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特許7049458割り当てられたピストンバネをもった少なくとも1つのピストンを有する集合体
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  • 特許-割り当てられたピストンバネをもった少なくとも1つのピストンを有する集合体 図1
  • 特許-割り当てられたピストンバネをもった少なくとも1つのピストンを有する集合体 図2
  • 特許-割り当てられたピストンバネをもった少なくとも1つのピストンを有する集合体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】割り当てられたピストンバネをもった少なくとも1つのピストンを有する集合体
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/16 20060101AFI20220330BHJP
   B60K 23/02 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
B60T11/16 Z
B60K23/02 L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020534416
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018078718
(87)【国際公開番号】W WO2019120687
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】102017223678.7
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ビショッフ・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー・ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】リュファー・マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ローケ・イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバー・ザシャ
(72)【発明者】
【氏名】クネーヴィッツ・インゴ
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513525(JP,A)
【文献】特開2005-138671(JP,A)
【文献】特開2009-034780(JP,A)
【文献】特開昭63-232914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0033839(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0137180(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q3/00-3/154
3/16-3/18
B60K23/00-23/08
B60T10/00-11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と、ハウジング(2)内に配置された中空空間(15)とを有する集合体(1)であって、中空空間が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのピストン(4)と、ピストン(4)に割り当てられたピストンバネ(5)とが収容されている孔(3)として形成されており、集合体(1)の動作時に孔(3)内でピストン(4)が操作される場合に、ピストンバネ(5)がピストン(4)によって圧縮される、集合体において、 ピストン(4)をピストンバネ(5)と共に集合体(1)へ取り付けるために、ピストン(4)及びピストンバネ(5)を含む取付ユニット(6)が設けられており、ピストンバネ(5)が磁性材料で形成されており、ピストン()が非磁性材料で形成されており、取付ユニット(6)をハウジング(2)に取り付けるための取付工具(9)が設けられており、磁石要素(8)が、取付工具(9)におけるピストン(4)と対向する側に設けられており、ピストンバネ(5)が、取付ユニット(6)のハウジング(2)における取付時に磁石要素(8)の磁場(7)によってピストン(4)に保持されることを特徴とする集合体。
【請求項2】
ストン(4)が、取付時に磁石要素(8)とピストンバネ(5)の間に位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の集合体(1)。
【請求項3】
集合体(1)への取付ユニット(6)の取付後、取付工具(9)が集合体(1)から取り外されることを特徴とする請求項2に記載の集合体(1)。
【請求項4】
ピストン(4)がスリーブ状に底部(10)及び管状の壁部(11)で構成されており、ピストン(4)における壁部(11)の内側及び底部(10)の内側がピストン内部空間(12)を区画しており、ピストンバネ(5)が、少なくとも部分的にピストン内部空間(12)内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の集合体(1)。
【請求項5】
ピストンバネ(5)が磁場(7)によって底部(10)の内側に対して押圧されるように、磁石要素(8)が、取付のために底部(10)の外側の範囲に位置決めされていることを特徴とする請求項2又は4に記載の集合体(1)。
