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特許7049358戸棚又は家庭用器具及び戸棚又は家庭用器具の開閉方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】戸棚又は家庭用器具及び戸棚又は家庭用器具の開閉方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/58 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
E05D15/58 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019547368
(86)(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018054013
(87)【国際公開番号】W WO2018158100
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102017104336.5
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511238941
【氏名又は名称】ヘティッヒ ホールディング ゲーエムベーハー ウント コンパニー オーハーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソボレフスキ, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】アンツシュス, ステファン
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-116839(JP,U)
【文献】特開2015-036003(JP,A)
【文献】実開平04-009146(JP,U)
【文献】特開2012-130490(JP,A)
【文献】特開昭59-149110(JP,A)
【文献】米国特許第3101982(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/56-15/58
A47B 46/00
A47B 49/00
A47B 51/00
A47B 55/00-55/06
A47B 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り戸棚としての戸棚(1)又は家庭用器具であって、ドア(3)が閉じ位置から開き位置まで回動装置(4)を介して回動可能である本体(2)を有し、物体を格納するための少なくとも1つのホルダ(6)が、本体(2)に対向するドア(3)の内側に固定されている戸棚(1)又は家庭用器具において、
ドア(3)は線形ガイドであるガイド装置(7)に沿って、ドア(3)の開き範囲内に下降することができ、
ドア(3)は上昇位置にて力アキュムレータ(18、32)によって予め張力を掛けられ、
ドア(3)を上昇させるために配備された力アキュムレータ(18、32)の力は設定可能である、戸棚又は家庭用器具。
【請求項2】
第1の遮断装置(10、11)が設けられ、該第1の遮断装置は、ドア(3)の閉じ範囲内でのドア(3)の下降を防ぐ、請求項に記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項3】
第1の遮断装置は、少なくとも閉位置と最大70°の開き角度の閉じ範囲にて、ドアの下降を防ぐ、請求項に記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項4】
第2の遮断装置(10、11)が設けられて、ドア(3)が下降位置にあるときに開き位置から閉じ範囲にドアが回転するのを防止する、請求項1乃至の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項5】
力アキュムレータ(32)はばねとして構成され、ばねの予めの張力を変更する設定手段(33、35)が配備された、請求項に記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項6】
ガイド経路(30)が設けられ、力アキュムレータ(32)によって予め張力を掛けられたガイドローラ(31)又はガイド要素はガイド経路に沿って移動可能であり、ガイド経路(30)は力アキュムレータ(32)の力を設定するように調整可能である、請求項に記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項7】
