(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60K 6/36 20071001AFI20220330BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20220330BHJP
B60K 6/44 20071001ALI20220330BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20220330BHJP
F16H 3/091 20060101ALI20220330BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20220330BHJP
【FI】
B60K6/36 ZHV
B60K6/40
B60K6/44
B60K6/547
F16H3/091
B60L50/16
(21)【出願番号】P 2019539255
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2017115670
(87)【国際公開番号】W WO2018137423
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】201710059995.2
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チャンチー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジエンウェン
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197077(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103241114(CN,A)
【文献】中国実用新案第204915280(CN,U)
【文献】特開平10-217779(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104595450(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104290587(CN,A)
【文献】国際公開第2011/055050(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015206190(DE,A1)
【文献】特開2015-212127(JP,A)
【文献】特開2007-010158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 10/30
B60W 20/00 - 20/50
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
F16H 3/091
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、
第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、
前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第二の中間軸が第一の入力軸と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の中間軸と同軸心方向に設けられ、前記第一の中間軸と前記第三の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の入力軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、
前記第一の入力軸に第一のギアが設けられ、前記第一の中間軸に第二のギアが設けられ、第一のギアが第二のギアと噛合伝動し、前記第二の入力軸に第三のギアが設けられ、前記第二の中間軸に第四のギアが設けられ、第三のギアが第四のギアと噛合伝動し、
前記第二の中間軸に第五のギアが更に設けられ、前記第三の中間軸に第六のギアが設けられ、前記差動装置に第七のギアが設けられ、第五のギアが第六のギアと噛合伝動すると同時に、第六のギアが第七のギアと噛合伝動する、
ことを特徴とする横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項2】
前
記第一のクラッチ及び
前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、前記第二の入力軸、第三のギア、第四のギア、第二の中間軸、第五のギア、第六のギア、第七のギア及び差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達する、
ことを特徴とする請求項1に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、第一のギア、第二のギア、第一の中間軸、第一のクラッチ、第三の中間軸、第六のギア、第七のギア及び差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第六のギアと前記第七のギアとの噛合伝動比をi3とすると、前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となる、
ことを特徴とする請求項3に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記第二のクラッチが噛み合い、前記第一のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、第二のクラッチ、第二の中間軸、第五のギア、第六のギア、第七のギア及び差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記第五のギア、第六のギア及び第七のギアの噛合伝動比をi2とすると、前記第二のクラッチが噛み合い、前記第一のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi2となる、
ことを特徴とする請求項5に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi4とし、前記第五のギア、第六のギア及び第七のギアの噛合伝動比をi2とすると、前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、自動変速機を介して、i4×i2の噛合伝動比で動力を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項8】
アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、
