IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーモン,ベン・ザイオンの特許一覧

<>
  • 特許-組織増生装置 図1
  • 特許-組織増生装置 図2
  • 特許-組織増生装置 図3
  • 特許-組織増生装置 図4
  • 特許-組織増生装置 図5
  • 特許-組織増生装置 図6
  • 特許-組織増生装置 図7
  • 特許-組織増生装置 図8
  • 特許-組織増生装置 図9
  • 特許-組織増生装置 図10
  • 特許-組織増生装置 図11
  • 特許-組織増生装置 図12
  • 特許-組織増生装置 図13
  • 特許-組織増生装置 図14
  • 特許-組織増生装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】組織増生装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20220330BHJP
   A61C 8/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A61F2/28
A61C8/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019520092
(86)(22)【出願日】2017-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 IL2017051113
(87)【国際公開番号】W WO2018069918
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】248472
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】518220992
【氏名又は名称】カーモン,ベン・ザイオン
【氏名又は名称原語表記】KARMON,Ben Zion
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】カーモン,ベン・ザイオン
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6409764(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0287732(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0261634(US,A1)
【文献】特開平06-319794(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0006616(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0192600(US,A1)
【文献】特表2002-506373(JP,A)
【文献】特表2019-511938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下で構成される組織再生を必要とする患者の治療のための装置:
直径30ミクロン以上の孔がいくつかあいた多孔領域を有するシートを有し、
前記シートには、前記多孔領域の右側に第1領域があり、前記シートの右端から前記多孔領域と前記第1領域の間にある第1折り目まで伸び、
前記シートには、前記多孔領域の左側に第2領域があり、その前記シートの左端から前記多孔領域と前記第2領域の間にある第2折り目まで伸び、
前記第1領域には孔がないか孔がある場合でも最大のもので直径30ミクロン未満であり、
前記多孔領域を覆うように前記第1領域が前記多孔領域にかぶさり、
前記第1領域を覆うように前記第2領域が前記第1領域にかぶさり、前記シート左端が前記第1折り目に隣接するものである。
【請求項2】
前記第1および第2領域が一体となり軟部組織遮断領域を形成し、平行な2層が少なくとも前記多孔領域の過半を覆い、
前記軟部組織遮断領域には孔がないか孔がある場合でも最大のもので直径30ミクロン未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記孔の直径が800~2500ミクロンである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記孔の占める割合が前記多孔領域の70%を超える、請求項~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記軟部組織遮断領域の孔が最大のもので直径10ミクロン未満である、請求項2~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記シートの少なくとも一部分が心膜である、請求項~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記第1領域が前記第2領域と連結する、請求項~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記第1領域が前記第2領域と非連続的に連結し、前記第1と第2領域の連結部分の間に前記第1と第2領域の非連結部分を有する、請求項~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記第1領域にスロット、前記第2領域に連結部があり、前記第2領域の前記連結部の一部の幅が前記第1領域にある前記スロットの長さよりも大きいものであり、
前記第2領域にある前記連結部の前記一部が前記第1領域の前記スロットに挿入されたものである、請求項~8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第2領域にスロット、前記第1領域に連結部があり、前記第1領域の前記連結部の一部の幅が前記第2領域にある前記スロットの長さよりも大きいものであり、
前記第1領域にある前記連結部の前記一部が前記第2領域の前記スロットに挿入されたものである、請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第1領域と前記第2領域の間に前記多孔領域の第1境界、前記第1領域と前記第2領域の間に前記多孔領域の第2境界があり、
前記多孔領域の前記第1および第2境界は前記多孔領域の向かい合って位置する境界にあり、
前記第1境界は前記軟部組織遮断領域と連結し、前記多孔領域の前記第2境界に隣接する詰め物用の隙間を有した袋を形成する、請求項~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
境界閉鎖拡張部が前記多孔領域から前記第1および第2折り目を境界とする前記シート面を超して伸び、
前記第1領域および前記第2領域の間に前記境界閉鎖拡張部が配置され、袋を形成するものである、請求項~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記多孔領域の境界が前記軟部組織遮断領域と連結し袋を形成し、前記袋の中に骨補強材がある、請求項~12のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に組織を増強させる装置および/または骨を増強させる装置とその装置を製造する方法、使用する方法に関連する。その他治療でも、例えば薬物および/または放射の指向性放出にも使用することが出来る。
【0002】
オッセオインテグレーテッド・フィクスチャーとも呼ばれる、歯のない患者の歯科インプラント治療は、主にチタンおよび/またはジルコニウムで作られ、当技術分野では周知の治療である。治療では、部分的無歯顎の歯槽骨に歯科インプラントを埋め込む。インプラントを埋め込んでから適正に回復するまで通常数カ月要する。回復後、歯科インプラントの一部に支台歯(コロナルとも呼ばれる)が取り付けられる。数週間後、支台歯に人工歯を取り付けることが可能となり治療が完了する。場合によっては、もっと早い時期あるいは当日にでも、支台歯および/または単冠および/または架工義歯および/または入れ歯および/またはドルダーバーおよび/またはその他歯の部品を歯科インプラントにつなげることが可能である。
【0003】
インプラント埋め込みのためには、通常で高さ10mm幅7mm程度の十分な歯槽骨が必要となる。
【0004】
歯が取り除かれると、歯からの骨化誘導因子の欠如により歯槽骨は次第に再吸収される。再吸収プロセスが進行するにつれ、骨の大きさが縮小する、すなわち、歯根が位置している骨、歯茎が縮小し始める。
【0005】
歯が一つ欠如しているだけで歯列弓全体が変形することもあり、他の歯もなくしうる軟化(インサーションの脱落)の可能性を促進することまである。歯が複数欠如すると問題はさらに悪化する。骨量の減少は最終的に患者の容姿まで変え、減少の具合次第で、架工義歯やインプラント、入れ歯まで受けることが出来なくなってしまう。そこで上顎(上顎骨とも呼ばれる)や下顎(下顎骨とも呼ばれる)の歯茎を再建するための外科手術をいくつか行う必要がある。
【0006】
これら再建手術の方法はこれまで成功してきたが、このタイプの手術には欠点がある。いくつかの方法では、萎縮症の歯茎全体の粘膜骨膜組織(骨膜組織とも呼ばれる)および/または歯肉を開け、骨移植材料とメンブレンを移植片の上に配置し、繊細な粘膜骨膜組織 を元どおりに縫合しメンブレンを覆う。メンブレンは、骨移植片の位置を保持し、粘膜上皮が移植片まで伸びて骨再生の進行を妨げることを防止する役割がある。この外科手術には欠点があり、通常限られた量しか骨が再生されない。
【0007】
参照により本書に含まれているカルモンによる米国特許No. 7,749,26およびカルモンによる米国特許の情報開示では、これら欠点をいくつか打開するための装置や方法が発表されている。カルモンの発表では、骨と骨膜組織の間に袋を設け、そこに骨増生材を充填することが出来る。袋の骨側には孔を開け、一方の骨膜組織側は骨再生誘導メンブレンで作り、孔が開けられた側と異なり様々な特性を持たせることができる。参照により本書に含まれているカルモンによる米国特許No. 20150320463では、骨増生材を充填することが出来、孔が空いた側面を設けることが出来る袋を用いた骨折を治療するための装置や方法が発表されている。しかしながら、そのような袋を作成することは、特にコラーゲンや心膜のような生物学的材料で作られる場合においては、簡単ではない。骨膜下トンネルの中に袋を挿入することも、特にオトガイ神経が隣接する下顎の後部では袋挿入の最中に損傷を与えかねないため、簡単ではない。
【0008】
従って、袋および/または容器を製造するためのよりよい装置や方法と、骨膜下トンネル(骨膜下トンネルを使う場合)に袋をより安全に挿入することが可能となる方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は組織再生のための装置および方法である。次に示す実施形態としては顎の骨再生に重点を置くが、その他からだの骨および/または組織でも同様の装置を使用することができる。例えば袋は、膝やその他の関節の軟骨組織に使用することが出来る。
【0010】
発明の一つが、片側に1層のメンブレン、反対側に2層の骨再生誘導メンブレンをもった袋である。1層側は孔が開けられ、骨組織の内部成長を可能にする。袋は完全な生体再吸収性とすることができる。1層側は2層のメンブレンをもつ側と異なり他の材質で作ることもできる。1層側が2層側よりも早く再吸収されるようにできるが、両側とも完全におよび/または部分的に非再吸収性とすることができる。袋には骨の成長を促進させる材料を充填することができる。1層側が骨に向き、2層側が歯茎に向くかたちで袋を顎の中に入れることができる。2層側で、骨再生の進行を妨げる軟部組織の内部成長が袋の中で起きることを防止するようにもできる。
【0011】
本発明のその他の物や機能については次に示す詳細説明を、発明形態をいくつか記した添付図面と合わせて読んでいただくことで、明らかにしていく。なお、図面は説明を目的としたデザインであり、発明の制限を定義する意図はないことはご理解いただきたい。
【0012】
また、これから説明する形態は、組み合わせの明記はしていないが、どのような組み合わせでも使用することができるということもご理解いただきたい。お互いの関係性が異なり、要素が異なる場合で可能な組み合わせの数、および装置の使い方の選択肢の数は膨大である。従って、いくつかの形態だけ説明と図示がされている。
【0013】
本発明では新しい機能を多数可能にしており、そのいずれも特許を取れる意義があると思われ、様々な組み合わせで組み合わせることができる。いくつか選定したものについては下記にて説明し、他に可能な組み合わせについては本説明を読めば、当分野に普段から精通している人であれば明らかであろう。本発明の一つの形態の典型として説明される機能はすべて、他の形態に同じように適用できると理解されるべきである。ただし、機能が明らかに不適合の場合や別段明記されている場合を除く。
【0014】
従って、本発明の教示内容によれば、以下で構成される組織再生を必要とする患者を治療するための装置が可能となる:
以下で構成される組織再生を必要とする患者を治療するための装置:
