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特許7049342送信機、受信機、送信方法、受信方法及び通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】送信機、受信機、送信方法、受信方法及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20220330BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H04L27/26 114
H04L27/26 420
H04B7/06 984
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019535020
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2018024539
(87)【国際公開番号】W WO2019031096
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2017155504
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞木 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】PANASONIC,PT-RS design[online],3GPP TSG RAN WG1 #91 R1-1720370,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1720370.zip>,2017年11月17日,Section 2
【文献】PANASONIC,PT-RS design[online],3GPP TSG RAN WG1 #90b R1-1717779,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90b/Docs/R1-1717779.zip>,2017年10月03日
【文献】PANASONIC,PT-RS design[online],3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1709 R1-1715756,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1709/Docs/R1-1715756.zip>,2017年09月12日,Section 2
【文献】PANASONIC,PT-RS design[online],3GPP TSG RAN WG1 #89,R1-1713021,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90/Docs/R1-1713021.zip>,2017年08月11日,Section 2.1
【文献】NTT DOCOMO, INC.,Views on PT-RS[online],3GPP TSG RAN WG1 #89,R1-1708461,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_89/Docs/R1-1708461.zip>,2017年05月05日,Section 2.1
【文献】NOKIA et al.,Discussion on PT-RS design for CP-OFDM[online],3GPP TSG RAN WG1 #89,R1-1708927,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_89/Docs/R1-1708927.zip>,2017年05月06日,Section 4
【文献】HUAWEI et al.,PTRS for CP-OFDM[online],3GPP TSG RAN WG1 #89,R1-1706937,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_89/Docs/R1-1706937.zip>,2017年05月08日,Section 3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04B 7/02-7/12
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定されている、割当回路と、
データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信する送信回路と、
を具備する送信機。
【請求項2】
前記複数のアンテナポートのうち、前記測定値が同一であるアンテナポートは同一の前記グループに属し、前記測定値が異なるアンテナポートは互いに異なる前記グループにそれぞれ属する、
請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記送信回路は、さらに、前記グループと、前記グループに属するアンテナポートとの対応付けを示す情報を受信機に送信する、
請求項1に記載の送信機。
【請求項4】
データ信号、及び、送信機の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号を受信し、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定されている、受信回路と、
前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調する復調回路と、
を具備し、
前記復調回路は、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値を用いる、
受信機。
【請求項5】
複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定され、
データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信する、
送信方法。
【請求項6】
データ信号、及び、送信機の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号を受信し、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定され、
前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調し、
前記データ信号の復調において、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値が用いられる、
受信方法。
【請求項7】
送信機の複数のアンテナポート毎に位相雑音の測定値が測定され、
前記位相雑音の測定値に基づいて、前記複数のアンテナポートが少なくとも1つのグループにグループ化され、
前記少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、
データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信し、
前記データ信号、及び、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポートから送信された前記位相トラッキング用参照信号を受信し、
前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調し、
前記データ信号の復調において、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値が用いられる、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信機、受信機、送信方法、受信方法及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)と呼ばれる通信システムが検討されている。5Gでは、通信トラフィックの増大、接続する端末数の増大、高信頼性、低遅延のそれぞれが必要とされるユースケース毎に機能を柔軟に提供することが検討されている。代表的なユースケースとして、拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced Mobile Broadband)、大規模コミュニケーション/多数接続(mMTC:massive Machin Type Communications)、超信頼性・低遅延コミュニケーション(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communicant)の3つがある。国際標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、LTEシステムの高度化と、New RAT(Radio Access Technology)(例えば、非特許文献1を参照)の両面から、通信システムの高度化を検討している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】RP-161596, "Revision of SI: Study on New Radio Access Technology", NTT DOCOMO, September 2016
