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特許7049401モーションセンサを有する電池を再充電するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】モーションセンサを有する電池を再充電するシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220330BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220330BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220330BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220330BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20220330BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220330BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 S
H02J7/00 P
H02H7/18
B60L3/00 S
B60L58/12
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020108348
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2021145541
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】16/815801
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520016033
【氏名又は名称】リチウム パワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヂィーシェン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チット ファン ゾー
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-054982(JP,A)
【文献】特開2014-087243(JP,A)
【文献】特開2012-249365(JP,A)
【文献】特開2018-027733(JP,A)
【文献】特開2013-207976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 10/42-10/48
H02H 7/00
7/10-7/20
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池管理システムを備え、エネルギー再生装置およびモーション検出装置に接続された電池を再充電する方法であって、
前記エネルギー再生装置から出力電圧を受容するステップと、
前記モーション検出装置からモーションインジケータを受容するステップと、
前記エネルギー再生装置からの前記出力電圧を、前記電池の充電電圧と比較するステップと、
前記出力電圧が前記充電電圧よりも小さい場合、前記電池を充電せず、
前記出力電圧が前記充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆する場合、前記エネルギー再生装置を充電器に接続して、前記電池を充電し、
前記出力電圧が前記充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆しない場合、充電器を外部電源に接続して、前記電池を充電するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
さらに、ストレージユニットから、前記充電電圧を読み出す(retrieve)ステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記充電するステップ中に、前記出力電圧が前記充電電圧よりも低下した場合、前記エネルギー再生装置をシャットダウンするステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エネルギー再生装置に接続された電池であって、
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルおよび前記エネルギー再生装置に接続された充電器と、
前記複数の電池セルおよび前記充電器に接続された制御器と、
前記制御器に接続されたモーション検出装置と、
を有し、
前記制御器は、前記モーション検出装置からモーションインジケータを受信し、
前記制御器は、前記エネルギー再生装置と前記充電器との間の接続を可能にし、
前記エネルギー再生装置からの出力電圧が前記複数の電池セルの充電電圧よりも小さい場合、前記複数の電池セルが充電されず、
前記エネルギー再生装置からの出力電圧が前記複数の電池セルの充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆する場合、前記エネルギー再生装置を充電器に接続して、前記複数の電池セルが充電され、
前記エネルギー再生装置からの出力電圧が前記複数の電池セルの充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆しない場合、充電器を外部電源に接続して、前記複数の電池セルが充電される、電池。
【請求項5】
前記モーション検出装置は、前記制御器内に埋設される、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記制御器は、前記エネルギー再生装置からの前記出力電圧が前記複数の電池セルの充電電圧よりも小さい場合、前記エネルギー再生装置と前記充電器との間の接続を遮断する、請求項4に記載の電池。
【請求項7】
電池、エネルギー再生装置、モーション検出装置、充電器、およびストレージユニットに接続された電池管理システムであって、
複数の機械可読指令を読み出す(retrieve)制御器を有し、