シート。シートには直径30ミクロンを超える大きさの孔が複数空いた多孔領域がある。シートには、多孔領域の右側に第1側部領域がある。シートには多孔領域の左側に第2側部領域がある。第1側部領域には孔がないか孔がある場合でも最大のもので直径30ミクロン以下。
【0015】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域には孔がないか孔がある場合でも最大のもので直径30ミクロン以下。
【0016】
本発明の他の機能によれば、第1および第2側部領域は多孔領域の上に配置され、多孔領域の上に軟部組織遮断領域を形成する。軟部組織遮断領域には孔がないか孔がある場合でも最大のもので直径30ミクロン以下。
【0017】
本発明の他の機能によれば、シートには直径30ミクロンを超える大きさの孔が複数空いた中央領域がある。シートには中央領域の右側に第1側部領域がある。シートには中央領域の左側に第2側部領域がある。第1および第2側部領域は多孔領域の上に配置され、多孔領域の上に軟部組織遮断領域を形成する。軟部組織遮断領域には直径20ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0018】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1側部領域一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。また本発明の他の機能によれば、前記第2側部領域には前記第2側部領域一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。
【0019】
本発明の他の機能によれば、前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0020】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1側部領域一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2側部領域には前記第2側部領域一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0021】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーと前記第2格納式カバーは異なる向きに格納されるよう設計されている。また本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーには前記第1側部領域の前記非線形スロットと隣接して格納式カバー固定スロットがあり、前記格納式カバー固定スロットの長さは前記第2格納式カバーの幅に適合する。
【0022】
本発明の他の機能によれば、中央領域には直径30ミクロンを超える大きさの孔が複数空いていて多孔領域を形成する。
【0023】
本発明の他の機能によれば、中央領域の孔の数は10を超える。
【0024】
本発明の他の機能によれば、中央領域は第1および第2側部領域よりも早くバイオ消散する。
【0025】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は100ミクロンを超える。
【0026】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は500~3000ミクロン。
【0027】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は800~2500ミクロン。
【0028】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は前記多孔領域の70%を超える。
【0029】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は前記多孔領域の90%を超える。
【0030】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には10ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0031】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には5ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0032】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は再生誘導メンブレンである。
【0033】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は心膜である。
【0034】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部はコラーゲン膜である。
【0035】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は合成膜である。
【0036】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域は第2側部領域と連結している。
【0037】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は第1側部領域と第2側部領域の間にある粘着層によって連結している。
【0038】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は縫合糸によって連結している。
【0039】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は熱および/または圧力によって連結している。
【0040】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域は第2側部領域と非連続的に連結し、第1と第2側部領域の連結部分の間に第1と第2側部領域の非連結部分がある。
【0041】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域にはスロット、第2側部領域には連結部があり、第2側部領域の連結部の一部の幅は第1側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0042】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にある連結部は第1側部領域のスロットに挿入されている。
【0043】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域には隣り合うスロットが二つ、第2側部領域には連結部があり、第2側部領域の連結部の一部の幅は第1側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0044】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にある連結部は第1側部領域のスロットに挿入されている。
【0045】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にはスロット、第1側部領域には連結部があり、第1側部領域の連結部の一部の幅は第2側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0046】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域にある連結部は第2側部領域のスロットに挿入されている。
【0047】
本発明の他の機能によれば、中央領域の境界の1つは組織遮断領域と連結していて、多孔領域の反対側の境界に隣接して詰め物用の開口を有した袋を形成する。
【0048】
本発明の他の機能によれば、中央領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は少なくとも中央領域の上部に配置され袋を形成する。
【0049】
本発明の他の機能によれば、中央領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は第1側部領域と第2側部領域の間に配置され袋を形成する。
【0050】
本発明の他の機能によれば、骨増生材は中央領域と軟部組織遮断領域の間に設置される。
【0051】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は中央領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも大きい。
【0052】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は中央領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも小さく、粒子は流動性材料の中にある。
【0053】
本発明の他の機能によれば、中央領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を形成し、袋の中には骨増生材がある。
【0054】
従って、本発明の教示内容によれば、以下で構成される組織再生を必要とする患者を治療するための装置が可能となる:
シート。シートには直径30ミクロンを超える大きさの孔が複数空いた多孔領域がある。シートには、多孔領域の右側に第1側部領域がある。シートには多孔領域の左側に第2側部領域がある。第1および第2側部領域は多孔領域の上に配置され、多孔領域の上に軟部組織遮断領域を形成する。軟部組織遮断領域には直径20ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0055】
上記の装置の領域やその他の要素は、これから説明されるものも含め、配置する順序を変えられることを明確にしておきたい。例えば、第1側部領域を多孔領域の上に配置し、第2側部領域を第1側部領域の上に配置することができる。例えば、第2側部領域を多孔領域の上に配置し、第1側部領域を第2側部領域の上に配置することもできる。
【0056】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1側部領域一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。
【0057】
本発明の他の機能によれば、前記第2側部領域には前記第2側部領域一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。
【0058】
本発明の他の機能によれば、前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0059】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1側部領域一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2側部領域には前記第2側部領域一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0060】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーと前記第2格納式カバーは異なる向きに格納されるよう設計されている。
【0061】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーには前記第1側部領域の前記非線形スロットと隣接して格納式カバー固定スロットがあり、前記格納式カバー固定スロットの長さは前記第2格納式カバーの幅に適合する。
【0062】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の孔の数は10を超える。
【0063】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は100ミクロンを超える。
【0064】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は500~3000ミクロン。
【0065】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は800~2500ミクロン。
【0066】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の70%を超える。
【0067】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の90%を超える。
【0068】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には10ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0069】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には5ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0070】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は再生誘導メンブレンである。
