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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】脱毛の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/407 20060101AFI20220330BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220330BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220330BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20220330BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220330BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20220330BHJP
【FI】
A61K31/407
A61P17/14
A61P43/00 107
A61Q7/00
A61K8/49
A23L33/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020544922
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 KR2019001992
(87)【国際公開番号】W WO2019168290
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0024508
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517354917
【氏名又は名称】キョンブク ナショナル ユニバーシティ インダストリー-アカデミック コーオペレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214259
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 睦也
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ワン サン
(72)【発明者】
【氏名】スン サン パク
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-542238(JP,A)
【文献】特表2015-512393(JP,A)
【文献】国際公開第2017/019858(WO,A1)
【文献】Jounal of Medicinal Chemistry,Vol.51,2008年,pp.2227-2243
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 8/00- 8/99
A23L 33/00-33/29
A61P 17/14
A61P 43/00
A61Q 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または治療用薬学組成物:
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記化合物は、毛嚢組織で抑制された毛髪成長過程を回復させることを特徴とする請求項1に記載の脱毛の予防または治療用薬学組成物。
【請求項3】
前記化合物は、組成物100重量部に対して0.0001~1重量部で含まれることを特徴とする請求項1に記載の脱毛の予防または治療用薬学組成物。
【請求項4】
下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または改善用健康機能食品組成物:
【化1】
【化2】
【請求項5】
前記化合物は、毛嚢組織で抑制された毛髪成長過程を回復させることを特徴とする請求項4に記載の脱毛の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項6】
下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または改善用化粧料組成物:
【化1】
【化2】
【請求項7】
前記化合物は、毛嚢組織で抑制された毛髪成長過程を回復させることを特徴とする請求項6に記載の脱毛の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項8】
前記化粧料組成物は、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、ヘアエッセンス、ヘアローション、ヘア栄養ローション、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘア栄養クリーム、ヘアモイスチャークリーム、ヘアマッサージクリーム、ヘアワックス、ヘアエアロゾル、ヘアパック、ヘア栄養パック、ヘア石鹸、ヘアクレンジングフォーム、毛髪乾燥剤、毛髪保存処理剤、毛髪染色剤、毛髪用ウェーブ剤、毛髪脱色剤、ヘアゲル、ヘアグレーズ、ヘアドレッシンガー、ヘアラッカー、ヘアモイスチャライザー、ヘアムース、及びヘアスプレーからなる群から選択される何れか1つの剤型であることを特徴とする請求項6または7に記載の脱毛の予防または改善用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化合物を有効成分として含む脱毛の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪は、皮膚及び頭皮を保護する一次的な役割だけではなく、社会的及び性的意思疎通において、固有の役割を行うので、非常に重要である。これにより、毛髪及び脱毛に関する研究が持続的に進められており、脱毛の予防及び治療用組成物についての研究及び開発が持続的に進められている。最近、育毛及び脱毛機転に関与する多くの調節因子についての研究が活発に進められており、特に、成長期、退行期、休止期の毛髪周期に関連した多様な因子と、それらが、その収容体による信号伝達によって調節されることが引き続き報告されている。
【0003】
現在、市販中である発毛関連製品は多様で多いが、ほとんど脱毛防止及び発毛効果が不備であるか、一時的であって、使用者の要求を満たすことができず、効能や安全性に関する根拠資料も十分ではなく、それさえも米国FDAから承認を受けて市販中であるミノキシジルとプロペシアとの場合も、効果はある程度認められているが、使用を中断する時には、再び脱毛症が再発されるか、性機能障害が発生するなど深刻な副作用などが報告されながら、使用に困難を経験している実情である。
【0004】
