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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】太陽電池ストリング用の絶縁装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/20 20060101AFI20220330BHJP
   H02S 10/00 20140101ALI20220330BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20220330BHJP
【FI】
H02H3/20 Z
H02S10/00
H02S50/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019507942
(86)(22)【出願日】2017-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2017068638
(87)【国際公開番号】W WO2018033345
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】102016115295.1
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ネーゼマン,カール
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2296244(EP,A1)
【文献】特開2016-019390(JP,A)
【文献】特開2016-135016(JP,A)
【文献】特表2013-544435(JP,A)
【文献】特開2016-039766(JP,A)
【文献】特開2013-033825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0194706(US,A1)
【文献】国際公開第2015/087638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/20
H02S 10/00
H02S 50/00
H01L 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池ストリング(11)の第1の部分と第2の部分とを電気的に切断するための装置(1)であって、前記第1の部分が前記装置(1)の第1の端子(15)に接続され、前記第2の部分が前記装置(1)の第2の端子(16)に接続され得る、装置(1)において、
前記装置(1)は、スイッチ(12、21、22)と、基準端子(17)に印加される電位に対して相対的な、前記端子(15、16)のうちの少なくとも一方に印加される電圧が、所定の値の範囲外であるときに、前記スイッチ(12、21、22)を開放するように構成された作動装置(14)と、を備えることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記スイッチは、第1および第2の半導体スイッチ(21、22)から構成される直列回路であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記第1および前記第2の半導体スイッチ(21、22)は、ノーマリーオンスイッチであることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の装置において、前記第1および前記第2の半導体スイッチ(21、22)は、FET、特にJFETであることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記第1のスイッチ(21)はp-JFETであり、前記第2のスイッチ(22)はn-JFETであることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置において、前記端子(15、16)のうちの一方と前記基準端子(17)との間の測定インピーダンスが、少なくとも10kオーム、好ましくは少なくとも100kオームであることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置において、前記作動装置(14)は、前記1つまたは複数のスイッチ(12、21、22)が開放されたときに、故障信号を生成するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置において、前記作動装置(14)は、以下の基準:
グラウンド電位と、前記第1の端子および前記第2の端子(15、16)における平均電圧値との間の差の大きさが所定の閾値未満であることと、
-前記開放から所定の時間が経過したことと、
-閉鎖のための外部信号を受信したことと、
