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特許7049485暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20220330BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020561564
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2019001099
(87)【国際公開番号】W WO2019147069
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0010206
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0041938
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0009694
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519337938
【氏名又は名称】イ ジェ クォン
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェクォン
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1694455(KR,B1)
【文献】特表2003-534605(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0006039(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1729678(KR,B1)
【文献】国際公開第2016/103373(WO,A1)
【文献】特表2009-516878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外国為替取引仲介サーバーによって実行される暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法であって、
一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で二つ以上の通貨で取引されるか、互いに異なる通貨で取引する取引所同士が記デジタル資産を共有するか、または互いに異なる通貨で取引する取引所同士が前記デジタル資産の取引に関する情報を共有する時、
a)前記ブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して通貨基準に取引される買い-売り呼び値及び待機残高情報をA通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産取引サーバーから受信する過程と、
b)前記ブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して通貨基準に取引される買い-売り呼び値及び待機残高情報をB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産取引サーバーから受信する過程と、
c)記A通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い呼び値及び待機残高とB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産売り呼び値及び待機残高を考慮してA通貨基準外国為替買い呼び値及び待機残高を算出し、またはB通貨基準外国為替売り呼び値及び待機残高を算出する過程と、
d)記A通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産売り呼び値及び待機残高とB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い呼び値及び待機残高を考慮してA通貨基準外国為替売り呼び値及び待機残高を算出し、またはB通貨基準外国為替買い呼び値及び待機残高を算出する過程からなり、
前記外国為替取引仲介サーバーは、前記c)過程とd)過程でA通貨またはB通貨基準に計算した結果を替需要者端末示すことができ、前記ブロックチェーン基盤のデジタル資産に対してA通貨での取引とB通貨での取引が同時に行われることを特徴とする、暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【請求項2】
前記a)と前記b)の過程は、順序が変わるかまたは同時に起きる過程であり、前記c)過程と前記d)過程とは、順序が変わるか同時に起きる過程である、請求項1に記載の暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【請求項3】
前記外国為替取引仲介サーバー、待機残高を考慮しなかった最善の外国為替買い-売り呼び値もしくはその平均値、またはその逆数を現在の価格で公示するように処理する、請求項1に記載の暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【請求項4】
前記外国為替取引仲介サーバー、実在する外国為替市場の公示価格を共に表示する、請求項1に記載の暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【請求項5】
前記外国為替取引仲介サーバー、両替需要者の要請を受信して現在の両替可能な為替レートが両替需要者の要請以上(超過)または以下(未満)に到達した時自動で取引を処理する、請求項1に記載の暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【請求項6】
外国為替取引仲介サーバーによって実行される暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法であって、
