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特許7049445被遠隔制御装置のための競合解決方法および競合解決システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】被遠隔制御装置のための競合解決方法および競合解決システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020515921
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2018074762
(87)【国際公開番号】W WO2019053133
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-09-02
(31)【優先権主張番号】17191639.8
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュレーゲル,ローマン
(72)【発明者】
【氏名】ロッヒャー,トーマス
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-064256(JP,A)
【文献】特開2009-260712(JP,A)
【文献】特開2003-120984(JP,A)
【文献】特開2007-131275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被遠隔制御装置(200、200a、200b)のための競合解決方法であって、
遠隔制御センター(100)または前記装置(200、200a、200b)が、前記装置(200、200a、200b)について指令を発令することと、
前記指令の重要レベルを判断することと、
前記指令の前記重要レベルに応じて、前記指令の承認または拒否の判断を特定するために、前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち他方に前記指令を送信することと、
前記装置(200、200a、200b)が、前記指令の前記重要レベルに応じて、および該当する場合、前記指令の前記承認または拒否に応じて、前記指令を実行または無視することとを備える、方法。
【請求項2】
前記指令の実行についての承認の必要性は、前記指令の前記重要レベルに応じて決まる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指令の前記重要レベルを変更することをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記指令は、前記指令の承認または拒否の判断を特定するために、前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち他方に送信される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記指令は、前記重要レベルが低い場合、前記指令の承認または拒否の判断を特定するために、前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち他方に送信されない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記装置(200、200a、200b)の制御モードを判断することをさらに備え、
前記指令を送信することおよび前記指令を実行または無視することはさらに、前記装置(200、200a、200b)の前記制御モードに応じて決まる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記指令を発令している前記装置(200、200a、200b)と前記遠隔制御センター(100)とのうち他方について、前記制御モードが優先モードに設定されている場合、前記重要レベルにかかわらず、前記指令の承認または拒否の判断を特定するために、前記装置(200、200a、200b)と前記遠隔制御センター(100)とのうち他方に前記指令が送信される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記指令を発令している前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち一方について、前記制御モードがロックアウトモードに設定されている場合、前記指令は無視される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記指令を発令している前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち一方について、前記制御モードがロックアウトモードに設定されている場合、前記重要レベルにかかわらず、前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち他方によって前記指令が承認されなければならない、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記装置(200、200a、200b)の前記制御モードを変更することをさらに備える、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記指令は、前記装置(200、200a、200b)が前記指令の承認または拒否を受け取る前に実行される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
