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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】人工シャトルコック
(51)【国際特許分類】
   A63B 67/19 20160101AFI20220330BHJP
【FI】
A63B67/19
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020143128
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2021030090
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】108130917
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516152985
【氏名又は名称】ビクター ラケッツ インダストリアル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】シュー-ジン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ツ-ウェイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】シン-チェン ワン
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-202002(JP,A)
【文献】特開平09-168619(JP,A)
【文献】特表2000-502588(JP,A)
【文献】実開昭59-026676(JP,U)
【文献】実開昭51-075372(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0139347(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 67/18 - 67/197
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工シャトルコックであって、ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片と、第1連結部材と、第2連結部材と、第3連結部材を含み、
該ベース本体が上面と、凹部と凸面を備え、該凸面が該上面に相対する一側に位置し、該凹部が該上面に設けられ、該凹部が該上面から該凸面の方向に向かって延伸され、該凹部の体積が該ベース本体に占める体積の割合が、1%~7%の間である、
該複数の羽軸が相対する第1端と第2端をそれぞれ備え、該複数の羽軸の該第1端が該ベース本体の該上面に挿設され、
該複数の羽片が該複数の羽軸の該第2端近くに結合され、さらに該複数の羽片のうち2枚が該複数の羽軸のうちの1本に結合され、
該第1連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ該ベース本体近くに配置され、
該第2連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ該羽片近くに配置され、
該第3連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ該第1連結部材と該第2連結部材の間に配置される、
ことを特徴とする、人工シャトルコック。
【請求項2】
相隣する2つの前記羽軸が間隔範囲を有し、該第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材が該複数の羽軸に結合され、相隣する2つの該羽軸が該間隔範囲内に固定される、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項3】
前記第1連結部材と該ベース本体の距離が5ミリメートル~14.5ミリメートルの間である、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項4】
前記第2連結部材と該羽片の距離が、0.01ミリメートル~5ミリメートルの間である、ことを特徴とする、請求項3に記載の人工シャトルコック。
【請求項5】
前記第2連結部材と該ベース本体の距離が、17.5ミリメートル~29ミリメートルの間である、ことを特徴とする、請求項4に記載の人工シャトルコック。
【請求項6】
前記第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材がそれぞれ線材であり、該複数の羽軸に巻回される、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項7】
前記第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材が相互に平行である、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項8】
前記第3連結部材と該第1連結部材及び該第2連結部材の距離が、5ミリメートル~17.5ミリメートルの間である、ことを特徴とする、請求項7に記載の人工シャトルコック。
【請求項9】
前記凹部が該上面において対称の形状を呈する、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項10】