【0071】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は心膜である。
【0072】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部はコラーゲン膜である。
【0073】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は合成膜である。
【0074】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域は第2側部領域と連結している。
【0075】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は第1側部領域と第2側部領域の間にある粘着層によって連結している。
【0076】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は縫合糸によって連結している。
【0077】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は熱および/または圧力によって連結している。
【0078】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域は第2側部領域と非連続的に連結し、第1と第2側部領域の連結部分の間に第1と第2側部領域の非連結部分がある。
【0079】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域にはスロット、第2側部領域には連結部があり、第2側部領域の連結部の一部の幅は第1側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0080】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にある連結部は第1側部領域のスロットに挿入されている。
【0081】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域には隣り合うスロットが二つ、第2側部領域には連結部があり、第2側部領域の連結部の一部の幅は第1側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0082】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にある連結部は第1側部領域のスロットに挿入されている。
【0083】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にはスロット、第1側部領域には連結部があり、第1側部領域の連結部の一部の幅は第2側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0084】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域にある連結部は第2側部領域のスロットに挿入されている。
【0085】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界の1つは組織遮断領域と連結していて、多孔領域の反対側の境界に隣接して詰め物用の開口を有した袋を形成する。
【0086】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は少なくとも多孔領域の孔に少なくとも一部重なるように配置され袋を形成する。
【0087】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は第1側部領域と第2側部領域の間に配置され袋を形成する。
【0088】
本発明の他の機能によれば、骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置される。
【0089】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも大きい。
【0090】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも小さく、粒子は流動性材料の中にある。
【0091】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を形成し、袋の中には骨増生材がある。
【0092】
従って、本発明の教示内容によれば、以下で構成される組織再生を必要とする患者を治療するための装置が可能となる:
管。管の第1側面には直径30ミクロンを超える大きさの孔が複数空いた多孔領域がある。管の第2側面には多孔領域の上に軟部組織遮断領域が配置される。軟部組織遮断領域には第1シートと第2シートがあり、第2シートは第1シートの上に配置される。軟部組織遮断領域には直径20ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0093】
本発明の他の機能によれば、前記第1シートには前記第1シート一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。
【0094】
本発明の他の機能によれば、前記第2シートには前記第2シート一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。
【0095】
本発明の他の機能によれば、前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0096】
本発明の他の機能によれば、前記第1シートには前記第1シート一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2シートには前記第2シート一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0097】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーと前記第2格納式カバーは異なる向きに格納されるよう設計されている。
【0098】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーには前記第1シートの前記非線形スロットと隣接して格納式カバー固定スロットがあり、前記格納式カバー固定スロットの長さは前記第2格納式カバーの幅に適合する。
【0099】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の孔の数は10を超える。
【0100】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は100ミクロンを超える。
【0101】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は500~3000ミクロン。
【0102】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は800~2500ミクロン。
【0103】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の70%を超える。
【0104】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の90%を超える。
【0105】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には10ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0106】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には5ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0107】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は再生誘導メンブレンである。
【0108】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は心膜である。
【0109】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部はコラーゲン膜である。
【0110】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は合成膜である。
【0111】
本発明の他の機能によれば、第1シート領域は第2シートと連結している。
【0112】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは第1シートと第2シートの間にある粘着層によって連結している。
【0113】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは縫合糸によって連結している。
【0114】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは熱および/または圧力によって連結している。
【0115】
本発明の他の機能によれば、第1シートは第2シートと非連続的に連結し、第1と第2シートの連結部分の間に第1と第2シートの非連結部分がある。
【0116】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界の1つは組織遮断領域と連結していて、多孔領域の反対側の境界に隣接して詰め物用の開口を有した袋を形成する。
【0117】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は多孔領域の孔に少なくとも一部重なるように配置され袋を形成する。
【0118】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は第1シートと第2シートの間に配置され袋を形成する。
【0119】
本発明の他の機能によれば、骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置される。
【0120】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも大きい。
【0121】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも小さく、粒子は流動性材料の中にある。
【0122】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を形成し、袋の中には骨増生材がある。
【0123】
従って、本発明の教示内容によれば、以下で構成される組織再生を必要とする患者を治療するための装置が可能となる:
袋。袋の第1側面には直径30ミクロンを超える大きさの孔が複数空いた多孔領域がある。袋の第2側面には多孔領域の上に軟部組織遮断領域が配置される。軟部組織遮断領域には第1シートと第2シートがあり、第2シートは第1シートの上に配置される。軟部組織遮断領域には直径20ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0124】
本発明の他の機能によれば、前記第1シートには前記第1シート一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。
【0125】
本発明の他の機能によれば、前記第2シートには前記第2シート一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。
【0126】
本発明の他の機能によれば、前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0127】
本発明の他の機能によれば、前記第1シートには前記第1シート一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2シートには前記第2シート一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0128】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーと前記第2格納式カバーは異なる向きに格納されるよう設計されている。
【0129】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーには前記第1シートの前記非線形スロットと隣接して格納式カバー固定スロットがあり、前記格納式カバー固定スロットの長さは前記第2格納式カバーの幅に適合する。
【0130】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の孔の数は10を超える。
【0131】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は100ミクロンを超える。
