(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】パイプ・クランプ用の封止スリーブおよびかかる封止スリーブを有するパイプ・クランプ
(51)【国際特許分類】
F16L 17/03 20060101AFI20220330BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20220330BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
F16L17/03
F16J15/10 L
F16L21/08 B
(21)【出願番号】P 2019571246
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2018065944
(87)【国際公開番号】W WO2018234178
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】102017113789.0
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】マルクス クレイマー
(72)【発明者】
【氏名】ナタン ランツマン
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第88/07644(WO,A1)
【文献】特開2007-113781(JP,A)
【文献】特表2000-510223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 17/03
F16J 15/10
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の断面幾何学形状を有す
る第1の封止リップと、第2の断面幾何学形状を有する第2の封止リップとを
径方向内側に有する、パイプ・クランプ用の環状封止スリーブであって、
対称的に設計され、
各軸線方向端部領域において、前記第1の封止リップおよび前記第2の封止リップの組合せが配置され、
前記第2の封止リップに隣接する更なる封止リップを備え、
前記第1の断面幾何学形状および前記第2の断面幾何学形状が異なり、前記第1の封止リッ
プが、径方向の
長さよりも長い軸線方向の
長さを有し、前記第2の封止リッ
プが、径方向の
長さと等しいかまたは該径方向の
長さよりも短い軸線方向の
長さを有し、
前記第1の封止リップが、前記第1の断面幾何学形状により、前記第2の封止リップよりも剛性が高く、
前記第1の封止リップおよび前記第2の封止リップが、前記更なる封止リップのうちの少なくとも1つよりも、同じ距離だけ径方向内側に更に延在し、
前記第2の断面幾何学形状が、径方向に先細で、半円形状または丸みを帯びた頭部もしくは尖った頭部を有する角錐形状で形成されることによって、前記第2の封止リップがOリングのように作用
し、
前記第1の封止リップが、軸線方向で前記第2の封止リップから離れるように傾けられる環状封止スリーブ。
【請求項2】
前記第2の封止リップが前記第1の封止リップよりも更に軸線方向外側に配置される請求項
1に記載の封止スリーブ。
【請求項3】
前記更なる封止リップが、前記第2の封止リップと同一の断面幾何学形状を有す
る請求項1
または2に記載の封止スリーブ。
【請求項4】
前記第1の封止リップが、前記第2の封止リップよりも軸線方向内側に設けられる請求項
1に記載の封止スリーブ。
【請求項5】
前記第1の封止リップおよび前記第2の封止リップよりも軸線方向外側に配置される更なる封止リップが、前記第1の封止リップよりも径方向内側には延在しない請求項
1から
4のいずれか一項に記載の封止スリーブ。
【請求項6】
前記第1の封止リップの間に材料厚さが一定の中央領域を有し、該中央領域では、前記第1の封止リップおよび前記第2の封止リップの領域よりも薄い請求項
1に記載の封止スリーブ。
【請求項7】
径方向外側が平滑である請求項1から
6のいずれか一項に記載の封止スリーブ。
【請求項8】
軸線方向外縁部が径方向で先細である請求項1から
7のいずれか一項に記載の封止スリーブ。
【請求項9】
パイプ・クランプの内側に配置される請求項1から