前記凹部が該上面の円心を基準として対称の形状を呈する、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項11】
前記凹部と該上面が同心円の方式で配置される、ことを特徴とする、請求項10に記載の人工シャトルコック。
【請求項12】
前記凹部が円形、またはリング形である、ことを特徴とする、請求項11に記載の人工シャトルコック。
【請求項13】
前記ベース本体と同じ材料を該凹部に充填した後の重量が、該ベース本体の原初の重量より0.06グラム~0.10グラム増加する、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項14】
前記羽軸の材質が、炭素繊維強化プラスチック材料を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【請求項15】
前記複数の羽片がそれぞれ2つの穿通孔を含み、該2つの穿通孔がそのうち1つの該羽軸の相対する二側にそれぞれ位置する、ことを特徴とする、請求項1に記載の人工シャトルコック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工シャトルコックに関する。
【背景技術】
【0002】
バドミントンはよく見受けられる盛んな球技運動であり、プレイヤーがシャトルコックを打って試合をする。従来のシャトルコックは主に天然羽根をベース本体に結合した構造である。そのうち、天然羽根はほとんどがガチョウの羽またはアヒルの羽であり、漂白と選別後シャトルコックに使用される。しかしながら、天然羽根の取得は困難になってきており、かつ選別の工程が繁雑で、手間がかかる。このため、市場には人工シャトルコックもあり、天然羽根の不足と選別の繁雑さの問題解決を試みている。
【0003】
多くの人工シャトルコックはナイロン製の軟質羽根で天然羽根を置き換え、軟質羽根の構造により打撃時に発生する気流の荷重を受けているが、このような軟質羽根製のシャトルコックは、その提供する打撃の触感が天然羽根製のシャトルコックに及ばず、使用者に受け入れられることが難しい。また、現在繊維強化プラスチック材料を羽軸として、軽い発泡材料を羽片とする設計もあり、このタイプの人工シャトルコックは外観が天然シャトルコックと相似しており、かつ打撃の触感も軟質羽根製のシャトルコックより優れている。しかしながら、繊維強化プラスチック材料の羽軸は強度(靭性)と耐用性がいずれも天然シャトルコックの羽軸に劣る。
【0004】
図1に従来の人工シャトルコック9の概略図を示す。図1に示すように、一般に、人工シャトルコック9はベース本体91と、複数の羽軸92と、複数の羽片93と、2つの連結部材94等の構造を含む。羽片93が羽軸92の一端に連結され、羽軸92の他端がベース本体91に挿設される。連結部材94が羽軸92に巻回され、これにより相隣する2つの羽軸92の間隔が固定される。羽軸の耐用性を高めるために、人工シャトルコック9の羽軸92を炭素繊維材料とした(例:CN201520145603.0号実用新案実願)設計もあり、これにより羽軸92の強度(靭性)と耐用性を高めている。しかしながら、炭素繊維材料で製造された羽軸92は逆にベース本体91と羽軸92の損壊を引き起こし、羽軸92が断裂しやすい。例えばスマッシュのとき、羽軸92が強大な外力を受け、羽軸92がベース本体91に挿設されている区域Aに応力が集中し、羽軸92の断裂が引き起こされ、かつベース本体91と最も近い連結部材94の間で断裂し、人工シャトルコック9全体の耐用性が低下するため、改良の必要がある。なお、図面を簡潔にするために、図1ではそのうち1つの羽軸92を例として区域A、Bを表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】CN201520145603.0号実用新案実願
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の課題に鑑み、本発明の主な目的は、羽軸とベース本体を連結する新規的構造設計により、従来の炭素繊維材料による羽軸で構成された人工シャトルコック全体の耐用性が低下する問題を解決できる、人工シャトルコックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の人工シャトルコックは、ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片と、第1連結部材と、第2連結部材と、少なくとも1つの第3連結部材を含み、ベース本体が上面と、凹部を備え、凹部が上面に設けられ、該複数の羽軸が相対する第1端と第2端をそれぞれ備え、該複数の羽軸の第1端がベース本体の上面に挿設され、該複数の羽片が該複数の羽軸のいずれか1つの第2端近くに結合され、第1連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつベース本体近くに配置され、第2連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ羽片近くに配置され、第3連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ第1連結部材と第2連結部材の間に配置される。
【0008】
本発明の一実施例によれば、相隣する2つの羽軸が間隔範囲を備え、第1連結部材、第2連結部材、第3連結部材が該複数の羽軸に連結され、相隣する2つの該羽軸が該間隔範囲内に固定される。
【0009】
本発明の一実施例によれば、第1連結部材とベース本体の距離が5ミリメートル~14.5ミリメートルの間である。