【文献】R1-1612335, "On phase noise effects", Ericsson, November 2016
【文献】R1-1709939, "PT-RS for CP-OFDM", Huawei, HiSilicon, June 2017
【発明の概要】
【0004】
New RATでは、例えば、6GHz以上の周波数の信号が搬送波として利用される。特に、高い周波数帯かつ高次の変調多値数(Modulation order)を使用する場合、局部発振器(Local Oscillator)の位相雑音(Phase Noise)によって発生するCPE(Common Phase Error、共通位相誤差)又はICI(Inter-carrier Interference、キャリア間干渉)によって誤り率特性が劣化する(例えば、非特許文献2を参照)。そこで、New RATでは、受信機が、チャネル等化(Channel Equalization)に加えて、位相トラッキング用参照信号(PT-RS:Phase Tracking Reference Signal)を用いたCPE補正(CPE Correction)又はICI補正(ICI Correction)(以下、「CPE/ICI補正」と呼ぶこともある)を行うことが検討されている。
【0005】
しかしながら、PT-RSを送信するアンテナポート(「PT-RSポート」と呼ぶこともある)数を決定する方法については更なる検討が必要である。
【0006】
本開示の一態様は、PT-RSを適切なアンテナポートから送信することができる送信機、受信機、送信方法、受信方法及び通信方法の提供に資する。
【0007】
本開示の一態様に係る送信機は、複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定されている、割当回路と、データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0008】
本開示の一態様に係る受信機は、データ信号、及び、送信機の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号を受信し、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定されている、受信回路と、前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調する復調回路と、を具備し、前記復調回路は、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値を用いる。
【0009】
本開示の一態様に係る送信方法は、複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定され、データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信する。
【0010】
本開示の一態様に係る受信方法は、データ信号、及び、送信機の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号を受信し、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定され、前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調し、前記データ信号の復調において、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値が用いられる。
【0011】
本開示の一態様に係る通信方法は、送信機の複数のアンテナポート毎に位相雑音の測定値が測定され、前記位相雑音の測定値に基づいて、前記複数のアンテナポートが少なくとも1つのグループにグループ化され、前記少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信し、前記データ信号、及び、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポートから送信された前記位相トラッキング用参照信号を受信し、前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調し、前記データ信号の復調において、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値が用いられる。
【0012】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0013】
本開示の一態様によれば、PT-RSを適切なアンテナポートから送信することができる。
【0014】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、MIMOにおけるDMRS及びPT-RSのマッピング例を示す。
図2図2は、実施の形態1に係る基地局の一部の構成を示す。
図3図3は、実施の形態1に係る移動局の一部の構成を示す。
図4図4は、実施の形態1に係る基地局の構成を示す。
図5図5は、実施の形態1に係る移動局の構成を示す。
図6図6は、実施の形態1に係る基地局及び移動局の処理を示す。
図7図7は、実施の形態1に係る通知パラメータの一例を示す。
図8図8は、実施の形態2に係る移動局の構成を示す。
図9図9は、実施の形態2に係る基地局の構成を示す。
図10図10は、実施の形態2に係る基地局及び移動局の処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
信号が割り当てられる周波数帯が高いほど、又は、信号に使用される変調多値数が高いほど、誤り率特性に対するCPE/ICIの影響は大きい。そこで、上述したように、高い周波数帯・高次の変調多値数を使用する場合には、受信機では、チャネル等化に加えて、PT-RSを用いたCPE/ICI補正を行うことが検討されている。
【0018】
PT-RSは、時間的にランダムに変動するCPE/ICIをトラッキングするために、チャネル推定用(復調用)の参照信号(DMRS:Demodulation Reference Signal)と比較して時間軸上に高密度にマッピングされる。具体的には、PT-RSは、シンボル毎、隣接する2シンボルのうち1シンボル、又は、隣接する4シンボルのうち1シンボル等の密度でマッピングされることが想定されている。また、CPE/ICIのサブキャリア間での変動は少ないという特性から、PT-RSは、周波数領域では比較的低密度にマッピングされる。具体的には、PT-RSは、RB(Resource Block)毎に1つ(例えば、1サブキャリア)、隣接する2RB毎に1つ、又は、隣接する4RB毎に1つ等の密度でマッピングされることが想定される。
【0019】
3GPP RAN1#88でのPT-RSに関する合意事項によると、PT-RSは、基地局(BS、eNB、gNB)と、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング)によって基地局から通知された移動局(端末、UE)との間で使用される。また、PT-RSの時間領域及び周波数領域での配置密度は、当該基地局と移動局との間で使用される変調多値数又は帯域幅等によって柔軟に変化することが想定されている。
【0020】
また、移動局がPT-RSの配置密度を判断する方法について検討されている。一つの方法としては、PT-RSの配置密度が、基地局からPT-RS専用の制御信号(例えば、DCI(Downlink Control Information)又はRRC信号等)によって通知されるという方法である(明示的通知/explicit indication)。他の方法としては、PT-RSの配置密度と他のパラメータ(例えば、変調多値数又は帯域幅等)との対応関係を決めておき、移動局が、通信時にDCIで通知される当該他のパラメータとその対応関係とを照合してPT-RSの配置密度を判断するという方法である(暗黙的通知/implicit indication)。なお、これらの方法以外の方法が使用される可能性もある。
【0021】
一方、チャネル推定に用いられるDMRSは、チャネル特性の周波数領域の変化が大きく、また、時間領域の変化が位相雑音ほど大きくないことから、PT-RSと比較して周波数領域には高密度に、時間領域には低密度にマッピングされる。さらに、New RATでは、データ復調のタイミングを早めるため、スロットの前方に配置されるfront-loaded DMRSの導入が想定されている。
【0022】
また、PT-RSには、DMRSを送信するアンテナポート(DMRSポートと呼ぶこともある)と同じプリコーディングが適用されることが検討されており、PT-RSはDMRSの一部として定義されることも考えられる。この場合、PT-RSとして使用されるDMRSは、他のDMRSよりも時間領域では高密度にマッピングされ、周波数領域では低密度にマッピングされる。また、位相雑音により発生するCPE/ICIの補正に使用する参照信号は、「PT-RS」とは異なる名称で呼ばれる可能性もある。
【0023】
また、New RATでは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)が使用されることが想定されている。すなわち、基地局、および、当該基地局が構成するセル内の1つ又は複数の移動局は、同じ時間・周波数リソースを用いる異なるビーム(プリコーディング)に対応する複数のアンテナポートを用いて送受信することができる。