【請求項6】
ピストンバネ(5)がピストン(4)に対してすきまばめを備えていることを特徴とする請求項1に記載の集合体(1)。
【請求項7】
ピストンバネ(5)がピストン(4)に対して同軸に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の集合体(1)。
【請求項8】
ピストンバネ(5)を心合わせするために、ピストン内部空間(12)へあらかじめ挿入された突出部(13)が底部(10)の内側に配置されており、突出部(13)が、少なくとも部分的に円すい状の外部輪郭部(14)を備えており、ピストンバネ(5)が、突出部(13)に対してすきまばめを備えていることを特徴とする請求項4に記載の集合体(1)。
【請求項9】
磁石要素(8)が永久磁石として形成されていることを特徴とする請求項に記載の集合体(1)。
【請求項10】
磁石要素(8)が電磁石として形成されており、電磁石の磁場(7)は、磁石要素(8)の作動状態において存在し、磁石要素(8)の非作動状態では存在しないことを特徴とする請求項に記載の集合体(1)。
【請求項11】
集合体(1)が原動機付き車両用ブレーキ設備のブレーキマスタシリンダとして形成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の集合体(1)。
【請求項12】
ブレーキマスタシリンダが、互いに相前後して同軸な少なくとも2つの、割り当てられた第1のピストンバネ(5)を有する第1のピストン(4)と、割り当てられた第2のピストンバネ(5’)を有する第2のピストン(4’)とを有するタンデム構造であり、割り当てられたピストンバネ(5,5’)を有する少なくとも1つのピストン(4,4’)が取付ユニット(6,6’)として設けられていることを特徴とする請求項11に記載の集合体(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の取付ユニット()を取り付けるための取付工具(9)において、
取付工具(9)が、ピストン(4)を取付工具(9)へ接触させて結合するための接続箇所(16)と、接続箇所(16)の範囲において少なくとも1つの磁石要素(8)とを備えていることを特徴とする取付工具。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の集合体の中空空間(15)へピストン(4)をピストンバネ(5)と共に取り付ける方法であって、ピストンバネ(5)が磁性材料で形成されており、ピストン(4)が非磁性材料で形成されており、以下のプロセスステップ:
-ピストン(4)が、空間的にピストンに対して向き調整されたピストンバネ(5)と共に取付工具(9)の磁場(7)へ設けられたピストン(4)を取付工具(9)へ接触させて結合するための接続箇所(16)へもたらされることで、取付ユニット()を形成するステップと、
-集合体(1)のハウジング(2)内の中空空間(15)へ取付ユニット()を挿入するステップと、
-取付工具(9)をピストン(4)から分離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による特徴を有する集合体、特に油圧式の原動機付き車両用ブレーキ設備のためのブレーキマスタシリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
孔内で軸方向に移動可能な、ピストンバネ、特に復帰バネが割り当てられたピストンを有するこのような集合体は、種々の形態において知られているとともに加工されている。
【0003】
単純化され、より確実な集合体の統合のために、それぞれ割り当てられたピストンを有するピストンバネを含む個別の取付ユニットあるいは取付アセンブリを形成すること、及びピストンバネとピストンの間の接続箇所を脱落不能に拘束するように構成することが目指される。
【0004】
原動機付き車両用ブレーキ設備のためのアルミニウムハウジングを有するタンデム-ブレーキマスタシリンダが例えば特許文献1から知られており、当該タンデム-ブレーキマスタシリンダでは、ピストンバネが、プライマリピストンにおいて、変位可能で、リベット留めを用いてピストンにおけるピンに脱落不能とされたスリーブを介して、ピストンに拘束されている。セカンダリピストンでは、ピストンバネが、そのピストン側の端部における内径をもって、ピストンにおける中央のピンに締まりばめを介して永続的に締め付けられている。割り当てられたピストンにおけるピストンバネの拘束は、集合体の動作においても維持される。
【0005】
ここで、このような解決手段は、部材の異なる態様のために、ピストンバネ/ピストンの対の正確な互いの適合が必要であり、これにより必要な部材の多様性が大きくなってしまうという欠点がある。取付ユニットの事前取付のための手間及びピストンバネ/ピストン-接続箇所の寸法精度について要求が大きくなってしまう。事前取付の場合にピストンバネの手間をかけてのみ除去可能な取付エラーのおそれと、ピストンバネの押し込み又はリベット留めによる切りくずの形成のおそれとが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102012222547号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、ピストン及びピストンバネが、より効果的に、かつ、上述の欠点を回避しつつ集合体に取付可能であり、事前取付と、接続箇所寸法精度と、変形態様形成時の部材多様性とについての要求を低減することが可能な、改善された集合体及び方法を提供するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明により、請求項1による特徴の組合せを有する集合体及び請求項13による取付方法によって解決される。従属請求項は、図面での説明と共に本発明の別の有利な構成及び発展形成を記述している。
