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  • 特許-ガスエネルギー測定方法および関連装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ガスエネルギー測定方法および関連装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 9/00 20060101AFI20220330BHJP
   G01N 25/36 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
G01N9/00 C
G01N9/00 B
G01N25/36
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020155999
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2018539084の分割
【原出願日】2016-01-27
(65)【公開番号】P2020204622
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー, サイモン ピー.エイチ.
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0138361(US,A1)
【文献】特開2000-039426(JP,A)
【文献】特開2003-156376(JP,A)
【文献】特開2006-047071(JP,A)
【文献】特表2004-514138(JP,A)
【文献】AGAR J,THE USE OF DENSITY METERS AND MICROPROCESSORS FOR ENERGY MEASUREMENT AND CONTROL,FIRST INDUSTRIAL ENERGY TECHNOLOGY CONFERENCE,1979年,PAGE(S):503 - 516,https://www.researchgate.net/publication/49908311_The_Use_of_Density_Meters_and_Microprocessors_for_Energy_Measurement_and_Control
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/00-9/36
G01N 25/00-25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス密度計を用いて水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定する方法であって、
振動ガス密度計を提供する工程と、
少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、
水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、
水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、そして、
測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程とを含み、
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントCO値を含む、方法。
【請求項2】
前記水素リッチガス混合物のウォッベ指数値が計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発熱量(CV)が、
CV=A+(B・%H2)+(C・%CO)+(D・%CO2)+(E・%N2)+(F・SG)(式中、A~Fが一定値を含み、そしてSGが比重を含む)を含む式に従って計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Aが144.8~150.8であり、Bが-2.5~-2.6であり、Cが-12.15~-12.65であり、Dが-47.7~-49.65であり、Eが-24.68~-25.69であり、そして、Fが1528.7~1591.1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Aが147.8458であり、Bが-2.55807であり、Cが-12.3963であり、Dが-48.685065であり、Eが-25.18546であり、そしてFが1559.94255である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記パーセントH2値が、熱伝導率計を用いて決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パーセントCO値が、近赤外線計を用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントCO2値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記パーセントCO2値が、近赤外線計を用いて決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントN2値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記パーセントN2値が、ガスクロマトグラフを用いて決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記発熱量を導出する工程が、約10秒未満の頻度で達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ガスエネルギーを測定するためのシステム(100)であって、
