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特許7049418クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法
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  • 特許-クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法 図1
  • 特許-クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法 図2
  • 特許-クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法 図3
  • 特許-クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法 図4
  • 特許-クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20220330BHJP
   F16M 1/021 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
F02F7/00 301F
F16M1/021 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020152359
(22)【出願日】2020-09-10
(62)【分割の表示】P 2018185643の分割
【原出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2021001605
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(73)【特許権者】
【識別番号】592215583
【氏名又は名称】株式会社加地テック
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】植田 秀作
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0348664(US,A1)
【文献】実開昭55-177082(JP,U)
【文献】特開平10-299573(JP,A)
【文献】特開2015-021401(JP,A)
【文献】特開2012-013041(JP,A)
【文献】実開昭59-042315(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00~39/16
F02F 7/00
F16M 1/021
F16C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランク軸が内部に配置されるために上面が開放され、該クランク軸が内部に配置された略矩形筺状のクランク室と、
前記クランク室内に固定された円環状の軸受メタル装着部に装着され、前記クランク軸を挿通させている軸受メタルと、
前記クランク室に固定され、内周面が前記軸受メタル装着部と同軸であって、前記クランク軸を挿通させている円環状の両端キャップと、
前記両端キャップの端面に取付けられ、前記クランク軸との間をシールするシール部材と
前記両端キャップと別体の部品であって、前記クランク室の両端面部の該両端キャップから該クランク室の上端に亘る開口を塞いでいる両端カバーと
を備えことを特徴とするクランクケース。
【請求項2】
鋳造成形物の一部を切削加工する部品であってそれぞれ半環状の両端キャップ上部及び両端キャップ下部を、略矩形筺状に形成したクランク室と同時切削加工しておき、
鋳造成形物の一部を切削加工する部品であって前記クランク室の開放された両端面部を閉蓋する両端カバーを切削加工しておき、
第1工程として、前記クランク室の開放された上面から、該クランク室内にクランク軸を挿入
第2工程として、前記クランク室内に前記クランク軸を配置
第3工程として、内部に前記クランク軸を挿通させる軸受メタルが装着される円環状の軸受メタル装着部を構成し、
第4工程として、前記両端キャップ上部及び前記両端キャップ下部により、内周面が前記軸受メタル装着部と同軸であって、内部に前記クランク軸を挿通させる円環状の両端キャップを構成
第5工程として、前記両端キャップの端面に、前記クランク軸との間をシールするシール部材を取付け、
両端カバー取付け工程として、前記両端キャップと別体の部品である前記両端カバーによって、前記クランク室の両端面部の該両端キャップから該クランク室の上端に亘る開口を塞ぐことを特徴とするクランクケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法に関し、より詳しくは、構成各部品の形状及び切削加工箇所を的確にして、製造を容易化したクランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランク軸を支持するクランクケースは、凹部や貫通孔が形成され、これら凹部や貫通孔の内周部を軸受けとしてクランク軸を支持するようになっている(特許文献1)。
【0003】
クランクケースは、鋳造で作成するのが一般的であり、軸受けとなる箇所及び軸受キャップ等の部品が取付けられる箇所は、切削加工によって、精度の高い面に仕上げる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3844204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クランクケースの製造工数は、鋳造後の切削加工箇所の多寡及び手順と、各部品の組立手順とによって大きく左右される。
【0006】
そこで、本発明は、構成各部品の形状及び切削加工箇所を的確にして、製造を容易化したクランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0009】
1.
クランクケースであって、
クランク軸と、
略矩形筺状で上面が前記クランク軸が内部に配置されるために開放され、該クランク軸が内部に配置されたクランク室と、
前記クランク室内に固定された円環状の軸受メタル装着部に装着され、前記クランク軸を挿通させている軸受メタルと、
前記クランク室内に固定され、前記クランク軸の一端側を挿通させている円環状の両端キャップと、
前記両端キャップの端面に取付けられ、前記クランク軸との間をシールするシール部材と
を備え、
前記両端キャップは、鋳造成形物の一部が切削加工面となっている部品であり、前記両端キャップの端面は、切削加工面であって、同一平面上にあり、
前記クランク室の両端面部は開放され、前記両端キャップから外れた位置において両端カバーによって閉蓋されていることを特徴とするクランクケース。
2.
前記軸受メタル装着部と前記両端キャップの内周面とは、同軸に形成されていることを特徴とする請求項1記載のクランクケース。
3.
