(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】電動弁及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2020534619
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2018087276
(87)【国際公開番号】W WO2019148693
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】201810099367.1
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514239545
【氏名又は名称】浙江三花制冷集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼ ▲銘▼
(72)【発明者】
【氏名】支 建成
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲達▼▲邁▼
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540933(JP,A)
【文献】特開2013-130271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00 ー 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動弁であって、
第1流体ポートが含まれる弁本体を有する弁ボディ部材と、
前記弁ボディ部材に固定接続されており、第2流体ポートが含まれる弁座体を有する弁座部材と、
前記電動弁の弁室に設けられており、螺合するスクリュロッドとナットとを有する伝動部材と、
前記弁室に設けられており、上筒体と、弁体本体と、前記上筒体及び前記弁体本体と固定接続される接続部材とを有する弁体部材と、を備え、
前記電動弁において、
前記上筒体は第1キャビティを含み、前記上筒体の上端部が上ストッパ部を含み、前記弁体本体
が円管状を呈して、前記弁体本体は環状薄肉部を含み、前記弁体本体が第2キャビティを含み、前記接続部材の上端部が前記第1キャビティに向かっており、前記接続部材の下端部が前記第2キャビティに向かっており、前記ナットが前記第1キャビティに設けられる径方向凸出部を含み、前記径方向凸出部が前記上ストッパ部と係合することで、前記ナットによって前記弁体部材を軸方向に沿って移動させ、前記接続部材が前記第1キャビティと前記第2キャビティに連通する第1軸方向通孔を含み、前記接続部材の上端部が下ストッパ部を含み、前記環状薄肉部が前記弁座部材の封止部に当接されることができ、前記ナットの下端部が前記下ストッパ部と係合することができ、これによって、前記ナットの下向きの移動を制限することを特徴とする電動弁。
【請求項2】
さらに
、円管状を呈するガイドスリーブを含む弁体ガイド部材を有し、前記ガイドスリーブが前記弁ボディ部材に固定接続され、前記上筒体の外壁が前記ガイドスリーブの内壁と隙間嵌め、前記上筒体の外径が前記弁体本体の外径より大きく、前記ガイドスリーブが前記上筒体と隙間嵌めるガイド段を含み、前記ガイドスリーブがさらに装着段を含み、前記装着段の内径が前記ガイド段の内径より小さく、封止ユニットが前記装着段の内壁と前記弁体本体の外壁との間に設けられ、前記封止ユニットが前記弁体本体の外周部に外挿される封止部材を含み、前記封止部材が前記装着段の内壁と前記弁体本体の外壁との間に弾性当接されることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記封止ユニットはさらに前記封止部材の上方に設けられる上位置制限部材と、前記封止部材の下方に設けられる下位置制限部材とを含み、前記上位置制限部材と前記下位置制限部材とが前記弁体本体の外周部に外挿され、前記ガイド段と前記装着段とは段階面が下向きである第1位置決め段階部を形成し、前記装着段の内壁にはさらに段階面が下向きである第2位置決め段階部を含み、前記上位置制限部材の上端部が前記第1位置決め段階部に当接され、前記下位置制限部材の上端部が前記第2位置決め段階部に当接され、前記下位置制限部材が前記ガイドスリーブの下端部にかしめ圧着されて係合され、または溶接固定されることを特徴とする請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記上筒体は一体構成であり、前記上筒体は金属材料を引っ張りまたはプレスすることで一体成形され、前記上筒体は本体部と、前記本体部の上端から径方向に沿って延伸する横方向曲げ部とを含み、前記横方向曲げ部の下端面部を前記上ストッパ部とし、前記横方向曲げ部が第2軸方向通孔を含み、前記ナットが前記第2軸方向通孔を貫通するように配置され、前記本体部の下端部が前記接続部材に溶接固定され、またはかしめ圧着されて係合されることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項5】