水素リッチガス混合物の比重を計算するように構成されている振動ガス密度計(101)と、
外部入力(116)に接続するように構成されている通信回線(114)と、
前記通信回線(114)と通信する前記振動ガス密度計(101)を動作させるためのメータ電子機器(112)とを含み、
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントCO値を含み、
前記メータ電子機器(112)が、前記水素リッチガス混合物の密度を測定し、前記導出された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて前記水素リッチガス混合物の発熱量を導出するように構成されている、システム(100)。
【請求項15】
前記外部入力(116)が、近赤外線計と、熱伝導率計と、ガスクロマトグラフとのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記メータ電子機器(112)が、前記水素リッチガス混合物のウォッベ指数値を計算するように構成されている、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記発熱量(CV)が、
CV=A+(B・パーセントH2)+(C・パーセントCO)+(D・パーセントCO2)+(E・%N2)+(F・SG)(式中、A~Fは一定値を含み、そしてSGは比重を含む)を含む式に従って計算される、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項18】
Aが144.8~150.8であり、Bが-2.5~2.6であり、Cが-12.15~-12.65であり、Dが-47.7~-49.65であり、Eが-24.68~-25.69であり、Fが1528.7~1591.1である、請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項19】
Aが147.8458であり、Bが2.55807であり、Cが-12.3963であり、Dが-48.685065であり、Eが-25.18546であり、Fが1559.94255である、請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項20】
パーセントH2と、パーセントCOと、パーセントCO2と、パーセントN2とのうちの少なくとも1つが、前記外部入力(116)から前記メータ電子機器(112)に供給される、請求項17に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエネルギー測定に関し、より詳細には、ガスエネルギーを測定するための改良された振動計、およびガスエネルギーを測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガス、排ガス、およびバイオガスなどの水素リッチガスの使用および燃焼は、ガス自体のエネルギー含有量に大きく依存する。ガスのエネルギー含有量は、燃焼時にどれほどのエネルギーが生成され得るかと説明することができる。したがって、しばしば英国熱量単位(BTU)で測定されるエネルギーは、ガス供給業者、運送業者および使用者にとって同様に重要な測定値である。BTUは、1ポンドの水を1度F(華氏1度)冷やす、または熱するのに必要なエネルギー量として定義される。ガスの燃焼によって生成するエネルギー(発熱量またはCVと呼ばれる)に関連する別の一般に用いられるパラメータは、ウォッベ指数(WI)またはウォッベ数のパラメータである。これは、ガスがどれほど容易に燃焼するかを示し、単に燃焼によってどれほどのエネルギーが生成され得るかを示すだけではない重要なパラメータである。WIは、例えば、天然ガス、液化石油ガス(LPG)、および他の炭化水素などの燃料ガスの互換性の信頼できる指標であるため採用されている。ウォッベ指数は、式(1)によって説明することができる。
【0003】
【数1】
【0004】
式中、
WIはウォッベ指数である;
CVは発熱量である;そして、
SGは比重である。
【0005】
発熱量CVは、しばしば式(2)によって定義される。
【0006】
【数2】
【0007】
式中、
Mco2=%CO2含有量;そして
Mn2=%N2含有量。
【0008】
ウォッベ指数は、所与の用途に対して異なる組成の燃料ガスの燃焼エネルギー出力を比較するためにしばしば用いられる。例えば、万一、燃料が同一のウォッベ指数を有すると、特定の装置の所与の圧力およびプロセス設定に対して、エネルギー出力は燃料間で同じになる。これは、ガスが互いに置換され得るか、またはガス組成が一定に維持されていないプロセスまたは装置において特に重要である。
【0009】
水素リッチガスの場合、CVまたはWI-ガスクロマトグラフ(GC’s)およびウォ
