(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】岩石ボルト用の検知デバイス
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
G01L5/00 103D
(21)【出願番号】P 2019520178
(86)(22)【出願日】2017-06-20
(86)【国際出願番号】 CA2017050752
(87)【国際公開番号】W WO2017219134
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-19
(32)【優先日】2016-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518452663
【氏名又は名称】アラート テクノロジーズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】ゴットマルム,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】マンコウスキ,ジョセフ ロバート
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-181948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0043747(US,A1)
【文献】特開2002-4798(JP,A)
【文献】米国特許第5392654(US,A)
【文献】特開昭53-58278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00- 5/28
G01L 1/00- 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーボルト用の検知デバイスであって、
第1の端及び該第1の端に対向する第2の端を有するスペーサーであって、前記アンカーボルトが通過するための、前記第1の端から前記第2の端まで該スペーサーを貫通する通路を画定する、スペーサーと、
少なくとも1つの荷重センサーであって、各該少なくとも1つの荷重センサーは、前記スペーサーの前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれの端に位置決めされたそれぞれの弾性圧縮性要素を備え、
各前記弾性圧縮性要素はそれぞれの荷重閾値に応答して圧縮し、
各該少なくとも1つの荷重センサーは、前記それぞれの弾性圧縮性要素が圧縮されるか否かに応じてそれぞれのセンサー出力を提供する、少なくとも1つの荷重センサーと、
各前記少なくとも1つの荷重センサーについての前記センサー出力に応じる前記アンカーボルトのステータスを示すデバイス出力を生成する出力手段と、
を備える、検知デバイス。
【請求項2】
各前記少なくとも1つの荷重センサーについて、該荷重センサーはそれぞれのスイッチを更に備え、各該スイッチは、2つ以上の導電性接点を備え、該2つ以上の導電性接点は、前記それぞれの荷重閾値における前記弾性圧縮性要素の圧縮が前記2つの導電性接点の一方の導電性接点を移動させて、該導電性接点の少なくとも1つの他の導電性接点に接触させ、それにより、前記スイッチを閉じるように位置決めされる、請求項1に記載の検知デバイス。
【請求項3】
エレクトロニクスハウジングを更に備え、該ハウジングは、前記スペーサーの周囲の周りに少なくとも部分的に延在する、請求項2に記載の検知デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは、可撓性であり、各少なくとも1つの荷重センサーについて、前記弾性圧縮性要素に向くそれぞれの外側面を備え、また、各前記少なくとも1つの荷重センサーについて、
前記それぞれのスイッチの前記2つの導電性接点の第1の導電性接点は、前記外側
面に隣接しかつ前記対応する外側面に対向して前記ハウジング内に配設され、前記2つの導電性接点の第2の導電性接点は、前記弾性圧縮性要素が圧縮されていないときに前記ハウジング内でかつ前記第1の導電性接点から離間して配設され、
前記それぞれの荷重閾値における前記弾性圧縮性要素の圧縮により、該弾性圧縮性要素が、前記外側
面を圧迫して内方に撓ませ、それにより、前記第1の導電性接点は前記第2の導電性接点に係合する、請求項3に記載の検知デバイス。
【請求項5】
各前記荷重センサーについて、前記第1の導電性接点は導電性リングを備える、請求項4に記載の検知デバイス。
【請求項6】
前記第2の導電性接点は導電性円弧状ばねを備える、請求項
5に記載の検知デバイス。
【請求項7】
各前記荷重センサーについて、前記弾性圧縮性要素は皿ばねを含み、該皿ばねは、前記アンカーボルトが通過するための該皿ばねを貫通する穴を画定し、該皿ばねの該穴は前記スペーサーの通路に位置合わせされる、請求項1~6のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの荷重センサーは、
予荷重センサーであって、該予荷重センサーについての前記荷重閾値は予荷重閾値である、予荷重センサーと、
過荷重センサーであって、該過荷重センサーについての前記荷重閾値は過荷重閾値である、過荷重センサーと、
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの荷重センサーは、予荷重センサーを含み、該予荷重センサーについての前記荷重閾値は予荷重閾値であり、該予荷重センサーの前記2つの導電性接点が係脱し前記予荷重センサーの前記スイッチが開かれる場合、前記デバイス出力は、予荷重が維持されないことを示す、請求項
2~6のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの荷重センサーは、過荷重センサーを含み、該過荷重センサーについての前記荷重閾値は過荷重閾値であり、該過荷重センサーの前記2つの導電性接点が係合し前記過荷重センサーの前記スイッチが閉じられる場合、前記デバイス出力は、前記アンカーボルトが過荷重をかけられていることを示す、請求項
2~6及び9のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項11】
前記過荷重閾値は前記予荷重閾値より高い、請求項9に記載の検知デバイス。
【請求項12】
前記検知デバイスが前記アンカーボルトに取付けられ、該アンカーボルトが或る地層内に据付けられると、前記検知デバイスは、前記アンカーボルトのヘッド端と前記地層との間に位置決めされる、請求項1~11のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項13】
エレクトロニクスハウジングを更に備え、該ハウジングは、前記スペーサーの周囲の周りに少なくとも部分的に延在し、各前記少なくとも1つの荷重センサーについて
、それぞれの電気接点は、エレクトロニクスハウジングから突出し、前記それぞれの弾性圧縮性要素が実質的に圧縮されると前記電気接点に係合するように位置決めされる、請求項1に記載の検知デバイス。
【請求項14】
前記出力手段は送信機を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項15】
前記出力手段は光を備え、前記デバイス出力は視覚インジケーターを備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項16】
前記検知デバイスに電力供給する電力源を更に備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項17】
前記アンカーボルトに対する荷重を測定するひずみゲージを更に備える、請求項1~16のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項18】
前記エレクトロニクスハウジングは、着脱可能かつ交換可能である、請求項
3~6のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項19】
予荷重が維持されかつ前記アンカーボルトが過荷重をかけられていない間に、前記出力手段は、前記デバイス出力として前記アンカーボルトの前記ステータスを示す信号を定期的に送信する、請求項7~11のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項20】
各前記少なくとも1つのセンサーは、それぞれのアラート条件において電力を引き込み、非アラート条件において電力を引き込まないように構成される、請求項7~11のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つのセンサーは、予荷重センサーを備え、該予荷重センサーの前記アラート条件は予荷重条件の喪失である、請求項20に記載の検知デバイス。
【請求項22】
前記予荷重センサーの前記弾性圧縮性要素が圧縮されていないことは、予荷重条件の前記喪失を示す、請求項21に記載の検知デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つのセンサーは、過荷重センサーを備え、該過荷重センサーの前記アラート条件は過荷重条件である、請求項20~22のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項24】
前記過荷重センサーの前記弾性圧縮性要素が圧縮されていることは、前記過荷重条件を示す、請求項23に記載の検知デバイス。
【請求項25】
振動及び地震活動の少なくとも一方を検知するセンサーを更に備える、請求項1~24のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項26】
前記アンカーボルトは岩石ボルトを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の検知デバイス。
【請求項27】
各前記荷重センサーは、該荷重センサーの前記対応する弾性圧縮性要素が圧縮されるとトリガーするように位置決めされたそれぞれの近接センサーを含む、請求項1に記載の検知デバイス。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載の検知デバイスを備えるアンカーボルト。
【請求項29】
複数のアンカーボルトと、
前記複数のアンカーボルトの各々について、請求項1~27のいずれか1項に記載のそれぞれの検知デバイスと、
各検知デバイスから前記デバイス出力を受信する中央コンピューターと、
を備える、システム。
【請求項30】
前記検知デバイスに無線電力を提供するリーキーフィーダーケーブルを更に備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記検知デバイスは各々、それぞれの無線送信機を備え、前記リーキーフィーダーケーブルは、前記検知デバイスから無線送信される信号を受信する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記リーキーフィーダーケーブルは、前記中央コンピューターに送信するために前記受信信号を搬送する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記検知デバイスは各々、それぞれの無線送信機を備え、前記中央コンピューターが受信するために無線信号を送信する、請求項29又は30に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年6月21日に出願された米国仮特許出願第62/352,827号に対する優先権を主張し、その出願の全体の内容が参照によって本明細書に組込まれる。
【0002】
本開示の態様は、岩石ボルト等のアンカーボルト用の検知デバイスに関する。より詳細には、態様は、アンカーボルトの予荷重の喪失及び/又は過荷重を検知する検知デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
岩石ボルトは、通常、鉱坑、交通トンネル、ダム、橋等のような岩石層内のトンネルの補強のために使用されている。岩石ボルトは、岩石層用の支持体を提供することができ、割れ目が形成されるときに地層をともに保持することができる。岩石ボルトが不具合を起こす場合、トンネルの構造健全性が低下する場合があり、死亡事故につながる場合がある。通常、岩石ボルトは、岩石ボルトの定格である全荷重の一部分で予荷重をかけることができる。例えば、従来の岩石ボルトは、その全荷重支承定格の80%まで予荷重をかけることができる。
【0004】
岩石ボルトは、経年;腐食;過荷重;誤った係留又はボルトを囲む充填剤材料の破壊による岩石内のずれ又は変位;緩い又は喪失したナット;ねじ込み破断;岩石の割れ目又は変位(例えば、爆破オペレーション又は地震による);誤った又は不完全な据付け;温度変動等を含むが、それに限定されない幾つかの理由によって不具合を起こす場合がある。岩石ボルトは、穴の中でそのグリップを喪失する場合、緩くなりその予荷重を喪失する場合がある。予荷重閾値を下回る荷重のこうした減少は、岩石ボルトが岩石層をともに適切に保持しないことをもたらす場合がある。変位は、例えば、岩石面の爆破が実施されかつ振動及び割れ目が岩石層を伝わるときにドリフト面(鉱石が取除かれている前端)において一般的である場合がある。
【0005】
起こり得る別の不具合は、過荷重をかけることである。岩石層が、おそらくは地震事象に応答して割れる又はシフトする場合、岩石ボルトが、過荷重をかけられる場合がある。本文脈における用語「過荷重をかけられる(overloaded)」は、岩石ボルトに対する張力が岩石ボルトの最大裕度又は岩石ボルトの最大裕度より小さい所定の裕度若しくは閾値を超える場合があることを意味する。過荷重をかけることは、岩石層における係留が良好であるが、岩屑又はより大きな岩石が割れて離れ、岩石ボルトスプレッダーワッシャー又は支承板(及び、おそらくは、存在する場合、メッシュ)によって停止されるときに起こる場合がある。移動する岩盤からの力が高くなり過ぎる場合、ボルトは、変位する又は過荷重をかけられることになり、破断し、岩石とともに落下する場合がある。過荷重は、例えば、塔に当たる風が基礎部の1つ以上の部分に対するより大きな荷重を引起す場合に、塔基礎部に据付けられた岩石ボルトにおいても起こり得る。
【0006】
そのため、全ての岩石ボルトが、障害又は不具合があるか絶えずモニターされることが望ましい場合がある。
【0007】
単一岩石ボルトが使用される場合がある。しかし、典型的なオペレーションは、より一般的に、大きなアレイの岩石ボルトを含む。例えば、何百又は何千もの岩石ボルトが、トンネル(例えば、交通トンネル又は鉱坑シャフト)を支持するために使用される場合がある。アクセスするのが難しいロケーションにしばしば据付けられるということと結び付けられる、こうした非常に多数の岩石ボルトは、規則的で定期的な検査を高価でかつ時間がかかるものにする。
【0008】
従来のモニタリング及び検査方法は、カスタム調製式岩石ボルトを必要とする場合がある。典型的なカスタムボルトは、実質的にボルトの長さに沿って延在する細長い中空のチャンバーを有することができる。ワイヤ等を含む高価でかつ脆いセンサーは、チャンバー内に永久的に据付けることができる。センサーユニットは、単独で、標準的な岩石ボルトよりずっとコストがかかる場合がある。これらの従来の機器及びセンサーは、例えば、登り、検査ツールを岩石ボルトに接続する人による現場での定期的かつサンプリング検査を可能にするだけである場合がある。
【0009】
従来の岩石ボルトセンサーは、研究のためだけのものであり、大量の据付け及びモニタリングのためのものでないことを意図される場合がある。一部の岩石ボルトアレイは、定期的又は連続的検査のために配線されるが、これは、従来のセンサーモニタリングシステムにおいて非常にコストがかかる場合がある。従来のセンサーシステムは、岩石ボルトがセンサーとともに使用されるためにカスタマイズ又は修正されることを必要とする場合がある。こうしたシステムは、コストがかかり、短絡及び絶縁破壊を受け易い場合がある(例えば、重い車両がトンネルを通過することによる)。従来のセンサーは、物理的移動及び/又は水の浸入によって容易に損傷される場合がある。従来の岩石ボルトセンサーシステムは、岩石ボルトであって、その長さに沿う穴及び穴内のひずみゲージ又は振動ワイヤを有する、岩石ボルトを含むことができる。そのようなセンサーは、通常、岩石ボルト上に荷重をかけない。岩石ボルトは、センサーをトリガーすることなく、係留を喪失する、又は、破壊/腐食される場合がある。そのため、致命的不具合が検出されない場合がある。
【0010】
岩石ボルト内のチャンバー内に収容されるセンサーワイヤに対する代替形態として、従来の岩石ボルトは、岩石ボルトの外周に巻付けられたワイヤ又は内部に振動ワイヤタイプセンサーを有する2次金属チューブを有する場合がある。こうしたワイヤは、岩石ボルトを囲むグラウト又はエポキシにさらされる場合がある。岩石ボルトの据付けは、グラウト又はエポキシを混合するためにボルトを回転させることを含む場合があり、ボルトを回転させることはやっかいである場合がある。グラウト又はエポキシは、センサー部品に対するアクセスに干渉する場合もある。さらに、従来の岩石ボルトがひずみゲージを含む場合、ひずみゲージは、グラウトが注入される場合がある岩石層内の穴の内部になければならない。これは、信号収集及び無線送信のために壁上のケーシングに対して長いワイヤ及びコネクタを必要とする場合がある。
【0011】
また、従来のセンサーは、岩石ボルトが地層内の穴に据付けられると、センサーが岩石ボルト内のチャンバー内にある、又は、穴の中にあり、おそらくは、グラウト若しくはエポキシで覆われるためにアクセス不能である場合がある。
【発明の概要】
【0012】
1つの態様において、アンカーボルト用の検知デバイスであって、第1の端及び該第1の端に対向する第2の端を有するスペーサーであって、前記アンカーボルトが通過するための、前記第1の端から前記第2の端まで該スペーサーを貫通する通路を画定する、スペーサーと、少なくとも1つの荷重センサーであって、各該少なくとも1つの荷重センサーは、前記スペーサーの前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれの端に位置決めされたそれぞれの弾性圧縮性要素を備え、各前記弾性圧縮性要素はそれぞれの荷重閾値に応答して圧縮し、各該少なくとも1つの荷重センサーは、前記それぞれの弾性圧縮性要素が圧縮されるか否かに応じてそれぞれのセンサー出力を提供する、少なくとも1つの荷重センサーと、各前記少なくとも1つの荷重センサーについての前記センサー出力に応じる前記アンカーボルトのステータスを示すデバイス出力を生成する出力手段とを備える検知デバイスが提供される。
【0013】
幾つかの実施の形態では、各前記少なくとも1つの荷重センサーについて、該荷重センサーはそれぞれのスイッチを更に備え、各該スイッチは、2つ以上の導電性接点を備え、該2つ以上の導電性接点は、前記それぞれの荷重閾値における前記弾性圧縮性要素の圧縮が前記2つの導電性接点の一方の導電性接点を移動させて、該導電性接点の少なくとも1つの他の導電性接点に接触させ、それにより、前記スイッチを閉じるように位置決めされる。
【0014】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、エレクトロニクスハウジングを更に備え、該ハウジングは、前記スペーサーの周囲の周りに少なくとも部分的に延在する。
【0015】