【0132】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は500~3000ミクロン。
【0133】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は800~2500ミクロン。
【0134】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の70%を超える。
【0135】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の90%を超える。
【0136】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には10ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0137】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には5ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0138】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は再生誘導メンブレンである。
【0139】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は心膜である。
【0140】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部はコラーゲン膜である。
【0141】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は合成膜である。
【0142】
本発明の他の機能によれば、第1シート領域は第2シートと連結している。
【0143】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは第1シートと第2シートの間にある粘着層によって連結している。
【0144】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは縫合糸によって連結している。
【0145】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは熱および/または圧力によって連結している。
【0146】
本発明の他の機能によれば、第1シートは第2シートと非連続的に連結し、第1と第2シートの連結部分の間に第1と第2シートの非連結部分がある。
【0147】
本発明の他の機能によれば、袋には多孔領域の境界の1つに隣接する詰め物用の開口がある。
【0148】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は多孔領域の孔に少なくとも一部重なるように配置され袋を閉じる。
【0149】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は第1シートと第2シートの間に配置され袋を閉じる。
【0150】
本発明の他の機能によれば、骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置される。
【0151】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも大きい。
【0152】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも小さく、粒子は流動性材料の中にある。
【0153】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を閉じ、袋の中には骨増生材がある。
【0154】
従って、本発明の教示内容によれば、以下で構成される組織再生を必要とする患者の治療のための装置の作成方法が可能となる:
a. シートの一領域に直径30ミクロンを超える大きさの孔を複数開け、多孔領域を形成。
b. シートを折り多孔領域の右側上部に第1側部領域を作成。
c. シートを折り多孔領域の左側で第1側部領域の上にかぶさるように第2側部領域を作成し、第1と第2側部領域で軟部組織遮断領域を形成。軟部遮断領域には直径20ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0155】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1側部領域一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。
【0156】
本発明の他の機能によれば、前記第2側部領域には前記第2側部領域一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。
【0157】
本発明の他の機能によれば、前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0158】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1側部領域一部の周囲に第1格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2側部領域には前記第2側部領域一部の周囲に第2格納式カバーを形成するスロットがある。前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーより大きい。前記軟部組織遮断領域において前記第2格納式カバーは前記第1格納式カバーに重なり合うようにかぶさり、前記第1および第2格納式カバーが格納されている際は、前記軟部組織遮断領域の側面に開口を形成する。
【0159】
本発明の他の機能によれば、前記第1格納式カバーと前記第2格納式カバーは異なる向きに格納されるよう設計されている。
【0160】
本発明の他の機能によれば、前記第1側部領域には前記第1シートの前記非線形スロットと隣接して格納式カバー固定スロットがあり、前記格納式カバー固定スロットの長さは前記第2格納式カバーの幅に適合する。
【0161】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を形成し、袋の中には骨増生材がある。
【0162】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の孔の数は10を超える。
【0163】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は100ミクロンを超える。
【0164】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は500~3000ミクロン。
【0165】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は800~2500ミクロン。
【0166】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の70%を超える。
【0167】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の90%を超える。
【0168】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には10ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0169】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には5ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0170】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は再生誘導メンブレンである。
【0171】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は心膜である。
【0172】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部はコラーゲン膜である。
【0173】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は合成膜である。
【0174】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域は第2側部領域と連結している。
【0175】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は第1側部領域と第2側部領域の間にある粘着層によって連結している。
【0176】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は縫合糸によって連結している。
【0177】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域と第2側部領域は熱および/または圧力によって連結している。
【0178】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域は第2側部領域と非連続的に連結し、第1と第2側部領域の連結部分の間に第1と第2側部領域の非連結部分がある。
【0179】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域にはスロット、第2側部領域には連結部があり、第2側部領域の連結部の一部の幅は第1側部領域にあるスロットの長さよりも大きい
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にある連結部は第1側部領域のスロットに挿入されている。
【0180】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域には隣り合うスロットが二つ、第2側部領域には連結部があり、第2側部領域の連結部の一部の幅は第1側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0181】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にある連結部は第1側部領域のスロットに挿入されている。
【0182】
本発明の他の機能によれば、第2側部領域にはスロット、第1側部領域には連結部があり、第1側部領域の連結部の一部の幅は第2側部領域にあるスロットの長さよりも大きい。
【0183】
本発明の他の機能によれば、第1側部領域にある連結部は第2側部領域のスロットに挿入されている。
【0184】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界の1つは組織遮断領域と連結していて、多孔領域の反対側の境界に隣接して詰め物用の開口を有した袋を形成する。
【0185】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は少なくとも多孔領域の孔に少なくとも一部重なるように配置され袋を形成する。
【0186】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は第1側部領域と第2側部領域の間に配置され袋を形成する。
【0187】
本発明の他の機能によれば、骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置される。
【0188】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも大きい。
【0189】
本発明の他の機能によれば、微粒子状の骨増生材は多孔領域と軟部組織遮断領域の間に設置され、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも小さく、粒子は流動性材料の中にある。
【0190】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を形成し、袋の中には骨増生材がある。
【0191】
従って、本発明の教示内容によれば、以下で構成される組織再生を必要とする患者の治療のための装置の作成方法が可能となる:
a. 舌骨膜組織を下顎骨舌側面から切り取り、舌骨膜組織と下顎骨舌側面の間に舌開口部を形成。
b. 舌開口部を通る骨膜下トンネルを形成。骨膜下トンネルは舌開口部から下顎骨の一部と骨膜組織の一部に沿って伸びる。
c. 舌開口部を通して骨膜下トンネルの中に袋を挿入。袋には直径30ミクロンを超える大きさの多孔領域がある。袋には軟部組織遮断領域があり直径20ミクロンを超える大きさの孔はない。袋の中には骨増生材がある。袋の多孔領域は下顎骨の少なくとも一部に向けて配置され、軟部組織遮断領域は骨膜組織の少なくとも一部に向けて配置される。
d. 舌開口部を閉じ、下顎骨の一部に隣接したまま袋を少なくとも数日間置いておき、袋の孔を通して骨組織の内部成長を可能にする。
【0192】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には格納式カバーが少なくとも一つあり、格納されている際は袋を充填するための開口を形成する。
