(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/12 20060101AFI20220330BHJP
B29C 64/10 20170101ALI20220330BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20220330BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20220330BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220330BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20220330BHJP
B33Y 70/10 20200101ALI20220330BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20220330BHJP
【FI】
G01L1/12
B29C64/10
B29C64/386
B29C64/314
B33Y10/00
B33Y50/00
B33Y70/10
B33Y80/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020183590
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】202010158697.0
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スー ビン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ホンジ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チュンズ
(72)【発明者】
【氏名】シー ユシェン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-022524(JP,A)
【文献】特開2005-283126(JP,A)
【文献】特開2005-243929(JP,A)
【文献】特開2014-137236(JP,A)
【文献】特開2015-154681(JP,A)
【文献】特表2012-518976(JP,A)
【文献】特開2003-065704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/12-1/14
G01B 7/00-7/34,
H01L 41/12,
H02N 2/18,
B29C 64/00-64/40,67/00-67/08,
B29C 67/24-69/02,73/00-73/34
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性部と導電性部を含み、
前記導電性部が、相対的に設置された2つの基板および2つの前記基板の間に設置された螺旋構造を含み、2つの前記基板および前記螺旋構造が、いずれも導電性の金属材質であり、
前記磁性部が、フレキシブルな多孔構造を表し、2つの前記基板の間に設置され、磁場を生成するために使用され、
前記基板が外部圧力を受けた時、前記螺旋構造と前記磁性部が同時に圧縮され、前記螺旋構造を通過する磁束に変化が生じ、2つの前記基板の電圧に変化が生じるため、前記基板の間の電圧変化を測定して外部圧力の変化を反映させることにより、圧力測定プロセスを実現する
3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサ。
【請求項2】
前記磁性部の原材料が、ポリマー粉末と磁性粉末を混合して形成された複合粉末であり、前記ポリマー粉末が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリジメチルシロキサン(TPMS)であり、前記磁性粉末が、ネオジム鉄ホウ素(NdFeB)磁性粉末、鉄クロムコバルトベースの永久磁性合金粉末または永久磁性フェライト粉末である請求項1に記載の
3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサ。
【請求項3】
前記磁性粉末の質量分数が、10%~40%である請求項2に記載の
3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサ。
【請求項4】
前記螺旋構造の圧縮弾性率と前記磁性部の圧縮弾性率の比率が、0.1~10である請求項1に記載の
3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサ。
【請求項5】
前記基板の上に、前記磁性部を
挟みつけて固定するための
凹部が設置された請求項1に記載の
3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサ。
【請求項6】
前記圧電センサが、1つのユニットであり、複数ユニットを直列または並列に接続することにより、複数ユニットの圧電センサ
の信号が取得
され、
増幅される請求項1に記載の
3Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の前記圧電センサの製造方法であって、