幾つかの実施の形態では、前記ハウジングは、可撓性であり、各少なくとも1つの荷重センサーについて、前記弾性圧縮性要素に向くそれぞれの外側面を備え、また、各前記少なくとも1つの荷重センサーについて、前記それぞれのスイッチの前記2つの導電性接点の第1の導電性接点は、前記外側壁に隣接しかつ前記対応する外側面に対向して前記ハウジング内に配設され、前記2つの導電性接点の第2の導電性接点は、前記弾性圧縮性要素が圧縮されていないときに前記ハウジング内でかつ前記第1の導電性接点から離間して配設され、前記それぞれの荷重閾値における前記弾性圧縮性要素の圧縮により、該弾性圧縮性要素が、前記外側壁を圧迫して内方に撓ませ、それにより、前記第1の導電性接点は前記第2の導電性接点に係合する。
【0016】
幾つかの実施の形態では、各前記荷重センサーについて、前記第1の導電性接点は導電性リングを備える。
【0017】
幾つかの実施の形態では、前記第2の導電性接点は導電性円弧状ばねを備える。
【0018】
幾つかの実施の形態では、各前記荷重センサーについて、前記弾性圧縮性要素は皿ばねを含み、該皿ばねは、前記アンカーボルトが通過するための該皿ばねを貫通する穴を画定し、該皿ばねの該穴は前記スペーサーの通路に位置合わせされる。
【0019】
幾つかの実施の形態では、前記少なくとも1つの荷重センサーは、予荷重センサーであって、該予荷重センサーについての前記荷重閾値は予荷重閾値である、予荷重センサーと、過荷重センサーであって、該過荷重センサーについての前記荷重閾値は過荷重閾値である、過荷重センサーとのうちの少なくとも一方を含む。
【0020】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、前記予荷重センサーを備え、該予荷重センサーの前記2つの導電性接点が係脱し前記予荷重センサーの前記スイッチが開かれる場合、前記デバイス出力は、予荷重が維持されないことを示す。
【0021】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、前記過荷重センサーを備え、該過荷重センサーの前記2つの導電性接点が係合し前記過荷重センサーの前記スイッチが閉じられる場合、前記デバイス出力は、前記アンカーボルトが過荷重をかけられていることを示す。
【0022】
幾つかの実施の形態では、前記過荷重閾値は前記予荷重閾値より高い。
【0023】
幾つかの実施の形態では、前記検知デバイスが前記アンカーボルトに取付けられ、該アンカーボルトが或る地層内に据付けられると、前記検知デバイスは、前記アンカーボルトのヘッド端と前記地層との間に位置決めされる。
【0024】
幾つかの実施の形態では、前記検知デバイスは、エレクトロニクスハウジングを更に備え、該ハウジングは、前記スペーサーの周囲の周りに少なくとも部分的に延在し、各前記少なくとも1つの荷重センサーについて、前記それぞれの電気接点は、エレクトロニクスハウジングから突出し、前記それぞれの弾性圧縮性要素が実質的に圧縮されると前記電気接点に係合するように位置決めされる。
【0025】
幾つかの実施の形態では、前記出力手段は送信機を備える。
【0026】
幾つかの実施の形態では、前記出力手段は光を備え、前記デバイス出力は視覚インジケーターを備える。
【0027】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、前記検知デバイスに電力供給する電力源を更に備える。
【0028】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、前記アンカーボルトに対する荷重を測定するひずみゲージを更に備える。
【0029】
幾つかの実施の形態では、前記エレクトロニクスハウジングは、着脱可能かつ交換可能である。
【0030】
幾つかの実施の形態では、予荷重が維持されかつ前記アンカーボルトが過荷重をかけられていない間に、前記出力手段は、前記デバイス出力として前記アンカーボルトの前記ステータスを示す信号を定期的に送信する。
【0031】
幾つかの実施の形態では、各前記少なくとも1つのセンサーは、それぞれのアラート条件において電力を引き込み、非アラート条件において電力を引き込まないように構成される。
【0032】
幾つかの実施の形態では、前記少なくとも1つのセンサーは、予荷重センサーを備え、該予荷重センサーの前記アラート条件は予荷重条件の喪失である。
【0033】
幾つかの実施の形態では、前記予荷重センサーの前記弾性圧縮性要素が圧縮されていないことは、予荷重条件の前記喪失を示す。
【0034】
幾つかの実施の形態では、前記少なくとも1つのセンサーは、過荷重センサーを備え、該過荷重センサーの前記アラート条件は過荷重条件である。
【0035】
幾つかの実施の形態では、前記過荷重センサーの前記弾性圧縮性要素が圧縮されていることは、前記過荷重条件を示す。
【0036】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、振動及び地震活動の少なくとも一方を検知するセンサーを更に備える。
【0037】
幾つかの実施の形態では、前記アンカーボルトは岩石ボルトを含む。
【0038】
幾つかの実施の形態では、各前記荷重センサーは、該荷重センサーの前記対応する弾性圧縮性要素が圧縮されるとトリガーするように位置決めされたそれぞれの近接センサーを含む。
【0039】
別の態様によれば、上記又は以下で述べられるような前記検知デバイスを備えるアンカーボルトが提供される。
【0040】
別の態様によれば、複数のアンカーボルトと、前記複数のアンカーボルトの各々について、上記又は以下で述べられるようなそれぞれの検知デバイスと、各検知デバイスから前記デバイス出力を受信する中央コンピューターとを備えるシステムが提供される。
【0041】
幾つかの実施の形態では、前記デバイスは、前記検知デバイスに無線電力を提供するリーキーフィーダーケーブルを更に備える。
【0042】
幾つかの実施の形態では、前記検知デバイスは各々、それぞれの無線送信機を備え、前記リーキーフィーダーケーブルは、前記検知デバイスから無線送信される信号を受信する。
【0043】
幾つかの実施の形態では、前記リーキーフィーダーケーブルは、前記中央コンピューターに送信するために前記受信信号を搬送する。
【0044】
幾つかの実施の形態では、前記検知デバイスは各々、それぞれの無線送信機を備え、前記中央コンピューターが受信するために無線信号を送信する。
【0045】
本開示の他の態様及び特徴は、本開示の具体的な実施形態の以下の説明を検討すると、当業者に明らかになるであろう。
【0046】
本開示の態様は、ここで、添付図面を参照してより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】幾つかの実施形態による岩石ボルトシステムの図である。
【
図2】岩石ボルトに取付けられる一実施形態による検知デバイスの側面部分断面図である。
【
図3】
図2の検知デバイスのエレクトロニクスのブロック図である。
【
図4A】通常オペレーション時の
図2の検知デバイスの側面部分断面図である。
【
図4B】過荷重状態の
図2の検知デバイスの側面部分断面図である。
【
図5】予荷重喪失状態の
図2の検知デバイスの側面部分断面図である。
【
図6】例示的な摩擦岩石ボルトの断面プロファイルの図である。
【
図7】非膨張状態の例示的な膨張式岩石ボルトの断面プロファイルの図である。
【
図8】膨張状態の
図7の膨張式岩石ボルトの断面プロファイルの図である。
【
図9】別の実施形態による検知デバイス及び膨張式岩石ボルトの側面図である。
【
図10】更に別の実施形態による検知デバイス及び膨張式岩石ボルトの側面図である。
【
図11】別の実施形態による検知デバイス及び摩擦岩石ボルトの側面図である。
【
図12】別の実施形態による膨張式岩石ボルトの部分側面図である。
【
図13】別の実施形態による膨張式岩石ボルトの部分側面図である。
【
図14】岩石ボルトに取付けられる更に別の実施形態による検知デバイスの側面断面図である。
【
図17】岩石ボルトに取付けられる更に別の実施形態による検知デバイスの側面断面図である。
【
図18】岩石ボルトに取付けられる更に別の実施形態による検知デバイスの側面図である。
【
図19】
図18の検知デバイスのエレクトロニクスハウジング及びスペーサーの端面図である。
【
図22】岩石ボルトに取付けられる別の実施形態による検知デバイスの側面図である。
【
図23】
図22の検知デバイスのエレクトロニクスハウジング及びスペーサーの端面図である。
【
図24】岩石ボルトに取付けられる別の実施形態による検知デバイスの側面断面図である。
【
図25】更に別の実施形態による岩石ボルト上の検知デバイスの側面部分断面図である。
【
図26】
図26A:更に別の実施形態によるウェッジを有する岩石ボルト上の検知デバイスの側面部分断面図である。
図26B:更に別の実施形態による岩石ボルト上の検知デバイスの側面部分断面図である。
【
図28】更に別の実施形態による岩石ボルトの検知デバイスの側面図であり、岩石ボルト上に搭載されて示される。
【
図30】岩石ボルト上に取付けられる
図28及び
図29の組立て式の検知デバイスの側面断面図である。
【
図31】マイクロコントローラーを含む
図28~
図30の検知デバイスの例示的な回路要素を示す図である。
【
図32】
図31のマイクロコントローラーに対して、振動割込みスイッチ入力、予荷重スイッチ入力、及び過荷重スイッチ入力を生成するための例示的な回路要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
検知デバイスの実施形態が本明細書で述べられる。岩石ボルトとともに使用されるものとして述べられるが、本明細書で述べる検知デバイスが、岩石ボルトとともに使用することに限定されず、ベース構造に挿入され所定の場所に留められる他のアンカーボルト又は他の荷重支承要素とともに使用することもできることが理解される。
【0049】
図1は、幾つかの実施形態による岩石ボルトシステム40の図である。システム40は、鉱坑等のトンネル44内に据付けられる岩石ボルト42のネットワークを含む。トンネル44は、断面として示される。
図1における岩石ボルト42の数及び分布は、説明のためだけに提供される。典型的なオペレーションにおいて、ネットワーク内に何千もの(例えば、1万以上の)岩石ボルト42が存在する場合がある。岩石ボルト42は各々、検知デバイス46とともに据付けられ、検知デバイス46は、以下で述べる検知デバイス(
図2、
図9、
図10、
図11、
図14、
図17、
図18、
図22、又は
図24の検知デバイス100、300、400、500、700、800、900、1000、又は1100等)と同様とすることができる。検知デバイス46は、予荷重張力が岩石ボルト42において維持されているかどうかを検知し、予荷重張力が維持されていない場合、アラートを提供する。検知デバイス46は、過荷重張力を超えているかどうかを検知し、過荷重張力を超えている場合、アラートを提供することもできる。検知デバイス46は、通常オペレーション(すなわち、予荷重が維持されている)を示す出力も(おそらくは定期的に)提供することができる。こうした出力は、定期的な「OK」ステータス信号の形態とすることができる。検知デバイス46は、岩石ボルトの周りの地震活動又は振動を検知することもできる。
【0050】
システム40は、任意選択で、電力源又はノード50からの電力を受信するリーキーフィーダーケーブル48を備える。リーキーフィーダーケーブル48は、この例において、トンネル44に沿って敷設され、RFエネルギーを放出しリニアアンテナとして働いて、信号を検知デバイス46に対して受信及び送信する。リーキーフィーダーケーブル48は、種々のポイント52においてトンネルにRFエネルギー等の無線電力(矢印54で示す)を提供することができる。例えば、リーキーフィーダーケーブルは、無線電力放射を提供するために「リーク(leak)」ポイント52においてケーブルの導電性コア(図示せず)を露出させるために除去されるシース又はジャケットを備えることができる。検知デバイス46は、無線電力ハーベスター(図示せず)を装備して、リーキーフィーダーケーブル48によって提供される無線電力を調達し、それにより、検知デバイス46に電力供給することができる。代替的に、検知デバイス46は、電池又は他の電力源(図示せず)を備えることができる。リーキーフィーダーケーブル48は、以下で説明するように、無線送波も検知デバイス46に対して送信及び/又は受信することができる。リーキーフィーダーケーブル48は、トンネル44内で、ループで敷設することができる。実施形態は、いずれの特定の長さのリーキーフィーダーケーブル48にも限定されない。
【0051】
幾つかの実施形態において、リーキーフィーダーケーブル48は、検知デバイスからの無線送波を傍受することが可能であるとすることができる。例えば、最長50メートル離れた所からの無線送波が、ケーブル48のリークポイント52において傍受することができる。システム40は、中央コンピューター62及びオプションの受信機デバイス58、アクセスポイント60、並びに電力源50を備える。検知デバイス46からの「OK」ステータス信号等のアラート及び/又は他の出力は、中央コンピューター62に送信することができる。
図1の例において、無線送波(矢印56で示す)は、検知デバイス46から送出され、リーキーフィーダーケーブル48によって傍受され、リーキーフィーダーケーブル48は、その後、その信号を受信機デバイス58に送信する。受信機デバイス58及び電力源50は、アクセスポイント60と通信状態にあり、アクセスポイント60は、次に、(例えば、イーサネット
登録商標ケーブル又は任意の他の適した手段によって)中央コンピューター62と接続状態にある。信号を中央コンピューターに通信するために他の方法を使用することができることを当業者は認識するであろう。例えば、他の実施形態において、検知デバイスは、有線及び/又は無線接続を通して中央コンピューターと直接通信することができる。
【0052】
代替的に、別個の通信ネットワーク(例えば、無線ローカルエリアネットワーク)が使用されて、デバイス46から中央コンピューター62に信号を送信することができる。その場合、リーキーフィーダーケーブル48は、検知デバイス46に電力を提供するために依然として使用することができる。ネットワークは、1つ以上の無線ラジオ(例えば、送受信機)及びおそらくはリレーを含むことができ、検知デバイス46から中央コンピューター62への無線信号の送信を可能にする。検知デバイス46とリモートコンピューターとの間で信号を通信するための任意の適した方法は、本明細書に述べられる実施形態において使用することができる。
【0053】
中央コンピューター62は、検知デバイス46から受信される通信を解析し、リーキーフィーダーケーブル48によって送信される電力を制御する。リーキーフィーダーケーブル48は、中央コンピューター62から遠い距離にある岩石ボルトとの通信を、角及び異なるレベルのトンネルドリフトによって妨げられない状態で可能にすることができる。中央コンピューター62は、電力源50を制御し、電力をリーキーフィーダーケーブル48に提供することもできる。
【0054】
中央コンピューター62は、岩石ボルト42からの定期的な「OK」ステータス信号があるかモニターすることができる。所定の時間量にわたって1つ以上の岩石ボルト42から、「OK」信号が全く受信されない(誤動作の可能性を示す)場合、中央コンピューター62は、ディスプレイ及び/又はオーディオデバイスに対してアラート出力を生成することができる、及び/又は、中央コンピューター62は、通信ネットワーク(例えば、インターネット又は無線ネットワーク)を介してリモートコンピューターに出力(例えば、電子メール又は他の送信)を生成することができる。アラートは、誤動作する岩石ボルト(複数の場合もある)42の識別を含むことができる。中央コンピューター62は、検知デバイス46との2方向通信を有することができる。例えば、中央コンピューター62は、問い掛け信号を生成し検知デバイス46に送信して、ステータスレポートを得ることができる。中央コンピューター62は、所定の期間(例えば、1日、1週間等)内に受信された、検知デバイス46からの全ての受信信号を表示することができる。所定の期間は、システムオペレーターが設定することができる。中央コンピューターは、必要とされるときに閲覧するために、検知デバイス46からの任意の受信信号を無期限に記憶することができる。中央コンピューター62は、所定の(例えば、1日、1週間等の)間隔で検知デバイス46の1つ以上のオペレーションステータスについて尋ねる問い掛け信号を送出することができる。問い掛け信号を送出するための所定の期間は、やはり、システムオペレーターが設定することができる。
【0055】
他の実施形態において、電力源50、受信機デバイス58、アクセスポイント60、及び中央コンピューター62の1つ以上の機能は、同じロケーションにあることができる及び/又は単一コンピューター内に実装することができる。他の実施形態は、システム40のこれらの構成要素の1つ以上を省略する場合がある。岩石ボルト42のステータスは、ネットワーク通信を使用して1つ以上のリモートロケーションで(例えば、世界中で)モニターすることができる。アクティベーティングサイン、交通信号灯、開閉式ブーム等のような安全プロトコル及びアクションは、岩石ボルト42からの出力に基づいて自動的にアクティベートすることができる。例えば、中央コンピューター62は、1つ以上のサイン、交通信号灯、緊急時サービス等と通信する可能性がある。岩石ボルトのステータスは、1日24時間、1週7日、モニターすることができる。中央コンピューター62は、検知デバイス46からの出力に基づいてアラートレポートのログをとることができる。例えば、アラート情報を含む検知デバイス46の出力に関するデータは、メモリに記憶することができる。
【0056】
信号を送信するための任意の適した有線及び/又は無線方法(WiFi、モノのインターネット(IoT:Internetof Things)を含む)が使用されて、検知デバイス46からのアラート及び他のステータス信号を送信することができ、実施形態は、
図1に示すリーキーフィーダーケーブル48の配置構成に限定されない。
【0057】
以下でより詳細に説明するように、検知デバイス46からの出力は、岩石ボルト42のステータスに関する情報(例えば、アラート)、及び、ステータスがレポートされる特定の岩石ボルトのアイデンティティー又はロケーションを示すコード等の情報を提供することができる。例えば、不具合アラートは、不具合のタイプ(過荷重又は予荷重の喪失)及び不具合を起こした岩石ボルトの識別を示すことができる。そのため、ネットワークが多数の岩石ボルト42を含んでいても、不具合を起こした岩石ボルト(複数の場合もある)のロケーションは、比較的迅速に確認することができる。検知デバイス46は、中央コンピューター62から問い掛け信号を受信することもできる。
【0058】
図1に示すシステム40に対する種々の修正が考えられる。例えば、岩石ボルト42は、代わりに、出力を、有線接続を介して送信することができる、又は、リーキーフィーダーケーブルではなく無線受信機又はリレーに送信することができる。他の変形は、以下でより詳細に述べられる。
【0059】
以下で同様に説明するように、幾つかの実施形態において、本明細書で述べる検知デバイスは、スペーサー及び圧縮性構成要素を備え、スペーサー及び圧縮性構成要素は、据付け先の岩石ボルトよりも大きな張力荷重に耐えることができる。そのため、検知デバイスは、岩石ボルトの健全性を低下させない場合がある。さらに、検知デバイスは、比較的低コストであり、比較的長い寿命を有して、岩石ボルト(例えば、1万以上の岩石ボルト)の大きなネットワークのモニタリングを可能にすることができる。本明細書で述べる検知デバイスは、幾つかの実施形態において、予荷重を、従来、持たない場合がある岩石ボルトタイプ(例えば、摩擦又は膨張式ボルト)に対して予荷重張力が加えられることを可能にするために使用することもできる。
【0060】
一実施形態による岩石ボルト102用の例示的な検知デバイス100が
図2に示される。