競合解決システムであって、
遠隔制御される装置(200、200a、200b)と、
遠隔制御センター(100)とを備え、
前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち少なくとも一方は、
前記装置(200、200a、200b)について指令を発令し、
前記指令の重要レベルを判断し、
前記指令の前記重要レベルに応じて、前記指令の承認または拒否の判断を特定するために、前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち他方に前記指令を送信するように構成され、
前記装置(200、200a、200b)は、前記指令の前記重要レベルに応じて、および該当する場合、前記指令の前記承認または拒否に応じて、前記指令を実行または無視するように構成されている、競合解決システム。
【請求項13】
前記装置(200、200a、200b)は移動可能な船舶であり、かつ、前記制御センター(100)は静止している、請求項12に記載の競合解決システム。
【請求項14】
前記装置(200、200a、200b)および前記制御センター(100)は互いに離れている、請求項12または13に記載の競合解決システム。
【請求項15】
前記装置(200、200a、200b)と前記制御センター(100)とのうち少なくとも一方は、前記装置(200、200a、200b)をデータネットワークに、特にグローバルデータネットワークに接続するためのネットワークインターフェースを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の競合解決システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、被遠隔制御装置のための競合解決方法に関する。他の態様は、競合解決システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術的な背景
船舶に制御センターから指令を送信することによって少なくとも部分的に制御される被遠隔制御装置、たとえば船舶の概念が知られている。しかしながら、そのような被遠隔制御船舶への遷移の間および特定の状況における遷移の後に、船舶に船員が乗船しており、指令が乗船している船員と制御センターとの双方から届く可能性がある。これによって、競合している乗船中の船員と制御センターとによって指令が発令されて、何らかの形の解決メカニズムが必要になる状況に至ることがある。そのような競合を解決できないと、船舶の安全とセキュリティとの両方を危険にさらす可能性がある。
【0003】
言い換えると、ハイブリッド制御、すなわち、一部の制御が乗船している船員によって実施される(部分的な)被遠隔制御船舶の場合、競合する指令が制御センターと乗船中の船員との双方から出されるといった、制御の競合が発生する可能性がある。そのような競合が解決されない限り、船舶の安全とセキュリティとは危険にさらされる可能性がある。さらに、制御競合の解決策を必要とする他の状況、たとえば、船舶が海賊に乗っ取られ船内制御が閉め出されるような襲撃、または、船員が制御不能になったために制御センターが制御しなければならないような状況がある。
【0004】
それゆえ、これらの問題の少なくとも一部を克服する、特にそのような競合を緩和または解決するためのメカニズムを提供可能な、被遠隔制御装置のための競合解決方法、および競合解決システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
上記を考慮して、請求項1に係る被遠隔制御装置のための競合解決方法および請求項12に係る競合解決システムが提供される。
【0006】
ある態様によると、被遠隔制御装置のための競合解決方法が提供される。競合解決方法は、遠隔制御センターまたは装置が、装置について指令を発令することと、指令の重要レベルを判断することと、指令の重要レベルに応じて、指令の承認または拒否について、装置と制御センターとのうち他方に指令を送信することと、装置が、指令の重要レベルに応じて、および該当する場合、指令の承認または拒否について、指令を実行または無視することとを備える。
【0007】
他の態様によると、競合解決システムが提供される。競合解決システムは、遠隔制御される装置と、遠隔制御センターとを備え、装置と制御センターとのうち少なくとも一方は、装置について指令を発令し、指令の重要レベルを判断し、指令の重要レベルに応じて、指令の承認または拒否について、装置と制御センターとのうち他方に指令を送信するように構成され、装置は、指令の重要レベルに応じて、および該当する場合、指令の承認または拒否に応じて、指令を実行または無視するように構成されている。
【0008】
競合する指令を解決することができ、安全で信頼性のある装置の遠隔制御を提供できることが利点である。
【0009】