第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、
前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第二の中間軸が第一の入力軸と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の中間軸と同軸心方向に設けられ、前記第一の中間軸と前記第三の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の入力軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、
前記第一の入力軸に第一のギアが設けられ、前記第一の中間軸に第二のギアが設けられ、第一のギアが第二のギアと噛合伝動し、前記第二の入力軸に第三のギアが設けられ、前記第二の中間軸に第四のギアが設けられ、第三のギアが第四のギアと噛合伝動し、
前記第二の中間軸に第五のギアが更に設けられ、前記第三の中間軸に第六のギアが設けられ、前記差動装置に第七のギアが設けられ、前記第三の中間軸に第八
のギアが更に設けられており、
前記第八
のギアが前記第二の中間軸における第五のギアと噛合伝動し、前記第六のギアが前記第七のギアのみと噛合伝動する、
ことを特徴とす
る横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項9】
前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第六のギアと前記第七のギアとの噛合伝動比をi3とし、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi4とし、前記第五のギアと前記第八ギアとの噛合伝動比をi5とすると、
前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となり、
前記第一のクラッチが切断され、前記第二のクラッチが噛み合っている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi5×i3となり、
前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、自動変速機を介して、i4×i5×i3の噛合伝動比で動力を出力する、
ことを特徴とする請求項8に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項10】
前記第一の動力源が、電動モータであり、又は、エンジンとISGモータとの組み合せであ
り、
前記第二の動力源が電動モータである、
ことを特徴とする請求項1
又は8に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントアクスル又はリアアクスルに連結され、車両を駆動するための横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の純粋な電気自動車又はハイブリッドの新エネルギー自動車は、その用いられた電動モータの動力特性と車両全体の要求とに差があるので、変速比及びモーメントの要求を満たすことができない。新エネルギー自動車がますます複雑になる運転状況や道路状況に対応する必要があるので、新エネルギー自動車の快適さ及び航続距離に対するユーザの要求がますます高くなり、単純な電動モータ直接駆動モード、電動モータに減速機を接続したモード、又は、燃料-電気ハイブリッドモードの新エネルギー自動車は、新エネルギー自動車産業の発展要求を満たすことができなくなる。
【0003】
現在の車両の動力アセンブリにおいて、動力源、クラッチ、ギアボックス又は減速機、および駆動軸は、通常縦方向に配置され、長さが比較的に大きくて、車両における占有空間も大きく、コンパクトな構造を必要とするコンパクト車両には適していない。
【0004】
なお、現在、純粋な電気自動車又はハイブリッドの新エネルギー自動車の減速機は、ロータ軸と入力軸とが一体化しておらず、電動モータのロータ軸への衝撃が大きいため、従来の摩擦クラッチを使用することができなくなり、それに用いられたクラッチがハード接続という方式しか採用できず、緩衝機能を有しないので、新エネルギー自動車の要求を満たすことができない。
【0005】
従来の電動モータ直接駆動モードの自動車において、動力系にはクラッチ機能がないので、従来の慣性摩擦シンクロナイザを使用することができず、変速機がシフトできず、単一の変速比しか使用できなく、車両全体の発進及び停止が電動モータの駆動、停止にしか依存できず、電動モータの性能の発揮に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術における上記問題について、本発明は、従来の動力アセンブリが単一の変速比で伝動し複雑な道路状況や運転状況に適応できない、という問題を解決するための横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリを提供している。
それと同時に、従来の車両用駆動アセンブリの縦寸法が大きくてコンパクト車に使用できないこと、及び、変速機のギア数が多くて伝動構造が複雑であるという問題が解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に達するように、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0008】
本発明のアクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、
前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第二の中間軸が第一の入力軸と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の中間軸と同軸心方向に設けられ、前記第一の中間軸と前記第三の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の入力軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、
前記第一の入力軸に第一のギアが設けられ、前記第一の中間軸に第二のギアが設けられ、第一のギアが第二のギアと噛合伝動し、前記第二の入力軸に第三のギアが設けられ、前記第二の中間軸に第四のギアが設けられ、第三のギアが第四のギアと噛合伝動し、
前記第二の中間軸に第五のギアが更に設けられ、前記第三の中間軸に第六のギアが設けられ、前記差動装置に第七のギアが設けられ、第五のギアが第六のギアと噛合伝動すると同時に、第六のギアが第七のギアと噛合伝動する。
【0009】