前記制御器で実施される前記機械可読指令により、前記電池管理システムは、
前記エネルギー再生装置からの出力電圧を受信し、
前記モーション検出装置からのモーションインジケータを受信し、
前記エネルギー再生装置からの前記出力電圧を、前記電池の充電電圧と比較し、
前記出力電圧が前記充電電圧よりも小さい場合、前記電池を充電せず、
前記出力電圧が前記充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆する場合、前記エネルギー再生装置を充電器に接続して、前記電池を充電し、
前記出力電圧が前記充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆しない場合、充電器を外部電源に接続して、前記電池を充電する
ように作動される、電池管理システム。
【請求項8】
さらに、前記制御器により実行される前記機械可読指令により、前記電池管理システムは、前記ストレージユニットから前記充電電圧を読み出すように作動される、請求項7に記載の電池管理システム。
【請求項9】
さらに、前記制御器により実行される前記機械可読指令により、前記電池管理システムは、前記エネルギー再生装置を前記充電器に接続するように作動される、請求項7に記載の電池管理システム。
【請求項10】
さらに、前記制御器により実行される前記機械可読指令により、前記電池管理システムは、前記出力電圧が、充電の間、前記充電電圧よりも低下した場合、前記エネルギー再生装置をシャットダウンするように作動される、請求項7に記載の電池管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年1月15日に出願されたゴルフカート用のリチウム電池の米国仮出願第62/792,630号の非仮出願である、2019年11月15日に出願された鉛酸電池置換用のシステムの米国特許出願第16/685,255号の一部継続出願であり、この明細書全体は、本願の参照として取り入れられる。
【0002】
本願は、電池に関し、特に、回収エネルギーを用いて電池を再充電することに関する。
【背景技術】
【0003】
電池を移動車両に配置する際、電池からのエネルギーは、車両における様々な機器の作動に利用される。電池が回収エネルギーを用いることのできる充電器を備える場合、車両が停止すると、速度エネルギーが捕集され、これを用いて電池が充電される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、回収エネルギーを用いて電池を充電することができるような電池管理システムを電池に提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施例では、本発明は、電池管理システムを備え、エネルギー再生装置およびモーション検出装置に接続された電池を再充電する方法に関する。当該方法は、前記エネルギー再生装置から出力電圧を受容するステップと、前記モーション検出装置からモーションインジケータを受容するステップと、前記エネルギー再生装置からの前記出力電圧を、前記電池の充電電圧と比較するステップと、前記出力電圧が前記充電電圧よりも大きく、前記モーションインジケータが動きを示唆する場合、前記エネルギー再生装置により前記電池を充電するステップと、を有する。
【0006】
別の実施例では、本発明は、エネルギー再生装置に接続された電池であって、複数の電池セルと、前記複数の電池セルに接続された充電器と、前記複数の電池セルおよび前記充電器に接続された制御器と、前記制御器に接続されたモーション検出装置と、を有し、前記制御器は、前記モーション検出装置からモーションインジケータを受信し、前記制御器は、前記エネルギー再生装置と前記充電器との間の接続を可能にし、前記モーションインジケータが動きを示唆し、前記エネルギー再生装置からの出力電圧が前記複数の電池セルの充電電圧よりも大きい場合、前記複数の電池セルが充電される、電池に関する。
【0007】
従って、本発明のシステムおよび方法は、再生エネルギーにより電池の再充電が可能になる点で有意である。本発明の他の利点および特徴は、以降の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲に示された記載を参照することにより、明らかになる。
【0008】
本発明の実施例の特徴および利点は、図面を参照し、以下の詳細な説明を経ることで明らかになる。図において、同様の参照符号は、同様の素子を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】電池交換の図100を示した図である。
図1B】電池交換の構造150を示した図である。
図2】充放電回路を示した回路図200を示した図である。
図3】制御器チップの構造300を示した図である。
図4】モーション検出器を有する回路図400を示した図である。
図5】電荷供給プロセスのフローチャート500である。
図6】電池充電プロセスのフローチャート600である。
図7】保護モードのフローチャート700である。
図8】再生エネルギーを用いて電池を充電するためのフローチャート800である。
図9】充電プロセスを停止するためのフローチャート900である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において使用される「アプリケーション」と言う用語は、実行可能なおよび非実行のソフトウェアファイル、生データ、集合データ、パッチ、ならびに他のコードセグメントを網羅することを意図する。「一例(として)の」と言う用語は、単なる一例を意味し、記載された実施例または素子のいかなる優先性も示唆しない。また、いくつかの図を通して、同様の参照符号は、同様の素子を表し、冠詞「a」および「the」は、特に記載のない限り、複数の参照物を含む。リチウム系電池、リチウムイオン電池、リチウム鉄リン酸塩電池、およびリチウム電池と言う用語は、相互互換可能に使用され、「電池」および「電池パック」は、相互互換可能に使用される。本願において、リチウム電池は、任意の種類のリチウム電池を表す。本願に使用される保護モードは、アンダー電圧保護モードまたはオーバー電圧保護モードのいずれを表してもよい。保護モードは、スリープモードと称されてもよい。
【0011】