図2は、地層112内で岩石ボルト102に取付けられた検知デバイス100の側面部分断面図である。検知デバイス100は、以下で論じる要素が観察されることを可能にするために
図2において部分的に断面分割される。岩石ボルト102は、この例において、アンカーボルトであるが、検知デバイス100は、他のタイプの岩石ボルト又は荷重支承要素とともに使用することができ、実施形態は、
図2に示す岩石ボルト102と一緒の使用に限定されない。検知デバイス100は、岩石ボルトにおける予荷重を検知及び/又は維持するために、及び、岩石ボルトの過荷重を検知するために使用することができる。
【0061】
岩石ボルト102は、この例において、ねじ込み式であり、ボルトのヘッド端106上にねじ込まれるナット104を備える。ヘッド端106に対向して、岩石層112の穴110に挿入される挿入端108が存在する。岩石ボルト102と穴110の表面との間の空間は、注入式のグラウト、エポキシ、又は特別な急速硬化コンクリートによって充填されて、岩石層112における係留を改善することができる。
【0062】
この例において、支承板又はスプレッダーワッシャー113は、ボルト102のヘッド端106と岩石層112との間に設置されるが、支承板は、常に使用されるわけではない場合がある。挿入端108は、穴110の内側表面116をグリップするための拡張式アンカー114を含む。据付けられると、
図2に示すように、挿入端108及び岩石ボルト102の大部分は、穴110に挿入され、アンカー114によって所定の位置に係留される。岩石ボルト102は、穴110から部分的に突出する。ナット104は、十分な予荷重張力を岩石ボルトに加えるために使用することができる。
【0063】
検知デバイス100は、この例において、スペーサー118、予荷重センサー120及び過荷重センサー122、並びにエレクトロニクスハウジング124を備える。
【0064】
スペーサー118は、岩石ボルト102が通過するための、スペーサー118を貫通する通路126を画定する。岩石ボルト102が地層112内に据付けられると、検知デバイス100のスペーサー118は、岩石ボルト102のヘッド端106と地層112との間で岩石ボルト102上に位置決めされる。岩石ボルトは直径が変動し、スペーサーサイズは、デバイス100とともに使用される特定の岩石ボルト102に基づいて選択することができる。スペーサー118は、岩石ボルト102に、緩くしかし確実に嵌合する内径を有する。例えば、岩石ボルト102が、この例において、約19 mm(約3/4インチ)の外径を有する場合、スペーサー118の内径は20 mmとすることができる。スペーサーは、例えば、1/2インチ~3/4インチの範囲内の外径を有する岩石ボルトとともに使用することができる。しかし、実施形態はこの範囲に限定されない。スペーサー118の通路126は、通路126が、通常、視界から隠ぺいされることになることを示すために
図2の側面図において点画式ラインで示される。
【0065】
スペーサー118は、この実施形態において、剛性でありかつ全体的に管状であるが、四角柱を含むがそれに限定されない他の形状が考えられる。スペーサー118は、岩石ボルト102についての過荷重閾値より高い荷重に耐えるのに適する任意の材料並びに任意のサイズ及び形状で作ることができる。スペーサー118は、岩石ボルト102内の引張り力を、検知デバイス100の予荷重センサー120及び過荷重センサー122上の圧力に変換することができる。スペーサー118は、検知デバイス100を設置するための、岩石層112の外の空間を提供する。
【0066】
スペーサー118は、第1のスペーサー端128及び対向する第2のスペーサー端130を有する。第1のスペーサー端128は岩石ボルト102のヘッド端106に向き、第2のスペーサー端130は支承板113及び岩石層112に向く。
【0067】
スペーサー118は、その内径と比較して長いものとすることができ、スペーサー118の内径と岩石ボルト102との間の遊びは小さいものとすることができる。細長い形態のスペーサー118は、岩石ボルト102の何らかの位置ずれ(岩石面に対して垂直からずれる)がスペーサー118の長さに実質的に垂直である力を依然としてもたらすことになるという結果を有する場合がある。
【0068】
岩石ボルトが岩石層の面に対して非直角の角度をなす場合、ウェッジ又は他の位置合わせデバイスが使用されて、岩石ボルト及び検知デバイス(
図2の岩石ボルト102及び検知デバイス100等)の長さにより垂直である支承表面を提供することができる。従来のウェッジデバイス又は他の適した手段をこのために使用することができる。例えば、一部のスプレッダー板は、岩石ボルト102及び検知デバイス100が支承板の表面に依然として実質的に垂直であることができる広い角度の範囲を提供するドーム形状等の位置合わせ特徴部を含むことができる(例えば、
図26B参照)。
【0069】
予荷重センサー120は第1のスペーサー端128の近くに配置され、過荷重センサー122は第2のスペーサー端130の近くに配置される。他の実施形態において、予荷重センサー120及び過荷重センサー122の設置は反転することができる。予荷重センサー120は第1及び第2の皿ばね138及び140(予荷重センサー120の弾性圧縮性要素としてともに機能する)を備える。過荷重センサーは第3及び第4の皿ばね150及び152(過荷重センサー122の弾性圧縮性要素としてともに機能する)を備える。皿ばね138、140、150、及び152は、エネルギーを貯蔵する機械アクチュエーターとして機能する。例えば、一部の皿ばねは約400 kW~500 kWを貯蔵することができる。第1及び第2の皿ばね138及び140は予荷重閾値に応答して圧縮し、第3及び第4の皿ばね150及び152は過荷重閾値に応答して圧縮する。また、予荷重センサー120は第1の電気接点158を備え、過荷重センサー122は第2の電気接点160を備え、これらは以下で論じられる。
【0070】
予荷重センサー120及び過荷重センサー122は、スペーサー118に平行に配置される。予荷重センサー120は、第1及び第2の皿ばね138及び140の圧縮状態に応じて予荷重センサー出力を提供する。過荷重センサー122は、第3及び第4の皿ばね150及び152の圧縮(例えば、圧縮又は非圧縮)状態に応じて過荷重センサー出力を提供する。圧縮状態及びセンサーの出力は以下でより詳細に論じられる。
【0071】
エレクトロニクスハウジング124は、この実施形態において全体的にリング状であるが、他の形状も考えられる。エレクトロニクスハウジング124は、スペーサー118の外周の周りに配置される。エレクトロニクスハウジングは、第1の面154及び対向する第2の面156を有する。エレクトロニクスハウジングは、他の実施形態において他の形状とすることができる。幾つかの実施形態は、
図2に示すエレクトロニクスハウジングを備えない場合がある。エレクトロニクスハウジング124は、この実施形態において非導電性材料(例えば、プラスチック)で作られる。
【0072】
検知デバイス100は、ハウジング124内にエレクトロニクスモジュール136を更に備え、エレクトロニクスモジュール136は、予荷重センサー120出力状態及び過荷重センサー122出力状態に応じて岩石ボルト102のステータスを示すデバイス出力を提供する。エレクトロニクスモジュール136は、
図3を参照して以下で論じるように、センサー出力を処理し、デバイス出力を生成する出力手段を備える。幾つかの実施形態において、エレクトロニクスハウジング124及びエレクトロニクスモジュール136を省略することができる。例えば、代替の実施形態(図示せず)において、簡単な出力手段(光及び/又はスピーカー等)を、デバイス用の出力を提供するために、スペーサーに直接取付け、センサーに接続することができる。
【0073】
第1及び第2の皿ばね138及び140は、カップ状であり、岩石ボルト102上にわたって嵌合するために皿ばねを貫通するそれぞれの中央穴142及び144を画定する。第1及び第2の皿ばね138及び140はそれぞれの外側縁146及び148を有する。こうした皿ばね138及び140を、円錐皿ばね、ベルビルばね、又はベルビルワッシャーと呼ぶことができる。皿ばね138及び140は、平坦状態と非圧縮状態との間で約1.5 mm圧縮することができるが、他の距離が考えられる。例えば、検知デバイス100をトリガーするために必要とされる圧縮からの変位は、幾つかの実施形態において、約0.5mmとすることができる。皿ばね138及び140は、数インチ(例えば、3インチ)の外径を有することができる。しかし、皿ばね又はワッシャーのサイズ、厚さ、及び形状は変動する場合がある。第1及び第2の皿ばね138及び140は、例えば、ばね鋼で作ることができるが、実施形態はいずれの特定の材料にも限定されない。また、実施形態は、弾性圧縮性要素(複数の場合もある)について、皿ばねに限定されず、他の実施形態において、皿ばねではなく、変位可能である他のアクチュエーターを使用することができる。変位対荷重比に関して知られている特性を有し、センサー出力をトリガーする変位可能表面を有する任意の材料及び/又は圧縮性構造を使用することができる。また、本明細書で述べる実施形態は、圧縮性要素として円錐皿ばねに限定されない。他のばねタイプ又は他の弾性圧縮性要素も使用することができる。
【0074】
この例において、第1及び第2の皿ばね138及び140は、互いに隣接して、スペーサー118と軸方向に位置合わせされ、交互配向で配置され、それにより、外側縁146及び148は当接し、第1のディスク138の中央穴142はスペーサー118に当接し、第2のディスク140の中央穴144は岩石ボルト102のナット104に当接する。他の実施形態において、皿ばね/ワッシャーは、同じ配向を持った状態で配置することができる。第1及び第2の皿ばね138及び140は、例えば、7トン又は8トンの荷重で平坦状態に圧縮することができるが、ディスクの他の強度も、所望の予荷重閾値に応じて使用することができる。第1及び第2の皿ばね138及び140の鏡像配向において、電気接点158に接触するために必要とされる全荷重は、第1の皿ばね138の耐荷重に依存することができる。例えば、第1の皿ばねが第2の皿ばね140より低い耐荷重を有する場合、センサーは、(第1の皿ばね138が電気接点158に係合することになるため)第1の皿ばね138の耐荷重でトリガーすることができる。他の実施形態の検知デバイスの場合、2つ以上の皿ばねは、(鏡像配向ではなく)同じ配向を有することができ、その場合、皿ばねを平坦にする合力は、個々の耐荷重を結合したものであることになる。他の実施形態において、荷重センサー用の弾性圧縮性要素は、1つのディスク/ワッシャーのみによって又は3つ以上のディスク/ワッシャーによって形成することができる。実施形態は、複数の隣接するディスク/ワッシャーのいずれの特定の数、配向、又は強度にも限定されない。
【0075】
予荷重閾値は、岩石ボルト102の降伏荷重の80%とすることができる。炭鉱等の幾つかの実施形態において、予荷重閾値はより低いものとすることができる。予荷重閾値は、圧縮性要素の選択(例えば、使用される皿ばね(複数の場合もある)の強度)によって較正することができる。
【0076】
岩石ボルト102に対する荷重が、その後、予荷重閾値より低く下げられる場合、第1及び第2の皿ばね138及び140は、非圧縮のカップ形状まで弾性的に跳ね返る。検知デバイス100の隣接する部分の形状によって、第1及び第2の皿ばね138及び140は、平坦を超えて屈曲しない。皿ばね/ワッシャー(第1及び第2の皿ばね138及び140として使用するのに適する)は、皿ばね/ワッシャーを平坦状態まで圧縮させることになる総トン数を示すために色付けされることができる。一例において、第1のディスクは各々、5トン荷重で平坦になるように圧縮されることになり、第2のディスクは、4トン(黄色)荷重で平坦になることになる。これらの皿ばねが同じ(すなわち、非鏡像)配向を持った状態で配置される場合、ディスクの対をともに平坦にするために全部で9トンが必要とされることになる。
【0077】
過荷重センサー122の第3及び第4の皿ばね150及び152は、予荷重センサー120の第1及び第2の皿ばね138及び140と同様の方法で配置されるが、第2のスペーサー端130に位置決めされる。第3及び第4の皿ばね150及び152は、スペーサー118と支承板113との間に嵌合する。第3及び第4の皿ばね150及び152は、所望の閾値過荷重張力を受けると、実質的に平坦な位置まで圧縮するように選択される。過荷重閾値は予荷重閾値より高い。この例において、第3及び第4の皿ばね150及び152は、この実施形態において、10トンの荷重で平坦状態まで圧縮することができるが、ディスクの他の強度も使用することができる。実施形態は、複数の隣接する皿ばねのいずれの特定の配向又は強度にも限定されない。過荷重センサー122の第3及び第4の皿ばね150及び152は、所望の過荷重閾値を提供するために、より厚い及び/又は予荷重センサー120の第1及び第2の皿ばね138及び140と異なる材料で作ることができる。異なる配置、配向、ディスクの数、及び/又は材料を、異なる予荷重閾値及び過荷重閾値を提供するために選択することもできる。
【0078】
図2に示すように、予荷重センサー120は第1の電気接点158を備え、過荷重センサー122は第2の電気接点160を備える。第1の電気接点158は、エレクトロニクスハウジング124内に留められ、エレクトロニクスハウジング124の第1の面154から部分的に突出する。第2の電気接点160は、エレクトロニクスハウジング124内に留められ、エレクトロニクスハウジング124の第2の面156から部分的に突出する。第1の電気接点158は、第1のスペーサー端128と実質的に同一平面上にある又は第1のスペーサー端128に位置合わせされる外側端162を有する。第2の電気接点160は、第2のスペーサー端130と実質的に同一平面上にある又は第2のスペーサー端130に位置合わせされる外側端164を有する。圧縮される(すなわち、予荷重を加えられる)と、第1の皿ばね138は第1の電気接点158に係合する。第1の電気接点158並びに第1及び第2の皿ばね138及び140はともに、予荷重センサー120の出力を制御するセンサースイッチとして機能する(以下で説明する)。同様に、圧縮されると、第3の皿ばね150は第2の電気接点160に係合する。そのため、第2の電気接点160並びに第3及び第4の皿ばね150及び152はともに、過荷重センサー122の出力を制御するセンサースイッチとして機能する。
【0079】
予荷重センサー120及び過荷重センサー122は、この実施形態において、従来のセンサーと比較して偽アラームを低減することができる。その理由は、皿ばね138、140、150、及び152が、圧縮中に、制御された移動距離(例えば、ミリメートル)を有することができるからである。
【0080】
図2は、岩石層112上のオプションのネット又はメッシュ181、及び、ネット181を覆うために噴霧することができかつ岩石ボルト102を部分的に覆うオプションのコンクリート層183も示す。
【0081】
図3は、
図2に示すデバイス100の機能ブロック図であり、エレクトロニクスモジュール136の更なる詳細を示す。エレクトロニクスモジュール136は、プロセッサ166、メモリ167、及び送信機168を備える。検知デバイス100は、予荷重センサー120及び過荷重センサー122とともに、電力源170及びアンテナ172(
図2にも示す)も備える。メモリ167は、プロセッサ166に接続され、本明細書で述べる機能を実施するようにプロセッサを制御する命令を記憶することができる。幾つかの実施形態において、メモリ167を、プロセッサ166と統合することができ、外部メモリチップは全く含まれない。
【0082】
エレクトロニクスモジュール136のプロセッサ166は、予荷重センサー120及び過荷重センサー122からの出力を入力として受信する。プロセッサ166は、その入力を評価し、予荷重センサー出力及び過荷重センサー出力に応じて検知デバイス100についての出力を生成するように送信機168を制御する。検知デバイス100は、以下で説明するように、エレクトロニクスモジュール136から視覚出力を提供する第2の出力手段としてLED173も備える。LED173は、超高輝度LEDである及び/又は広い角度で可視であるものとすることができる。しかし、実施形態はいずれの特定のタイプの出力にも限定されない。送信機168及びアンテナ172は、中央コンピューター等の1つ以上の他のエレクトロニクスデバイスと無線通信するために構成される。しかし、有線通信を実施することもできる。検知デバイス100は、この例において、2方向通信を可能にする受信機171も備える。他の実施形態は、受信機171を省略することができ、そのことが、検知デバイスを簡略化し、おそらくはコストを低減することができる。検知デバイス100からの出力は、テレグラム(例えば、リーキーフィーダーシステムプロトコルテレグラム)、Wi-Fi、セルラー等を含むがそれに限定されない任意の適した形態で無線送信することができる。以下でより詳細に説明するように、エレクトロニクスモジュール136は、予荷重センサー120及び過荷重センサー122の状態に基づいて岩石ボルト102のステータスを示す出力を生成するように構成される。出力は、アンテナ172によって送信される無線信号、及び/又は、ターンオン又は点滅する光(例えば、LED)等の視覚表示を含むことができる。
【0083】
電力源170は電池とすることができる。1つの例示的な電池は、Tadiran(商標)TL-2450/P電池であり、25年を超える寿命を提供することができる。任意選択で、電池ではなく、外部電力を利用することができる。例えば、幾つかの実施形態において、外部電力は有線接続によって提供することができ、又は、電力を、無期限の寿命を提供することができる無線周波数(RF)エネルギー、音、又は光エネルギーハーベスターによって提供することができる。電池と外部電力との組合せも実施することができる。検知デバイス100は、動作するためにマイクロワットしか必要としないものとすることができる。例えば、プロセッサ166は、Texas Instruments(商標)混合信号マイクロプロセッサコントローラー2442KN1G3K250とすることができ、スタンドバイモードで0.5 μA、及びRAMリテンションを有するOFFモードで0.1 μAしか消費しないものとすることができる。
【0084】
他の実施形態において、検知デバイスは、電池を省略することができ、及び/又は外部電力を受信することができる。外部電力は、有線又は無線電力ハーベスティング、リーキーフィーダーエネルギー放射、機械作動式エレクトロダイナミック発電機、地熱ハーベスティング等によって受信することができる。
【0085】
プロセッサ166、送信機168、及び受信機171等のエレクトロニクスモジュール136内の構成要素は、
図2に示すエレクトロニクスハウジング124内でプリント回路基板(PCB)上に統合することができる。PCBは、平坦とすることができるか、又はエレクトロニクスハウジング124の形状に一致するために湾曲形とすることができる。エレクトロニクスハウジングは種々のサイズとすることができる。幾つかの実施形態において、エレクトロニクスハウジング124は、直径が約2.5インチ~3インチとすることができるが、実施形態は、この範囲に限定されない。
【0086】
再び
図2を参照すると、第1及び第2の電気接点158及び160は各々、プロセッサ166(