【0024】
また、New RATでは、下りリンク(基地局から移動局への方向、downlink)においてCP-OFDM(Cyclic Prefix - Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の使用が想定されている。一方、上りリンク(移動局から基地局への方向、uplink)においてCP-OFDM方式及びDFT-S-OFDM(Discrete Fourier Transform - Spread OFDM)方式の両方が検討されており、通信環境に合わせて通信方式を切り替えるなどして使用されることが想定されている。
【0025】
PT-RSは、基地局と、当該基地局が構成するセル内の移動局との間で送受信される。ここで、送信機(下りリンクでは基地局、上りリンクでは移動局)の局部発振器を共有するアンテナポートの集合(グループ)では、CPE/ICIの値が同じであることがあり得る。このため、CPE/ICIがほぼ等しければ、このグループのうち何れかのアンテナポートからPT-RSが送信機から送信され、受信機(下りリンクでは移動局、上りリンクでは基地局)で当該アンテナポートのCPE/ICIが推定されることにより、受信機は、グループ内の残りのアンテナポートのCPE/ICIも推定できる。よって、データを送受信するアンテナポート数よりも、PT-RSを送受信するアンテナポート数が少なくなることもあり得る。
【0026】
図1は、CP-OFDM方式のMIMOにおけるDMRS及びPT-RSのマッピング例を示す。DMRS及びPT-RSがマッピングされたRE(Resource Element)内の数字はアンテナポート番号を表す。すなわち、図1において同じ番号のDMRS及びPT-RSはプリコーディングを共有している。
【0027】
図1では、一例として、3つのアンテナポート(1-3)を用いたMIMO伝送が行われ、各アンテナポートのCPE/ICIがほぼ同じであると仮定する。図1では、DMRSは各アンテナポートにマッピングされる一方、PT-RSは、アンテナポート1-3のうち、アンテナポート1にマッピングされている。
【0028】
ここで、PT-RSを送信するアンテナポート(PT-RSポート)の数を、移動局又は基地局に実装されている局部発振器の個数に依存して決定する方法が検討されている(例えば、非特許文献3を参照)。
【0029】
しかしながら、各局部発振器における実際のCPE/ICIの違いが、受信機側でのCPE/ICI補正にどのくらいの影響を与えるかは、実装される局部発振器の実際の性能次第である。すなわち、異なる局部発振器で信号が変調されるアンテナポート群であったとしても、受信機から見ると、これらのアンテナポート群のCPE/ICIがほぼ同じと見なせる場合もあり得る。この場合、これらのアンテナポート群に対して複数のPT-RSをそれぞれマッピングすることはリソースの無駄な消費となってしまう。
【0030】
よって、PT-RSを受信する受信機(移動局又は基地局)から見て、CPE/ICI(つまり、位相雑音)の影響が等しいと見なせる送信機のアンテナポートの集合(アンテナポート数)を、送信機及び受信機の実装を考慮して決定することが必要である。つまり、PT-RS送信の設定のために、上記「アンテナポートの集合」をどのように定義及び識別し、PT-RSを送信するアンテナポート数をどのように決定するかについて更なる検討が必要である。
【0031】
ちなみに、DMRSは、PT-RSと異なり、伝送に利用される全てのアンテナポートにそれぞれマッピングされることが大いにあり得る。この理由は、チャネル推定値がアンテナポートによって異なることが想定されるためである。
【0032】
そこで、本開示の各実施の形態では、PT-RSの送信アンテナポート数を適切に決定し、PT-RSのオーバヘッドを低減することができる、アンテナポートへのPT-RSのマッピング方法について説明する。
【0033】
[quasi-same phase noiseグループ]
本開示の一態様では、受信機から見て、あるアンテナポートが有するCPE/ICIが他のアンテナポートが有するCPE/ICIとほぼ同じであることが見なせる場合、ほぼ同一のCPE/ICIを有するこれらのアンテナポートの集合(グループ)を「quasi-same phase noiseグループ」と呼ぶ。すなわち、「quasi-same phase noiseグループ」に含まれるアンテナポートは、CPE/ICIが同一であるアンテナポート群として設定される。
【0034】
例えば、送信機内の局部発振器に起因する位相雑音(CPE/ICI)の影響については、事前にテスト機器等によって測定されていてもよい(図示せず)。受信機から見た位相雑音(CPE/ICI)の測定値は、例えば、送信機の局部発振器に加え、ミキサ、クロック発生回路等の回路構成、又は、受信機におけるCPE/ICI補正の手法などに依存することが考えられる。送信機が備える複数のアンテナポートは、測定された位相雑音(CPE/ICI)の測定値に基づいて、少なくとも1つのquasi-same phase noiseグループにグループ化される。ここで、送信機の複数のアンテナポートのうち、CPE/ICIの測定値が同一であるアンテナポートは同一のquasi-same phase noiseグループに属し、CPE/ICIの測定値が異なるアンテナポートは互いに異なるquasi-same phase noiseグループにそれぞれ属することになる。
【0035】
このように、本開示の一態様では、「quasi-same phase noiseグループ」なる概念を導入する。
【0036】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本実施の形態では、下りリンクのPT-RSのマッピング方法について説明する。
【0037】
本実施の形態に係る通信システムは、基地局100(送信機)及び移動局200(受信機)を備える。例えば、基地局100は、高い周波数帯かつ高度の変調多値数を用いる。
【0038】
図2は、本実施の形態に係る基地局の基地局100の一部の構成を示すブロック図である。図2に示す基地局100において、信号割当部107は、複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループ(quasi-same phase noiseグループ)にそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号(PT-RS)をマッピングする。quasi-same phase noiseグループは、複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値(CPE/ICI測定値)に基づいて決定されている。送信部108は、データ信号及び位相トラッキング用参照信号を送信する。
【0039】
図3は、本実施の形態に係る移動局200の一部の構成を示すブロック図である。図3に示す移動局200において、受信部202は、データ信号、及び、送信機(基地局100)の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループ(quasi-same phase noiseグループ)にそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号(PT-RS)を受信する。quasi-same phase noiseグループは、複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値(CPE/ICI測定値)に基づいて決定されている。復調部207は、位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、データ信号を復調する。なお、復調部207は、quasi-same phase noiseグループに含まれる一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、上記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値を用いる。
【0040】
[基地局の構成]
図4は、本実施の形態に係る基地局100(送信機)の構成を示すブロック図である。図4において、基地局100は、制御部101と、PT-RS生成部102と、RRC生成部103と、DCI生成部104と、誤り訂正符号化部105と、変調部106と、信号割当部107と、送信部108と、アンテナ109と、を有する。
【0041】
制御部101は、送受信に使用するアンテナポートのうち、どのアンテナポート群がquasi-same phase noiseグループであるかを示す情報(quasi-same phase noiseグループに関する情報)をRRC生成部103及び/又はDCI生成部104に出力する。
【0042】
また、制御部101は、quasi-same phase noiseグループに関する情報に基づいて、PT-RSをマッピングするアンテナポートに対するスケジューリングを決定する。制御部101は、PT-RSのアンテナポートへのマッピングに関する情報(PT-RSに関する情報)を含むスケジューリング情報をPT-RS生成部102及び信号割当部107に出力する。なお、PT-RSに関する情報をDCIによって移動局200へ通知する場合、制御部101は、PT-RSに関する情報を含むスケジューリング情報をDCI生成部104に出力してもよい。