総じて、本発明は、並列に接続された複数の充電式電池を充電するための、知的システムおよび方法を提供する。再充電回路は、充電式電池の出力ポートでの電圧により制御される。電池電圧の低下が、再充電回路の制御に使用される。出力ポート電圧が電池の最大放電よりも低い場合、再充電回路は、オフにされる。出力ポート電圧が電池の最大充電電圧よりも高い場合、再充電制御回路がオンにされる。最大充電電圧と最大放電電圧の間の偏差は、並列に接続された複数の充電式電池の再充電回路の制御に使用される。
【0012】
再充電回路の制御のための電圧差の使用に加えて、再充電動作は、さらに、モーションセンサまたは変位検出センサにより制御される。変位検出センサにより、充電式電池を有する車両の動きが検出されると、変位検出センサにより、再充電回路に信号が提供され、再充電回路がオンにされ、再充電動作が可能になる。
【0013】
変位検出センサは、電池制御器の内部に配置され、電池制御器のMCUに接続される。変位検出センサにより提供される変位データおよび振動信号を検出することにより、電池制御器は、充電式電池が移動状態にあるかどうかを判定する。電池が移動状態にある場合、電池制御器が再充電回路を作動し、電池セルが再充電される。
【0014】
電池間の相互干渉を防止するため、並列に接続された電池用の分離回路が設計される。分離回路は、電池パックによるエネルギー回収に影響を及ぼす。回収し得ないエネルギーは、電池システムの動作に影響を及ぼし得る。
【0015】
本発明のシステムは、変位検出および変位検出装置を利用し、電池システムの移動の変化を検出する。電池システム全体の動きが変化すると、変位検出装置により、電池制御システムに通知される。電池制御器システムは、出力ポートで検出される電圧に基づいて、吸収に必要な充分なリサイクル可能なエネルギーがあるかどうかを定める。十分にリサイクル可能なエネルギーがある場合、再充電制御回路がオンにされる。充電式電池を充電することにより、充電式電池は、モーション制御システムにより生じた(回収された)エネルギーを吸収する。回収エネルギーが吸収された後、再充電制御回路がオフにされ、充電式電池システムの電池セルの間の絶縁分離が確保される。例えば、モーション検出回路が、電池システムの動きの減速を検出すると、回収可能なエネルギーが生じる。変位検出ユニットは、電池システムの動きの状態が変化したことを電池制御器システムに通知し、電池制御器システムは、電池システムの外部ポートで電圧変化を検出する。外部ポート電圧が58V(一例として、48Vの電池システムを採用)に変化すると、電池制御器システムは、再充電回路をオンにし、モーションシステムの回収エネルギーが吸収される。この段階で、電池制御器システムは、出力ポートの電圧を連続的にモニターする。回収可能なエネルギーが吸収された後、ポート電圧が54Vに低下すると、再充電回路がオフにされ、電池セル間の絶縁分離が確保される。
【0016】
同時に、変位検出モジュールを用いて、外部充電器またはモーションシステムの再充電制御モジュールにより電池システムが充電されているかどうかが定められる。この決定は、モーションシステムの変位からの情報によりなされる。電池システムが外部充電器を用いて充電されている場合、モーションシステムは、静止状態である。モーションシステムの状態が動作中のときだけ、再充電制御モジュールによる電池システムの充電が可能となる。静止状態では、外部充電器のみを用いて電池が充電される。この差に基づいて、外部充電器による充電と、モーションシステムに基づく再充電との分離制御が達成される。
【0017】
本発明は、鉛酸電池用に設計された同じ充電システムを維持したまま、リチウム系電池による鉛酸電池の置換が容易な、システムおよび方法の改善に関する。リチウム系電池による鉛酸電池の置換のためのシステムおよび方法は、以下の特徴および利点を有する。
【0018】
a 本発明の充電式電池モジュールは、後に図2、3、4に示すように、メイン制御モジュールと、直列および並列の充電式電池ユニットと、充電制御スイッチと、放電制御スイッチと、放電予備スイッチと、単一電池電圧取得モジュールと、電池モジュール電流取得モジュールと、ポートキャパシタとを有する。
【0019】
b 後に図2および図4に示すように、充電式電池モジュールは、出力ポートを介して、鉛酸電池充電器に、および/または鉛酸電池負荷に普通に接続された負荷に、直接電気的に接続される。
【0020】
c 図4および関連する記載から明らかなように、メイン制御モジュールによって、PWM出力およびC66の電圧スムージング機能により制御される放電モジュールの開閉を介して、出力ポートでの鉛酸電池の通常の作動電圧が可能となり、従って、元の鉛酸電池システムの放電システムを、充電式電池モジュールとともに作動させることが可能となる。
【0021】
d また、図2および関連する記載に示すように、メイン制御モジュールによって、一連の負荷およびポート負荷の部分負荷を介して放電予備スイッチの開閉を制御することにより、出力ポートでの鉛酸電池の通常の作動電圧が可能となり、元の鉛酸電池システムが同定され、充電式電池モジュールの許容が可能となる。
【0022】
e 図4および関連する記載に示すように、メイン制御モジュールは、PWMにより、充電スイッチおよび放電スイッチのオンオフを制御し、再充電可能電池モジュールを模倣し、充電過程中の鉛酸電池の電圧および電流特性をシミュレートし、元の鉛酸電池システムが、充電式電池モジュールを同定し、許容することを可能にする。
【0023】
f 図2に示すように、二次充電式電池モジュールの放電制御スイッチは、ダイオードと並列に接続される。充電モードでは、放電制御スイッチが非接続にされ、ダイオードを介して充電電流が流れ、電池モジュールが充電される際に、並列に使用される電池間の相互分離が実現される。電流が設定ダイオード動作電流リミット(IREF)よりも大きい場合、比較器U11Aが作動して、放電スイッチを開にし、ダイオード電流が範囲から流出することが抑制される。電流がIREFよりも小さい場合、放電制御スイッチは、自動的にオフにされ、並列に接続された電池モジュール間で起こり得る、相互の充電が防止される。
【0024】