S1:ポリマー粉末と磁性粉末を原料として選択し、二者を混合して複合粉末を調製し、前記導電性部における螺旋構造の圧縮弾性率を計算および取得し、前記磁性部の多孔構造を構築するとともに、前記多孔構造の圧縮弾性率を計算および取得し、3Dプリンティング成形方法を利用して前記多孔構造を成形することにより、所望の磁性部を取得し;前記磁性部に対して磁化を行い、前記磁性部が永久磁性を取得できるようにするステップと、
S2:前記導電性部の三次元構造を構築し、同時に、前記多孔構造の圧縮弾性率に基づいて前記螺旋構造の圧縮弾性率を構築し、前記導電性部の螺旋構造の圧縮弾性率と前記多孔構造の圧縮弾性率の比率を0.1~10にし、前記導電性部の原材料を選択し、前記原材料を利用して三次元モデルに基づいて3Dプリンティング成形を実行することにより、所望の導電性部を取得するステップと、
S3:前記永久磁性を有する磁性部を前記導電性部の基板の間に組み立てて、所望の圧電センサを取得するステップと、
を含む製造方法。
【請求項8】
ステップ
S2において、前記3Dプリンティング成形方法が、選択的レーザ溶融法(SLM)、電子ビーム積層造形法(EBM)、またはレーザー直接積層法(LENS)の金属3Dプリンティング技術である請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ
S1において、前記3Dプリンティング成形方法が、選択的レーザー焼結法(SLS)、熱溶解積層法(FDM)、または紫外線による光硬化のポリマー3Dプリンティング技術である請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造関連技術分野に属し、特に、4Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
4Dプリンティングの概念が2013年に提出されて以来、多くの関心を集めている。4Dプリンティングは、提出時に「3Dプリンティング+時間」と定義された。すなわち、3Dプリンティングの部材は、時間の推移とともに、外部環境の刺激(例えば、熱エネルギー、磁場、電場、湿度、およびpH等)の下で、自発的に形状の変化が生じる。最初の4Dプリンティングの概念は、主に、現象デモンストレーションの方面における体現であり、注目したのは部材形状の変化で、且つ4Dプリンティングはインテリジェント材料の3Dプリンティングであると認識されており、3Dプリンティングにおいてインテリジェント材料を応用することがキーポイントである。この概念の指導の下で、例えば、201710882123.6、201810667838.4、201810465965.6、201811059250.7等のように、4Dプリンティング材料に関する特許が大量に出願された。これらの特許の4Dプリンティング品は、外部環境の刺激の下で、時間とともに形状のみが変化する。
【0003】
研究が深まるにつれ、4Dプリンティングの概念および含意が深まり、現在、学界の公認を得た4Dプリンティングの概念は、3Dプリンティングの部材の形状、性能、または機能が、外界の予め定められた刺激(熱エネルギー、水、光、pH値等)の下で、時間または空間とともに制御可能に変化させて、四次元になることが可能なことである。最初の4Dプリンティングの概念と比較して、最も新しい概念は、4Dプリンティングの部材の外部刺激に伴う変化が、形状だけでなく、部材の性能と機能も含むことを表明しており、これは、4Dの含意をさらに豊富にし、4Dプリンティングの研究を現象デモンストレーションから徐々に実際の応用に推し進めるのに有利にし、性能と機能に変化が生じるだけで、機能化、インテリジェント化の意義を有し、応用価値を具える。したがって、我々には、いかにして4Dプリンティング成形品の性能と機能の時間または空間に伴う制御可能な変化を実現するかを探索する必要がある。
【0004】
しかしながら、4Dプリンティングの概念は進歩しても、4Dプリンティングに関する研究は、依然として成形品形状の変化において停滞している。例えば、201810652872.4は、繊維配向の高制御可能性を利用して任意の可展面形状の制御可能な変形を実現する制御可能に変形する連続繊維埋込複合材料の4D印刷方法を公開しており;201910807448.7は、温度駆動形状記憶合金の変形を利用してロボットの運動を実現する温度駆動に基づく4Dプリンティングロボットを公開しており;201910342885.6は、複雑に変形する液晶弾性体部材の製造を実現する液晶弾性体および4Dプリンティングに基づく製造方法および生成品を公開している。したがって、これらの4Dプリンティングに関する特許が注目しているのは、依然として成形品の変形であり、部材の性能の変化、機能の変化を無視している、あるいは上手く実現できていない。これは、主に、研究者達が伝統的な3Dプリンティング技術にインテリジェント材料を惰性的に応用したことによる結果である(例えば、形状記憶材料等)。したがって、性能の変化、機能の変化の4Dプリンティングを実現するために、我々は、既存の考えを打ち破って、新しい製造思想を採用し、材料と構造設計により外部環境の刺激の下で本来具えていない性能と機能を生み出すことを実現することにより、性能、機能の変化を達成しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現有技術の上記の欠陥または改善要求に対し、本発明は、付加製造技術を利用し、磁気と電気材料の結合の思想に基づいて、圧電性能を有する圧電センサを製造することのできる4Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサおよびその製造方法を提供する。圧電効果は電磁誘導原理により生じるものである。すなわち、外力の作用の下で、装置は、電気信号を生成することができ、圧力を感知する機能を有する。3Dプリンティングを基礎として、装置は、材料と構造の設計により、原磁性部と導電性部がそれぞれ圧電性能および外圧力感知機能を具えていない性能を取得し、すなわち、性能が変化し、機能が変化する4Dプリンティングを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記で述べた目的を実現するため、本発明の1つの方面に基づき、磁性部と導電性部を含む4Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサを提供する。