一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で二つ以上の通貨で取引されるか、互いに異なる通貨で取引する取引所同士が記デジタル資産を共有するか、または互いに異なる通貨で取引する取引所同士が前記デジタル資産取引に関する情報を共有する時、
a)通貨の一定金額に対するB通貨への両替要請を両替需要者から受信する過程と、
b)前記一定金額のうち全部または一部のA通貨で単一または多数のブロックチェーン基盤のデジタル資産売り待機者から前記デジタル資産を買う過程と、
c)前記買ったブロックチェーン基盤のデジタル資産をB通貨で単一または多数のブロックチェーン基盤のデジタル資産買い待機者に売る過程と、
d)前記売ったB通貨を両替需要者に支給する過程からなり、
前記b)過程と前記c)過程が同時に行われることを特徴とする、暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【請求項7】
外国為替取引仲介サーバーによって実行される暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法であって、
暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で二つ以上の通貨で取引されるか、互いに異なる通貨で取引する取引所同士が記デジタル資産を共有するか、または互いに異なる通貨で取引する取引所同士が前記デジタル資産の取引に関する情報を共有する時、
a)通貨の一定金額に対するB通貨への両替要請を両替需要者から受信する過程と、
b)単一または多数のA通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産売り待機者に前記一定金額の全部または一部を支給し、同時に前記デジタル資産の全部または一部を単一または多数のB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い待機者に移転する過程と、
c)前記単一または多数のB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い待機者の買い待機金額のうち全部または一部を両替需要者に支給する過程からなる、暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする外国為替取引の方法に関し、より詳細には一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で互いに異なる通貨単位で取引されたり、取引所間で前記デジタル資産が共有され、または関連取引情報が共有されたりする特性を利用して、ある通貨を他の通貨に交換することを前記ブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体として容易かつ速く実行する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、従来の両替業務は銀行を利用して両替手数料またはスプレッドを支払って一つの通貨を他の通貨に交換する方法であって、該当手数料またはスプレッドが両替に係る銀行の収益となる。この時適用されるスプレッドは、外国為替市場で銀行に適用される基準為替レートに対比して大きい差があり、両替取引に係る両替需要者の経済的損失が非常に大きい。
【0003】
一方、ブロックチェーン基盤のデジタル資産とは、取引記録などがブロックチェーンネットワーク上に暗号化されて記録されて偽造または変造が非常に難しい資産であって、代表的な例として暗号通貨(Crypto currency)がある。暗号通貨は、ブロックチェーン技術を利用した暗号を使って取引を安全に進行できるように媒介する無形の取引記録またはその結果であってデジタル通貨または仮想通貨の一種である。代表的な例としてビットコイン、イーサリアムなどがあり、世界的に暗号通貨を取引する16,200個余りの暗号通貨取引所が2,100種類余りの暗号通貨を取引している。
【0004】
このような暗号通貨は、一つの統一された通貨単位として国家間資本移動に寄与すると予想されるが、暗号通貨の送金は該当通貨の採掘者の暗号化作業を必須的に伴うので短くて10分余りから長くて何日かかかるという不便な点がある。また、暗号通貨の特性上理論的価値評価の基準がないので、市場で取引される価格の変動が非常に大きくて、前記の送金遅延時間の間に価値変動の危険に晒されるので、暗号通貨を利用した国家間資本移動が現実化されることは難しいのが現状である。
【0005】
これを解決するためには、暗号通貨に対する信用取引の一種である空売りを利用したり派生商品を結合して価格変動危険を回避したりする方法があるが、通常信用取引や派生商品を取引するためには証拠金を必要とするので送金額以外の追加資本が必要であるため、既存の銀行を利用した送金方法に対比して大きいメリットがない。
【0006】
かかる従来の技術は、先に説明した通り、過度な手数料やスプレッドによって経済的損失が発生したり暗号通貨を使った両替も不要な価格変動危険に晒されたりする状況であるため、改善が切に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術の事情を勘案してなされたもので、待ち時間が長くなるブロックチェーン基盤のデジタル資産を取引所間で移転する方法を排除して一つの取引所内で異種通貨で取引される環境を利用し、互いに異なる通貨で取引する多数の取引所が契約などによって前記デジタル資産を共有する環境、または、前記デジタル資産を直接共有しなくても取引所間で取引情報を共有する環境を利用してブロックチェーン基盤のデジタル資産取引所で前記デジタル資産を媒介体とする外国為替市場を作ることによって、需要者が市場での買い-売りスプレッドの適用を直接受けて経済的損失なしに容易かつ速く両替する方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の望ましい実施例によれば、一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で二つ以上の通貨で取引されたり、互いに異なる通貨で取引する取引所が同士契約などにより前記デジタル資産を共有したり、または互いに異なる通貨で取引する取引所同士が前記デジタル資産の取引に関する情報を共有したりする時、a)前記ブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して外国為替取引仲介サーバー6がA通貨基準に取引される買い-売り呼び値及び待機残高情報をA通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産取引サーバーから受信する過程と、b)前記ブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して外国為替取引仲介サーバー6がB通貨基準に取引される買い-売り呼び値及び待機残高情報をB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産取引サーバーから受信する過程と、c)外国為替取引仲介サーバー6が前記A通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い呼び値及び待機残高とB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産売り呼び値及び待機残高を考慮してA通貨基準外国為替買い呼び値及び待機残高を算出したりB通貨基準外国為替売り呼び値及び待機残高を算出したりする過程と、d)外国為替取引仲介サーバー6が前記A通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産売り呼び値及び待機残高とB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い呼び値及び待機残高を考慮してA通貨基準外国為替売り呼び値及び待機残高を算出したりB通貨基準外国為替買い呼び値及び待機残高を算出したりする過程からなることを特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0009】
好ましくは、前記a)と前記b)の過程は順序が変わったり同時に起きたりする過程、及び、前記c)と前記d)の過程は順序が変わったり同時に起きる過程を特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0010】
好ましくは、前記c)過程とd)過程でA通貨またはB通貨基準に計算した結果を外国為替取引仲介サーバー6が両替需要者端末2からの選択に応じて変換して見せることができることを特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0011】
好ましくは、前記外国為替取引仲介サーバー6は待機残高を考慮しなかった最善の外国為替買い-売り呼び値もしくはその平均値、またはその逆数を現在の価格で公示するように処理することを特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0012】
好ましくは、前記外国為替取引仲介サーバー6は実在する外国為替市場の公示価格を共に表示する暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0013】
好ましくは、前記外国為替取引仲介サーバー6は両替需要者の要請を受信して現在の両替可能な為替レートが両替需要者の要請以上(超過)または以下(未満)に到達した時自動で取引を処理する、暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0014】
一方、本発明は一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で二つ以上の通貨で取引されたり、互いに異なる通貨で取引する取引所同士が契約などにより前記デジタル資産を共有したり、または互いに異なる通貨で取引する取引所同士が前記デジタル資産取引に関する情報を共有したりする時、a)外国為替取引仲介サーバー6がA通貨の一定金額に対するB通貨への両替要請を両替需要者から受信する過程と、b)前記一定金額のうち全部または一部のA通貨で単一または多数のブロックチェーン基盤のデジタル資産売り待機者から前記デジタル資産を買収する過程と、c)前記買収したブロックチェーン基盤のデジタル資産をB通貨で単一または多数のブロックチェーン基盤のデジタル資産買い待機者に売る過程と、d)前記売ったB通貨を両替需要者に支給する過程からなることを特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体で両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0015】
好ましくは、空売りを利用して前記c)過程以後b)過程で清算することを特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0016】