底部パネル(22)及び少なくとも1つの棚が、本体(2)の下部領域に配置され、ホルダ(6)用の受け用の自由空間が上部領域に形成される、請求項1乃至の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項8】
ホルダ(6)は棚、バスケット、フック、及び/又は保持ブラケットである、請求項1乃至の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項9】
ガイド装置(7)はガイドレールであり、該ガイドレール上にキャリッジ(9、19)が移動可能に保持される、請求項1乃至の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項10】
回動装置(4)は少なくとも2つのヒンジを備え、該ヒンジは垂直方向に互いに離れて配置された、請求項1乃至の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項11】
ヒンジはドア(3)上に固定され、及び/又はガイドレールに沿ってキャリッジ上で移動可能である、請求項10に記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項12】
ロック装置又はラッチ装置が配備され、該ロック装置又はラッチ装置によって、ドア(3)は下降位置にラッチされ又はロックされる、請求項1乃至11の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項13】
自己引込み器が配備され、該自己引込み器によってドア(3)が開き位置から閉じ位置に回動可能である、請求項1乃至12の何れかに記載の戸棚又は家庭用器具。
【請求項14】
ドア(3)が閉じ位置から開き位置まで回動装置(4)を介して回動可能である本体(2)を有する戸棚(1)又は家庭用器具を開閉する方法であって、
閉じ位置から第1の開き位置に水平方向にドア(3)を回動させるステップと、
第1の開き位置から、第1の開き位置の下方に配置された第2の開き位置にドア(3)を下降させるステップと、
第2の開き位置から第1の開き位置にドア(3)を上昇させるステップと、
第1の開き位置から閉じ位置にドア(3)を回動させるステップを備え、
力アキュムレータ(18、32)が配備され、該力アキュムレータによってドア(3)は第2の開き位置から第1の開き位置に自動的に移動する、方法。
【請求項15】
自己引込み器が配備され、該自己引込み器によってドア(3)が第1の開き位置から閉じ位置に自動的に移動する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に吊り戸棚としての戸棚又は家庭用器具に関し、ドアが閉じ位置から開き位置まで回動装置を介して回動可能である本体を有し、物体を格納するための少なくとも1つのホルダが、本体に面するドアの内側に固定されている。本発明は戸棚又は家庭用器具の開閉方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ公開公報3215572号は、垂直ガイド溝内で案内され、ギアリングによって下降及び上昇可能である下降可能な挿入バスケットを有する壁ユニットを開示している。この問題は、壁ユニットの上部コンパートメントへのアクセスが不十分であり、下降後にアクセスがより容易になるような壁ユニットによって解決される。しかし、このような壁ユニットの場合、壁ユニットの下の領域が自由である必要があり、そのため、壁ユニットが下降可能な挿入バスケットと衝突しないことが問題である。更に、特に壁ユニットの下部コンパートメントでは、頻繁にアクセスする必要があるグラスやプレートなどの重い物体がしばしば保管されるため、駆動部がある場合は大きな重量負荷を移動する必要がある。
【0003】
従って、本発明の目的は、特に上部領域で戸棚又は家庭用器具の格納スペースをより適切に使用することができる戸棚又は家庭用器具を提供し、且つ戸棚又は家庭用器具を開閉する方法を提供することにある。
この目的は、請求項1の特徴を有する戸棚又は家庭用器具、及び請求項17の特徴を有する方法によって達成される。
【発明の概要】
【0004】
本発明に従った戸棚又は家庭用器具にて、ドアは本体に対し回転可能であり、閉じ位置から第1の開き位置に回転可能である。この第1の開き位置はドアの開き範囲内に位置し、ドアは、ガイド装置に沿って開き範囲内に下降することができる。従って、物体を格納するための少なくとも1つのホルダはユーザのアクセス範囲に移動されて、該ユーザは物体をホルダから取り外したりホルダに戻すことができる。その後、ドアはガイド装置を介して再び持ち上げられ、開き範囲から閉じ位置に回動される。これにより、そうでなければアクセスしづらい例えば、戸棚又は家庭用器具の上部領域を有効に活用することができる、何故なら上部領域がもはや人のアクセス範囲ではないからである。