のうちの少なくとも1つが満たされたときに、開放後の前記1つまたは複数のスイッチ(12、21、22)を再び閉鎖するようにさらに構成されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置において、前記作動装置(14)は、電源の供給を目的として、エネルギー貯蔵部に接続され、前記エネルギー貯蔵部は、前記1つまたは複数のスイッチ(12、21、22)において降下した電圧から充電のために構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
太陽光発電設備(2)において、入力側に直列に接続された第1および第2のインバータ(40)であって、前記インバータ(40)の直列回路の中点が、絶縁監視手段(42)に接続される、インバータ(40)と、前記インバータ(40)の前記直列回路に接続され、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(1)を備える少なくとも1つの太陽電池ストリング(11)と、を備えることを特徴とする太陽光発電設備(2)。
【請求項11】
請求項10に記載の太陽光発電設備において、前記ストリングは、1500ボルト超の最大開回路電圧を有することを特徴とする太陽光発電設備。
【請求項12】
請求項10または11に記載の太陽光発電設備において、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置(1)を有する、複数の並列接続されたストリングを備えることを特徴とする太陽光発電設備。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の太陽光発電設備において、前記基準端子(17)は、グラウンド電位に接続されることを特徴とする太陽光発電設備。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の太陽光発電設備において、前記装置(1)は、前記1つまたは複数のスイッチ(12、21、22)が開放されたときに、前記ストリング(11)が同じ長さの2つの部分に分割されるように、前記ストリング(11)に配置されることを特徴とする太陽光発電設備。
【請求項15】
太陽光発電設備(2)において、第1および第2のインバータ(40)の直列回路であって、前記第1および第2のインバータ(40)の直列回路の中点が、絶縁監視手段(42)に接続された直列回路と前記第1および第2のインバータ(40)の直列回路に接続され、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置(1)を備える少なくとも1つの太陽電池ストリング(11)と、を備えることを特徴とする太陽光発電設備(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池ストリング用の切断装置、およびそのような切断装置を有する発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電設備を費用対効果の高い方法で設計するためには、可能な限り高いストリング電圧を達成するために、できるだけ長い直列回路、いわゆるストリングを形成するように、使用される太陽電池モジュールを接続することが望ましい。しかしながら、同時に、高いストリング電圧は、発電設備内の絶縁障害の場合に大きな故障電流を生じる危険を伴い、その故障電流は、設備の部品に損傷を与える場合がある。さらに、絶縁障害により、発電設備の部品の対地電位が、安全基準の範囲外になる場合がある。したがって、太陽光発電設備を絶縁障害から保護する必要がある。
【0003】
米国特許出願公開第20090032082A1号明細書は、ストリングの中点に遠隔制御スイッチを設け、このスイッチが故障の場合にストリングを2つの部分に分離することを開示している。遠隔制御システムはインバータの中または上に配置され、ストリング内の対地電圧が最大値を超過しないように、ストリングが電力を供給していないときにスイッチを開放する。ストリングの中点にある、スイッチの遠隔制御システムは、発電設備内の追加的なケーブル接続のために追加的な費用を要する。
【0004】
欧州特許出願公開第2296244A1号明細書は、2つの部分ストリングの間の接続点での接地が、接地に流れる電流が閾値を超えたときに、部分ストリング部の接続部と一緒に分離される、太陽光発電設備を開示している。閾値に達していない限り、ストリングは接続点で事実上接地されている。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、外部作動を必要とせず、かつストリングの低インピーダンス接地を規定することなく、絶縁障害の際に、ストリングを部分ストリングに自動的に分離する、太陽光発電設備のストリング内のスイッチを提示することである。
【0006】