【0007】
前記導電性部は、相対的に設置された2つの基板および前記2つの基板の間に設置された螺旋構造を含み、2つの前記基板および螺旋構造は、いずれも導電性の金属材質である。
【0008】
前記磁性部は、フレキシブルな多孔構造を表し、2つの前記基板の間に設置され、磁場を生成するために使用される。
【0009】
前記基板が外部圧力を受けた時、前記螺旋構造と磁性部が同時に圧縮され、前記螺旋構造を通過する磁束に変化が生じ、2つの前記基板の電圧に変化が生じるため、前記基板の間の電圧変化を測定して外部圧力の変化を反映させることにより、圧力測定プロセスを実現する。
【0010】
より好ましくは、前記磁性部の原材料は、ポリマー粉末と磁性粉末を混合して形成された複合粉末であり、ポリマー粉末は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリジメチルシロキサン(PDMS)であるのが好ましく、前記磁性粉末は、ネオジム鉄ホウ素磁性粉末(neodymium iron boron magnetic powder、NdFeB)、鉄クロムコバルトベースの永久磁性合金粉末(iron chromium cobalt-based permanent magnet alloy powder)または永久磁性フェライト粉末(permanent magnetic ferrite powder)であるのが好ましい。
【0011】
より好ましくは、前記磁性粉末の質量分数は、10%~40%であり、磁性部のフレキシビリティが既に保証されており、前記磁性部の磁性も保証されている。
【0012】
より好ましくは、前記螺旋構造の圧縮弾性率と前記磁性部の圧縮弾性率の比率は、0.1~10である。
【0013】
より好ましくは、前記基板の上に、前記磁性部を固定するための凹部が設置される。
【0014】
より好ましくは、前記圧電センサは、1つのユニットであり、複数ユニットを直列または並列に接続することにより、複数ユニットの圧電センサを取得し、前記複数ユニットの圧電センサは、1つの圧電センサの信号を増幅するために使用される。
【0015】
本発明の別の方面に基づき、上述した圧電センサの製造方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
【0016】
S1:ポリマー粉末と磁性粉末を原料として選択し、二者を混合して複合粉末を調製し、前記導電性部における螺旋構造の圧縮弾性率を計算および取得し、前記磁性部の多孔構造を構築するとともに、前記多孔構造の圧縮弾性率を計算および取得し、3Dプリンティング成形方法を利用して前記多孔構造を成形することにより、所望の磁性部を取得して、前記磁性部に対して磁化を行い、前記磁性部が永久磁性を取得できるようにする。
【0017】
S2:導電性部の三次元構造を構築し、同時に、前記多孔構造の圧縮弾性率に基づいて前記螺旋構造の圧縮弾性率を構築し、前記導電性部の螺旋構造の圧縮弾性率と前記多孔構造の圧縮弾性率の比率を0.1~10にし、導電性部の原材料を選択し、前記原材料を利用して前記三次元モデルに基づいて3Dプリンティング成形を実行することにより、所望の導電性部を取得する。
【0018】
S3:前記永久磁性を有する磁性部を前記導電性部の基板の間に組み立てて、所望の圧電センサを取得する。
【0019】
より好ましくは、ステップS2において、前記3Dプリンティング成形方法は、選択的レーザ溶融法(selective laser melting(SLM))、電子ビーム積層造形法(EBM)、またはレーザー直接積層法(Laser engineered net shaping(LENS))等の金属3Dプリンティング技術であるのが好ましい。
【0020】
より好ましくは、ステップS1において、前記3Dプリンティング成形方法は、選択的レーザー焼結法(selective laser sintering (SLS))、熱溶解積層法(fused deposition modelling(FDM))、または紫外線による光硬化等のポリマー3Dプリンティング技術であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
概して、本発明が構想する上記の技術方案と現有技術を比較すると、本発明は、以下の有益効果を有する:
【0022】
1、本発明は、3Dプリンティングの方法を採用して磁性部と導電性部を製造し、二者を分けて成形することにより、組み立てた後に得られる最終生産物が圧電性能を有する。この圧電性能は、磁性部と導電性部がいずれも具えていないものであり、1+1>2の効果を実現する。すなわち、3Dプリンティングの性能と機能が変化するため。4Dプリンティングを実現する。
【0023】
2、本発明の圧電センサは、新しい材料/構造設計構想および製造方法を提供し、付加製造技術が圧電センサ材料/構造の定量制御に十分有利であるため、4Dプリンティングの圧電センサ性能および機能の変化を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0025】