前記接続部材の横断面が環状であり、前記接続部材は外径が漸減する上段と、中段と下段とを含み、前記接続部材の外壁に、前記上段と前記中段とは段階面が下向きである第3位置決め段階部を形成し、前記中段と前記下段とは段階面が下向きである第4段階部を形成し、前記上筒体の下端部が第3位置決め段階部にかしめ圧着されて係合され、または溶接固定され、前記弁体本体の上端部が前記下段の外周に外挿され、前記弁体本体の上端部が前記第4段階部に当接され、前記下段に溶接固定されることを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記接続部材の横断面が環状であり、前記接続部材は外径が漸減する上段と下段とを含み、前記接続部材の外壁に、前記上段と前記下段とは段階面が下向きである第5位置決め段階部を形成し、前記上筒体の下端部が前記第5位置決め段階部にかしめ圧着されて係合され、または溶接固定され、前記弁体本体が前記下段の外周に外挿され、前記弁体本体の上端部が前記第5位置決め段階部に当接され、溶接固定されることを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
【請求項7】
前記ナットはさらに前記第1キャビティに設けられる下延伸部を含み、前記下延伸部が円管状を呈して、収容室を含み、前記収容室には圧縮スプリングが設けられ、前記圧縮スプリングの一端が前記ナットに当接され、他端が前記下ストッパ部に当接されることを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の電動弁。
【請求項8】
前記弁座部材は前記弁ボディ部材に固定接続される弁座体を含み、前記弁座体が第3軸方向通孔を含み、前記弁座体の上端面部は段階面が上向きである上段階部を含み、前記上段階部には弁座芯が固定され、前記弁座芯がプラスチック材質であり、前記弁座芯の上端面部が前記封止部として形成され、前記環状薄肉部が係合部を含み、前記係合部が円弧構成であり、前記円弧構成の底端が前記封止部と当接しまたは分離できることを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の電動弁。
【請求項9】
前記弁体本体は小径段と、前記小径段の下方に設けられる前記環状薄肉部とを含み、封止ユニットが前記小径段の外周部に外挿され、前記環状薄肉部の外径と内径がそれぞれ前記小径段の外径と内径より大きく、前記小径段の外壁の、水平方向での投影が前記円弧構成の底端が位置する環状線
と重なることを特徴とする請求項8に記載の電動弁。
【請求項10】
前記環状薄肉部の外径と前記小径段の外径との差は0.5mm以下であることを特徴とする請求項9に記載の電動弁。
【請求項11】
前記弁座体が前記弁ボディ部材に固定接続され、第3軸方向通孔を含み、前記弁座体の上端面部は段階面が上向きである上段階部を含み、前記上段階部には弁座芯が固定され、前記弁座芯がプラスチック材質であり、前記弁座芯の上端面部が前記封止部として形成され、前記環状薄肉部が係合部を含み、前記係合部は上が大きく、下が小さい円錐台構成であり、前記円錐台構成の下端面が環状封止平面として形成され、前記環状封止平面が前記封止部と当接しまたは分離できることを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の電動弁。
【請求項12】
前記弁体本体は小径段と、前記小径段の下方に設けられる前記環状薄肉部とを含み、封止ユニットが前記小径段の外周部に外挿され、前記環状薄肉部の外径と内径がそれぞれ前記小径段の外径と内径より大きく、前記小径段の外壁の、水平方向での投影が前記環状封止平面の中心環状線
と重なることを特徴とする請求項11に記載の電動弁。
【請求項13】
前記環状薄肉部の外径と前記小径段の外径との差は0.5mm以下であることを特徴とする請求項12に記載の電動弁。
【請求項14】
前記弁座体が前記弁ボディ部材に固定接続され、第3軸方向通孔を含み、前記弁座体の上端面部は段階面が上向きである上段階部を含み、前記上段階部には弁座芯が固定され、前記弁座芯がプラスチック材質であり、前記弁座芯が円環状の基部と、前記基部の上端部から上に延伸する円環状の突出部とを含み、前記突出部の外径が前記基部の外径より小さく、前記突出部の上端面部が前記封止部として形成され、弁口シースが前記第3軸方向通孔に設けられ、前記弁口シースの外壁が前記弁座芯の内壁に当接され、前記弁座体の内壁に溶接固定され、前記弁口シースが軸方向に沿って前記封止部より高くしたことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の電動弁。
【請求項15】
前記第1軸方向通孔の孔壁は第6位置決め段階部を含み、前記第6位置決め段階部には濾過部材が装着され、前記濾過部材が支持環とフィルタとを含み、弾性部品が前記フィルタの外周に外挿され、前記支持環の一端が前記弾性部品に当接され、他端が前記第6位置決め段階部に当接されることを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の電動弁。
【請求項16】
請求項1に記載の電動弁の製造方法であって、以下のステップを有し、
S1:上筒体を提供し、金属材料を引っ張りまたはプレスすることで一体成形される方法で中空の前記上筒体を加工し、前記上筒体の上端が前記上ストッパ部を含み、
S2:ナット、上筒体及び接続部材を組み立て、前記径方向凸出部を前記上ストッパ部によって前記第1キャビティに位置制限させ、前記上筒体の下端部を前記接続部材にかしめ圧着して固定しまたは溶接固定し、
S3:弁体本体と封止ユニットを提供し、前記弁体本体が小径段と前記小径段の下方に設けられる環状薄肉部とを含み、前記小径段
が円管状を呈して、前記環状薄肉部の内径と外径が前記小径段の内径と外径より大きく、前記封止ユニットを前記小径段の外周部に外挿して、前記小径段の上端部を前記接続部材に溶接固定し、
S4:ガイドスリーブを提供し、前記ガイドスリーブを前記弁本体に溶接固定し、第2組立ユニットを形成し、
S5:前記ナットを前記スクリュロッドに螺合し、前記ガイドスリーブの下端部を前記封止ユニットにかしめ圧着して固定しまたは溶接固定し、