8のいずれか一項に記載の封止スリーブを有するパイプ・クランプ。
【請求項10】
径方向内側に突出する歯を有する少なくとも1つの金属ストリップが前記パイプ・クランプの内側に設けられる請求項
9に記載のパイプ・クランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の断面幾何学形状を有する内側の第1の封止リップと、第2の断面幾何学形状を有する第2の封止リップとを有する、パイプ・クランプ用の環状封止スリーブに関する。更に、本発明は、かかる封止スリーブを有するパイプ・クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ・クランプは、例えば、スムースエンド・パイプを接続するコンパクトで信頼性が高い手段として、パイプ連結具の形態で利用される。パイプ・クランプを用いて、プラスチックおよび金属のパイプ、また特に、ステンレス鋼パイプ、またはガラス、ストーンウェア、もしくはコンクリートなどの材料で作られたパイプも、互いに接合することが可能である。封止スリーブと組み合わせて、このようにして液密接続が達成されるので、パイプ・クランプによって接合されたパイプを利用して、固体、液体、または気体の媒質のための耐圧導管を作成することができる。
【0003】
高圧の場合でも信頼性が高いシールを実現するために、封止スリーブの内側の各端部領域に2つの隣接する封止リップを提供する方法が知られている。これら2つの封止リップは、言うなれば二重の安全性をもたらし、高低両方の動作圧力下で良好な封止作用を作り出す。パイプ・クランプが締め付けられると、封止リップも互いに押し付けられ、適切な幾何学形状を軸線方向内側に有することによって、パイプ内部の圧力増大と共に封止作用も更に増大し、それが封止リップにも作用することを確保することができる。
【0004】
知られている解決策は十分な働きをする。しかしながら、特にパイプの粗面が接合されている場合、漏れが起こり得ることが分かっている。更に、非常に高い内圧によって問題が起こることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が対処する課題は、高低両方の圧力下で良好な封止を可能にする、パイプ・クランプ用の封止スリーブおよびパイプ・クランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する封止スリーブ、ならびに請求項13の特徴を有するパイプ・クランプによって解決される。有利な実施形態は従属請求項において見出されるであろう。
【0007】
少なくとも軸方向端部領域に、第1の断面幾何学形状を有する第1の封止リップと、第2の断面幾何学形状を径方向内側に有する第2の封止リップとを有する、パイプ・クランプ用の環状封止スリーブでは、本発明によれば、対称的に設計され、各軸線方向端部領域において、第1の封止リップおよび第2の封止リップの組合せが配置され、第2の封止リップに隣接する更なる封止リップを備え、第1の断面幾何学形状および第2の断面幾何学形状は異なり、第1の封止リップは軸線方向の長さが径方向の長さよりも長く、第2の封止リップは、軸線方向の長さが径方向の長さと等しいかまたは径方向よりも短く、第1の封止リップが、第1の断面幾何学形状により、第2の封止リップよりも剛性が高く、第1の封止リップおよび第2の封止リップが、更なる封止リップのうちの少なくとも1つよりも、同じ距離だけ径方向内側に更に延在し、第2の断面幾何学形状が、径方向に先細で、半円形状または丸みを帯びた頭部もしくは尖った頭部を有する角錐形状で形成されることによって、第2の封止リップがOリングのように作用し、第1の封止リップが、軸線方向で第2の封止リップから離れるように傾けられることが規定される。
【0008】
軸線方向および径方向という方向の指示は、環状封止スリーブおよびそれと接続されるパイプの形状を指す。異なる断面幾何学形状の対応する構成により、第1の封止リップおよび第2の封止リップに対して異なる性質がもたらされる。したがって、第1の封止リップは、その断面幾何学形状により、第2の封止リップよりも剛性が高い。第1の封止リップは、軸線方向の長さが径方向の長さよりも長く、パイプの表面に対して比較的平坦に位置するので、比較的低圧で広い面積のシールが得られる。他方で、第2の封止リップは、Oリングのように、パイプの表面上の比較的狭い接触面積のみに、したがって、それに応じた高圧で位置する。第2の封止リップの方が簡単に変形させることができるので、より粗い表面に良好に適合させることができる。したがって、第1および第2の封止リップの断面幾何学形状が異なることにより、封止スリーブの端部領域において、非常に信頼性が高い封止が実現される。