【
図1】本発明の好ましい実施形態が構築する圧電センサの製造フロー概略図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態が構築する圧電センサの構造および成形過程概略図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態が構築する磁性部の構造概略図であり、(a)は、磁性部の三次元コンピュータ支援設計(CAD)モデルであり、(b)は、製造した磁性部光学写真である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態が構築する導電性部の構造概略図であり、(a)は、導電性部の三次元モデルであり、(b)は、製造した導電性部光学写真である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態が構築する圧電センサが生成する圧電信号の原理図である。
【
図6】本発明の好ましい実施形態が構築する圧電センサの圧電信号図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的、技術方案、および利点をさらに明確にするため、以下、図面と実施形態を組み合わせて、本発明をさらに詳しく説明する。理解すべきこととして、ここで説明する具体的な実施形態は、単に本発明を解釈するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。また、下記に説明する本発明の各実施形態において関連する技術特徴は、互いに衝突しなければ、相互に組み合わせてもよい。
【0027】
図1および
図2に示すように、4Dプリンティングに基づくフレキシブル圧電センサの材料/構造設計方法は、材料と構造の設計を同時に含む。本発明が製造する圧電センサは、材料結合の思想に基づくため、フレキシブル圧電センサは、付加製造で製造される磁性部と導電性部を含み、両部分は、1つに結合してフレキシブル圧電センサを取得するのに適している。
【0028】
磁性部の材料設計は、フレキシブルポリマー材料と永久磁性粉末材料であり、磁性粉末の質量分数は、10%~40%であり、構造設計は、三次元周期性多孔構造である。このように、特に、付加製造技術に適用され、性能の制御に有利である;導電性部の設計は、金属導電材料であり、構造設計は、螺旋構造と2つの基板のアセンブリであり、螺旋構造部分と三次元周期性多孔構造は高さが同じであり、本実施形態において、螺旋構造が採用するのは、バネである。
【0029】
磁性部は、磁場を生成する特性を有していなければならず、ポリマー材料と磁性粉末の複合材料を付加製造の原材料として採用する;導電性部は、導電性を有していなければならず、導電性に優れた材料(主に、金属材料)を付加製造の原材料として採用する。装置のフレキシブル効果を達成するため、装置を圧縮しやすいよう、ポリマー材料は、弾性率の低い材料を採用し、多孔構造に設計して、圧縮できる空間を保留する。この多孔構造の圧縮弾性率を計算および取得することにより、磁性多孔構造および金属導電性部の圧縮弾性率(バネ部分の弾性係数k)の比率は、0.1~10でなければならない。螺旋構造の弾性係数kは、以下の公式に基づいて計算され、これにより、螺旋構造が採用する構造パラメータに根拠を提供することができる。
【0030】
【0031】
式中、Gは、選択した金属材料のせん断弾性率であり、dは、バネのワイヤ径であり、nは、バネの有効巻き数であり、Dは、バネコイルのワイヤ直径である。
【0032】
バネの両端に2つの基板を設計し、外圧力を印加しやすいよう、2つの基板の高さを磁性ポリマー多孔構造の高さにして、磁性部を2つの基板に貼り付けるとともに、基板に1対の凹部を設計して、幅を磁性部の幅と一致させ、圧縮過程において磁性部が基板に対して移動しないようにする。
【0033】
本発明の別の方面に基づき、本発明は、フレキシブル圧電センサの4Dプリンティング製造方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む:
【0034】
(1)磁性部の原材料の製造および付加製造成形。磁性部が採用するフレキシブルポリマー材料は、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane, TPU)、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane, PDMS)等の柔軟性に優れ、弾性率の低い材料が好ましく、採用する磁性粉末は、ネオジム鉄ホウ素(NdFeB)磁性粉末、鉄クロムコバルトベースの永久磁性合金粉末、および永久磁性フェライト粉末等の磁化された、すなわち、永久磁性を保持する粉末が好ましい。付加製造成形は、ポリマー材料に通常使用される技術、例えば、選択的レーザー焼結法(selective laser sintering、SLS)、熱溶解積層法(fused deposition modelling、FDM)、および紫外線による光硬化を採用するのが好ましく、採用した付加製造技術に基づいて、上記の選択した原材料を異なる形態に製造し、例えば、SLS技術の粉末材料に適用し、FDM技術のフィラメント材料に適用し、SLA(stereolithography apparatus)技術又はデジタルライトプロセッシング(DLP)の感光性樹脂材料に適用する。さらに、最適化した技術パラメータを採用して上記の設計が完了した多孔構造を成形し、磁性部を取得する。