上記の目的は、独立請求項1による切断装置および独立請求項10による発電設備によって達成される。好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明による、太陽電池ストリングの第1の部分と第2の部分とを絶縁するための装置であって、上記部分が本装置の第1の端子および第2の端子に接続され得る、装置は、スイッチと、そのために構成された作動装置と、を備える。作動装置は、基準端子に印加される電位に対して相対的な、端子のうちの少なくとも一方に印加される電圧が、所定の値の範囲外であるときにスイッチを開放するように構成される。この場合、基準端子は、好ましくは、グラウンド電位に接続され、特に端子のうちの少なくとも一方に印加される電圧がグラウンド電位から所定の大きさだけずれたときに、スイッチが開放される。
【0008】
この場合、切断装置は、端子に印加される電圧に影響を及ぼさないようにすべきある、または可能な限り最小限の影響しか及ぼさないようにすべきである。これを保証するために、第1または第2の端子と基準端子との間の測定インピーダンスは、できるだけ高く、特に10kオーム超、好ましくは100kオーム超とするべきである。
【0009】
1つの好ましい実施形態では、スイッチは、2つの半導体スイッチから構成される直列回路によって形成される。1つまたは複数のスイッチは、特に好ましくは、作動装置によるスイッチの能動的な作動が省略されたときに第1の端子と第2の端子との間の電気的接続が閉鎖するように、ノーマリーオンスイッチとして実施される。このようなスイッチの構成は、例えば、太陽電池モジュールが電力を生み出し始めるときには既にストリングが接続されているために、明け方の始動を容易にする。
【0010】
1つの有利な改良により、第1および第2のスイッチがFET(電界効果トランジスタ)とされる。ここで特に適しているのは、JFET(接合FET)であり、特に、第1のスイッチはnチャネルJFETであり、第2のスイッチはpチャネルJFETである。この構成では、第1および第2のスイッチ用の作動電圧は、第1の端子、第2の端子、および基準端子の間にある受動部品、例えば抵抗分圧器から作動装置として構成される適切に設計された回路網によって容易に生成できる。代替として、他のスイッチ、特に他の半導体スイッチも使用でき、同じチャネルタイプの2つのスイッチ(nチャネルまたはpチャネルスイッチ)を組み合わせることもでき、任意で同様に、受動部品から構成される適応回路網によって作動させることができる。
【0011】
装置は、1つまたは複数のスイッチが開放されたときに、故障信号を生成するように構成できる。この故障信号は、適切な方法で故障信号に反応する上位の動作ユニットに無線または有線で送信され得る。
【0012】
次いで、作動装置はさらに、スイッチを開放するための対応する信号を受信したときに、1つまたは複数のスイッチを開放するように構成され得る。対応する信号はまた、無線または有線で受信され得る。
【0013】
一実施形態では、作動装置は、以下の基準のうちの少なくとも1つが満たされたときに、開放後の1つまたは複数のスイッチを再び閉鎖するようにさらに構成され得る。
【0014】
a)グラウンド電位と、第1の端子および第2の端子(15、16)における平均電圧値との間の差の大きさが所定の閾値未満である。これは、例えば、太陽電池ストリングが夜間に受光しなくなった場合に当てはまる。
【0015】
b)開放から所定の時間が経過した。これは、スイッチが閉鎖された直後に、スイッチを開放するための条件が依然として存在していることが再度判定され、その結果、スイッチがすぐに再び開放されることを排除するものではない。スイッチを再び閉鎖するための試みが限られた数だけ提供されること、また対応する数の失敗した試みの後、他の言及された基準のためにのみ、新たにスイッチが閉鎖されることが想定される。
【0016】
c)閉鎖のための外部信号を受信した。この信号は、例えば、上位の動作ユニットによって無線または有線で送信され得る。
【0017】
スイッチを新たに閉鎖するための基準を提供することにより、スイッチを開放する必要性がもはや存在しなくなった後、上記スイッチをすぐに再び閉鎖することができるため、スイッチが開放しているために太陽電池ストリングが電力を供給しない期間は低く保たれる。
【0018】
さらなる実施形態では、作動装置は、電源の供給を目的として、エネルギー貯蔵部、例えば電池またはコンデンサに接続できる。この場合、エネルギー貯蔵部の充電は、1つまたは複数のスイッチにおいて降下する電圧から構成できる。閉鎖した状態で1つまたは複数のスイッチにおいて降下する電圧がエネルギー貯蔵部を充電するのに不十分である場合、1つまたは複数のスイッチで降下した電圧を充電に十分な電圧値まで増加させるために、スイッチのうちの少なくとも1つを一時的に開放するか、または部分的に導通する動作に移行させることが想定される。
【0019】
本発明のさらなる態様は、入力側、すなわち直流側に直列に接続された第1および第2のインバータを有する太陽光発電設備に関する。インバータの直列回路の中点は、絶縁監視手段に接続され、それによって基準グラウンド電位、特にグラウンド電位に切り替え可能に接続される。代替として、本発明による太陽光発電設備はまた、分割入力側リンク回路を有する個別のインバータを有することができ、分割リンク回路の中点は、絶縁監視手段によってグラウンド電位に接続される。