ッベ指数計の計算/測定に用いられる2つの一般的タイプの計装がある。GCsは、ガスを構成成分に分離し、次いで、個々の混合ガスの特性を別々に分析することによってガスパラメータを計算するため比較的遅い。ウォッベ指数計は、典型的には、ガスを燃焼させて、エネルギーを測定するか、またはCVもしくはWIを計算する。しかし、非燃焼ウォッベ指数計の場合、正確な測定値を得る上での大きな問題は、ガス混合物中に存在する不活性ガスのパーセントと水素(H2)のパーセントとを考慮に入れることに関する。不活
性ガスは、水素と同様に混合物全体によって生成されるエネルギー含有量を大幅に変化させる。水素リッチガス混合物および燃料ガス中で最もよく遭遇する不活性ガスは、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、および窒素(N2)である。これらの中で、近赤外線(NIR)モニターがこの目的のために利用できるので、CO2およびCOは比較的容
易に測定できる。しかし、窒素測定は、測定するのが依然として面倒であり、典型的にはGCを必要とする。
【0010】
水素含有量を測定する場合、この変数を直接出力できる熱伝導率アナライザが多数利用できるため、このパラメータの測定は比較的簡単である。大部分の水素リッチガスと燃料ガスとの混合物では、窒素含有量は、混合物の比較的小さなパーセントであり、一般に比較的一定である。したがって、正確なエネルギー測定値の決定に、しばしばN2の一定値
が採用され得る。CO、CO2およびH2の場合、これは確かに本当ではない。これらの成分の濃度の激しい変動は典型的であり、しばしばほんの数秒にわたって起こる。これは、GC技術が迅速な応答のガスエネルギー測定およびウォッベ指数(WI)測定の市場ニーズを満たさない主な理由である。
【0011】
ガスクロマトグラフは、ガス測定産業で広く用いられており、測定中のガス混合物の完全なガス組成の正確な出力を提供するが、多くの重要な限界を有する。第1に、GCsは極めて高い所有コストを示す。システムおよび部品は、買うには高価であり、多くの可動部品は、重要で頻繁なサービスを必要とする。第2に、GCsは、定期の較正を必要とする。第3に、較正プロセスに必要とされる、時宜を得た高価な較正ガスが生成されなければならない。第4に、熟練の訓練されたオペレータがGC操作に必要とされ、これは操作コストを増加させる。第5に、応答時間は典型的には極めて遅く、典型的には約7分ごとに出力が更新される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、ウォッベ指数計または熱量計は、燃料ガスまたはH2リッチガス混合物
に用いることができるが、それらは多数の限界を示す。第1に、購入と所有のコストが高い。第2に、測定のためにしばしば必要とされる燃焼のために、このようなユニットは、しばしば安全な区域に設置されなければならない。第3に、これらの計量器は、高電流の電気入力および圧縮空気ガスボトル供給品などの広範なユーティリティも必要とする。したがって、それらは、設置したり操作するには高価である。このような方法で、これらのユニットによって排出される廃ガスは、典型的には約800℃のオーダーであり、潜在的に危険であり、例えば、製油所に見られるような危険な環境で緩和する(mitigate)には高価である。
【0013】
CV、WI、密度、塩基密度、SGなどを計算するための代替の方法および装置が必要である。これらの計算のための方法および装置は早く更新する必要がある。さらに、安全性のリスクを最小にする方法および装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの問題および他の問題を扱うための非燃焼性の迅速な応答の方法および装置が提供され、当該技術分野における進歩が達成される。開示された実施形態は、水素リッチガ
ス混合物中のガスエネルギーおよびWIを決定するための代替方法を提供する。この方法および装置は、未知のガス組成および/またはガス比重とエネルギー含有量とを関連づけ
る既存の標準が適用できない場合に特によく適している。
【0015】
ある実施形態によれば、ガス密度計を用いて、水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定するための方法が提供される。この方法は、振動ガス密度計と、少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器とを提供する工程を含む。この方法はさらに、水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、水素リッチガス混合物の比重を導出する工程と、導出された比重および複数の定数および/
または変数を用いて、水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程とを含む。
【0016】
ある実施形態によれば、ガスエネルギーを測定するためのシステムが提供される。このシステムは、水素リッチガス混合物の比重を計算するように構成されている振動ガス密度計を含む。このシステムはさらに、外部入力に接続するように構成されている通信回線と、通信回線との通信中の振動ガス密度計を動作させるためのメータ電子機器とを含む。メータ電子機器は、水素リッチガス混合物の密度を測定し、測定される比重および複数の定数および/または変数を用いて、水素リッチガス混合物の発熱量を導出するように構成さ
れている。
【0017】