【0009】
第1の封止リップが、軸線方向で第2の封止リップから離れるように内側に傾けられることが、特に好ましい。第2の封止リップは、互いに接合されている2つのパイプ間のギャップの方向に傾けられる。この軸線方向内側への傾きにより、第1の封止リップが、パイプ内部のより高い圧力でパイプの表面に対して更に強固に押し付けられるので、圧力上昇に伴って更に改善された封止も達成される。
【0010】
特に、第2の封止リップは、第1の封止リップよりも更に軸線方向外側に配置されると規定される。したがって、第1の封止リップは、パイプの内部に広がる圧力に直接晒されるため、第1の封止段を構成し、一方で第2の封止リップは、追加の封止としての役割を果たすが、より低い圧力にしか耐えられない。
【0011】
好ましい一実施形態では、第2の封止リップに隣接して、第2の封止リップと同じ断面幾何学形状を有する更なる封止リップが配置される。そのため、更なる封止リップおよび第2の封止リップは比較的薄く、したがって弾性であってもよく、多数の封止リップによって複数の封止が実現される。封止リップは、粗面に非常に良好に適合させることができ、そのため、しっかりした封止を確保することができる。したがって、結果として得られるシールの信頼性が、更なる封止リップによって更に向上する。
【0012】
好ましくは、第2の断面幾何学形状は、半円形状で、または頭部が丸みを帯びるかもしくは角ばった角錐形状で形成される。そのため、第2の封止リップはOリングのように作用し、パイプの表面に対して非常にぴったり収まることができる。同時に、軸線方向では比較的弾性であるまま、径方向で適切な封止力を築くことができる。
【0013】
好ましくは、封止スリーブは対称的に設計され、各軸線方向端部領域において、第1の封止リップおよび第2の封止リップまたは場合によっては更なる封止リップの組合せが配置される。これは、2つのパイプを接合するパイプ連結具として使用されるパイプ・クランプの場合に特に該当する。このように、各パイプ端部に、第1の封止リップおよび第2の封止リップまたは場合によっては更なる封止リップの組合せが配置され、しっかりした封止が得られる。
【0014】
好ましくは、第1の封止リップは、第2の封止リップおよび場合によっては更なる封止リップよりも軸線方向内側に設けられると規定される。第1の封止リップは、それらの断面幾何学形状が第2の封止リップおよび更なる封止リップよりも剛性が高いため、パイプ内圧に晒される第1のシールとして作用する。第2の封止リップおよび更なる封止リップは、更なる補助封止を作り出す。
【0015】
好ましい一実施形態では、第1の封止リップおよび前記第2の封止リップよりも軸線方向外側に配置される更なる封止リップは、第1の封止リップよりも径方向内側には延在しない。したがって、パイプ・クランプが締め付けられると、最初に第1の封止リップが、次に第2の封止リップが、また次に更なる封止リップがパイプの表面に接する。そのため、パイプ・クランプが締め付けられると、主に第1の封止リップが適切な圧力でパイプ表面に押し付けられて、適切な封止作用を達成することが確保される。パイプ・クランプを更に締め付けることによって、次に封止スリーブが、他の封止リップもパイプの表面に押し付けられ、追加の封止を実現するような形で変形する。しかし、第1の封止リップおよび第2の封止リップは、特に大きい力でパイプ表面に押し付けられ、非常に良好な封止を作り出す。
【0016】
このため、特に、第1の封止リップおよび第2の封止リップは、更なる封止リップのうち少なくとも1つよりも更に径方向内側に延在すると規定される。特に、第1の封止リップおよび第2の封止リップは、同じ距離だけ径方向内側に延在して、パイプの表面と同時に接触してもよいので、二重の封止が常に確保される。
【0017】