【0035】
(2)磁性部の磁化。ステップ(1)で得られた磁性部を磁化装置に置いて、適切な磁化電圧を設置し、スイッチをオンにした瞬間、磁性部が永久磁性を取得し、磁場の方向は、磁化装置に置いた方向の違いに基づいて変化することができる。
【0036】
(3)導電性部の付加製造成形。導電性部が採用する導電性に優れた材料は、金属材料、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等が好ましい。好ましくは、通常使用される金属付加製造技術、例えば、選択的レーザ溶融法(selective laser melting、SLM)、電子ビーム積層造形法(EBM)、およびレーザー直接積層法(Laser engineered net shaping、LENS)を応用し、最適化したパラメータを採用し、上記の導電部分の螺旋構造を2つの基板および1対の凹部とともに一体成形して、導電性部を取得する。
【0037】
(4)磁性部と導電性部を組み立てて、フレキシブル圧電センサを取得する。
【0038】
上述した4Dプリンティング成形の圧電センサを基本ユニットとして、複数の前記圧電センサを適切に接続することにより、複数の圧電センサを直列および並列に接続し、圧電信号の増幅を実現することができる。
【0039】
導電性部と磁性部に対する製造は独立して行われ、二者の製造は前後の順序がなく、いずれか一方の製造を行った後、製造したこの部分に基づいて、別の部分の製造していない圧縮弾性率を確定することができる。
【0040】
このフレキシブル圧電センサは、外圧力作用の下で変形し、螺旋構造を通過する磁束が変化し、ファラデーの電磁誘導の法則に基づいて、2つの基板の間に電圧が生じるため、電気信号が生成されて、新しい電圧性能が生じる。また、この圧電センサは、外圧力感知機能を有するため、4Dプリンティング部材の性能と機能に変化が生じ、性能の変化、機能の変化の4Dプリンティングを実現することができる。
【0041】
具体的な実施形態において、三次元周期性多孔構造のユニットサイズは、3mm~5mmであるのが好ましく、体積分数は、15%~20%であるのが好ましく、高さは、15mm~25mmであるのが好ましい。
【0042】
2つの基板の長さは、35mm~45mmであるのが好ましく、幅は、15mm~25mmであるのが好ましい。バネのワイヤ径dは、1mm~1.2mmであるのが好ましく、バネの有効巻き数nは、4~8であるのが好ましく、バネコイルのワイヤ直径Dは、8mm~10mmであるのが好ましい。
【0043】
以下、具体的な実施形態を組み合わせて、本発明をさらに説明する。
【0044】
フレキシブル圧電センサの材料/構造設計方法:
【0045】
磁性部の材料は、TPUとNdFeB粉末であり、NdFeB粉末の質量分数は、40%であり、採用する三次元周期性多孔構造(三次元CADモデルは、
図3の(a)に示した通りである)のユニットサイズは、5mmであり、体積分数は20%であり、高さは20mmである。導電性部の材料は、316Lステンレス鋼であり、磁性部(三次元CADモデルは、
図4の(a)に示した通りである)のバネの高さと多孔構造の高さは同じであり、すなわち、20mmであり、2つの基板は、長さが40mmであり、幅が20mmである。バネのワイヤ径dは、1mmであり、バネの有効巻き数nは、7であるのが好ましく、バネコイルのワイヤ直径Dは、8mmであるのが好ましい。検証からわかるように、導電性部と磁性部の圧縮弾性率は、2.5であり、0.1~10の範囲にあるため、同期圧縮を実現することができる。
【0046】
図2に示すように、本実施形態のフレキシブル圧電センサの4Dプリンティング製造方法は、以下のステップを含む:
【0047】
(1)磁性部の原材料の製造および付加製造成形。磁性部は、選択的レーザー焼結SLSの付加製造技術成形を採用するため、原材料を粉末状態に製造する必要がある。
図3の(a)に示すように、磁性部の構造を設計した後、最適化した技術パラメータを採用して磁性部を製造する。最終的なSLS技術成形の磁性部は、
図3の(b)に示した通りである。
【0048】
(2)磁性部の磁化。ステップ(1)で得られた磁性部を磁化装置に置いて、適切な磁化電圧を設置し、スイッチをオンにするときに、磁性部が永久磁性を取得し、磁場の方向は、磁化装置に置いた方向の違いに基づいて変化することができる。
【0049】
(3)導電性部の付加製造成形。導電性部は、316Lステンレス鋼粉末のSLM技術成形を採用する。
図4の(a)に示すように、導電性部の構造を設計して、最適化したパラメータを採用し、上記の導電部分の螺旋構造を2つの基板および1対の
凹部とともに一体成形して、
図4の(b)のような導電性部を取得する。
【0050】
(4)磁性部と導電性部を組み立てて、フレキシブル圧電センサを取得する。
【0051】
図5に示すように、このフレキシブル圧電センサは、外圧力の作用の下で変形し、螺旋構造を通過する磁束が変化し、ファラデーの電磁誘導の法則に基づいて、2つの基板の間に電圧が生じるため、電気信号が生成され、
図6に示すように、図は、生成された電気信号であり、新しい電圧性能が生じる。また、この圧電センサは、外圧力感知機能を有するため、4Dプリンティング部材の性能と機能に変化が生じ、これにより、性能の変化、機能の変化の4Dプリンティングを実現することができる。
【0052】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。