ある態様によれば、ガス密度計を用いて、水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定するための方法は、振動ガス密度計を提供する工程と、少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、測定された比重および複数の一定値を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程とを含む。
【0018】
好ましくは、水素リッチガス混合物のウォッベ指数値が計算される。
【0019】
好ましくは、発熱量(CV)は、CV=A+(B・H2%)+(C・CO%)+(D・
CO2%)+(E・N2%)+(F・SG)(式中、A~Fは一定値を含み、SGは比重を含む。)を含む式に従って計算される。
【0020】
好ましくは、Aは約144.8~150.8であり、Bは約-2.5~-2.6であり、Cは約-12.15~-12.65であり、Dは約-47.7~-49.65であり、Eは約-24.68~-25.69であり、そしてFは約1528.7~1591.1である。
【0021】
好ましくは、Aは約147.8458であり、Bは約-2.55807であり、Cは約-12.3963であり、Dは約-48.685065であり、Eは約-25.18546であり、Fは約1559.94255である。
【0022】
好ましくは、外部入力は、水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む。
【0023】
好ましくは、パーセントH2値は、熱伝導率計を用いて決定される。

好ましくは、外部入力は、水素リッチガス混合物のパーセントCO値を含む。

好ましくは、パーセントCO値は、近赤外線計を用いて決定される。
【0024】
好ましくは、外部入力は、水素リッチガス混合物のパーセントCO2値を含む。
【0025】
好ましくは、パーセントCO2値は、近赤外線計を用いて決定される。
【0026】
好ましくは、外部入力は、水素リッチガス混合物のパーセントN2値を含む。
【0027】
好ましくは、パーセントN2値はガスクロマトグラフを用いて決定される。
【0028】
好ましくは、発熱量の導出は、約10秒未満の頻度で達成される。
【0029】
ある態様によれば、ガスエネルギーを測定するためのシステムは、水素リッチガス混合物の比重を計算するように構成されている振動ガス密度計と、外部入力に接続するように構成されている通信回線と、通信回線と通信して振動ガス密度計を動作させるためのメータ電子機器であって、水素リッチガス混合物の密度を測定し、導出された比重および複数の一定値を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出するように構成されているメータ電子機器とを含む。
【0030】
好ましくは、外部入力は、近赤外線計、熱伝導率計、およびガスクロマトグラフのうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
好ましくは、メータ電子機器は、水素リッチガス混合物のウォッベ指数値を計算するように構成されている。
【0032】
好ましくは、発熱量(CV)は、CV=A+(B・H2%)+(C・CO%)+(D・
CO2%)+(E・N2%)+(F・SG)(式中、A~Fは一定値を含み、SGは比重を含む。)を含む式に従って計算される。
【0033】
好ましくは、Aは約144.8~150.8であり、Bは約-2.5~-2.6であり、Cは約-12.15~-12.65であり、Dは約-47.7~-49.65であり、Eは約-24.68~-25.69であり、Fは約1528.7~1591.1である。
【0034】
好ましくは、Aは約147.8458であり、Bは約-2.55807であり、Cは約-12.3963であり、Dは約-48.685065であり、Eは約-25.18546であり、Fは約1559.94255である。
【0035】
好ましくは、パーセントH2、パーセントCO、パーセントCO2、およびパーセントN2のうちの少なくとも1つは、外部入力からメータ電子機器に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
同じ参照番号は、すべての図面上の同じ要素を示す。図面は必ずしも縮尺通りではない。
図1】ある実施形態によるガスエネルギーを測定するためのシステムである。
図2】ある実施形態によるメータ電子機器である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1、2、および以下の記載は、当業者に本発明の最良の形態をどのようにして実施し使用するかを教示するための特定の例を示している。本発明の原理を教示する目的のために、いくつかの従来の態様は簡略化または省略されている。当業者は、本発明の範囲に属するこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者は、以下に記載の特徴を種々の方法で組み合わせて本発明の複数の変形を形成できることを理解するであろう。その結果、本発明は、以下に記載の具体的な実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲
およびその均等物によってのみ限定されるものである。
【0038】
図1は、ある実施形態によるガスエネルギーを測定するためのシステム100を示す。
【0039】
密度計101は、ガスの比重を測定するために設けられている。 気体の比重を測定するために、密度計101は、固定量のガスで満たされた一定容量参照チャンバ104によって取り囲まれた共振素子102を利用する。 参照チャンバ内の分離器の隔膜106は、