一方、本発明は一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産が一つの取引所内で二つ以上の通貨で取引されたり、互いに異なる通貨で取引する取引所同士が契約などにより前記デジタル資産を共有したり、または互いに異なる通貨で取引する取引所同士が前記デジタル資産取引に関する情報を共有したりする時、a)外国為替取引仲介サーバー6がA通貨の一定金額に対するB通貨への両替要請を両替需要者から受信する過程と、b)単一または多数のA通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産売り待機者に前記一定金額の全部または一部を支給して前記デジタル資産の全部または一部を単一または多数のB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い待機者に移転する過程と、c)前記単一または多数のB通貨基準ブロックチェーン基盤のデジタル資産買い待機者の買収待機金額のうち全部または一部を両替需要者に支給する過程からなることを特徴とする暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法は、外国為替需要者が市場でブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介として両替及び外国為替取引を直接行うことができるようにするので、外国為替需要者の買い-売りスプレッドを最小化することができ、一つの取引所内で取引が終結したり取引所間契約などによりブロックチェーン基盤のデジタル資産を共有したりするので、前記デジタル資産の移転手続きが存在せず移転の遅延時間の間の前記デジタル資産価格変動危険に晒される余地がない。更に、取引所間で両替取引の情報を共有する方法でブロックチェーン基盤のデジタル資産の共有なしに事後精算する方法で価格変動の危険を回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引システムの構成を図示した模式図である。
図2】一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して二種類の通貨で取引される構造の例示図である。
図3】暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体にした両替取引の構造図及び例示図である。
図4】一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して二種類の通貨で取引される買い-売り呼び値及び待機残高の例示図である。
図5】二種類の通貨の買い-売り呼び値及び待機残高を利用して外国為替市場を表現する概念図である。
図6図5の概念図を算出する順序図の例示である。
図7図6の結果を算出して外国為替市場を表現した例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引システムの構成を示した模式図、図2は、一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して二種類の通貨で取引される構造の例示、図3は、暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体にした両替取引の構造図及び例示、図4は、一つの暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産に対して二種類の通貨で取引される買い-売り呼び値及び待機残高の例示、図5は、二種類の通貨の買い-売り呼び値及び待機残高を利用して外国為替市場を表現する概念図、図6は、図5の概念図を算出する計算順序図の例示、図7は、図6の結果を算出して外国為替市場を表現した例示である。
【0021】
これを参照すると、本発明の一実施例に係る暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法は、外国為替需要者が直接市場で暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介として両替及び外国為替取引を行うようにするので外国為替需要者の買い-売りスプレッドを最小化することができ、一つの取引所内で取引が終結したり取引所間契約などにより暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を共有したりするので暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産の移転手続きが存在せず移転の遅延時間の間の価格変動危険に晒される余地がなく、取引所間両替取引情報を共有して事後精算する方法で価格変動危険を回避できる効率的かつ効果的な両替及び外国為替取引方法である。
【0022】
以下、ブロックチェーン基盤のデジタル資産は、最も代表的な暗号通貨を挙げて、一つの取引所内で一つの暗号通貨が二つ以上の通貨で取引される場合をまず説明する。
【0023】
より詳細に、図1のように外国為替取引仲介サーバー6が一つの暗号通貨に対して二つ以上の通貨で取引される取引市場の取引サーバーから各市場の呼び値と待機残高情報を収集してデータを処理した後に外国為替仲介情報出力アプリケーション6を介して両替需要者端末2に情報を提供する。また、両替需要者の両替要請を外国為替取引仲介サーバー6が受信して両替取引を行う。前記外国為替取引仲介サーバー6は、単一サーバーが担当してもよく取引と管理の効率性のために多数のサーバーに分離してもよい。
【0024】
一実施例で、一つの暗号通貨に対して二種類の通貨で取引される状況は図2の通りである。実際に大韓民国内の暗号通貨取引所は、法定通貨としてのウォン貨単一市場だけ取り扱っているが、例えばBitfinex、GDAX、Krakenなど海外の暗号通貨取引所のうち一部は多数の法定通貨を基準に暗号通貨を取引している。このような一つの暗号通貨に対して多数の法定通貨の市場が活性化されると、これを基に暗号通貨を媒介体にした両替及び外国為替取引を構成することができる。
【0025】
つまり、図2のように一つの暗号通貨であるBTCに対して一つの取引所内で二種類の通貨であるウォン貨とドルで取引が同時に起きると、図3のような方法によりウォン貨でBTCを買って直ちにドルでBTCを売る方法でウォン貨をドルに両替する効果をみることができる。この方法は一つの取引所内で発生するので暗号通貨を他の取引所など他人に送金する必要がないため、買い以後売りまでの送金待ち時間が存在しない。従って、買い直後に売りができるので価格変動危険に晒されないため従来の技術である空売りや派生商品を結合する必要もなくなる。
一方、BTCの買い直後売りが起きるので、二つの取引を一つの取引に統合することができる。
【0026】