【0005】
ガイド装置は、線形ガイドとして構成されるのが好ましい。線形ガイドは、この場合1つ以上のレールを含み、該レールは互いに対して移動可能である。或いは、ガイドレールを1つだけ設けることもでき、該ガイドレールに沿って、ローラ本体又はローラを介してキャリッジが移動され、ドアを垂直方向に直線的に移動させることができる。
【0006】
1つの好ましい実施形態に従って、第1の遮断装置が設けられており、これは、ドアの閉じ範囲内でのドアの下降を防ぐ。内側にホルダを有するドアは、先ずホルダが本体または本体の棚にぶつからないように、所定の開き位置に到達する必要がある。第1の遮断装置は、少なくとも閉位置と60°の開き角度、特に最大70°の範囲の閉じ範囲にて、そのような打撃を避けるために、ドアの下降を防止することができる。ドアが下降位置にあるときに閉じ範囲でドアが回転するのを防止する第2の遮断装置も設けるのが好ましい。そのような遮断装置は、機械的手段、例えばストッパブラケットを介して形成することができるが、電子制御手段も遮断装置として使用され得る。
【0007】
ドアは上昇位置にて力(ちから)アキュムレータによって予め張力を掛けられるのが好ましい。バネ要素、特にガス圧バネまたは他のバネは、接続手段を介してドアに連結された力アキュムレータ又は釣合い錘として使用され得て、釣合い錘はドアの下降中に上昇する。ドアは、力アキュムレータによって特定の貨物積載量まで自動的に上昇位置に移動することもでき、ドアが上昇位置から下降位置に引き下げられたときのみ、ユーザは力をかける必要があり、上げるよりも下げる方が簡単なので、取り扱いが簡単になる。力の補助はドアを上昇位置に上げることのみに使用されるのではなく、例えばドアに作用する自己引込み装置によって上昇位置から閉じ位置にドアを移動させるにも使用される。
【0008】
更なる実施形態において、上昇位置でドアに予め張力を掛けるための力アキュムレータは、力に対して設定可能である。従って、ドアの重量及び/又は荷物の負荷から生じる重量の力が補償される。従って、ドアを最終的に平衡状態にしたり、平衡状態に維持したりするために、異なるドア寸法及び/又は公差に関連して逸脱したばね力も夫々補償される。この目的から、対応する制御要素が力アキュムレータに配備され、力アキュムレータは例えばばねアセンブリ又はばね、特に圧縮ばねとして構成される。或いは又は更に、ガイド経路は、ガイド要素、特にガイド経路に沿って移動可能であり、作用する力に関して力アキュムレータによってガイド経路に向かって張力を掛けられたガイドローラを変更するように、位置を調整することができる。
【0009】
戸棚や家電用器具の内部を特に効率的に利用するには、底部パネル及び少なくとも1つの棚は、本体の下部領域に配置され、一方、ドアのホルダ用の受けは上部領域に形成される。特に戸棚が台所の壁ユニットとして使用される場合、ユーザのアクセスは通常、下部領域で可能である。次に、底部パネルと少なくとも1つの棚を使用して、既知の家具のように、ドアを開いた後にアクセスできる物体を格納することができる。棚の代わりに、ドアと一緒に移動する1以上のホルダ用の受けを、例えば1.80mを超える高さから上部にのみ設けることができる。この場合、ホルダは、棚、バスケット、フック、または保持ブラケットとして形成でき、物体を保持及び格納するための全ての装置はドアに固定され得る。
【0010】
ドア用の回転装置は、垂直方向に互いに離間した少なくとも2つのヒンジを含むのが好ましい。この場合、ヒンジは、単関節ヒンジまたは多関節ヒンジ、特に4関節ヒンジ又は7関節ヒンジとして形成することができる。直線的に作用する機構とドアを回転させる回転機構の組み合わせも使用可能である。互いに間隔を空けて配置されたヒンジは、ドアまたは本体に交互に固定され、ガイドレールに沿って移動可能なキャリッジに夫々他の部分に移動可能に固定される。
【0011】
回転装置と線形ガイドの組み合わされた構成によって、ドアの開閉は、ユーザが操作ハンドルから操作する手を離して再度握る必要なく、連続的な移動順序で実行することができる。従って、ホルダに保存されている物体への素早いアクセスも可能になる。
【0012】
更なる実施形態において、ロック装置又はラッチ装置が配備され、該ロック装置又はラッチ装置によってドアは下降位置にロック可能である。そのようなロック装置又はラッチ装置はキャッチフックのような機械的なキャッチ要素によって形成され、ドアを所定位置での力アキュムレータの力に抗して下降位置に保持し、ユーザはドアを解放でき、自動的に再び上に移動しない。機械的なキャッチ手段の代わりに、制御手段がまた使用されて、例えばボタンを押すことでドアを下降位置に確実に固定することができる。