これにより、最近、副作用が少ない天然物から新たな脱毛防止及び発毛促進有効成分を開発しようとする多くの試みがなされているが、白姜蚕、香油のような天然抽出物の検索実験を通じて効能物質を選別して、主に毛根の活性化と血行促進とを可能にする物質及び各種の生薬を通じた漢方医薬的接近についての研究が中心を成しており、このような従来技術としては、大韓民国登録特許第682573号と大韓民国登録特許第1287052号とがある。しかし、このような従来の抽出を通じた工程は、工程が単純であって、容易に適用できるという長所があるが、一方、有効成分の抽出効率が低いしかない限界点を有している。
【0005】
したがって、このような抽出物を含む脱毛治療用組成物の短所を克服することができる新たな脱毛治療剤の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特定の化合物を有効成分として含む脱毛の予防または治療用薬学組成物を提供するところにある。
【0007】
本発明の他の目的は、特定の化合物を有効成分として含む脱毛の予防または改善用健康機能食品組成物を提供するところにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、特定の化合物を有効成分として含む脱毛の予防または改善用化粧料組成物を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を果たすために、本発明は、下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0010】
前記他の目的を果たすために、本発明は、下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0011】
前記さらに他の目的を果たすために、下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または改善用化粧料組成物を提供する:
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【発明の効果】
【0014】
本発明は、化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または治療用組成物に関するものであって、前記化合物が、15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2で脱毛を誘導した頭皮組織で毛髪の成長阻害効果を回復する活性を示したので、また、細胞毒性がないので、優れた毛嚢成長阻害の回復効果を通じた効果的な脱毛の予防ないし治療用組成物として有用に活用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ヒトの毛嚢組織でラマトロバンの15d-PGJ2によるヒト毛嚢成長阻害の回復有無を評価した結果である(#:p<0.005)。
図2】ヒトの毛嚢組織で2-[3-[(4-フルオロフェニル)スルホニル-メチルアミノ]-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾール-9-イル]酢酸(2-[3-[(4-fluorophenyl)sulfonyl-methylamino]-1,2,3,4-tetrahydrocarbazol-9-yl]acetic acid;化合物3)の15d-PGJ2によるヒト毛嚢成長阻害の回復有無を評価した結果である(#:p<0.005)。
図3】ヒトの毛嚢組織で[5-フルオロ-2-メチル-3-(キノリン-2-イルメチル)インドール-1-イル]酢酸([5-Fluoro-2-methyl-3-(quinolin-2-ylmethyl)indol-1-yl]acetic acid;化合物4)の15d-PGJ2によるヒト毛嚢成長阻害の回復有無を評価した結果である(#:p<0.005)。
図4】ヒトの毛嚢組織で本発明の化学式1で表される化合物1の毒性を評価した結果である。
図5】ヒトの毛嚢組織で本発明の化合物1の15d-PGJ2によるヒト毛嚢成長阻害の回復有無を評価した結果である(#:p<0.005、:p<0.05)。
図6】ヒトの毛嚢組織で本発明の化学式2で表される化合物2の毒性を評価した結果である。
図7】ヒトの毛嚢組織で本発明の化合物2の15d-PGJ2によるヒト毛嚢成長阻害の回復有無を評価した結果である(#:p<0.005、:p<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0017】
本発明は、下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
本発明の一実施例において、前記化合物は、15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2[15-Deoxy-Δ12,14-prostaglandin J2(15d-PGJ2)]によって毛髪成長が抑制された毛嚢組織で細胞毒性がないながらも、毛髪の成長を回復させる効果を示した。すなわち、前記化合物は、毛嚢組織で抑制された毛髪成長過程を回復させるので、したがって、効果的に脱毛を予防または治療することができる。
【0021】
前記化合物は、組成物100重量部に対して0.0001~1重量部で含まれるが、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明で使われる用語「予防」は、前記化学式1(以下、化合物1と称する)または化合物2(以下、化合物2と称する)で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含有する組成物の投与で疾患を抑制または遅延させるあらゆる行為を意味する。また、本発明で使われる用語「治療」は、前記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含有する組成物の投与で疾患の症状が好転または完治されるあらゆる行為を意味する。
【0023】
本発明の化学式1または化学式2で表される化合物は、薬学的に許容される塩の形態で使われ、このような塩としては、薬学的に許容される遊離酸(free acid)によって形成される酸付加塩または塩基によって形成される金属塩がある。前記遊離酸としては、無機酸と有機酸とが使われ、無機酸としては、塩酸、硫酸、臭素酸、亜硫酸またはリン酸などが使われる。前記金属塩としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩があり、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩が有用である。
【0024】
本発明の組成物は、投与のために、前記記載した有効成分の以外に、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含みうる。前記担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油が挙げられる。
【0025】
