(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】符号化されたデータシンボルを含む信号の復号
(51)【国際特許分類】
H04J 13/18 20110101AFI20220330BHJP
H04L 27/18 20060101ALI20220330BHJP
H04L 27/36 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H04J13/18
H04L27/18 C
H04L27/36
(21)【出願番号】P 2020516816
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(86)【国際出願番号】 SE2017051060
(87)【国際公開番号】W WO2019088884
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100166660
【氏名又は名称】吉田 晴人
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン レーウェンマーク, ステファン
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-520403(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125223(WO,A1)
【文献】特開2009-225147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0272273(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0369390(US,A1)
【文献】PANASONIC,Multiple subframe code spreading for MTC UEs[online], 3GPP TSG-RAN WG1#82 R1-153969,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82/Docs/R1-153969.zip>,2015年08月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/69-1/719
H04J 13/00-13/22
H04L 27/00-27/36
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)へ送信するための、第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)によって実行される方法であって、前記第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)及び前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)は、無線通信ネットワーク(100)において動作しており、前記方法は、
‐送信対象のデータシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の系列をn回反復すること(201)と、ここで、kはnの倍数であり、
‐n個の直交符号系列を用いて、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についてのn個の系列を符号化すること(202)と、ここで、各符号系列は、n個の符号要素を含み、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての個別の符号化された系列と、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての2つの符号化された系列を隔てるための選択的な個別のアフィックスとを含む信号を、前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)へ送信すること(204)と、
を含
み、データシンボルS
0
,S
1
,...,S
k-1
についての、前記個別のアフィックスと前記個別の符号化された系列とが、マルチキャリア信号内の個別のサブキャリアを使用して並列に送信される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列の前記符号化(202)は、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列に含まれる、前記n回反復されたデータシンボルS
iに対して、前記n個の直交符号系列のうちの1つの符号系列を要素単位で乗算することを含み、i∈[0,1,...,k-1]である、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列の前記符号化(202)は、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列の前記符号化のために、前記n個の直交符号系列を反復使用することを含み、前記n個の直交符号系列は、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列に含まれる、前記n回反復されたデータシンボルS
iをそれぞれ符号化するために、それぞれk/n回使用され、i∈[0,1,...,k-1]である、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS
0の前に、前記個別のアフィックスを設けること(203)を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記個別のアフィックスを設けること(203)は、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての符号化された各系列の前記最初のデータシンボルS
0の前に、個別のサイクリックプレフィックスを挿入することを含み、前記個別のサイクリックプレフィックスは、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記個別の符号化された系列の、最後のn-1個のデータシンボルのうちの1つ以上を含む、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、前記個別のアフィックスを設けること(203)は、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての符号化された各系列の前記最初のデータシンボルS
0の前に、個別のガード期間を設けることを含む、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、前記データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1は、線形変調又は非線形変調のシンボルコンスタレーションからのデータシンボルである、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記線形変調は、
‐位相シフトキーイング(PSK)と、
‐直交振幅変調(QAM)と、
のうちの1つである、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記非線形変調は、
‐ガウシアン最小シフトキーイング(GMSK)と、
‐ガウシアン周波数シフトキーイング(GFSK)と、
‐最小シフトキーイング(MSK)と、
のうちの1つである、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、前記データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1のうちの1つ以上はトレーニングシンボルである、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法であって、前記n個の直交符号系列は実数値を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記n個の直交符号系列はn×nのアダマール行列に含まれる、方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法であって、前記n個の直交符号系列は複素数値を含む、方法。
【請求項14】
第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)から受信された信号からデータシンボルを復号及び抽出するための、第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)によって実行される方法であって、前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)及び前記第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)は、無線通信ネットワーク(100)において動作しており、前記方法は、
‐前記第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)から信号を受信すること(401)と、
‐k個の受信サンプルについてのn個の系列をもたらす受信信号からアフィックスを除去すること(402)と、
‐k個の受信サンプルについての前記n個の系列をスタックすること(403)と、
‐n個の直交符号系列を使用して、k個の受信サンプルについての前記スタックされたn個の系列を復号すること(404)と、ここで、各符号系列は、n個の符号要素を含み、符号系列ごとに、当該符号系列の前記n個の符号要素のうちの1つに対して、k個の受信サンプルについての前記n個の系列のそれぞれが乗算され、受信サンプルについての前記乗算された系列は、その後に加算され、当該復号により、復号されたn個の異なるサンプル系列であって長さkのサンプル系列が得られ、復号された各サンプル系列が、適用された前記n個の符号系列のうちの1つに対応し、
前記復号されたn個の異なるサンプル系列から、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の系列を抽出すること(406)と、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
‐復号されて並べ替えられたn個の異なるサンプル系列
であって、各サンプル系列が個別のチャネル係数に対応し、かつ、各サンプル系列に含まれる要素がデータシンボルS
0
,S
1
,...,S
k-1
の順に対応する順に並べられた、n個の異なるサンプル系列を得る
ように、前記復号されたn個の異なるサンプル系列を並べ替え(405)
、前記復号されたn個の異なるサンプル系列間で要素を移動させることを含む、方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法であって、
‐n個のチャネル係数h
0,h
1,...,h
n-1を推定すること(407)を含み、前記復号されたn個の異なるサンプル系列のそれぞれが、個別のチャネル係数が乗算されたデータシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の前記系列に対応する、方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法であって、
‐最大比合成(MRC)を実行することによって前記復号されたn個の異なるサンプル系列を合成すること(508)を含み、それにより信号対雑音比が増加する、方法。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか1項に記載の方法であって、
k個の受信サンプルについての前記n個の系列の前記スタック(403)は、
‐k個の受信サンプルについての前記n個の系列を、第1のn×k行列にスタックすることを含み、
n個の直交符号系列を使用した、k個の受信サンプルについての前記スタックされた系列の前記復号(404)は、
‐前記n個の直交符号系列を含むn×nの直交符号行列を使用して、前記第1のn×k行列を復号することを含み、各符号系列は、n個の符号要素を含み、当該復号により、第2のn×k行列が得られ、
前記復号されたn個の異なるサンプル系列からのデータシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の前記系列の前記抽出(406)は、
‐前記第2のn×k行列からデータシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の前記系列を抽出することを含む、方法。
【請求項19】
符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)へ送信するための第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)であって、前記第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)及び前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)は、無線通信ネットワークにおいて動作しており、前記第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)は、
‐送信対象のデータシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の系列をn回反復することと、ここで、kはnの倍数であり、