本願明細書に記載される実施形態と組み合わせることができる他の利点、特徴、態様および詳細は、従属請求項、説明および図面から明らかである。
【0010】
添付の図面を参照して、以下で詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る競合解決システムの概略図である。
図2】実施形態に係る競合解決システムの概略図である。
図3】実施形態に係る競合解決システムの概略図である。
図4】実施形態に係る競合解決システムのプロセスを示す図である。
図5】実施形態に係る競合解決システムのプロセスを示す図である。
図6】実施形態に係る競合解決方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面および実施形態の詳細な説明
さまざまな実施形態について詳細に以下で説明され、それらの1つ以上の例が各図において示される。各例は説明として提供され、限定を意味しているわけではない。たとえば、1つの実施形態の一部として例示または記載される特徴は、任意の他の実施形態について、または、任意の実施形態に関連して用いられて、他の実施形態をもたらすこともある。本開示は、そのような修正および変形を含むことが意図される。
【0013】
以下の図面の説明では、同じ参考番号は同じまたは類似の構成要素を表す。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみが説明される。他に指定のない限り、一実施形態における部分または態様の説明は、他の実施形態において対応する部分または態様にも当てはまる。
【0014】
本開示は、たとえば乗船している船員および装置からの指令が遠隔制御センターからの指令と競合している場合、制御競合解決のためのメカニズムを提供する。本開示は、そのような競合解決メカニズム、および、(たとえば、襲撃者が装置の制御を奪うのを防ぐために、または制御不能になった船員から制御を引き継ぐために、)一方の当事者によって制御が行われなければならない状況についての概念を提案する。
【0015】
船舶などの被遠隔制御装置に依然として乗船している船員または一部の船員(たとえば、技術チーム)がいる状況では、遠隔制御センターによって発令される指令が、乗船している船員によって局所的に発令される指令と競合する可能性がある。これは、指令の重要性によっては、安全を最重視すべき問題(たとえば、競合する操縦指令)につながる可能性がある。
【0016】
このような問題を防ぐために、本明細書で説明される実施形態は、指令の異なる重要レベルおよび/または制御モードに対応し得る。指令の重要レベルは、指令を実行可能な様式を決定し得る。制御モードは、遠隔制御センターと装置との間で責任のより大きな分業を決定し得る。
【0017】
特に、各指令には、指令が実行可能になる前に相手方(遠隔制御センターまたは装置)による承認が必要かどうかを決定可能な重要レベルを割り当てることができる。一般的に言えば、重要レベルが低い指令は、実行される前に承認を必要としないことが典型的である。重要レベルが高い指令は、装置で実行可能になる前に承認を必要とすることができる。加えて、予防的に指令を実行し事後承認を必要とするための、たとえば、迅速な対応の時間が必要とされる状況(たとえば、衝突を避ける)、および/または、承認を得る正規の手続きに従うことができない状況について規定がある場合がある。指令が指定された期間内に承認されない場合、システムパラメータを予防措置の実行(たとえば、航路を本来の航路へ変更する)前のパラメータに戻すことによって、動作を逆にすることが可能である。
【0018】
図1は、競合解決システムを示す図である。競合解決システムは、遠隔制御される装置200、および/または遠隔制御センター100を備える。本開示は複数の事例における被遠隔制御船舶(たとえば、船)に関して説明されるが、装置200は、動産などの被遠隔制御装置、たとえば、鉱山の遠隔制御される機械であり得る。本明細書で説明される実施形態によると、装置200は、移動可能な船舶であり得る。さらに、装置200は、物理的な作業を行うことが可能な装置であり得る。さらに、装置200は、装置200を移動させるための、および/または装置200の進行方向を変更するためのアクチュエータを含み得る。
【0019】
本明細書で説明される実施形態によると、装置200は、移動可能な船舶でもよく、および/または、制御センターは静止していてもよい。さらに、制御センターは移動可能な船舶でもよく、および/または、移動可能な船舶に搭載可能でもよい。本明細書で説明される実施形態によると、装置200および制御センター100は、互いに離れていてもよい。
【0020】
装置200および/または遠隔制御センター100は、装置200と遠隔制御センター100とのうち他方と通信するために、装置200と遠隔制御センター100とのうち他方に対して通信リンクを確立するように構成可能である。
【0021】
装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方は、装置200についての指令を発令するように構成可能である。指令は、装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方のシステム構成要素によって発令することができる。システム構成要素は、単独で、すなわち自動プロセスによって、または手動で指令を発令するオペレータに替わって、指令を発令することができる。