クランクケースの製造方法であって、
略矩形筺状に形成したクランク室の開放された上面から、該クランク室内にクランク軸を挿入する第1工程と、
前記クランク室内に前記クランク軸を配置する第2工程と、
内部に前記クランク軸を挿通させる軸受メタルが装着される円環状の軸受メタル装着部を構成する第3工程と
内部に前記クランク軸の一端側を挿通させる円環状の両端キャップを構成する第4工程と、
前記両端キャップの端面に、前記クランク軸との間をシールするシール部材を取付ける第5工程と、
前記クランク室の開放された両端面部を、前記両端キャップから外れた位置において両端カバーによって閉蓋する両端カバー取付け工程と
を有し、
前記両端キャップは、鋳造成形物の一部を切削加工する部品であり、前記両端キャップの端面は、前記各工程の実施前に切削加工しておき、同一平面上とすることを特徴とするクランクケースの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構成各部品の形状及び切削加工箇所を的確にして、製造を容易化したクランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のクランクケースを示す分解斜視図
図2】実施形態のクランクケースの一部を示す要部分解斜視図
図3】実施形態のクランクケースのキャップ部材を示す斜視図
図4】実施形態のクランクケースの両端カバーを示す斜視図
図5】クランクケースを示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図5は、クランクケースを示す分解斜視図である。
【0014】
本件出願人が製造しているクランクケースの組立及び加工手順は、図5に示すように、まず、両端キャップカバー101を、略矩形筺状のクランク室102に、パッキン104を挟んでボルトで固定する。両端キャップカバー101は、クランク室102の一端面部の開口103及び他端面部の開口103を塞ぐように、2枚が固定される。さらに、軸受キャップ110もクランク室102に固定される。軸受キャップ110は、少なくとも、クランク室102との接合面及びボルト挿通孔が切削加工されている。
【0015】
各両端キャップカバー101、101には、クランク軸107の両端部分が挿通される。このとき、両端キャップカバー101の切削加工されている部分は、ボルト穴105およびクランク室102との接合面のみである。このとき、クランク室102内には、クランク軸107は配置されていない。クランク室102の上面は、クランク室102内にクランク軸107が配置され得るように開放されており、クランク軸107の配置後に、図示しない蓋によって閉蓋される。
【0016】
次に、軸受キャップ110の軸受メタルを装着する面とクランク軸107の軸受メタルを装着する面、及び、両端キャップカバー101の内周面101bを同時加工する。さらに、クランク室102の上面102aと両端キャップカバー101の上面101aとが同時加工される。さらに、両端キャップカバー101及びクランク室102を同時切削加工(共加工)し、ノックピン穴106を開ける。ノックピン穴106は、両端キャップカバー101からパッキン104を経てクランク室102までを貫通して形成される。両端キャップカバー101及びクランク室102を同時切削加工するのは、ノックピン108が両端キャップカバー101からパッキン104を経てクランク室102まで挿入されるように、ノックピン穴106をこれら3部材に亘って一直線の穴とするためである。これにより、両端キャップカバー101の内周面101bと軸受メタル装着面(クランク室102側と両端キャップ側)の同軸が担保され、両端キャップカバー101の内周面101bと嵌合する部品(後述のラビリンスシール111)を装着できる。また、両端キャップカバー101の上端面101aとクランク室102の上縁面102aとの同一平面が担保されるため、クランク室102の上縁面102aに蓋を取り付けた後に、クランク室102内の潤滑油が外に漏れることがない。
【0017】
そして、両端キャップカバー101を外して、クランク室102内にクランク軸107を配置する。クランク軸107は、クランク室102内に設けられた半円環状の複数の軸受け下部109に装着した軸受メタル(図示せず)により支持させる。各軸受け下部109には、半円環状の軸受けキャップ110を取付ける。軸受け下部109及び軸受けキャップ110は、円環状の軸受メタル支持部を構成し、この軸受メタル支持部に装着した軸受メタル内にクランク軸107を挿通させている状態となる。
【0018】
ノックピン108をノックピン穴106に挿入することにより両端キャップカバー101をクランク室102に対して位置決めし、両端キャップカバー101をクランク室102にボルトで固定する。両端キャップカバー101を固定するボルト(例えば、M20)に対して、ボルト穴105の径(例えば、φ22)が大きい。そのため、ノックピン10