本発明の薬学組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤型、外用剤、坐剤または滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。詳細には、剤形化する場合、通常使う充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤される。
【0026】
経口投与のための固型製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含むが、これに限定されるものではない。このような固型製剤は、前記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤の以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使われる。経口のための液状物、流動パラフィンの以外に、さまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを添加して調剤される。
【0027】
非経口投与のための製剤は、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤を含む。非水性溶剤及び懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使われる。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール、マクロゴール、トウイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使われる。
【0028】
本発明の組成物の適した投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、時間によって異なるが、当業者によって適切に選択されるので、前記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の一日投与量は、望ましくは、1~500mg/kgであり、必要に応じて一日一回ないし数回に分けて投与することができるが、それを適切に加減することができる。
【0029】
また、本発明は、下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
前記化合物は、毛嚢組織で抑制された毛髪成長過程を回復させるので、より効果的に脱毛を予防ないし改善することができる。
【0033】
前記化合物は、組成物100重量部に対して0.0001~1重量部で含まれるが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記健康機能食品組成物は、さまざまな栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含有することができる。その他に天然果汁、合成果汁及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立して、または組み合わせて使用することができる。
【0035】
また、健康機能食品組成物は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、ガム類、アイスクリーム類、スープ、飲料水、お茶、機能水、ドリンク剤、アルコール及びビタミン複合剤のうち何れか1つの形態である。
【0036】
また、前記健康機能食品組成物は、食品添加物をさらに含み、「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品医薬品安全庁に承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法などによって当該品目に関する規格及び基準によって判定する。
【0037】
前記「食品添加物公典」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、ケイ皮酸などの化学的合成品、紺色素、甘草抽出物、結晶セルロース、コウリャン色素、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類などが挙げられる。
【0038】
この際、健康機能食品組成物を製造する過程で食品に添加される本発明による化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、必要に応じて、その含量を適切に加減することができ、望ましくは、食品100重量部に0.0001~1重量部含まれるように添加することが望ましい。
【0039】
しかも、本発明は、下記化学式1または化学式2で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む脱毛の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0040】
【化1】
【0041】
【化2】
【0042】
前記化合物は、毛嚢組織で抑制された毛髪成長過程を回復させるので、より効果的に脱毛を予防ないし改善することができる。
【0043】
前記化合物は、組成物100重量部に対して0.0001~1重量部で含まれるが、これに制限されるものではない。
【0044】
本発明の一実施例において、前記化粧料組成物は、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、ヘアエッセンス、ヘアローション、ヘア栄養ローション、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘア栄養クリーム、ヘアモイスチャークリーム、ヘアマッサージクリーム、ヘアワックス、ヘアエアロゾル、ヘアパック、ヘア栄養パック、ヘア石鹸、ヘアクレンジングフォーム、毛髪乾燥剤、毛髪保存処理剤、毛髪染色剤、毛髪用ウェーブ剤、毛髪脱色剤、ヘアゲル、ヘアグレーズ、ヘアドレッシンガー、ヘアラッカー、ヘアモイスチャライザー、ヘアムース、及びヘアスプレーからなる群から選択される何れか1つの剤型であるが、これに制限されるものではない。
【0045】
本発明の化粧料組成物は、前記有効成分の以外に、通常許容される成分を含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤、そして、担体を含みうる。
【0046】
本発明の剤型がペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物性オイル、植物性オイル、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが用いられうる。
【0047】