‐n個の直交符号系列を用いて、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についてのn個の系列を符号化することと、ここで、各符号系列は、n個の符号要素を含み、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての個別の符号化された系列と、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての2つの符号化された系列を隔てるための選択的な個別のアフィックスとを含む信号を、前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)へ送信することと、
を行うように構成され
、データシンボルS
0
,S
1
,...,S
k-1
についての、前記個別のアフィックスと前記個別の符号化された系列とが、マルチキャリア信号内の個別のサブキャリアを使用して並列に送信される、第1の無線ノード。
【請求項20】
請求項19に記載の第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)であって、
‐データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列に含まれる、前記n回反復されたデータシンボルS
iに対して、前記n個の直交符号系列のうちの1つの符号系列を要素単位で乗算することであって、i∈[0,1,...,k-1]である、乗算すること、
を行うように更に構成されることによって、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての前記n個の系列を符号化するように構成される、第1の無線ノード。
【請求項21】
受信された信号からデータシンボルを復号及び抽出するための第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)であって、前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)及び第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)は、無線通信ネットワーク(100)において動作しており、前記第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)は、
‐前記第1の無線ノード(108-1,108-2; 110)から信号を受信することと、
‐k個の受信サンプルについてのn個の系列をもたらす受信信号からアフィックスを除去することと、
‐k個の受信サンプルについての前記n個の系列をスタックすることと、
‐n個の直交符号系列を使用して、k個の受信サンプルについての前記スタックされたn個の系列を復号することと、ここで、各符号系列は、n個の符号要素を含み、符号系列ごとに、当該符号系列の前記n個の符号要素のうちの1つに対して、k個の受信サンプルについての前記n個の系列のそれぞれが乗算され、受信サンプルについての前記乗算された系列は、その後に加算され、当該復号により、復号されたn個の異なるサンプル系列であって長さkのサンプル系列が得られ、復号された各サンプル系列が、適用された前記n個の符号系列のうちの1つに対応し、
前記復号されたn個の異なるサンプル系列から、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1の系列を抽出することと、
を行うように構成される、第2の無線ノード。
【請求項22】
請求項21に記載の第2の無線ノード(110; 108-1,108-2)であって、
‐復号されて並べ替えられたn個の異なるサンプル系列
であって、各サンプル系列が個別のチャネル係数に対応し、かつ、各サンプル系列に含まれる要素がデータシンボルS
0
,S
1
,...,S
k-1
の順に対応する順に並べられた、n個の異なるサンプル系列を得るために、前記復号されたn個の異なるサンプル系列を並べ替え
、前記復号されたn個の異なるサンプル系列間で要素を移動させること、
を行うように構成される、第2の無線ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、全体として、第1の無線ノード、第2の無線ノード、及び当該ノードにおける方法に関する。具体的には、実施形態は、符号化されたデータシンボルを含む信号のそれぞれの送信及び復号に関する。
【背景技術】
【0002】
端末又は無線デバイスのような通信デバイスは、例えば、ユーザ装置(UE)、移動端末、無線端末及び/又は移動局としても知られている。このような端末は、無線通信システム又は(セルラ無線システム又はセルラネットワークとも呼ばれる)セルラ通信ネットワーク内で無線通信することが可能である。通信は、例えば、無線通信ネットワーク内に含まれる無線アクセスネットワーク(RAN)及び場合によっては1つ以上のコアネットワークを介して、2つの無線デバイス間、無線デバイスと通常の電話との間、及び/又は無線デバイスとサーバとの間で行われうる。
【0003】
上記の端末又は無線デバイスは更に、いくつかのさらなる例に言及するために、無線能力を有する携帯電話、セルラ電話、ラップトップ、又はタブレットと呼ばれることがある。本コンテキストにおける端末又は無線デバイスは、例えば、携帯型、ポケット格納型、ハンドヘルド型、コンピュータ構成型、又は車両搭載型のモバイルデバイスであってもよく、RANを介して、別の端末又はサーバ等の別のエンティティと音声及び/又はデータの通信を行うことが可能である。
【0004】
セルラ通信ネットワークは、複数のセルエリアに分割される地理的エリアをカバーし、各セルエリアは、使用される技術及び用語に応じて、例えば、「eNB」、「eNodeB」、「NodeB」、「Bnode」、又は基地トランシーバ局(BTS:Base Transceiver Station)等と呼ばれることがある無線基地局(RBS:Radio Base Station)等の基地局のようなアクセスノードによってサービスされる。基地局は、送信電力と、それによるセルサイズとに基づいて、例えば、マクロeNodeB、ホームeNodeB、又はピコ基地局のような、異なるクラスのものでありうる。セルは、基地局サイトにおいて基地局によって無線カバレッジが提供される地理的エリアである。基地局サイトに位置する1つの基地局は、1つ以上のセルにサービスを提供しうる。更に、各基地局は、1つ以上の通信技術をサポートしうる。基地局は、無線周波数で動作する無線インタフェースを介して、基地局の範囲内の端末又は無線デバイスと通信する。本開示のコンテキストにおいて、ダウンリンク(DL)という表現は、基地局から移動局への伝送パスに使用される。アップリンク(UL)という表現は、その反対方向、即ち、移動局から基地局への伝送経路に使用される。
【0005】
Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)は、第2世代(2G)のGlobal System for Mobile Communications(GSM)から進化した第3世代(3G)の通信ネットワークである。UMTS terrestrial radio access network(UTRAN)は、本質的に、ユーザ装置のために広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))及び/又は高速パケットアクセス(HSPA)を使用するRANである。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)として知られているフォーラムにおいて、電気通信供給者は、第3世代以上のネットワークのための標準規格を提案及び合意し、拡張されたデータレート及び無線容量について検討している。いくつかのRANでは、例えばUMTSにおけるように、いくつかの無線ネットワークノードは、例えば、地上線又はマイクロ波によって、無線ネットワークコントローラ(RNC)又は基地局コントローラ(BSC)等のコントローラノードに接続されうる。当該コントローラノードは、そこに接続された複数の無線ネットワークノードの様々なアクティビティを管理及び調整する。このタイプの接続は、バックホール接続と呼ばれることがある。RNC及びBSCは、典型的には、1つ以上のコアネットワークに接続される。
【0006】
第4世代(4G)ネットワークとも呼ばれるEvolved Packet System(EPS)の仕様は、3GPP内で完成されており、この研究は、例えば第5世代(5G)ネットワークを特定するために次の3GPPリリースで継続している。EPSは、Long-Term Evolution(LTE)無線アクセスネットワークとしても知られるEvolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN)と、System Architecture Evolution(SAE)コアネットワークとしても知られるEvolved Packet Core(EPC)とを含む。E-UTRAN/LTEは、無線ネットワークノードがRNCではなくEPCコアネットワークに直接接続される3GPP無線アクセスネットワークの変形である。一般に、E-UTRAN/LTEでは、RNCの機能が、無線ネットワークノード(例えば、LTEにおけるeNodeB)とコアネットワークとの間で分散される。したがって、EPSのRANは、1つ以上のコアネットワークに直接接続された、即ち、RNCに接続されていない無線ネットワークノードを備える本質的に「フラット」なアーキテクチャを有する。これを補うために、E-UTRAN仕様では、無線ネットワークノード間の直接のインタフェースが規定されており、このインタフェースはX2インタフェースと呼ばれている。
【0007】
3GPP LTEでは、eNodeB又はeNBと呼ばれうる基地局は、1つ以上のコアネットワークに直接接続されうる。
【0008】
3GPP LTE無線アクセス標準規格は、アップリンクトラフィック及びダウンリンクトラフィックの両方について、高ビットレート及び低レイテンシをサポートするため記述されている。全てのデータ伝送は、無線基地局によって制御されるLTEで行われる。
【0009】
マルチアンテナ技術は、無線通信システムのデータレート及び信頼性を大幅に向上させうる。送信機と受信機の両方が複数のアンテナを備え、その結果として多入力多出力(MIMO)通信チャネルが生じる場合、性能が特に改善される。このようなシステム及び/又は関連技術は、一般にMIMOシステムと呼ばれる。
【0010】
シングルキャリア伝送は、伝送対象のデータを搬送するために1つの無線周波数(RF)キャリアが使用されることを意味する。このため、ビット形式のデータは、1つの単一RFキャリアによって搬送される。シングルキャリア変調は、データが単一の無線周波数(RF)キャリア周波数上で変調される変調である。シングルキャリア変調は、典型的には低いピーク対平均電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)を示し、この特性は、高い線形要求条件を有する電力増幅器を使用する必要がなく、電力増幅器をバックオフする必要がないので、コスト及び電力効率の良い送信機の実装を可能にする。シングルキャリア変調は、Bluetooth(登録商標)又はZigbee(登録商標)のような低いデータレートから中程度のデータレートを有する通信ネットワークにおいてしばしば使用されるが、LTEアップリンクのような高データレートの通信ネットワークにおいても使用される。シングルキャリア変調は、やはり低いPAPR、及びそれらの実施の容易さのために、可視光通信(VLC:Visible Light Communications)のような新しいブロードバンド無線技術においても魅力的である。
【0011】
多くのブロードバンド及びInternet of Things(IoT)無線通信技術は、それらの魅力及び適用可能性を広げるために、カバレッジ拡張を必須の特徴として含んでいる。例えば、IEEE802.11ax標準規格、IEEE802.11ah標準規格、Bluetooth Long Range(BLR)、Narrow Band IoT(NB-IoT)、及び拡張カバレッジGSM(EC-GSM:extended Coverage GSM)は、拡張カバレッジモードを提供する。反復コード(repetition codes)は、他のチャネル符号を強化するための手段として実施するのが容易であり、場合によっては、拡張カバレッジを提供するように意図された通信チェーンの必須の構成要素である。「拡張カバレッジ(extended coverage)」という表現は、本開示で使用される場合、通常のカバレッジ(即ち、システムが元々どのように動作するように設計されたか)よりも低い受信信号レベルでデバイスがネットワークと通信することを可能にするために対策が講じられたことを意味する。例えば、拡張カバレッジ内のデバイスに応える場合、取るべき1つの一般的な手段は、送信機に、受信機からの肯定応答を待つことなく、送信された情報をブラインドで反復させることである。反復がどのように実行されたかに関する手順が受信機に知られている場合、受信機は、その知識を利用して、処理利得を最大化し、送信された情報を復号する確率を改善できる。更に、反復は、例えば後方散乱無線に見られるような低電力送信機に有用でありうる。
【0012】
送信機と受信機との両方におけるフィルタと同様に、無線チャネル上の時間分散は、各受信サンプルがいくつかの送信シンボルの重み付け和であることを意味する、シンボル間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)を引き起こす。ISIは、従来、送信されたシンボルを分解(例えば抽出)することを試みる等化器によって処理される。あるいは、非コヒーレント変調/復調が使用されうる。時間分散を有する無線チャネルは、時間分散無線チャネル又は単に時間分散チャネルと呼ばれることがある。