S6:封止部付きの弁座芯と、金属材料から加工された弁座体を提供し、前記弁座体の上端面部には、前記弁座芯を装着するための、段階面が上向きである上位置決め段階部が加工され、弁座芯を前記上位置決め段階部に装着するとともに、前記弁座体の上端にかしめ圧着して固定し、
S7:前記弁本体を前記弁座体に溶接固定することを特徴とする電動弁の製造方法。
【請求項17】
前記ステップS2はさらに以下のステップを有し、即ち、プラスチック材料の射出成形によって前記ナットを加工することで、前記ナットが前記径方向凸出部の下方に設けられる下延伸部を含み、前記下延伸部には収容室が加工され、弾性部品を前記収容室に装着し、前記弾性部品の一端を前記ナットに当接させ、他端を前記接続部材の下ストッパ部に当接させることを特徴とする請求項16に記載の電動弁の製造方法。
【請求項18】
前記ステップS1において、前記上筒体の下端部の内壁には、段階面が下向きである内段階部が加工され、前記ステップS2において、前記接続部材が円環状の上段と、円環状の中段と円環状の下段とを含み、前記上段の外径が前記中段の外径より大きく、前記中段の外径が前記下段の外径より大きく、前記上段の上端面が前記内段階部に当接され、前記上筒体の下端部が前記上段の下端面にかしめ圧着されて固定されまたは溶接固定され、前記ステップS3において、前記弁体本体が前記下段の外壁に外挿され、前記弁体本体の上端が前記中段の下端面に当接され、前記下段の外壁に溶接固定されることを特徴とする請求項16に記載の電動弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体制御という技術分野に関わり、具体的には電動弁及びその製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
いくつかの空調、特に多連式などの業務用空調システムにおいて複数の室内機に連通するための一つの室外機を必要とするから、各々の室内機の冷媒回路にはいずれも、冷媒の切断または流量の大きさの調節のための電動弁が装着されなければならない。電動弁の動作性能を向上させることは、当業者にとって努力する方向である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、弁体部材が受けた差圧を低減させ、弁の動作性能を向上させる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に開示された電動弁は、
第1流体ポートが含まれる弁本体を有する弁ボディ部材と、
前記弁ボディ部材に固定接続されており、第2流体ポートが含まれる弁座体を有する弁座部材と、
前記電動弁の弁室に設けられており、螺合するスクリュロッドとナットとを有する伝動部材と、
前記弁室に設けられており、上筒体と、弁体本体と、前記上筒体及び前記弁体本体と固定接続される接続部材とを有する弁体部材と、を備え、
前記電動弁において、
前記上筒体は第1キャビティを含み、前記上筒体の上端部が上ストッパ部を含み、前記弁体本体が略円管状を呈して、前記弁体本体は環状薄肉部を含み、前記弁体本体が第2キャビティを含み、前記接続部材の上端部が前記第1キャビティに向かっており、前記接続部材の下端部が前記第2キャビティに向かっており、前記ナットが前記第1キャビティに設けられる径方向凸出部を含み、前記径方向凸出部が前記上ストッパ部と係合することで、前記ナットによって前記弁体部材を軸方向に沿って移動させ、前記接続部材が前記第1キャビティと前記第2キャビティに連通する第1軸方向通孔を含み、前記接続部材の上端部が下ストッパ部を含み、前記環状薄肉部が前記弁座部材の封止部に当接されることができ、前記ナットの下端部が前記下ストッパ部と係合することができ、これによって、前記ナットの下向きの移動を制限する。
【0005】
本発明はさらに前記機能を有する電動弁の製造方法を開示し、以下のステップを有し、
S1:上筒体を提供し、金属材料を引っ張りまたはプレスすることで一体成形される方法で中空の前記上筒体を加工し、前記上筒体の上端が前記上ストッパ部を含み、
S2:ナット、上筒体及び接続部材を組み立て、前記径方向凸出部を前記上ストッパ部によって前記第1キャビティに位置制限させ、前記上筒体の下端部を前記接続部材にかしめ圧着して固定しまたは溶接固定し、
S3:弁体本体と封止ユニットを提供し、前記弁体本体が小径段と前記小径段の下方に設けられる環状薄肉部とを含み、前記小径段が略円管状を呈して、前記環状薄肉部の内径と外径が前記小径段の内径と外径より大きく、前記封止ユニットを前記小径段の外周部に外挿して、前記小径段の上端部を前記接続部材に溶接固定し、
S4:前記ガイドスリーブを提供し、前記ガイドスリーブを前記弁本体に溶接固定し、第2組立ユニットを形成し、
S5:前記ナットを前記スクリュロッドに螺合し、前記ガイドスリーブの下端部を前記封止ユニットにかしめ圧着して固定しまたは溶接固定し、
S6:封止部付きの弁座芯と、金属材料から加工された弁座体を提供し、前記弁座体の上端面部には、前記弁座芯を装着するための、段階面が上向きである上位置決め段階部が加工され、弁座芯を前記上位置決め段階部に装着するとともに、前記弁座体の上端にかしめ圧着して固定し、
S7:前記弁本体を前記弁座体に溶接固定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により提供される電動弁において、弁体部材は軸方向で貫通する上筒体と、略管状を呈する弁体本体と、上筒体と弁体本体とを接続する接続部材とを含み、接続部材が第1キャビティと第2キャビティに連通する第1軸方向通孔を含み、弁体本体が環状薄肉部を含み、弁体部材が受けた差圧を低減させ、弁の内部圧力のバランスに寄与し、弁の動作性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明により提供される第1種の電動弁の全開状態での構成模式図である。