g 図2に示すように、二次充電式電池モジュールの充電制御スイッチは、ダイオードと並列に接続される。放電モードでは、充電制御スイッチは、非接続にされ、ダイオードを介して放電電流が流れ、並列に接続された電池間の相互の分離が実現される。電池モジュールの放電電流がダイオード作動電流リミット(IREF)よりも大きい場合、比較器U11Bは、放電スイッチをオンにし、ダイオード電流が許容可能な範囲を超えることが抑制される。電流がIREFよりも小さい場合、充電制御スイッチは、自動的にオフにされ、並列に接続された電池モジュールの間で起こり得る放電が抑制される。
【0025】
図1A図100には、本発明の方針を示す。接続図100には、電源(図示されていない)および鉛酸電池104に接続された充電器102が示されている。鉛酸電池104は、負荷(図示されていない)に接続される。本発明のシステムでは、同じ充電器102を使用したまま、リチウムイオン電池106による鉛酸電池104との置換が可能である。鉛酸電池104をリチウムイオン電池106で置換した場合、充電器102および負荷(図示されていない)が、鉛酸電池と相互接続されていると認識するように、置換されたリチウムイオン電池106は、通常の作動電圧内で鉛酸電池104として振る舞う必要がある。
【0026】
図1Bには、置換リチウムイオン電池106の構造150を示す。置換リチウムイオン電池106は、電池管理システム154に接続された複数の電池セル152を有する。電池管理システム154は、検知ユニット156と、充電制御ユニット158と、放電制御ユニット160とを有する。電池管理システム154は、検知ユニット156を介して、電池セル152の出力コネクタ162、164での電圧および電流をモニターするとともに、電池セルの各々における電圧および温度をモニターする。また、電池管理システム154は、出力コネクタ166、168に供給される電圧をモニターする。電池管理システム154の検知ユニット156、充電制御ユニット158、および放電制御ユニット160は、制御器により制御される。
【0027】
放電の間、リチウムイオン電池の電圧が、あるレベルよりも低下すると、通常の電池保護手順の一部として、リチウムイオン電池が通常シャットダウンされ、任意の電圧の出力が停止する。一方、鉛酸電池の電圧低下は継続し、鉛酸電池は、出力電圧をシャットダウンしない。リチウムイオン電池で鉛酸電池をエミュレーションするためには、出力コネクタ162、164での電圧レベルが低い場合であっても、リチウムイオン電池は、出力電圧を提供する必要がある。このエミュレーションを実現するため、出力コネクタ162、164での出力電圧が閾値レベルよりも低下すると、放電制御ユニット160が活性化され、出力コネクタ166、168に出力電圧が供給され、鉛酸電池の出力電圧がエミュレーションされる。
【0028】
電池充電過程の間、出力コネクタ162、164での電圧があるレベルを超えると、リチウムイオン電池は、端子166および168への接続を遮断することにより、充電プロセスを遮蔽し、電池セル152が損傷することが抑制される。一方、鉛酸電池は、継続して、その電池セルとその出力端子との間の接続を提供する。エミュレーションのため、出力コネクタ162、164での電圧が所定の閾値レベルを超えると、これは電池セルがほぼ完全に充電されたことを意味し、充電回路ユニット158が活性化され、電池セル152で大きな電圧が出力されて隣接する電池セルが充電されることが抑制される。
【0029】
鉛酸電池のバンクを複数のリチウムイオン電池のバンクと置換する際、これらのリチウムイオン電池の制御が課題となり得る。複数のリチウムイオン電池の直接的な並列接続は、電池間の充電の状態の差異のため制御が難しい。なぜなら、リチウムイオン電池の内部抵抗は小さく、一つの電池の充放電電流が別の電池に損傷を及ぼし得るからである。本発明の電池管理システムでは、リチウムイオン電池が鉛酸電池の特性をエミュレーションすることができ、従って、リチウムイオン電池による鉛酸電池の直接置換が可能となり、充電器および他の設備の再利用が可能となる。
【0030】
既存の鉛酸電池システムの充電器は、通常、最初に電池電圧をチェックし、電池電圧が鉛酸電池の通常の範囲にあるときだけ、充電手順が開始される。鉛酸電池は充電器に直接接続されるため、鉛酸電池は、鉛酸電池および充電器を保護する方法として、上記方法を採用する。また、鉛酸電池は、過剰充電および過剰放電から保護する必要があり、この保護のための一般的な方法は、充電器および負荷から切り離すことである。また、リチウムイオン電池の過剰充電および過剰放電においても、同様の安全に関する懸念がある。
【0031】
リチウムイオン電池を既存の鉛酸電池充電器とともに高い信頼性で使用することを確保するため、電池管理システムを用いて、リチウムイオン電池の充電を制御するタイミングパルス制御技術が使用される。また、本発明の電池管理システムでは、出力端子での周期的な電圧出力が可能となるタイミング制御モードが使用されるため、充電器が電池を検出できる。例えば、電池管理システムは、240秒ごとに、放電回路を10秒間開にする。電池が低充電の際に、連続的な出力の代わりに、周期的な出力を可能にすることで、リチウムイオン電池の長寿命化が可能となる。電池管理システムは、レジスタおよびMOSFETの使用を通じて、パルス幅変調(PWM)モード(パルスモード)を介して出力電圧をエミュレーションするため、リチウムイオン電池の出力端子において、鉛酸電池の出力電圧に近い出力電が利用できる。電池管理システムは置換リチウム電池を制御し、リチウム電池がアンダー電圧保護状態に入った際に、リチウム電池は、パルスモードにおいて周期的な出力電圧が可能となり、従って、リチウム電池は、その電荷をセーブし、リチウム電池が充電され得るまで、拡張された期間にわたって作動することが可能となる。
【0032】
本発明の電池管理システムでは、リチウム電池内の電池セルに直列接続されたMOSFET充電制御ユニット158およびMOSFET放電制御ユニット160が使用される。リチウム電池の充電の際、充電制御ユニット158のMOSFETのみがオンにされ、並列に接続されたリチウムイオン電池セルの充電が実施され、並列に接続されたリチウムイオン電池間の充放電が回避され、各リチウム電池の独立性が確保される。同様に、放電過程の間、直列回路において、放電制御ユニット160のMOSFETのみがオンにされ、電池間の放電および充電が回避される。