図3に示す)に接続される。第1、第2、第3、及び第4の皿ばね138、140、150、及び152、並びにスペーサー118は、金属であり、0 VDCすなわち「Logic Low」である電子的接地に接続される。第1及び第2の電気接点158及び160は、対応する第1及び第3の皿ばね138及び150に接触していないとき、プロセッサ166によって「Logic High」(0 VDC接地以外の任意のレベル)であるとして登録される。第1及び/又は第2の電気接点158及び160は、対応する第1及び第3の皿ばね138及び150に接触するとき、プロセッサ166によって「Logic Low」すなわち0 VDCであるとして登録される。プロセッサ166は、それにより、第1及び/又は第2の電気接点158及び160が係合するときを識別し得る。そのため、第1及び第2の電気接点158及び160の電圧は、予荷重センサー120及び過荷重センサー122についてのセンサー出力としてそれぞれ機能する。第1及び第2の電気接点158及び160を通って電流が全く又はほとんど流れない場合がある。スペーサー118は、エレクトロニクスハウジング124を通る接続によって、エレクトロニクスモジュール136内で電気的接地に接続される。この接続は、例えば、スペーサー118に接触する、エレクトロニクスハウジング124を通るワイヤ又はリベットを含むことができる。したがって、第1、第2、第3、及び第4の皿ばね138、140、150、及び152は、スペーサー118との直接的な又は間接的な電気接触によってグラウンドに接続することができる。
【0087】
検知デバイス100は、検知デバイス100を、水、埃等から保護するために、検知デバイス100の周りに保護カバー174(埃及び/又は水キャップ)と、検知デバイス100のベースに発泡リング176とを更に備える。埃カバー174及び発泡リング176の一方又は両方は、他の実施形態において、省略することができ、又は、他の保護要素と交換することができる。エレクトロニクスハウジング124、保護キャップ174、及び発泡リング176によって提供される保護により、検知デバイス100が損傷なしで水面下に浸漬されることを可能にすることができる。保護カバー174は、検知デバイス100における圧縮を可能にするために半弾性又はその他の方法で変形可能とすることができる。保護カバー174は、視覚インジケーター(例えば、発光ダイオード173)が保護カバー174を通して見られることを可能にするために半透明又は透明とすることもできる。
【0088】
岩石層112は、
図2に示すように、岩石面、及び、岩石層112のベースからぶら下がる(hanging)岩屑179又は剥離岩石を含むことができる。
【0089】
再び
図2を参照すると、エレクトロニクスハウジング124は、スペーサー118の周りに嵌合するガスケット又はOリング178も備えることができる。エレクトロニクスハウジング124は、Oリング178と嵌合するプラスチックケーシングとすることができる。
図2において、スペーサーの第1及び第2の端128及び130の近くに位置決めされた2つのOリング178が示されるが、こうしたOリングの数及び配置は変動する場合がある。エレクトロニクスハウジング124は、Oリング178とともに、密閉して水を入れないようにすることができる。
【0090】
図2は、スペーサー118に固着されたオプションのひずみゲージ180も示す。ひずみゲージ180は、Oリング178及びエレクトロニクスハウジング124によって水から保護することができる。ひずみゲージ180は、スペーサー118に対する荷重のアナログの読み値を取得することができる。ひずみゲージ180は、エレクトロニクスモジュール136のプロセッサ166等のマイクロプロセッサに接続され、又はマイクロプロセッサと一体化されることができる。ひずみゲージ180を、スペーサー118の中に入れることができる。アナログの読み値を、送信する及び/又は送波用の出力を生成するために使用することができる。例えば、出力を、中央コンピューターシステム(図示せず)に送信することができる。ひずみゲージ180は、予荷重センサー120又は過荷重センサー122によってアラームがトリガーされる場合にだけ読み値を取得するためにアクティベートすることができ、そのことが、必要とされるときにアナログひずみ測定を依然として可能にしながら、電力使用を最小にすることができる。ひずみゲージ180は、概して、スペーサー118に取付けられたストリップの形態であり、プロセッサ166(
図3に示す)に対して入力を提供するために接続されることができる。
【0091】
検知デバイスは、振動を含む地震運動を検知するための加速度計(図示せず)も備えることができる。プロセッサ166(
図3に示す)は、加速度計からの入力を受信して、出力を、相応して生成することができる。
【0092】
例示的な検知デバイス100の据付け及びオペレーションが、ここで、再び
図2を参照して述べられる。岩石ボルト102を据付ける前に、穴110が、岩石層112内に穿孔される。検知デバイス100は、スペーサー118の通路126を通りかつ第1、第2、第3、及び第4の皿ばね138、140、150、及び152を通って岩石ボルト102を摺動させることによって岩石ボルト102の挿入端108の上に設置することができる。岩石ボルト102は、その後、岩石層112内の穴110に(挿入端108によって)挿入することができる。アンカー114は拡張されて、任意の従来の手段を使用して穴110の内側表面116をグリップすることができる。岩石ボルト102に任意の予荷重張力を加える前に、第1、第2、第3、及び第4の皿ばね138、140、150、及び152は全て、非圧縮状態にあり、第1及び第2の電気接点158及び160は、第1及び第3の皿ばね138及び150に係合しない(したがって、両方のセンサースイッチは開いている)。
【0093】
次に、ナット104は、岩石ボルト102に少なくとも閾値予荷重張力を加えるために使用することができる。閾値予荷重張力において、第1及び第2の皿ばね138及び140は平坦になり、第1の皿ばね138は第1の電気接点158に係合し、それにより、スイッチを閉じ、予荷重センサー出力状態を相応して提供する。エレクトロニクスモジュール136は、予荷重センサー120及び過荷重センサー122の出力状態に応じて出力を生成する。
【0094】
一部の岩石ボルト据付けにおいて、支承板又はスプレッダーワッシャーが使用されて、岩石層の表面(例えば、トンネル表面)にメッシュを留めることができる。繊維ガラスをメッシュにわたって噴霧することができる。こうした状況において、検知デバイス100は、噴霧プロセス中に(例えば、バッグ又はキャップを使用して)覆われることができる。
【0095】
予荷重及び過荷重センサー120及び122は、所定の荷重閾値で圧縮する弾性圧縮性要素(すなわち、皿ばね138、140、150、及び152)の選択によって基本的に事前較正される。予荷重及び過荷重センサー120及び122は各々、それぞれの電気接点158及び160が対応する第1及び第3の皿ばね138及び150によって係合されるかどうかに応じて2値出力状態(例えば、on/off又はhigh/low)を有する。これらの2値出力状態の組合せは、エレクトロニクスモジュール136のプロセッサ166によって解釈されて、岩石ボルト102のステータスを示す適切なデバイス出力を生成する。
【0096】
以下の表1は、予荷重センサー120及び過荷重センサー122の出力状態に基づいて生成することができる、考えられる出力信号ビットを示す。表1において、「ON」は、電気接点158又は160が対応する第1及び第3の皿ばね138又は150に係合することを意味し、一方、「OFF」は係合していないことを意味する。
【0097】
【0098】
出力は、どの岩石ボルトがアラート条件を経験しているかを正確に示す一意の岩石ボルトIDも含むことができる。出力は、点滅するLED173等の視覚インジケーターも含むことができる。出力は、幾つかの実施形態において、暗号化することもできる。
【0099】
出力は、中央コンピューター(図示せず)に(送信機168を介して)送信することができる。中央コンピューターは、複数の(例えば、何百又は何千もの)異なる岩石ボルトから入力を受信することができる。中央コンピューターは、限定はしないが、ディスプレイ/アラーム/制御ブーム、交通信号灯、ブロードキャスト(電話通知)等のような中央アラーム又はアラート通知を制御することもできる。中央コンピューターは、アラート事象の日付けスタンプの情報を記憶することもできる。適切な無線及び/又は有線接続を使用することによって岩石ボルトサイトと中央コンピューターとの間に距離の制限は事実上存在しない。
【0100】
出力信号は、幾つかのデータフィールドからなることもできる。例えば、第1のフィールドは、岩石ボルトIDのために使用することができる。岩石ボルトIDは、検知デバイス又は岩石ボルトの数(例えば、1から9999まで)を示すことができる。第2のデータフィールドは、デバイスのステータスを示す可能性がある。ステータスは、種々のステータスコードを使用して示すことができ、種々のステータスコードは、任意選択で、タイムスタンプを押すことができる。例えば、以下のステータスコードを、検知デバイス100が利用することができる。
【0101】
コード0:障害なし、全てが問題なく機能している。
【0102】
コード1:アラーム-おそらくは、岩石ボルトアンカーの不具合を示す予荷重の喪失。これは、こうした条件が検出された直後に送出することができ、任意選択で、所定の又はカスタマイズ可能な間隔で繰返し送出することができる。
【0103】
コード2:アラーム-おそらくは、大量の岩石が破壊して緩み、それが岩石ボルトの限界を超えた力を加えていることを示す過荷重条件。これは、こうした条件が検出された直後に送出することができ、任意選択で、所定の又はカスタマイズ可能な間隔で繰返し送出することができる。
【0104】
コード3:アラーム-おそらくは、破局的不具合、及び/又は、過度に強い力がボルトに加えられたために岩石ボルトが破壊したことを示す、過荷重条件及びそれに続く予荷重の喪失。これは、こうした条件が検出された直後に送出することができ、任意選択で、所定の又はカスタマイズ可能な間隔で繰返し送出することができる。
【0105】
コード4:差し迫っているアラーム-電池ステータスlow。これは、電力源として電池を装備する実施形態において使用することができる。
【0106】
コード5、6、7、8、及び9を、岩石ボルトの長さ測定、又は、ひずみゲージ180によって測定される張力等のオプションの構成のために備えておくことができる。
【0107】
岩石ボルト102のロケーションの近くでの岩石爆破又は同様の機械的擾乱等の間欠的事象によって生成される偽アラームを回避するために、検知デバイス100は、障害又はアラート条件が所定の時間(例えば10秒)の間、途切れなく続くことを検出した後にのみアラーム信号を送信することができる。所定の時間を、ユーザーが設定することができる。任意選択で、上述した機械的擾乱を検出し、それを障害コードとしてレポートする、加速度計又は同様のデバイス等のモーションセンサー(図示せず)が使用され得る。
【0108】
検知デバイス100は、種々の既存の無線ネットワークを通して、そのアラート/障害及びステータスコードを送信するように構成することができる。例えば、送信機168及びアンテナ172は、鉱坑及びトンネル内の「リーキーフィーダーケーブル」システムを介して送信するために構成することができる。代替的に、LinkLabs LoRaWAN(商標)又は同様のマルチバンドラジオ送受信機が、送信機168として使用することができ、1 μA程度の小さなスリープ電流を使用することができる。
【0109】
検知デバイス100は、任意選択で、安全ポイントを超えるボルトの長さの増加;ボルト内に送出される超音波信号によって検出されるボルト破壊;ひずみゲージによって測定される岩石ボルトの張力を示す他のアラートを提供するように構成することができる。予荷重が維持され、障害が全く検出されないとき、検知デバイス100は、岩石ボルト102が正常又はOKであることを示す出力(定期的信号等)も提供することができる。
【0110】
視覚出力(例えば、LED173を使用する)も提供することができる。プロセッサ166は、種々の状況に応答してLED173を異なるモードでアクティベートするように構成することができる。例えば、適切な予荷重が据付け中に加えられる前に、検知デバイス100は、LED173を点滅させることができる。適切な予荷重が加えられると、LED173は、ディアクティベートすることができ、又は、所定の時間量(例えば、10秒)の間、点灯することができる。LEDは、障害が検出されると、ターンオン及び/又は点滅することもできる。点滅の回数は、特定の障害コードに対応することができる。こうした対応の一例は、次の通り:障害コード1の場合、20秒ごとに1回の点滅;障害コード2の場合、2回の点滅;障害コード3の場合、3回の点滅;障害コード4の場合、4回の点滅等である。障害コードは、予荷重の喪失、過荷重、又は上記で論じた他のアラートステータスを示すことができる。任意選択で、検知デバイスは、コード化周波数光エミッターからの入力を検知するセンサー(図示せず)を備えることができ、プロセッサ166は、コード化周波数光エミッターによって試験されると、所定の時間(例えば、5秒)の間、点灯するようにLED173をアクティベートするように構成することができる。
【0111】
幾つかの実施形態において、プロセッサ166は、ひずみゲージ180が測定を行うことをトリガーする。例えば、プロセッサ166は、プロセッサが、予荷重センサー120若しくは過荷重センサー122からの入力、又は、アラート条件(例えば、予荷重の喪失、過荷重、又は、岩石落下若しくは強い爆破の衝撃等の地震運動)を示す加速度計からの信号を受信するときにひずみゲージ180をターンオンすることができる。ひずみゲージ180は、その後、現在の荷重条件のより正確な評価のためにアナログデータを収集することができる。(常に電力供給するのではなく)必要であるときにだけアナログひずみゲージ180をトリガーすることは、従来のセンサーと比較して検知デバイス100のエネルギー消費を大幅に低減することができる。
【0112】
他の実施形態において、予荷重及び過荷重センサーを省略することができ、検知デバイスは、スペーサー上にアナログひずみゲージのみを備えることができる。
【0113】
図4Aは、予荷重が維持された状態の正常オペレーションにおける岩石ボルト102及び検知デバイス100を示す。図示するように、予荷重センサー120の第1及び第2の皿ばね138及び140は圧縮され、それにより、第1の皿ばね138は第1の電気接点158に接触する。第3及び第4の皿ばね150及び152は圧縮されず、それにより、第3の皿ばね150は第2の電気接点160に接触しない。その理由は、岩石ボルト102に対する荷重が過荷重閾値より小さいからである。この状態において、検知デバイス100は、岩石ボルトが正常に機能し、予荷重張力を維持していることを示す出力を提供する。しかし、幾つかの実施形態において、電力使用を節約するために、岩石ボルトが正常な「OK」オペレーション中であるとき、出力は全く生成されない場合がある。例えば、エレクトロニクスモジュール136は、アラートが発せられるとき又は岩石ボルトステータスが質問されるときにだけ電力を使用することができる。より具体的な例として、検知デバイス100は、予荷重センサーが、一回に何週間又は何年もの間その状態にある場合があるため、電力を節約するために第1の皿ばね138が電気接点158に接触すると、予荷重センサー120の回路を破壊するエレクトロニクス(ダイオード(複数の場合もある)等)を備えることができる。過荷重センサー122は、一方、逆であり、第3の皿ばね150が対応する電気接点160に係合するときにだけ電力を使用することができる。
【0114】
代替的に、出力は、岩石ボルトステータスが「OK」であるときに定期的に提供することができる。障害が全く存在しないときに提供される出力の周波数を減少させることによって、又は、(岩石ボルトの何らかの異常なオペレーションによって)アラートが必要であるときにだけデバイスから出力を自動的に提供することによって、エネルギーを節約することができ、検知デバイス100の寿命を延長することができる。例えば、電池の電力ハーベスティングシステムを使用して、検知デバイス100は、25年又は更に50年以上までの間、電力の喪失なしで機能できるものとすることができる。例えば、電池だけで電力供給される検知デバイスは、20年を超えて持続することができる。外部電力(例えば、リーキーフィーダーケーブルからの無線電力)を調達する検知デバイスは、50年以上持続することができる。
【0115】
図4Bは、過荷重状態の岩石ボルト102を示す。荷重が(例えば、過剰のトルク印加又は岩石変位によって)閾値過荷重張力を超える場合、第3及び第4の皿ばね150及び152は平坦になり、第3の皿ばね150は第2の電気接点160に係合する(それにより、過荷重センサー内のスイッチを閉じ、過荷重センサーから対応する出力を生成する)。この状態において、予荷重及び過荷重センサー120及び122はともにトリガーされ、岩石ボルトが過荷重をかけられていることを示し、適切なステータスアラートがデバイス100によって出力される。アラートは、上記で論じたアラートコードのうちの1つを含むことができる。アラートは、送信機168及びアンテナ172を使用して無線送信することができる。
【0116】
岩石ボルト102が穴110から外れる場合があり、又は、地層112内の岩石が破壊し、岩石ボルト102内の張力の喪失を引起す場合がある。
図5は、予荷重が喪失された状態での岩石層112から変位した岩石ボルト102を示す。予荷重センサー120の弾性の第1及び第2の皿ばね138及び140は、その元の非圧縮形態に戻っている。予荷重が喪失されると、第1及び第2の皿ばね138及び140によって提供される力は、岩石ボルト102を穴110から部分的に引っ張ることができる。この状態において、第1の皿ばね138は、図示するように、第1の電気接点158にもはや係合しない(したがって、センサー内のスイッチを事実上開く)。エレクトロニクスモジュール136のプロセッサ166は、岩石ボルト102が不具合を起こしたことを示すために(例えば、送信機168及びアンテナ172によって無線で)アラートを出力させることになる。
【0117】
検知デバイス100は、
図2及び
図4A~
図5に示す岩石ボルト102においてプリセットされた予荷重を維持することができ、又は、同様の検知デバイスは、膨張式ボルト及び摩擦ボルト等の他のタイプの岩石ボルトにおいて予荷重を維持するために使用することができる。
【0118】
図2~
図5の検知デバイス100は予荷重センサー120及び過荷重センサー122をともに備えるが、他の実施形態は、単一センサーのみを備える場合がある。例えば、他の実施形態のデバイスは、(過荷重センサーを省略して)予荷重センサーのみを備えることができる。
【0119】
幾つかの実施形態において、検知デバイス(
図2に示すデバイス100等)は、岩石ボルトに対する実際の荷重を測定する1つ以上のアナログ張力センサーを備え、検知デバイスは、正確な測定済みの荷重を示す出力を提供することができる。こうした出力は、無線で又は有線接続を通して送信することができる。
【0120】
幾つかの実施形態において、検知デバイス(
図2に示すデバイス100等)は、岩石ボルトのステータスを要求する入力を受信することができる。例えば、デバイスは、質問され、正常(OK)ステータスを示すコードで応答することができる。任意選択で、デバイスは、プロセッサ(
図3のプロセッサ166等)に接続することができるコード化周波数光センサー(オプトトランジスタ)を備えることができ、デバイスは、検知デバイス100がオペレーション状態にあるかどうかを試験するために(例えば、
図2のLED173を介して)ほぼ瞬時の視覚的検証を提供することができる。コード化周波数光センサーは、コード化周波数光送信機によって、その光ビームを光センサーに向け、コード化光信号を放出することによってアクティベートされて、オペレーションステータスを、所望されるときに又は所定の間隔でチェックすることができる。任意選択で、コード化周波数光センサーは、交通トンネル、鉱坑連通回廊等の十分な光が存在する環境において、及び、屋外ロケーションにおいてエネルギーハーベスターとして使用することができる。
【0121】
幾つかの実施形態において、検知デバイス(