【
図2】
図1に示される電動弁における弁ボディ部材の構成模式図である。
【
図3】
図1に示される電動弁の伝動部材の構成模式図である。
【
図4】
図1に示される電動弁のナットキットの立体図である。
【
図6A】
図1における弁体部材の構成模式図である。
【
図6C】
図1のI
2における変形例の構成模式図である。
【
図7】
図1における電動弁のガイドスリーブの構成模式図である。
【
図8】
図1における弁体部材の変形例の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
当業者がよりよく本発明の方案を理解するために、以下は図面と具体的な実施形態を結合して本発明をさらに詳しく説明する。
本出願は2018年01月31日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201810099367.1であり、発明名称が「電動弁及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が援用されることで本出願に結合される。
【0009】
ここで説明しようとするのは、本明細書に関わる上と下などの方位用語は、部品が明細書の図面に示される位置にある際に定義され、ただ技術案を明らか且つ便利に表現するために用いられる。理解できるように、本明細書が採用した方位用語は本出願の請求項の保護範囲を限定していない。
【0010】
本明細書に記載の「軸方向」は、紙面に沿う、上から下へまたは下から上への方向を指し、即ちロータの軸方向に相当し、本明細書に記載の「径方向」は、軸方向に垂直な方向を指す。本明細書に記載「弁口を開放させまたは閉じる」ことは、弁口にある流体を、軸方向接続管と径方向接続管との間に流通させまたは流通させていないことを指す。本明細書における「一体」は、二つまたは二つ以上の部品を組み合わせまたは固定することで形成されることではなく、一つの部品から加工され形成されることを指す。本明細書中に記載の「薄肉」は、肉厚が0.3mm~2.0mmの間にあることを指し、即ち、肉厚をMとして定義すると、0.3mm≦M≦2.0mmになる。
【0011】
図1は本発明により提供される第1種の電動弁の全開状態での構成模式図であり、
図2は
図1に示される電動弁における弁ボディ部材の構成模式図であり、
図3は
図1に示される電動弁の伝動部材の構成模式図であり、
図4は
図1に示される電動弁のナットキットの立体図であり、
図5は
図1における弁座部材の構成模式図であり、
図6Aは
図1における弁体部材の構成模式図であり、
図6Bは
図1のI
1におけるの局所拡大図であり、
図6Cは
図1のI
2におけるの変形例の構成模式図であり、
図6Dは
図6CのI
3におけるの局所拡大模式図であり、
図7は
図1における電動弁のガイドスリーブの構成模式図である。
【0012】
図1~
図2に示すように、本技術案の電動弁は弁体部材10と、弁座部材20と、伝動部材30と、弁ボディ部材40と、ナットキット50と、弁体ガイド部材60とコイル部材70とを有する。
【0013】
具体的には、弁ボディ部材40は溶接を介して固定接続される弁本体41と弁カバー42とを含む。コイル部材70が弁カバー42の外周に外挿され、ホルダ44を介して弁ボディ部材40に固定接続される。
【0014】
弁本体41は略筒状の構成であり、具体的な加工過程で、加圧成形/プレス/圧延または押圧成形などの方法で製造され、加工プロセスが簡単で、且つ生産効率が高い。該弁本体41は略三段式であり、具体的には上筒部41aと、中筒部41bと下筒部41cとを含む。上筒部41aの外縁の直径が最小であり、中筒部41bの外縁の直径が上筒部41aの外縁の直径より大きく、下筒部41cの外縁の直径が相対的に最大であり、このような配置は、内部での機能部材の装着及び外部での部品の溶接装着をより便利にして、構成がよりコンパクトになる。径方向接続管43が弁本体41の下筒部41cに溶接固定される。弁カバー42が弁本体41の中筒部41bの外壁に溶接固定され、弁カバー42が弁カバー内室421を含み、弁本体41の上筒部41aが弁カバー内室421に入り込む。理解できるように、弁カバー42は溶接ジョイントを介して間接的に弁本体41に固定されてもよい。以下の他の部材の溶接手段に対して、間接的な固定方法を採用してもよく、ここで贅言していない。また理解できるように、組立要求を満たす前提で、弁本体41に対して、中筒部41bと下筒部41cとの外縁の直径が一致する構成を採用してもよく、つまり、弁本体41が略二段式の構成であることに相当する。
【0015】
図1及び
図3に示すように、伝動部材30が弁室に設けられ、磁気ロータ34と、スクリュロッド31とナット32とを含む。弁カバー42に対して、スクリュロッド31は軸方向で相対的な変位が生じていない。磁気ロータ34が弁カバー内室421に設けられ、接続シート35を介してスクリュロッド31に固定接続され、スクリュロッド31の下端部が弁本体に入り込み、ナット32とネジ係合する。大流量の電動弁において、スクリュロッド31とナット32との間に対して、非セルフロック螺合という方式を採用して、その利点は、係止などのリスクを避けることにある。
【0016】