【0022】
装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方は、指令の重要レベルを判断するように構成可能である。本開示に関して、装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方によって判断される重要レベルなどの「重要レベル」は、どの様式で指令を実行可能かを判断し得る値として理解することができる。具体的には、重要レベルは、指令が実行可能になる前に、相手方(装置200と遠隔制御センター100とのうち他方)による承認が必要かどうかを判断し得る。重要レベルは、低レベル~高レベル、具体的には、低レベルと高レベルなどの複数の値をとり得る。重要レベルが低い指令は、実行される前に承認を必要としなくてもよい。重要レベルが高い指令は、装置200で実行可能になる前に承認を必要としてもよい。
【0023】
装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方は、指令の承認および/または拒否について、装置200と遠隔制御センター100とのうち他方に指令を送信するように構成可能である。装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方は、指令の重要レベルに応じて、装置200と遠隔制御センター100とのうち他方に指令を送信するように構成可能である。
【0024】
すなわち、指令の重要レベルが、装置200と制御センター100とのうち他方による承認が必要であることを示す場合、装置200と制御センター100とのうち他方に指令を送信することができる。低重要レベルについて、指令の承認または拒否について、装置200と制御センターとのうち他方に指令を送らなくてもよい。高重要レベルの場合、指令の承認または拒否について、装置200と制御センターとのうち他方に指令を送ってもよい。
【0025】
本明細書で説明される実施形態によると、指令を実行するための承認の必要性は、指令の重要レベルに応じて決まる。本明細書で説明される実施形態によると、特に重要レベルが高い場合、指令の承認または拒否について、装置200と制御センター100とのうち他方に指令を送信することができる。本明細書で説明される実施形態によると、重要レベルが低い場合、指令の承認または拒否について、装置200と制御センター100とのうち他方に指令が送信されなくてもよい。
【0026】
装置200は、指令の重要レベルに応じて、指令を実行または無視するように構成可能である。さらに、装置200は該当する場合、指令の承認または拒否に応じて、指令を承認または無視するように構成可能である。たとえば、重要レベルが低い指令の場合、装置200は、承認を待つことなく指令を実行するように構成可能である。重要レベルが高い指令の場合、装置200は、承認を受け取った後で指令を実行するように構成可能である。装置200が重要レベルが高い指令について承認またはその拒否を受け取らない場合、装置200は、指令を実行しないように構成可能である。
【0027】
遠隔制御センター100および/または装置200、具体的には遠隔制御センター100および/または装置200にアクセスできるオペレータは、指令を承認または拒否可能であり、遠隔制御センター100および/または装置200は、指令について対応するように強制されなくてもよい。たとえば、遠隔制御センター100および/または装置200は、指令を無視できる。そのような状況では、非承認または拒否が、遠隔制御センター100と装置200とのうち他方に送られる。
【0028】
指令を受け取ると、装置200は指令を実行可能である。具体的には、装置200は、指令によって与えられる特定の作業を実行し得る。たとえば、装置200が船舶である場合、指令は、船舶に、左に曲がるなどといった特定の操縦を行うように指示可能である。指令は、乗船している船員、船長またはパイロットなど、装置200のオペレータが発令することができる、または、装置200から離れたオペレータが発令することができる。さらに、指令は、メンテナンス作業または解除を引き起こし得る。
【0029】
本開示によって、装置の遠隔制御が可能になり、被遠隔制御装置などのさらに洗練された遠隔制御の応用が可能になる。さらに、本開示の実施形態によって、被遠隔制御装置の安全およびセキュリティを改善することができる。
【0030】
本明細書で説明される実施形態によると、指令の重要レベルは変更可能である。具体的には、指令の重要レベルは、装置200がその意図された動作を行っている間に変更可能である。装置の意図された動作は、装置200の通常動作、すなわち、装置200がそのために設計されたいかなる動作でもよい。すなわち、重要レベルを変更するために必要なメンテナンスの中止などが必要ではない。
【0031】
1つの装置200が図1に示されているが、任意の数の装置200を設けることができる。図2および図3は、少なくとも2つの装置200a、200bを示す。そのため、競合解決システムは、少なくとも2つの装置200a、200bを含み得る。少なくとも2つの装置は各々、装置200と同一でもよい、またはこれに類似していてもよい。さらに、少なくとも2つの装置200a、200aが、装置200の特徴を共通して有する一方で、さまざまな特徴は異なっていてもよい。