8によりクランク室102に対する両端キャップカバー101の位置精度を確保している。
【0019】
クランク軸107の一端部分と両端キャップカバー101の挿通孔との間には、2分割ラビリンスシール111を取付ける。2分割ラビリンスシール111は、円環が中央線で2分割された2つの半円環形状に構成されており、クランク軸107の一端部分の上下に位置して両端キャップカバー101のラビリンスシール嵌め合い面(挿通孔の内周面)101bに取付けられて、クランク軸107と両端キャップカバー101との間をシールする。
【0020】
ラビリンスシール111とクランク軸107との隙間に必要な精度は、両端キャップカバー101が固定されるクランク室102のメタル取付け面102bと、両端キャップカバー101のラビリンスシール嵌め合い面101bとの位置精度が保証されていることによって、確保される。
【0021】
このクランクケースでは、ノックピン108によりクランク室102に対して位置決めされる両端キャップカバー101に、クランク軸107の位置精度に影響する切削加工面があるので、両端キャップカバー101をクランク室102に固定した状態で同時切削加工をしなければならない。
【0022】
このクランクケースでは、両端キャップカバー101の切削加工面は、クランク室102の上面に対する位置精度が必要で、また、この精度がクランク軸107の位置精度にも影響するので、両端キャップカバー101は、単体で切削加工してからクランク室102に取付けることができず、クランク室102に取り付けた状態で同時切削加工を行っている。
【0023】
本件出願人は、上述のようなクランクケースにおいて、より工程を減らして製造の容易化を図ることを試みた結果、下記のようなクランクケース、キャップ部材及びクランクケースの製造方法に想達した。
【0024】
図1は、実施形態のクランクケースを示す分解斜視図である。
【0025】
本実施形態のクランクケースは、図1に示すように、回転軸であるクランク軸1を回転可能に支持するクランクケースであり、凹部や貫通孔が形成され、これら凹部や貫通孔の内周部を軸受けとしてクランク軸1を支持するようになっている。このクランクケースは、鋳造成形物の一部(軸受けとなる箇所及び軸受キャップ等の部品が取付けられる箇所)が高精度の切削加工面となっている部品から構成されている。
【0026】
このクランクケースの組立及び加工手順は、まず、各部品を鋳造によって作成し、これら各部品(鋳造成形物)の所定の箇所を切削加工して切削加工面としておく。切削加工面は、後述するように、少なくとも、キャップ部材33と軸受け下部31及び両端キャップ下部41との接合面、軸受メタル装着部3、両端キャップ4のラビリンスシール5の取付け面である。
【0027】
〔第1工程〕
図2は、実施形態のクランクケースの一部を示す要部分解斜視図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、略矩形筺状で上面が開放されたクランク室2の内部に、クランク軸1を配置する。クランク室2の前面部及び後面部には、クランク軸1に接続される図示しない複数のロッドが外方に引き出されるための複数の透孔21が形成されている
。各ロッドは、クランク軸1の軸方向に垂直な方向に延在される。
【0029】
〔第2~第3工程〕
クランク軸1は、クランク室2内に設けられた半円環状の複数の軸受け下部31及びキャップ部材33,34により固定された軸受メタル(図示せず)により支持させる。各軸受け下部31には、半円環状のキャップ部材33、34を固定する。軸受け下部31及びキャップ部材33、34は、円環状の軸受メタル装着部3を構成し、この軸受メタル装着部3に装着された軸受メタル内にクランク軸1を挿通させている状態となる。軸受け下部31とキャップ部材33、34との取付け面は、それぞれ切削加工されている。また、軸受メタル装着部3の内周面部と、この軸受メタル装着部3に装着された軸受メタルに対応する箇所のクランク軸1の外周面部とは、同軸であり、それぞれ切削加工されている。
【0030】
〔第4工程〕
図3は、実施形態のクランクケースのキャップ部材を示す斜視図である。
【0031】
図3に示すように、クランク室2の両端側に位置するキャップ部材33は、軸受けキャップ32及び両端キャップ上部42が一体化されたものである。軸受けキャップ32は、前述のように軸受け下部31に突き合わせられて円環状の軸受メタル装着部3を構成する。両端キャップ上部42は、クランク室2内に設けられた半円環状の両端キャップ下部41に取付けられて円環状の両端キャップ4を構成する。
【0032】