スクリュロッド31と弁ボディ部材40とは軸方向で相対的な変位が生じていなく、磁気ロータ34がスクリュロッド31に固定接続されるため、磁気ロータ34、スクリュロッド31、弁ボディ部材40、コイル部材70の間は軸方向で相対的な変位が生じていなく、作動過程で、コイル部材70の駆動力が弁体部材10の軸方向の移動に連れて変化することがなく、同じ大きさの弁口に対して、より小さいサイズのモータを採用することができ、製品の小型化に寄与する。
【0017】
ナット32は弁体部材10を軸方向に沿って上下に移動させることができる。ナット32は弁体部材10を支持することで、弁体部材10を軸方向に上に移動させる径方向凸出部321を含み、磁気ロータ34、スクリュロッド31、弁ボディ部材40、コイル部材70の間は軸方向で位置が相対的な変位が生じていないから、磁気ロータ34がコイル部材70の駆動力の作用で回転すると、スクリュロッド31が磁気ロータ34とともに周方向に回転し、スクリュロッド31の周方向の回転がナット32の軸方向の移動に変換され、これによって、ナット32が弁体部材10を軸方向に沿って移動させ、電動弁を開放させまたは閉じる。
【0018】
ナット32はスクリュロッド31の回転を軸方向の移動に変換することで、弁体部材10を軸方向に移動させることを確保するために、
図1及び
図5に示すように、弁本体41とナット32との間には、ナット32と係合するナットキット50が設けられることで、ナット32の周方向の回転を制限し、ナットキット50が弁本体41の内壁に溶接固定される。ナット32の、ナットキット50と係合する部位の外周壁は、横断面が非円形である柱状構成である。ナットキット50は、ナット32と係合することでナット32の回転を制限するナット制限部51と、弁体部材10の上向きの移動ストロークを制限する弁体制限部52とを含み、ナット32は弁体部材10を軸方向に沿って上に移動させ、弁体制限部52に当接させた後、続いて上に移動させることができない。本技術案の具体的な設計において、ナットキット50は金属板材、例えば鋼材をプレスしカールすることで製造され、筒形部55と、前記筒形部55の下端部が外部に折り曲げられることで形成された平板部56とを含み、筒形部55の内壁が少なくとも一つの軸方向平面段58を含む。平面段58とナット32の外縁部との係合によって、ナット32の周方向の回転を制限する。本技術案において、筒形部55の内壁の横断面が略四角形の構成であり、四角形の四つの辺の間が円弧遷移であり、つまり、本具体的な技術案において、四つの平面段58を配置することで、ナット32の周方向の回転を制限する。本具体的な実施例において、ナットキット50の平板部56が弁本体41の中筒部の内縁に溶接されることで、全体の構成が簡単になる。ナットキット50は、それぞれ筒形部55と平板部56を加工し、両者を溶接固定するという方式で形成されてもよい。平板部56は弁体制限部として、弁体部材10の軸方向に沿って上向きの運動の最大のストロークを制限する。つまり、簡単な構成のナットキット50を介して、ナット32の周方向の回転の防止、及び弁体部材10に対する軸方向の位置制限という二重機能を実現する。
【0019】
図1に示すように、弁座部材20は弁本体41の下開口部に溶接固定され、弁室416が形成され、弁座体21と、弁座芯22と弁口シース24とを含み、弁座体21が軸方向で貫通し、その上端が弁口200を含み、下端が第2流体ポート201を含む。弁座体21の外壁には、段階面が弁本体41の下筒部41cに向かう外段階部213が設けられ、弁本体41の下筒部41cが外段階部213の段階面に当接され、溶接を介して固定される。
【0020】
弁座体21の中心は第3軸方向通孔216を含み、その内壁には内底面が上向きである上段階部217が設けられ、弁座芯22が上段階部217に設けられ、弁座芯22が非金属の軟性材料、例えば、プラスチック材料から製造されてもよく、金属から製造される(本実施例において鋼板である)弁体部材10との間の封止性能を保証する。弁座芯22が中通孔付きの略「凸」字形を呈して、弁座芯22の横断面が円環状を呈して、弁座芯22が円環状の基部221と前記基部221の上端面に対して上に延伸する円環状の突出部とを含み、突出部の外径が基部の外径より小さく、突出部の上端面が封止部222を形成する。封止部222と基部221とが段階部を形成し、段階部には弁口押圧片25が設けられ、弁座体21を加工する際に、弁座体21の上端部には凸起部214が加工される(
図1に示される凸起部214はかしめ圧着される前の状態である)。製品を組み合わせる時に、凸起部214をかしめ圧着することで、弁口押圧片25を弁座芯22の段階部に当接させ、弁座芯22の装着と位置決めを実現する。弁口シース24が弁座芯22の内側に設けられ、弁口押圧片25とともに、弁座芯22の装着と位置決めをさらに保証する。
【0021】
図1に示すように、本技術案において、弁座体21がその径方向に沿って突出する径方向凸出部215を含み、弁口シース24が環状薄肉筒部材であり、第3軸方向通孔216内に嵌められ、弁口シース24の外壁が弁座体21の内壁と弁座芯22の内壁に当接され、弁座体21の内壁に溶接固定される。弁口シース24の下端が径方向凸出部215に当接され、位置決めされた後、弁口シース24が弁座体21に溶接固定され、弁座体21の内壁にはさらに内底面が下向きである下段階部212が設けられる。軸方向接続管23が下段階部212に当接され位置決めされ、弁座体21に溶接固定される。弁口シース24を軸方向に沿って弁座芯22の封止部222より高くして、弁体部材10の環状薄肉部112が弁座芯22の封止部222から離れて弁口200を開放させる瞬間に、その弁口シース24における封止部222より高くした部分が、高圧流体の瞬間衝撃を阻止し、開弁過程を安定にする。