【0043】
PT-RS生成部102は、制御部101から入力されるスケジューリング情報に基づいて、PT-RSを生成し、生成したPT-RSを信号割当部107に出力する。
【0044】
RRC生成部103は、quasi-same phase noiseグループに関する情報を制御部101から受け取ったときに、quasi-same phase noiseグループに関する情報を含むRRC信号を生成し、生成したRRC信号を誤り訂正符号化部105に出力する。
【0045】
DCI生成部104は、quasi-same phase noiseグループに関する情報を制御部101から受け取ったときに、quasi-same phase noiseグループに関する情報を含むDCIを生成し、生成したDCIを信号割当部107に出力する。また、DCI生成部104は、PT-RSに関する情報をDCIによって移動局200へ通知する場合、制御部101から受け取るPT-RSに関する情報を含むDCIを生成してもよい。
【0046】
誤り訂正符号化部105は、入力される送信データ信号又はRRC生成部103から入力されるRRC信号を誤り訂正符号化し、誤り訂正符号化後の信号を変調部106に出力する。
【0047】
変調部106は、誤り訂正符号化部105から入力される信号に対して変調処理を施し、変調後のデータ信号(RRC信号を含む場合もある)を信号割当部107に出力する。
【0048】
信号割当部107は、DMRS、変調部106から入力されるデータ信号、PT-RS生成部102から入力されるPT-RS、又は、DCI生成部104から入力されるDCIを、時間・周波数領域にマッピングし、マッピング後の信号を送信部108に出力する。この際、信号割当部107は、制御部101から入力されるスケジューリング情報に基づいて、quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのうち、1つのアンテナポートにPT-RSをマッピングする。
【0049】
送信部108は、信号割当部107から入力される信号に対して、搬送波を用いた周波数変換などの無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ109に出力する。
【0050】
アンテナ109は、送信部108から入力される信号を移動局200に向けて放射する。
【0051】
[移動局の構成]
図5は、本実施の形態に係る移動局200(受信機)の構成を示すブロック図である。図5において、移動局200は、アンテナ201と、受信部202と、信号分離部203と、制御部204と、チャネル推定部205と、CPE/ICI推定部206と、復調部207と、誤り訂正復号部208と、を有する。
【0052】
アンテナ201は、基地局100(図4を参照)から送信される信号を受信し、受信信号を受信部202に出力する。
【0053】
受信部202は、アンテナ201から入力される受信信号に対して、周波数変換などの無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を信号分離部203に出力する。
【0054】
信号分離部203は、まず、受信部202から入力される信号の中からDCIを分離し、DCIを制御部204に出力する。そして、信号分離部203は、制御部204から入力されるスケジューリング情報(PT-RSに関する情報(どのアンテナポートにPT-RSがマッピングされているかを示す情報)を含む)に基づいて、受信部202から入力される信号の中からデータ、DMRS、及び、PT-RSを分離する。信号分離部203は、分離した信号のうち、データを復調部207に出力し、DMRSをチャネル推定部205及びCPE/ICI推定部206に出力し、PT-RSをCPE/ICI推定部206に出力する。
【0055】
制御部204は、信号分離部203から入力されるDCIに含まれる情報、及び/又は、誤り訂正符号部208から入力されるRRC信号に含まれる情報から、スケジューリング情報、及び、quasi-same phase noiseグループに関する情報を取得する。また、制御部204は、例えば、スケジューリング情報及びquasi-same phase noiseグループに関する情報に基づいて、基地局100のどのアンテナポートにPT-RSがマッピングされているか(どのアンテナポートからPT-RSが送信されているか)を特定する。制御部204は、特定した結果(PT-RSに関する情報)を含むスケジューリング情報を信号分離部203に出力する。
【0056】
チャネル推定部205は、信号分離部203から入力されるDMRSを用いてチャネル情報を推定し、チャネル推定情報(チャネル情報)を復調部207に出力する。
【0057】
CPE/ICI推定部206は、信号分離部203から入力されるPT-RS及びDMRSを用いてCPE/ICIを推定し、CPE/ICI推定値を復調部207に出力する。すなわち、CPE/ICI推定部206は、quasi-same phase noiseグループに含まれるアンテナポートのうち、PT-RSがマッピングされたアンテナポートに対するCPE/ICIを推定する。
【0058】
復調部207は、チャネル推定部205から入力されるチャネル推定情報及びCPE/ICI推定部206から入力されるCPE/ICI推定値を用いて、信号分離部203から入力されるデータ信号を復調する。復調部207は、復調信号を誤り訂正復号部208に出力する。なお、復調部207は、データ信号の復調の際、quasi-same phase noiseグループ内において、CPE/ICI推定部206で一部のアンテナポートに対して推定されたCPE/ICI推定値を、他のアンテナポートに対するCPE/ICI推定値として用いる。
【0059】
誤り訂正復号部208は、復調部207から入力される復調信号を復号し、得られた受信データ信号を出力する。また、誤り訂正復号部208は、データ信号の中にRRC信号が含まれる場合、RRC信号を制御部204に出力する。
【0060】
[基地局100及び移動局200の動作]
次に、基地局100及び移動局200の動作について詳細に説明する。
【0061】
図6は基地局100及び移動局200の処理のフローを示すシーケンス図である。
【0062】
ここで、基地局100(送信機)内の局部発振器に起因する位相雑音(CPE/ICI)の影響について、テスト機器等(図示せず)によって、移動局200(受信機)から見たCPE/ICIが事前に測定されていてもよい。そして、この測定結果(CPE/ICI測定値)に基づいてquasi-same phase noiseグループが決定される。すなわち、基地局100のアンテナ109のどのアンテナポート間において、移動局200(受信機)から見たCPE/ICIがほぼ同じであるか、すなわち、どのアンテナポートが同一のquasi-same phase noiseグループに属するかが決定される。基地局100は、quasi-same phase noiseグループと、当該quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートとの対応付けを示す情報であるquasi-same phase noiseグループに関する情報を保持している。
【0063】
基地局100は、quasi-same phase noiseグループに関する情報をDCI及び/又はRRC信号等を用いて移動局200に通知する(ST101)。例えば、基地局100は、どのアンテナポートがQCL(Quasi Co-Location)であるかを示すパラメータと同じ制御信号のフィールドにおいて、quasi-same phase noiseグループに関する情報を送信してもよい。
【0064】
図7は、4つのアンテナポート(Port 1-4)を用いるMIMOが適用される場合のquasi-same phase noiseグループに関する情報(2ビットのパラメータ)の一例を示す。
【0065】
例えば、パラメータ‘00’は、Port 1-4の全てのCPE/ICIがほぼ同じであり、Port 1-4が同一のquasi-same phase noiseグループに属することを示す。
【0066】
また、パラメータ‘01’は、Port 1-3のCPE/ICIがほぼ同じであり、Port 1-3が同一のquasi-same phase noiseグループに属し、Port 4のCPE/ICIが他のアンテナポートのCPE/ICIと異なることを示す。
【0067】
また、パラメータ‘10’は、Port 1-2のCPE/ICIがほぼ同じであり、Port 1-2が同一のquasi-same phase noiseグループに属し、Port 3-4のCPE/ICIがほぼ同じであり、Port 3-4が同一のquasi-same phase noiseグループに属することを示す。すなわち、パラメータ‘10’は、Port 1-2とPort 3-4との間でCPE/ICIが異なることを示す。
【0068】
また、パラメータ‘11’は、Port 1-2のCPE/ICIがほぼ同じであり、Port 1-2が同一のquasi-same phase noiseグループに属し、Port 1-2のCPE/ICIと、Port 3のCPE/ICIと、Port 4のCPE/ICIとがそれぞれ異なることを示す。
【0069】