【0193】
本発明の他の機能によれば、骨膜組織の一部は舌開口部の遠位側に位置する。
【0194】
本発明の他の機能によれば、骨膜組織の一部は舌開口部の近心に位置する。
【0195】
本発明の他の機能によれば、追加の骨増生材が袋に隣接する骨膜下トンネルの中に挿入される。
【0196】
本発明の他の機能によれば、追加の骨増生材が袋と下顎一部の間にある骨膜下トンネルの中に挿入される。
【0197】
本発明の他の機能によれば、骨膜下トンネルにつながる開口部は下顎の頬側にも形成される。
【0198】
本発明の他の機能によれば、開口部は下顎の頬側に達するように広げられる。
【0199】
本発明の他の機能によれば、骨膜下トンネルは下顎一部の咬合に沿って伸びる。
【0200】
本発明の他の機能によれば、骨膜下トンネルは下顎一部の頬側に沿って伸びる。
【0201】
本発明の他の機能によれば、袋は下顎一部の頬側に沿って配置される。
【0202】
本発明の他の機能によれば、袋は下顎一部の咬合に沿って配置される。
【0203】
本発明の他の機能によれば、袋は下顎一部の舌に沿って配置される。
【0204】
本発明の他の機能によれば、袋はボーンタックを用いて下顎に固定される。
【0205】
本発明の他の機能によれば、袋はスクリューを用いて下顎に固定される。
【0206】
本発明の他の機能によれば、袋は接着剤を用いて下顎に固定される。
【0207】
本発明の他の機能によれば、袋は縫合糸を用いて骨膜組織に固定される。
【0208】
本発明の他の機能によれば、袋は接着材を用いて骨膜組織に固定される。
【0209】
本発明の他の機能によれば、袋は骨増生材入りの注射器を用いて充填する。
【0210】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の孔の数は10を超える。
【0211】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は100ミクロンを超える。
【0212】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は500~3000ミクロン。
【0213】
本発明の他の機能によれば、孔の直径は800~2500ミクロン。
【0214】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の70%を超える。
【0215】
本発明の他の機能によれば、孔の占める割合は多孔領域の90%を超える。
【0216】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には10ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0217】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域には5ミクロンを超える大きさの孔はない。
【0218】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は再生誘導メンブレンである。
【0219】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は心膜である。
【0220】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部はコラーゲン膜である。
【0221】
本発明の他の機能によれば、シートの少なくとも一部は合成膜である。
【0222】
本発明の他の機能によれば、軟部組織遮断領域の少なくとも一部には第1シートの上に第1シートと第2シートがある。
【0223】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは第1シートと第2シートの間にある粘着層によって連結している。
【0224】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは縫合糸によって連結している。
【0225】
本発明の他の機能によれば、第1シートと第2シートは熱および/または圧力によって連結している。
【0226】
本発明の他の機能によれば、第1シートは第2シートと非連続的に連結し、第1と第2シートの連結部分の間に第1と第2シートの非連結部分がある。
【0227】
本発明の他の機能によれば、第1シートにはスロット、第2シートには連結部があり、第2シートの連結部の一部の幅は第1シートにあるスロットの長さよりも大きい。
【0228】
本発明の他の機能によれば、第2シートにある連結部は第1シートのスロットに挿入されている。
【0229】
本発明の他の機能によれば、第1シートには隣り合うスロットが二つ、第2シートには連結部があり、第2シートの連結部の一部の幅は第1シートにあるスロットの長さよりも大きい。
【0230】
本発明の他の機能によれば、第2シートにある連結部は第1シートのスロットに挿入されている。また本発明の他の機能によれば、第2シートにはスロット、第1シートには連結部があり、第1シートの連結部の一部の幅は第2シートにあるスロットの長さよりも大きい。さらに本発明の他の機能によれば、第1シートにある連結部は第2シートのスロットに挿入されている。
【0231】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界の1つは組織遮断領域と連結していて、多孔領域の反対側の境界に隣接して詰め物用の開口を有した袋を形成する。
【0232】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は少なくとも多孔領域の孔に少なくとも一部重なるように配置され袋を形成する。
【0233】
本発明の他の機能によれば、多孔領域には境界閉鎖拡張部があり、境界閉鎖拡張部は第1シートと第2シートの間に配置され袋を形成する。
【0234】
本発明の他の機能によれば、骨増生材には微粒子状の骨増生材が含まれ、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも大きい。
【0235】
本発明の他の機能によれば、骨増生材には微粒子状の骨増生材が含まれ、骨増生材の粒子の直径は多孔領域の孔の直径よりも小さく、粒子は流動性材料の中にある。
【0236】
本発明の他の機能によれば、多孔領域の境界は組織遮断領域と連結し袋を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0237】
ここではほんの一例として発明が添付図面を参照して説明されている:
図1図1は、多孔領域を有するシートの形態を示した透視図である。
図2図2は、図1のシートを折ったおよび/または巻いた後に形成される管の形態を示した透視図である。
図3図3は、図2の管の端部を一つ閉じ、もう片方の端部が開いている袋の形態を示した透視図である。
図4図4は、図3の袋を詰めた後に、もう片方の袋の端部が閉じられている袋の形態を示した透視図である。
図5図5は、多孔領域とシートを折ったおよび/または巻いた後に形成される管の端部の閉鎖を簡単にするための境界閉鎖拡張部を有するシートの形態を示した透視図である。
図6図6は、多孔領域、シートを折ったおよび/または巻いた後に形成される管の端部の閉鎖を簡単にするための境界閉鎖拡張部、シートの第1・第2側部領域を連結するための連結部とそれぞれの連結部に対応したスロットを有するシートの形態を示した透視図である。
図7図7は、多孔領域、シートを折ったおよび/または巻いた後に形成される管の端部の閉鎖を簡単にするための境界閉鎖拡張部、シートの第1・第2側部領域を連結するための連結部とそれぞれの連結部に対応した二つのスロットを有するシートの形態を示した透視図である。
図8図8は、図7のシートを折りおよび/または巻き、境界閉鎖拡張部で端部を一つ閉じ、二つのスロットに連結部を挿入しシートの第1・第2側部領域を連結した後に形成される袋の形態を示した透視図である。
図9図9は、端部を一つ閉じ、袋の二つ目の端部の閉鎖を簡単にするために第2境界閉鎖拡張部を有する袋の形態を示した透視図である。
図10図10は、骨膜下トンネルにつながる舌開口部を作るために下顎骨から前方にある舌粘膜骨膜組織が切り取られた下顎を示した透視図である。
図11図11は、図10の下顎に前方の舌開口部を通して下顎骨の後方に向けて骨膜下トンネルの中に袋を挿入した透視図である。
図12図12は、縫合糸および/またはワイヤーと追加の固定用の孔を用いて、オープンサイナスリフト手術の最中に上顎洞の中に袋を固定する様子を示した側面図である。
図13図13は、多孔領域と側面の開口を閉じるための閉鎖拡張部および格納式カバーを有するシートの形態を示した透視図である。
図14図14は、図13のシートを折ったおよび/または巻いた後に形成される袋の形態を示した透視図である。袋には袋を充填するために側面と端部に開口がある。
図15図15は、図14の袋を詰め、端部の開口を閉じ、側面の開口を二つの格納式カバーで覆った後の袋の形態を示した透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0238】
本発明の機能をより詳しく見ていく前に、説明や請求の中で使用される専門用語をいくつかを明確にしておくと役立つであろう。特に、注目すべき点は、本発明が生体組織の再生または治療が必要とされる範囲では幅広い用途で役に立つということである。「生体組織 (living tissue)」という用語はここで全ての生体組織を指して用いられ、そこには骨や臓器、管、血管、虫歯、骨空洞、膜、および上記二つ以上の界面を含むがこれに限定されるものではない。単一の組織の中で使われる場合は、本発明の主用途は組織の中で組織を再生することである。組織界面で使われる場合は、発明は組織を分離および/または1つの組織だけを治療するために通常用いられる。
【0239】
外科手術の最中体内に入れてもよい材料で、後に消散するために別で取り除くための外科手術をする必要がないような材料は数多くの種類が知られている。それら材料は、材料の消散過程に応じて適切に、「再吸収性 (resorbable)」、「生体再吸収性 (bioresorbable)」、「吸収性 (absorbable)」、「生体吸収性 (bioabsorbable)」、「分解性」、「生体分解性 (biodegradable)」と使い分けている。材料の異なる分類間の違いはあるものの、医療専門家たちは前述の用語を区別しないで一般に使っている。それに応じて、発表を簡潔にするためにも、次の説明ではこれら用語のうち1つだけを基本的に使うこととするが、材料の他の分類を除外するということではない。加えて、「生体消散性材料 (bio-dissipative material)」という表現が説明や請求の中で使われるが、分解、劣化、吸収、排出などどういった過程を経るかに関係なく、除去のための外科手術を必要としない全ての消散性材料を指して基本的に用いられている。どの種類の材料を実際に使用するかの選択は、当分野に普段から精通している人が決めてよい。
【0240】
骨はいくつかの生物学的メカニズムによって再生することができる:骨形成(Osteogenesis) では骨増生材に骨形成細胞が含まれている。骨誘導 (Osteoinduction) では骨増生材に細胞の骨形成を誘導する材料や骨形成細胞に分化する材料が含まれている。骨伝導 (Osteoconduction) では骨増生材が骨形成細胞に骨格を提供する。骨促進 (Osteopromotion) では骨再生の生物環境や機械環境を促進する。骨増生材には以下のものが用いられる:自家移植片、同種移植片、異種移植片、人工材料、サイトカイン、ホルモン、成長因子、生理学的に容認された薬、生物学的修飾物質、タンパク質(例. BMP-2、BMP-7などの骨形成タンパク質)、抗原、細胞走化性刺激材料、骨形成を誘導する材料、骨誘導材料、骨伝導材料、生物活性材料、生体再吸収性材料、生体吸収性材料、生体消散性材料、前述のものによる組み合わせ。骨増生材には体内のスペースを数週間確保するような材料が含まれてよい。これら材料は確保するスペースの中で組織の成長を促進することが望ましい。これは市場に出ている骨増生材の大部分がもつ基本的な機能である。骨増生材は完全に生体消散性のものでよい。骨増生材は市場から入手できる下記のようなものでよい:ヒドロキシアパタイト、牛由来のミネラル(すなわちスイスのガイストリッヒ社から入手できるバイオオス)、他の種の生物由来の材料(例えば馬由来の材料)、無機物とコラーゲンが組み合わさった材料(すなわちイタリアのバイオテックSPAから入手できるOXグラニュール)、脱灰凍結乾燥骨(DFDBa)同種移植片、PLAなどの合成物質、液状媒質中に(多様な起源に由来する)無機物粒子が分散した懸濁液。骨増生材は、例えば結晶性ヒドロキシアパタイトのような、完全にまたは部分的に非生体消散性のものであってもよい。骨増生材には治療用物質が含まれてもよい。
【0241】
骨増生材は組織の中で固まり硬直するような生体適合性のある充填材料でよい。生体適合性のある充填材料は骨折治癒の過程を補助する材料を含む生体消散性材料でよい。例えば、ノリアン社のスケルタルリペアシステム(SRS)やオークエスト社のヒーロス、ハウメディカライビンガー社のオステオジェニックスやオーソビタのオーソコンプなどである。