【0022】
弁口シース24の、上段階部217の段階面に対応する位置には、径方向のバランス通路241として、弁口シース24の内室に連通するバランス孔が設けられる。このような配置の目的は以下の通りである。即ち、電動弁の作動過程で、弁座芯22の底部と弁座体21の上段階部211の段階面との間には一部の媒体が入るとともに残存し、電動弁の開弁/閉弁の時、圧力が瞬間に変化することで、媒体が瞬間に気化するなどの異常の変動を発生させ、弁座芯22を弁座体21から離脱させ、製品の失効を招致する恐れがある。しかし、バランス孔241の開設によって、弁座芯22の底部の媒体が軸方向接続管23の内室に連通するように保持し、前記状況の発生を避けることができる。
【0023】
本技術案における弁座部材は、各々部品の装着係合がコンパクトで、互いの位置精度を保証し得て、工程が簡単であり、製品の確実性が強い。
【0024】
弁室416には、弁座部材20と接触しまた分離できる弁体部材10が設けられ、弁体部材10と弁座部材20との当接または分離を制御することで、弁口200を開放させまたは閉じる。
【0025】
図1及び
図6Aに示すように、弁体部材10は上筒体12と、略円筒状の弁体本体11と、上筒体12と弁体本体11を接続する接続部材14とを含む。具体的には、上筒体12が一体構成であり、金属材料を引っ張りまたはプレスすることで成形される。加工プロセスを簡単化するために、さらに金属材料を一体として引っ張りまたはプレスすることで成形されてもよい。例えば、溶接鋼管をプレスしまたは鋼板を引っ張り成形されることで一体加工され形成される。加工プロセスが簡単で、コストを節約する。上筒体12が第1キャビティ2を含み、上筒体12の上端部が上ストッパ部を含み、上ストッパ部の内縁に第2軸方向通孔15が形成され、ナット32が第2軸方向通孔15を貫通するように配置され、ナット32の径方向凸出部321が第1キャビティ2に設けられ、
上ストッパ部と係合することで、ナット32が弁体部材を軸方向に沿って移動させ、第2軸方向通孔15が第1キャビティ2に連通する。より具体的には、
図6Aに示すように、上筒体12が直筒状の本体部12
2と、本体部12
2の上端から径方向に沿って延伸する横方向曲げ部121とを含み、横方向曲げ部121の下端面部を上ストッパ部とする。横方向曲げ部121の内壁に前記第2軸方向通孔15が形成される。無論、本明細書に開示された内容によれば理解できるように、上ストッパ部の形成方式はここに限定されず、例えば、上筒体12の本体部122に上ストッパ部材を溶接することで、上ストッパ部を形成してもよい。
【0026】
弁体本体11は略管状を呈して、第2キャビティ3を有する一体構成であり、金属材料を引っ張りまたはプレスすることで成形される。加工プロセスを簡単化するために、さらに金属材料を一体として引っ張りまたはプレスすることで成形されてもよい。例えば、溶接鋼管をプレスしまたは鋼板を引っ張り成形されることで一体加工され形成される。加工プロセスが簡単で、コストを節約する。弁体本体11は、弁座芯22の封止部222と当接しまたは分離できる環状薄肉部112を含む。環状薄肉部112が封止部222と分離する場合に、第1流体ポート401、弁口200が第2流体ポート201に連通する。環状薄肉部112が封止部222と当接する場合に、第1流体ポート401が第2流体ポート201に連通していない。環状薄肉部112の配置は、弁体部材10が受けた差圧を低減させ、弁の内部圧力のバランスに寄与し、弁の動作性能を向上させる。
【0027】
図6Aに示すように、上筒体12の外径が弁体本体11の外径より大きく、即ち、上筒体12が弁体本体11より太い。接続部材14はほぼ上が太く、下が細いという略円筒状の構成を呈して、接続部材の上端部が第1キャビティ2に向かっており、接続部材の上端部が下ストッパ部143を含む。環状薄肉部112が封止部222と当接する場合に、ナット32の下端部が下ストッパ部と係合し、ナット32が続いて下向きに移動することを制限する。接続部材の下端部が第2キャビティ3に向かっており、接続部材14が第1軸方向通孔4を有し、接続部材14の横断面が円環形を呈する。第1軸方向通孔4が第1キャビティ2と第2キャビティ3を連通させる。接続部材14が金属の切削加工によって形成され、上段146と、中段147と下段148とを含み、上段146の外径が中段147の外径より大きく、中段147の外径が下段148の外径より大きい。接続部材14の外壁で、上段146と中段147とが、段階面が下向きである第3位置決め段階部141を形成し、中段147と下段148とが、段階面が下向きである第4位置決め段階部142を形成する。上筒体12の内壁には、段階面が下向きである内段階部125が設けられ、上筒体12の本体部122の下端には下押付部124が設けられ、接続部材14の上端が内段階部125に当接された後、下押付部124を第3位置決め段階部141にかしめ圧着し、または第3位置決め段階部141に溶接することで、上筒体12と接続部材14との固定接続を完成する。弁体本体11の上端が下段148の外周部に外挿され、接続部材14の第4位置決め段階部142に当接された後、下段148に溶接固定される。
【0028】
接続部材の構成及び上筒体12と弁体本体11との間の接続方式について、
図8に示される変形設計を採用してもよい。
図8は
図1における弁体部材の変形例の構成模式図である。以下は
図8に示される弁体部材と