本発明の剤型がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムまたはポリアミドパウダーが用いられ、特に、スプレーである場合には、追加的にハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体を含みうる。
【0048】
本発明の剤型が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が用いられ、例として水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0049】
本発明の剤型が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微細結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラカントなどが用いられうる。
【0050】
また、本発明の化粧料組成物は、毛髪に塗布するのに適当なキャリアまたはキャリア混合物を含んで毛髪保護組成物として製造可能である。キャリアは、溶媒とは異なって、キャリアまたは毛髪保護組成物に通常使われるビヒクル(vehicle)成分を含み、全体組成物の組成物のうち、約0.5~99.5%、望ましくは、約5.0~99.5%、最も望ましくは、約10.0~90.0%で存在する。キャリアとして溶媒は、剤形化された毛髪組成物がヘアスプレー、ムース、トニックのように使用後、毛髪に残るものであるか、シャンプー、コンディショナーのように洗浄されるものに関係なく使用する共重合体によって選択される。本発明で使用する適した溶媒は、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノールなど)、ヒドロアルコール系混合物、炭化水素(イソブタン、ヘキサン、デセンなど)、アセトン、ハロゲン化炭化水素(フレオンなど)、炭化水素エステル(酢酸エチル、フタル酸ジブチルなど)、揮発性シリコン誘導体、シロキサン(フェニルペンタメチルジシロキサン、メトキシプロピルヘブタメチルシクロテトラシロキサン、クロロプロピルペンタメチルジシロキサン、ヒドロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなど)及びこれらの混合物を含むことが望ましい。
【0051】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、本発明の内容を例示するものであり、本発明の範囲が、下記の実施例に限定されるものではない。
【0052】
<実施例1>本発明による化合物の脱毛防止の効果確認
【0053】
まず、15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2(15d-PGJ2)、アレルギー鼻炎治療剤として承認されて広く用いられる化合物であるラマトロバン(BAY-u3405;Ramatroban)、本発明の化合物1、化合物2、2-[3-[(4-フルオロフェニル)スルホニル-メチルアミノ]-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾール-9-イル]酢酸(以下、化合物3と称する)及び[5-フルオロ-2-メチル-3-(キノリン-2-イルメチル)インドール-1-イル]酢酸(以下、化合物4と称する)をCayman chemical(Michigan、USA)から購入して実験に利用した。
【0054】
人体毛髪組織は、大韓民国の慶北大学毛髪移植センターから提供されて使用し、毛髪移植患者の同意下に頭皮組織の毛嚢を分離して実験に利用した(IRB課題番号:KNUH2014-02-023)。各化合物を処理した後、人体毛髪組織は、2mM L-グルタミン、100U/ml ストレプトマイシン、10ng/ml ヒドロコルチゾンが含有されているWilliams E media(シグマ、米国)を用いて37℃ CO培養器で6日間培養した後、育った長さを顕微鏡を用いて測定した。
【0055】
前記の実験の結果、データは、平均±SEMで表記した。統計処理は、スチューデントのt-テストを用いて、各群の平均偏差を測定し、p<0.005とp<0.05とで有意なものと見なした。
【0056】
その結果、まず、図1に示されたように、15d-PGJ2を10μMの濃度でヒト毛嚢に処理した結果、毛嚢成長が1/3倍に減少すると表われ、これは、Garza et al.,(2012)の研究で15d-PGJ2が毛嚢成長が阻害するという結果と一脈相通ずる。15d-PGJ2(10μM)のみを処理した時に比べて、15d-PGJ2とラマトロバン(10~1000nM)とを同時に処理した時は、15d-PGJ2によって阻害された毛嚢成長が回復されていない。
【0057】
また、図2を参照すれば、15d-PGJ2と化合物3(1~10000nM)とを同時に処理した時は、15d-PGJ2によって阻害された毛嚢成長が回復されていない。図3を参照すれば、15d-PGJ2と化合物4(1~100nM)とを同時に処理した時にも、15d-PGJ2によって阻害された毛嚢成長が回復されていない。
【0058】
一方、図4を参照すれば、化合物1を0.1~10nMの濃度で単独で培養されたヒト毛嚢に処理した時、化合物1を処理していない群と有意な差を示さなかった。したがって、化合物1は、前記の濃度では培養されたヒト毛嚢に対して安全であると確認された。
【0059】
また、図5を参照すれば、15d-PGJ2(10μM)のみを処理した時に比べて、15D-PGJ2と化合物1とを同時に処理した時、化合物1の濃度が0.1nM、1nM、10nMに高くなるほど15d-PGJ2によって阻害された毛嚢成長がそれぞれ108%、194%、234%に有意的に増加すると表われた(15d-PGJ2単独処理した時の毛嚢長さを100%で基準)。
【0060】
一方、図6を参照すれば、化合物2を0.1~10μMの濃度で単独で培養されたヒト毛嚢に処理した時、化合物2を処理していない群と有意な差を示さなかった。したがって、化合物2は、前記の濃度では培養されたヒト毛嚢に対して安全であると確認された。
【0061】
また、図7を参照すれば、15d-PGJ2(10μM)のみを処理した時に比べて、15D-PGJ2と化合物2とを同時に処理した時(0.5μM、1μM)、15d-PGJ2によって阻害された毛嚢成長が有意的に増加すると表われた。
【0062】
したがって、本発明による化合物1及び化合物2は、PGD2及びその代謝産物(15d-PGJ2)の発現が高い脱毛部位の毛嚢成長に効果があるので、化合物1及び化合物2を有効成分とする脱毛の予防または治療用組成物として有用に活用することができる。
【0063】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な記述は、単に望ましい実施形態に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。すなわち、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7