有利な一実施形態では、封止スリーブは、第1の封止リップの間に材料厚さが一定の中央領域を有し、この中央領域では、封止スリーブは封止リップの領域よりも薄い。中央領域は、実質的に、領域を封止リップで互いに接合し、また任意に、パイプ端部間のギャップをつなぐ役割を果たす。この領域は封止リップを有する領域よりも薄いので、材料を削減できる。つまり、より軽量であって材料コストも安くなる。更に、材料厚さがより薄いことによって、例えば、封止スリーブの中央領域の径方向内側に帯状インサートを配置することが可能になる。これは、例えば、補強材として、また機械的負荷に対する保護として役立つことがある。更に、帯状インサートは、真空を適用する場合、弾性封止スリーブが相互接続されたパイプの間のギャップに引き込まれるのを防ぐことができる。
【0018】
好ましくは、封止スリーブの径方向外側は平滑である。そのため、封止スリーブは、その外側がパイプ・クランプの内側に接することによって完全に平坦になってもよい。したがって、封止スリーブの外側形状はパイプ・クランプの内側形状に対応する。
【0019】
有利には、封止スリーブの軸線方向外縁部は、径方向で先細になっている。例えば、封止スリーブの外縁部は、封止スリーブがパイプ・クランプの内部で形状嵌めによって固定されるように、パイプ・クランプの下方の曲縁部に達してもよい。更に、先細形状によって特定の弾性が達成され、つまり、軸線方向外側の封止リップはある程度変形しやすい。先細形状の角度は、固着リングとしての役割を果たし、2つの相互接続されたパイプを軸線方向で固定する、任意の金属ストリップの傾きを決定付けることができる。
【0020】
上述の課題はまた、かかる封止スリーブを有するパイプ・クランプによって解決され、本発明によれば、封止スリーブはパイプ・クランプの内側に配置されると規定される。かかるパイプ・クランプを用いて、信頼性が高く液密の方式で、平滑なパイプ端部を互いに接合することができる。更に、かかるパイプ・クランプは、漏れの部位を被覆する修理用クランプとして使用することができる。
【0021】
好ましくは、パイプ・クランプは、内側に設けられた径方向内側に突出する歯を有する、少なくとも1つの金属ストリップを備え、特に、かかる金属ストリップは、パイプ・クランプの両方の軸線方向端部に設けられる。内側に突出する歯を有するこの金属ストリップは、固着リングとも呼ばれることがあり、パイプ端部を互いに軸線方向で固定する。したがって、パイプ・クランプは引張接合を実現することもできる。かかる金属ストリップがなければ、パイプ・クランプは、封止機能を有する純粋なパイプ連結具を構築するのみであり、軸線方向固定は追加の要素によって実現されなければならない。
【0022】
更に、帯状インサートを封止スリーブの一方の内側に設けることができる。帯状インサートは、封止スリーブの内側を保護し、特に、軸線方向端部領域にそれぞれ形成される封止リップの間でのみ、中央領域のみに延在する。
【0023】
本発明を、好ましい例示的実施形態を図面と共に用いて、以下に更に詳細に記載するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】未装填状態の封止スリーブを通る断面を示す図である。
【
図2】装填状態の封止スリーブを通る断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、対称的形状を有し、即ち、鏡像の軸線方向端部領域2a、2bを有し、それらの間に材料厚さが薄い中央領域3が形成される、パイプ・クランプ用の封止スリーブ1の断面を示している。封止スリーブ1の内側4には、第1の封止リップ5a、5bおよび第2の封止リップ6a、6bがそれぞれ、端部領域2a、2bそれぞれに形成される。第2の封止リップ6a、6bは、第1の封止リップ5a、5bよりも軸線方向で更に外側に配置される。第2の封止リップ6a、6bに隣接して、更なる封止リップ7a、7bは軸線方向で更に外側に配置される。
【0026】
第1の封止リップ5a、5bは、第1の断面幾何学形状を有し、径方向よりも軸線方向で更に延在する。それらはそれぞれ、第2の封止リップ6a、6bから離れるように、即ち軸線方向で内側に傾けられる。第2の封止リップ6a、6b、ならびに更なる封止リップ7a、7bは、第2の断面幾何学形状を有し、軸線方向よりも遠くまで、または軸線方向と同等に径方向で延在する。第2の封止リップ6a、6bおよび更なる封止リップ7a、7bは、したがって、ほとんどまたは全く傾けられず、第1の封止リップ5a、5bよりも軸線方向で柔軟性がある。