図1に示される弁体部材との相違点を詳しく説明する。図面に示すように、接続部材14’も略呈円筒状の構成を呈して、接続部材14’の横断面が円環形を呈して、接続部材14’は第1軸方向通孔4’と、上段146’と、下段148’とを含み、上段146’の外径が下段148’の外径より大きい。上段146’と下段148’とが段階面が下向きである第5位置決め段階部145を形成する。上筒体12の下端には下押付部124’が設けられ、接続部材14’の上端が内段階部125に当接された後、下押付部124’を第5位置決め段階部145にかしめ圧着し、または第5位置決め段階部145に溶接することで、上筒体12と接続部材14’との接続を完成する。弁体本体11の上端が下段148’の外周部に外挿され、接続部材14’の第5位置決め段階部145に当接された後、溶接を介して固定される。
【0029】
前記構成設計から分かるように、弁体部材10はさらにバランス流路を含み、該バランス流路が弁体本体11の下開口部と、第2キャビティ3と、接続部材14の第1軸方向通孔4と、第1キャビティ2と、上筒体12の第2軸方向通孔15とを含む。バランス流路の配置は、弁体部材10の上下圧力のバランス、及び弁体部材10が受けた圧力差の低減に寄与する。
【0030】
図1に示すように、弁体部材10の、ナット32とともに軸方向に移動する過程で
径方向のずれが生じていないように保証するために、弁室416内において、弁体部材10の外周部には弁体部材10をガイドする弁体ガイド部材60が設けられ、弁体ガイド部材60が弁本体41の下筒部41cに溶接固定されるガイドスリーブ61を含む。電動弁は全閉状態にある場合に、封止ユニットは電動弁の径方向接続管43と弁口200との間が連通していないように保証する。
【0031】
具体的に配置する場合に、
図1及び
図7に示すように、ガイドスリーブ61は円筒状の構成であり、上筒体12の外壁と隙間嵌めることでガイドするガイド段612と、ガイド段612の下方に位置する装着段613とを有する。具体的には、ガイド段612の内壁がガイド面として、上筒体12と隙間嵌め、弁体部材10をガイドする。装着段613が封止ユニットの装着のために用いられる。封止ユニットが上位置制限部材67と、下位置制限部材64と封止部材とを含む。具体的には、ガイド段612と装着段613との間は、段階面が下向きである第1位置決め段階部611を形成し、装着段613の内壁は段階面が下向きである第2位置決め段階部615を含む。上位置制限部材67が弁体本体11の外周に外挿され、第1位置決め段階部611の下方に設けられ、上位置制限部材67の上端部が第1位置決め段階部611に当接され、下位置制限部材64が弁体本体11の外周に外挿され、下位置制限部材64の上端部が第2位置決め段階部615に当接されるとともに、ガイドスリーブ61の下端部614にかしめ圧着され、係合されまたは溶接固定される。封止ユニットが軸方向で上位置制限部材67と下位置制限部材64を介して位置制限され、上位置制限部材67と下位置制限部材64とが具体的には金属ガスケットであってもよい。且つ、封止部材が周方向に弾性的に弁体本体11の小径段111の外壁とガイドスリーブ61の装着段613の内壁との間に当接される。封止部材は耐摩耗性材料から製造される封止件62と、ゴム材料から製造される弾性部材63とを含み、封止件62は具体的に封止リングであり、弾性部材63は具体的にスライドシートである。
【0032】
封止性能をさらに保証するために、弁体本体11は上が細く、下が太いという円筒の構成を呈するように設計されており、小径段111と小径段111の下方に設けられる前記環状薄肉部112とを含み、環状薄肉部112の下端部が前記係合部100を形成する。弁体本体11の小径段111の外径をD1として定義し、係合部100は
図6Bに示される円弧構成である場合に、弁体本体11の外壁の、水平方向での投影が円弧の底端102が位置する環状線とほぼ重なる。円弧の底端102が位置する環状線の直径をD2として定義すると、D1はD2と等しくまたはほぼ等しい。小径段111の外壁が下に延びると、円弧の底端102が位置する環状線とほぼ重なることに相当し、係合部100が受けた流体の圧力差がなるべく小さくなり、開弁の際及び閉弁の際の動作がより順調になり、容易に実現される。
【0033】
代用案として、
図6C及び
図6Dに示すように、係合部100は
図6C及び6Dに示され、弁口200の方向に向かって直径が漸減する(即ち上が大きく、下が小さい)円錐台式の構成である場合に、小径段111の外壁の、環状封止平面102’での投影を封止リングX、その直径をD3、環状封止平面102’の外環状線yの直径をD4、内環状線Zの直径をD5として定義すると、D3がD4-D5後の2分の1と等しくまたはほぼ等しく、即ち、D3=(D4-D5)/2であり、或いはD3≒(D4-D5)/2である。即ち、小径段111の外壁の、水平方向での投影が環状封止平面102’の中心環状線とほぼ重なることに相当する。
【0034】
さらに、弁体本体11の環状薄肉部112の外径と小径段111の外径との差が0.5mm以下であり、このような配置は、環状薄肉部112の小径段111から突出する環状面積をなるべく小さくして、外側の差圧が小さくなり、弁の動作性能を向上させる。該電動弁は双方向の流通を実現し、流体が径方向接続管43から流入し、軸方向接続管23から流出してもよく、軸方向接続管23から流入し、径方向接続管43から流出してもよい。
【0035】
以下は、流体が径方向接続管43から流入し、軸方向接続管23から流出することを例として説明する。磁気ロータ34はコイル部材70の駆動で、時計回りに回転してもよく、反時計回りに回転してもよく、これによって、ナット32を軸方向に沿って上下に移動させる。磁気ロータ34が時計回りに回転する場合に、弁体部材10が弁口200に向かって移動し、磁気ロータ34が反時計回りに回転する場合に、弁体部材10が弁口200から離れて移動するように配置される。電動弁は