【0032】
図2は、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち第1の装置200aとの間に通信を提供するために、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち第1の装置200aとの間に確立されている通信リンクを示す図である。さらに、少なくとも2つの装置200a、200bの第1の装置200aと第2の装置200bとのうち少なくとも一方は、少なくとも2つの装置200a、200bの第1の装置200aと第2の装置200bとの一方と通信するために、少なくとも2つの装置200a、200bの第1の装置200aと第2の装置200bとのうち他方に通信リンクを確立するように構成され得る。上述の通信スキームで、遠隔制御センター100は、少なくとも2つの装置200a、200bの第1の装置200aと通信可能である。たとえば、指令が少なくとも2つの装置200a、200bのうち第2の装置200bに向けられたものである場合、少なくとも2つの装置200a、200bのうち第1の装置200aは、少なくとも2つの装置200a、200bのうち第2の装置200bに指令を転送可能である。これによって、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち第2の装置200bとの間の通信も、特に少なくとも2つの装置200a、200bのうち第1の装置を中間プレーヤとして確立可能である。
【0033】
図3は、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち第2の装置200bとの間に通信を提供するために、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち第2の装置200bとの間に確立されている別の通信リンクを示す図である。実施形態を実施すると、通信リンクの信頼性を向上可能である。具体的には、遠隔制御センター100は、少なくとも2つの装置200a、200bのうち一方のみと通信範囲内になければならない一方で、遠隔制御センター100と通信している少なくとも2つの装置200a、200bのうち一方の装置は、少なくとも2つの装置200a、200bのうち他方の装置に対する通信のためのリレーとして機能可能である。
【0034】
本明細書で説明される実施形態によると、遠隔制御センター100と装置200とのうち少なくとも一方は、具体的には、遠隔制御センター100と、少なくとも2つの装置200a、200bのうち少なくとも一方とのうちで、少なくとも一方は、データネットワーク、特にグローバルデータネットワークに装置を接続するためのネットワークインターフェースを含み得る。データネットワークは、インターネットなどのTCP/IPネットワークでもよい。遠隔制御センター100と装置200とのうち少なくとも一方は、具体的には、遠隔制御センター100と、少なくとも2つの装置200a、200bのうち少なくとも一方とのうちで、少なくとも一方は、データネットワークから受信された指令を行うためにネットワークインターフェースに動作可能に接続可能である。指令は、装置200を移動させる、および/または装置200の進行方向を変更するなどの作業を行うように装置を制御するための制御指令を含み得る。この場合、装置200は、制御指令に応答して作業を実行するために適合され得る。指令は、状態リクエストを含み得る。状態リクエストに応答して、または以前の状態リクエストがなくても、遠隔制御センター100と装置200とのうち少なくとも一方は、具体的には、遠隔制御センター100と、少なくとも2つの装置200a、200bのうち少なくとも一方とのうちで、少なくとも一方は、ステータス情報をネットワークインターフェースに送信するように適合されてもよく、ネットワークインターフェースはその後、ネットワークを通じてステータス情報を送信するために適合される。指令は、更新データを含む更新指令を含み得る。この場合、遠隔制御センター100と装置200とのうち少なくとも一方は、具体的には、遠隔制御センター100と、少なくとも2つの装置200a、200bのうち少なくとも一方とのうちで、少なくとも一方は、更新指令に応じて更新データを用いて更新を開始するために適合され得る。
【0035】
データネットワークは、LAN、WAN、またはインターネットなどのTCP/IPを用いたイーサネット(登録商標)ネットワークでもよい。データネットワークは、クラウドなどの分散記憶装置を含み得る。クラウドは用途に応じて、パブリッククラウド、プライベートクラウド、またはコミュニティクラウドでもよい。
【0036】
ネットワークインターフェースは、遠隔制御センター100と装置200とのうち少なくとも一方とデータネットワークとの間で、具体的には、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち少なくとも一方と、データネットワークとの間で、デジタル信号/データを送受信するように構成可能であり、デジタル信号/データは、装置またはネットワークについての動作指令および/または情報を含む。具体的には、ネットワークインターフェースおよび/またはデータネットワークは、遠隔制御センター100と装置200との間に、具体的には、遠隔制御センター100と少なくとも2つの装置200a、200bのうち少なくとも一方との間に、通信リンクを確立するために使用可能である。