【0010】
本発明の一実施例によれば、第2連結部材と羽片の距離が0.01ミリメートル~5ミリメートルの間である。
【0011】
本発明の一実施例によれば、第2連結部材とベース本体の距離が17.5ミリメートル~29ミリメートルの間である。
【0012】
本発明の一実施例によれば、第1連結部材、第2連結部材、第3連結部材は同じ構成部材である。
【0013】
本発明の一実施例によれば、第1連結部材、第2連結部材、第3連結部材はそれぞれが線材であり、該複数の羽軸に巻回される。
【0014】
本発明の一実施例によれば、第1連結部材、第2連結部材、第3連結部材が相互に平行である。
【0015】
本発明の一実施例によれば、第3連結部材と第1連結部材及び第2連結部材の距離が実質的に同じである。
【0016】
本発明の一実施例によれば、第3連結部材と第1連結部材及び第2連結部材の距離が5ミリメートル~17.5ミリメートルの間である。
【0017】
本発明の一実施例によれば、ベース本体がさらに凸面を含み、上面に相対する一側に位置し、凹部が上面から凸面の方向に向かって延伸される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、凹部が上面において対称の形状である。
【0019】
本発明の一実施例によれば、凹部が上面の円心を基準として対称の形状である。
【0020】
本発明の一実施例によれば、凹部が上面と同心円で配置される。
【0021】
本発明の一実施例によれば、凹部が円形またはリング形である。
【0022】
本発明の一実施例によれば、凹部の体積がベース本体の体積に占める割合が1%~7%の間である。本発明の一実施例によれば、凹部に該ベース本体と同じ材料を充填した後の重量が原初の重量より0.06グラム~0.10グラム増加する。
【0023】
本発明の一実施例によれば、羽軸の材質が炭素繊維強化プラスチック材料を含む。
【0024】
本発明の一実施例によれば、羽片がそれぞれ2つの穿通孔を含み、該2つの穿通孔が羽軸の相対する二側にそれぞれ位置する。
【発明の効果】
【0025】
上述を受けて、本発明による人工シャトルコックは、その第1連結部材、第2連結部材、第3連結部材等の少なくとも3本の連結部材で羽軸を固定し、羽軸の揺動幅が減少される。また、ベース本体が凹部を備え、これによりベース本体の構造を破壊し、ベース本体と羽軸間の応力集中を減少して、羽軸の断裂を防止することができる。前述の2つの新規的な構造設計により、人工シャトルコックの耐用性を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の人工シャトルコックの概略図である。
図2】本発明の一実施例のシャトルコックの立体図である。
図3図2の人工シャトルコックの分解図である。
図4図2の人工シャトルコックの断面図である。
図5図1の人工シャトルコックの上面図である。
図6図4の人工シャトルコックの部分概略図である。
図7】本発明の別の一実施例の人工シャトルコックの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の技術内容についてさらに理解を深められるように、特に具体的な実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0028】
図2に本発明の一実施例の人工シャトルコックの立体図、図3図2の人工シャトルコックの分解図、図4図2の人工シャトルコックの断面図をそれぞれ示す。同時に図2図3図4を参照する。本実施例の人工シャトルコック1は、ベース本体10と、複数の羽軸20と、複数の羽片30と、連結ユニット40を含む。そのうち、連結ユニット40は、第1連結部材41と、第2連結部材42と、少なくとも1つの第3連結部材43を含み、本実施例は1本の第3連結部材43を例とする。
【0029】
本実施例のベース本体10は、上面11と、凹部12と、凸面13を備え、凸面13は上面11に相対する一側に位置する。ベース本体10のそのうち一側は半円柱体構造であり、凸面13は半円柱体構造の表面である。上面11と凸面13はベース本体10の相対する2表面に位置し、かつ上面11に羽軸20が挿設される。また、凹部12は上面11に設けられ、かつ凹部12は上面11から凸面13の方向に向かって延伸される。つまり、図4に示すように、凹部12は上面11からベース本体10内部に向かって延伸された凹陥槽である。
【0030】
図5図1の人工シャトルコックの上面図である。図4図5を同時に参照する。本実施例において、凹部12は上面11において対称の形状を呈し、例えば円形、リング形、四辺形、八辺形、十六変形等の多辺形状である。好ましくは、凹部12は上面11の円心Cを基準として対称の形状を呈し、例えば、円形、リング形、または前述の対称の多辺形とすることができるが、これらに限らない。より好ましくは、凹部12と上面11が同心円の方式で配置され、このとき凹部12は円形またはリング形とすることができ、本実施例の凹部12は円形を例とする。本実施例において、凹部12の体積がベース本体10の体積に占める割合は1%~7%の間である。一般に、ベース本体10の体積は約10,866mmであるため、凹部10(中空部分)の体積は414mm~692mmの間であり、本実施例の凹部10の体積是553mmである。
【0031】