【0013】
開き位置から閉じ位置へのドアの回転は、完全に、または少なくとも部分的に任意で自己引込み器を介して行うこともでき、該自己引込み器は、ドアを閉じた位置に機械的に予め張力を掛ける力アキュムレータを備えており、自動的に閉じ動作を実行することができる。自己引込み器に代えて、ドアを閉じるのに電動駆動部が配備される。
【0014】
本発明に従った方法にて、第1にドアが水平方向の閉じ位置から本体に対して第1の開き位置に回動される。続いて、ドアが第1の開き位置から第2の開き位置に下降され、第2の開き位置は、第1の開き位置の下に配置され、ドアの上部領域のホルダに設けられた物体へのアクセスを可能にする。従って、ドアは、第2の開き位置から上昇して再び第1の開き位置に戻され、その後、第1の開き位置から閉じ位置に回転することができる。ドアの移動は、付随的に手動でのみ実行でき、付随的に1つ以上の力アキュムレータによって補助される。ドアを上昇させるための力アキュムレータを配備することができ、それにより、ドアは自動的に第2の開き位置から第1の開き位置に移動する。自己引込み器を付随的に設けることもでき、これにより、ドアが第1の開き位置から閉じ位置に自動的に移動して、取り扱いが簡単になる。この目的から、減衰装置が更に付随的に接続されて、ドアが閉じ位置に達する前にドアの閉じ動作を直ぐに減衰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は添付図面を参照して例示的な実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。
図1】本発明に従った戸棚の斜視図を示し、ドアを部分的に省いている。
図2図1の戸棚の斜視図であり、ドアは第1の開き位置にある。
図3図1の戸棚の斜視図であり、ドアはより低い第2の開き位置にある。
図4図3の家具要素の平面図である。
図5図2の戸棚の斜視図である。
図6図1の戸棚の回動装置の平面図であり、閉じ位置にある。
図7図6の回動装置の詳細図であり、第1の開き位置にある。
図8図1の戸棚の斜視図であり、後ろから見ている。
図9】ドアを上昇させる力アキュムレータ用の引きケーブルの詳細図である。
図10】ドアを上昇させる力アキュムレータ用の引きケーブルの詳細図である。
図11A】第1の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図11B】第1の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図12A】第2の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図12B】第2の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図13A】第3の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図13B】第3の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図14A】第4の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図14B】第4の例示的な実施形態の機能原理の図である。
図15A】修正された力アキュムレータを有する更なる例示的な実施形態の図である。
図15B】修正された力アキュムレータを有する更なる例示的な実施形態の図である。
図15C】修正された力アキュムレータを有する更なる例示的な実施形態の図である。
図16A】ドアを上昇させる力の設定の実施形態の図である。
図16B】ドアを上昇させる力の設定の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
戸棚1は、例えばキッチンユニット上の壁ユニットとして設置できる本体2を備えている。或いは、本体2は、家庭用器具、例えば冷蔵庫にも使用できる。ドア3は、本体2に回動可能に取り付けられ、ドア3は板状に形成され、外側にハンドル要素8を備える。その間にブラケット5が設けられた2つのヒンジ4を有する回動装置がドア3に固定されている。ドア3の内側には、物体を格納するために使用されるバスケット又は格子の形のホルダ6が設けられている。ドア3と一緒に移動することができるこれらのホルダ6のうちの1つまたは複数を、上部領域、即ちドアの上半分に設けることができる。本体2の下部領域では、物体は本体2の底部パネルまたは棚(図示せず)に配置することができる、何故ならユーザが立っているときに、ユーザは下部領域にもアクセスできるからである。