【0033】
鉛酸電池のバンクをリチウムイオン電池のバンクと置換する際、鉛酸電池と同様の電圧レベルを有するいくつかのリチウムイオン電池が並列に接続され、過剰充電保護回路が用いられ、酸電池充電器は、過剰充電とならずに、リチウムイオン電池パックの充電機能を完了する。
【0034】
図2は、本発明による一つの電池パック用の電池充電/放電制御システムの構造200である。図2には、一つの電池の制御が示されており、複数の電池が組み合わされて、電池バンクが形成され得る。各電池は、直列に接続された複数の電池セル202を有する。これらの電池セルは、レベルシフター204を介して、個々にモニターされ、これは、各電池セルの電圧および温度情報を制御器216に送信する。制御器216は、アドレス区画を介して、どのセルをモニターするかを指定する。複数の電池は、それぞれの電池の2つのコネクタ218、220を介して、充電器(図示されていない)に並列に接続される。電池は並列に接続され、異なる電池は異なる電圧を有するため、一つの電池から別の電池に充電されることを防止するため、特別な配慮がなされる。この防止は、充電制御ユニットMOSFET210および放電制御ユニットMOSFET212により行われる。充電過程の間、充電制御MOSFET210は、充電過程の状態に応じてオンまたはオフにされる一方、放電制御ユニットMOSFET212は、常時オンにされる。充電電流が小さい場合、充電電流は、充電制御ユニットMOSFET210に並列に接続されたダイオードを通って流れる;充電電流が大きい場合、充電スイッチ208により、充電制御MOSFET210がオンにされ、充電制御MOSFET210を通り、大きな充電電流が流れ、ダイオード210のオーバーヒートが抑制される。充電スイッチ208は、充電電圧を参照電圧と比較し、電圧差が所定の差を超える場合、充電制御MOSFET210をオンにする。充電制御MOSFET210がオンにされると、充電制御MOSFET210を通り、大きな充電電流が流れる。充電動作の開始時点では、電池セル202での電圧が低く、電池セル202と参照電圧の間の差が大きい場合、充電スイッチ208がMOSFET210をオンにし、それを介して大きな充電電流が流れる。電池セル202は、充電中であるため、電池セル202と参照電圧との差は小さく、充電スイッチ208は、MOSFET210をオフにし、MOSFET210と並列に接続されたダイオードを通り、小さな充電電流が流れる。
【0035】
放電電流が小さい場合、放電電流は、放電制御ユニットMOSFET212に並列に接続されたダイオードを介して流れる;放電電流が大きい場合、オーバーヒートを抑制し、ダイオードの劣化を抑制するため、放電スイッチ214により、放電制御ユニットMOSFET212がオンにされ、放電制御MOSFET212を通り、放電電流が流れる。所定の参照電圧と電池セル202からの電圧の間で、放電スイッチ214により測定される電圧差が所定の値よりも大きい場合、放電制御MOSFET212がオンにされる。
【0036】
また、本発明のシステムは、放電の間、電池パック間の相互充電を抑制する。放電の間、電池が他の隣接する電池よりも高い電圧および高い電流を有する場合、高電圧の別の電池パックによる電池の充電は回避される。なぜなら、電池は、低い放電電流を有し、その放電MOSFET212がオフにされ、放電MOSFET212と並列に接続されたダイオードを通り、小さな放電電流が流れるためである。
【0037】
図3には、制御器216の構造300を示す。制御器216は、ステータス表示ユニット302、活性化ユニット304、レベルシフトユニット308、通信ユニット312、分路抵抗器ユニット310、スイッチ制御器314、メイン制御器306、ユーザインターフェースユニット318、およびストレージユニット320を有する。制御器216は、接続ポート316を介して、外部と通信する。メイン制御器306は、指令コマンドを受信し、通信ユニット312を用いて、他の装置にデータを送信する。また、メイン制御器306は、ステータス表示ユニット302を介して、ステータス情報を表示してもよい。ステータス表示ユニット302は、LEDディスプレイまたは他の好適手段であってもよい。活性化ユニット304は、指令コマンドを受信し、メイン制御器306に指示を送信する。レベルシフトユニット308は、レベルシフター204を接続し、これを制御する。分路抵抗器ユニット310は、分路抵抗器206を接続し、これを制御する。メイン制御器306は、スイッチ制御器314を介して、充電制御MOSFET214および放電制御ユニットMOSFET208を制御する。ユーザインターフェースユニット318により、ユーザはコマンドを入力して、保護モードから電池を起動させ、または保護モードの設定を調節することができる。ストレージユニット320は、ソフトウェアコマンドプログラムおよびデータを保管する。メイン制御器306は、ソフトウェアコマンドプログラムを実行し、電池管理システムを制御する。
【0038】
図2の電池充電/放電制御システムは、通常、図4に示すように、電池充電器412に接続される。充電器412は、外部電源416のような電源、および/または電源回復システム418に接続される。プラグイン電力出口であり得る外部電源416、および電源回復システム418は、ゴルフカートの駆動システムにより再生される電力を捕集するシステムであってもよい。リチウム電池が電気モータのような負荷に接続されると、放電制御ユニットMOSFET212により、電池セル202による電流の供給が制御される。電池セル202の充電のため、充電器412が外部電源に接続されると、充電制御MOSFET210により、充電動作が制御される。
【0039】
本発明の電池充電/放電制御システムは、リチウム電池による、鉛酸電池のスムーズな置換を提供するように設計され、この目的を達成するため、充電および放電動作中、リチウム電池は、鉛酸電池と同様の挙動を示すことが必要となる。鉛酸電池の通常の動作の間、鉛酸電池の出力電圧は、充電器および負荷の動作に影響を及ぼす。リチウム電池が鉛酸電池と置換される場合、リチウム電池は、同様の出力電圧を示す必要がある。
【0040】