【0027】
第2の封止リップ6a、6bおよび更なる封止リップ7a、7bは、実質的に半円の断面を有し、したがってOリングのように作用する。軸線方向で更に外側に配置される更なる封止リップ7a、7bは、第1の封止リップ5a、5bおよび第2の封止リップ6a、6bよりも径方向で短い距離を延在する。封止スリーブ1がパイプ・クランプを用いて平滑なパイプ端部の周りで締め付けられると、最初に第1の封止リップ5a、5bおよび第2の封止リップ6a、6bが、次に更なる封止リップ7a、7bがパイプの表面に接して位置する。第1の封止リップ5a、5bおよび第2の封止リップ6a、6bは、したがって、比較的大きい接触力でパイプの表面に押し付けられて、特に良好な封止を作り出す。
【0028】
封止スリーブ1の径方向外側8は平滑である。したがって、封止スリーブ1の外側は平滑な円筒形状である。封止スリーブ1は、内側ではその軸線方向外縁部9a、9bで先細になっており、したがって、例えば、封止スリーブ1をパイプ・クランプの内部で形状嵌めによって保持できるように、パイプ・クランプの内側に突出する金属ストリップの下方に達してもよい。
【0029】
中央領域3は、封止リップ5a、5b、6a、6b、7a、7bが形成される軸線方向端部領域2a、2bと比較して、低減された一定の材料厚さを有する。この領域は、実質的に、軸線方向端部領域2a、2bの互いからの明確な間隔を規定する役割を果たす。更に、軸線方向端部領域2a、2bの間の材料厚さが薄いため、内側で、即ちパイプ・クランプから離れる方向に面する側で封止スリーブ1を被覆する、帯状インサートを内側4に位置付けることができる。
【0030】
図2は、2つのパイプ端部10a、10bに対して締め付けられた状態の封止スリーブ1を断面で示している。封止リップ5a、5bが軸線方向および径方向内側に変形していることが分かる。パイプ端部10a、10bの内部の圧力が高く、それが中央領域3の径方向内部の自由空間11にも広がり、第1の封止リップ5a、5bはパイプ端部10a、10bの表面に押し付けられる。圧力が上昇すると、第1の封止リップ5a、5bに対する力が、またしたがって封止作用も更に増大する。
【0031】
封止スリーブ1の締付けにより、封止スリーブ1の未装填状態において第2の封止リップ6a、6bと更なる封止リップ7a、7bならびに第1の封止リップ5a、5bとの間に形成される自由空間は、部分的もしくは完全に排除される。したがって、全ての封止リップ5a、5b、6a、6b、7a、7bは、パイプ端部10a、10bに対する張力下にあり、非常に良好な封止を作り出す。非常に良好な封止は、パイプ端部10a、10bが粗面の場合であっても、多くの比較的弾性の封止リップによって確保することができる。
【0032】
本発明は、記載した例示的実施形態の1つに限定されず、多様な形で修正することができる。したがって、例えば、第2の封止リップおよび更なる封止リップは、図示される半円の断面から逸脱してもよく、例えば角錐形状であってもよい。第1の封止リップと同じ断面幾何学形状を有する、追加の封止リップも任意に設けられてもよい。更に、全ての封止リップが同じ距離だけ径方向内側に延在することが可能である。
【0033】
本発明による封止スリーブは、互いに接合されているパイプ端部が粗面の場合であっても、しっかりした封止をできるようにする。封止リップは少なくとも部分的に非常に弾性であり、多くの封止リップにより良好な封止作用が常に達成される。このように、パイプ・クランプと関連して、非常に信頼性が高いパイプ連結具を実現することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 封止スリーブ
2a 軸線方向端部領域
2b 軸線方向端部領域
3 中央領域
4 内側
5a 第1の封止リップ
5b 第1の封止リップ
6a 第2の封止リップ
6b 第2の封止リップ
7a 更なる封止リップ
7b 更なる封止リップ
8 外面
9a 軸線方向外縁部
9b 軸線方向外縁部
10a パイプ端部
10b パイプ端部
11 自由空間