図2におけるデバイス100等)は、アンテナ(アンテナ172等)を備えることができ、アンテナを介して無線電力を受信して、デバイスに電力供給する及び/又は検知デバイス内の電力源(例えば、電池)を充電することができる。そのため、検知デバイスは、幾つかの実施形態において、エネルギーを無線で調達することができる。同様に、有線接続は、デバイスに電力供給する及び/又はデバイスに充電するために使用することができる。
【0122】
幾つかの実施形態において、検知デバイスからの出力は、中央コンピューター又は他の中央プロセッサユニット(CPU)に送信される。例えば、コンピューター又はコンピューターシステムは、複数の岩石ボルトからの出力をモニターすることができる。
【0123】
幾つかの実施形態において、検知デバイス(
図2に示す検知デバイス100等)は、爆破か、岩石落下か、又は地震運動等の地震事象を検知することができ、検知デバイスは、振動の大きさがプリセットされた閾値を超える場合、アラート又はアラームを提供することができる。例えば、加速度計(図示せず)を、こうした振動を測定するために使用することができる。
【0124】
幾つかの実施形態において、検知デバイス(
図2に示す検知デバイス100等)は、自己試験を定期的に実施し、中央コンピューターからの催促なしで中央コンピューターに結果をレポートすることができる。中央コンピューターは、予想されるときに、予想された自己試験レポートが受信されない場合、アラームを発することができ、それは、送信システムが一方向であることを可能にし、したがって、場合によってはコスト及びエネルギーに関して節約することができる。検知デバイスは、自己試験を実施するために手動で又は自動でトリガーすることもできる。例えば、検知デバイスは、可視光、紫外線(UV)又は赤外線ビームに露出されると、自己試験をトリガーする可視光、UV又は赤外線センサー(図示せず)を備えることができる。
【0125】
幾つかの実施形態において、検知デバイス(
図2に示す検知デバイス100等)は、異なる場所又は国についての規制を遵守するために特有の周波数で及び/又は特定の信号強度を持ってデバイス出力を送信するように装備することができる。「リーキーフィーダー」タイプループを使用する低周波数信号;WiFi;セルラー又はモノのインターネット(IoT)プロトコルを含むが、それに限定されない種々の無線通信ネットワーク及び技術を実装することができる。
【0126】
幾つかの実施形態において、検知デバイスは、弾性圧縮性要素に係合する電気接点を備えない場合があり、弾性圧縮性要素は、別の方法で状態変化をトリガーする場合がある。例えば、荷重センサーは、弾性圧縮性要素の運動によってトリガーされる近接タイプセンサーを含むことができる。近接センサーは、幾つかの例を挙げると、磁気式又は静電容量式近接センサーとすることができる。
【0127】
幾つかの実施形態において、中央コンピューターは、ネットワーク又はアレイ岩石ボルトに取付けられた検知デバイスと通信することができる。岩石ボルトのネットワークは、例えば、トンネル、鉱坑、又は他の地下構造内に据付けることができる。検知デバイスは各々、
図2の検知デバイス100と同様とすることができる。例えば、10000以上の同様の検知デバイスを配備することができる。数平方キロメートルをカバーする岩石ボルトのネットワークにおいて、検知デバイスは全て、1つの中央コンピューターにレポートすることができ、中央コンピューターは、自動ブーム/交通信号灯等と更に通信することができる。中央コンピューターは、岩石ボルトのステータスに関する情報(例えば、或る岩石ボルトが不具合を起こしたというアラート)を記憶し得る。例えば、週末の破壊後、先行する日の記憶済み情報(過荷重又は予荷重の喪失等の不具合事象に関する情報を含む)が、作業者が地下に行く前にチェックされ得る。考えられる構造損傷又は脆弱性のアラートを提供することによって安全性を提供することに加えて、ネットワーク内の岩石ボルトからの出力/アラートは、地層の劣化のプロセスを調査するために使用することができる。こうした出力は、フォレンジックリサーチ(forensic research)のために記録し、使用することができる。
【0128】
上記で述べたように、
図2及び
図4A~
図5に示すアンカータイプ岩石ボルト102は、本明細書で述べる検知デバイスの実施形態(
図2及び
図4A~
図5に示す検知デバイス100等)とともに使用することができる岩石ボルトのタイプの一例に過ぎない。摩擦及び/又は膨張式岩石ボルト等の他のタイプの岩石ボルトも使用することができる。荷重をモニターすることに加えて、本明細書で述べる検知デバイスは、同様に、こうした岩石ボルトに予荷重張力を提供することができる。
【0129】
幾つかの実施形態において、1つ以上の皿ばねが、1つ以上の平ディスクと組合せて使用されて、1つ以上のセンサーの弾性圧縮性要素を形成することができる。例えば、再び
図2を参照すると、皿ばね140及び/又は皿ばね152は、内部に穴を有する平ワッシャータイプ板と交換することができる。残りの皿ばね138及び150は、電気接点158及び160に接触するために依然として圧縮することができる。
図2の皿ばね152は、支承板113に隣接して載置される平ディスク/ワッシャーと交換される可能性がある。
【0130】
図6~
図8は、従来の摩擦及び膨張式岩石ボルトの断面プロファイルを示す。
図6は、摩擦岩石ボルト202の例示的な断面プロファイルを示す。摩擦岩石ボルト202は、中空中央部204を有する全体的に円形の断面プロファイルを有するが、その長さに沿ったスリット203を画定する。初期の非拡張状態において、ボルト202は、岩石層(図示せず)内の穴に設置される。岩石ボルト202は、直径が穴よりわずかに大きいものとすることができ、したがって、穴に入るようにハンマーで打付けられると、スリット203は、収縮する又は跳ね返ることになり、岩石ボルト202は、外方に穴を押付け、それにより、摩擦によって岩石ボルト202が所定の場所に保持されることになる。
【0131】
図7は、非膨張状態の膨張式岩石ボルト206の例示的な断面プロファイルを示す。岩石ボルトは、中空チャンバー207を画定し、中空チャンバー207は、油圧流体を充填して、
図8に示す膨張状態まで岩石ボルト206を膨張させることができる。膨張式岩石ボルト206は、岩石ボルト206を膨張させるために中空チャンバー207に入る手段(油圧流体入口弁等、図示せず)を含むことになる。岩石ボルト206は、非膨張状態で穴に挿入され、その後、穴内に岩石ボルト206を留めるために油圧流体で膨張されることができる。
【0132】
アンカータイプ岩石ボルトと違って、摩擦及び膨張式岩石ボルトは、通常、そのヘッド端にトルクをかけられるナットを持たない。しかし、摩擦及び膨張式岩石ボルトは、そのヘッド端に、岩石層の面から突出する拡張式リング又はその他の方法で幅広化された特徴部を依然として有することができる。本明細書で述べる検知デバイスは、以下で述べるように、摩擦ボルト又は膨張式ボルトのヘッド端で、そのリング又は他の幅広化された特徴部に当接することができる。代替的に、摩擦又は膨張岩石ボルトは、以下で述べるように、検知デバイスを所定の位置に保持するヘッド又はプラグを備えるように修正することができる。
【0133】
従来の摩擦及び/又は膨張式岩石ボルトの据付けにおいて、岩石ボルトは、通常、据付け後に、予荷重を加えられる又は維持されることができない。しかし、更なる構造支持を提供するためにこうした岩石ボルトにおいて予荷重を維持することが望ましい場合がある。以下で述べるように、本明細書で述べる検知デバイスを使用することによって、予荷重を、こうした岩石ボルトにおいて維持することができる。予荷重は、幾つかの実施形態において、従来のアンカーボルトにおける予荷重と、力及び精度において同様とすることができる。この予荷重は、岩石ボルトの機能及び岩石層の補強にとって有利である場合がある。摩擦ボルトは、通常、ボルトを岩石層に挿入するときにプッシャーリグを使用して据付けることができる。摩擦ボルトは、岩石ボルトの荷重をモニターすることを可能にすることもできる(上述した検知デバイス100と同様)。摩擦ボルト又は膨張式ボルトの場合、ボルトは、通常、据付けられると、岩石層の穴に比較的ぴったりと嵌合することができ、グラウトはめったに使用されない。
【0134】
従来の摩擦又は膨張式ボルトは、ボルトのヘッド端にアダプターを保持する手段を持つように修正することができる。例えば、岩石ボルトは、アダプターがボルトのヘッド端にねじ込まれるように付加された雌ねじを有することができる。溝内の円形クリップ等の他の締結又は保持機構も、アダプターを搭載するために使用することができる。アダプターは、岩石ボルトより幅広とすることができるため、検知デバイスは、アダプターと支承板との間に保持することができる。代替的に、アダプターは、雄ねじを有し、検知デバイスを保持するとともに予荷重を加えるためのアンカーボルト上のナットと同様に機能するナットを含むことができる。
【0135】
幾つかの実施形態において、従来の摩擦又は膨張式岩石ボルトは、予荷重センサーの弾性圧縮性要素が(予荷重閾値に)十分に圧縮されるまで、プッシャーリグがボルト及び検知デバイスに荷重をかけている間に膨張を可能にするヘッド上の膨張ニップルを備えるように修正することができる。光(例えば、LED)又は信号は、適切な予荷重が達成されたことを示すために使用することができる。岩石ボルトに対する初期押付けが予荷重を提供することを可能にする多くの方法が存在する。一例において、膨張式岩石ボルトを膨張させるために油圧流体用のストッパーとして働くプラグは、岩石ボルトの端の上に溶接することができる。プラグはボルトより大きな直径とすることができる。プラグは膨張のために垂直アクセスニップルを有することができる。こうした配置構成は、
図9に示され、以下で述べられる。
【0136】
図9は、別の実施形態による検知デバイス300の側面図、並びに、膨張式岩石ボルト302及び膨張式岩石ボルト302を据付けるための膨張式ボルト据付けリグ304の縦方向断面図である。据付けリグ304は
図9に部分的にのみ示される。岩石ボルト302は、この実施形態において、プラグタイプヘッド306がそのヘッド端308上に溶接された状態の膨張式ボルトである。
図9は、岩石層(図示せず)の面に隣接することになるスプレッダーワッシャー又は支承板310も示す。検知デバイス300は、スペーサー318(
図2のスペーサー118と同様)、第1の皿ばね312、及び第1の電気接点314を備え、予荷重センサースイッチをともに形成する。検知デバイス300は、第2の皿ばね316及び第2の電気接点317を備え、過荷重センサースイッチをともに形成する。予荷重及び過荷重センサースイッチの位置は、他の実施形態において反転することができる。これらのセンサーは、
図2~
図5を参照して上述した予荷重センサー120及び過荷重センサー122と同様に配置され機能する。第1及び第2の皿ばね312及び316は、スペーサー318の対向端に配置される。検知デバイス300は、エレクトロニクスハウジング320及びデバイスカバー322も備える。ハウジング320は、任意選択で、限定はしないが、センサー構成要素、プロセッサ、送信機、受信機、電源、及びアンテナ等のような電気構成要素(図示せず)を備える。デバイスカバー322は、皿ばね312及び316、電気接点314及び317、スペーサー318、及びハウジング320をカバーする。デバイスカバー322は、第1及び第2の皿ばね312及び316の圧縮を可能にするために変形可能又は圧潰可能とすることができる。デバイスカバー322内の検知デバイス300の要素は、デバイスカバー322によって視界から通常遮断されるため、点画式ラインで示される。
図2~
図5に示す検知デバイス300と同様に、
図9の検知デバイス300は、全体的にリング又はチューブ状であり、岩石ボルト302が通過するための、検知デバイス300を貫通する通路324を画定する。検知デバイスは、他の実施形態において、異なる形状(例えば、三角形又は長方形外周)を有することができる。実施形態は、いずれの特定の形状にも限定されない。
【0137】
検知デバイス300は、予荷重及び過荷重センサーからの出力に基づいて岩石ボルト302のステータスを示す出力手段(図示せず)も備える。例えば、光及び/又は出力信号の送信を、上述したように使用することができる。実施形態は、いずれの特定のタイプ出力にも限定されない。
【0138】
岩石ボルト302は、ボルト302の長さに沿って実質的に延在する中空部328を画定する。岩石ボルト302のプラグタイプヘッド306は、岩石ボルト302を膨張させるために油圧流体が中空部328に入ることを可能にするための油圧流体入口330を備える。
【0139】
据付けリグ304は、プッシャーヘッド334を有するプッシャーセクション332を備え、プッシャーヘッド334は、岩石ボルト302のヘッド306を覆って嵌合し、少なくとも適した予荷重力で岩石ボルト302を押すように構成される。プッシャーセクション332は、油圧駆動することができる。従来の据付けリグは、十分な力で押すように構成されない場合があるが、そうなるように修正することができる。据付けリグ304は、膨張ニップル336、及び、膨張ニップル336からプッシャーヘッド334まで油圧流体を連通させる内部流体通路338も備える。流体通路338は、据付けリグ304が岩石ボルト302上にあるときに岩石ボルト302の油圧流体入口330に油圧流体を連通させるように位置合わせされる。据付けリグ304のプッシャーヘッド334は、岩石ボルト302のヘッド306を覆って嵌合するサイズに作られた凹所340、及び、据付けリグ304と岩石ボルト302との間にシールを提供し、その間からの油圧流体の漏洩を防止するために配置された凹所340内のOリング342を備える。膨張ニップル336は、油圧流体源(図示せず)に接続することができる。
図9に示す特定の据付けリグ304は、例のためだけに提供される。異なる構造を有する他のリグを、検知デバイス300を有する岩石ボルト302を据付けるために使用することができる。他の実施形態において、据付けは、一般的な据付けリグを使用しない手作業とすることができる。実施形態は、本明細書で述べる検知デバイスを据付けるいずれの特定な方法にも限定されない。荷重ワッシャー344は、この実施形態において、検知デバイス300に含まれる。荷重ワッシャーは、第1の皿ばね312に隣接し、岩石ボルトのヘッド306に接して位置決めされるためのものである。岩石ボルト302のヘッド306は、荷重ワッシャー344を押し、荷重ワッシャー344は、次に、第1の皿ばね312を押す。
【0140】
岩石ボルト302を据付けるために、検知デバイス300は、岩石ボルト302がその非膨張状態にある間でかつ岩石ボルト302が岩石層(図示せず)の穴に(前端326が最初に)設置される前に、岩石ボルト302を覆って最初に設置することができる。次に、プッシャーヘッド334が、岩石ボルト302のヘッド306を覆って設置され、岩石ボルトを押して、所望の予荷重を加え、所望の予荷重は、第1の皿ばね312を平坦にし、それにより、第1の皿ばね312は第1の電気接点314に接触する。検知デバイス300は、出力を提供する又は出力を中止することによって予荷重が相応して維持されることを示す。例えば、「OK」のようなステータスを示す出力信号を送信することができ、及び/又は、予荷重の非存在を以前に示した出力(アラート送信又は光等)は単に中止することができる。次に、据付けリグ304は、十分な油圧流体を岩石ボルト302に挿入して、岩石ボルト302を完全に膨張させ、岩石層内の所定の位置に岩石ボルト302を固定することができる。膨張は、通常、油圧圧力をモニターし、閾値油圧圧力(例えば、300バールの油圧圧力)でポンプを自動的に停止することによって制御することができる。膨張後、据付けリグ304を、解除し取除くことができ、岩石ボルト302は、第1の皿ばね312によって予荷重が維持された状態で据付けられる。
【0141】
図10は、
図9の検知デバイス300と同様である検知デバイス400の側面図であるが、平荷重ワッシャー444は、この実施形態において、検知デバイス400の外にあり、検知デバイス400と岩石ボルト402のヘッド端404との間に設置される。岩石ボルト402は、この例において、
図10において縦方向断面で示され、
図9を参照して上述した岩石ボルト302と機能が同様である。しかし、岩石ボルト402は、そのヘッド端404に(溶接式プラグタイプヘッドではなく)ロール仕上げ式ヘッド403を有する。ロール仕上げヘッド403は、横方向に外方に延在し、岩石ボルト402の中空部又はチャネル410内への幅広開口408を画定するロール式外側表面406を有する。この岩石ボルト402は、
図10においても部分的に示される据付けリグ412によって岩石層409内の穴407に据付けることができる。
【0142】
この例において、据付けリグ412は、ボルト402を膨張させるために開口408に嵌合し開口408をシールする幅広油圧チャネルニップル414を備える。油圧チャネルニップル414は、この例において、開口内にぴったり嵌合するサイズに作られた外周416を有し、開口408に対してシールするために外周内に部分的にセットされるOリング446も備える。据付けリグ412は、岩石ボルト402を膨張させるために流体(図示せず)を受取るための流体通路420に接続された入口418も備える。流体通路420は、油圧チャネルニップル414内で中心に位置する流体出口422を有する。
【0143】
据付けリグは、油圧チャネルニップル414より幅広であるプッシャーセクション424を更に備える。プッシャーセクション424は、据付けプロセス中に岩石ボルト402の長さに垂直である、油圧チャネルニップル414から横方向に離れて延在する平坦表面430を画定する。この表面430は、予荷重を加えるために岩石ボルト402のロール仕上げヘッド403を押付ける。プッシャーセクション424は、
図9に関して上記で論じた据付けリグ304と同様に、予荷重を提供するために油圧駆動することができる。支承板448は、この例において、検知デバイス400と岩石層409との間に含まれる。
【0144】
岩石ボルト402用の据付けリグ412及び据付けプロセスは、
図9に関して上述した岩石ボルト302用のプロセスと同様である。
【0145】
図11は、摩擦岩石ボルト502とともに使用される検知デバイス500(
図9に示す検知デバイス300と同様)の側面図である。支承板506も
図11に示される。
図11に見られるように、岩石ボルト502はスリット508を備え、スリット508は、岩石ボルト502が地層(図示せず)内の穴に押込まれるにつれてその長さに沿う岩石ボルト502の収縮及び拡張を可能にする。岩石ボルト502は平坦ヘッド部分504を有し、平坦ヘッド部分504は岩石ボルト502の残りの部分より幅広である。ヘッド部分504は溶接式ピースとすることができ、又は、岩石ボルト502を、平坦ヘッド部分504と一体に生産することができる。検知デバイス500に予荷重を加えるために地層内の穴に岩石ボルト502を押込むために任意の適した手段を使用することができる。据付け後に、検知デバイス500は、
図9を参照して上述した検知デバイス300と同様に、予荷重を維持することになる。
【0146】
図2の検知デバイス100と同様に、
図9、
図10、及び
図11の検知デバイス300、400、及び500は、それぞれの岩石ボルト302、402、及び502のステータスを示す出力を生成する。出力は、岩石ボルト302、402、若しくは502が、予荷重が維持された状態でOKであることを示し、又は、出力は、予荷重の喪失を示す第1のアラート若しくは過荷重を示す第2のアラートとすることができる。この出力は、上述した予荷重及び過荷重センサーの2値出力状態の組合せに基づくものとすることができる。検知デバイス300、400、及び500は、アナログ荷重測定を行い、出力を相応して生成するためのハードウェアも備えることができる。出力を、視覚又はオーディオインジケーター(例えば、光及び/又はスピーカー)によって提供することができ、及び/又は、出力は、生成され、中央コンピューター等の別のデバイスに送信される信号とすることができる。述べる他の変形及びオプションも検知デバイス300、400、及び500に実装することができる。