【0017】
図2にて、ドア3は、閉じ位置から開き位置、即ち垂直軸の周りに実質的に水平に回動し、回動動作は、回動動作として正確に実行される必要はなく、回動動作と水平スライド運動の重ね合わせでもある。ドア3の開き位置では、底部パネル22を有する本体2の下部領域がアクセス可能である。物体をホルダ6から取り出すか、ホルダ6に導入する場合、図3に示すように、ドア3は下げられる。この目的のために、互いに間隔を空けた2つのヒンジ4は、ガイドレール7に沿って垂直に変位し、ドア3は、図2に示された上昇位置から図3に示された下降位置に移動され、その結果、ホルダ6は、ユーザにとってよりアクセスしやすくなる。ガイドレール7に沿った垂直方向のスライド移動は、例えば、20cmから80cmの間であり得る。ドア3を閉じるには、ドア3を再びガイドレール7に沿って持ち上げてから、開き位置から閉じ位置へと回動させる。
【0018】
図4には、開きドア3を有する戸棚1の平面図を示す。ホルダ6がドア3と一緒に移動し、ホルダ6が本体2の完全に外側に配置されている場合にのみドア3の下降が起こることが認識され、底部パネル22、その上に置かれた物体、または棚(図示せず)との衝突を避ける。
底部パネル22に加えて、本体2はまた、2つの側壁20の間に配置された上部パネル23を含む。側壁20、底部パネル22及び上部パネル23は、側壁20の後部前縁から間隔を空けて設置された後壁21によって後側で互いに接続されており、後壁21の背後にある要素、例えば力(ちから)アキュムレータのためのスペースを提供する。
【0019】
図5にて、ドア3が開き位置で示され、2つのヒンジ4が認識可能であり、該ヒンジ4は図示の例示的な実施形態ではヒンジ部40を使用してドア3に固定されている。ヒンジ部40に対して回動可能な第2ヒンジ部41は、ガイドレール7に沿って上下方向に移動可能な上部キャリッジ9及び下部キャリッジ19に固定されている。この場合、ガイドレール7は、本体2の側壁20の前方領域に固定されている。2つのキャリッジ9と19の代わりに1つのキャリッジのみを付与することも可能である。遮断ブラケット10が、ガイドレール7に隣接して配置されており、ドア3が下降位置で閉じ方向に回動するのを防止している。ドア3が図5に示す位置から垂直方向に下に移動するとすぐに、ドア3は、ホルダ6が本体2、棚、または底部パネル22内の物体と衝突することを避けるために、閉じ方向に所定の開き角度まで旋回するだけである。
【0020】
ドア3の遮断装置の機能が、図6図7を参照してより詳細に説明される。図6では、ドア3は閉じ位置で示されており、レバー11は遮断ブラケット10の端面の上方に配置され、ドア3の閉じ位置への下降、及び閉じ位置と第1の開き位置との間の開き領域が防止される。遮断ブラケット10の端面はレバー11のストッパを形成する。図7に示すように、ドア3が閉じ位置から第1の開き位置に開いた場合、ヒンジ部40はヒンジ部41に対して回動し、遮断ブラケット10の端面がレバー11ともはや重ならないようになるまで、ドラッグレバー42を介して側壁20と平行にレバー11を引く。従って、遮断装置は、遮断ブラケット10の端面及びレバー11から解放され、これは例えば、閉じ位置から70°離れた角度範囲で行われ、ドア3を閉じ位置から約70°開くと、ドア3の下降が先ず可能になる。従って、ユーザは、回動装置がヒンジ4とともにガイドレール7に沿って移動することにより、ハンドル要素8を引いてドア3を下げることができる。遮断ブラケット10は、ドア3の移動経路全体に亘って下向きに延び、遮断ブラケットの前側は、ドア3が下降位置で閉じ方向に回動するのを防ぐ第2の遮断装置を形成する。図7に示すように、レバー11を下げると、レバー11は遮断ブラケット10の前面に沿って移動し、ドア3は、図示の位置から閉じ方向にさらに移動することが防止される。従って、ドア3は、例えば、50°から進行して最大開き位置までの特定の開き範囲でのみ下方に移動することができ、最大開き位置は例えば80°と110°の間の範囲であり、70°におけるのが好ましい。ドア3は、上昇位置でのみ閉じ方向に戻すことができ、レバー11は、遮断ブラケット10の上端面を超えて移動する。この場合、遮断ブラケット10の端面は傾斜して形成されて、閉じ中にドア3を僅かに持ち上げる。
【0021】
戸棚1のドア3は、上昇位置で予め張力が掛けられている。この目的のために、引きケーブル13を介して移動可能な釣合い錘18が後壁21の後ろに配置されている。釣合い錘18は、対向する側壁20に設けられたレール24に沿って本体2の後側で案内される。更に、釣合い錘18は引きケーブル13の中央に吊り下げられて、引きケーブル13は、ホルダに回転可能に取り付けられた第1の偏向ローラ16及び第2の偏向ローラ17を介して後側で案内される(図9)。