さらに、第一のクラッチ及び第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、前記第二の入力軸、第三のギア、第四のギア、第二の中間軸、第五のギア、第六のギア、第七のギア及び差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達する。
【0010】
また、前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、第一のギア、第二のギア、第一の中間軸、第一のクラッチ、第三の中間軸、第六のギア、第七のギア及び差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達してもよい。
【0011】
また、前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第六のギアと前記第七のギアとの噛合伝動比をi3とすると、前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となるようにしてもよい。
【0012】
また、前記第二のクラッチが噛み合い、前記第一のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、第二のクラッチ、第二の中間軸、第五のギア、第六のギア、第七のギア及び差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達してもよい。
【0013】
また、前記第五のギア、第六のギア及び第七のギアの噛合伝動比をi2とすると、前記第二のクラッチが噛み合い、前記第一のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi2となるようにしてもよい。
【0014】
また、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi4とし、前記第五のギア、第六のギア及び第七のギアの噛合伝動比をi2とすると、前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、自動変速機を介して、i4×i2の噛合伝動比で動力を出力してもよい。
【0015】
本発明のアクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、
前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第二の中間軸が第一の入力軸と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の中間軸と同軸心方向に設けられ、前記第一の中間軸と前記第三の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の入力軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、
前記第一の入力軸に第一のギアが設けられ、前記第一の中間軸に第二のギアが設けられ、第一のギアが第二のギアと噛合伝動し、前記第二の入力軸に第三のギアが設けられ、前記第二の中間軸に第四のギアが設けられ、第三のギアが第四のギアと噛合伝動し、
前記第二の中間軸に第五のギアが更に設けられ、前記第三の中間軸に第六のギアが設けられ、前記差動装置に第七のギアが設けられ、前記第三の中間軸に第八のギアが更に設けられており、
前記第八のギアが前記第二の中間軸における第五のギアと噛合伝動し、前記第六のギアが前記第七のギアのみと噛合伝動してもよい。
【0016】
また、前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第六のギアと前記第七のギアとの噛合伝動比をi3とし、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi4とし、前記第五のギアと前記第八ギアとの噛合伝動比をi5とすると、
前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となり、
前記第一のクラッチが切断され、前記第二のクラッチが噛み合っている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi5×i3となり、
前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、自動変速機を介して、i4×i5×i3の噛合伝動比で動力を出力してもよい。
【0017】
また、前記第一の動力源が、電動モータであり、又は、エンジンとISGモータとの組み合せであり、前記第二の動力源が電動モータであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構造を用いて配置された本発明の利点は、以下の通りになる。
【0019】
本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、車両のリアアクスルハーフシャフト又はフロントアクスルハーフシャフトに連結され、該横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、デュアル動力源による入力、3つの変速比での伝動を実現することができ、伝動方式及び動力入力方式が柔軟であり、さまざまな道路状況での車両全体の運転ニーズが満たされ、車両が重い負荷で坂を登っている場合、車両全体の駆動力を向上させ、車両全体の駆動力不足という欠陥を補うためには、デュアル動力入力、大きい変速比での伝動を選択することができ、車両全体が巡航している場合、車両全体の高速運転要求を満たし、エネルギーを節約し、車両の航続距離を向上させるためには、単一動力入力、小さい変速比での伝動を選択することができる。なお、車両の発進時に、第一の動力源と第二の動力源が共にオンされると、車両用駆動アセンブリの総駆動力を増大させ、車両の加速過程を短縮し、高速走行をより早く実現することができる。
【0020】
ねじり振動ダンパーと端面歯クラッチとを組み合わせる設計モードでは、運動エネルギー損失を最小にすることが可能であり、従来の摩擦クラッチが電動モータのパワーショックに耐えることができないため、寿命が短すぎるという欠陥を埋めることができる。
【0021】
本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、駆動アセンブリの縦寸法を短くして、コンパクト車に適している一方で、使用されるギアの数が少ないため、伝動構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例1による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例2による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例3による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
