(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】密閉性を強化した一体成形のねじ部材
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20220330BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
F16B35/00 K
F16B43/00 C
(21)【出願番号】P 2019200019
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2020-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519392731
【氏名又は名称】陳韋志
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【氏名又は名称】久保田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】陳韋志
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-065911(JP,U)
【文献】実開平06-019986(JP,U)
【文献】特開2009-138779(JP,A)
【文献】特開2010-265928(JP,A)
【文献】実開昭61-142910(JP,U)
【文献】特開2012-219854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00- 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワッシャと組み合わせてなり、密閉性を強化した一体成形のねじ部材であって、
前記ねじ部材の頭部に回転部が設けられ、前記ねじ部材の下方に外ねじ山区間が設けられ、前記外ねじ山区間に
前記ワッシャが設けられ、ねじ頭底部に少なくとも1個以上の一体成形された密閉を強化するための凸部と凹部とが設けられ、前記ねじ部材を対象物に締め付ける場合において、前記ねじ頭底部の密閉性を強化した前記凸部と前記凹部で前記ワッシャに押し当てられることにより、
前記ワッシャが弾性変形し、前記凹部に充填されると共に、前記ワッシャの外径を外向きに広げ増大させて拡張部が形成されると同時に、前記凸部と前記凹部を利用して前記ワッシャの
気体および液体の浸入に対する密閉性を増加させてなる密閉性を強化した一体成形のねじ部材であり、
前記凸部が、前記ねじ頭底部の
環状の外周部位と
環状の内周部位において、それぞれ断続的に、かつ互いに交互に形成されてなり、
前記凹部は、前記ねじ頭底部の底面の平面部に
該平面部より深く形成され
たものであり、
前記ねじ頭底部の底面には、外周側から中心部に向かって、前記平面部、前記環状の外周部位における前記凸部、前記平面部、前記環状の内周部位における前記凸部および前記凹部が、順に形成されてなり、
前記ワッシャは、軟性材料から作製されたものであることを特徴とする
ワッシャと、密閉性を強化した一体成形のねじ部材との組み合わせ。
【請求項2】
前記ねじ部材の回転部平面は、六角形、梅花形及び円形のうちの1種を選択して実施することを特徴とする請求項1に記載の
ワッシャと、ねじ部材
との組み合わせ。
【請求項3】
前記凸部が断続的に設けられると共に、前記凹部が連続して設けられることを特徴とする請求項1に記載の
ワッシャと、ねじ部材
との組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ部材に関するものであり、さらに詳しくは、密閉性を強化した一体成形のねじ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のねじ部材は、
図1~
図2のように、主に前記ねじ部材40の底部に水平配置面41が設けられ、前記ねじ部材40の頂部中心部位に垂直配置を呈する回転部42が設けられる。前記水平配置面41の底部中心部位に外ねじ山区間43が設けられる。前記水平配置面41にワッシャ50を収納設置するために用いられる収容凹溝44が設けられる。前記ワッシャ50は、軟性材料から作製され、前記ワッシャ50の中心に穿孔51が設けられ、前記ワッシャ50の穿孔51が、ねじ部材40の外ねじ山区間43をカバーできるように穿設される。使用者は、駆動工具を回転部42に係合させさえすれば、ねじ部材40を駆動旋回させて対象物30(図中に示すのは焼付塗装波板を例としたものである。)内に締め付けることができ、ワッシャ50が対象物30と接触するまで、水平配置面41がワッシャ50により平らに押圧される。
【0003】
しかしながら、前記の如きねじ部材の実施使用時には、
図2のように、ねじ部材40を締め付ける場合においては、収容凹溝44とワッシャ50との間が水平状態を呈することを保証できず、かつ、ワッシャ50が旋回により位置ずれを起こさないようにするには、隙間を生じやすくなり、この状態で、液体や気体がねじ部材40の水平配置面41の外周から内向きに対象物30の内面に滲み入ってしまい、密閉効果が悪化するという欠点が指摘されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、ねじ部材を締め付ける場合において、収容凹溝とワッシャとの間が水平状態であり、ワッシャの旋回によっても位置ずれを起こすことなく、かつ、隙間が生じることがなく、液体および気体等の浸入を防止することができるねじ部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者は、前記の通りの本発明の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、後述の如く、少なくとも一体成形化されたねじ部材が、前記課題を解決できる点に着目し、さらに改良点を加えることにより、課題の解決に寄与できる点に着目し、かかる知見に基いて本発明に想到するに至った。
すなわち、本発明の密閉性を強化した一体成形のねじ部材において、ねじ部材の頭部に回転部が設けられ、ねじ頭底部に一体成形された密閉を強化するための凸部と凹部とが設けられ、前記ねじ部材の下方に外ねじ山区間が設けられ、前記外ねじ山区間にワッシャが装着され、前記ねじ頭底部の外周部位と内周部位に少なくとも1個の一体成形された密閉性を強化するための凸部と凹部とが設けられる。