鉛酸電池の出力電圧は、鉛酸電池が負荷への電流の供給を継続するとともに低下する。48Vの鉛酸電池の場合、通常の作動範囲は、36Vと57.6Vの間である。24Vの鉛酸電池の場合、通常の作動範囲は、18Vと28.8Vの間である。従って、置換リチウム電池もまた、この範囲内で作動する必要がある。しかしながら、リチウム電池の出力電圧がある閾値未満に低下した場合、リチウム電池は、アンダー電圧保護(UVP)モードに入り、出力電圧または電流があるレベル未満に低下した際に、出力がオフにされる。通常、リチウム電池がUVPモードに入り、出力がカットオフされると、負荷または充電器は出力電圧を検出することができなくなる。その結果、充電器または負荷は、通常の動作ができなくなる。同様に、充電動作中にリチウム電池での電圧がある閾値を超えた場合、リチウム電池は、オーバー電圧保護(OVP)モードに入り、入力がオフにされる。各リチウム電池がUVPモードまたはOVPモードに入る電圧レベルは、各リチウム電池の特性に依存する。
【0041】
リチウム電池が鉛酸電池システムと同等の方法で動作することを確実にするため、本発明の電池管理システムでは、リチウム電池が、鉛酸電池の通常の作動範囲における出力電圧を発生させる必要があり、これは、リチウム電池が保護モードにある状態のまま、リチウム電池の順応した出力電圧を可能にする、電池管理システムにより達成される。図4に示す回路を通じて、制御器216により、鉛酸電池の通常の作動範囲におけるシミュレーションされた出力電圧が可能になる。シミュレーションされた出力電圧を提供することにより、充電動作が可能となり、充電器412は、リチウム電池セル202を充電することができる。充電動作は、前述のものと同様である。また、同様に、制御器216は、シミュレーションされた出力電圧を可能にし、これによりリチウム電池は、鉛酸電池と同様の方法で放電することができる。
【0042】
リチウムイオン電池が保護モードに入り、コネクタ218と220の間で電圧の出力が停止されると、制御器216により、電池は、PWMの原理により、所定の出力電圧を間欠的に供給することができる。所定の出力電圧は、電池の特性により調節される。例えば、放電の間、レジスタ206を通る電流により測定される、電池セル202の出力電圧が所定のレベル未満に低下すると、電池は、アンダー電圧保護モードに入る。従って、電池セル202は、完全には枯渇せず、損傷を受けなくなる。アンダー電圧保護モードに入ると、MOSFET212がシャットダウン(閉止)され、いかなる電圧も出力されなくなる。制御器216は、エミュレータMOSFET402を制御し、エミュレータMOSFET402を周期的に開にする結果、端子218および220において電圧が利用可能になる。パルスモードにおいて、電池セル202からの電流は、エミュレータMOSFET402およびレジスタ404を介して流れる。キャパシタ410を用いて、端子218と220の間の電圧変動が弱められる。制御器216は、エミュレータMOSFET402の制御を調節し、適切な電圧および供給される電圧の期間が、リチウムイオン電池がエミュレーションする鉛酸電池の特性に従って調節される。出力電圧の期間およびレベルは、制御器216により調節することができる。制御器216は、以下の式に従って、制御機能を調節する。

制御(F)=(電池セル電圧、電池セル温度、外部電圧、電池セル電流)
電池セル電圧-各電池セルの電圧
電池セル温度-各電池セルの温度
外部電圧-電池の出力端子での電圧
電池セル電流-レジスタ206で測定される電流

出力端子218と220の間にシミュレーションされた出力電圧を提供することにより、電池は、電池バンクの電池部分を形成し、充電器による検出可能な状態を維持したまま、その電荷を保護(充電を維持)することができる。
【0043】
別の例では、充電過程の間、電池セル202の電圧が所定のレベルに達すると、電池は、オーバー電圧保護モードに入り、電池セル202が過剰充電されなくなり、従って、損傷を受けなくなる。オーバー電圧保護モードに入ると、MOSFET210がシャットダウン(閉止)され、いかなる電圧も出力されなくなる。制御器216は、エミュレータMOSFET402を制御し、エミュレータMOSFET402を周期的に開にする。その結果、端子218および220において、電圧が利用可能になる。パルスモードにおいて、電池セル202からの電流は、エミュレータMOSFET402およびレジスタ404を介して流れる。キャパシタ410を用いて、端子218と220の間の電圧変動が弱められる。制御器216は、前述の方法と同様の方法で、エミュレータMOSFET402の制御を調節し、その結果、充電器によって、適切な電圧が検出できるようになり、電池は、電池バンクの一部として維持される。
【0044】
図5は、放電動作のフローチャート500である。ステップ502において、電池が負荷に接続されると、電池は負荷に電荷を供給する。電池は、負荷を駆動し、電荷が負荷に供給され、電池の電圧が低下する。ステップ504では、電池の電池管理の放電制御ユニットが出力電圧を継続的にモニターする。ステップ506において、出力電圧が所定の閾値レベル未満に低下すると、ステップ508において、電池管理システムの放電制御ユニットが電荷供給プロセスを停止する。その結果、電池セルが完全には枯渇しなくなり、損傷が回避される。電池が負荷の駆動を停止すると、ステップ510において、電池管理システムにより、電池はアンダー電圧保護モードに入る。このアンダー電圧保護モードでは、電池は、パルスモードにおいて、短い時間の間、所定の電圧を出力し、その結果、電池寿命が長時間延伸し、電池が後に充電器に接続された際に、充電器が電池の存在を検出し、その後、充電プロセスが開始される。
【0045】
図6は、充電動作のフローチャート600である。ステップ602では、充電器が電池を検出し、充電動作の開始前に、電池が予想された電気的特性を有することが検証される。ステップ604において、電池管理システムの充電制御ユニットは、電池セルを継続的にモニターし、これには、電池セル電圧をチェックすることが含まれる。ステップ606において、電池セル電圧が所定の閾値電圧を超える場合、ステップ608において、電池管理システムの充電制御ユニットが充電プロセスを停止する結果、出力端子から電池セルが分離され、出力端子における電圧がエミュレーションされることにより、オーバー電圧保護モードに入る。出力端子が充電器に接続され、高い充電電圧が示されたまま、電池は、オーバー電圧保護モードに入り、その結果、電池セルによりその電圧が出力されることが回避され、従って、並列に接続された別の電池の充電が回避される。