【0147】
上記で論じたように、岩石ボルトと地層内の穴の表面との間の空間は、注入式グラウト、エポキシ、又は特別な急速硬化コンクリートで充填されて、地層内での係留を改善することができる。グラウティングは、通常、種々の方法で行うことができる。1つの方法において、コンクリートグラウトが、ボルトを挿入する前に、地層内の穴に圧送される。代替的に、コンクリートグラウトは、ボルトが地層内の穴に挿入された後にボルトの中央穴を通して又はスプレッダー板上のニップルを通して圧送される。通常、コンクリートグラウトは、アンカーボルトのナットにトルクをかける前にグラウトが硬化するために約10分待つことを必要とする場合がある。摩擦又は膨張式ボルトの場合、押す力が、グラウトが硬化してしまうまでボルトに加えられる。別の代替法として、エポキシは、例えばコーキングガンによって地層内の穴に手で注入することができる。代替的に、硬化剤及びそれぞれのプラスチック表皮内のベースエポキシ部分が、ボルトの前に穴に設置され、ボルトを穴内で使用して(例えば、ボルトを回転させることによって)、エポキシを混合することができる。
【0148】
図12及び
図13は、検知デバイス(
図2~
図5及び
図9~
図11に関して上述した検知デバイス100、300、400、又は500等)を取付けるためのなお更なる適合物を示す、それぞれ、膨張式岩石ボルト602及び652の部分側面図である。
図12において、膨張式岩石ボルト602は、開口606を有するヘッド端604を有し、ヘッド端604から実質的に対向端(図示せず)まで縦方向に延在する、膨張用の中空チャンバー608も備える。ヘッド端604は、岩石ボルト602の外円周の周りに窪み付きリング610(開口606内に窪みを付けられる)を画定する。岩石ボルト602は、この実施形態において、プラグ612を持つように修正され、プラグ612は、岩石ボルト602の開口606に部分的に受取られるように形作られる。プラグ612は、窪み付きリング610に対して相補的に形作られる凹状溝614を第1の端615の近くに画定するため、プラグ612は、開口606内で固定位置に保持される。プラグ612は、細長く、開口606から第2の端616(第1の端615に対向する)まで縦方向に延在する。油圧流体チャネル618は、プラグ612の第1の端615から第2の端616まで延在するため、岩石ボルト602を膨張させる流体は、プラグ612を通り岩石ボルト602のチャンバー608内に流れることができる。プラグ612は、第2の端616の近くにねじを切られて、ねじ620上でナット(図示せず)を受取る。
図2に示すナット104と同様のナット(図示せず)を、プラグ612上にねじ込み、検知デバイス(図示せず)に予荷重を加えるために使用することができる。
【0149】
図13は、
図12に示す岩石ボルト602と同様の更に別の膨張式岩石ボルト652を示すが、開口内に挿入可能であるプラグの代わりに、この岩石ボルト652は、岩石ボルト652のヘッド端656上に溶接されたプラグ654を備える。プラグ654は、この実施形態において、平坦端表面658を有し、平坦端表面658は、
図9~
図11に関して上述した岩石ボルト302、402、及び502と同様に穴(図示せず)に岩石ボルト652を押込むために使用することができる。
図13のプラグ654は、その円周の周りに延在する外周660も有し、外周660上の流体入口662、及び、入口662から、岩石ボルト652の内側チャンバー668内に向く内側端表面666までの油圧流体チャネル664を有する。
【0150】
図14~
図16は各々、更に別の実施形態による検知デバイス700の側面断面図であり、別のタイプの岩石ボルト702に取付けられて示される。ここで
図14を参照すると、この検知デバイス700は、管状スペーサー708によって分離された予荷重センサー704及び過荷重センサー706並びにスペーサー708を囲むエレクトロニクスハウジング710を備える。検知デバイス700は、
図2に示す検知デバイス100と構造及び機能が同様であり、岩石ボルト702は
図14に示すように検知デバイス700を貫通する。予荷重センサー704は第1の単一皿ばね712及び第1の電気接点714を備える。過荷重センサー706は第2の単一皿ばね716及び第2の電気接点718を備える。第2の皿ばね716は、圧縮し平坦にするためにより高い荷重を必要とする点で第1の皿ばね712より強い。第1の皿ばね712は予荷重閾値で平坦になり、第2の皿ばね716は過荷重閾値で平坦になる。この実施形態において、検知デバイスは、予荷重センサー704と岩石ボルト702のナット722との間に平ワッシャー720を備える。平ワッシャー720は、予荷重が加えられると、第1の皿ばね712に当接して、第1の電気接点714に当てて第1の皿ばね712を平坦にする。平ワッシャー720は、岩石ボルト702にかかる荷重に耐えることが可能な適切に剛性のある任意の材料で作られることができる。例えば、平ワッシャー720は鋼で作ることができる。
図14は、検知デバイス700と岩石層726との間の支承板724又はスプレッダーワッシャーも示す。岩石ボルト702は岩石層726の穴728内に据付けられる。検知デバイス700は、検知デバイス700を埃及び水から保護するために保護カバー(図示せず)及び/又は他の適した手段も備えることができる。
【0151】
図14は、予荷重が維持された状態の岩石ボルト702を示す。
【0152】
図15は、第1のアラート又は障害状態における岩石ボルト702及び検知デバイス700を示す。特に、過荷重条件が
図15に示され、過荷重条件において、第2の皿ばね716は平坦であり、第2の電気接点718に接触し、それにより、適切なアラーム又はアラート出力をトリガーする。
【0153】
図16は、第2のアラート又は障害条件における岩石ボルト702及び検知デバイス700を示す。特に、予荷重の喪失状態が
図16に示され、予荷重の喪失条件において、第1の皿ばね712及び第2の皿ばね716はともに圧縮解除され(また、対応する第1及び第2の電気接点714及び718に接触せず)、それにより、予荷重の喪失を示す適切なアラーム又はアラート出力をトリガーする。
【0154】
図17は、更に別の実施形態による検知デバイス800の断面図であり、
図14~
図16の地層726の穴728内の同じアンカー岩石ボルト702に取付けられて示される。
図17の検知デバイス800は予荷重センサー804及び過荷重センサー806を備える。これらのセンサーは、
図17の過荷重センサー806が2つの皿ばね818及び819を備えることを除いて、
図14~
図16に示す予荷重及び過荷重センサー704及び706と構造及び機能が同様である。皿ばね818及び819は、岩石ボルト702上で平行に配置され、互いに対して鏡像配向にある。検知デバイス800は、支承板724と皿ばね818及び819の対との間に設置された短い第2の管状スペーサー809も備える。その他の点で、検知デバイス800は、
図14~
図16に示す検知デバイス700と構造及び機能が同様である。
【0155】
幾つかの実施形態において、検知デバイスは、単一荷重センサー(例えば、1つの予荷重センサー又は1つの過荷重センサーのみ)のみを備えるものとすることができる。
図18は、アンカー岩石ボルト902に取付けられた更に別の実施形態による検知デバイス900の側面図である。検知デバイス900は、この例において、予荷重センサー904を備えるが、過荷重センサーを備えない。検知デバイス900は、管状スペーサー908、エレクトロニクスハウジング910、及び平ワッシャー911を更に備える。平ワッシャー911は、アンカーボルト902のナット913に隣接する。予荷重センサー904は、平ワッシャー911とスペーサー908との間に配置された皿ばね912を備える。電気接点914は、エレクトロニクスハウジング910内にはめ込まれ、エレクトロニクスハウジング910から部分的に突出し、電気接点914は、皿ばね912が平坦状態まで圧縮されると、皿ばね912に接触するように配置される。エレクトロニクスハウジング910は、この実施形態において、ハウジングクリップ918に取付けられるハウジング本体916の形態である。ハウジングクリップ918は、エレクトロニクスハウジング910をスペーサー908に取付けるためにスペーサー908をクリップするように形作られ構成される。エレクトロニクスハウジング910は、取外し可能及び/又は交換可能とすることができる。種々のサイズのハウジングクリップ918が、複数のサイズの岩石ボルトに嵌合するために種々のサイズのスペーサー908とともに使用することができる。
【0156】
電気接点914は、ハウジング本体916内に配置される。この実施形態において、ハウジング本体916内に、プロセッサ922、送信機924、及び電池926も含まれる。発光ダイオード(LED)928は、ハウジング本体916の外周930上に配置される。プロセッサ922、送信機924、電池926、及びLED928は、
図3に示す検知デバイス100のプロセッサ166、送信機168、電力源170、及び光173と同様の機能を実施する。
図18の岩石ボルト902は、送信機924から信号(アラート等)を送信するために送信機924に接続されたアンテナ948(
図18及び
図21に示す)も備えることができる。
【0157】
岩石ボルト902及び検知デバイス900は、岩石層934の穴932内に岩石ボルト902を据付けるために予荷重が加えられる前の状態で示される。予荷重によって据付けた後、検知デバイス900は、予荷重張力がボルト内で喪失されるとアラートを提供することになる。
【0158】
図19は、
図18に示すエレクトロニクスハウジング910及びスペーサー908の端面図である。クリップ918の底部プロファイルは
図19において見ることができる。クリップ918は、エレクトロニクスハウジング910を所定の位置に保持するのに十分な強度でスペーサー908を把持する。他の実施形態において、スペーサー908はチャネルを画定することができ、クリップ918は、チャネル内に摺動して、クリップ918の位置を維持するのを助けることができる。
【0159】
図20は、検知デバイス900及び岩石ボルト902の側面図であるが、ナット913によって保持されたIDタグ946を有する、検知デバイス900を覆う保護カバー944も示す。IDタグ946は、例えば、アルミニウムで作ることができる。支承板941も
図20に示される。保護カバー944は、
図2に示す岩石ボルト102のカバー174と同様である。保護カバー944は、
図20において、カバー944内にある検知デバイス900の残りの部分を見せるために切り欠いて示される。
【0160】
図21は、検知デバイス900(保護カバー944を含む)及び岩石ボルト902の斜視図である。
図21は、
図18に示す送信機924に接続されるアンテナ948も示す。
【0161】
図22は、岩石ボルト1002(部分的にだけ示される)に取付けられた別の実施形態による検知デバイス1000の側面図である。検知デバイスは、予荷重センサー1004、スペーサー1008、及びエレクトロニクスハウジング1010を備える。エレクトロニクスハウジング1010は、やはり
図18及び
図19に示す検知デバイス900と同様に、スペーサー1008にクリップされる。予荷重センサーは、やはり、スペーサー1008に隣接する皿ばね1012及び電気接点1014を備え、電気接点1014は、エレクトロニクスハウジング1010から突出し、皿ばね1012が平坦になると皿ばね1012に接触するように配置される。皿ばね1012は、皿ばねに圧縮力を実際には提供することになる、ナット、岩石層、又は支承板が存在しないにもかかわらず、説明のために
図22において圧縮された平坦状態で示される。
【0162】
図23は、
図22の検知デバイス1000のエレクトロニクスハウジング1010及びスペーサー1008の端面図である。
図23に示すように、エレクトロニクスハウジング1010は、センサーのエレクトロニクス(図示せず)を含むための主ハウジング本体1006、及び、スペーサー1008に対してハウジングを保持するためのクリップ1022を備える。ハウジングは、この実施形態において、ハウジング1010のエレクトロニクスと、金属であるスペーサー1008との間の電気接続を提供する金属リベット1030を備える。スペーサーは、ハウジング1010とボルト1002との間の電気接続を提供することになる。ボルト1002は、次に、同様に金属である皿ばね1012に対する電気接続を提供する。そのため、皿ばね1012が圧縮し、ハウジング1010の電気接点1014に接触すると、ハウジング1010内のエレクトロニクスに関して完全な閉回路が提供される。デバイス1000は、ハウジング上にLED1040も備える。デバイス1000は、本明細書で述べる他のデバイスと同様に、予荷重が維持されているか否かを示す出力(例えば、光及び/又は信号送信)を提供する。リベット1030は、スペーサー1008及び岩石ボルト1002を通して皿ばね1012に転送される電圧を保持することができる。そのため、その電圧は、皿ばね1012が圧縮され電気接点1014に係合すると、電気接点1014を通して検知デバイス1000内のエレクトロニクス(図示せず)に転送することができる。エレクトロニクスハウジング(図示せず)内のプロセッサ又は他のエレクトロニクスは、それにより、皿ばね1012が圧縮され電気接点1014に係合するときを検出することができる。
【0163】
検知デバイス1000は、ハウジング上にストッパー1041(例えば、ゴムストッパー)も備え、ストッパー1041は、ハウジング1010を皿ばね1012から保護するために、電気接点1014と同一平面上にある又は電気接点1014よりわずかに低い。
【0164】
図24は、更に別の実施形態による岩石ボルト1102上の検知デバイス1100の側面断面図である。検知デバイス1100は、
図18に示す検知デバイス900と構造的にかつ機能的に同様であり、予荷重センサー1104、管状スペーサー1108、及びエレクトロニクスハウジング1110を備える。しかし、この例において、予荷重センサー1104は、
図24に示すように、平行に配置されかつ同様に配向された3つの同様な皿ばね1112を備える。3つの皿ばね1112は、所望の予荷重閾値で、ともに平坦状態に圧縮して、電気接点1114に接触するように選択される。スペーサー1108は、この実施形態において、スペーサー1108の底部端1119において外方に延在するフランジ1118を有し、ゴムOリングが、フランジ1118とエレクトロニクスハウジング1110との間に含まれる。Oリング1120は、予荷重張力の存在下でわずかに(例えば、0.5 mm又は1 mmまで)圧縮することができ、電気接点1114は、予荷重が加えられると、Oリング1120の上記圧縮を可能にし、皿ばね1112に依然として接触するように配置される。
図24は、エレクトロニクスハウジング1110上のLED1140も示す。この実施形態において、発泡ゴムOリング1122も、岩石ボルト1102の周りでかつ支承板1124と岩石層1126との間に含まれる。
【0165】
幾つかの実施形態において、予荷重センサー及び/又は過荷重センサーは、電気接点及び/又は対応する皿ばねを備えない場合がある。例えば、他の弾性圧縮性要素及びトリガリング機構を使用することができる。幾つかの実施形態において、(電気ではなく)磁気トリガーを、センサー(複数の場合もある)内に実装することができる。例えば、弾性圧縮性要素は、(電気接点に係合するために圧縮性要素を必要とするのではなく)磁気センサーをトリガーすることができる。
【0166】
異なる用途において、トリガリングアラートについて異なるレベルの精度又は裕度が所望される場合がある。幾つかの実施形態において、圧縮するときに検知デバイスの圧縮性要素(複数の場合もある)が移動する距離は、所望のセンサー精度及び/又は裕度を提供するために変動する場合がある。エレクトロニクスハウジング(幾つかの実施形態において、電気接点又は他のセンサー構成要素を備える)は、スペーサー上でサイズ、長さ、及び/又は位置が変動する場合もある。
【0167】
幾つかの実施形態において、予荷重センサー及び/又は過荷重センサーは、圧縮性要素(皿ばね等)の運動を検知するために電気接点ではなく近接センサー(静電容量性近接センサー)を含むことができる。近接センサーは、(電気接点の代わりに)エレクトロニクスハウジング内に一体化することができ、ハウジングに対して固定とすることができる。複数の近接センサー(例えば、予荷重センサー用に1つ及び過荷重センサー用に1つ)が使用される場合、近接センサーは、トリガー裕度について独立に調整することができる。
【0168】
静電容量性近接センサーは、アラートをトリガーすることになるセンサーからの圧縮性要素の距離に関する設計裕度を有することができる。予荷重センサーの場合、裕度は、アラートがトリガーされる前に、皿ばねが近接センサーからどれだけ遠くまで移動(圧縮解除)できるかであるとすることができる。過荷重センサーの場合、裕度は、アラートがトリガーされる前に、皿ばねが近接センサーに向かってどれだけ近くまで移動(圧縮)できるかであるとすることができる。裕度は、例えば、約1 mm~2 mmの範囲内にあるとすることができるが、実施形態は、いずれの特定の裕度レベルにも限定されない。
【0169】
予荷重センサーの場合、近接センサー及び皿ばねは、圧縮性要素が平坦になる(圧縮される)ときを予荷重センサーが検知するように選択し配置することができる。平皿ばねから近接センサーまでの距離は、例えば、4 mmとすることができる。その後、皿ばねが、予荷重の喪失によって拡張し、近接センサーから1 mm~2 mm離れる場合、近接センサーはアラームをトリガーすることができる。シムを、皿ばね(又は、他の圧縮性要素)と近接センサーとの間に必要な間隔を設けるために使用することができる。同様に、過荷重センサーの場合、近接センサーは、ワッシャーが平坦になり、したがって、近接センサーから約4 mmの位置まで移動する場合、アラームをトリガーすることができる。皿ばねと近接センサーとの間のこれらの例示的な距離は、単に例のために与えられる。
【0170】
シムは各々、例えば、ほぼ1 mm厚未満(例えば、0.4 mm)とすることができる。いろいろな厚さのシムを、異なる実装態様について所望に応じて使用することができる。検知デバイスが偽アラームを提供する場合、予荷重又は過荷重センサーの較正及び/又は裕度を相応して調整するためにシムの追加又は取外しを使用することができる。
【0171】
図25は、岩石層112内に据付けるための岩石ボルト2502上の検知デバイス2500の側面部分断面図である。検知デバイス2500は、
図2に示す検知デバイス100の修正バージョンである。検知デバイス2500は、第3及び第4の皿ばね150及び152並びに対応する電気接点160を備える同じ過荷重センサー122を備える。予荷重センサー2520は、この実施形態において、第1及び第2の皿ばね138及び140を依然として備える。電気接点ではなく、予荷重センサーは、第1の皿ばね138の近接性を検知する近接センサー2522を備える。近接センサー2522は、ハウジング124内に一体化され、
図2に示す検知デバイス100のプロセッサ166と同様である、ハウジング124内のプロセッサ(図示せず)に接続される。近接センサー2522は、第1の皿ばね138が平坦になる(圧縮される)とトリガーするように位置決めされ較正される。近接センサー2522は、この例において第1の皿ばね138に向くエレクトロニクスハウジング124の端に配置される。
【0172】