なお、図7に示すパラメータは一例であり、図7に示すパラメータに限定されず、これ以外のパラメータを用いてもよい。
【0070】
次に、基地局100は、quasi-same phase noiseグループに関する情報に基づいて、各quasi-same phase noiseグループに含まれるアンテナポートの中から、PT-RSをマッピングする一部のアンテナポート(例えば、1つのアンテナポート)を決定する(ST102)。
【0071】
なお、基地局100は、quasi-same phase noiseグループが複数ある場合、それぞれのグループ毎に1つのアンテナポートを、PT-RSをマッピングするアンテナポートとして決定する。例えば、図7に示すパラメータ‘00’の場合、基地局100は、PT-RSをマッピングするアンテナポートとして、Port 1-4の中から1つのアンテナポートを選択する。また、図7に示すパラメータ‘01’の場合、基地局100は、PT-RSをマッピングするアンテナポートとして、Port 1-3の中から1つのアンテナポートと、Port 4を選択する。また、図7に示すパラメータ‘10’の場合、基地局100は、PT-RSをマッピングするアンテナポートとして、Port 1-2の中から1つのアンテナポートと、Port 3-4の中から1つのアンテナポートを選択する。また、図7に示すパラメータ‘11’の場合、基地局100は、PT-RSをマッピングするアンテナポートとして、Port 1-2の中から1つのアンテナポートと、Port 3と、Port 4を選択する。
【0072】
そして、基地局100は、ST102で決定したアンテナポートにPT-RSをマッピングし、PT-RS、データ、及び、PT-RSをマッピングしたアンテナポートの情報(PT-RSに関する情報)を含むスケジューリング情報を移動局200へ送信する(ST103)。
【0073】
移動局200は、ST101で受信したquasi-same phase noiseグループに関する情報、及び、ST103で受信したPT-RSに関する情報に基づいて、同一のquasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのうち、PT-RSがマッピングされているアンテナポートを特定する(ST104)。
【0074】
そして、移動局200は、ST104において特定したアンテナポートで送信されたPT-RSを受信し、受信したPT-RSを用いてCPE/ICIを推定する(ST105)。また、移動局200は、ST104において特定したアンテナポートと同一のquasi-same phase noiseグループに属する他のアンテナポートのCPE/ICIを、ST105において上記特定したアンテナポートに対して推定したCPE/ICI(CPE/ICI推定値)と同じであると見なす。
【0075】
そして、移動局200は、ST105において推定した各アンテナポートのCPE/ICI推定値を用いて、ST103で受信したデータ信号を復調する(ST106)。
【0076】
このように、本実施の形態では、基地局100(送信機)においてほぼ同じCPE/ICIを有するアンテナポートは、同一のquasi-same phase noiseグループとしてグループ化される。これにより、例えば、異なる局部発振器を使用するアンテナポート(局部発振器を共有しないアンテナポート)であっても、測定されるCPE/ICIがほぼ同じであれば同一のquasi-same phase noiseグループに含まれる。または、同一の局部発振器を使用するアンテナポート(局部発振器を共有するアンテナポート)であっても、測定されるCPE/ICIが異なる場合には、異なるquasi-same phase noiseグループにそれぞれ含まれる。
【0077】
すなわち、基地局100が備える複数のアンテナポートは、局部発振器を共有するか否かに依らず、実際に測定されるCPE/ICIの測定値が同一であるか否か(quasi-sameであるか否か)によって、PT-RSを共有するquasi-same phase noiseグループにそれぞれグループ化される。
【0078】
そして、基地局100は、quasi-same phase noiseグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポート(例えば、1つのアンテナポート)にPT-RSをマッピングして送信する。また、移動局200は、quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのうち一部のアンテナポートから送信されたPT-RSを用いてCPE/ICI推定値を推定し、当該CPE/ICI推定値を、quasi-same phase noiseグループに属する他のアンテナポートのCPE/ICI推定値としても用いる。
【0079】
以上、本実施の形態によれば、PT-RS送信の設定のために、送信機又は受信機の局部発振器を共有するアンテナポートに限らず、CPE/ICIの測定値がほぼ同じと見なせるアンテナポートの集合をquasi-same phase noiseグループとして定義し、各quasi-same phase noiseグループの中から1つのアンテナポートがPT-RSの送信アンテナポートとして設定される。
【0080】
これにより、PT-RSをマッピングするアンテナポートを、例えば、CPE/ICIが同じであると見なされるアンテナポートのうちの1つのアンテナポートに限定できるので、PT-RSのオーバヘッドを低減することができる。すなわち、CPE/ICIが同じであるアンテナポートにそれぞれPT-RSがマッピングされ、リソースが無駄に消費されることを防ぐことができる。このように、本実施の形態によれば、PT-RSの送信アンテナポート数を適切に決定することができ、PT-RSを適切なアンテナポートから送信することができる。
【0081】
(実施の形態2)
[通信システムの概要]
本実施の形態では、上りリンクのPT-RSのマッピング方法について説明する。
【0082】
本実施の形態に係る通信システムは、移動局300(送信機)及び基地局400(受信機)を備える。例えば、移動局300は、高い周波数帯かつ高度の変調多値数を用いる。
【0083】
[移動局の構成]
図8は、本実施の形態に係る移動局300(送信機)の構成を示すブロック図である。図8において、移動局300は、制御部301と、PT-RS生成部302と、RRC生成部303と、UCI(Uplink Control Information)生成部304と、誤り訂正符号化部305と、変調部306と、信号割当部307と、送信部308と、アンテナ309と、受信部310と、信号分離部311と、復調部312と、誤り訂正復号部313とを有する。
【0084】
制御部301は、送受信に使用するアンテナポートのうち、どのアンテナポート群がquasi-same phase noiseグループであるかを示す情報(quasi-same phase noiseグループに関する情報)をRRC生成部303及び/又はUCI生成部304に出力する。
【0085】
また、制御部301は、信号分離部311から入力されるDCIに含まれる情報(PT-RSに関する情報)に基づいて、PT-RSを含む信号のスケジューリング情報を取得し、スケジューリング情報をPT-RS生成部302及び信号割当部307に出力する。すなわち、スケジューリング情報は基地局400において設定される。
【0086】
PT-RS生成部302は、制御部301から入力されるスケジューリング情報に基づいて、PT-RSを生成し、生成したPT-RSを信号割当部307に出力する。
【0087】
RRC生成部303は、quasi-same phase noiseグループに関する情報を制御部301から受け取ったときに、quasi-same phase noiseグループに関する情報を含むRRC信号を生成し、生成したRRC信号を誤り訂正符号化部305に出力する。
【0088】
UCI生成部304は、quasi-same phase noiseグループに関する情報を制御部301から受け取ったときに、quasi-same phase noiseグループに関する情報を含むUCIを生成し、生成したUCIを信号割当部307に出力する。
【0089】
誤り訂正符号化部305は、入力される送信データ信号又はRRC生成部303から入力されるRRC信号を誤り訂正符号化し、誤り訂正符号化後の信号を変調部306に出力する。
【0090】
変調部306は、誤り訂正符号化部305から入力される信号に対して変調処理を施し、変調後のデータ信号(RRC信号を含む場合もある)を信号割当部307に出力する。
【0091】
信号割当部307は、制御部301から入力されるスケジューリング情報に基づいて、DMRS、変調部306から入力されるデータ信号、PT-RS生成部302から入力されるPT-RS、又は、UCI生成部304から入力されるUCIを、時間・周波数領域にマッピングし、マッピング後の信号を送信部308に出力する。この際、信号割当部307は、制御部301から入力されるスケジューリング情報に基づいて、quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのうち、1つのアンテナポートにPT-RSをマッピングする。
【0092】
送信部308は、信号割当部307から入力される信号に対して、搬送波を用いた周波数変換などの無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ309に出力する。
