0072】
上述した実施形態における被覆部材3の本体部3Aは、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ね合わせた状態で軸線方向Xから視た場合において、略長円筒状のものを説明した。しかし、本発明はそれに限られず、第1オーバラップ領域31と第2オーバラップ領域32とを重ね合わせ状態で軸線方向Xから視た場合において、略角筒状のものでもよい。
【0073】
また、上述した実施形態におけるシールドシェル2のシェル筒状部22は、略長円筒状のものを説明した。しかし、本発明はそれに限られず、シェル筒状部22は、略角筒状のものでもよい。
【0074】
さらに、上述した実施形態におけるシールドシェル2のリング部材2Bは、略長円筒状のものを説明した。しかし、本発明はそれに限られず、リング部材2Bは、略角筒状のものでもよい。
【0075】
また、上述した実施形態には、第1オーバラップ領域31が第2直線状部35であり、第2オーバラップ領域32が第3直線状部36であるものを説明した。しかし、本発明は、それに限られず、第1オーバラップ領域31が一対の湾曲部33a、33bのうちの一方であり、第2オーバラップ領域32が一対の湾曲部33a、33bのうちの他方であってもよい。
【0076】
また、上述した実施形態には、第1オーバラップ領域31における本体部3Aは、平坦な板状に形成するものを説明した。しかし、本発明は、それに限られず、第1オーバラップ領域31における本体部3Aは、ベース領域30側に位置する基端側から第1端部3aへ向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成してもよい。
【0077】
さらに、上述した実施形態には、第2オーバラップ領域32における本体部3Aは、平坦な板状に形成するものを説明した。しかし、本発明は、それに限られず、第2オーバラップ領域32における本体部3Aは、ベース領域30側に位置する基端側から第2端部3bへ向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
2、2c シールドシェル
3 被覆部材
3s 内部空間
3A 本体部
3B 結束部材
3a、3b 本体両端部
3a 第1端部
3b 第2端部
30 ベース領域
31 第1オーバラップ領域
32 第2オーバラップ領域
33a、33b 一対の湾曲部
33a 第1湾曲部
33b 第2湾曲部
34 第1直線状部
35 第2直線状部
36 第3直線状部
37a、37b 一対の開口部
37a 第1開口部(一方の開口部)
37b 第2開口部(他方の開口部)
37c 第1フランジ部(フランジ部)
37c1、37c2 フランジ両端部
37c1 一方の端部
37c2 他方の端部
38a 膨出部
39 凹部
W 配索材
Wa1 第1電線(電線)
Wh 編組導体
X 軸線方向
Y 第1直交方向
Z 第2直交方向