近接センサー2522から第1の皿ばね138まで十分な距離を提供するために、更なるシム2524(例えば、ワッシャー)が、スペーサー118と第1及び第2の皿ばね138及び140との間に設置される。近接センサー2522から第1の皿ばね138までの所望の距離は、近接センサー2522のタイプ及び仕様に応じて変動する場合があり、実施形態は、いずれの特定の距離又は構成にも限定されない。
【0173】
上記で論じたように、岩石ボルトは、種々の直径を含む種々のサイズを有することができる。
図25の岩石ボルト2502は、
図2に示す岩石ボルト102より小さな直径を有する。検知デバイス2500が岩石ボルトの両方のサイズに適合することを可能にするために、4つのアダプターワッシャー2532、2534、2536、及び2538が、アダプタースリーブ2540とともに使用される。第1のアダプターワッシャー2532は、第1の皿ばね138と岩石ボルトとの間のギャップを埋めるサイズに作られる。具体的には、第1のアダプターワッシャー2532の内径は、岩石ボルト2502の直径よりわずかに大きいサイズに作られ、第1のアダプターワッシャー2532の外径は、第1の皿ばね138の中央穴142よりわずかに小さいサイズに作られる。第1のアダプターワッシャー2532は、その後、第1の皿ばねの中央穴に嵌合する。第2、第3、及び第4のアダプターワッシャー2534、2536、及び2538は、同様に、
図25に示すように、第2の、第3の、及び第4の皿ばねに嵌合する。アダプタースリーブ2540は、管状であり、スペーサー118と岩石ボルト2502との間に嵌合するサイズに作られる。スペーサー118によって視界から隠ぺいされるアダプタースリーブ2540は、点画式ラインで示される。具体的には、アダプタースリーブ2540の外径は、スペーサー118の内径よりわずかに小さくかつ岩石ボルト2502の外径よりわずかに大きい。アダプタースリーブ2540は、この実施形態において、スペーサー118より短いが、他の実施形態において、長い(例えば、スペーサー118と同じ長さである)ものとすることができる。アダプターワッシャー2532、2534、2536、及び2538、並びにアダプタースリーブ2540はともに、アダプターキットとして機能し、単一検知デバイスが、岩石ボルトの複数のサイズ(すなわち、アダプターキット無しの第1のサイズ及びアダプターキット有りの第2のサイズ)に適合するように修正されることを可能にする。
【0174】
種々のサイズの岩石ボルト用のアダプターキットを使用することができる。事前に作製済みの穴サイズを有する標準的なスペーサー及び皿ばねのサイズは、小径のボルトのために適合することができる。これは、幾つかの小径ボルトにサービスする検知デバイスを生産するコストを低減することができる。実施形態は、いずれの特定の岩石ボルトの長さ又は直径にも限定されない。例示的な岩石ボルト外径は、約22 mm、30 mm、3/4インチ、又は5/8インチとすることができる。
【0175】
本明細書で述べる検知デバイスの種々の実施形態は、従来のセンサーと比較して構築し据付けるのが比較的簡単かつ安価である場合がある荷重センサー用の機械的弾性圧縮性要素(例えば、皿ばね)を含む。検知デバイスは、ボルト又は据付け方法をカスタマイズする必要性なしで、一部の岩石ボルト(例えば、アンカータイプボルト)とともに使用することができる。検知デバイスは、セットし較正するのが簡単である場合があり、特別な較正機器を、据付け中に必要としない場合がある。検知デバイスは、岩石ボルトの過荷重限界より高い荷重に耐えることができる場合がある。荷重センサーは、耐損傷性があり、温度、湿度、及びエネルギーレベルの変化があっても十分に一貫性のあるトリガリングを提供することができる。上述したように、電池は、25年~50年までの間、検知デバイスに電力供給するのに十分であるとすることができる。種々の信号及び通信プロトコルを、検知デバイスからの出力を通信するために使用することができる。認識されるように、幾つかの実施形態において、エレクトロニクスハウジングは、岩石ボルトに対する予荷重を緩めることなく、取外し可能かつ交換可能とすることができる。検知デバイスは、低コストとすることができ、デバイスの機構は、ユーザーが容易に理解しかつ装備/較正することができる。幾つかの実施形態において使用される皿ばねは、そのトン数を指定するために色コードを付けられて、組立てプロセスを補助することができる。
【0176】
本明細書で述べる検知デバイスは、種々の材料を使用して作ることができる。皿ばねは、例えば、鋼、プラスチック、又はばねに似た適切な特性を有する他の材料で作ることができる。皿ばねと同様の特性を有する他のタイプの弾性圧縮性要素も使用することができる。
【0177】
本明細書で述べる検知デバイスは、標準部品の比較的少ない在庫が多数の変形及び寸法になるように構築されることを可能にし、また、最小の在庫によってカバーされる最大の岩石ボルト及び荷重の変形をカバーするために、必要に応じて所望の予荷重及び過荷重閾値を設定するモジュールからなることができる。例えば、所望の閾値較正を提供するように、岩石ボルトについて種々の強度の皿ばねを選択することができる。幾つかの実施形態において、種々の異なる予荷重及び過荷重閾値を提供するように単一検知デバイス設計が修正されることを可能にするために、皿ばねは、交換可能とすることができる。こうした皿ばねは、標準部品とすることができ、その標準部品は、その場合、検知デバイス(複数の場合もある)をカスタマイズするために使用され得る。検知デバイスは、在庫部品(例えば、皿ばね)のキャッシュに基づいて現場で組立てる又は修正することができ、カスタマイゼーションのために電子的較正は全く必要とされず、それにより、カスタマイゼーション/構成プロセスを簡略化することができる。従来のセンサーは、複数の異なる用途において使用するために、実質的な再設計、センサー回路要素の再構成、又はカスタマイゼーションを必要とする場合がある。上述した幾つかの異なるタイプの検知デバイスを、多くの異なる過荷重及び予荷重閾値レベルを有する異なる用途のうちの多くの用途において据付けることができることが認識されるであろう。閾値レベルを較正するための(皿ばね又は他の圧縮性要素の交換による)検知デバイスのモジュール式特質は、従来のセンサーと比較して、組立て及び据付けプロセス並びに製造コストを簡略化することができる。本明細書で述べる検知デバイスの幾つかの実施形態のモジュール式でかつ適応可能な特質は、より容易な在庫管理も可能にすることができる。考えられるこれらの利益は、多数の岩石ボルトからなるネットワークについて増大する場合がある。
【0178】
岩石ボルトは、しばしば、クラスターで据付けられ、異なるタイプ及び寸法とすることができ、予荷重及び過荷重仕様は、クラスターごとに又は更にボルトごとに異なることになる。各個々のボルトに関連する据付けデータは、中央コンピューター(
図1に示す中央コンピューター62等)に記憶することができる。爆破サイトの近くで岩石ボルトの一時的クラスターを使用するとき、検知デバイスは、取外し、岩石ボルトの次の一時的クラスター上で再使用することができる。Gフォースセンサーは、検知デバイス内に含めることができ、岩石ボルトサイトにおいて地震運動及び爆破衝撃/振動に関してレポートすることができる。こうしたレポートは中央コンピューターによって記憶される場合がある。
【0179】
本明細書で述べる幾つかの実施形態の検知デバイスは、過荷重アラートがトリガーされた後に機能し続けることができ、荷重の或る程度の更なる増加は、センサー又は岩石ボルトに影響を及ぼさない場合がある。岩石ボルトが変位又は破壊しない限り、過荷重センサーの圧縮性要素は、荷重が減少する場合、依然として跳ね返ること(圧縮解除)ができる。中央コンピューター(
図1に示す中央コンピューター62等)は、過荷重事象が起こったことを記録し、過荷重事象がどこで起こったかを特定することができる。
【0180】
予荷重及び/又は過荷重閾値の裕度は、効率的な据付けを容易にするために、据付け機器(例えば、プッシャーリング又はトルク印加リング)における変動又は裕度を反映するために提供することができる。
【0181】
本明細書で述べる検知デバイスは耐水性とすることができ、及び/又は、エレクトロニクスハウジングは、検知デバイスを浸漬環境で(例えば、ダム又は水力発電所で)使用することができるように密閉することができる。こうした浸漬実施態様において、検知デバイスは、ステータス信号(アラート等)を通信するために表面のコンピューターに配線することができる。本明細書で述べる検知デバイスは、幾つかの実施形態において、侵入防止(IP:Intrusion Protection)68-300フィートを有することができる。幾つかの実施形態において、検知デバイスは、IP68-1000フィートを有することができる。
【0182】
本明細書で述べる検知デバイスは、種々のサイズで提供することができる。幾つかの実施形態は、例えば、3インチの外径を有することができる。一実施形態において、検知デバイスは、スプレッダー板とアンカー岩石ボルトのナットとの間に約2.5インチの空間を必要とする場合がある。
【0183】
図26Aは、上述した他の検知デバイスと同様の検知デバイス2600を有する岩石ボルト2602の側面図である。岩石ボルト2602は、穴2610内に(岩石層2622の表面2620に対して)或る角度をなして据付けられる。三角形側面プロファイルを有するウェッジ2604が、支承板2612と検知デバイス2600との間に挿入されて、検知デバイス2600が押付けるための検知デバイス2600に実質的に垂直な表面2613を提供する。
【0184】
図26Bは、やはり穴2610において或る角度をなす岩石ボルト2602及び検知デバイス2600の側面図である。この実施形態において、スプレッダー板2614は、中央ドーム状部分2615を有する標準的な自己位置合わせスプレッダー板である。ウェッジ2613は、ドーム状部分2615を覆いかつ支承板2612と検知デバイス2600との間に嵌合し、またやはり、検知デバイス2600が押付けるための検知デバイス2600に実質的に垂直な表面2617を有する。
【0185】
図27A及び
図27Bは、
図26Aからのウェッジ2604の側面図及び上面図をそれぞれ示す。検知デバイスのよりよい位置合わせを提供するために任意の適したウェッジを使用することができる。
【0186】
検知デバイスの外側カバーと内部構成要素(例えば、エレクトロニクスハウジング等)との間の空間は、エラストマー材料で充填することができる。このエラストマー充填は、検知デバイスのエレクトロニクス及び他の構成要素に対する衝撃を減少させることができる。例えば、検知デバイスの近傍における爆破等の強い衝撃による損傷を低減することができる。
【0187】
更に別の実施形態による岩石ボルト検知デバイスが、ここで、
図28~
図33を参照して述べられる。
【0188】
図28は、更に別の実施形態による岩石ボルト検知デバイス2800の側面図であり、岩石ボルト2802上に搭載されて示される。岩石ボルト2802は例としてだけ示され、検知デバイス2800は他のボルトタイプとともに使用することができる。検知デバイス2800は、第1の円錐皿ばね2804、第2の円錐皿ばね2806、及び両者の間のドーナツ状エレクトロニクスハウジング2808を備える。スペーサー2810(
図29に示す)は、岩石ボルト2802を覆って嵌合し、第1の皿ばね2804と第2の皿ばね2806との間に載置される。ドーナツ状ハウジング2808は、スペーサー2810の円周の周りに延在する。検知デバイス2800は、この実施形態において、岩石ボルト2802を、貫通させて受取り、第1の皿ばね2804及び第2の皿ばね2806にそれぞれ当接するオプションの第1及び第2のワッシャー様板2812及び2814を備える。
【0189】
図28は、岩石ボルト2802が据付けられると岩石面に当接することになる支承板又はスプレッダーワッシャー2816も示す。ドーム2818は、スプレッダーワッシャー2816と検知デバイス2800との間に載置され、岩石ボルト2802が岩石面に対して非垂直角度で据付けられると、力を検知デバイス2800に均等に分配するのを助けることができる。
【0190】
張力は、岩石ボルト2802に加えられ、岩石ボルト2802のナット2820は第1の板2812を押し、それが、次に、第1の皿ばね2804を押付ける。ドーム2818は第2の板2814を押付け、それが、次に、第2の皿ばね2806を押付ける。板2812及び2814は、皿ばねの円周の周りに張力を分配するのを助けることができる。
【0191】
図29は、検知デバイス2800の分解斜視図である。第1及び第2の皿ばね2804及び2806並びに第1及び第2の板2812及び2814が、
図29において取外されているため、検知デバイス2800の他の構成要素を見ることができる。図示するように、スペーサー2810は、分割され、第1のスペーサーピース2822a及び第2のスペーサーピース2822bを備える。エレクトロニクスハウジング2808は、同様に第1及び第2のピース2824a及び2824bを備え、両方のピースは、完全なハウジング2808を形成するためにともにパチンと嵌る又はその他の方法で互いに係合する。検知デバイス2800は、エレクトロニクスハウジング2808内に載置され、以下で論じる回路要素を備えるエレクトロニクスボード2825(例えば、PCB)も備える。この実施形態において、エレクトロニクスボード2825は、ドーナツ状エレクトロニクスハウジング2808内に嵌合するためにワッシャー状であるが、実施形態は、ボードを備える電子構成要素用のいずれの特定の構造にも限定されない。
【0192】
組立てられると、スペーサー2810は、主にハウジング2808内であるが、対向する第1及び第2の端2826及び2828がハウジング2808から突出した状態で留められる。第1のスペーサーピース2822aは、岩石ボルト(
図28の岩石ボルト2802等)を受取るための第1のスペーサーピースを貫通する穴2829を画定する。第1のスペーサーピース2822aは、第1のスペーサー端2826に第1の凹状環状肩部2830を画定する。第1の皿ばね2804は、第1の凹状環状肩部2830上で第1のスペーサー端2826を覆って嵌合する。第1のスペーサーピース2822aは、外側リング2831並びに第2及び第3の凹状環状肩部2832及び2833も画定する。
【0193】
第1のハウジングピース2824aは、第1のハウジングピースを貫通する穴2834を画定し、穴2834を通って、第1のスペーサー端2826が(組立てられると)突出する。穴2834のリムは、スペーサー2810の第2の凹状環状肩部2832上にわたって嵌合する。第1のハウジングピース2824aは、第1の皿ばね2804に向く第1の面2836aを有する。リング状リッジ2838aは、圧縮されると第1の皿ばね2804に接触するために第1の面2836aから上方に延在する。第2のハウジングピース2824bは、第1の面2836aに対向する第2の面2836bを有し、第2の面2836bは、第2の皿ばね2806に向き、同様のリング状リッジ2838b(
図30に示す)を有する。
【0194】
検知デバイス2800は、第1の導電性リング2840a、コイルばね2842a、及び円弧状ばね2844aを更に備える。円弧状ばね2844aは、湾曲した弾性金属ストリップの形態の「板ばね(flat spring)」のタイプである。導電性リング2840aは、第1のハウジングピース2824aの第1の面2836aの下でかつリッジ2838aに対向して位置決めされる。コイルばね2842aは、導電性リング2840aに沿って離間し、導電性リング2840aとエレクトロニクスボード2825との間に延在する。すなわち、コイルばね2842aは、導電性リング2840aに接触し、エレクトロニクスボード2825の回路要素に接続される。円弧状ばね2844aも、エレクトロニクスボード2825の回路要素に接続され、離間し、導電性リング2840aに位置合わせされる。
【0195】
ハウジング2808は、この実施形態において、可撓性でありかつ弾性がある。第1の皿ばね2804の圧縮は、第1の皿ばね2804にハウジング2808のリッジ2838aを押させ、第1の面2836aを内方に撓ませる。円弧状ばね2844aは、ハウジング2808が撓んでいないときに(すなわち、第1の皿ばね2804が圧縮されていないときに)エレクトロニクスボード2825から導電性リング2840aまで部分的に延在するように位置決めされる。しかし、ハウジング2808が第1の面2836aの内方へ撓むことにより、円弧状ばね2844aの1つ以上と接触状態になるように導電性リング2840aが押される。ハウジング2808の弾性の特質は、コイルばね2842aとともに、第1の皿ばね2804が圧縮解除されると、導電性リング2840aが、円弧状ばね2844aから再び分離することを保証することができる。そのため、導電性リング2840a及び円弧状ばね2844aは、コイルばね2842aとともに、第1の皿ばね2804の圧縮(それにより接点を係合させる)によって閉じられるスイッチとして機能する電気接点である。
【0196】
第1の皿ばね2804は、この実施形態において、所定の予荷重張力で、上述したスイッチを起動するために圧縮する。そのため、電気ボード2825、導電性リング2840a、コイルばね2842a、及び円弧状ばね2844aと接続状態にある第1の皿ばね2804は、予荷重センサーとして機能する。
【0197】
検知デバイスは、第2の導電性リング2840b、コイルばね2842b、及び円弧状ばね2844bも備え、第2の導電性リング2840b、コイルばね2842b、及び円弧状ばね2844bは、第1の導電性リング2840a、コイルばね2842a、及び円弧状ばね2844aをミラーするように、第2のハウジングピース2824bとエレクトロニクスボード2825との間に配置される。第2の皿ばね2806は、過荷重張力で圧縮するように選択される。そのため、第2の導電性リング2840b及び円弧状ばね2844bは、第2の皿ばね2806の圧縮(それにより接点を係合させる)によって閉じられるスイッチとして機能する電気接点である。
【0198】
他の実施形態において、皿ばね(又は、他の圧縮性要素)が圧縮されるときに係合する電気接点は、リング及び/又はばねでない場合がある。他の適した電気接点構造を使用することができ、その電気接点構造において、2つ以上の電気接点は、圧縮性要素が圧縮されないときに係合せず(開スイッチ)、圧縮性要素が圧縮されるときに実際に係合する(閉スイッチ)。
【0199】
この例示的な実施形態において、検知デバイス2800用の電力源(例えば、電池)2846は、エレクトロニクスボード2825に接続され、ハウジング2808内に保持される。
【0200】
図30は、岩石ボルト2802上に搭載された組立て済み検知デバイス2800の側面断面図である。この場合、オプションの板2848a及び2848bが、
図28の板2812及び2814の代わりに使用される。
図30の板2848a及び2848bは、
図28の板2812及び2814より小さくかつ薄い。
図30は、導電性リング2840a及び2840b、コイルばね2842a及び2842b、円弧状ばね2844a及び2844b、エレクトロニクスボード2825、及びスペーサーピース2822a及び2822bのハウジング2808内への位置決めを示す。
【0201】
リング2840a及び2840b並びにばね2842a、2842b、2844a、及び2844bが単に考えられる1つの実施形態であることが理解される。圧縮性要素(皿ばね等)の圧縮によってアクティベートされるスイッチを提供するために使用される電気接点及び接続の構造は変動する場合がある。実施形態は、いずれの特定のスイッチング構造にも限定されない。上記でも述べたように、近接センサー等の非機械式スイッチを使用することもできる。
【0202】
検知デバイス2800の電気及びセンサー機能が、ここで
図31~
図33を参照してより詳細に述べられる。
【0203】
図31は、マイクロコントローラー2860を含む検知デバイス2800の回路要素3100を示す。回路要素3100は、