【0046】
電池の電荷が枯渇し、アンダー電圧保護モードに入ると、電池管理システムにより、電池は、出力端子に周期的に低い電圧を出力する。ユーザインターフェースユニット318を介して、ユーザによりタイマーが設定され、アンダー電圧保護モードの期間が制御されてもよい。タイマーの時間が切れると、電池が保護モードから出て、電池管理システムは、電池をシャットダウンする。従って、電池セルの損傷が防止される。ユーザは、ユーザインターフェースユニットを用いて、出力電圧の周期を設定し、その結果、電池の充電が長期間保護される。あるいは、ユーザは、ユーザインターフェースユニット318を使用して、電池をシャットダウンしてもよい。また、ユーザは、ユーザインターフェースユニットを使用して、電池をアンダー電圧保護モードから復旧させてもよい。ユーザは、ユーザインターフェースユニットを介した選択により、各個々の電池セルの状態をチェックすることができ、選定された電池セルの状態は、ステータス表示ユニット302により表示される。
【0047】
図7には、電池管理システムの一例の動作700を示す。ステップ702において、電池管理システムにより、端子208、220での出力電圧が所定の閾値電圧よりも低いことが検出されると、ステップ706において、電池管理システムにより、電池はアンダー電圧保護モードに入る。ステップ704において、端子電圧が所定の閾値電圧を超えると、電池の通常動作が継続される。一方、アンダー電圧保護モードにおいては、電池管理システムにより、電池が低い電圧を周期的に出力することにより(パルスモード)、鉛酸電池がエミュレーションされる。このバースト低電圧は、充電器により電池の存在を検出することが可能になるため、重要である。ステップ708において、電池管理システムにより、電池が充電器に接続されていること、すなわち出力端子での電圧が所定の電圧よりも高いことが検出されると、ステップ714において、電池管理システムにより、電池はアンダー電圧保護モードから出て、充電動作が開始される。一方、電池がアンダー電圧保護モードに入ると、タイマーが始動される。ステップ710において、タイマーが切れると、ステップ712において、電池管理システムは、動作を停止する。タイマーを使用することにより、電池セルの完全な枯渇が回避され、さらには電池セルの損傷が回避される。タイマーおよび電圧出力の周期は、ユーザインターフェースを介して、ユーザにより調節され得る。ユーザは、出力電圧の周期を下げたり、タイマーを伸ばしたりすることを選定でき、従って、電池はしばしば、長時間にわたって端子に出力電圧を提供できる。
【0048】
一方、アンダー電圧保護モードでは、電池管理システムは、電池が保護モードにあることを示す。ユーザは、ユーザインターフェースユニット318を介してコマンド指令を入力することにより、電池を「起動」する。起動コマンドは、電池管理システムに、保護モードを中断するように指示する。
【0049】
ステータス表示ユニット302は、LEDディスプレイに接続され、電池状態、充電のステージ、動作モード、充電状態、およびエラーコードを表示する。
【0050】
使用の際、本発明の電池管理システムに備えられたリチウム電池は、それぞれの出力コネクタ218、220を介して、外部負荷に並列に接続され、これにより大きな組み合わされた電流が供給できる。充電プロセスの間、充電器412は、リチウム電池の各々に充電電流を供給する。充電電流は、出力コネクタ218、電池セル202、分路抵抗器206、MOSFET210、212を介して流れ、出力コネクタ220で出力される。電池セルが枯渇すると、充電電流が定電流となり、充電電流は、電池セルの充電とともに、徐々に減少する。充電電流は、分路抵抗器206により検出され、分路抵抗器での電圧低下が、比較器208での参照電圧と比較され、これにより、MOSFET210が制御される。充電電流が大きく、電圧低下が参照電圧よりも大きい場合、MOSFET210がオンにされ、MOSFET210を介して充電電流が流れる。
【0051】
電池セルが十分に充電されて、充電電流が小さい場合、比較器208は、分路抵抗器206での電圧低下が低いことを検出し、MOSFET210をオフにする。MOSFET210がオフになると、MOSFET210と並列に接続されたダイオードを介して、小さな充電電流が流れる。充電プロセスの間、MOSFET2012はオンになる。MOSFET210がオフで、ダイオードを介して小さな充電電流が継続して流れるため、このリチウム電池が誤って放電し、同様に接続された隣接するリチウム電池が損傷することが回避される。
【0052】
放電プロセスの間、放電電流は、反対方向に流れる。放電電流は、電池セル202から、出力コネクタ218、外部負荷を介して流れ、出力コネクタ220、MOSFET212、210、および分路抵抗器206に戻る。放電電流は、初期に大きく、徐々に減少する。放電電流が大きくなると、MOSFET212がオンになり、分路抵抗器206により検出される放電電流が減少すると、比較器214によりオフにされる。放電プロセスの間、MOSFET210は、オンである。
【0053】
放電電流が低いレベルにまで低下すると、電池セル202への損傷を抑制するため、MOSFET210がオフになり、MOSFET212と並列に接続されたダイオードを介して、小さな放電電流が流れる。小さな電流により、充電器412は、リチウム電池の存在を検出できる。小さな電流は、前述のように、PWMモードまたはPFMモードにおいて出力され、リチウム電池の保管寿命が延伸される。
【0054】
MOSFET210、212は、リチウム電池を介して流れる電流の経路を制御し、それらの動作は、制御器216、および比較器208、214により制御される。以下の表には、MOSFETの動作をまとめて示す。
【0055】
【表1】
放電プロセスが完了し、各電池セルが消耗すると、MOSFET210がオフにされる。MOSFET210がオフになると、前述のように、パルスモードにおいて、エミュレータMOSFET402が周期的にオンにされ、抵抗器404、406、408が並列になり、電圧が出力コネクタ218、220に供給される。適切な抵抗器を選択することにより、リチウム電池は、充電プロセスが始まる前に充電器が予測し検出する特定の電圧をエミュレーションするように構成される。