【0013】
上述したように、等化器は、ISIを処理し、送信されたシンボルを抽出するために使用されうる。しかしながら、等化は通常、高い計算複雑度を伴う。性能の低下を代償にしてより低い複雑度を有する準最適な等化アルゴリズムが存在する。更に、等化の前に、チャネルインパルス応答の推定が必要とされ、当該推定は、送信されたデータにおいて多数の連続したトレーニングシンボルが必要となることを求める。トレーニングシンボルの数は有用なデータシンボルの数に比例しないので、少数の有用なデータシンボルが望まれる(同じ期間内により多くの反復を可能にする)場合には、オーバーヘッドは重要である。低複雑度の等化は、低コスト及び低エネルギー消費が非常に重要であるローエンドIoTデバイスにおいてしばしば要求される。
【0014】
非コヒーレント変調技術は、等化プロセスが大幅に簡略化されるので、低複雑度の受信機によく適しているが、その価格はリンク性能において無視できない損失である。
【発明の概要】
【0015】
無線通信ネットワークの開発によれば、無線通信ネットワークの性能を改善するために、改善された変調及び復調方法が必要である。
【0016】
本明細書の実施形態の目的は、従来技術の少なくともいくつかの欠点に対処し、無線通信ネットワークにおける性能を改善することである。例えば、目的は、シングルキャリア無線通信ネットワークにおける拡張カバレッジに適した変調及び復調方法を提供することであり、変調及び復調方法が低い計算複雑度で良好なリンク性能を提供することである。
【0017】
本明細書の実施形態の一態様によれば、上記目的は、符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノードへ送信するための、第1の無線ノードによって実行される方法によって達成される。第1の無線ノード及び第2の無線ノードは、無線通信ネットワークにおいて動作している。
【0018】
第1の無線ノードは、送信対象のデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列をn回反復し、kはnの倍数である。
【0019】
更に、第1の無線ノードは、n個の直交符号系列を使用して、データシンボルS0,S1,...,Sk-1のn個の系列を符号化し、各符号系列は、n個の符号要素を含む。
【0020】
更に、第1の無線ノードは、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別の符号化された系列と、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての2つの符号化された系列を隔てるための選択的な(optional)個別のアフィックスとを含む信号を、第2の無線ノードへ送信する。
【0021】
本明細書の他の実施形態の態様によれば、上記目的は、符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノードへ送信するための第1の無線ノードによって達成される。第1の無線ノード及び第2の無線ノードは、無線通信ネットワークにおいて動作するように構成されている。
【0022】
第1の無線ノードは、送信対象のデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列をn回反復するように構成され、kはnの倍数である。
【0023】
更に、第1の無線ノードは、n個の直交符号系列を使用して、データシンボルS0,S1,...,Sk-1のn個の系列を符号化するように構成され、各符号系列は、n個の符号要素を含む。
【0024】
更に、第1の無線ノードは、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別の符号化された系列と、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての2つの符号化された系列を隔てるための選択的な個別のアフィックスとを含む信号を、第2の無線ノードへ送信するように構成される。
【0025】
本明細書の実施形態の他の態様によれば、上記目的は、第1の無線ノードから受信された信号からデータシンボルを復号及び抽出するための、第2の無線ノードによって実行される方法によって達成される。第2の無線ノード及び第1の無線ノードは、無線通信ネットワークにおいて動作している。
【0026】
第2の無線ノードは、第1の無線ノードから信号を受信し、当該受信信号からアフィックスを除去することで、k個の受信サンプルについてのn個の系列を得る。
【0027】
更に、第2の無線ノードは、k個の受信サンプルについてのn個の系列をスタックする。
【0028】
更に、第2の無線ノードは、n個の直交符号系列を使用して、k個の受信サンプルについてのスタックされたn個の系列を復号し、各符号系列は、n個の符号要素を含む。符号系列ごとに、第2の無線ノードは、k個の受信サンプルについてのn個の系列のそれぞれを、符号系列のn個の符号要素のうちの1つに乗算する。その後、第2の無線ノードは、受信サンプルについての乗算された系列を加算する。当該復号により、復号されたn個の異なるサンプル系列であって長さkのサンプル系列が得られ、復号された各サンプル系列が、適用されたn個の符号系列のうちの1つに対応する。
【0029】
更に、第2の無線ノードは、復号されたn個の異なるサンプル系列からデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出する。
【0030】
本明細書の実施形態の他の態様によれば、上記目的は、第1の無線ノードから受信された信号からデータシンボルを復号及び抽出するための第2の無線ノードによって達成される。第2の無線ノード及び第1の無線ノードは、無線通信ネットワークにおいて動作するように構成される。
【0031】
第2の無線ノードは、第1の無線ノードから信号を受信し、当該受信信号からアフィックスを除去することで、k個の受信サンプルについてのn個の系列を得るように構成される。
【0032】
更に、第2の無線ノードは、k個の受信サンプルについてのn個の系列をスタックするように構成される。
【0033】
更に、第2の無線ノードは、n個の直交符号系列を使用して、k個の受信サンプルについてのスタックされたn個の系列を復号するように構成され、各符号系列は、n個の符号要素を含む。符号系列ごとに、第2の無線ノードは、k個の受信サンプルについてのn個の系列のそれぞれを、符号系列のn個の符号要素のうちの1つに乗算するように構成される。第2の無線ノードは、その後、受信サンプルについての乗算された系列を加算するように構成される。当該復号により、復号されたn個の異なるサンプル系列であって長さkのサンプル系列が得られ、復号された各サンプル系列が、適用されたn個の符号系列のうちの1つに対応する。
【0034】
更に、第2の無線ノードは、復号されたn個の異なるサンプル系列からデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出するように構成される。
【0035】
本明細書の実施形態の他の態様によれば、上記目的は、少なくとも1つのプロセッサで実行されると当該少なくとも1つのプロセッサに、第1の無線ノードによって実行される方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムによって達成される。
【0036】
本明細書の実施形態の他の態様によれば、上記目的は、少なくとも1つのプロセッサで実行されると当該少なくとも1つのプロセッサに、第2の無線ノードによって実行される方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムによって達成される。
【0037】
本明細書の実施形態の他の態様によれば、上記目的は、コンピュータプログラムを含むキャリアによって達成され、当該キャリアは、電子信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体のうちの1つである。
【0038】
第1の無線ノードは、n個の直交符号系列を使用して符号化されたデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の反復された系列をn回送信し、かつ、第2の無線ノードは、送信データシンボルを抽出する際にn個の直交符号系列を使用するため、等化及びチャネル推定の必要なしにシンボル間干渉が解決される。これにより、簡略化された手順が提供される。この結果、通信ネットワークの性能が改善される。
【0039】
したがって、本明細書の実施形態による利点は、等化の必要性が排除され、低複雑度の受信機が実現されるが、計算上複雑なコヒーレント等化及び復調を使用する受信機の性能が保たれることである。
【0040】
本明細書の実施形態の他の利点は、トレーニングシンボルの数を減らすことができ、より低いオーバヘッドを与え、スペクトル効率を高められることである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
添付された以下の図面を参照して、本明細書の実施形態の例がより詳しく説明される。
【0042】
【
図1】
図1は、無線通信ネットワークの実施形態を概略的に示す。
【
図2】
図2は、第1の無線ノードによって実行される方法の実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1の無線ノードの実施形態を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第2の無線ノードによって実行される方法の実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の無線ノードの実施形態を概略的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、送信対象のデータシンボルを有するベクトルと符号行列とを概略的に示す。
【
図7】
図7は、反復されたデータシンボルを概略的に示す行列である。
【
図8】
図8は、符号化されたデータシンボルを概略的に示す行列である。
【
図9】
図9は、符号化されたデータシンボルに付加されるサイクリックプレフィックスを概略的に示す行列である。
【
図10】
図10は、送信シンボル系列を概略的に示すベクトルである。
【
図11】
図11は、送信シンボル系列の遅延バージョンを含む受信信号を概略的に示す。
【
図12】
図12は、サイクリックプレフィックスの除去後の受信サンプルを概略的に示す。
【
図13】
図13は、スタックされた受信サンプルを概略的に示す行列である。
【
図14A】
図14Aは、第1の符号語で復号した後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。
【
図14B】
図14Bは、第2の符号語で復号した後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。
【
図14C】
図14Cは、第3の符号語で復号した後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。
【
図14D】
図14Dは、第4の符号語で復号した後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。
【
図15】
図15は、復号された系列のソート後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
無線通信ネットワークの開発によれば、無線通信ネットワークの性能を改善するために、改善された変調及び等化方法が必要である。
【0044】
したがって、本明細書の実施形態の目的は、無線通信ネットワークにおいて改善された性能をどのように提供するかである。
【0045】
本明細書に開示される実施形態では、送信機によって、反復される送信のシンボルに直交符号が適用される。「直交符号」との用語は、本開示で使用される場合、各符号語が他の全ての符号語と直交すること、即ち、任意の2つの符号語間のスカラー積がゼロであることを意味する。更に、異なる符号系列が、送信についての異なる反復に適用される。アフィックス(affix)、例えば、サイクリックプレフィックスは、各反復に付加されてもよく、当該反復は順に送信される。受信機側では、反復されたブロックを合成する際に符号が使用される。異なる符号系列が、異なる送信シンボルを抽出するために使用される。シンボル間干渉は復号処理で解消されることになり、それにより等化及びマルチタップチャネル推定の必要性が排除される。チャネルタップの数が、符号化された反復の数よりも大きくないと想定すると、復号処理から、時間分散チャネルにおけるチャネルタップごとに1つのダイバーシチブランチが得られる。ダイバーシチブランチを合成するために、最大比合成(MRC)が使用されうる。
【0046】
本開示では、「チャネルタップ」は「チャネル係数」と呼ばれることがあり、「チャネルタップ」及び「チャネル係数」との用語は交換可能に使用されうることを理解されたい。
【0047】
本明細書の実施形態を例示するために、本開示では3GPP LTEからの用語が使用されるが、これは、本明細書の実施形態の範囲を前述のシステムのみに限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。例えば、5G、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WiMax)、Ultra-Mobile Broadband(UMB)、及びGSM等の他の無線システムも、本開示内でカバーされるアイデアを活用することから利益を得ることができる。
【0048】