【0093】
アンテナ309は、送信部308から入力される信号を基地局400に向けて放射する。また、アンテナ309は、基地局400から送信される信号を受信し、受信信号を受信部310に出力する。
【0094】
受信部310は、アンテナ309から入力される受信信号に対して、周波数変換などの無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を信号分離部311に出力する。
【0095】
信号分離部311は、受信部310から入力される信号の中からDCIと、データ又は参照信号とを分離し、DCIを制御部301に出力し、データ信号又は参照信号を復調部312に出力する。
【0096】
復調部312は、信号分離部311から入力される参照信号を用いてデータ信号を復調する。復調部312は、復調信号を誤り訂正復号部313に出力する。
【0097】
誤り訂正復号部313は、復調部312から入力される復調信号を復号し、得られた受信データ信号を出力する。
【0098】
[基地局の構成]
図9は、本実施の形態に係る基地局400(受信機)の構成を示すブロック図である。図9において、基地局400は、アンテナ401と、受信部402と、信号分離部403と、制御部404と、チャネル推定部405と、CPE/ICI推定部406と、復調部407と、誤り訂正復号部408と、DCI生成部409と、誤り訂正符号化部410と、変調部411と、信号割当部412と、送信部413とを有する。
【0099】
アンテナ401は、移動局300(図8を参照)から送信される信号を受信し、受信信号を受信部402に出力する。また、アンテナ401は、送信部413から入力される信号を移動局300に向けて放射(送信)する。
【0100】
受信部402は、アンテナ401から入力される受信信号に対して、周波数変換などの無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を信号分離部403に出力する。
【0101】
信号分離部403は、まず、受信部402から入力される信号の中からUCIを分離し、UCIを制御部404に出力する。そして、信号分離部403は、制御部404から入力されるスケジューリング情報に基づいて、受信部402から入力される信号の中からデータ、DMRS、及び、PT-RSを分離する。信号分離部403は、分離した信号のうち、データを復調部407に出力し、DMRSをチャネル推定部405及びCPE/ICI推定部406に出力し、PT-RSをCPE/ICI推定部406に出力する。
【0102】
制御部404は、信号分離部403から入力されるUCIに含まれる情報、及び/又は、誤り訂正符号部408から入力されるRRC信号に含まれる情報から、quasi-same phase noiseグループに関する情報(どのアンテナポートがquasi-same phase noiseグループであるかを示す情報)を取得する。また、制御部404は、例えば、quasi-same phase noiseグループに関する情報に基づいて、移動局300のどのアンテナポートにPT-RSをマッピングするかを決定し、決定した結果(PT-RSに関する情報)を含むスケジューリング情報を信号分離部403及びDCI生成部409に出力する。
【0103】
チャネル推定部405は、信号分離部403から入力されるDMRSを用いてチャネル情報を推定し、チャネル推定情報(チャネル情報)を復調部407に出力する。
【0104】
CPE/ICI推定部406は、信号分離部403から入力されるPT-RS及びDMRSを用いてCPE/ICIを推定し、CPE/ICI推定値を復調部407に出力する。すなわち、CPE/ICI推定部406は、quasi-same phase noiseグループに含まれるアンテナポートのうち、PT-RSがマッピングされたアンテナポートに対するCPE/ICIを推定する。
【0105】
復調部407は、チャネル推定部405から入力されるチャネル推定情報及びCPE/ICI推定部406から入力されるCPE/ICI推定値を用いて、信号分離部403から入力されるデータ信号を復調する。復調部407は、復調信号を誤り訂正復号部408に出力する。なお、復調部407は、データ信号の復調の際、quasi-same phase noiseグループ内において、CPE/ICI推定部406で一部のアンテナポートに対して推定されたCPE/ICI推定値を、他のアンテナポートに対するCPE/ICI推定値として用いる。
【0106】
誤り訂正復号部408は、復調部407から入力される復調信号を復号し、得られた受信データ信号を出力する。また、誤り訂正復号部408は、データ信号の中にRRC信号が含まれる場合、RRC信号を制御部404に出力する。
【0107】
DCI生成部409は、制御部404から入力されるスケジューリング情報(PT-RSに関する情報を含む)を含むDCIを生成し、生成したDCIを信号割当部412に出力する。
【0108】
誤り訂正符号化部410は、入力される送信データ信号を誤り訂正符号化し、誤り訂正符号化後の信号を変調部411に出力する。
【0109】
変調部411は、誤り訂正符号化部410から入力される信号に対して変調処理を施し、変調後のデータ信号を信号割当部412に出力する。
【0110】
信号割当部412は、変調部411から入力される信号、及び、DCI生成部409から入力されるDCIを、時間・周波数領域にマッピングし、マッピング後の信号を送信部413に出力する。
【0111】
送信部413は、信号割当部412から入力される信号に対して、搬送波を用いた周波数変換などの無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ401に出力する。
【0112】
[移動局300及び基地局400の動作]
次に、移動局300及び基地局400の動作について詳細に説明する。
【0113】
図10は移動局300及び基地局400の処理のフローを示すシーケンス図である。
【0114】
ここで、移動局300(送信機)内の局部発振器に起因する位相雑音(CPE/ICI)の影響について、実施の形態1と同様、テスト機器等(図示せず)によって、基地局400(受信機)から見たCPE/ICIが事前に測定されていてもよい。そして、この測定結果(CPE/ICI測定値)に基づいてquasi-same phase noiseグループが決定される。すなわち、移動局300のアンテナ309のどのアンテナポート間において、基地局400(受信機)から見たCPE/ICIがほぼ同じであるか、すなわち、どのアンテナポートが同一quasi-same phase noiseグループに属するかが決定される。移動局300は、quasi-same phase noiseグループと、当該quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートとの対応付けを示す情報であるquasi-same phase noiseグループを示すquasi-same phase noiseグループに関する情報を保持している。
【0115】
移動局300は、quasi-same phase noiseグループに関する情報をUCI及び/又はRRC信号等を用いて基地局400に通知する(ST201)。例えば、実施の形態1と同様、図7に示すようなquasi-same phase noiseグループに関する情報が通知されてもよい。
【0116】
次に、基地局400は、ST201で通知されたquasi-same phase noiseグループに関する情報に基づいて、各quasi-same phase noiseグループに含まれるアンテナポートの中から、移動局300においてPT-RSがマッピングされる一部のアンテナポート(例えば、1つのアンテナポート)を決定する(ST202)。なお、基地局400は、quasi-same phase noiseグループが複数ある場合、それぞれのグループ毎に1つのアンテナポートを、移動局300においてPT-RSがマッピングされるアンテナポートとして決定する。
【0117】
そして、基地局400は、ST202で決定した、PT-RSがマッピングされるアンテナポートを示す情報(PT-RSに関する情報)を含むスケジューリング情報(例えば、DCI)を移動局300へ送信する(ST203)。
【0118】
移動局300は、quasi-same phase noiseグループに関する情報、及び、ST203で受信したPT-RSに関する情報に基づいて、同一のquasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのうち、PT-RSをマッピングするアンテナポートを特定する(ST204)。
【0119】
そして、移動局300は、データ信号を送信するとともに、特定したアンテナポートにマッピングしたPT-RSを送信する(ST205)。
【0120】
基地局400は、ST202で決定したアンテナポートで送信されたPT-RSを受信し、受信したPT-RSを用いてCPE/ICIを推定する(ST206)。また、基地局400は、ST202において決定したアンテナポートと同一のquasi-same phase noiseグループに属する他のアンテナポートのCPE/ICIを、ST206において上記決定したアンテナポートに対して推定したCPE/ICI(CPE/ICI推定値)と同じであると見なす。
【0121】