【0056】
製造後の電池を出荷する際、電池は、出荷モード用に調整され、端子218、220に出力電圧は生じない。電池が充電器412に接続され、あるいはユーザインターフェースユニット318からのコマンド指令が受信されると、電池は出荷モードから退出する。電池が出荷モードから退出すると、前述のように、パルスモードにおいて、エミュレータMOSFET210が周期的にオンにされる。パルスモードの周期は、ユーザコマンドを介して調節され得る。パルスモードを調節することにより、電池の保管寿命が延伸される。電圧を出力端子で利用可能にすることにより、電池がいったん使用に供されると、負荷または充電器により、電池の利用可能性が検出される。パルスモードにおいて電圧を出力する期間は、前述のように、タイマーにより調整され得る。
【0057】
本発明の電池管理システムは、さらに、エネルギー再生ユニット418に結合され、このエネルギー再生ユニット418は、図4に示すように、移動車両またはゴルフカートのブレーキングの間に回収されたエネルギーを収集する。エネルギー再生ユニット418は、ある動作サイクルにおいてエネルギーを逸散する、いかなるシステム上に組み立てられてもよい。逸散エネルギーは、エネルギー再生ユニット418により回収され、充電式電池の充電に利用される。充電器412は、外部電源416(図示されていない)またはエネルギー再生ユニット418からのエネルギーを用いて、充電式電池を充電することができる。エネルギー再生ユニット418は、別個の充電器に交互に接続されてもよく、スイッチ(図示されていない)を使用して、外部電源416に接続された充電器を用いて、またはエネルギー再生ユニット418からの回収エネルギーを用いて、電池を充電するかどうかを選定してもよい。
【0058】
エネルギー再生ユニット418を充電器412に接続するかどうかの決定は、制御器216により制御され、制御器216は、モーション検出器414から受信した情報(モーションインジケータ)、およびエネルギー再生ユニット418の出力ポートで検出された電圧に基づいて、そのような決定を行う。モーション検出器414および制御器216は、単一のチップで実施されても、あるいは別個の装置として実施されてもよい。モーション検出器414は、それが搭載された車両が動いているかどうかを示すことができる。
【0059】
図8は、モーション検出器414を備え、エネルギー再生ユニット418に接続された電池管理システムの再充電動作のフローチャート800である。ステップ802では、制御器216は、モーション検出器414から、車両またはゴルフカートが動いているかどうかを示すデータを受信する。また、ステップ804において、制御器216は、エネルギー再生ユニット418からの出力電圧をモニターする。ステップ806では、エネルギー再生ユニット418からの出力電圧が電池の充電電圧よりも小さい(大きくない)場合、これは、いかなる回収エネルギーも利用できないことを示し、ステップ808において、充電動作が必要ではなくなる。ステップ810において、エネルギー再生ユニット418からの出力電圧が電池よりも大きい場合、再充電回路が構築され、エネルギー再生ユニット418は、充電器412に接続される。再充電回路は、充電器412内にある。ステップ812では、車両が動いているかどうかがチェックされる。ステップ814では、車両が移動している場合、エネルギー再生ユニット418は、充電器413に接続され、ステップ818では、エネルギー再生ユニット418からのエネルギーを用いて、電池が充電される。ステップ816では、車両が移動していない場合、充電器412は、外部電源に接続され、この電源からの電圧が電池の充電に使用される。図8に示したステップは、同じ結果を得るため、異なる順番で実行されてもよい。電池の充電電圧に関する情報は、制御器216に接続されたストレージユニットから、または電池から読み出されてもよい。
【0060】
図9は、充電プロセスを停止させる動作のフローチャート900である。エネルギー再生ユニット418からの回収エネルギーにより、電池が充電される間、制御器216は、エネルギー再生ユニット418からの出力電圧を継続的にモニターする。エネルギーが消費されるにつれて、エネルギー再生ユニット418からの出力電圧は、低下する。ステップ904では、出力電圧が電池の充電電圧よりも高くなると、充電動作が継続される。ステップ902では、出力電圧が充電電圧未満に低下すると、制御器216は、充電器412に、再充電回路をシャットダウンするように指示し、ステップ906では、エネルギー再生ユニット418が充電器412から遮断される。電池とエネルギー再生ユニット418の間の接続のシャットダウンにより、充電動作が停止される。
【0061】
エネルギー再生ユニット418からのエネルギーを用いた再充電処理プロセスの間、上記図6および関連の説明により示したような、電池セルの過剰充電に対する同様の保護が提供される。
【0062】
特に、示され説明された好適実施例を参照して本発明について示したが、当業者には、以下の特許請求の範囲に示された本発明の思想および範囲から逸脱しないで、形態および細部での各種変更が可能であることが理解される。また、本発明の素子は、単一物として、明細書および特許請求の範囲に記載されているが、単一物であることが明確に記載されていない限り、複数物で実施されてもよい。本願明細書内の異なる実施例における異なる特徴物の組み合わせも予想され、本発明の範囲に属する。
【0063】
図5乃至8の内容において、示されたステップに関し、いかなる特定の動作の順番も必要ではなく、それらを意図するものでもない。動作は、順番に実施されても、平行に実施されてもよい。当該方法は、一連の機械可読指令を実行する制御器により実施されてもよい。指令は、各種タイプの信号ベアリングまたはデータストレージ媒体に置かれてもよい。
【符号の説明】
【0064】
102 充電器
104 鉛酸電池
106 リチウム電池
150 構造
152 電池セル
156 検知ユニット
158 充電制御ユニット
160 放電制御ユニット
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9