圧力制御弁110を制御することによって、密度計101内のガスライン108によって届けられるサンプルガスの圧力が参照ガスの圧力と等しいことを保証する。
【0040】
密度計101の共振素子102は、少なくとも部分的にハウジング103内に配置されている。ハウジング103または共振素子102は、密度計を輸送管または同様のガス供給装置に動作上気密に連結するためのフランジまたは他の部材を含んでもよい。しばしば、共振素子102は、共振素子102の反対側端が自由に振動するように、ハウジングの一端でハウジングに取り付けられたカンチレバーである。ある実施形態では、共振素子102は、ガスが密度計に入り、ハウジングと共振素子102との間を流れることを可能にする複数のガス開口部の境界を画してもよい。したがって、ガスは、共振素子102の内側表面および外側表面に接触する。これにより、共振素子102の大表面積がガスにさらされ、より正確な測定が可能になる。別の実施例では、開口部がハウジングに設けられていてもよく、共振素子102内の開口部が必要でなくてもよい。
【0041】
共振素子102は、自然の(すなわち、共振している)またはそれに近い周波数で振動してもよい。ガスの存在下で部材の共振周波数を測定することによって、ガスの密度を決定することができる。
【0042】
励振器105および振動センサ107は、典型的には、共振素子102の最も近くに配置された巻枠本体上に配置されている。励振器105は、メータ電子機器112から駆動信号を受信し、共振周波数またはそれに近い周波数で共振素子102を振動させる。振動センサ107は、共振素子102の振動を検出し、処理のために振動情報をメータ電子機器112に送信する。メータ電子機器112は、被試験ガスと組み合わせて共振素子102の共振周波数を決定し、測定される共振周波数から密度測定値を生成する。
【0043】
ガスの比重は、標準乾燥空気の分子量に対するその分子量(M)の比である。ある実施形態では、密度計101は、ガス比重に比例する周波数出力を生じ、ガス分子量(M)も生成することができる。
【0044】
水素リッチガスまたは燃料ガスを測定する場合の最も重要なパラメータは:
a.比重(SG)
b.温度(T)
c.圧力(P)
d.分子量(M)
e.パーセント不活性ガス(例えば、%N、%CO2
f.発熱量/BTU(CV)
g.ウォッベ指数(W1)
h.相対密度(ρrel
である。
【0045】
システム100のある実施形態は、ガスを燃焼させる必要またはGCに頼る必要なく、上記パラメータの少なくとも1つの測定および/または計算を提供する。ある実施形態で
は、密度計101は、複数の較正ガスの分子量を用いて較正してSGを出力する。例えば、限定なく、低、中および高範囲のポイントとして3つの較正ガスが考えられる。3つ超または未満のガスによる較正も考えられる。
【0046】
ある実施形態では、システムは、少なくとも1つの外部入力116を受け入れる。外部入力116は、特に、パーセントCO2、パーセントCO、パーセントH2、およびパーセントN2の測定値を含んでもよい。このデータは、通信回線114を介してメータ電子機
器112に提供される。例えば、限定なく、熱伝導率計(リアルタイムパーセントH2
を提供する)、近赤外線(NIR)計(リアルタイムパーセントCO値および/またはC
2値を提供する)、およびガスクロマトグラフ(パーセントN2値を提供する)などの分析器からの別々の外部入力116と組み合わせて、 システム100は、発熱量BTUお
よびウォッベ指数の極めて正確な測定値を生成することができ、およそリアルタイムに効果的にそう行うことができる。マルチメータ/マルチ技術アプローチを提供することによって、システム100は、本質的に迅速な応答を生成するが、測定されるガスの既知の完全組成を必要としない。さらに、ガス燃焼の必要性が回避される。そうでなければ、それは、熱量計およびウォッベ指数計によって採用される典型的なアプローチである。
【0047】
このマルチ技術入力の実施形態は、密度計101が提供する比重の正確な迅速応答測定に依存する。ある実施形態は、例えば、限定なく、比重がAGA5標準などのガスのエネルギー含有量に直接関連する標準範囲外である30超の異なる水素ガスと燃料ガスとの混合物を分析することによって導出された。式(3)に記述されるように、エネルギー含有量、比重およびパーセントN2、パーセントCO、パーセントCO2、およびパーセントH2の間の以下の関係は、ある実施形態に従って導出される。
【0048】
【数3】
【0049】
式中、A~Fは定数である:

A=147.8458
B=-2.55807
C=-12.3963
D=-48.685065
E=-25.18546
F=1559.94255

上記係数から、測定に対する最大の感度はSGの感度であり、したがって、密度計101由来のSGの正確な測定が重要であることに留意されたい。この式を用いると、典型的な測定誤差は+-0.25%未満で、最大観測偏差は+-0.9%未満である。定数A~Fは、+-5%まで変えることができることに留意されるべきである。
【0050】
ある実施形態では、いったんCVが決定されると、ウォッベ指数が式(1)に従って計算される。CVを決定するための別の計算も考えられることに留意されるべきである。