人工シャトルコック1の製造時は、まず凹部12を具備しないベース本体91(従来技術のベース本体91と同じであるため、同じ符号で示す)を用意する。続いて、ベース本体91の上面の円心を中心点として、円形など対称の形状をくり抜き、本実施例のベース本体10及びその凹部12を形成する。具体的には、直径約8ミリメートルの円形を描き、その円心がベース本体91上面の円心と同じになるようにする(図5参照)。続いて、描いた円形範囲に従い、ベース本体91内部に深さ約11ミリメートル~11.5ミリメートルの凹陥槽をくり抜き(図4参照)、体積が553mmの凹部12を形成し、本実施例のベース本体10及びその凹部12とする。ベース本体10(またはベース本体91)が軟木材質である場合、くり抜く軟木の重量は約0.06グラム~0.10グラム、好ましくは0.08グラムである。つまり、ベース本体10と同じ材料(例えば軟木)を凹部12(体積が553mm)に充填した後の重量(即ち、ベース本体91の重量)は、ベース本体10の原初重量より0.06グラム~0.10グラム、好ましくは0.08グラム増加する。ここで説明すべきは、凹部12の形成でくり抜く重量が第3連結部材43の数量と関係があることである。本実施例中において、第3連結部材43は1本を例とするため、くり抜く重量は0.06グラム~0.10グラムである。他の実施例において、第3連結部材43の数量を増加する場合、くり抜く重量も等比で増加する。即ち、凹部12の体積も等比で増加する。
【0032】
図2図3に示すように、各羽軸20はそれぞれ相対する第1端21と第2端22を備える。複数の羽軸20が間隔をあけてベース本体10に設置され、かつ羽軸20の第1端21がベース本体10の上面11に挿設される。また、羽軸20の第2端22に羽片30が結合され、即ち、羽片30が羽軸20のうちのいずれかの第2端22近くにそれぞれ結合される。本実施例において、羽軸20の材質は炭素繊維強化プラスチック材料であり、羽軸20の耐用性が高められる。具体的に、本実施例の羽軸20はユニダイレクショナル(unidirectional、UD)炭素繊維布と編織ガラス繊維布を重ねて構成され、羽軸20の強度と耐用性を高めることができる。
【0033】
好ましくは、羽片30は接着剤を利用して羽軸20の第2端22近くに連結される。本実施例において、羽片30が2枚ずつ1本の羽軸20にそれぞれ結合される。即ち、複数の羽片30のうち2枚が複数の羽軸20のうちの1本に結合される。また、2枚の羽片30が該羽軸20の相対する二側にそれぞれ結合される。具体的には、2枚の羽片30のそのうち一表面に接着剤を塗布し、接着剤を有する表面を羽軸20の相対する二側に貼り付け、最後に2枚の羽片30のその他部分を圧迫し、2枚の羽片30を相互に接着させる。好ましくは、先に羽片30を羽軸20に接着してから、羽軸20の第1端21をベース本体10に挿設することができる。
【0034】
また、本実施例の羽片30は人工羽片とし、天然の羽毛を置き換えることができる。そのうち、羽片30は密度が0.9g/cm~1.48g/cmの間のプラスチックで製造され、プラスチックの種類は、例えば、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear low density polyethylene、LLDPE)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(acrylonitrile-butadiene-styrene、ABS)、ポリアミド(polyamide、PA)及び発泡性ポリエチレン(extruded polyethylene、EPE)等のプラスチック材質とすることができるが、これらに限らない。好ましくは、羽片30は低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の組み合わせとすることができる。また、羽片30の全体構造は天然シャトルコックの羽根の構造にほぼ対応している。具体的には、羽片30は相互に対称の構造であり、かつ羽軸20を対称軸として相互に対称の構造を呈し、例えば凧形の構造とすることができる。
【0035】
羽軸20は間隔をあけてベース本体10に設置された後、さらに連結ユニット40を利用して相隣する2つの羽軸20の間隔が固定される。本実施例の連結ユニット40は、3本の連結部材、即ち第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43で構成される。つまり、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43が羽軸20に連結される。そのうち、ベース本体10に近いものが第1連結部材41、羽片30に近いものが第2連結部材42であり、第3連結部材43は第1連結部材41と第2連結部材42の間に配置される。
【0036】
具体的には、相隣する2つの羽軸20が間隔範囲SRを有し、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43が羽軸20に連結され、相隣する2つの羽軸20を間隔範囲SR内に固定する。説明すべきは、羽軸20をベース本体10の上面11に斜めに挿設できるため、相隣する2つの羽軸20の間隔は一定値ではなく、第2端22に近いほど間隔が大きくなる。このため、ここで使用する間隔範囲SRは一定値ではない。本実施例において、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43は同じ構造部材とすることができる。好ましくは、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43がそれぞれ線材であり、羽軸20に巻回され、それにより羽軸20間の間隔が固定される。好ましくは、當第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43が羽軸20に巻回された後、さらに接着剤が第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43及びそれらに接触する羽軸20に塗布される。