【0022】
図5に関連して図10に示すように、引きケーブル13は後壁21によって案内され、更なる偏向ローラ15を介して偏向され、キャリッジ19に配置された締結要素14に固定される。ドア3の下降時に、釣合い錘18は引きケーブル13を介して上昇し、釣合い錘18は力(ちから)アキュムレータを形成し、該力アキュムレータは上昇位置にてドア3に予め張力を掛ける。引きケーブル13の長さは、調整装置を介して設定され得る。更に、ストッパ要素12と相互作用するストッパがキャリッジ19に設けられ、ドア3の上昇はストッパまでであり、停止位置でドア3を閉じ方向に回転させることができる。停止位置の調整を実行できるように、調整可能にストッパを形成することもできる。
【0023】
釣合い錘18によって力(ちから)アキュムレータを形成する代わりに、勿論、他のばね要素、特にガス圧ばね、コイルばね、又は他のばね装置が用いられて、ドア3に上向きに予め張力を掛ける。ドア3への張力掛け、例えば、ドア3に最大10kgの重量を載せることが可能であるように選択され、ドア3は依然として上方に張力が掛けられる。従って、ドア3は、力アキュムレータを介して、下降位置から上昇位置へ自動的に移動することもできる。ストッパに達する前に、更に減衰装置が設けられて、垂直方向の上方への移動中の大きな衝撃を避けることができる。
【0024】
図1乃至図10の例示的な実施形態の戸棚1の機能原理が図11A及び図11Bに概略的に示される。ガイドレール7が本体2上に設けられて、2つのヒンジ4がガイドレール7に沿って移動可能に保持される。ヒンジ4によって、ドア3は閉じ位置から第1の開き位置へ水平方向に回動して開くことが可能になる。例えば70°と110°の間の範囲であるこの第1の開き位置から、図11Bに示すように、ドア3は下降する。下降位置にて、物体はホルダ6上に除去され又は導入され、その後ドア3は下降した第2の開き位置から第1の上部開き位置に戻され、そこからドア3を回転させることにより閉じ位置に動かされる。
【0025】
図12A及び図12Bに示すように、ガイドレール7は、本体2ではなくドア3に配置することもできる。次に、2つのヒンジ4は、本体2の側壁に固定され、垂直方向には動かされない。むしろ、図12A及び図12Bに示すように、ガイドレール7はドア3と一緒に動かされる。そうでなければ、ドア3を開閉する方法は、前述の例示的な実施形態のように行われる。
【0026】
戸棚の更なる実施形態が図13A及び図13Bに示され、少なくとも1つのヒンジ4用の第1のガイドレール7が本体2に設けられ、さらに少なくとも1つの更なるヒンジ4用の第2のガイドレール7がドア3に設けられている。ドア3がヒンジ4を介して第1の開き位置に回動すると、図13Bに示すようにドアを引き下げることができる。ドア3の下降時に、少なくとも1つの上部ヒンジ4は、本体2に固定されたガイドレール7に沿って移動し、下部ガイドレール7は、静止状態に配置された下部ヒンジ4に対して垂直に移動する。図13A及び図13Bに示す解決策は、第1の開き位置でのヒンジ4のより大きな間隔により、たとえ2つのガイドレール7の配置により構成費用がわずかに増加したとしても、レバー比はより良い。
【0027】
本体2の更なる実施形態が図14A及び図14Bに示され、ドア3を第1の開き位置に回転させてから、下降させることができる。この例示的な実施形態において、2つのヒンジ4が付与されて、本体2上に固定される。ここで、ドア3が図14Bの上昇位置から下降位置に下げられると、ヒンジ4は本体2上の所定の位置に固定されたままであり、固定レール70は上部ヒンジ4に留まる。ガイドレール7は、固定レール70に対してドア3とともに下方に移動する。従って、ガイドレール7及び更なるレール70は、引出しガイドを形成し、これは、2つ又は3つのレールを含み、該レールはローラ本体又はローラを介して互いに移動できるように保持されている。本体2上のヒンジ4の間隔がより大きいと、この実施形態のレバー比に正の効果をもたらす。
【0028】
図11乃至図14の例示的な実施形態の概略図にて、第1の例示的な実施形態のように、ドア3を上昇させ、上昇位置にてドア3に張力を掛ける力アキュムレータ、閉じ範囲にてドア3の下降を防ぐ遮断装置、及び下降位置にて閉じ方向へのドア3の移動を防ぐ遮断装置が配備される。
【0029】