【0009】
本発明は、ピストンをピストンバネと共に集合体へ取り付けるために、ピストン及びピストンバネを含む取付ユニットが設けられるようになっている。ピストンバネが磁性材料又は磁化可能な材料、特にバネ鋼のような強磁性材料で形成され、ピストンが合成樹脂又は軽金属のような非磁性材料で形成されるようになっている。したがって、ピストンバネは、取付ユニットにおいて、磁場によってピストンに保持されることが可能である。
【0010】
事前取付を、完全に省略するか、又は少なくとも大幅に低減することが可能である。押し込み又はリベット留めを省略することで、切りくずの形成が排除される。
【0011】
本発明による発展形成によれば、磁場が、取付ユニットの取付後取り外される取付工具内に配置された磁石要素により発生されるため、ピストンは、取付時に磁石要素とピストンバネの間に位置決めされているとともに、締め付けられている。
【0012】
これにより、正確な適合及びピストンにおけるピストンバネの永続的な拘束が必要なくなる。取付ユニットは、取付過程中に一時的にのみ結束される。
【0013】
好ましい実施形態によれば、ピストンが本質的にスリーブ状に底部及び管状の壁部で構成されており、ピストンにおける壁部の内側及び底部の内側がピストン内部空間を区画しており、ピストンバネが、少なくとも部分的にピストン内部空間内に配置されている。
【0014】
これにより、比較的わずかな磁場及び低減された磁石要素寸法をもって、ピストンバネのより確実なガイド及び固定が確保されている。
【0015】
確実なピストンバネ結合を更に改善するために、ピストンバネが磁場によって底部の内側に対して押圧されるように、磁石要素が、好ましくは取付のために底部の外側の範囲に位置決めされることが可能である。これにより、更にピストン/取付工具-接続箇所を大幅に単純化することが可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、ピストンバネは、機能的にピストンに対して同軸に配置されている。
【0017】
ピストンに対するピストンバネの単純で強制的な心合わせのために、底部の内側には、少なくとも部分的に円すい状の外部輪郭部を有する、ピストン内部空間へ突出した突出部を設けることが可能である。
【0018】
ピストンに対するピストンバネの噛み込み(挟み込み)及び/又は傾斜を効果的に避けるために、ピストンバネは、突出部に対して、及びピストンの壁部に対して緩いすきまばめを備えることができる。
【0019】
これにより、更に、寸法精度についての要求が低下し、ピストンバネは、例えば複数のピストン変形態様による標準化のために対にされることが可能であり、また逆も同様である。部材多様性あるいは部材規模は、費用効果について低減される。
【0020】
本発明による実施形態によれば、磁石要素が永久磁石として形成されることができ、これにより、取付工具を、特に容易に、かつ、電流に依存せずに構成することが可能である。
【0021】
他の本発明による実施形態によれば、磁石要素が電磁石としても形成されることができ、電磁石の磁場は、磁石要素の作動状態において存在し、磁石要素の非作動状態では存在しないか、又は十分に存在しない。これにより、取付プロセスを特に単純に構成することが可能である。なぜなら、電磁石の単純な作動(制御)によって、取付ユニットと取付工具の互いの結着及び互いからの結着解除が確実かつ効果的に実現可能であるためである。
【0022】
集合体が、有利には、ピストンバネを有する、同軸に相前後して配置された2つのピストンをもったタンデム構造の、原動機付き車両用ブレーキ設備のためのブレーキマスタシリンダとして形成されていれば、本発明の利点が特に有効に活用される。
【0023】
本発明は、同様に、本発明による取付ユニットを取り付けるための、対応する、効果的に単純化された取付工具も(特許)請求しており、当該取付工具は、ピストンを取付工具へ接触させて結合するための接続箇所と、接続箇所の範囲において少なくとも1つの磁石要素とを備えている。手間のかかる機械的又は空圧的な装置を用いたピストンの固定の必要性をなくすことができるか、又は少なくとも大幅に単純化することが可能である。
【0024】
さらに、本発明は、対応するピストンバネと共にピストンを取り付けるための有利な取付方法を(特許)請求しており、当該方法は、以下のプロセスステップを含んでいる:
ピストンが、空間的にピストンに対して取付工具の磁場へ向き調整されたピストンバネと共に、設けられたピストン/取付工具-接続箇所へもたらされることで、取付ユニットを形成するステップ、集合体のハウジング内の中空空間へ取付ユニットを挿入するステップ及び取付工具をピストンから分離するステップ。
【0025】
有利な取付方法によって、手間のかかる事前取付をなくすことができ、集合体組立についての手間全体を低減することができるとともに、取付設備を大幅に簡略化し、標準化することが可能である。同様に、本発明による取付方法によって、高い自動化度合いが促進される。
【0026】
本発明の別の特徴及び利点は、以下の実施例の説明及び図面に基づき明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】軸方向断面における本発明による実施形態と、永久磁石を有する取付工具とを部分的に大きく簡略化して示す図である。