【0037】
人工シャトルコック1の製造時は、まず第1連結部材41と第2連結部材42を設置し、続いて第3連結部材43を第1連結部材41と第2連結部材42の間に配置することができる。図6図4の人工シャトルコックの部分概略図を示す。各構造の寸法を表示したものであるため、一部構造を省略している。図4図6を同時に参照する。本実施例の羽軸20がベース本体10外側に露出された長さL1は61.5ミリメートル~66ミリメートルの間とすることができ、羽片30の長さL2は36ミリメートル~39ミリメートルの間とすることができる。本実施例において、第1連結部材41とベース本体10の距離D1は5ミリメートル~14.5ミリメートルとすることができ、好ましくは8ミリメートルとすることができる。また、第2連結部材42と羽片30の距離D2は0.01ミリメートル~5ミリメートルとすることができる。つまり、第2連結部材42は羽片93に隣接することもできる(例えば距離D2を0.01ミリメートルとする)。第2連結部材42とベース本体10の距離D3は17.5ミリメートル~29ミリメートルの間とすることができる。
【0038】
第1連結部材41及び第2連結部材42の相対位置の確定後、第3連結部材43を第1連結部材41と第2連結部材42の間に配置する。好ましくは、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43が相互に平行であり、したがって、第3連結部材43と第1連結部材41及び第2連結部材42の距離D4は実質上同じであるため、図6においてはいずれも距離D4と表示されている。その他の実施例において、第3連結部材43と第1連結部材41及び第2連結部材42の距離は同じでなくともよく、本発明は特に制限しない。好ましくは、第3連結部材43と第1連結部材41及び第2連結部材42の距離D4は5ミリメートル~17.5ミリメートルの間とすることができる。
【0039】
表1に各種構造の人工シャトルコックの耐用性試験結果を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上の表に示す耐用性試験結果から分かるように、同時に条件(1)3本の連結部材(即ち、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43がある)と条件(2)ベース本体10に凹部12がある、を満たすと、耐用性が大幅に向上される。つまり、表1のD、E、FはA(従来の人工シャトルコック9)と比較して、スマッシュ数約3倍以上(例えば、7回のスマッシュから25回以上のスマッシュに向上)の耐用性に向上されている。
【0042】
図1に示す従来の人工シャトルコック9(表1のA)は2本の連結部材94しかないため、打者がスマッシュで人工シャトルコック9を打撃すると、連結部材94の羽軸92に対する束縛力が弱く、かつベース本体91と羽軸92がいずれも比較的強い構造であるため、ベース本体91(図1の区域A)において羽軸92の応力が集中する状況が生じ、羽軸92がベース本体91と最も近い連結部材94の間で断裂しやすくなる。しかしながら、連結部材の数量を増加する(3本)だけによって羽軸の束縛力を高める場合、表1のCのように、向上できる耐用性には限りがあり、増加するスマッシュ数は2倍未満である。また、ベース本体に凹部を形成し、ベース本体と羽軸間の応力集中の状況を減少するだけの場合、表1のBのように、例えば同様に7回のスマッシュ、羽軸の断裂数量が5本から2本に減少するなど、これも若干耐用性を向上できるのみである。
【0043】
本実施例の人工シャトルコック1(表1のD)は、第1連結部材41、第2連結部材42、第3連結部材43等少なくとも3本の連結部材で羽軸20を固定し、羽軸20の揺動幅を減少している。このほか、さらに凹部12の設置により、ベース本体10の構造を破壊し、ベース本体10と羽軸20間の応力集中の状況を減少することで、人工シャトルコック1の耐用性を大幅に向上することができる。
【実施例2】
【0044】
図7に本発明の別の一実施例の人工シャトルコック1aを示す。図7を参照する。本実施例において、羽片30aはそれぞれ2つの穿通孔31a、31bを含み、かつ穿通孔31a、31bはそれぞれ羽軸20の相対する二側に配置される。本実施例の人工シャトルコック1aと前述の実施例の人工シャトルコック1aの違いは、羽片30aの構造にあるため、その他部材は前述の実施例の符号をそのまま用いる。好ましくは、穿通孔31a、31bの長さは8.2ミリメートル~10.7ミリメートルの間とすることができ、幅は1ミリメートル~3ミリメートルの間とすることができる。本実施例の穿通孔31a、31bの長さは8.65ミリメートルを例とし、幅は1ミリメートルを例とする。本実施例において、羽軸20の二側にそれぞれ穿通孔31a、31bを設置するだけで、異なる風の抗力を生み出し、打撃の触感を向上する効果を達成できる。
【0045】
上述をまとめると、本発明による人工シャトルコックは、その第1連結部材、第2連結部材、第3連結部材等の少なくとも3本の連結部材で羽軸を固定し、羽軸の揺動幅が減少される。また、ベース本体が凹部を備え、これによりベース本体の構造を破壊し、ベース本体と羽軸間の応力集中を減少して、羽軸の断裂を防止することができる。前述の2つの新規的な構造設計により、人工シャトルコックの耐用性を大幅に向上することができる。