このセクションでは、いくつかの例示的な実施形態によって、本明細書の実施形態についてより詳しく説明する。なお、これらの実施形態は、相互に排他的なものではない。1つの実施形態からのコンポーネントが別の実施形態に存在すると想定されてもよく、これらのコンポーネントが他の例示的な実施形態でどのように使用されうるかについては当業者には明らかである。
【0049】
更に、説明ではしばしばダウンリンクにおける無線送信に言及するが、本明細書の実施形態はアップリンクにおいて等しく適用可能である。
【0050】
図1は、本明細書の実施形態が実装されうる無線通信ネットワーク100の一例を示す。無線通信ネットワーク100は、New Radio(NR)ネットワーク、5Gネットワーク、GSM EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)ネットワーク、LTEネットワーク、WCDMAネットワーク、GSMネットワーク(拡張カバレッジ(EC:Extended Coverage)GSM等)、任意の3GPPセルラネットワーク、WiMAXネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、Bluetooth通信ネットワーク(Bluetooth Long Range(BLR)通信ネットワーク等)、NB-IoT通信ネットワーク、又は任意の無線若しくはセルラネットワーク/システム等の、無線通信ネットワークである。
【0051】
無線通信ネットワーク100は、拡張されたカバレッジを提供する無線通信ネットワークであってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態は、拡張カバレッジモードで動作するシングルキャリア変調無線通信ネットワークのための変調及び復調方法を開示する。このため、無線通信ネットワーク100は、拡張カバレッジモードで動作し、かつ、シングルキャリア変調を適用する無線通信ネットワークでありうる。
【0053】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、Bluetooth、DECT、GSM及びZigbeeで採用される、ガウシアン周波数シフトキーイング(GFSK)、ガウシアン最小シフトキーイング(GMSK)、又はオフセット直交位相シフトキーイング(OQPSK)等の、シングルキャリア線形変調又は線形化可能変調を使用する任意の無線通信ネットワークに適用されうる。
【0054】
更に、いくつかの実施形態は、光通信ネットワーク(light communications network)のような、無線通信ネットワークの、新しく出現しつつある分野に適用されうることが理解されるべきである。このため、無線通信ネットワーク100は、光通信ネットワークであってもよい。
【0055】
コアネットワーク102は、無線通信ネットワーク100に含まれうる。コアネットワーク102は、NRコアネットワーク、5Gコアネットワーク、GERANコアネットワーク、LTEコアネットワーク(例えば、Evolved Packet Core(EPC))、WCDMAコアネットワーク、GSMコアネットワーク、任意の3GPPコアネットワーク、WiMAXコアネットワーク、又は任意の無線若しくはセルラコアネットワーク等の、無線コアネットワークである。
【0056】
コアネットワークノード104は、コアネットワーク102において動作しうる。コアネットワークノード104は、Evolved Serving Mobile Location Centre(E-SMLC)、Mobile Switching Centre(MSC)、Mobility-Management Entity(MME)、Operation and Maintenance(O&M)ノード、Serving GateWay(S-GW)、Serving General Packet-Radio Service(GPRS)ノード(SGSN)等でありうる。
【0057】
第1の無線ノード108-1,108-2;110及び第2の無線ノード110;108-1,108-2は、無線通信ネットワーク100において動作している。本開示では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、送信機として(例えば、送信ノードとして)動作しており、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、受信機として(例えば、受信ノードとして)動作している。しかしながら、第2の無線ノードが送信機であってもよく、第1の無線ノードが受信機であってもよいことを理解されたい。このため、第1及び第2の無線ノードの両方は、送信機及び受信機の両方として機能するように構成されうる。第1の無線ノード108-1,108-2;110が基地局(例えばeNB108-1又はWLAN AP108-2)である場合、第2の無線ノード110;108-1,108-2は無線デバイス110であり、その逆も同様である。
【0058】
第1の無線ノード108-1,108-2は、エリア(例えば、第1のサービングエリア108a-1,108a-2)内に位置するときに第2の無線ノード110にサービスを提供しうる第1の送信ノード108-1,108-2は、送受信ポイント、例えば、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)アクセスポイント又はアクセスポイントステーション(AP STA)のような無線アクセスネットワークノード、アクセスコントローラ、基地局、例えば、NodeB、進化型NodeB(eNB、eNodeB)のような無線基地局、基地トランシーバ局、無線リモートユニット、アクセスポイント基地局、基地局ルータ、無線基地局の送信構成、スタンドアロン型アクセスポイント、又は使用される第1の送信アクセス技術及び用語等に応じて、アクセスポイントによってサービスが提供されるサービスエリア内の無線デバイスと通信可能なその他の任意のネットワークユニットでありうる。第1の無線ノード108は、サービング無線ネットワークノードと呼ばれることがあり、無線デバイスへのダウンリンク(DL)伝送及び無線デバイスからのアップリンク伝送で無線デバイスと通信する。第1の無線ノード108の他の例は、MSR BS、ネットワークコントローラ、無線ネットワークコントローラ(RNC)、基地局コントローラ(BSC)、リレー、リレーを制御するドナーノード、リレー、中継を制御するドナーノード、基地トランシーバ局(BTS)、アクセスポイント(AP)、送信ポイント、送信ノード、リモート無線ユニット(RRU)、リモート無線ヘッド(RRH)、分散アンテナシステム(DAS)内のノード等の、マルチスタンダード無線(MSR)ノードである。デバイス・ツー・デバイス(Device-to-Device)通信の場合、第1の無線ノードは無線デバイスでありうる。
【0059】
第2の無線ノード110は、移動局、非アクセスポイント(非AP)STA、STA、ユーザ装置(UE)、及び/又は無線端末等の無線デバイスであってもよく、1つ以上のアクセスネットワーク(AN)、例えばRANを介して、1つ以上のコアネットワーク(CN)に通信する。
【0060】
「無線デバイス」は、任意の端末、通信デバイス、無線通信端末、ユーザ装置、マシンタイプ通信(MTC:Machine-Type Communication)デバイス、デバイス・ツー・デバイス(D2D:Device-to-Device)端末、又はノード、例えば、スマートフォン、ラップトップ、携帯電話、センサ、リレー、モバイルタブレット、Internet-of-Things(IoT)デバイス、例えば、サービスエリア内で通信するセルラIoT(CIoT)デバイス又は小型基地局を意味する、非限定的な用語であることを当業者は理解されたい。
【0061】
本開示では、通信デバイス、端末、無線デバイス、及びUEという用語は、交換可能に使用される。なお、本書で使用されるユーザ装置との用語は、ユーザが存在しなくてもマシン・ツー・マシン(M2M:Machine-to-Machine)デバイスのような他の無線デバイスもカバーしている。
【0062】
例えば、無線通信ネットワーク100において符号化されたデータシンボルを含む信号を送信するための方法が、第1の無線ノード108-1,108-2;110によって実行される。更に、例えば、第1の無線ノード108-1,108-2;110から受信された信号からデータシンボルを復号及び抽出するための方法が、第2の無線ノード110;108-1,108-2によって実行される。代替的には、例えば、
図1に示されるようなクラウドに含まれる分散ノード(DN)及び機能106が、上記方法を実行するために又は部分的に実行するために使用されてもよい。
【0063】
図2に示すフローチャートを参照して、符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノード110;108-1,108-2へ送信するために第1の無線ノード108-1,108-2;110によって実行される方法の例について以下で説明する。前述のように、第1の無線ノード108-1,108-2;110及び第2の無線ノード110;108-1,108-2は、無線通信ネットワーク100において動作している。このため、第1の無線ノード108-1,108-2;110は送信機として動作し、第2の無線ノード110;108-1,108-2は受信機として動作している。しかしながら、第2の無線ノードが送信機であってもよく、第1の無線ノードが受信機であってもよいことを理解されたい。第1の無線ノードが基地局(例えばeNB108-1又はWLAN AP108-2)である場合、第2の無線ノードは無線デバイス110であり、その逆も同様である。
【0064】
<アクション201>
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、送信対象のデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列をn回反復し、kはnの倍数である。当該反復は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を数回(即ち、n回)送信することによって拡張カバレッジを得るために行われる。kは、サイクリックプレフィックスからのシンボル間干渉が、送信されたデータの系列と直交することを保証するために、nの倍数でなければならない。
【0065】
データシンボルS0,S1,...,Sk-1は、線形変調又は非線形変調のシンボルコンスタレーションからのデータシンボルでありうる。
【0066】
線形変調は、単にいくつかの例を挙げると、二相PSK(BPSK)、直交PSK(QPSK)、若しくは8PSK等の位相シフトキーイング(PSK)、又は16QAM、32QAM、若しくは64QAM等の直交振幅変調(QAM)でありうる。
【0067】
非線形変調は、単にいくつかの例を挙げると、ガウシアン最小シフトキーイング(GMSK)、ガウシアン周波数シフトキーイング(GFSK)、及び最小シフトキーイング(MSK)のうちの1つでありうる。
【0068】
いくつかの実施形態では、データシンボルS0,S1,...,Sk-1のうちの1つ以上は、トレーニングシンボルである。例えば、これは、いずれの情報ベアリングデータシンボルが解釈(復調)されるかに関連して位相/振幅基準が必要とされ、それによってコヒーレント復調が達成されるケースでありうる。
【0069】
本明細書で説明される実施形態は、行列を使用して実現されうる。このような実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列をn回反復する際に、n×k行列を生成し、各行はデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列のコピーであり、nはデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列の反復回数である。
【0070】
図6は、送信対象のデータシンボルS
0,S
1,...,S
7を有するベクトルと符号行列とを概略的に示す。以下では
図6についてより詳細に説明する。
【0071】
図7は、n=4回反復されたデータシンボルS
0,S
1,...,S
7を概略的に示す行列である。以下では、
図7についてより詳細に説明される。
【0072】
<アクション202>
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、n個の直交符号系列を用いてデータシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化し、ここで、各符号系列は、n個の符号要素を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列に含まれる、n回反復されたデータシンボルSiに対して、n個の直交符号系列のうちの1つの符号系列を要素単位で乗算することによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化する。ここで、i∈[0,1,...,k-1]である。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列に含まれる、n回反復されたデータシンボルSiに対して、n個の直交符号系列のうちの1つの符号系列を要素単位で乗算することによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化する。ここで、i∈[0,1,...,k-1]である。ここで、当該n個の直交符号系列は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列に含まれる、n回反復されたデータシンボルSiをそれぞれ符号化するために、それぞれk/n回使用される。ここで、i∈[0,1,...,k-1]である。