図2】取付ユニットの本発明による別の実施形態と、電磁石を有する取付工具の実施形態とを示す図である。
図3】本発明による2つの取付ユニットを含む、タンデム構造のブレーキマスタシリンダを大きく簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1
図1には、ハウジング2の中空空間15へ挿入するときの、取付ユニットの第1の実施形態及び取付工具を有する、まだ不完全に構成された本発明による集合体(ユニット)1が断面図で示されている。
【0029】
図示の実施形態では、集合体1は、例示的に、油圧式の原動機付き車両用ブレーキ設備のためのタンデム構造のブレーキマスタシリンダとして形成されている。
【0030】
集合体1は、非磁性のアルミニウム合金から成るハウジング2を含んでいる。ハウジング2には袋状の中空空間15が設けられており、当該中空空間は、ピストン4をガイドするために、部分的に孔3として構成されている。孔3の個別の溝に配置されたシール要素18,18’は、ピストン4の径方向外面におけるシールされた摺動のために設けられている。
【0031】
ピストン4は、本質的に非磁性材料で構成されている。このために、本発明内では、特に合成樹脂や軽金属及び軽金属合金を用いることが可能である。
【0032】
ピストン4は、本質的にスリーブ状に構成されているとともに、底部10及び管状の壁部11を備えている。したがって、壁部11及び底部10の内側は、ピストン4においてピストン内部空間12を区画しており、当該ピストン内部空間には、ピストンバネ5が、部分的かつ緩く、挟み込まれないように収容されている。ピストンバネ5は、復帰バネとして用いられる。ピストンバネは、底部10の内側に対して軸方向に支持されており、ピストン4の操作(作動)時に圧縮されるとともに、操作過程の最後にはピストン4をその非操作の初期位置へ移動させる。
【0033】
ピストンバネ5は、本発明内では、磁性の、又は磁化可能な材料、特にバネ鋼のような強磁性の材料で製造され、したがって磁場に反応する。
【0034】
単純化された取付のために、ピストンバネ5は、ピストン4と共に取付ユニットへ統合されている。取付工具9は、取付ユニットの保持及び中空空間15への挿入のために用いられる。このために、取付工具9には、磁場7を発生する磁石要素8が配置されている。
【0035】
ピストンは、取付工具9における接続箇所16に底部10の外側で接触している。磁石要素8は、ピストン4の底部10の直近に配置されている。磁場7は、ピストン4を通過し、ピストンバネ5を磁石要素8へ引っ張るため、ピストンバネ5は、底部10の内側に対して押圧され、したがって、取付ユニットにおいて保持される。この状態では、取付ユニットは、取付工具9と共に中空空間15へ挿入されることが可能である。
【0036】
ハウジング2におけるあらかじめ設定された位置へ取付ユニットを挿入した後、取付工具9は、ピストン4から分離され、ハウジング2から引き出される。磁石要素8として永久磁石を用いる場合に取付工具9を分離するために、本発明内では、例えば取付工具9に対して相対的に軸方向に移動可能なスライダ17を用いることが可能である。磁場7の吸引力が、磁場7により引っ張られるピストンバネ5の引張力によってピストン4を取付工具9に保持するのにもはや十分でなくなるまで、取付工具9が復帰される間、ピストン4はスライダ17によって所定の位置に保持される。別の機能的等価の手法が本発明内ではいつでも可能であり、したがって、例えば磁場強度の適当な設定において、ピストン4をハウジング2内で保持するために、シール要素18,18’の締付力を用いることが可能であり、一方、取付工具9は、磁石引張力を克服しつつ引き抜かれる。
【0037】
図示の実施形態では、磁石要素8は、リング状の永久磁石として構成されているが、本発明内では、他の構成も同様に可能である。
【0038】
図2
図2には、取付ユニットの別の一実施形態が図示されている。磁石要素8は、ここでは電磁石として形成されており、当該電磁石の磁場7は、作動状態においてのみ存在する。磁石要素は、取付ユニットを中空空間15へ挿入する場合に作動され、取付工具9の容易な引出しのための所望の位置への到達後、非作動(オフ)とされる。
【0039】
ピストン内部空間12には、底部10の内側においてピストン内部空間12内へ突出して延びる突出部13が設けられている。突出部13は、挿入時にピストンバネ5が摺動し得るとともに、したがって容易かつ強制的に心合わせしてピストン4に対して同軸に向けられた、円すい状の外部輪郭部14を備えている。ピストンバネ5の噛み込み(挟み込み)及び/又は傾斜を避けるために、ピストンバネ5と突出部13の間にはすきまばめが設けられている。
【0040】
図3
図3には、タンデム構造のブレーキマスタシリンダの原理が、説明のために大きく単純化されて図示されている。
【0041】
ハウジング2の中空空間15には、割り当てられた第1のピストンバネ5を有する第1のピストン4と、割り当てられた第2のピストンバネ5’を有する第2のピストン4’とが軸方向に相前後して配置されている。
【0042】
本発明内では、取付ユニット6,6’のうち1つのみ又は両取付ユニット全てを上述の説明により構成し、及び取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 集合体
2 ハウジング
3 孔
4 ピストン
5 ピストンバネ
6 取付ユニット
7 磁場
8 磁石要素
9 取付工具
10 底部
11 壁部
12 ピストン内部空間
13 突出部
14 外部輪郭部
15 中空空間
16 接続箇所
17 スライダ
18 シール要素
図1
図2
図3