【0051】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の種々の変更が可能であることが理解されよう。ほんの一例として、上記式(3)の定数Aは、サンプリング技術(例えばNIR)を用いて%COを別途測定し、特許請求された方法に固有のずっと速い時
間の尺度に従って実施される計算を精密にする測定値を用いることによって、時々刻々と整えられ、または精密にされ得る。
【0052】
図2は、ある実施形態による密度計101のためのメータ電子機器112を示す。メータ電子機器112は、インターフェース201と処理システム203とを備えていてもよい。インターフェース201は、駆動信号を共振素子102に送信する。メータ電子機器112は、振動センサ107などのセンサからの少なくとも1つのセンサ信号であって共振素子102に関連する振動を測定する信号を受信し処理する。
【0053】
インターフェース201は、フォーマット、増幅、バッファリングなどの任意の方法などの、任意の必要な、または所望の信号調整を行うことができる。あるいは、信号調整の一部または全部を処理システム203で行うことができる。
【0054】
さらに、インターフェース201は、例えば、通信リンク114などを介して、メータ電子機器112と外部装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェース201は、通信リンク118を介して測定データを外部装置に転送することができ、外部装置および外部ガス測定装置からコマンド、アップデート、データおよび他の情報を受信することができる。インターフェース201および通信リンク114は、任意の形式の電子的な、光学的な、または無線の通信が可能であってもよい。
【0055】
一実施形態のインターフェース201は、センサ信号がアナログセンサ信号を含むデジタイザを含む。デジタイザは、アナログセンサ信号をサンプリングしてデジタル化し、対応するデジタルセンサ信号を生成する。インターフェース/デジタイザはまた、任意の必
要な間引きを行うことができ、デジタルセンサ信号は、必要な信号処理の量を減らし、処理時間を減らすために、間引かれる。
【0056】
処理システム203は、メータ電子機器112の動作を行い、密度計101からのガス測定値を処理する。処理システム203は、1つ以上の密度特性(または別の密度測定値)を生成するために、動作ルーチン210を実行し、密度測定値を処理する。処理ルーチンは、特に、ガス比重、ガス密度、ガス温度、ガス圧力、ガス分子量、不活性ガスのパーセント、発熱量、およびウォッベ指数を決定するためのルーチンを含む。
【0057】
処理システム203は、汎用コンピュータ、マイクロプロセッシングシステム、論理回路、またはいくつかの別の汎用またはカスタマイズされた処理装置を含むことができる。処理システム203は、複数の処理装置に分散させることができる。処理システム203は、記憶システム204などの任意の形式の一体式または独立した電子記憶媒体を含むことができる。記憶システム204は、処理システム203に連結されてもよく、または処理システム203に統合されてもよい。
【0058】
記憶システム204は、密度計101を動作させるために用いられる情報を記憶することができる。記憶システム204は、振動素子102を振動させるために用いられる1つ
以上の信号を記憶することができ、そして、共振素子102を作動させるために励振器105に供給される、駆動信号212などの1つ以上の信号を記憶することができる。さらに、記憶システム204は、共振要素102の結果として振動センサ107によって生成される振動応答信号214を記憶することができる。温度信号216は、メータ電子機器および関連するアルゴリズムによって利用することもできる。
【0059】
したがって、実施形態は、市販のガス計と組み合わせて密度計101を利用して、発熱量とウォッベ指数との両方の迅速かつ正確な測定を提供することが理解されよう。上記実施形態は、ガスクロマトグラフを用いる場合の約7分の典型的な応答時間とは対照的に、
約5~10秒ごとの頻度で発熱量および/またはウォッベ指数測定値を提供する。別の実
施形態では、頻度は、5~10秒ごとよりも大きいか小さい。この迅速な応答時間は、燃焼を必要とする操作のための燃焼効率を最適化し、同時に、NOxおよびSOx排出物、ならびに関連税金を最小にする。実施形態はまた、ある用途のための安定した蒸気熱供給をもたらす。したがって、本発明は、ガスブレンド用途に用いることができ、保管輸送用途に理想的である。精油所(または製造工場)の運転コストの50%超が、典型的にはエネルギー(すなわち蒸気)生産によるものであるため、本実施形態は、このような用途における運転コストを下げることができる。これらの利点は、燃焼技術に固有の安全リスクを除きながら実現される。
【0060】
上記実施形態の詳細な説明は、発明者によって本発明の範囲内にあると考えられたすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者であれば、上記実施形態のある要素は、さらなる実施形態をつくるために種々組み合わせてもよく、または削除されてもよく、このようなさらなる実施形態は、本発明の範囲および教示に属すると認めるであろう。また、当業者には、本発明の範囲および教示内で追加の実施形態をつくるために、上記実施形態を全体で、または部分的に組み合わせてもよいことは明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2