【0242】
骨増生材のほとんどは200~2000ミクロンの大きさの粒子で構成されている。挿入を簡単にするために、粒子を生理食塩水や血液、セルロースおよび/またはグリセロール、ヒドロゲルなどの生体適合性のあるゲルなどの溶液に混ぜることが望ましい。骨増生材はダイナグラフトなどのゲル状の同種移植片骨増生材および/または骨セメント硫酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムの高粘性ゲルでもよい。加えて、「増生材 (augmenting material)」という表現が説明や請求の中で使われが、これら全ての材料や過程、そしてこれら材料が混ぜられた全ての媒体および/またはゲルを指して基本的に用いられている。どの種類の材料および/または材料の組み合わせを実際に使用するかの選択は、当分野に普段から精通している人が決めてよい。
【0243】
説明の中で装置が時には「袋 (bag)」と呼んだり、時には「容器 (container)」と呼ぶことがある。どちらの用語も骨増生材を充填することができる装置を指している。「容器」あるいは「袋」は、どの形態においてもポーチまたは布でできたような小袋であってもよい。
【0244】
「前方の (anterior)」という用語はより前の方で唇に近い位置を指す。「後方の (posterior)」という用語はより後ろの方で喉に近い位置を指す。「頬側の (buccal)」という用語は頬と唇に近い側面を指す。「舌の (lingual)」という用語は舌の側を指す。口の中で「近心 (mesial)」という用語は歯科用語では歯列弓に沿って中央歯のある位置を指す。口の中で「遠位 (distal)」という用語は歯科用語では歯列弓に沿って臼歯のある位置を指す。
【0245】
メンブレン(膜)という用語は種々の材料と形状であらゆる材料の組み合わせから成る材料のシートを指す。メンブレンは生体適合性のある材料で作られることが望ましい。メンブレンは部分的にまたは完全に生体消散性のものか完全に非再吸収性のものでよい。メンブレンは人工材料で作られるものでよい。例えば、精製されたグリコリドモノマーの開環重合で作られた線状高分子重合体であるポリグリコール酸 (PGA) メッシュ(例.ポリグラクチン910 i.e. polyglycolide co-galactide)または/およびPDS (別の吸収性吸収縫合材料) および/または生体消散性のセルロースまたは非再吸収性のPTFEおよび/またはePTFEおよび/またはテフロン(登録商標)から成るセルロースなどである。メンブレンは自家移植片、同種移植片、異種移植片、および前述のものによる全ての組み合わせから作られる。例えばメンブレンはコラーゲンおよび/または架橋コラーゲンから作られる。メンブレンは心膜や腹膜、血管、その他の組織および/または生体膜から作られる。メンブレンは異なる領域ごとに異なる厚みをもつことができる。メンブレンは異なる領域ごとに異なる剛性および/または柔軟性をもつことができる。メンブレンは2つ以上の層をもつことができ、それぞれの層は異なる性質および/または異なる材料で作ることができる。メンブレンには組織再生誘導メンブレンおよび/または骨再生誘導メンブレンを含むことができる。骨再生誘導 (GBR) メンブレンは歯科インプラントにおいて骨再生のために用いられる。GBRメンブレンは上皮組織や結合組織が骨欠損に侵入し骨再生過程を妨害することを防止する。メンブレンは上記のものによる全ての組み合わせが可能である。
骨膜下トンネルの中に袋が挿入される際、心膜のような引き裂き抵抗のあるメンブレン(例えばドイツのボティス社のジェイソンメンブレン)または圧縮されたコラーゲン(例えばスイスのガイストリッヒ社のバイオガイド圧縮)を使うと有利である。
【0246】
説明の中で装置および/または装置の部分を時には「シート」、時には「メンブレン(膜)」と呼んでいる。どちらの用語も袋を形成することができる装置および/または装置の部分を指している。シートまたはメンブレンは通常布地や織物のように柔らかい。シートまたはメンブレンは、布地のようですぐに使えるものか、あるいは織物のようにより柔らかくするために水和作用を必要とするかもしれない。
【0247】
説明の中で孔が任意の直径をもつものとして言及されている。「直径」という用語は必ずしも孔が円形であることを意味するものではない。孔は楕円および/または正方形や六角形などの多角形といった様々な形状でもよく、非正規で定義されていない形状でもよい。
顎の中で「粘膜骨膜組織」という用語は歯茎および/または歯肉のことも指している。
【0248】
最後に専門用語と関連して、本発明の容器および/または袋を充填するための流動性材料に言及する。注目すべき点は、充填材料を容器の中に入れることができる限り、この流動性材料の組成や粘度は幅広い範囲が推測される。従って、充填材料の粘度の可能性としては、水っぽい、粘性的、ゲル状、鋳造可能、ろう状、微粒子状、および上記のものによる懸濁液または混合物を含むがこれに限定されるものではない。充填材料はさらに上述の骨増生材で流動性材料となりえる種類のいずれでもよい。骨増生材は生理食塩水などを溶体とした粒子の懸濁液でよい。骨増生材はゲル内に粒子が入ったものでよい。粒子は上述の骨増生材のいずれの種類からでもよく、ゲルは上述の骨増生材のいずれの種類からでもよい。ゲルにはコラーゲンおよび/また骨形成を誘導する材料いずれも含むことができる。
【0249】
次に詳しく見ていく図面は、本発明の領域を制限するものではなく、実践そのものを示す目的で、本発明の推奨形態を図示したものであり、複数の観点を通して同様の参照文字が対応要素を指している。
【0250】
図1は、メンブレンシート10(以下シートおよび/またはメンブレンと呼ぶ)を示し、その中央領域11(図1にある破線の間)には複数の孔12が開けられ、二つの側部領域13、14が中央領域の両側にある。 中央領域11はシートの中央にある必要はない。側部領域13、14には孔を開けることができない。側部領域には直径5ミクロンおよび/または10ミクロンおよび/または15ミクロンおよび/または20ミクロンおよび/または25ミクロンおよび/または30ミクロン以下の孔があり、側部領域13、14にある孔の直径は最大で5ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、25ミクロン、30ミクロンである。側部領域13、14および中央領域11は異なる寸法と異なる形状をもついくつかの種類の孔をもてる。シート10を折るおよび/または巻くことで第1側部領域13を中央領域11の上に配置し、第2側部領域14を第1側部領域13の上に配置することができる。このようにシートメンブレン10を折るおよび/または巻くことで図2に示す管状構造20を作成することができる。管状構造20では、管20の片側に中央領域11、管20のもう片側に2層のメンブレン13、14(第1および第2側部領域)があり、管20に軟部組織遮断領域21を形成する。
【0251】
折り目15に沿って折り目をつくることができる。折り目15の間にある中央領域と同じ程度の幅を持つ棒を置き、折り目の補助として使うことができる。棒は中央領域11の上に置き、側部領域13、14をその上に折ることができる。折れ目15には長さ0.5から3mmまたは1~2mmまたは3mmを超える目打ち線および/または小さいスロットをつくることができる。メンブレン11の折り目15沿いに作られた長さ0.5~3mmまたは1~2mmまたは3mmを超える印および/またはエンボス加工のように、折り目15には幅が細い箇所があってよい。これらスロットまたはエンボス加工があることによりメンブレン11を折り目15に沿って簡単に折ることができる。
【0252】
第2側部領域14を第1側部領域13および/または中央領域11に連結させることで管20をその管構造を保たせ、メンブレンシート10が開いてしまうことを防ぐことができる。領域間は例えば、縫合糸および/または生体適合性のある縫合糸/接着剤を用いた接着で連結させることができる。領域間は圧力および/または熱により連結させることもできる。
【0253】
管は楕円である必要はなく、その他どのような形態をとってもよい。
【0254】
上述および後述する接着剤は、参照により本書に含まれているバイオテックS.P.A.社による国際出願No. WO2015/107502で説明されている殺菌プロセス中の放射により重合するポリマーおよび/またはヒドロゲルでよい。
【0255】
骨形態に簡単に適応できるように袋の柔軟性を保つため、接着剤は柔らかい接着剤でよい。袋の柔軟性を保つため、接着剤は間隔を置いておよび/または複数点にだけつけることが望ましい。
【0256】
図3に示す通り、管20の管の一つの端部31で閉じておき容器30を形成できる。閉じる方法は例えば縫合糸および/または生体適合性のある縫合糸および/または接着剤を用いて閉じてよい。管の端部31は、圧力および/または熱でも閉じることができる。管の端部31を閉じる前に折るおよび/または巻くことも、折るおよび/または巻くことはせずに閉じることもできる。
【0257】
図1に示すメンブレンのようにメンブレン10のかたちで装置を外科医に売ることができる。メンブレンには孔が開けられる中央領域と側部領域13、14があり、側部領域13,14を外科医が折りおよび/または巻いて連結し、図2に示す管20を形成する。そして管20の一つの端部31を外科医が閉じ、図3に示す容器のように容器30を形成する。
【0258】
図2に示す管のように管20のかたちで装置を外科医に売ることができる。そして管20の一つの端部31を外科医が閉じ、図3に示す容器のように容器30を形成する。
【0259】
図3に示す容器のように既に容器30のかたちで装置を外科医に売ることができる。
【0260】
容器30は骨増生材で充填することができる。異なる性質をもつ複数の骨増生材や骨増生材同士の組み合わせおよび/または骨増生材と担体やゲル、ポリマー、ヒドロゲルなど他の材料との組み合わせで充填することができる。容器30は、例えば再吸収性の遅いおよび/または非再吸収性の骨増生材と再吸収性の早い材料を合わせて充填することができる。容器は、例えば200ミクロンより小さいおよび/または200~600ミクロンおよび/または500~1000ミクロンの大きさの細かい粒子の骨増生材で充填することができる。容器には、例えば600ミクロンを超えるおよび/または1000~2000ミクロンおよび/または2000ミクロンを超える大きいサイズの粒子状骨増生材、を追加であるいはに限定して充填することができる。容器には例えば粒子やゲルを充填することができる。
【0261】
中央領域には骨組織の成長が可能なサイズよりも大きい孔をもつことができる。孔の直径は10ミクロンよりも大きくでき、50ミクロンおよび/または100ミクロンおよび/または500ミクロンおよび/または1000ミクロンよりも大きいことが望ましい。孔が大きいほど骨再生は早くなる。孔の直径は500~2000ミクロンおよび/または1000~1800ミクロンまたは2000ミクロンよりも大きくすることができる
孔12は円形あるいはその他の形でよい。孔12は中央多孔領域11の面の少なくとも30%を占めることができる。孔12は中央多孔領域11の面の少なくとも50%および/または中央多孔領域11の面の少なくとも70%および/または中央多孔領域11の少なくとも90%を占めることが望ましい。
【0262】
中央領域には2~10個および/または10~20個および/または20~50個および/または50~70個および/または70~100個および/または100~130個および/または130を超える数の孔を開けることができる。孔の数は中央領域の大きさに応じて適切に決めるのがよい。中央領域には1cmにつき2~5個および/または1cmにつき5~10個および/または1cmにつき1~15個および/または1cmにつき15~20個および/または1cmにつき20~25個および/または1cmにつき25個以上の孔を開けることができる。
【0263】
中央多孔領域11には骨増生材に応じて適切な大きさの孔を開けることができる。例えば、骨増生材の粒子の大きさに応じておよび/または骨増生材の粘度および/または流動性に応じてである。孔12の直径は、骨増生材の粒子の一部の直径よりも小さくてよくおよび/または骨増生材の粒子の大部分の直径よりも小さくてよくおよび/または骨増生材の全ての粒子の直径よりも小さくてよい。
【0264】
孔12は、骨増生材の直径よりも大きくてよい。別の形態では、骨増生材粒子が流動性のある環境の中にありながら、孔12は骨増生材粒子の直径よりも大きくてよい。流動性のある環境の例としては、生理食塩水および/またはを生理食塩水含む材料および/または血液および/またはゲルおよび/またはコラーゲンなどである。
容器30に充填する方法としては、骨増生材を容器の中に注ぐおよび/またはスプーン状の装置を使うおよび/または注射器やじょうご、棒および/またはその他容器30の中に挿入できる装置を使うことが考えられる。
【0265】
容器30を適切な量の骨増生材で詰めた後は、容器の第2端部41において容器30を閉じ、図4に示す容器40を形成する。閉じる方法としては、例えば縫合および/または生体適合性のある縫合糸/接着材での接着が考えられる。容器の閉じ方としては、圧力および/または熱も考えられる。容器端部41を閉じる前に折るおよび/または巻くことができれば、折るおよび/または巻くことをせずに閉じることも可能である。