そして、基地局400は、ST206において推定した各アンテナポートのCPE/ICI推定値を用いて、ST205で受信したデータ信号を復調する(ST207)。
【0122】
このように、本実施の形態では、移動局300(送信機)においてほぼ同じCPE/ICIを有するアンテナポートは、同一のquasi-same phase noiseグループとしてグループ化される。これにより、実施の形態1と同様、例えば、異なる局部発振器を使用するアンテナポートであっても、測定されるCPE/ICIがほぼ同じであれば同一のquasi-same phase noiseグループに含まれる。または、同一の局部発振器を使用するアンテナポートであっても、測定されるCPE/ICIが異なる場合には、異なるquasi-same phase noiseグループにそれぞれ含まれる。
【0123】
すなわち、移動局300が備える複数のアンテナポートは、局部発振器を共有するか否かに依らず、実際に測定されるCPE/ICIの測定値が同一であるか否か(quasi-sameであるか否か)によって、PT-RSを共有するquasi-same phase noiseグループにそれぞれグループ化される。
【0124】
そして、移動局300は、quasi-same phase noiseグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポート(例えば、1つのアンテナポート)にPT-RSをマッピングして送信する。また、基地局400は、quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのうち一部のアンテナポートから送信されたPT-RSを用いてCPE/ICI推定値を推定し、当該CPE/ICI推定値を、quasi-same phase noiseグループに属する他のアンテナポートのCPE/ICI推定値としても用いる。
【0125】
以上、本実施の形態によれば、PT-RS送信の設定のために、送信機又は受信機の局部発振器を共有するアンテナポートに限らず、CPE/ICIの測定値がほぼ同じと見なせるアンテナポートの集合をquasi-same phase noiseグループとして定義し、各quasi-same phase noiseグループの中から1つのアンテナポートがPT-RSの送信アンテナポートとして設定される。
【0126】
これにより、実施の形態1と同様、PT-RSをマッピングするアンテナポートを、例えば、CPE/ICIが同じであると見なされるアンテナポートのうちの1つのアンテナポートに限定できるので、PT-RSのオーバヘッドを低減することができる。すなわち、CPE/ICIが同じであるアンテナポートにそれぞれPT-RSがマッピングされ、リソースが無駄に消費されることを防ぐことができる。このように、本実施の形態によれば、PT-RSの送信アンテナポート数を適切に決定することができ、PT-RSを適切なアンテナポートから送信することができる。
【0127】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0128】
(他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、quasi-same phase noiseグループにおいてPT-RSがマッピングされるアンテナポートを基地局から移動局へ明示的に通知する場合(例えば、図6のST103又は図10のST203)について説明した。しかし、PT-RSがマッピングされるアンテナポートは、例えば、quasi-same phase noiseグループの中のアンテナポートの少なくとも1つが固定的に規定されていてもよい。または、quasi-same phase noiseグループにおいてPT-RSがマッピングされるアンテナポートは、基地局から移動局へ通知される他のパラメータと関連付けられて暗黙的に通知されてもよい。
【0129】
例えば、送信機(基地局100又は移動局300)は、quasi-same phase noiseグループ内のアンテナポートの中で、所定のインデックスのアンテナポート(例えば、アンテナポート番号が最も低い(又は最も高い)アンテナポート)にPT-RSをマッピングしてもよい。同様に、受信機(移動局200又は基地局400)は、quasi-same phase noiseグループ内のアンテナポートの中で、送信機との間で規定されている所定のインデックスのアンテナポートにPT-RSがマッピングされていると判断すればよい。これにより、どのアンテナポートにPT-RSが実際にマッピングされているのかを示す情報を基地局から移動局へ通知する必要が無く、シグナリングを削減することができる。
【0130】
または、送信機(基地局100又は移動局300)が備える複数のアンテナポートについて、quasi-same phase noiseグループの各々に属するアンテナポート数と、当該アンテナポート数のquasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのインデックス(アンテナポート番号)との組み合わせが固定的に規定されていてもよい。
【0131】
例えば、quasi-same phase noiseグループの各々に属するアンテナポート数と、当該アンテナポート数のquasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートのインデックスとの組み合わせが1パターン規定されていてもよい。例えば、送信機が4つのアンテナポート(Port1-4)を備える場合について説明する。Port1-4全てが同一のquasi-same phase noiseグループに属する場合、このグループに属するアンテナポートのインデックスの組み合わせとして1パターンが規定される。同様に、Port1-4のうち3つのアンテナポートが属するquasi-same phase noiseグループ(第1グループと呼ぶ)と、1つのアンテナポートが属するquasi-same phase noiseグループ(第2グループと呼ぶ)とが存在する場合、第1グループに属するアンテナポートのインデックス、及び、第2グループに属するアンテナポートのインデックスの組み合わせとして1パターンが規定される。他のアンテナ数を有するquasi-same phase noiseグループにおけるアンテナパターンのインデックスについても同様である。
【0132】
また、この際、例えば、アンテナポート数が多いquasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートから順番に、低い(または高い)インデックス(アンテナポート番号)が割り当てられてもよい。
【0133】
これにより、受信機(移動局200又は基地局400)は、送信機から通知されるquasi-same phase noiseグループに関する情報に示される各quasi-same phase noiseグループのアンテナポート構成に対して、各quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポート(インデックス)を一意に特定することができる。また、或るアンテナポート数のquasi-same phase noiseグループにおけるアンテナポート(インデックス)の候補を、例えば1パターンとすることで、同数のアンテナポートを含むquasi-same phase noiseグループに対するアンテナポートの組み合わせを複数個通知する必要が無くなるので、quasi-same phase noiseグループに関する情報を通知するためのシグナリング量(ビット数)の増加を防ぐことができる。なお、同数のアンテナポートを含むquasi-same phase noiseグループに対するアンテナポートの組み合わせは1パターンに限らず、2パターン以上でもよい。
【0134】
また、これにより、実施の形態1(例えば、図6を参照)において、移動局200は、ST101の通知を必要とせず、ST103の通知によって、各quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポート(インデックス)を特定できる。さらに、移動局200が各グループ内の、PT-RSがマッピングされるアンテナポートを特定できる場合には、基地局100は、ST101においてquasi-same phase noiseグループに関する情報を通知しなくてもよい。
【0135】
例えば、送信機が4つのアンテナポート(Port1-4)を備える場合について説明する。基地局100が移動局200に対し、ST103において、各quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポート(インデックス)のうち最も低いインデックスが「1と4」であると通知する。このとき、移動局200は、Port1-3が属するquasi-same phase noiseグループと、Port4が属するquasi-same phase noiseグループとが存在すると判断することができる。この場合、移動局200は、ST101における、quasi-same phase noiseグループに関する情報を通知される必要がない(すなわち、基地局100はST101の通知を行わなくてよい)。
【0136】