【0075】
n個の直交符号系列は、実数値を含みうる。いくつかの実施形態では、n個の直交符号系列は、n×nのアダマール行列に含まれる。あるいは、n個の直交符号系列は、複素数値を含む。
【0076】
行列を使用して実現される実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、k/n回反復された、n個の直交符号系列を含むn×nの直交符号行列を使用して、行列乗算を要素単位で実行することで、生成されたn×k行列を符号化することによって、n個の直交符号語を使用して、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化し、ここで、当該符号化により、符号化されたn×k行列が得られる。
【0077】
図8は、符号化されたデータシンボルを概略的に示す行列である。この例では、データシンボルが、
図6の符号行列を使用して符号化されている。以下では、
図8についてより詳細に説明される。
【0078】
<アクション203>
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のアフィックスを設けうる。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のサイクリックプレフィックスを挿入することによって、個別のアフィクスを設ける。ここで、当該個別のサイクリックプレフィックスは、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された個別の系列の最後のn-1個のデータシンボルのうちの1つ以上を含む。
【0080】
いくつかの代替の実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のガード期間を設けることによって、個別のアフィックスを設ける。
【0081】
行列を使用して実現される実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、符号化されたn×k行列の前にサイクリックプレフィックスを挿入することによって個別のアフィックスを設け、当該サイクリックプレフィックスは、符号化されたn×k行列の最後のn-1列のうちの1つ以上を含み、当該挿入の結果、n×(x+k)行列がもたらされ、xは、挿入されるサイクリックプレフィックスの列の数である。あるいは、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のガード期間を設けることによって、個別のアフィックスを設ける。
【0082】
図9は、符号化されたデータシンボルに付加されるサイクリックプレフィックスを概略的に示す行列である。この例では、サイクリックプレフィックスは、
図8に示される行列の最後のn-1(n=4)=3列に対応する。以下では、
図9についてより詳細に説明される。
【0083】
<アクション204>
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された個別の系列と、データシンボルS0,S1,...,Sk-1の2つの符号化された系列を隔てるための選択的な個別のアフィクスとを含む信号を、第2の無線ノード110;108-1,108-2へ送信する。
【0084】
いくつかの代替の実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィクスと符号化された個別の系列とを、シングルキャリアを使用して順に送信する。あるいは、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィクスと符号化された各系列とを、マルチキャリア信号内のそれぞれのサブキャリアを使用して、並列に送信する。
【0085】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、パルス整形、デジタル/アナログ変換、無線周波数へのアップコンバージョン、及び電力増幅のうちの1つ以上を更に実行することによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別の系列を送信する。
【0086】
行列を使用して実現される実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、n×(x+k)行列に含まれる個別のアフィクス及びデータシンボルS0,S1,...,Sk-1を、行単位で送信することによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィクス及び個別の系列を送信する。
【0087】
図10は、送信シンボル系列の一例を概略的に示すベクトルである。下線が付されたシンボルは、サイクリックプレフィックスのシンボルに相当する。以下では、
図10についてより詳細に説明される。
【0088】
符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノード110;108-1,108-2へ送信するための方法を実行するために、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、
図3に示される構成を備えうる。前述のように、第1の無線ノード108-1,108-2;110及び第2の無線ノード110;108-1,108-2は、無線通信ネットワーク100において動作するように構成される。このため、第1の無線ノード108-1,108-2;110は送信機として動作し、第2の無線ノード110;108-1,108-2は受信機として動作している。しかしながら、第2の無線ノードが送信機であってもよく、第1の無線ノードが受信機であってもよいことを理解されたい。第1の無線ノードが基地局(例えばeNB108-1又はWLAN AP108-2)である場合、第2の無線ノードは無線デバイス110であり、その逆も同様である。
【0089】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、入出力インタフェース300を介して、1つ以上の第2の無線ノード110;108-1,108-2と通信するように構成される。入出力インタフェース300は、無線受信機(図示せず)及び無線送信機(図示せず)を備えうる。
【0090】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、1つ以上の第2の無線ノード110;108-1,108-2からの送信を(例えば、受信するように構成された受信モジュール301によって)受信するように構成される。受信モジュール301は、第1の無線ノード108-1,108-2;110のプロセッサ307によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。以下では、プロセッサ307についてより詳細に説明される。
【0091】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された個別の系列と、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての2つの符号化された系列を隔てるための選択的な個別のアフィックスとを含む信号を、第2の無線ノード110;108-1,108-2へ(例えば、送信するように構成された送信モジュール302によって)送信するように構成される。送信モジュール302は、第1の無線ノード108-1,108-2;110のプロセッサ307によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0092】
前述したように、データシンボルS0,S1,...,Sk-1は、線形変調又は非線形変調のシンボルコンスタレーションからのデータシンボルでありうる。
【0093】
線形変調は、単にいくつかの例を挙げると、PSK、QPSK、若しくは8PSK等のPSK、又は16QAM、32QAM、若しくは64QAM等のQAMでありうる。
【0094】
非線形変調は、単にいくつかの例を挙げると、GMSK、GFSK、及びMSKのうちの1つでありうる。
【0095】
いくつかの実施形態では、データシンボルS0,S1,...,Sk-1のうちの1つ以上は、トレーニングシンボルである。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィックス及び個別の符号化された系列とを、シングルキャリアを使用して順に送信するように更に構成される、又は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィックス及び個別の符号化された系列とを、マルチキャリア信号内の個別のサブキャリアを使用して並列に送信するように更に構成されることによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィックス及び個別の符号化された系列とを含む信号を送信するように構成される。
【0097】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、パルス整形、デジタル/アナログ変換、無線周波数へのアップコンバージョン、及び電力増幅のうちの1つ以上を更に実行するように構成されることによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別の系列を送信するように構成されうる。
【0098】
行列を使用して実現される実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、n×(x+k)行列に含まれる個別のアフィクス及びデータシンボルS0,S1,...,Sk-1を行単位で送信するように構成されることによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての個別のアフィクス及び系列を送信するように構成される。
【0099】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、(例えば、反復するように構成された反復モジュール303によって)送信対象のデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列をn回反復するように構成され、kはnの倍数である。反復モジュール303は、第1の無線ノード108-1,108-2;110のプロセッサ307によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0100】
行列を用いて実現される実施形態において、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、n×k行列を生成するように構成されることによってデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列をn回反復するように構成され、各行はデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列のコピーであり、nはデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列の反復回数である。
【0101】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、(例えば、符号化するように構成された符号化モジュール304によって)n個の直交符号系列を使用して、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化するように構成され、各符号系列は、n個の符号要素を含む。符号化モジュール304は、第1の無線ノード108-1,108-2;110のプロセッサ507によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列に含まれる、n回反復されたデータシンボルSiに対して、n個の直交符号系列のうちの1つの符号系列を要素単位で乗算するように更に構成されることによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化するように構成され、ここで、i∈[0,1,...,k-1]である。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、n個の直交符号系列を、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列の符号化のために反復使用するように更に構成されることによって、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化するように構成される。ここで、当該n個の直交符号系列は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列に含まれる、n回反復されたデータシンボルSiをそれぞれ符号化するために、それぞれk/n回使用される。ここで、i∈[0,1,...,k-1]である。
【0104】
前述のように、n個の直交符号系列は、実数値を含みうる。いくつかの実施形態では、n個の直交符号系列は、n×nのアダマール行列に含まれる。あるいは、n個の直交符号系列は、複素数値を含む。
【0105】
行列を使用して実現される実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、k/n回反復された、n個の直交符号系列を含むn×nの直交符号行列を使用して、行列乗算を要素単位で実行することで、生成されたn×k行列を符号化することによって、n個の直交符号語を使用して、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についてのn個の系列を符号化するように構成され、ここで、当該符号化により、符号化されたn×k行列が得られる。