【0024】
[実施例1]
図1に示すように、本発明の実施例1において、アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリが提供され、該車両用駆動アセンブリは、第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機10とを含み、自動変速機10に第一の入力軸21及び第二の入力軸22が設けられ、第一の動力源及び第二の動力源がそれぞれ第一の入力軸21及び第二の入力軸22に連結され、自動変速機10とアクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置50が設けられている。
【0025】
自動変速機10において、第一の中間軸31が第一の入力軸21と平行に設けられ、第二の中間軸32が第一の入力軸21と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸33が第一の中間軸31と同軸心方向に設けられている。第一の中間軸31と第三の中間軸33との間に第一のクラッチ41が設けられ、第一の入力軸21と第二の中間軸32との間に第二のクラッチ42が設けられている。
【0026】
第一の入力軸21に第一のギア11が設けられ、第一の中間軸31に第二のギア12が設けられ、第一のギア11が第二のギア12と噛合伝動し、第二の入力軸22に第三のギア13が設けられ、第二の中間軸32に第四のギア14が設けられ、第三のギア13が第四のギア14と噛合伝動し、第二の中間軸32に第五のギア15が更に設けられ、第三の中間軸33に第六のギア16が設けられ、差動装置50に第七のギア17が設けられ、第五のギア15が第六のギア16と噛合伝動すると同時に、第六のギア16が第七のギア17と噛合伝動する。
【0027】
この実施例1において、第一の動力源は、エンジン70とISGモータ71との組み合せであり、エンジン70のアイドル損失及び汚染を低減することができる一方で、ISGモータ71が発電機として機能し、電力を回生して、エネルギーを回収し、省エネルギー効果を実現することができる。第二の動力源は電動モータ60である。上記構造から分かるように、本発明の実施例1による車両用駆動アセンブリの自動変速機は、従来の変速機の入力軸、中間軸及び出力軸のレイアウト方式とは異なり、車両用駆動アセンブリの縦寸法を短くして、コンパクト車に適している一方で、使用されるギアの数が少ないため、伝動過程が簡素化される。
【0028】
上記車両用駆動アセンブリの動力伝動方式は、次の通りである。
第一のクラッチ41が噛み合い、第二のクラッチ断42が切断されている場合、第一の動力源が、第一の入力軸21、第一のギア11、第二のギア12、第一の中間軸31、第一のクラッチ41、第三の中間軸33、第六のギア16、第七のギア17及び差動装置50を順次に介して、アクスルハーフシャフトに動力を伝達する。
【0029】
第一のギア11と第二のギア12との噛合伝動比をi1とし、第六のギア16と第七のギア17との噛合伝動比をi3とすると、第一のクラッチ41が噛み合い、第二のクラッチ42が切断されている場合、自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となる。これは、運転状況一である。
【0030】
第二のクラッチ42が噛み合い、第一のクラッチ41が切断されている場合、第一の動力源が、第一の入力軸21、第二のクラッチ42、第二の中間軸32、第五のギア15、第六のギア16、第七のギア17及び差動装置50を順次に介して、アクスルハーフシャフトに動力を伝達する。
【0031】
第五のギア15、第六のギア16及び第七のギア17の噛合伝動比をi2とすると、第二のクラッチ42が噛み合い、第一のクラッチ41が切断されている場合、第一の動力源が、自動変速機を介して、i2の噛合伝動比で動力を出力し、第六のギア16がアイドルギヤとなる。これは、運転状況二である。
【0032】
第二の動力源である電動モータ60が補助動力源であり、電動モータの速度が任意に調整可能であるので、運転状況一又は運転状況二においては、第二の動力源である電動モータ60もオンされている場合、車両全体の駆動力を向上させることができながら、自動変速機10において、噛合伝動比が上述した結果のままである。
【0033】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合、第二の動力源が、第二の入力軸22、第三のギア13、第四のギア14、第二の中間軸32、第五のギア15、第六のギア16、第七のギア17及び差動装置50を順次に介して、アクスルハーフシャフトに動力を伝達する。
【0034】
第三のギア13と第四のギア14との噛合伝動比をi4とすると、第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合、第二の動力源が、自動変速機を介して、i4×i2の噛合伝動比で動力を出力する。これは、運転状況三である。
【0035】
運転状況三にある場合、エンジン70を補助動力源とすることができ、第一のクラッチ41又は第二のクラッチ42を噛み合わせると、運転状況三の場合では、より大きな駆動力を提供することが可能になり、第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合、第一の動力源がオンされ、第一の動力源の動力はアクスルハーフシャフトに伝達することができず、ISGモータ71のみが発電機として機能し、電力を回生可能であり、電力がバッテリに蓄えられたり、第二の動力源の稼動に使用されたりする。
【0036】
そのうち、伝動比i1、i2、i3及びi4の大きさが、ギアの寸法や歯数を変えることで変更することができ、これにより、自動変速機10の伝動比が変更される。本実施例において、第四のギア14の直径が第五のギア15よりも小さい。
上記から分かるように、本発明の実施例による駆動アセンブリでは、次のように3つの伝動比を実現することができる。
【0037】
第一の動力源であるエンジン70がオンされ、第一のクラッチ41が噛み合い、第二のクラッチ42が切断されている場合は、自動変速機10における噛合伝動比がi1×i3となる。このとき、第二の動力源はオンにされても、オフにされてもよい。第二の動力源がオンされれば、前記車両用駆動アセンブリの総駆動力を増大させることができ、車両の発進時に、車両の加速過程を短縮し、高速走行をより早く実現することができる。
【0038】