【0006】
かくして、本発明の要旨は、次の(1)~(6)に記載の通りのものである。
(1)密閉性を強化した一体成形のねじ部材であって、
前記ねじ部材の頭部に回転部が設けられ、前記ねじ部材の下方に外ねじ山区間が設けられ、前記外ねじ山区間にワッシャが設けられ、前記ねじ部材の底部に少なくとも1個以上の一体成形された密閉を強化するための凸部と凹部とが設けられ、前記ねじ部材を対象物に締め付ける場合において、前記ねじ頭底部の密閉性を強化した前記凸部と前記凹部で前記ワッシャに押し当てられることにより、前記ワッシャの外径を外向きに広げ増大させて拡張部が形成されると同時に、前記凸部と前記凹部を利用して前記ワッシャの密閉性を増加させることを特徴とする密閉性を強化した一体成形のねじ部材。
【0007】
(2)前記ねじ部材は、六角形、梅花形及び円形のうちの1種を選択して実施することを特徴とする前記(1)に記載の密閉性を強化した一体成形のねじ部材。
【0008】
(3)前記凸部が断続交互に形成されることを特徴とする前記(1)に記載の密閉性を強化した一体成形のねじ部材。
【0009】
(4)前記凸部と前記凹部が連続して設けられることを特徴とする前記(1)に記載の密閉性を強化した一体成形のねじ部材。
【0010】
(5)前記凸部が前記ねじ頭底部の外周部位と内周部位に設置されることを特徴とする前記(1)に記載の密閉性を強化した一体成形のねじ部材。
【0011】
(6)前記ワッシャは、軟性材料から作製されることを特徴とする前記(1)に記載の密閉性を強化した一体成形のねじ部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ねじ部材を締め付ける場合において、ワッシャに押圧されてこれを弾性変形させ、前記凸部と凹部を利用して波浪状の連続密閉区を形成することにより、ワッシャの密閉性を増加させ、液体や気体が対象物に滲透侵入するのを防ぎ、密閉効果が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来技術に係るねじ部材の分解斜視図である。
【
図2】従来技術に係るねじ部材の使用状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態(1)に係るねじ部材の組合せ斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態(1)に係るねじ部材の分解斜視図と部分拡大図である。
【
図5】本発明の実施形態(1)に係るねじ部材の組合せ断面図である。
【
図6】本発明の実施形態(1)に係るねじ部材の使用状態図である。
【
図7】本発明の実施形態(1)に係るねじ部材の施工時の緊締状態図である。
【
図8】
図7で示すねじ部材の施工時の緊締状態の部分拡大図である。
【
図9】本発明の実施形態(2)に係るねじ部材の組合せ斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態(2)に係るねじ部材の分解斜視図と部分拡大図である。
【
図11】本発明の実施形態(2)に係るねじ部材の組合せ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施形態1】
【0014】
図3~
図5のように、本発明の実施形態1である密閉性を強化した一体成形のねじ部材は、ねじ部材10と、ワッシャ20とを備える。
【0015】
その内、前記ねじ部材10の頂部中心部位に垂直配置を呈する回転部12が設けられ、使用者が駆動工具を回転部12に係合させさえすれば、ねじ部材10を駆動旋回させることができ、前記ねじ頭底部11の底部中心部位に外ねじ山区間13が設けられ、前記ねじ頭底部11の底部外周部位に第1平面14と、第1凸部15とが設けられ、前記第1凸部15近傍に接して第2平面16と、第2凸部17とが設けられ、前記ねじ頭底部11の内周と外ねじ山区間13との間に第1凹部18が設けられる。
【0016】
前記ワッシャ20は、軟性材料から作製され、前記ワッシャ20の中心に穿孔21が設けられ、前記ワッシャ20の穿孔21が密閉性を強化した一体成形のねじ部材10の外ねじ山区間13内に穿設される。
【0017】
その内、前記ねじ部材10は、六角形、梅花形及び円形のうちの1種を選択して実施することができる。
【0018】
上記の構造によれば、本発明に係るねじ部材は、実際の操作応用上において、以下のとおりである。
【0019】
図6で示すように、使用者が駆動工具を回転部12に係合させさえすれば、ねじ部材10を駆動旋回させて対象物30(図中に示すのは焼付塗装波板)内に締め付けることができる。
【0020】
図7で示すように、ねじ部材10の外ねじ山区間13を対象物30に締め付けると、ワッシャ20が対象物30と接触するまで、前記ねじ頭底部11でワッシャ20に平らに押し当てられることで、前記ワッシャ20の外径を外向きに広げ増大させて拡張部22が形成されると同時に、前記ねじ頭底部11の外周の第1凸部15と内周の第2
凸部17を利用して下向きにワッシャ20の表面に咬合嵌入し、かつワッシャ20も弾性変形して上向きに拡張されて第1凹部18内に充填されれば、施工が完了する。
【0021】
図8で示すように、液体や気体がねじ頭底部11の外周から内向きに滲み入った時、前記ねじ部材10とワッシャ20との間には、外周の第1凸部15と内周の第2凸部17、及び第1凹部18によって波浪状の連続密閉区を形成するため、液体や気体が継続的に対象物30の内面へ侵入するのを防止して密閉性を強化することができる。
【実施形態2】
【0022】
図9~
図12で示すように、本発明の実施形態2に係る密閉性を強化した一体成形のねじ部材では、その内、前記第1凸部15と第2凸部17が断続的で不連続になり、前記第1凸部15と第2凸部17の配置位置が交互に形成される状態を呈する。
【符号の説明】
【0023】
本発明
10 ねじ部材
11 ねじ頭底部
12 回転部
13 外ねじ山区間
14 第1平面
15 第1凸部
16 第2平面
17 第2凸部
18 第1凹部
20 ワッシャ
21 穿孔
22 拡張部
30 対象物
従来技術
40 ねじ部材
41 水平配置面
42 回転部
43 外ねじ山区間
44 収容凹溝
50 ワッシャ
51 穿孔