【0037】
本開示において「装置200」と呼ばれることもあれば、「少なくとも2つの装置200a、200b」と呼ばれることもあるが、これらの言及はいずれも他方を表し得ることが想定されている。したがって、特に記載のない限り、「装置200」と呼ばれる場合はいつでも、「少なくとも2つの装置200a、200b」も表すと理解することができる。すなわち、「装置200」という表現は、「少なくとも2つの装置200a、200b」という表現を含み得る。
【0038】
本明細書で説明される実施形態によると、装置200の制御モードを判断可能である。装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方は、制御モードを判断するように構成可能である。具体的には、指令の重要レベルを判断する装置200と遠隔制御センター100とのうち一方は、装置200の制御モードを判断可能である。本明細書で説明された実施形態によると、指令の送信および指令の実行または無視は、さらに、装置200の制御モードに応じて決まる。
【0039】
制御モードは、通常モード、遠隔制御センター優先モード、装置優先モード、遠隔制御センターロックアウトモード、および装置ロックアウトモードを含み得る。
【0040】
本明細書で説明される実施形態によると、指令を発令している装置200と遠隔制御センター100とのうち他方について、制御モードが優先モードに設定されているときは、指令は、重要レベルにかかわらず、指令の承認または拒否について、装置200と遠隔制御センター100とのうち他方に送信可能である。
【0041】
本明細書で説明される実施形態によると、指令を発令している装置200と制御センター100とのうち一方について、制御モードがロックアウトモードに設定されている場合、指令は無視することができる。
【0042】
本明細書で説明された実施形態によると、指令を発令している装置200と制御センター100とのうち一方について、制御モードがロックアウトモードに設定されている場合、指令は、重要レベルにかかわらず、装置200と制御センター100とのうち他方によって承認されなければならない。
【0043】
表1は、制御モードについて、遠隔制御センター100および装置200に割り当てられた制御モードと優先順位との概要を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
通常制御モード
通常制御モードでは(表2を参照)、遠隔制御センター100および装置200は、等しい優先順位を有し得る。そのため、指令が承認されなければならないかどうかは、指令の重要レベルによって決まり得る。具体的には、指令が承認を必要とするかどうかは、指令の重要レベルによってのみ決まり得る。表2から分かるように、遠隔制御センター100が重要度が低い指令を装置200に送信する場合、指令が実行される前に、装置200、たとえば乗船している船員からの承認は必要ではない。同様に、装置200が指令を発令する場合、遠隔制御センター100は、装置200で実行される前に指令を承認する必要はない。他方で、遠隔制御センター100が重要度が高い指令を送信する場合、装置200は、指令が実行される前にこれを承認されなければならない。同様に、装置200が重要度の高い指令を発令する場合、遠隔制御センター100は、指令が装置で実行される前にこれを承認しなければならない。
【0046】
さらに、事後承認を伴う予防実行が、両方の側から可能である。本明細書で説明される実施形態によると、装置200が指令の承認または拒否を受け取る前に、指令を実行可能である。さらに、指令の実行は、装置200が指令の実行を開始後に指令の拒否を受け取る場合、撤回可能である。
【0047】
【表2】
【0048】
遠隔制御センター優先モード
遠隔制御センター優先モードでは(表3を参照)、遠隔制御センター100の指令が優先し得る。それゆえ、遠隔制御センター100は指令を発令する場合、この指令は、指令の重要レベルにかかわらず、直接、具体的には装置200、たとえば乗船している船員による承認を特に必要とすることなく、実行可能である。さらに、指令が装置200によって発令される場合、指令の重要レベルにかかわらず、実行可能になる前に遠隔制御センターによって承認されなければならない。
【0049】
本明細書で説明される実施形態によると、制御モードが遠隔制御センター100について優先モードに設定されている場合、指令は、重要レベルにかかわらず、指令の承認または拒否について、遠隔制御センター100に送信可能である。
【0050】
さらに、装置200は、具体的には状況によって必要とされる場合(たとえば、緊急事態)、事後承認で予防的に指令を実行可能である。
【0051】
【表3】
【0052】
装置優先モード
装置優先モードでは(表4を参照)、装置200によって発令される指令は、遠隔制御センター100によって発令される指令に優先し得る。それゆえ、遠隔制御センター100によって発令される指令は、重要レベルにかかわらず、装置200によって承認されなければならない場合がある。装置200によって発令される指令は、直接実行可能である。