【0106】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は、(例えば、提供モジュール305によって)データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のアフィックスを設けるように構成されうる。提供モジュール305は、第1の無線ノード108-1,108-2;110のプロセッサ507によって実施されてもよく、これと通信するように構成されてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のサイクリックプレフィックスを挿入するように更に構成されることによって、個別のアフィクスを設けるように構成される。ここで、当該個別のサイクリックプレフィックスは、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された個別の系列の最後のn-1個のデータシンボルのうちの1つ以上を含む。
【0108】
いくつかの代替の実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のガード期間を設けるように更に構成されることによって、個別のアフィックスを設けるように構成される。
【0109】
行列を使用して実現される実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、符号化されたn×k行列の前にサイクリックプレフィックスを挿入するように構成されることによって個別のアフィックスを設けるように構成され、当該サイクリックプレフィックスは、符号化されたn×k行列の最後のn-1列のうちの1つ以上を含み、当該挿入の結果、n×(x+k)行列がもたらされ、xは、挿入されるサイクリックプレフィックスの列の数である。あるいは、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データシンボルS0,S1,...,Sk-1についての符号化された各系列の最初のデータシンボルS0の前に、個別のガード期間を設けるように構成されることによって、個別のアフィックスを設けるように構成されうる。
【0110】
第1の無線ノード108-1,108-2;110は更に、データを格納する手段を備えうる。いくつかの実施形態では、第1の無線ノード108-1,108-2;110は、データを格納するように構成されたメモリ306を備える。データは、処理されたデータ又は処理されていないデータ、及び/又はそれらに関連する情報でありうる。メモリ306は、1つ以上のメモリユニットを備えてもよい。更に、メモリ306は、コンピュータメモリ、読み出し専用メモリ、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのような、コンピュータデータストレージ又は半導体メモリであってもよい。メモリは、第1の無線ノード108-1,108-2;110において実行されるときに本明細書の方法を実行するための、取得された情報、データ、設定、スケジューリング決定、及びアプリケーション等を格納するために使用されるように構成される。
【0111】
符号化されたデータシンボルを含む信号を第2の無線ノード110;108-1,108-2へ送信するための、本明細書の実施形態は、本明細書の実施形態の機能及び/又は方法アクションを実行するためのコンピュータプログラムコードとともに、
図3に示される構成におけるプロセッサ307等の1つ以上のプロセッサを通じて実装されうる。上述のプログラムコードは、例えば、第1の無線ノード108-1,108-2;110にロードされたときに本明細書の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムコードを担持するデータキャリアの形態で、コンピュータプログラム製品として提供されてもよい。そのようなキャリアの1つは、電子信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体の形態であってもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、CD-ROMディスク又はメモリスティックであってもよい。
【0112】
更に、コンピュータプログラムコードは、サーバに格納され、かつ、第1の無線ノード108-1,108-2;110にダウンロードされるプログラムコードとして提供されてもよい。
【0113】
当業者はまた、上記の入力/出力インタフェース300、受信モジュール301、送信モジュール302、反復モジュール303、及び符号化モジュール304、並びに提供モジュール305が、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせ、及び/又は、第1の無線ノード108-1,108-2;110内のプロセッサ等の1つ以上のプロセッサによって実行されたときに上述のように実行する例えばメモリ306に格納された、ソフトウェア及び/又はファームウェアで構成された1つ以上のプロセッサを指すことができることを理解するのであろう。これらのプロセッサのうちの1つ以上、及び他のデジタルハードウェアが、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)に含められてもよいし、又は、個々にパッケージされているかシステムオンチップ(SoC)に組み立てられているかによらず、いくつかのプロセッサ及び様々なデジタルハードウェアが、いくつかの別個のコンポーネント間で分散されてもよい。
【0114】
図4に示されるフローチャートを参照して、第1の無線ノード108-1,108-2;110から受信された信号からデータシンボルを復号及び抽出するための、第2の無線ノード110;108-1,108-2によって実行される方法の例について説明する。前述のように、第1の無線ノード108-1,108-2;110及び第2の無線ノード110;108-1,108-2は、無線通信ネットワーク100において動作している。このため、第1の無線ノード108-1,108-2;110は送信機として動作し、第2の無線ノード110;108-1,108-2は受信機として動作している。しかしながら、第2の無線ノードが送信機であってもよく、第1の無線ノードが受信機であってもよいことを理解されたい。第1の無線ノードが基地局(例えばeNB108-1又はWLAN AP108-2)である場合、第2の無線ノードは無線デバイス110であり、その逆も同様である。
【0115】
本方法は、以下のアクションのうちの1つ以上を含む。このため、当該アクションのうちの1つ以上は選択的とされてもよい。当該アクションは、任意の適切な順序でおこなわれてもよく、いくつかのアクションが組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0116】
<アクション401>
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、第1の無線ノード108-1,108-2;110から信号を受信する。当該信号は、第1の無線ノード108-1,108-2;110から送信された信号の遅延バージョンの重み付け和でありうる。
【0117】
受信信号に対して、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、アナログフィルタリング、ベースバンドへのダウンコンバージョン、アナログ/デジタル変換、及びデジタルフィルタリングのうちの1つ以上等の信号処理を実行しうる。
【0118】
図11は、送信されたシンボル系列の遅延バージョンを含む受信信号の例を概略的に示す。以下では、
図11についてより詳細に説明される。
【0119】
<アクション402>
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、受信信号から可能性のあるアフィックスを除去し、それにより、k個の受信サンプルについてのn個の系列を得る。前述のように、アフィックスは選択的であり、それ故に、受信信号はアフィックスを含まない場合があり、その結果として第2の無線ノード110;108-1,108-2はアフィックスを削除する必要がなくなる。受信信号がアフィックスを含む場合、当該アフィックスは、受信サンプルの系列を隔てるために使用され、復号されるべき受信サンプルの系列の一部ではなく、それ故にアフィックスは除去されるべきである。
【0120】
各受信サンプルは、ISIに加えて可能性のある雑音及び干渉に起因した、いくつかのデータシンボルの重み付け和である。
【0121】
図12は、サイクリックプレフィックスの除去後の受信サンプルの例を概略的に示す。以下では、
図12についてより詳細に説明される。
【0122】
<アクション403>
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、k個の受信サンプルについてのn個の系列をスタックする。k個の受信サンプルについてのn個の系列をスタックする理由は、同じ送信シンボルに対応する受信サンプルをアラインさせ、それにより、シンボル位置ごとに実行される後続の処理を単純化するためである(後続の加算について以下のアクション404で説明される)。
【0123】
前述のように、本明細書で説明される実施形態は、行列を使用して実現されうる。そのような実施形態において、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、k個の受信サンプルについてのn個の系列を第1のn×k行列にスタックすることによって、k個の受信サンプルについてのn個の系列をスタックする。
【0124】
図13は、スタックされた受信サンプルの例を概略的に示す行列である。以下では、
図13についてより詳細に説明される。
【0125】
<アクション404>
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の直交符号系列を使用して、k個の受信サンプルについてのスタックされたn個の系列を復号し、ここで、各符号系列はn個の符号要素を含む。更に、符号系列ごとに、当該符号系列のn個の符号要素のうちの1つに対して、k個の受信サンプルについてのn個の系列のそれぞれが乗算され、受信サンプルについての当該乗算された系列は、その後に加算される。その結果、当該復号により、復号されたn個の異なるサンプル系列であって長さkのサンプル系列が得られ、ここで、復号された各サンプル系列が、適用されたn個の符号系列のうちの1つに対応する。
【0126】
行列を使用して実現される実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の直交符号系列を含むn×nの直交符号行列を使用して、第1のn×k行列を復号することによって、n個の直交符号系列を使用してk個の受信サンプルについてのスタックされた系列を復号し、ここで、各符号系列はn個の符号要素を含む。当該復号の結果、第2のn×k行列が得られる。
【0127】
図14A-14Dは、それぞれ、第1の符号語、第2の符号語、第3の符号語、及び第4の符号語を用いた復号後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。以下では、
図14A-
図14Dについてより詳細に説明される。
【0128】
<アクション405>
いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の異なる復号されたサンプル系列を並べ替え、場合によっては、当該n個の異なる復号されたサンプルの系列間で要素を移動させることで、n個の異なる復号され並べ替えられたサンプル系列を取得する。
【0129】
図15は、復号された系列のソート後の結果を概略的に示す行列及びベクトルを示す。以下では、
図15についてより詳細に説明される。
【0130】
<アクション406>
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の異なる復号されたサンプル系列から、データシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出する。抽出されたデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列は、上記のアクション201において第1の無線ノード108-1,108-2;110によって送信対象とされたものと同じデータシンボルの系列である。これにより、第2の無線ノード110;108-1,108-2によって受信された信号の復号が成功し、データシンボルの正しい系列が抽出される。
【0131】
行列を使用して実現される実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、第2のn×k行列からデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出することによって、n個の異なる復号されたサンプル系列からデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出する。
【0132】
<アクション407>
いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個のチャネル係数h0,h1,...,hn-1を推定し、ここで、n個の異なる復号されたサンプル系列のそれぞれは、個別のチャネル係数が乗算されたデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列に対応する。
【0133】