力(ちから)アキュムレータの更なる例示的な実施形態が図15A乃至図15Cに示されて、上昇位置にてドア3に予め張力を掛ける。概略的に示された力アキュムレータは、例えば、本体2の側壁20の一方または両方の内側に固定されたガイド経路30を含む。ガイドローラ31はガイド経路30に沿って転がり、ばね32により力が加えられ、ばね32は、下部ヒンジ4の領域の端部で支持されて、図15Aによる上昇位置から図15Bによるわずかに下降した位置へのドア3の移動中に、ガイドローラ31はガイド経路30に沿って移動し、ばね32が圧縮される。図15Cに示すように、ばね32はさらに下げることで、より強く圧縮される。ばね32は、ドア3の上昇中に再び弛緩し、その結果、ばね力が解放される。そのようなばね32の配置は、図15Cによる下降位置で、キャッチ受けをガイド経路30に設けることができるという利点を有し、ドア3は下降位置にてラッチされる。従って、ユーザは、ドア3をラッチし、その後、両手で物体をホルダ6から取り外したり、物体をホルダ6に導入することができる。そのようなキャッチ装置は、ドア3が再び上昇することなく、下降位置でドア3を解放することができるように、例示されたすべての例示的な実施形態で使用することができる。ラッチの代わりに、ドア3の上昇を遮断するロック装置を使用することもできる。このようなラッチまたはロック装置は、キャッチフック、キャッチ受け、ロックボルトなどの機械的要素を使用して形成でき、キャッチ装置の位置は本体2内にて可変的に選択される。
【0030】
図16Aにて、図15の実施形態はガイド経路30が調整可能であるように修正されて、本体2に対してドア3を上昇させるばね32の形態の力アキュムレータの力を設定する。この目的から、ガイド経路30は、水平方向に2つの線形位置決め要素33に沿って移動可能であり、例えば、実線で示されるこの第1の位置から、ガイド経路30’が破線で示される位置に移動する。従って、ばね32は圧縮され、より大きな力がドア3を持ち上げるために作用する。線形位置決め要素は、線形ガイドとして形成されることが好ましい。調整は、ばね32を圧縮または緩和するために連続的に行われる。
【0031】
代替の実施形態が図16Bに示され、ドアを上昇させるばねの力を設定することができる。ガイド経路30の調整に代えて、例えば、ばね32を圧縮または弛緩させる回転可能なレバー又はスライドなどの切替え要素35が設けられている。この目的から、切替え要素35は、ピボット軸36を介して、破線で示される切替え要素35’の位置に移動する。例えば、ねじ歯車、連結歯車、湾曲歯車などの他の調整機構を設けて、ドア3を上昇させるための張力掛けを設定するためのばね32の力を変える。更に、図16A及び図16Bの2つの実施形態は互いに組み合わされる。
【0032】
更に、示された例示的な実施形態において、自己引込み器が配備されて、該自己引込み器によってドア3は上昇した第1の開き位置から閉じ位置に回動する。そのような自己引込み器は、ドア3を第1の開き位置から閉じ位置に自動的に移動させる力(ちから)アキュムレータ、特にばねを含む。衝撃音を避けるため、閉じ位置に到達する前にダンパが配備されて、大きな音を出さずにドア3を自動的に動かすことができる。自己引込み器に加えて、ドア3を上昇させる力アキュムレータが用いられて、ドア3が上昇した第1の開き位置への自動移動を可能にし、その後、ドア3の閉じ位置への回動を自動的に実施する。次に、ユーザはドア3を下降位置から回転させることができ、これはロックを解除するか、ラッチを解除する必要がある。しかし、自動的に上昇位置に移動し、上昇位置にて閉じ位置に移動する。
示された例示的な実施形態において、ドア3は力(ちから)アキュムレータによって予め張力を機械的に掛けられる。勿論、対応する動き用の駆動部、特に電動駆動部を提供することも可能である。対応する動きは、例えば、スピンドルを介して生成されて、その上で、スピンドルナットは、本体2又はドア3上の構造ユニットを使用して動かされ固定される。他の駆動装置も用いられ得る。
【符号の説明】
【0033】
1 戸棚
2 本体
3 ドア
4 ヒンジ
5 ブラケット
6 ホルダ
7 ガイドレール
8 ハンドル要素
9 キャリッジ
10 遮断ブラケット
11 レバー
12 ストッパ要素
13 引きケーブル
14 固定要素
15 偏向ローラ
16 偏向ローラ
17 偏向ローラ
18 釣合い錘
19 キャリッジ
20 側壁
21 後壁
22 底部パネル
23 頂部パネル
24 レール
30、30’ガイド経路
31 ガイドローラ
32 ばね
33 位置決め要素
35、35’ 切替え要素
36 ピボット軸
40 ヒンジ部
41 ヒンジ部
42 ドラッグレバー
70 レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B