【0053】
本明細書で説明される実施形態によると、制御モードが装置200について優先モードに設定されている場合、指令は、重要レベルにかかわらず、指令の承認または拒否について装置200に送信可能である。
【0054】
さらに、制御センターは、たとえば緊急事態の場合に、事後承認で予防的に実行可能な指令を発令することができる。
【0055】
【表4】
【0056】
遠隔制御センターロックアウトモード
遠隔制御センターロックアウトモードでは(表5を参照)、装置200は、遠隔制御センター100による承認なしで指令を発令することが可能である。さらに、遠隔制御センター100によって発令される指令は全て、承認されなければならない場合がある。さらに、制御センターによる承認が利用可能でない場合がある。遠隔制御センターロックアウトモードは、遠隔制御センター100が敵の軍隊によって乗っ取られているといった極限状況を対象とし得る。
【0057】
本明細書で説明される実施形態によると、遠隔制御センター100によって発令される指令は、指令を発令している遠隔制御センター100について、制御モードがロックアウトモードに設定されている場合、無視することができる。
【0058】
本明細書で説明される実施形態によると、制御モードが指令を発令している制御センター100についてロックアウトモードに設定されている場合、指令は、重要レベルにかかわらず、装置200によって承認されなければならない。
【0059】
【表5】
【0060】
装置ロックアウトモード
装置ロックアウトモードでは(表6を参照)、遠隔制御センター100は、装置200による承認なしで指令を発令することができる。さらに、装置200によって発令される指令は全て、承認されなければならない。さらに、装置200は、遠隔制御センター100による事後承認なしで予防的に指令を実行することができない。装置ロックアウトモードは、装置200が海賊によって乗り込まれているといった極限状況を対象とし得る。
【0061】
【表6】
【0062】
本明細書で説明される実施形態によると、装置200の制御モードは変更可能である。具体的には、装置200の制御モードは変更可能である一方で、装置200はその意図された動作を行っている。装置の意図された動作は、装置200の通常動作、すなわち、装置200が設計されているためのものでもよい。すなわち、制御モードを変更するために、メンテナンスの中止などが必要ではない。制御モードは、装置200と遠隔制御センター100とのうち少なくとも一方によって変更可能である。さらに、制御モードが装置200と制御センター100とのうち一方についてロックアウトモードに設定されている場合、ロックアウトモードに設定されている装置200と制御センター100とのうち一方についてのロックアウトモードを、制御モードに変更できないことがある。
【0063】
さらに、たとえば状況に応じて、制御モードはダイナミックに変更可能である。競合解決システムが依然として競合がない状態であると保証するために、異なるモードへの移行は、制御センターの優先順位に従い得る。それゆえ、遠隔制御センター100は、承認なしでモードの変更が可能である。装置200がモードを変更するために指令を発令する場合、制御センターはまず、指令を承認しなければならない(表7を参照)。
【0064】
【表7】
【0065】
は、実施形態に係る競合解決システムにおけるプロセスを示す図である。図では、重要度の高い指令が、被遠隔制御装置200において複数のパラメータを変更するために、遠隔制御センター100によって通常モードで発令される。装置200は、パラメータを変更し、承認で応答する。
【0066】
にさらに示すように、装置200はその後、指令を発令し、予防的に、すなわち、制御センターから承認を受け取る前に、自らパラメータを変更する。仮に遠隔制御センター100が変更を拒否する場合、装置200は変更を撤回することになる。
【0067】
は、実施形態に係る競合解決システムでのプロセスを示す図である。図において、遠隔制御センター100は、非常事態のため装置200の制御モードをロックアウトモードに変更する。装置200はもはや、遠隔制御センター100からの承認を受け取る前に、いかなる動作を行うこともできない。図の例では、装置200は、装置200がロックアウトモードになった後で複数のパラメータを変更しようとしており、この変更は、遠隔制御センター100によって否定されている。
【0068】
は、被遠隔制御装置200のための競合解決方法600を示すフローチャートである。ブロック710において、装置200についての指令は、遠隔制御センター100または装置200によって発令することができる。ブロック720において、指令の重要レベルを判断可能である。ブロック730において、指令の重要レベルに応じて、指令の承認または拒否について、装置200と制御センター100とのうち他方に指令を送信することができる。ブロック740において、指令の重要レベルに応じて、該当する場合、指令の承認または拒否に応じて、装置200によって、指令を実行または無視することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6