【0266】
図4に示すように容器を骨増生材で詰めた状態で市場に出すことができれば、図3に示すように空の容器30として市場に出し、外科医が後から骨増生材で詰め閉じることも可能である。
【0267】
図5に示すようにシートおよび/またはメンブレン10には中央多孔領域と隣接して端部閉鎖拡張部51をつくることができる。この端部閉鎖拡張部51により容器の片側を容易に閉じることができるようになる。シートおよび/またはメンブレン10を第1側部領域13が中央領域11の上に来るように折りおよび/または巻き、その後端部閉鎖拡張部51を第1側部領域13の上に来るように折りおよび/または巻き、その後第2側部領域14が第1側部領域13および端部閉鎖拡張部51の上に来るように配置できる。このようにシートおよび/またはメンブレンと端部閉鎖拡張部51を折るおよび/または巻くことで図3に示す容器30を作ることができる。容器30には容器の片側に中央/多孔領域があり、もう片側の少なくとも一部に沿って2層のメンブレン(第1と第2側部領域13、14)があり、軟部組織遮断領域21を形成する。端部閉鎖拡張部51に隣接する位置には、軟部組織遮断領域に隣接して3層のメンブレン(第1と第2側部領域13、14と端部閉鎖拡張部51)がある。
【0268】
端部閉鎖拡張部51が中央多孔領域の上になるように折り、第1と第2側部領域13、14が端部閉鎖拡張部51の上に配置することも可能である。端部閉鎖拡張部51が第1と第2側部領域の上にくるように折ることも可能である。メンブレン10の多要素を上下に配置する順序は、製造工程の推奨に応じて変えることができる。しかしながら、端部閉鎖拡張部51が短い場合は、閉鎖拡張部51が側部領域13、14の間にある方が、袋30が安定しやすい。
【0269】
図6に示すように、メンブレン10は、境界の一部に沿って、第1側部領域13から伸びる連結部分61をもつことができる。連結部分61は、一定の幅を持つか、あるいは一定でない幅をもつ矢印型またはその他の形状をとることができる。連結部分61は、ネック部62と、ネック部62よりも太いアンカー部63をもつことができる。連結部分61のネック部62の方がメンブレン10の中心により近い。メンブレン10はスロット64を持つことができ、連結部分61の少なくとも一部がスロット64に挿入することができる。スロット64の長さは、連結部分61のネック部62に対応すればよく、アンカー部63の幅よりも小さければよい。そうすることで、スロット64にアンカー部63を挿入した後、折らずにアンカー部がスロット64を再度通過してしまうことを防ぐことができる。スロット64を折り目15沿いに作ることでメンブレン10を折る手助けにもなる。スロット64を折り目15からずらすこともできる。
【0270】
図7に示すように、メンブレンは隣接する二つのスロット64、65をもつことができ、隣接するスロット64、65のどちらにも連結部61を通す際、図8に示すようにアンカー部63は容器80の外側にある。
【0271】
閉鎖拡張部51もスロット66あるいは二つのスロット66、67をもつことができ、折ると側部領域14のスロット64、65の上に来るようにし、連結部分61が側部領域14のスロット64、65に加え閉鎖拡張部51のスロット66、67にも通るようにすることで、袋をより安定させることができる。
【0272】
連結部分61の長さは1~20mmまたは2~10mmまたは3~7mmにできる。メンブレン10には二つ以上の連結部分あるいは2~10個または3~個の連結部分を持たせることが出来る。連結部分61の間隔は2~25mmまたは3~15mmまたは5~10 mmにできる。連結部分61は側部領域13、14のどちらにも沿って作ることができ、側部領域13、14どちらにもスロット64、65をもたせることで、それぞれの側部領域を他方の側部領域と連結させることができる。スロットは、中央領域11に作ることができ、中央領域の両側に作ることができる。
【0273】
閉鎖拡張部51は連結部分61を一つ以上もつことができ、第1側部領域13を第2側部領域14に連結させるのと同様のかたちで、閉鎖拡張部51を側部領域 (13、14) の少なくともどちらかに固定するためのスロットを、第1側部領域13および/または第2側部領域14は一つ以上もつことができる。
【0274】
第2側部領域14を、第1側部領域13および/または中央領域11および/または端部閉鎖拡張部51と連結させることができ、それにより容器80は構造を保ち、メンブレン10が開くことを防ぐことができる。メンブレン10の領域間を連結する方法はどのようなものでもよい。
【0275】
図9に示すように、容器90は、容器開口部92に隣接する第2端部閉鎖拡張部91をもつことができ、容器90を骨増生材で詰めた後に容器90の開口部92を容易に閉じることができる。第2端部閉鎖拡張部91は、容器90の中または第2側部領域14の上または第1側部領域13と第2側部領域14の間に、折るおよび/または巻くことができる。
【0276】
メンブレン10およびメンブレンの領域11・13・14・15・91、連結部分61、容器90は、再生を必要とする骨欠損に応じて、あらゆるサイズと形状をとることができる。例えばメンブレン10であれば、60 mmまたは40~60mmまたは20~40mmまたは4~20mmまたは5~17mm以上の長さ、60 mm、40~60mmまたは20~40mmまたは4~20mmまたは5-17mm以上の幅、および全ての長さと幅の組み合わせ、の長方形のかたちをとることができる。容器であれば60 mmまたは40~60mmまたは20~40mmまたは4~20mmまたは5~17mm以上の長さをもつことができる。容器の幅は60 mm、40~60mmまたは20~40mmまたは4~20mmまたは5-17mm以上にできる。再生する領域が歯3つ程度であれば、容器の長さは20~45mm、容器の幅は7~20mmでよい。再生する領域が歯1つ程度であれば、容器の長さは5~15mm、容器の幅は7~20mmでよい。
【0277】
閉鎖拡張部51、91は複数の形状と複数の寸法をとることができる。閉鎖拡張部51、91の長さ(管の開口部をつなぐ線に沿って)は3~20mmまたは5~18mmまたは10~15mmまたは7~10mmまたは20mm以上にできる。閉鎖拡張部51、91の幅は、中央領域11と同じ幅あるいは中央領域11の幅よりも0.5~4mmまたは1~3mm広くまたは狭くすることができる。閉鎖拡張部は長方形および/または角を丸めた形状および/または他のどのような形状もとることができる。
【0278】
中央領域11および側部領域13、14はメンブレン10に対して様々な割合で分割することができる。中央領域11および側部領域13、14は、メンブレン10の幅の1/3とすることができる。中央領域11を側部領域13、14よりも狭くすることができる。側部領域13、14を、実質的に同じ幅とするか、片方の側部領域の幅を他方の側部領域よりも大きくすることができる。第2側部領域が第1側部領域に完全にかぶるようにすることも、第1側部領域の一部しかかぶらないようにすることもできる。第1側部領域が中央領域に完全にかぶるようにすることも、中央領域の一部しかかぶらないようにすることもできる。第2側部領域が中央領域に完全にかぶるようにすることも、中央領域の一部しかかぶらないようにすることもできる。中央領域11の幅は、20mmまたは3~25mmまたは5~20mmまたは7~16mm以上にできる。
【0279】
中央領域11には複数の孔12を開けることができる。孔12は、中央領域11の一部に沿ってしか作成できない。中央領域11の端部で、幅に沿って、閉鎖拡張部51、91に向かう部分には、1~10mmまたは3~7mmまたは1~3mmの部分孔がなくてよい。中央領域11の端部で、長さに沿って、第1および/または第2側部領域13、14に向かう部分には、1~10mmまたは3~7mmまたは1~3mmの部分孔がなくてよい。
【0280】
中央領域11を、生体消散性のものにするために孔を設けないこともできる。中央領域11は、非生体消散性にもできる側部領域13,14よりも早く生体消散することができる。中央領域11は生体消散性のものとしおよび/または孔を設けることができる。いかなる具合の生体消散性と孔の組み合わせも可能である。
【0281】
孔は、いくつかの大きさで組み合わせることができる。例えば、中央領域に1000ミクロン以上の大きい孔と500ミクロン以下の小さい孔を組み合わせることができる。
【0282】
骨増生材は、いくつかの大きさで組み合わせることができる。例えば、骨増生材に1000ミクロン以上の大きい粒子と500ミクロン以下の小さい粒子を組み合わせることができる。骨粒子の組み合わせは、対応する大きさの孔の組み合わせをもつ容器と使うことができる。
【0283】
骨増生材には、異なる再吸収率をもつ骨増生材を少なくとも二つ使うことができる。例としては、血管と骨形成細胞の内部成長が早くなる速効型生体消散性材料と長い間体積を保つことができる遅効型生体消散性材料および/または非再吸収性骨増生材がある。遅効型生体消散性材料には、例えば、数年間体の中に残る牛由来のミネラル(スイスのガイストリッヒ社のバイオオスなど)がある。
【0284】
遅効型生体消散性材料は例えば、骨再生を利用しないまたは利用する美容整形治療に用いることができる。遅効型生体消散性材料で満たした容器を上顎手前の歯茎の頬側に沿って配置することで、組織体積を増やし上唇の位置を向上させることができる。このように上唇を向上させることでしわをなくし、笑顔と美的容姿をよくすることができる。遅効型生体消散性材料で満たした容器を、例えば頬骨に隣接して配置することで、頬骨を向上させることができる。個々の要求や個々に埋める必要がある欠損箇所に基づいて、それぞれの患者に対して容器の正確な位置を決めることができる。
【0285】
外科医は、容器を準備し骨膜下トンネルに通す、あるいは粘膜骨膜弁を持ち上げ容器の上から粘膜骨膜弁を縫合することができる。中央領域を骨に向けて配置し、側部領域を骨膜組織に向けて配置することができる。顎骨に隣接して容器を配置する前に、顎骨に孔を開けてよい。
【0286】
下顎においては、骨膜下トンネルの作成および/またはトンネル内に容器を挿入する際に、下顎の頬側に位置するオトガイ神経および/またはその動脈を傷つけてしまう可能性がある。
【0287】
新しい容器(または袋またはポーチ)の使用方法では、図10および11に示すように、骨膜下トンネルの少なくとも一部を下顎の舌側から作成する。トンネルの開口部は、下顎100の舌側、多くの場合は舌の手前側から開けるのでよい。舌開口部102は、図10に示すように、前歯103の下に舌粘膜骨膜弁101を持ち上げることでできる。舌開口部102は、舌顎100の舌側のどの部分に沿って設けてもよく、下顎正中線を渡ってもよい。図11に示すように、容器110は舌開口部102を通して挿入することができる。このような方法であれば、オトガイ神経を傷つけずに済む。容器110挿入の後は、歯茎の上に載せ下歯茎を垂直的に増生させる、および/または下顎骨の頬および/または舌側に挿入・配置し歯茎を水平的に増生させることができる。頬面に届かせるために、容器110を舌側から歯槽骨頂を超えて頬側まで押し出すことができる。
【0288】
骨膜下トンネルに容器110を通す前に、図11に示すように、針112がつながった縫合糸111を容器につなぎ、針112と縫合糸111をトンネルに挿入し、針112と縫合糸111を骨膜組織を通してトンネルの外まで通すことができる。これにより、縫合糸111を引っ張ることが可能となり、トンネルの中への容器の挿入・配置を補助することができる。縫合糸111は軟部組織に縫合することで、トンネルの中にある容器を固定することができる。縫合糸111は生体消散性材料から作られたものでよい。
【0289】
図11に示すように、舌開口部102を下顎100の舌前部に設け、容器を下顎の後方部に配置してもよい。舌開口部を下顎の舌後方部に設け、容器を下顎の前部に配置してもよい。舌開口部の位置および容器の位置は、各患者に対し個別に決定することができる。舌開口部を容器の位置の上に設けない利点としては、のちに舌開口部の縫合を開ける際に容器の上にないため、容器が感染する可能性を下げることができる。さらなる利点としては、容器の上の骨膜組織を切ったり縫合することがないため、組織への血液供給が損なわれることがなく、結果的に容器暴露の可能性を下げることができる。
【0290】
容器(または袋またはポーチ)を専用の注射器の中に入れて然るべき場所に注入することで容器をトンネルの中に挿入することができる。このようにすることで、容器挿入の際、容器のメンブレンが周りの組織に触れず、容器のメンブレンが傷つかずに済む。別の形態では、トンネル挿入の前に容器はカバーおよび/または包みおよび/またはスリーブの中に挿入され、容器挿入の後にカバーおよび/または包みおよび/またはスリーブは除去され、トンネルの中に容器のみが残る。このようにすることで、容器挿入の際、容器のメンブレンが周りの組織に触れず、容器のメンブレンが傷つかずに済む。カバーおよび/または包みおよび/またはスリーブは、片側を閉じることで、開口部が1つある袋形状のカバーを形成する。容器が縫合糸111とつながっている場合は、縫合糸はカバーの空いた側から出てくるかたちとなり、一方のカバーの閉じた側は反対側にあるかたちとなる。図10および11の形態では、カバーの閉じた側は下顎の前側に向くかたちである。カバーは柔らかくてよく、例えばゴム、ナイロン、シリコン、その他材料、および上記の組み合わせにより作ることができる。カバーが透明の方が、外科医が容器の孔が空いた側を判断できるため有利である。カバー袋は生体適合性材料で作られた方が有利である。