【0020】
直流側では、1つまたは複数のインバータは、少なくとも1つの太陽電池ストリングに接続され、太陽電池ストリングは本発明による装置を有する。太陽光発電設備が複数の並列接続された太陽電池ストリングを含む場合、上記ストリングのそれぞれに、好適には、本発明によるそれぞれの装置を設ける。本発明による装置は、好ましくは、それぞれの場合において、太陽電池ストリングの中点に配置され、その結果、装置に接続されるストリングの第1および第2の部分は、同じ数の太陽電池モジュールを有し、かつ同じ公称ストリング電圧を有し、基準端子によってグラウンド電位に接続される。
【0021】
ストリングは、特に好ましくは、1500V超の最大開回路電圧を有する。切断装置を使用することによって、ストリング電圧が高い場合であっても、接地故障の場合でさえもグラウンド電位に対するストリングの最大電圧値が依然として観察されることを保証することが可能であり、それは絶縁監視手段のトリガにつながり、よってストリングまたは太陽光発電設備のグラウンド接続の切断からのトリガにつながる。接地接続の切断は、ストリングの対地電位のシフトをもたらし、その結果、上記電位の十分に大きなシフトは、影響を受けるストリングにおいて、本発明による切断装置を開放する。
【0022】
以下の文章では、図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明による、切断装置の第1の実施形態を示す図である。
図2a図2aは、本発明による、2つの半導体スイッチを備える切断装置の第2の実施形態を示す図である。
図2b図2bは、本発明による、受動設計における切断装置の第3の実施形態を示す図である。
図3図3は、本発明による方法の流れ図である。
図4図4は、本発明による切断装置を備える第1の発電設備を示す図である。
図5図5は、本発明による切断装置を備える第2の発電設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、太陽電池モジュール10から構成される直列回路を有する、太陽電池ストリング11を示している。ストリング11の第1の部分ストリングは切断装置1の端子15に接続され、ストリング11の第2の部分ストリングは端子16に接続されて、ストリングで発生した電力を運ぶ負荷経路が、切断装置1を通って延びるようにしている。切断装置1内では、負荷を運ぶ端子15、16間にスイッチ12が配置されて、上記スイッチが制御により負荷経路を切断できるようにしている。この目的のために、スイッチ12は作動装置14に接続されている。作動装置14は、少なくとも1つの電圧計13に接続され、電圧計13は、端子15、16のうちの一方と、グラウンド電位に接続され得るさらなる端子17と、の間の電圧を測定する。好ましくは、2つの電圧計13が設けられ、作動装置14に接続され、2つの電圧計はそれぞれ端子15、16の一方に接続される。
【0025】
作動装置14は、接続された1つまたは複数の電圧計13の1つまたは複数の測定された電圧値に応じて、スイッチ12を制御するように構成されている。測定された電圧の大きさが所定の第1の閾値を超えない限り、スイッチ12は作動装置14によって閉状態に保たれ、そうでなければ、スイッチ12は作動装置13によって開放され、ストリング11の負荷経路が切断される。
【0026】
切断装置1は、好ましくは、ストリング11の中点に配置される、すなわち、等しい長さの部分ストリングが2つの端子15、16に接続される。ストリング11の両端がグラウンド電位に対して対称な電圧分布を有する場合、2つの部分ストリングが等しく受光しているときには、グラウンド電位に等しいかまたはそれに近い電位が閉スイッチ12に発生する。部分ストリングでの受光が不均等であった場合、または部分ストリングの一方に絶縁障害がある場合、スイッチ電位にシフトが生じ、これが電圧計13によって識別され、第1の閾値によって決まる十分なレベルが与えられると、ストリング11の電力経路が開放されることになる。このことには外部信号を必要とせず、切断装置1は、ストリング11を自律的に監視する。
【0027】
図2aは、切断装置1のスイッチが、第1および第2の半導体スイッチ21、22から構成される直列回路によって形成されている、本発明の有利な実施形態を示している。第1の半導体スイッチ21は、好ましくは、pチャネル電界効果トランジスタ(p-FET)として形成され、第2の半導体スイッチ22は、好ましくは、nチャネル電界効果トランジスタ(n-FET)として形成される。2つの半導体スイッチ21、22は、特に好ましくは、ノーマリーオンの半導体スイッチとして設けられる。
【0028】