【0046】
上述の実施例は説明の利便性のために例を挙げたまでであり、本発明の主張する権利範囲は特許請求の範囲に準じ、上述の実施例に限らないことに注意すべきである。
〔付記1〕
人工シャトルコックであって、ベース本体と、複数の羽軸と、複数の羽片と、第1連結部材と、第2連結部材と、少なくとも1つの第3連結部材を含み、

該ベース本体が上面と凹部を備え、該凹部が該上面に設けられ、
該複数の羽軸が相対する第1端と第2端をそれぞれ備え、該複数の羽軸の該第1端が該ベース本体の該上面に挿設され、
該複数の羽片が該複数の羽軸の羽軸のいずれか1つの該第2端近くに結合され、
該第1連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ該ベース本体近くに配置され、
該第2連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ該羽片近くに配置され、
該少なくとも1つの第3連結部材が該複数の羽軸に連結され、かつ該第1連結部材と該第2連結部材の間に配置される、
ことを特徴とする、人工シャトルコック。
〔付記2〕
相隣する2つの前記羽軸が間隔範囲を有し、該第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材が該複数の羽軸に結合され、相隣する2つの該羽軸が該間隔範囲内に固定される、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
〔付記3〕
前記第1連結部材と該ベース本体の距離が5ミリメートル~14.5ミリメートルの間である、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
〔付記4〕
前記第2連結部材と該羽片の距離が、0.01ミリメートル~5ミリメートルの間である、ことを特徴とする、付記3に記載の人工シャトルコック。
〔付記5〕
前記第2連結部材と該ベース本体の距離が、17.5ミリメートル~29ミリメートルの間である、ことを特徴とする、付記4に記載の人工シャトルコック。
〔付記6〕
前記第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材が同じ部材である、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
〔付記7〕
前記第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材がそれぞれ線材であり、該複数の羽軸に巻回される、ことを特徴とする、付記6に記載の人工シャトルコック。
〔付記8〕
前記第1連結部材、該第2連結部材、該第3連結部材が相互に平行である、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
〔付記9〕
前記第3連結部材と該第1連結部材及び該第2連結部材の距離が実質的に同じである、ことを特徴とする、付記8に記載の人工シャトルコック。
〔付記10〕
前記第3連結部材と該第1連結部材及び該第2連結部材の距離が、5ミリメートル~17.5ミリメートルの間である、ことを特徴とする、付記8に記載の人工シャトルコック。
〔付記11〕
前記ベース本体がさらに凸面を含み、該上面に相対する一側に位置し、該凹部が該上面から該凸面の方向に向かって延伸される、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
〔付記12〕
前記凹部が該上面において対称の形状を呈する、ことを特徴とする、付記11に記載の人工シャトルコック。
〔付記13〕
前記凹部が該上面の円心を基準として対称の形状を呈する、ことを特徴とする、付記11に記載の人工シャトルコック。
〔付記14〕
前記凹部と該上面が同心円の方式で配置される、ことを特徴とする、付記12に記載の人工シャトルコック。
〔付記15〕
前記凹部が円形、またはリング形である、ことを特徴とする、付記13に記載の人工シャトルコック。
〔付記16〕
前記凹部の体積が該ベース本体に占める体積の割合が、1%~7%の間である、ことを特徴とする、付記14に記載の人工シャトルコック。
〔付記17〕
前記ベース本体と同じ材料を該凹部に充填した後の重量が、該ベース本体の原初の重量より0.06グラム~0.10グラム増加する、ことを特徴とする、付記16に記載の人工シャトルコック。
〔付記18〕
前記羽軸の材質が、炭素繊維強化プラスチック材料を含む、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
〔付記19〕
前記複数の羽片がそれぞれ2つの穿通孔を含み、該2つの穿通孔がそのうち1つの該羽軸の相対する二側にそれぞれ位置する、ことを特徴とする、付記1に記載の人工シャトルコック。
【符号の説明】
【0047】
1、1a、9 人工シャトルコック
10、91 ベース本体
11 上面
12 凹部
13 凸面
20、92 羽軸
21 第1端
22 第2端
30、30a、93 羽片
31a、31b 穿通孔
40 連結ユニット
41 第1連結部材
42 第2連結部材
43 第3連結部材
94 連結部材
A 区域
C 円心
D1、D2、D3、D4 距離
L1、L2 長さ
SR 間隔範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7