【0291】
容器は、GBR膜固定用スクリューのようなボーンスクリューおよび/またはGBR膜固定用タック(例. ドイツのボティス社のタイタンピンのセット)のようなタックやピンを使って固定することもできる。トンネルの中での固定には、カーブタック供給装置(例. バイオホライゾンズU.S.のオートタック膜固定キット)を使うことができる。袋には、ボーンスクリューおよび/またはボーンタックを挿入するための拡張部を設けることができる。固定用の拡張部には、外科医がスクリューおよび/またはタックを挿入する際に骨が見れるように孔を開けてもよい。孔の空いた固定用拡張部は、袋を準備した後の図1、5,6,7に示すシート10の多孔中央領域11の一部としてもよく、多孔中央領域よりも短い。
【0292】
容器はタックやスクリューを二つ以上使って安定させることができる。例えば、骨膜下トンネル開口部に近い側の袋の面にタックを二つ使うことが可能である。例えば、図10および11の形態では、容器の前方(あるいは近心)側を、容器の頬側前方の角に隣接して一つ目のタック、容器の舌側前方の角に隣接して二つ目のタックを使って固定することが可能である。二つ以上のタック(またはスクリュー)を使うことで、袋の回転を防ぐことができ、安定度が向上する。
【0293】
容器の後方領域を安定させるために、固定用スクリューおよび/またはタックおよび/またはピンを、歯茎の後方(あるいは遠心)領域を通して挿入することも可能である。固定用スクリューおよび/またはタックを挿入する前に、歯茎の後方領域に小さな切込みを入れることで、外科医が、固定用スクリューおよび/またはタックを挿入する前に容器を見ることができ、固定用スクリューおよび/またはタックの穴をドリルで開ける際に骨を見ることが可能となる。固定用スクリューおよび/またはタックを歯茎を通して口腔まで突き出させることで、歯茎が固定用スクリューおよび/またはタック周辺で治癒することができる。
容器はオープンサイナス増生手術とも呼ばれるオープンサイナスリフト手術で使うことができる。上顎洞の側壁に開口を開けシュナイダーメンブレンを持ち上げた後、容器を外側壁の開口を通して挿入し、上顎洞の底面上かつ持ち上げられたシュナイダーメンブレンの下に配置することができる。容器を骨増生材で既に満たした状態で挿入および/または上顎洞の中に入れた後に充填することができる。上顎洞の側壁開口部および/またはシュナイダーメンブレンおよび/またはシュナイダーメンブレンの裂け目にメンブレンが2層ある側を向けたかたちで容器を配置できる。
【0294】
シュナイダーが持ち上げの際に傷つかず破けなかった場合に、注射器の中に入れて容器を注入することができる。シュナイダーメンブレンが持ち上げの際に破けた場合および/またはシュナイダーメンブレンが手術過程の初め以前から傷ついていたおよび/または欠損していた場合に、注射器の中に入れて容器を注入することができる。シュナイダーメンブレンが破けているおよび/または欠損している場合は、上顎洞の底面と接触させるように容器を固定することが推奨される。容器の固定方法としては、いくつかの選択肢がある。例えば、歯科インプラントおよび/または複数の歯科インプラントを、上顎歯茎と上顎洞の底面を通して容器の中に挿入することができる。例えば、骨ブロック固定用のスクリューを使って容器を固定することができる。例えば、GBRメンブレン固定用のスクリューやタックを使って容器を固定することができ、スクリューおよび/またはタックは副鼻腔の中から口腔に向けておよび/または口腔から副鼻腔の中に向けて挿入することができる。
【0295】
縫合糸および/またはワイヤーを使って容器を固定することができる。図12に示す一つの形態では、固定用穴121および/または複数の固定用穴を上顎洞の側壁123の開口部122に隣接してドリルで開けることができる。縫合糸124を容器125(明確化のため図12に容器を図示しているが、容器は副鼻腔の中にあり、その境界はこの側面図では通常見えない。この見え方では開口122に隣接した容器125の一部しか見えない。)につなぎ、固定用穴121を通すことができる。縫合糸124を上顎の側壁に空いた開口122に通すことができる。縫合糸を結ぶことにより、容器を固定し、上顎洞の底面126(図12に示す破線。上顎洞の底面はこの側面図では通常見えない)に接触した状態にすることができる。
【0296】
通常であれば、上顎洞の中に挿入した後に、容器を部分的にまたは完全に充填する方が簡単にできる。別の形態では、容器の側面(中央領域および/または軟部組織遮断領域)いずれかに開口を設けることで、容器を充填することが可能になる。この充填は上述した袋の端部にある開口からの充填に追加して行うことができる。袋の端部にある開口から充填する代わりに側面開口から充填することができる。両端部を閉じた状態で袋を市場に販売し、側面開口から充填することができる。
【0297】
側面開口を軟部組織遮断領域に設け、第1(内側)シート(または第1側部領域)に第2シート(または第2側部領域)から到達できる開口部を設けることができる。側面開口を格納可能および/または可動なメンブレンの一部分(容器に付属する格納式カバーで、動かすことで開口部が見え骨材料を容器の中に挿入することが可能になり、その後元の位置に戻し側面開口を閉じることができる)で覆うことができる。
【0298】
軟部組織遮断領域にある側面開口は格納可能および/または可動なメンブレンの一部分(第1(内側)シート(または第1側部領域)の第1格納式カバーと第2(外側)シート(または第2側部領域)の第2格納式カバー)二つで覆うことができる。第2格納式カバーを第1格納式カバーよりも大きくし、第1シートの第1格納式カバーの境界周辺上に第2格納式カバーの境界が来るようにし、第1格納式カバーが第2格納式カバーに部分的にまたは完全に覆うようにできる。側面開口を閉じ、容器からの骨材料の漏れを防ぐうえでは、この構成がより効率的である。
【0299】
第1および第2格納式カバーは、異なる方向に格納されるように設計することができる。例えば、第1の格納式カバーは、容器の右境界に近い第1シートに連結され右方向に格納することができ、一方、第2格納式カバーは、容器の第2シートの左境界に近い第2シートに連結され左方向に格納することができる。別の任意の構成では、第1格納式カバーは容器の第1端部に近い側の第1シートに連結され、第1端部に向かって格納される。一方、第2格納式カバーは容器の第2端部に近い側の第2シートに連結され、第2端部に向かって格納される。格納式カバーを異なる方向に折りたたむのこの構成は、側面開口を閉じ、容器からの骨材料の漏れを防ぐうえではより効率的である。
【0300】
第1シートの開口部と第1シートの境界との間にスロットを設け、第2格納式カバーをこのスロットを通して挿入することで、第2格納式カバーをより強固に固定し、骨膜下トンネルの中に容器を挿入する際のずれを防止することができる。第2および/または第1格納式カバーは、固定を改善するために容器に縫合および/または接着することができる。格納式カバーは、例えば、円形、楕円形、長方形および/または一方の側で容器に接続する舌状の形状をとることができる。
【0301】
側面開口は、容器の中心に隣接していても、容器の縁に隣接していてもよい。上述のように顎骨を増生させるためには、側面開口が容器の縁のいずれかに隣接している方が便利なことがある。この構成で、両端部が既に閉じている場合は、外科医は側面開口から充填した後に袋を閉じる必要がない。サイナスリフト手術の場合は、側面開口が容器の中心に隣接している方が便利なことがある。一方の端部は、容器端部の開口部を通しての初期充填を可能にするために開いていてもよく、副鼻腔の中への挿入後は側面開口を通して容器を充填してもよい。容器の両端が閉じている場合は、初期充填および/または上顎洞内への容器挿入後の充填は、側方開口を通してすることができる。サイナスリフト用容器の一実施形態では、中央領域の幅は側部領域の幅よりも小さく、軟組織遮断領域は中央領域よりも大きくシュナイダーメンブレンおよび上顎壁洞123の開口部122に面している。中央領域は上顎洞の底面126に面している。サイナスリフト用容器の別の実施形態では、中央領域の幅は側部領域の幅よりも大きく、軟組織遮断領域は中央領域よりも小さく上顎壁洞123の開口部122に面している。中央領域は上顎洞の底面126およびシュナイダーメンブレンに面している。
【0302】
上顎洞の開口部を閉じるために追加の膜を設けることは可能であるが、容器の中の骨がすでに少なくとも1つの膜、あるいはほとんどの場所では2つの膜で覆われているため、追加の膜にはさほど利点がない。
【0303】
図13は、側面開口を有する容器を準備するためのシートおよび/または膜の実施形態を示す。シート130は、複数孔を有する中央多孔領域131、第1側部領域133、第2側部領域134、第1閉鎖拡張部135、および第2閉鎖拡張部136を有する。シートには、図13には示されていないが上述の連結部と適合スロットを含めることができる。第1側部領域133には、第1側部領域133の一部分を部分的に取り囲む非線形スロットまたは複数の連結スロット137を含めることができ、それによって、この第1側部領域133の部分を、第1側部領域133と連結したまま持ち上げ、第1格納式カバー138を形成することができる。第2側部領域134には、第2側部領域134の一部分を部分的に取り囲む非線形スロットまたは複数の連結スロット141を含めることができ、それによって、この第2側部領域134の部分を、第2側部領域134と連結したまま持ち上げ、第2納式カバー139を形成することができる。第1側部領域133はカバー固定スロット140も有することで、シート130から容器を作成し骨増生材で充填した後に、第2格納式カバー139を固定することができる。
【0304】
図14は、図13のメンブレンまたはシート130から作成された容器142を示す。この実施形態では、一方の端部開口部143は依然として開いており、第2閉鎖拡張部136は端部開口部143を閉じるために作成される。第2側部領域134は、第1側部領域133を覆い軟部組織遮断領域144を形成する。軟組織遮断領域144では、第1格納式カバー138と第2格納式カバー139が格納され側面開口145を露出する。中央多孔領域131は、端部開口143および側面開口145を通して見ることができる。
図15は、充填された容器150と、図14の容器の端部開口部143が閉じられた様子と、図14の容器の側面開口145が第2格納式カバー139によって覆われた様子を示す。側面開口145はまた、第2格納式カバー139によって覆われるため図15には示されていないが、第1格納式カバー138によって覆われることができる。容器がサイナスリフト手術で使われる場合は、上顎洞壁の開口部を通して利用できるよう側面開口を設けることができる。
【0305】
上述のように、例えば固定用穴や縫合糸および/またはワイヤーを使用し、容器を上顎洞の底面および/または上顎洞の側壁に固定することができる。他方の格納式カバーで側面開口145を覆い閉じながら、格納式カバー138、139のいずれかを格納することも可能である。格納されたカバーは、例えばタックを使って上顎洞の底面および/または上顎洞の側壁に固定することができる。図13の閉鎖拡張部135、136を使用せずに、図14の容器140の側面開口を閉鎖することも可能である。端部は上述のように、例えば縫合により閉じることができる。この実施形態では、例えば閉鎖拡張部と副鼻腔の側壁123を通して挿入されたタックによって、閉鎖拡張部を使用して容器を固定することができる。
【0306】
容器は他の組織の治療にも使用することができる。例えば、片側に孔を有する同様の容器を軟骨細胞で充填し、膝の中に配置し、穿孔側を関節に向け、遮断領域を皮膚に向けて軟骨の再生を促進することができる。他の関節でも同様の治療が可能である。
【0307】
第2組織または器官に影響を与えずに、治療を必要とする組織に容器の有孔面が面するように、容器を2つの組織または器官の間に配置し、特定の組織の治療を目的とする薬物で充填することができる。
【0308】
第2組織および/または器官に影響を与えたり傷つけたりせずに、治療を必要とする組織に容器の有孔面が面するように、シートを放射線を遮断する材料から作り、容器を2つの組織または器官の間に配置し、片方の組織における悪性腫瘍を治療する放射線放出材料で充填することができる。一実施形態では、シートを少なくとも一部金属箔から作成することができる。別の実施形態では、コラーゲンや放射線遮断材料の分子および/または粒子および/または繊維のような、上述の骨再生誘導メンブレンの材料のいずれかからシートを少なくとも一部作成することができる。放射線遮断粒子または繊維を周囲の器官を傷つけず残したまま、シートの材料を生体消散性とすることができる。そのような容器は、前立腺を治療し直腸を保護しながら、例えば前立腺と直腸との間に配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15