2つの部分ストリング端子15、16およびさらなる端子17はそれぞれ、適切に選択された第1、第2、および第3の抵抗器23、24、25によって共通の接続点に接続されて、上記端子が分圧器を形成するようにしている。抵抗器23、24、25で降下した電圧値は、それぞれの電圧計13によって検出される。電圧計13は、好ましくは、記憶されている閾値と測定された電圧値を比較し、その比較結果をデジタル比較信号によって出力する。第1の抵抗器23における電圧計13の比較信号は第1のゲート26の第1のゲート入力に送信され、第2の抵抗器24における電圧計13の比較信号は第2のゲート27の第1のゲート入力に伝送され、第3の抵抗器25における電圧計13の比較信号は第1のゲート26の第2のゲート入力および第2のゲート27の第2のゲート入力のそれぞれに送信される。第1のゲートのゲート出力は第1の半導体スイッチ21を作動させ、第2のゲートのゲート出力は第2の半導体スイッチ22を作動させる。
【0029】
第1の抵抗器23および第2の抵抗器24は、好ましくは、同じ値で選択され、同じ閾値がそれに関連する電圧計13に記憶されている。端子15、16の電圧への影響をできるだけ低く保つために、抵抗器23、24、25の抵抗値をできるだけ高くなるように選択すべきであり、特に抵抗器網の全抵抗値は10kオーム未満にするべきではない。
【0030】
作動装置14には、好適には、スイッチ12または一方または両方の半導体スイッチ21、22の電圧降下によって電力が供給され、その結果、追加的な電源は必要ではない。上記1つまたは複数のスイッチの閉状態での電圧降下は電源としては通常低すぎるため、作動装置14に電力を供給するエネルギー貯蔵部、例えばコンデンサを、その充電状態が所定のレベルを下回ったときに再充電するために、作動装置14によって上記1つまたは複数のスイッチを一時的に開放するようにすることができる。1つまたは複数のスイッチを完全に開放する代わりに、1つまたは複数のスイッチの再充電に十分な電圧降下が達成される部分的導通状態にそれらを一時的に移行することも可能である。
【0031】
図2bは、そのようなエネルギー供給なしで管理する例示的な実施形態を示している。電圧計13およびゲート26、27の代わりに、図2aに既に示されている第1、第2、および第3の抵抗器23、24、25の抵抗器網のみがここに提示されている。上記抵抗器によって形成された分圧器は、分圧器の共通接続点に接続された半導体スイッチ21、22のそれぞれのゲート端子によって、半導体スイッチ21、22を作動させるのに必要な制御電圧を直接生成する。結果として、作動回路が受動部品のみから構成されるために、作動回路に電力を供給する必要性が排除される。当然のことながら、抵抗器23、24、25と並列に配置されたさらなる受動部品、例えばコンデンサが想定される。結果として、特に、短時間の電圧変動に対する切断装置1の感度を下げるために、半導体スイッチ21、22の作動の時間遅延を実現できる。達した場合に半導体スイッチ21、22が開放される、もしくは閉鎖されることを意図される、それぞれの閾値を規定するための、または切断装置1の所望のトリガ動態を達成するための、端子15、16、17間の抵抗性または容量性分圧器の他の構成も想定される。
【0032】
図3は、切断装置1を動作させるための例示的な方法を流れ図として示している。スイッチ12または2つの半導体スイッチ21、22が閉鎖した状態にある、または閉鎖している、ステップ31から進み、ステップ32において、端子15、16のうちの一方における電圧U1の大きさが、端子17で測定されたグラウンド電位GNDから、第1の閾値TH1を超えてずれているか否かを判定する。大きくずれていない場合、本方法はステップ31に分岐して戻る。
【0033】
ずれの大きさが第1の閾値TH1を超える場合、ステップ33に分岐し、スイッチ12またはスイッチ21、22のうちの少なくとも一方のスイッチが開放され、その結果、端子15、16間の負荷経路が切断される。これにより切断装置1を介したストリング電流が遮断され、接続された太陽電池モジュール10に開路電圧が生じる。これにより、端子15、16間に電圧差U1-U2が生じる。
【0034】
負荷経路の切断を再び元に戻すために、次いで、ステップ34は、端子15、16の電圧の平均値(U1+U2)/2の大きさ(一般性を制限することなく、以下の文章では、電圧U1は端子15で降下し、電圧U2は端子16で降下するはずである)が、グラウンド電位GNDから、第2の閾値TH2未満だけずれているか否かを判定するようにチェックする。ずれが第2の閾値TH2未満である場合、ステップ31に分岐し、スイッチ12またはスイッチ21、22が閉鎖され、その結果、端子15、16間の負荷経路が再確立される。そうではない場合、本方法はステップ33に戻り、スイッチ12または半導体スイッチ21、22は開放されたままである。
【0035】
本開示の方法の修正形態では、ステップ34の代わりに、スイッチ12または2つの半導体スイッチ21、22は、所定の時間遅延の後に一時的に閉鎖され、ステップ32へ分岐し、そこで、1つまたは複数のスイッチが閉鎖したままにできるか(ステップ31への分岐)、再び開放しなければならないか(ステップ33への分岐)を判定する。代替として、スイッチ12または2つの半導体スイッチ21、22は、外部信号の受信により閉鎖されてもよい。
【0036】