両端キャップ4の端面を構成している両端キャップ上部42の端面及び両端キャップ下部41の端面は、切削加工面であって、同一平面上にある。軸受メタル装着部3及び両端キャップ4は、クランク室2とキャップ部材33を同時加工することにより形成される。また、ラビリンスシール用パッキン51と接する両端キャップ上部42のシート面(端面)4bおよびクランク室2のシート面(端面)2aも同時加工により成形される。
【0033】
両端キャップ上部42の端面及び両端キャップ下部41の端面が同一平面上にあることにより、ラビリンスシール用パッキン51を挟んで、ラビリンスシール5を両端キャップ上部42と両端キャップ下部41で形成された端面に取り付けることができる。両端キャップ上部42及び両端キャップ下部41の接触面は、メタルコンタクトによりシールされる。
【0034】
なお、軸受けキャップ32及び両端キャップ上部42は、一体化させずに別体の部材としてもよいが、これら軸受けキャップ32及び両端キャップ上部42を一体化することにより、部品点数の削減およびボルト締付け作業の削減が図られる。
【0035】
クランク室2の一端側に位置する軸受メタル装着部3(軸受けキャップ32及び軸受け下部31)の内周部には、図示しない軸受メタル(スラスト軸受け)が装着されている。クランク軸1は、軸受メタルにより位置決めがなされる。
【0036】
〔第5工程〕
図1及び図2に示すように、キャップ部材33が構成する両端キャップ4には、クランク軸1との間をシールするシール部材となるラビリンスシール5が、ラビリンスシール用パッキン51を挟んで挟んで取付けられている。ラビリンスシール用パッキン51は、1箇所で切断された円環状に形成されている。ラビリンスシール5は、円環が中央線で2分割された2つの半円環形状に構成された2分割ラビリンスシールである。ラビリンスシール5は、クランク軸1の両端部分の上下に位置して両端キャップ4のラビリンスシール嵌め合い面(挿通孔の内周面)4aに取付けられて、クランク軸1と両端キャップ4との間をシールする。クランク軸1の一端側においては、ラビリンスシール5は、クランク軸1
に設けられたフランジ部11と両端キャップ4との間をシールする。両端キャップ4のラビリンスシール嵌め合い面4aは、切削加工面となっている。
【0037】
なお、フランジ部11は、クランク軸1への回転駆動力の入力部、又は、クランク軸1からの回転駆動力の出力部となる。
【0038】
ラビリンスシール5とクランク軸1との隙間は狭い方が油が漏れにくい。軸受メタル装着部3(軸受け下部31)と両端キャップ4の内周面4aとは、同時加工され、同軸に形成されている。これら軸受け下部31と両端キャップ4の内周面4aとが同軸であるので、ラビリンスシール5とクランク軸1との隙間を狭くすることができる。
【0039】
〔両端カバー取付け工程〕
図4は、実施形態のクランクケースの両端カバーを示す斜視図である。
【0040】
図4に示すように、クランク室2の両端面部は開放されており、両端キャップ4から外れた位置において、両端カバー6によって閉蓋されている。両端カバー6は、クランク室2にパッキン7を挟んでボルトで固定する。両端カバー6は、クランク室2の両端面部の開口を塞いで、2枚が固定される。
【0041】
クランク軸1の他端側には、軸端ポンプ8が設けられている。軸端ポンプ8は、クランク室2内の潤滑油を循環させるポンプであり、クランク軸1によって駆動される。
【0042】
以上のように、本発明のクランクケースでは、両端キャップ4(両端キャップ上部42)及び両端カバー6(前述したクランクケースの両端キャップカバー101に相当)は別体の部品となっており、両端カバー6には、クランク軸1の位置に影響する切削加工面がなく、両端キャップ4(両端キャップ上部42)は、クランク室2の上面との位置関係が問題とならないので、両端キャップ4(両端キャップ上部42)及び両端カバー6は、それそれ単体で切削加工してからクランク室2に取付けることができる。
【0043】
したがって、これら両端キャップ4(両端キャップ上部42)及び両端カバー6は、クランク軸1のクランク室2への組込みが終わった後に取付ければよい。また、両端カバー6には、取付けの位置精度は要求されない。これにより、本発明のクランクケースでは、両端キャップ4(両端キャップ上部42)を単体で切削加工してからクランク室2に取付けることができ、組立及び加工工程が簡素化されている。
【符号の説明】
【0044】
1 クランク軸
11 フランジ部
2 クランク室
2a シート面
3 軸受メタル装着部
31 軸受け下部
32 軸受けキャップ
33、34 キャップ部材
4 両端キャップ
4a ラビリンスシール嵌め合い面
4b シート面
41 両端キャップ下部
42 両端キャップ上部
5 ラビリンスシール
51 ラビリンスシール用パッキン
6 両端カバー
7 パッキン
8 軸端ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5