第一の動力源であるエンジン70がオンされ、第二のクラッチ42が噛み合い、第一のクラッチ41が切断されている場合は、自動変速機10における噛合伝動比がi2となる。このとき、第二の動力源はオンにされても、オフにされてもよい。同様に、第二の動力源がオンされれば、前記車両用駆動アセンブリの総駆動力を増大させることができる。
【0039】
第二の動力源である電動モータ60がオンされ、第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合は、自動変速機10における噛合伝動比がi4×i2となる。このとき、第一の動力源であるエンジン70がオンにされても、オフにされてもよい。第一の動力源がオンされれば、第一の動力源の動力はアクスルハーフシャフトに伝達することができないが、ISGモータ71のみが発電機として機能し、電力を回生可能であり、電力がバッテリに蓄えられたり、第二の動力源の稼動に使用されたりする。
【0040】
上記から分かるように、該車両用駆動アセンブリは、デュアル動力源による入力、3つの変速比での伝動を実現することができ、伝動形式が柔軟であり、さまざまな道路状況での車両全体の運転ニーズが満たされる。車両が重い負荷で坂を登っている場合、車両全体の駆動力を向上させ、車両全体の駆動力不足という欠陥を補うためには、デュアル動力入力、大きい変速比での伝動を選択することができる。車両全体が巡航している場合、車両全体の高速運転要求を満たし、エネルギーを節約し、車両の航続距離を向上させるためには、単一動力入力、小さい変速比での伝動を選択することができる。なお、車両の発進時に、第一の動力源と第二の動力源が共にオンされると、前記車両用駆動アセンブリの総駆動力を増大させ、車両の加速過程を短縮し、高速走行をより早く実現することができる。
【0041】
本発明の実施例において、アクスルハーフシャフトはフロントアクスルハーフシャフト又はリアアクスルハーフシャフトであり、前記車両用駆動アセンブリがフロントアクスルハーフシャフトに連結された場合、車両が前輪駆動モードとなり、前記車両用駆動アセンブリがリアアクスルハーフシャフトに連結された場合、車両が後輪駆動モードとなる。
【0042】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が端面歯クラッチであり、噛合伝動する可動ギアプレートと固定ギアプレートとを含み、可動ギアプレートに端面伝動歯又は端面歯溝が設けられ、それに応じて、固定ギアプレートに端面歯溝又は端面伝動歯が設けられている。端面歯クラッチは、摩擦クラッチと比較して、運動エネルギー損失を最大限に低減することが可能であり、従来の摩擦クラッチが電動モータのパワーショックに耐えることができないため、寿命が短すぎるという欠陥を埋めることができる。
【0043】
端面歯クラッチの駆動方式は、電磁駆動式(電磁吸引による駆動)、流体駆動式(液圧機構による駆動)、空圧駆動式(空圧機構による駆動)、電気駆動式(電動モータによる駆動)のいずれであってもよく、可動ギアプレートが軸方向に移動して固定ギアプレートと噛み合うように駆動される。
【0044】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が電磁ドグクラッチである場合、前記車両用駆動アセンブリが動力入力状態にあるとき、電磁ドグクラッチによって、動力が随時に車両全体と、瞬時に解除されたり結合されたりすることができ、動力の円滑な切換えが達成され、車両の走行安定性が向上する。
【0045】
[実施例2]
本発明の実施例2は、実施例1に基づいて改良されたものである。本発明の実施例2は、実施例1と比べると、
図2に示すように、第三の中間軸33に第八ギア18が設けられており、この場合、第五のギア15が第八ギア18と噛合伝動し、第六のギア16が第七のギア17のみと噛合伝動する点で異なっている。
【0046】
第五のギア15と第八ギア18との噛合伝動比をi5とし、第六のギア16と第七のギア17との噛合伝動比をi3とすると、第一のクラッチ41が切断され、第二のクラッチ42が噛み合っている場合、第一の動力源が、自動変速機10を介してi5×i3の噛合伝動比で動力を出力する。
【0047】
第三のギア13と第四のギア14との噛合伝動比をi4とすると、第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合、第二の動力源が、自動変速機10を介してi4×i5×i3の噛合伝動比で動力を出力する。
【0048】
この実施例2によれば、異なる伝動比を設定するのがより柔軟であり、制約がより小さくなり、大きな伝動比を選択するとギアが小径になるので、自動変速機の径方向寸法を効果的に縮小することができる。
【0049】
本実施例において、第四のギア14の直径が第五のギア15よりも大きい。本発明の実施例2の他の内容は、実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0050】
[実施例3]
本発明の実施例3は、実施例1に基づいて改良されたものである。本発明の実施例3は、実施例1と比べると、
図3に示すように、本発明の実施例3において、第一の動力源として、電動モータ70が用いられている点で異なっている。本発明の実施例3の他の内容は、実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0051】
[実施例4]
本発明の実施例4において、
図1又は
図2に示すように、エンジン70とISGモータ71との間にねじり振動ダンパー72が設けられており、ねじり振動ダンパー72が緩衝機能を有し、エンジン70とISGモータ71との接合部のねじり剛性を低減することで、ねじり振動の固有振動数を低減し、ねじり振動を解消することができる。本発明の実施例4の他の内容は、実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0052】
以上は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記開示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の詳しい記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解される。
【符号の説明】
【0053】
10…自動変速機、11…第一のギア、12…第二のギア、13…第三のギア、14…第四のギア、15…第五のギア、16…第六のギア、17…第七のギア、18…第八のギア、
21…第一の入力軸、22…第二の入力軸、
31…第一の中間軸、32…第二の中間軸、33…第三の中間軸、
41…第一のクラッチ、42…第二のクラッチ、
50…差動装置、
60…電動モータ、
70…エンジン、71…ISGモータ、72…ねじり振動ダンパー、
80…アクスル。