各チャネル係数は、(
図11に示すように)送信されたシンボル系列の遅延バージョンのうちの1つの増幅及び位相シフトに対応する複素数である。チャネル係数は、データシンボルのうちの1つ又はいくつかがトレーニングシンボルである場合に推定されうる。トレーニングシンボルの使用及びそれらの位置は、典型的には、使用される伝送方式の所定の一部である。トレーニングシンボルの使用の代替案は、差動変調を使用することであろう。連続する送信シンボル間の相対位相(及び場合によっては振幅)が変化する差動変調手段は、伝達対象の情報ビットによって定められ、それによって絶対位相/振幅基準が不必要になる。
【0134】
<アクション408>
いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、最大比合成(MRC)を実行することによって、n個の異なる復号されたサンプル系列を合成し、それにより信号対雑音比が増加する。ここで使用される「信号」という用語は、n個の並べ替えられた系列、即ち、
図15の中央部の行列の行を意味する。このため、MRCを実行することによって、n個の並べ替えられた系列の信号強度と雑音との間の比が増加する。
【0135】
図16は、最大比合成を概略的に示す。以下では、
図16についてより詳細に説明される。
【0136】
上述したアクション407及び408は、いくつかの実施形態では、上述したアクション406を実行する1つの可能性のある方法として見ることができる。このため、n個の異なる復号されたサンプル系列からのデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列の抽出は、行列の行を合成するMRCによって実行されうる。しかしながら、単に1つの行を選択し、その行からシンボルを抽出する(その行に対応するチャネル係数のみを推定する)等、他の可能性のある方法が存在しうることを理解されたい。
【0137】
受信信号からデータシンボルを復号及び抽出するための方法を実行するために、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、
図5に示す構成を備えうる。前述のように、第1の無線ノード108-1,108-2;110及び第2の無線ノード110;108-1,108-2は、無線通信ネットワーク100において動作するように構成される。このため、第1の無線ノード108-1,108-2;110は送信機として動作し、第2の無線ノード110;108-1,108-2は受信機として動作している。しかしながら、第2の無線ノードが送信機であってもよく、第1の無線ノードが受信機であってもよいことを理解されたい。第1の無線ノードが基地局(例えばeNB108-1又はWLAN AP108-2)である場合、第2の無線ノードは無線デバイス110であり、その逆も同様である。
【0138】
いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、入出力インタフェース500を介して、1つ以上の第1の無線ノード108-1,108-2;110と通信するように構成される。入出力インタフェース500は、無線受信機(図示せず)及び無線送信機(図示せず)を備えうる。
【0139】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、受信するように構成された受信モジュール501によって)第1の無線ノード108-1,108-2;110からの伝送を受信するように構成される。受信モジュール501は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。以下では、プロセッサ511についてより詳細に説明される。
【0140】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、第1の無線ノード108-1,108-2;110から信号を受信するように構成される。前述のように、当該信号は、第1の無線ノード108-1,108-2;110から送信された信号の遅延バージョンの重み付け和でありうる。
【0141】
第2の無線ノード110、108-1,108-2は、アナログフィルタリング、ベースバンドへのダウンコンバージョン、アナログ/デジタル変換、及びデジタルフィルタリングのうちの1つ以上等の信号処理を実行するように更に構成されることによって、信号を受信するように構成されうる。
【0142】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、送信するように構成された送信モジュール502によって)第1の無線ノード108-1,108-2;110への伝送を送信するように構成される。送信モジュール502は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0143】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、除去するように構成された除去モジュール503によって)k個の受信サンプルについてのn個の系列をもたらす受信信号から、可能性のあるアフィックスを除去するように構成される。除去モジュール503は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0144】
前述のように、各受信サンプルは、ISIに加えて可能性のある雑音及び干渉に起因した、いくつかのデータシンボルの重み付け和である。
【0145】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、スタックするように構成されたスタッキングモジュール504によって)k個の受信サンプルについてのn個の系列をスタックするように構成される。スタックモジュール504は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0146】
本明細書で説明される実施形態は、行列を使用して実現されうる。そのような実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2がk個の受信サンプルのn個の系列を第1のn×k行列にスタックするように構成されることによって、k個の受信サンプルのn個の系列をスタックするように構成される。
【0147】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、復号するように構成された復号モジュール505によって)受信サンプルの系列を復号するように構成される。復号モジュール505は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0148】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の直交符号系列を使用して、k個の受信サンプルについてのスタックされたn個の系列を復号するように構成され、ここで、各符号系列はn個の符号要素を含む。更に、符号系列ごとに、当該符号系列のn個の符号要素のうちの1つに対して、k個の受信サンプルについてのn個の系列のそれぞれが乗算される。受信サンプルについての当該乗算された系列は、その後に加算され、当該復号により、復号されたn個の異なるサンプル系列であって長さkのサンプル系列が得られ、復号された各サンプルが、適用されたn個の符号系列のうちの1つに対応する。
【0149】
行列を使用して実現される実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の直交符号系列を含むn×nの直交符号行列を使用して、第1のn×k行列を復号するように構成されることによって、n個の直交符号系列を使用してk個の受信サンプルについてのスタックされた系列を復号するように構成され、ここで、各符号系列はn個の符号要素を含む。当該復号の結果、第2のn×k行列が得られる。
【0150】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、並べ替えるように構成された並べ替えモジュール506によって)復号されたサンプル系列を並べ替えるように構成されうる。並べ替えモジュール506は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0151】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の異なる復号されたサンプル系列を並べ替え、場合によっては、当該n個の異なる復号されたサンプルの系列間で要素を移動させることで、n個の異なる復号され並べ替えられたサンプル系列を取得するように構成されうる。
【0152】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、抽出するように構成された抽出モジュール507によって)データシンボルの系列を抽出するように構成される。抽出モジュール507は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0153】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個の異なる復号されたサンプル系列から、データシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出するように構成される。
【0154】
行列を使用して実現される実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、第2のn×k行列からデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出するように構成されることによって、n個の異なる復号されたサンプル系列からデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列を抽出するように構成される。
【0155】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、推定するように構成された推定モジュール508によって)1つ以上のチャネル係数を推定するように構成されうる。推定モジュール508は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、n個のチャネル係数h0,h1,...,hn-1を推定するように構成されてよく、ここで、n個の異なる復号されたサンプル系列のそれぞれは、個別のチャネル係数が乗算されたデータシンボルS0,S1,...,Sk-1の系列に対応する。
【0157】
前述のように、各チャネル係数は、(
図11に示すように)送信されたシンボル系列の遅延バージョンのうちの1つの増幅及び位相シフトに対応する複素数である。チャネル係数は、データシンボルのうちの1つ又はいくつかがトレーニングシンボルである場合に推定されうる。トレーニングシンボルの使用及びそれらの位置は、典型的には、使用される伝送方式の所定の一部である。上述のように、トレーニングシンボルの使用の代替案は、差動変調を使用することであろう。
【0158】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は、(例えば、合成するように構成された合成モジュール509によって)復号されたサンプル系列を合成するように構成されうる。合成モジュール509は、第2の無線ノード110、108-1,108-2のプロセッサ511によって実現されてもよいし、又は当該プロセッサと通信するように構成されてもよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、最大比合成(MRC)を実行することによって、n個の異なる復号されたサンプル系列を合成するように構成されてよく、それにより信号対雑音比が増加する。
【0160】
第2の無線ノード110;108-1,108-2は更に、データを格納する手段を備えうる。いくつかの実施形態では、第2の無線ノード110;108-1,108-2は、データを格納するように構成されたメモリ510を備える。データは、処理されたデータ又は処理されていないデータ、及び/又はそれらに関連する情報でありうる。メモリ510は、1つ以上のメモリユニットを備えてもよい。更に、メモリ510は、コンピュータメモリ、読み出し専用メモリ、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのような、コンピュータデータストレージ又は半導体メモリであってもよい。メモリは、第2の無線ノード110;108-1,108-2において実行されるときに本明細書の方法を実行するための、取得された情報、データ、設定、スケジューリング決定、及びアプリケーション等を格納するために使用されるように構成される。
【0161】
受信信号からデータシンボルを復号及び抽出するための本明細書の実施形態は、本明細書の実施形態の機能及び/又は方法アクションを実行するためのコンピュータプログラムコードとともに、
図5に示される構成におけるプロセッサ511等の1つ以上のプロセッサを通じて実装されうる。上述のプログラムコードは、例えば、第2の無線ノード110;108-1,108-2にロードされたときに本明細書の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムコードを担持するデータキャリアの形態で、コンピュータプログラム製品として提供されてもよい。そのようなキャリアの1つは、電子信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体の形態であってもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、CD-ROMディスク又はメモリスティックであってもよい。