図29及び
図30に示すエレクトロニクスボード2825上で部分的に又は全体的に実装することができる。マイクロコントローラー2860は、本明細書で述べる機能を果たすように構成される、1つ以上のプロセッサ及びメモリを備えることができる。例えば、メモリは、メモリ上にプロセッサ実行可能命令を記憶することができ、プロセッサ実行可能命令は、実行されると、述べる機能をプロセッサに実施させる。ハードウェア及びソフトウェアの任意の適した組合せを使用することができる。マイクロコントローラーは、この例において、アンテナ(ANT)を介して無線出力を生成する送信機回路要素も含む。
【0204】
マイクロコントローラーへの入力は、振動割込みスイッチ入力(INT SW);予荷重スイッチ入力(NCSW);及び過荷重スイッチ入力(NO SW)を含む。この場合、予荷重スイッチは常閉(NC)スイッチであり、過荷重スイッチは常開(NO)スイッチである。
【0205】
以下でより詳細に説明するように、予荷重スイッチ入力(NC SW)は、トリガーされると、予荷重張力の不具合(すなわち、
図30の第1の皿ばね2804が圧縮されていないこと)を示す。そのため、マイクロコントローラー2860は、アンテナ(ANT)によって送信するために予荷重喪失アラート信号を生成することになる。以下でより詳細に説明するように、過荷重スイッチ入力(NO SW)は、トリガーされると、岩石ボルトが過荷重を加えられていること(すなわち、
図30の第2の皿ばね2806が圧縮されていること)を示す。そのため、マイクロコントローラー2860は、アンテナ(ANT)によって送信するために過荷重アラート信号を生成することになる。振動割込みスイッチ入力(INT SW)は、この例において、オンボード加速度計2870(
図32に示す)が(例えば、或る閾値を超える)振動を示す出力を生成するときにトリガーされる。この入力を受信すると、マイクロコントローラー2860は、振動が検出されたことを示す出力信号を生成する。
【0206】
また、マイクロコントローラー2860は、本明細書で述べる視覚表示を提供するために1つ以上のLED又は他の光源(複数の場合もある)を駆動及び/又は制御する出力(「LED OUT」)を提供することができる。例えば、マイクロコントローラー2860は、予荷重が最初に確立されると、LEDをブリンクさせることができる。また、LEDは、(例えば、色を制御すること、ブリンクさせること等によって)アラートステータスを示すように制御することができる。マイクロコントローラーは、この実施形態において、ラジオ回路要素2861を内部に有する。ラジオ回路要素2861は、出力信号をアンテナANTに送出することができる。
【0207】
回路要素3100に電力供給するための電圧入力(VIN)及び電子的接地接続(GND)も示される。幾つかの実施形態において、電子的接地は、絶縁することができる。絶縁された接地は、据付け環境(例えば、岩石層)からのノイズが回路要素に影響を及ぼすことを防止するのを助けることができる。
【0208】
図31に示すI2C PWRラインは、加速度計2870(
図32)とマイクロコントローラー2860との間のI2C(集積回路間(Inter-Integrated Circuit))バス上で通信ラインに電力を搬送する。プルアップ抵抗器は、電力を節約するためにデバイススリープが所望されるときに切離すことができる。I2Cが強いプルアップを必要とし得るため、デバイスがスリープするときにプルアップ抵抗器を切離すことは、かなりの電力を節約することができる。
【0209】
図31に示すシリアルデータライン(SDA)及びシリアルクロックライン(SCL)のラインは、加速度計2870(
図32)とマイクロコントローラー2860との間のI2C通信バスである。これらのラインは、検知される振動に関する詳細を得るために加速度計2870との通信を提供することができる。ラインSDA及びSCLは、初期設定中に振動閾値を設定するために使用することもできる。
【0210】
マスタークリア(MCLR)、プログラムデータ(PGD1)、及びプログラムクロック(PGC1)入力ノード又はピンも
図31に示され、それらは、デバイスプログラムピンである。これらのピンは、本明細書で述べる機能を提供するためにプログラムコードをマイクロコントローラーデバイス2860に最初にロードするために使用することができる。例えば、プログラムコードは、デバイスの組立て中にマイクロコントローラー2860にロードすることができる。
【0211】
Y1は、この例において、通信用の変調周波数を生成するために内部ラジオ2861によって使用される水晶振動子である。例えば、周波数は933 MHzとすることができる。
【0212】
R1及びR2は、この実施形態のI2C通信ライン上のプルアップ抵抗器である。これらの抵抗器は、いずれかのデバイスがトークしないときに信号レベルを維持するために使用される。
【0213】
C1は、マイクロコントローラー2860に対する電力ライン上のフィルターキャパシターであり、水晶振動子Y1のような発振回路からノイズを低減することができる。
【0214】
L1及びL2は同調インダクターであり、C2、C3、及びC4は、同調キャパシター及びインダクターである。これらのインダクターL1、L2、並びにキャパシターC2、C3、及びC4は、アンテナANTが933 MHzで働くことを可能にすることができる。
【0215】
図32は、
図31のマイクロコントローラー2860に対して振動割込みスイッチ信号(INT SW)、予荷重スイッチ信号(NC SW)、及び過荷重スイッチ信号(NO SW)入力を生成するための回路要素3200を示す。
図32は、3軸加速度計2870、予荷重スイッチ2872、過荷重スイッチ2874、エミッター(E)、ベース(B)、及びコレクター(C)を有するPNPトランジスタ2876を示す。点線ボックス2880は、予荷重センサーであると全体的に考えることができる回路要素3200の部分を示す。点線ボックス2882は、過荷重センサーであると全体的に考えることができる回路要素3200の部分を示す。この例の機械式の予荷重スイッチ2872及び過荷重スイッチ2874を除いて、回路要素3200は、
図29及び
図30に示すエレクトロニクスボード2825上に部分的に又は全体的に実装することができる。
【0216】
上記で述べたように、加速度計2870は、振動(例えば、閾値を超える振動)が検知される場合、振動割込み入力(INTSW)をトリガーする。
【0217】
予荷重スイッチ2872は、
図30の第1の皿ばね2804、導電性リング2840a、コイルばね2842a、及び円弧状ばね2844aを備える。第1の皿ばね2804が圧縮されていないとき、予荷重スイッチ2872は開いている。第1の皿ばね2804が、対応する導電性リング2840aが円弧状ばね2844aの1つ以上に接触するように圧縮されているとき、予荷重スイッチ2872は閉じられている。予荷重スイッチ2872が閉じられている間、電力は、予荷重スイッチ2872を通ってPNPトランジスタ2876のベース(B)に流れることになり、エミッター電圧がトランジスタを通過するのを防止する。したがって、この状態において、予荷重センサー2880による電圧入力(VN1)からの電力の引き込みは全く存在しない。岩石ボルト2802が緩くなる場合、第1の皿ばね2804は、撓みを戻し、予荷重スイッチ2872を開くことになり、PNPトランジスタ2876のベースから電力を遮断する。この時点で、電力は、トランジスタ2876を通って流れ、
図31のマイクロコントローラー2860に対して予荷重入力(NC SW)をトリガーすることになる。そのため、予荷重センサー2880は、マイクロコントローラー2860に対して予荷重スイッチ入力(NC SW)の形態でセンサー出力を提供する。抵抗器R7及びR6は、予荷重スイッチ2872が状態を変更するまで信号を所望の状態に維持するためのバイアス抵抗器である。D1、D2、及びD3は、マイクロコントローラー2860に対して一方向INT SW信号を生成するためのダイオードであり、他の信号に干渉しない。
【0218】
過荷重スイッチ2874は、
図30の第2の皿ばね2806、導電性リング2840b、コイルばね2842b、及び円弧状ばね2844bを備える。第2の皿ばね2806が圧縮されていないとき、過荷重スイッチ2874は開いている。第2の皿ばね2806が、対応する導電性リング2840bが円弧状ばね2844bの1つ以上に接触するように圧縮されているとき、過荷重スイッチ2874は閉じられている。過荷重スイッチ2874が開いている間、電力は、電圧入力(VIN2)から流れないことになる。したがって、この状態において、予荷重センサーによって引起される電力の引き込みは全く存在しない。岩石ボルトが過荷重をかけられると、第2のばねワッシャー2806は平坦になり、過荷重スイッチ2874を閉じ、電力が流れることを可能にする。この時点で、電力は、スイッチ2874を通って流れ、マイクロコントローラー2860に対して過荷重スイッチ入力(NO SW)の形態でセンサー出力をトリガーすることになる。R4は、過荷重スイッチ2874が状態を変更するまでNO SW信号を所望の状態に維持するための別のバイアス抵抗器である。
【0219】
そのため、予荷重センサー2880及び過荷重センサー2882回路要素は、アラート条件(この例において予荷重の喪失、過荷重、又は加速度計割込み)においてのみ電力を引き込むものとすることができる。こうして、電力は、検知デバイスについての長い寿命を可能にするように節約することができる。マイクロコントローラー2860(
図31)は、上記入力(NCSW、NO SW、又はINT SW)の1つがトリガーされるまでスリープ状態のままであることになる。トリガーされると、マイクロコントローラー2860は、ウェークアップし、その条件を、アンテナ(ANT)を介して送信することになる及び/又は
図33に示すLED上で指定されたパターンを点滅することができる。プロセッサは、その後、スリープに戻ることになる。指定されたパラメーターに基づいて、マイクロコントローラー2860は、問題が補正されるまで、ウェークアップし、送波を送出し及び/又はLEDを点滅させ続けることができる。パラメーターを、プリプログラムすることができる及び/又はカスタマイズ可能とすることができる。
【0220】
上記で述べたように、SDA及びSCLは、加速度計2870とマイクロコントローラー2860(
図31)との間のI2C通信バスである。C5は、加速度計2870に対する電力ライン(VIN3)上のフィルターキャパシターである。キャパシターC5は、
図31の水晶振動子Y1のような発振回路からノイズを低減することができる。
【0221】
加速度計に対する入力電圧VIN3も
図32に示される。
【0222】
図33は、検知デバイス2800用の例示的なLED回路要素3300を示す。
図31のマイクロコントローラー2860からの出力信号LED OUTは、デバイスの現在の状態に基づいて所望のパターンで第1及び第2のLED(LED1及びLED2)をターンオン及びターンオフする。
図28~
図30に示されないが、1つ以上のLED又は他の光源を検知デバイス2800上の種々の位置に搭載することができることが理解される。R7及びR8は、この例において、プロセッサからLEDを通る多過ぎる電流の引き込み(おそらくはLEDを損傷する可能性がある)を防止することができる電流制限抵抗器である。
【0223】
図31~
図33に示す電気回路要素3100、3200、及び3300は、単に例として提供される。実施形態は、示す特定の配置構成に限定されない。回路要素3100、3200、及び3300の1つ以上の要素は、他の実施形態において、交換又は省略することができる。本明細書で述べる検知デバイス機能を実装するための異なる回路要素を使用することもできる。
【0224】
上記アプローチの2つ以上の組合せを、幾つかの実施形態において実施することができることが理解される。実施形態は、本明細書で開示するアプローチ、方法、又は装置のいずれの特定の1つ以上にも限定されない。本明細書で述べる実施形態の変形、変更が、実施形態の範囲から逸脱することなく種々の実施態様で行うことができることを当業者は認識するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本明細書で具体的に述べる以外の方法で開示を実施することができることが理解される。
【0225】
述べられてきたものは、本開示の原理の適用を単に説明する。他の配置構成及び方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。
【符号の説明】
【0226】
040:岩石ボルトシステム
042:岩石ボルト
044:トンネル
046:検知デバイス
048:リーキーフィーダーケーブル
050:電力源又はノード
052:ポイント
054:無線電力
056:無線送波
058:受信機デバイス
060:アクセスポイント
062:中央コンピューター
102:岩石ボルト
104:ナット
106:ボルトのヘッド端
108:挿入端
110:穴
1100:検知デバイス
112:岩石層
112:地層
113:支承板又はスプレッダーワッシャー
114:アンカー
116:内側表面
118:スペーサー
120:予荷重センサー
122:過荷重センサー
124:エレクトロニクスハウジング
126:通路
128:第1のスペーサー端
130:第2のスペーサー端
136:エレクトロニクスモジュール
138:第1のディスク
138:第1の皿ばね
140:第2のディスク
140:第2の皿ばね
144:中央穴
146:外側縁
148:外側縁
150:第3の皿ばね
152:第4の皿ばね
154:第1の面
156:第2の面
158:第1の電気接点
160:第2の電気接点
164:外側端
166:プロセッサ
167:メモリ
168:送信機
170:電力源
171:受信機
172:アンテナ
173:LED
173:発光ダイオード
174:保護カバー
174:保護キャップ
174:埃カバー
176:発泡リング
178:ガスケット又はOリング
179:岩屑
180:ひずみゲージ
181:ネット又はメッシュ
183:コンクリート層
202:岩石ボルト
203:スリット
204:中空中央部
206:膨張式岩石ボルト
207:中空チャンバー
300:検知デバイス
302:岩石ボルト
302:膨張式岩石ボルト
304:据付けリグ
304:膨張式ボルト据付けリグ
306:プラグタイプヘッド
308:ヘッド端
310:スプレッダーワッシャー又は支承板
312:第1の皿ばね
314:第1の電気接点
316:第2の皿ばね
317:第2の電気接点
318:スペーサー
320:エレクトロニクスハウジング
322:デバイスカバー
324:通路
326:前端
328:中空部
330:油圧流体入口
332:プッシャーセクション
334:プッシャーヘッド
336:膨張ニップル
338:内部流体通路
340:凹所
342:Oリング
344:荷重ワッシャー
400:検知デバイス
402:岩石ボルト
403:ロール仕上げ式ヘッド
404:ヘッド端
406:ロール式外側表面
407:穴
408:開口
409:岩石層
410:中空部又はチャネル
412:据付けリグ
414:油圧チャネルニップル
416:外周
418:入口
420:流体通路
422:流体出口
424:プッシャーセクション
430:平坦表面
444:平荷重ワッシャー
446:Oリング
448:支承板
500:検知デバイス
502:摩擦岩石ボルト
504:平坦ヘッド部分
506:支承板506
508:スリット
602:膨張式岩石ボルト
604:ヘッド端
606:開口
608:中空チャンバー
610:窪み付きリング
612:プラグ
614:凹状溝
615:第1の端
616:第2の端
618:油圧流体チャネル
620:ねじ
652:膨張式岩石ボルト
654:プラグ
656:ヘッド端
658:平坦端表面
660:外周
662:流体入口
664:油圧流体チャネル
666:内側端表面
668:内側チャンバー
700:検知デバイス
702:岩石ボルト
704:予荷重センサー
706:過荷重センサー
708:スペーサー
710:エレクトロニクスハウジング
712:第1の皿ばね
712:第1の単一皿
714:第1の電気接点
716:第2の皿ばね
716:第2の単一皿
718:第2の電気接点
720:平ワッシャー
722:ナット
724:支承板
726:岩石層
728:穴
800:検知デバイス
804:予荷重センサー
806:過荷重センサー
809:第2の管状スペーサー
818:皿ばね
819: 皿ばね
900:検知デバイス
902:アンカー岩石ボルト
904:予荷重センサー
908:管状スペーサー
910:エレクトロニクスハウジング
911:平ワッシャー
912:皿ばね
913:ナット
914:電気接点
916:ハウジング本体
918:クリップ
922:プロセッサ
924:送信機
926:電池
928:発光ダイオード(LED)
930:外周
932:穴
934:岩石層
941:支承板
944:保護カバー
946:IDタグ
948:アンテナ
1000:検知デバイス
1002:岩石ボルト
1004:予荷重センサー
1008:スペーサー
1010:エレクトロニクスハウジング
1012:皿ばね
1014:電気接点
1022:クリップ
1030:金属リベット
1040:LED1040
1041:ストッパー
1100:検知デバイス
1102:岩石ボルト
1104:予荷重センサー
1108:管状スペーサー
1110:エレクトロニクスハウジング
1112:皿ばね
1114:電気接点
1118:フランジ
1119:底部端
1120:Oリング
1122:発泡ゴムOリング
1124:支承板
1126:岩石層
1140:LED
2013:ウェッジ
2500:検知デバイス
2502:岩石ボルト
2520:予荷重センサー
2522:近接センサー
2524:シム(例えば、ワッシャー)
2532:アダプターワッシャー
2534: アダプターワッシャー
2536: アダプターワッシャー
2538:アダプターワッシャー
2540:アダプタースリーブ
2600:検知デバイス
2602:岩石ボルト
2604:ウェッジ
2610:穴
2612:支承板
2613:垂直な表面
2614:スプレッダー板
2615:ドーム状部分
2615:中央ドーム状部分
2617:垂直な表面
2622:岩石層
2800:検知デバイス
2802:岩石ボルト
2804:第1の円錐皿ばね
2806:第2の円錐皿ばね
2808:エレクトロニクスハウジング
2810:スペーサー
2812:第1のワッシャー様板
2812:第1の板
2814:第2のワッシャー様板
2816:支承板又はスプレッダーワッシャー
2818:ドーム
2820:ナット
2822a:第1のスペーサーピース
2822b:第2のスペーサーピース
2824a:第1のピース
2824b:第2のピース
2825:エレクトロニクスボード
2826:第1のスペーサー端
2826:第1の端
2828:第2の端
2829:穴
2830:第1の凹状環状肩部
2831:外側リング
2832:第2の凹状環状肩部
2833:第3の凹状環状肩部
2834:穴
2836a:第1の面
2836b:第2の面
2838a:リング状リッジ
2838b:リング状リッジ
2840a:第1の導電性リング
2840b:第2の導電性リング
2842a:コイルばね
2842b:コイルばね
2844a:円弧状ばね
2844b:円弧状ばね
2846:電力源(例えば、電池)
2848a:板
2860:マイクロコントローラー
2861:ラジオ回路要素
2870:3軸加速度計
2870:オンボード加速度計
2872:予荷重スイッチ
2874:過荷重スイッチ
2876:PNPトランジスタ
2880:点線ボックス
2880:予荷重センサー
2882:過荷重センサー
2882:点線ボックス
3100:回路要素
3200:回路要素
3200:電気回路要素
3300:LED回路要素