図4は、本発明による発電設備2を示しており、発電設備2には、上述の切断装置1が組み込まれている。本設備には、太陽電池モジュール10を有する複数のストリング11が並列に接続され、ストリング11の中点にそれぞれの切断装置1を有する。ストリング11の端子線はそれぞれ、直流側に直列に接続された2つのインバータ40のうちの一方に接続されている。2つのインバータ40の間を接続する線は、絶縁監視手段42を介してグラウンド電位に接続されている。交流側では、2つのインバータ40は、共通の変圧器41の別個の一次巻線に接続されている。変圧器41の二次巻線は、エネルギー供給網に接続されている。インバータは、好ましくは、三相インバータである。エネルギー供給網は、好適には、中電圧網であり得る。
【0037】
動作中、絶縁監視手段42は、インバータ間の電位がグラウンド電位に対応することを保証する。2つのインバータ40に等しいDC入力電圧が与えられると、グラウンド電位に対して対称的なストリング端部の電圧分布が生成され、その結果、正常動作中に、グラウンド電位に対応するストリングの中点における電位をもたらす。その結果、通常動作では、切断装置1のスイッチ、ひいてはストリングの負荷経路が閉鎖され、ストリング電流は、妨げられることなく流れることができる。
【0038】
絶縁障害時、絶縁監視手段42は、グラウンド電位に対して流れる直流電流を判定する。直流の大きさが所定の最大値を超える場合、動作方法の一例では、絶縁監視手段は、グラウンド電位への接続を切り離し、その結果、インバータ間の電位はグラウンド電位が保たれなくなる。この場合、絶縁障害、特に絶縁障害の位置によって、ストリングの中点に形成される電位が決まる。一般に、上記電位は、第1の制限値TH1が超過され、かつ切断装置1が開放するように、グラウンド電位からずれる。このことは、互いに独立に、かつ同様に、発電設備2の切断装置のすべてで起こる。切断装置1を有するストリング11のうちの1つに絶縁障害がある場合でも、絶縁障害は、上記切断装置を開放することによって除去されない。ここで、絶縁障害の場合には、開放されている切断装置1の端子15、16における電圧U1、U2は、グラウンド電位に対して対称に分布していない、すなわち、電圧U1、U2の平均値は、第2の閾値TH2を超えてグラウンド電位からずれることに注意されたい。したがって、上述の動作方法のステップ34の結果により、絶縁障害がある限り、スイッチ12または半導体スイッチ21、22を新たに閉鎖することが防止される。
【0039】
ストリング11の2つの部分ストリングが異なる光強度で照射されたとき、特に、部分ストリングが他の部分ストリングに対して陰になっているとき、同等の挙動がある。この場合、グラウンド電位からずれている電圧U1が、上記ストリング11の切断装置1の端子15に同様に生じ、切断装置は、負荷経路を切断する。結果として、2つの部分ストリングが開回路状態になり、その結果、部分ストリングの照射が異なる状態が続く限り、上記部分ストリングにおいて異なる開回路電圧降下が生じる。ストリング端部はグラウンド電位に対して対称的な電圧分布をさらに有するため、ここでは、開放されている切断装置1の端子15、16における電圧U1、U2の平均値もまた、グラウンド電位からずれる。しかしながら、2つの部分ストリングが後に再び均等に照射され、それらの開回路電圧がステップ34の条件が満たされる程度に対応する場合、上記の動作方法のステップ34の条件が満たされ、切断装置1は、ストリング11が再び電力を生成するように、負荷経路を独立に閉鎖する。
【0040】
ストリング11の切断につながる部分ストリングの不均一な照射の尤度は、部分ストリングの太陽電池モジュールの10の構成によって最小化でき、その構成では、一方の部分ストリングの太陽電池モジュール10が他方の部分ストリングの太陽電池モジュール10に可能な限り近くに配置される。例えば、2つの部分ストリングは、互いに直接隣り合って平行に延びることができ、この場合、場合により、互いに対して織り込まれたプロファイルが生成されるように、互いに場所を入れ替えることができる。結果として、陰をもたらす物体または陰をもたらす事象は、2つの部分ストリングの太陽電池モジュール10に同様に影響を与える。
【0041】
図5による太陽光発電設備2の実施形態では、1つの個別のインバータ40のみが使用される。この場合、絶縁監視手段42は、入力側リンク回路43の中点に接続される。この構成では、インバータ40は、許容入力電圧として合計ストリング電圧に対して設計されなければならない。そうでない場合は、本設備の動作は、図4の発電設備2に関連して述べたものに対応する。
【符号の説明】
【0042】
1 切断装置
2 発電設備
10 太陽電池モジュール
11 ストリング
12 回路遮断器
13 電圧計
14 作動装置
15、16 端子
17 基準端子
21、22 半導体スイッチ
23、24、25 抵抗器
26、27 ゲート
28 接続点
31~34 ステップ
40 インバータ
41 変圧器
42 絶縁監視手段
43 リンク回路
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5