【0162】
更に、コンピュータプログラムコードは、サーバに格納され、かつ、第2の無線ノード110;108-1,108-2にダウンロードされるプログラムコードとして提供されてもよい。
【0163】
当業者はまた、上記の入力/出力インタフェース500、受信モジュール501、送信モジュール502、除去モジュール503、スタックモジュール504、復号モジュール505、並べ替えモジュール506、抽出モジュール507、推定モジュール508、及び合成モジュール509が、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせ、及び/又は、第2の無線ノード110;108-1,108-2内のプロセッサ等の1つ以上のプロセッサによって実行されたときに上述のように実行する例えばメモリ510に格納された、ソフトウェア及び/又はファームウェアで構成された1つ以上のプロセッサを指すことができることを理解するのであろう。これらのプロセッサのうちの1つ以上、及び他のデジタルハードウェアが、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)に含められてもよいし、又は、個々にパッケージされているかシステムオンチップ(SoC)に組み立てられているかによらず、いくつかのプロセッサ及び様々なデジタルハードウェアが、いくつかの別個のコンポーネント間で分散されてもよい。
【0164】
≪例示的な実施形態≫
このセクションでは、符号化反復スキームの一実施形態についての段階的な説明を記述及び図示する。
【0165】
序論
図6には送信対象のデータシンボルの系列が示されている。
図6には符号行列も示されている。図では、符号行列の4つの符号語(例えば行)を示すためにモノクロ階調が使用されている。この例では、符号行列は4×4(4行4列)のアダマール行列であるが、任意のn×nの直交実数値符号又は直交複素数値符号が使用されうる。符号行列のサイズnは、送信対象の符号化された反復の数に等しくなければならない。符号行列の符号語(行)には、説明のために異なるモノクロ階調が与えられている。データシンボルの数は、k=8となるように任意に選択されるが、nの任意の倍数でありうる。データシンボルは、任意の線形変調のシンボルコンスタレーションから得られうる。GFSK及びGMSK等の非線形変調も使用されうるが、以下の説明では簡単化のために線形変調を想定する。非線形変調については、以下でより詳細に説明する。データシンボルのいくつかは、トレーニングシンボルであってもよい。
【0166】
以下で説明される反復、符号化、サイクリックプレフィックス、及び送信に関連する1つ以上のアクションは、送信機として動作する第1の無線ノード108-1,108-2、110によって実行される。
【0167】
反復
データシンボルは、n=4回反復される。これは、
図7の行列において4つの行として示されている。
これは、前述のアクション201に関連する。
【0168】
符号化
図6のアダマール符号行列が、シンボル単位で反復適用される。行列内の各列(即ち、反復されたシンボル)に、符号行列の符号語(例えば、行)が(要素単位で)乗算される。
図8のモノクロ階調は、各列に使用される符号語を概略的に示している。
これは、前述のアクション202に関連する。
【0169】
サイクリックプレフィックス
前述のように、データシンボルS
0,S
1,...,S
k-1についての2つの符号化された系列を隔てるために、選択的なアフィクスが付加されうる。この例では、サイクリックプレフィックスが付加されている。
図8の行列の最後のn-1列は、
図9に概略的に示すように、当該行列の前に付加される。この例では、n=4であるため、
図9の行列の最後の3列が付加される。
これは、前述のアクション203に関連する。
【0170】
送信
図10に概略的に示すように、シンボルは、行列内で行ごとに順に送信される。当該送信は、パルス整形及び1つ以上の他の一般的な送信機能を含んでもよい。
これは、前述のアクション204に関連する。
【0171】
以下で説明する受信、符号化、サイクリックプレフィックス除去、スタッキング(スタック)、復号、ソート、及びMRCに関連する1つ以上のアクションは、受信機として動作する第2の無線ノード110;108-1,108-2によって実行される。
【0172】
受信
前述のように、フィルタ(例えば、送信機フィルタ及び/又は受信機フィルタ)におけるシンボル間干渉に起因して、及び、チャネルにおけるシンボル間干渉に起因して、受信信号は、
図11に概略的に示されるように、信号の遅延バージョンの重み付け和となる。当該重みは、複素数値のチャネルタップh
iである。ここでは、総チャネル長をnとしている。また、雑音が付加される(図示せず)。
これは、前述のアクション501に関連する。
【0173】
サイクリックプレフィックス除去
サイクリックプレフィックスが除去されて、n個の受信サンプル系列が抽出される。
図12の下端のブロックは、それぞれk=8サンプルのn=4個の系列を概略的に示している。上述のように、各サンプルは、ISIに起因した信号の遅延バージョンの総和である。
これは、前述のアクション502に関連する。
【0174】
スタッキング
k個の受信サンプルについてのn個の系列が、行列にスタックされる。これは
図13に概略的に示されており、同図では4×8行列を示している。
これは、前述のアクション503に関連する。
【0175】
復号
符号語が行単位で適用され、行が追加される。
図14Aは、第1の符号語+1,+1,+1,+1が適用されたときの結果を概略的に示す。行は、それぞれ+1,+1,+1,+1が乗算され、加算される。その総和が
図14Aの下部に示されている。第1の符号語で元々符号化されたシンボルのみが存在しており、他のシンボルはキャンセルされている。なお、チャネルの各ISIタップは異なるサンプルによって表されるので、ISIは除去されるか又はむしろ分解される。
同様に、第2、第3及び第4の符号語が、
図14B~14Dに示されるように、残りのデータシンボルを抽出するために適用される。
これは、前述のアクション504に関連する。
【0176】
ソート
図15の上部に示される、n=4個の異なる復号された系列は、図
15の中央部に示されるような行列にソートされる。4つのシンボルのISIを有するチャネル上で送信された、n=4回の反復が行われた信号は、
図15の下部に概略的に示されるように、n=4のISIの無い信号に変換され、それぞれn=4回の処理利得を有する。
【0177】
これは、前述のアクション505に関連する。
【0178】
抽出
図15の下部に概略的に示されている、ISIの無い信号から、データシンボルS
0,S
1,...,S
7が抽出される。
これは、前述のアクション506に関連する。
【0179】
最大比合成(MRC)
加法性白色ガウス雑音(AWGN)が存在する場合、n個の信号がMRCを用いて合成されると、合成された信号のSNRは最大化される。これは、それぞれが個々の信号のSNRの平方根でスケーリングされた後に、信号がコヒーレントに合成されるべきであることを意味する。雑音のエネルギーは、全てのn個の信号で同じであるので、これは各々の信号のチャネル係数hiの共役による乗算と等価である。これは
図16に概略的に示されている。チャネル係数は、データシンボルのうちの1つ又はいくつかがトレーニングシンボルである場合に推定されうる。ISIが除去されているので、チャネル推定は容易である。
これは、前述のアクション507及び508に関連する。
【0180】
その他の態様
上記スキームは、BPSK、8PSK、16QAM等の任意の線形変調に適用可能である。差動符号化GMSK、GFSK、又はMSKは、線形変調として近似的に又は正確に記述されうるので、上記スキームはこれらの変調にも同様に適用されうる。符号(+1,-1)との乗算は、ビットの排他的論理和に置き換えられる。上記スキームに、Rxアンテナダイバーシチを追加することは容易である。Rxブランチは、受信機において別々に処理され、MRCを使用して合成される。Rxブランチ間のMRCは、上記符号化反復スキームによって作られたダイバーシチブランチ間のMRCと同じ方法で行われる。符号化反復は、従来のブラインド送信及びI/Q合成と組み合わされてもよい。
【0181】
≪いくつかの実施形態の正式な記述の例示≫
以下では、下記の表記を使用する:
aTは、ベクトル(又は行列)aの転置を示す。
aHは、ベクトル(又は行列)aの共役転置を示す。
a*は、ベクトル(又は行列)aの(要素単位の)共役を示す。
【0182】
第1の無線ノード108-1,108-2;110(例えば送信機)のアクション
k個のデータシンボル
、及び直交する列を有するn×nの符号行列
が与えられ、kがnの整数倍である場合、送信機は、以下のステップを実行する。
【0183】
各行が
のコピーであるn×k行列Rを生成する。
これは、前述のアクション201に関連する。
【0184】
符号化
n×k行列
を生成する。ここで、e
i,j=r
i,jc
i,j mod nであり、即ち、Rは、符号行列Cの反復されたバージョンと要素ごとに乗算される。Eは、
とも記述されうる。
これは、前述のアクション202に関連する。
【0185】
サイクリックプレフィックス:n×(k+n-1)行列
を生成する。
即ち、Eの最後のn-1個の列がEと連結される。
これは、前述のアクション203に関連する。
【0186】
送信
一般的な送信機能(パルス整形、デジタル/アナログ変換、無線周波数へのアップコンバージョン、電力増幅等)を使用して、Pのシンボルを行単位で、n(k+n-1)個のシンボルの系列
として送信する。
これは、前述のアクション204に関連する。
【0187】
第2の無線ノード110;108-1,108-2(例えば受信機)のアクション
受信
一般的な受信機能(アナログフィルタリング、ベースバンドへのダウンコンバージョン、アナログ/デジタル変換、デジタルフィルタリング等)の後、受信信号は、n(k+n)-1個の、シンボル間隔の複素サンプル
で表される。ここで、送信機におけるフィルタリング、チャネルの時間分散、及び受信機のフィルタリングの効果の組み合わせを
と表すことができると仮定し、ここで、
は、チャネルタップであり、
は、雑音サンプルを有するベクトルである。
これは、前述のアクション501に関連する。
【0188】
スタック(可能性のあるサイクリックプレフィックスの除去を含む)
のサブ系列をn×k行列
にスタックする。即ち、k個のサンプルについてのn個の系列が、最初のn-1個のサンプル、最後のn-1個のサンプル、及び
の格納された全てのサブ系列間のn-1個のサンプルをスキップして、Fの行に入れられる。なお、サイクリックプレフィックスに起因して
であり、ここで、
は、チャネルであり、Eは、符号化されたシンボルであり、Nは、分散σ
2を有するAWGNサンプルの行列であり、*は、行単位の巡回畳み込みを示す。
これは、前述のアクション502及び503に関連する。
【0189】
復号
Fに左から符号行列Cの転置を乗算し、以下のn×k行列が与えられる。
ここで、N'は、分散nσ
2を有するAWGNサンプルの行列である。
これは、前述のアクション504に関連する。
【0190】
並べ替え
D内の要素を並べ替えることによって、n×k行列Xを生成する。
ここで、N''は、N'の並べ替えられたバージョンである。
なお、時間分散チャネルで受信された信号は、(Xの行によって表される)ISIの無い信号に分離されている。
その後、データシンボルの系列が抽出されうる。抽出を行う1つの可能性のある方法は、「チャネル推定」アクションからのチャネル係数を必要とする「MRC合成」アクションによって説明される。
これは、前述のアクション505及び506に関連する。
【0191】
チャネル推定
チャネルベクトル
を推定する。各チャネルタップはn個の信号のうちの1つのみに影響するので、チャネル推定は容易である。重み
を使用することは、n個の信号がコヒーレントに合成されること(即ち、それらが発展的に加算されること)を意味する。更に、重みの大きさは、合成された信号のSNRを最大化することになる。チャネル係数は、データシンボル
のうちの1つ又はいくつかがトレーニングシンボルである場合に推定されうる。
これは、前述のアクション507に関連する。
【0192】
MRC合成
を計算する。ここで、
は、分散
を有するAWGNサンプルのベクトルである。なお、導出される信号は、送信シンボルのベクトル
に雑音を加えたものである。
が単位エネルギーを有すると仮定すると、信号対雑音比は、
である(即ち、受信信号の信号対雑音比のn倍である)。n倍の処理利得が達成されている。
これは、前述のアクション508に関連する。
【0193】
略語
AWGN Additive White Gaussian Noise(加法性白色ガウス雑音)
ISI Inter-Symbol Interference(シンボル間干渉)
MRC Maximum Ratio Combining(最大比合成)
SNR Signal to Noise Ratio(信号対雑音比)
【0194】
用語「comprise(含む、備える)」又は「comprising(含む、備える)」を使用する場合、それは、非限定的であると解釈されるべきであり、即ち、「consist at least of(少なくとも~から成る)」を意味する。
【0195】
前述の説明及び関連する図面に示された教示の恩恵を受ける当業者は、説明された(複数の)実施形態の修正及び他の変形を思いつくであろう。したがって、本明細書の(複数の)実施形態は開示された特定の例に限定されず、修正及び他の変形が本開示の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されうるが、それらは包括的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定を目的とするものではない。