(2)上記実施の形態では、ST101やST201における、quasi-same phase noiseグループに属するアンテナポートの通知(例えば、図7を参照)、および、ST103やST203におけるPT-RSをマッピングするアンテナポートの明示的/暗黙的通知には、他の参照信号(例えば、DMRS、チャネル状態情報推定用参照信号(CSI-RS: Channel State Information Reference Signal)、サウンディング用参照信号(SRS: Sounding Reference Signal)、時間周波数トラッキング用参照信号(TRS: Tracking Reference Signal))または同期信号(SS: Synchronization Signal)のポート番号を利用してもよい。また、ST102やST202における、PT-RSをマッピングするアンテナポートの決定においても、上記他の参照信号のポート番号を利用してもよい。
【0137】
例えば、上りリンクにおいて、送信機(移動局300)が4つのアンテナポートを備える場合について説明する。ST201において、移動局300は基地局400に対し、「SRSポート0と2に対応するアンテナポートが同一quasi-same phase noiseグループに属し、かつ、SRSポート1と3に対応するアンテナポートが別のquasi-same phase noiseグループに属する」という情報を通知してもよい。また基地局400は、ST202において、「PT-RSをSRSポート0と1に対応するそれぞれのアンテナポートにマッピングする」と決定し、またST203において、この情報を移動局300に対し明示的/暗黙的に通知してもよい。
【0138】
(3)上記実施の形態では、quasi-same phase noiseグループに含まれるアンテナポートのうち1つのアンテナポートにPT-RSがマッピングされる場合について説明したが、quasi-same phase noiseグループにおいてPT-RSがマッピングされるアンテナポートは1つに限定されない。PT-RSがマッピングされるアンテナポートは2つ以上でもよい。
【0139】
(4)上記実施の形態において用いた「CPE/ICI補正」とは、「CPEを補正」すること、「ICIを補正」すること、又は、「CPE及びICIの双方を補正」することを意味する。
【0140】
(5)上記実施の形態において用いた“Quasi-same phase noiseグループ”はこのとおりの名称ではなく、他の名称(例えば、単に“Quasi-same phase noise”)で呼ばれてもよい。
【0141】
(6)“Quasi-same phase noiseグループ”であるアンテナポートの集合内の各アンテナポートから送信される信号は、送信機側の同じ又は異なる局部発振器によって周波数変換されてもよい。同様に、どのアンテナポートが”quasi-same phase noiseグループ”であるかについては、基地局又は移動局の各々に実装される送信部の回路構成又は送信部の回路構成のうちの局部発振器のそれぞれの性能又は個数に依存してもよい。
【0142】
(7)上記実施の形態において、例えば、同じ品番の製品のように、複数の基地局又は移動局の個体における送信部の回路構成、又は、送信部の回路構成のうちの局部発振器のそれぞれの性能又は個数などが同じと見なせる場合、それらの個体において、「どのアンテナポートが”quasi-same phase noiseグループ”であるか」を同じと見なしてもよい。さらに、この場合、1つの個体において”quasi-same phase noiseグループ”に関して測定又は試験を行い、他の全ての個体においても「どのアンテナポートが”quasi-same phase noiseグループ”であるか」を測定又は試験した結果と同じと見なしてもよい。
【0143】
(8)上記実施の形態において、PT-RSは、移動局毎に、異なる配置密度、異なる割り当てアンテナポートの数が設定されることが想定されている。これに伴い、下りリンクでは、”quasi-same phase noiseグループ”であるアンテナポートの情報は、基地局から、それぞれの移動局に対して固有に(UE specificに)通知されてもよい。一方、上りリンクでも、”quasi-same phase noiseグループ”であるアンテナポートの情報は、それぞれ移動局から基地局に対して固有に通知されてもよい。
【0144】
(9)上記実施の形態(図1)ではスロットの長さを14シンボルと想定しているが、スロットの長さは14シンボルに限定されず、例えば、スロットの長さは7シンボル又は他のシンボル数でもよい。
【0145】
(10)制御チャネル(PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)、PUCCH(Physical Uplink Control CHannel))とデータのチャネル(PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel))とが周波数多重される場合には、そのシンボルにPT-RSがマッピングされてもよい。
【0146】
(11)本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0147】
本開示の送信機は、複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定されている、割当回路と、データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0148】
本開示の送信機において、前記複数のアンテナポートのうち、前記測定値が同一であるアンテナポートは同一の前記グループに属し、前記測定値が異なるアンテナポートは互いに異なる前記グループにそれぞれ属する。
【0149】
本開示の送信機において、前記送信回路は、さらに、前記グループと、前記グループに属するアンテナポートとの対応付けを示す情報を受信機に送信する。
【0150】
本開示の受信機は、データ信号、及び、送信機の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号を受信し、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定されている、受信回路と、前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調する復調回路と、を具備し、前記復調回路は、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値を用いる。
【0151】
本開示の送信方法は、複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定され、データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信する。
【0152】
本開示の受信方法は、データ信号、及び、送信機の複数のアンテナポートがグループ化された少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートから送信された位相トラッキング用参照信号を受信し、前記グループは、前記複数のアンテナポート毎に測定された位相雑音の測定値に基づいて決定され、前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調し、前記データ信号の復調において、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値が用いられる。
【0153】
本開示の通信方法は、送信機の複数のアンテナポート毎に位相雑音の測定値が測定され、前記位相雑音の測定値に基づいて、前記複数のアンテナポートが少なくとも1つのグループにグループ化され、前記少なくとも1つのグループにそれぞれ含まれるアンテナポートのうちの一部のアンテナポートに、位相トラッキング用参照信号をマッピングし、データ信号及び前記位相トラッキング用参照信号を送信し、前記データ信号、及び、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポートから送信された前記位相トラッキング用参照信号を受信し、前記位相トラッキング用参照信号から推定される位相雑音推定値を用いて、前記データ信号を復調し、前記データ信号の復調において、前記グループに含まれる前記一部のアンテナポート以外の他のアンテナポートに対する位相雑音推定値として、前記一部のアンテナポートに対する前記位相雑音推定値が用いられる。
【0154】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0155】
100,400 基地局
101,204,301,404 制御部
102,302 PT-RS生成部
103,303 RRC生成部
104,409 DCI生成部
105,305,410 誤り訂正符号化部
106,306,411 変調部
107,307,412 信号割当部
108,308,413 送信部
109,201,309,401 アンテナ
200,300 移動局
202,310,402 受信部
203,311,403 信号分離部
205,405 チャネル推定部
206,406 CPE/ICI推定部
207,312,407 復調部
208,313,408 誤り訂正復号部
304 UCI生成部
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図10