図1に示される全開状態にある場合に、弁体部材10が弁体制限部52によって制限され、続いて軸方向に沿って上に移動することができず、コイル部材70に通電することで、磁気ロータ34を時計回りに回転させ、磁気ロータ34の周方向の回転がスクリュロッド31を介してナット32の軸方向の移動に変換され、ナット32が弁体部材10を下に移動させ、ナット32の下延伸部322の下端が接続部材14の下ストッパ部に当接され、係合部100が弁口200を閉じて、即ち、電動弁は閉弁状態になる。電動弁の動作過程で、電動弁の電気を遮断した後、磁気ロータのトルクがスクリュロッド31を介してナット32と弁体部材10に伝達され、弁体部材10の位置を保持するように弁を閉じる。ただし、電動弁の実際の作動では、振動などの原因で、スクリュロッド31とナット32との伝動のネジスリップを招致し、スクリュロッド31からナット32と弁体部材10に伝達されるロック力が失効になり、弁を効果的に閉じることができず、漏れ問題に繋げる。
【0036】
該問題を避けるために、ナット32はさらに第1キャビティ2内に設けられる下延伸部322を含み、下延伸部322が円筒状を呈して、収容室323を含み、収容室323には弾性部品が設けられ、弾性部品の一端が下ストッパ部に当接され、他端がナット32に当接され、本実施例において、弾性部品は具体的には圧縮スプリング33である。スプリングの弾力は、この場合に、弁の閉じを保証し得る。
【0037】
弁内の流体を濾過するために、接続部材14の第1軸方向通孔4の孔壁が第6位置決め段階部149を含み、弁体部材10がさらに第6位置決め段階部149に装着される濾過部材13を含む。濾過部材13がフィルタ131とフィルタ131を装着するための支持環132とを含む。圧縮スプリング33がフィルタ131の外周に外挿される。支持環132の一端が圧縮スプリング33に当接され、他端が第6位置決め段階部に当接される。
【0038】
開弁を必要とすると、コイル部材70に通電することで、磁気ロータ34を反時計回りに回転させ、ナット32の径方向凸出部321が弁体本体11の上ストッパ部に当接され、これによって、弁体部材10の横方向曲げ部121がナットキット50の弁体制限部52に当接され、
図1に示される弁の全開状態になるまでに、ナット32が弁体部材10を軸方向に沿って上に移動させる。
【0039】
以下は前記電動弁の製造方法を説明し、以下のステップを有し、
S1:上筒体12を提供し、
S2:ナット32、上筒体12及び接続部材14を組み立て、径方向凸出部321を上ストッパ部によって第1キャビティ2に位置制限させ、上筒体12の下端部を接続部材14にかしめ圧着して固定し、または溶接固定し、
S3:弁体本体11と封止ユニットを提供し、封止ユニットを小径段111の外周部に外挿し、小径段の上端部を接続部材に溶接固定し、
S4:ガイドスリーブを提供し、ガイドスリーブを弁本体に溶接固定し、第2組立ユニットを形成し、
S5:ナットをスクリュロッドに螺合し、ガイドスリーブの下端部を封止ユニットにかしめ圧着して固定しまたは溶接固定し、
S6:弁座芯と弁座体を提供し、弁座芯を上位置決め段階部に装着し、弁座体の上端にかしめ圧着して固定し、
S7:弁本体41を弁座体21に溶接固定する。
【0040】
説明しようとするのは、前記S1~S7のステップの符号は、各々ステップの間の必然の順序を示していなく、ただ説明を便利にする。
【0041】
ステップS1において、上筒体の下端部の内壁には、段階面が下向きである第3位置決め段階部が加工され、ステップS2はさらに以下のステップを有し、即ち、プラスチック材料の射出成形によってナットを加工し、ナットが径方向凸出部の下方に設けられる下延伸部を含み、ステップS2において、接続部材が円環状の上段と、円環状の中段と円環状の下段とを含み、上段の外径が中段の外径より大きく、中段の外径が下段の外径より大きく、上段の上端面が第3位置決め段階部に当接され、上筒体の下端部が上段の下端面にかしめ圧着されて固定され、または溶接固定され、ステップS3において、弁体本体が下段の外壁に外挿され、弁体本体の上端が中段の下端面に当接され、下段の外壁に溶接固定される。
【0042】
本技術案の電動弁において、弁体部材に対して段階的な設計を行って、弁体部材は上筒体と、弁体本体と接続部材とを含むと、上筒体と弁体本体に対して、必要に応じて引張またはプレスによって成形されてもよく、接続部材に対して、金属旋削という加工方式で加工されてもよく、加工プロセスが柔軟で、且つ、接続部材には直接的にナットと係合する下ストッパ部が設けられることで、部品を余計に増えて下ストッパ部を形成する必要がなくなり、上筒体が第1キャビティを含み、弁体本体が第2キャビティを含み、接続部材が第1キャビティと第2キャビティを連通させる第1軸方向通孔を含み、且つ、弁体本体は弁座芯の封止部と当接しまたは分離する環状薄肉部を含み、弁体部材が受けた差圧を低減させ、弁の内部圧力のバランスに寄与し、弁の動作性能を向上させる。
【0043】
以上は本発明により提供された電動弁及びその製造方法を詳しく紹介する。本明細書において、具体的な例を利用して本発明の原理及び実施形態を記載し、以上の実施例に対する説明は、ただ本発明の方法及びその核心思想に対する理解のために用いられる。指摘すべきは、当業者にとって、本発明の原理から離脱しない前提で、本発明に対して若干の改良及び修飾を行ってもよく、これらの改良及び修飾も本発明の請求項の保護範囲に該当している。