好ましくは、ウォン貨市場BTC売り手に両替需要者のウォン貨を支払ってBTCをドル市場買い手に移転した後該当ドルを両替需要者に支払うと買い-売り二種類の取引を3者間単一取引に統合することができる。
【0027】
この方法を用いるとBTCの取引ごとに発生する取引手数料を節約することができる。つまり、二回の取引を一回の取引で短縮させたので、既存に対比して半分の手数料が可能になる。さらに、この方法は暗号通貨の取引に対して取引税や損益に対する課税が発生する国では、両替需要者は暗号通貨を取引しなかったので不要な課税の可否を判断することができないこともある。
【0028】
前記一実施例と逆の方法でドルをウォン貨に両替することもできる。つまり、ドルでBTCを買って直ちにウォン貨でBTCを売ると、ドルをウォンに両替した効果と同じになる。もちろんこの場合も前記3者間の単一取引に統合することができる。
【0029】
このように一つの取引所内で一つの暗号通貨に対して二つ以上の通貨で取引される環境が存在すると、両替需要者は暗号通貨を媒介体にして直接両替をすることができ、ここに消耗する費用は取引所に支払う取引手数料だけで、直接市場のスプレッドの適用を受けるので最小の費用で両替をすることができる。
【0030】
ただし、両替需要者の目的は両替であるだけで、暗号通貨の取引は目的ではないので図4のように表現される暗号通貨に対する買い-売り呼び値及び待機残高では両替取引が容易ではなく、暗号通貨の買いとその後の売りまで人が直接行うと誤ったり間違ったりして価格変動危険に晒される余地がある。従って、本発明では両替需要者に適合するように図3のデータを加工して外国為替市場のような様子で表現して両替需要者が理解しやすくし、両替需要者の要請があれば自動で暗号通貨を買って即時に売って価格変動の危険を取り除く方法が提供される。
【0031】
より詳細に、A通貨とB通貨に対する暗号通貨取引市場は図4のとおりである。この時、A通貨をB通貨に交換しようとする両替需要者は、A通貨市場で暗号通貨を買収してB通貨市場に売らなければならない。A通貨市場で暗号通貨を買うため、A通貨基準で売ろうとする取引相手方からP の価格でQ 以内の数量を買わなければならず、仮に両替目的金額が最も低い売り待機(気配)残高の総額であるP とQ の積を合計で超えるとそれより一段階高い価格であるP の価格で購入しなければならない。仮に両替目的金額がP とQ の積とP とQ の積を超えてしまうと、同様の論理によってそれよりさらに一段階高い価格であるP の価格で買わなければならない。
【0032】
以後、このように購入した暗号通貨をB通貨市場にP -1の価格で売らなければならない。仮に売ろうとする暗号通貨数量が最も高い買い待機(気配)残高であるQ -1を超えるとそれより一段階低い価格であるP -2の価格で売らなければならない。
【0033】
このような取引方式によって、一実施例として、A通貨をB通貨に両替しようとする暗号通貨を媒介体とする外国為替市場の買い-売り待機(気配)残高及び買い-売りの価格構造は図5のとおりである。つまり、 Q と Q -1の中で小さい値であるQ まではP /P -1の価格で両替できて、Q -1‐ Q だけはP /P -1の価格で両替することができる。さらに、Q +Q ‐Q -1だけはP /P -2の価格で両替することができ、Q だけはP /P -2の価格で両替することができる。
【0034】
上記の一実施例のように各区間別数量及び該当する価格は、A通貨市場とB通貨市場の取引規模及び取引待機(気配)残高により計算構造が変わってもよく、これを考慮した計算構造の一実施例は図6のようになり、前記外国為替取引仲介サーバー6がこのような演算を処理して外国為替仲介情報出力アプリケーション4を介して両替需要者端末2に出力する。
【0035】
より詳細に、前記外国為替取引仲介サーバー6は、初期値としてR=0、i=0、j=0を設定する。以後R値に応じて実行手続きが異なってその手続きは次のとおりである。
【0036】
仮にR=0ならi=i+1、j=j+1と新しい値を設定する。そして取引待機(気配)残高はMin[Q 、Q -j]の値を出力して、取引価格はP /P -jの値を出力した後、R=Q ‐Q -j に再設定する。
【0037】
仮にR>0なら、j=j+1と新しい値を設定して、待機(気配)残高はMin[R、Q -j]の値を出力して、取引価格は P /P -jの値を出力した後、R=R-Q -jに再設定する。
【0038】
仮にR<0なら、i=i+1と新しい値を設定して、待機(気配)残高はMin[-R、Q]の値を出力して、取引価格は P /P -jの値を出力した後、R=R+Q に再設定する。
【0039】
上記三つのうち一つの段階を経た後、iまたはjが最大値であるNに到達すると、前記外国為替取引仲介サーバー6は出力と演算を終了する。
これによりA通貨をB通貨に両替しようとする両替需要者に適用できる暗号通貨を媒介体とする外国為替市場を表現することができる。
【0040】
一方、B通貨をA通貨に両替しようとする両替需要者も同様の方法でアクセスすることができる。まず、B通貨で暗号通貨を買ってこれを直ちにA通貨で売るとB通貨をA通貨に両替する効果が現れる。したがって、上述した本発明の過程をAとBを入れ替えて行うとB通貨をA通貨に両替しようとする両替需要者に適用できる暗号通貨を媒介体とする外国為替市場を表現することができる。
【0041】
前記二つのA通貨をB通貨に両替する過程とB通貨をA通貨に両替する過程の結果をまとめて表現すると図7の通りである。図7の例示は図5で表示した例示を基に計算された結果であり、これは周知のとおり買い-売り待機(気配)残高の数値に応じて変わる。さらに、計算の便宜のためにQ =Q及びQ =Q -jの対称的な数値を仮定し、実在市場ではこの仮定が成立しない。さらに、従来の外国為替市場と同様に、価格の表示はA通貨基準とB通貨基準とで二つとも表示することができるのでP/PとP/P二つとも可能であり、取引残高であるQの値は、暗号通貨基準残高であるから、該当区間に適用される適切な乗数(A通貨またはB通貨)をかけて表示すれば最終的に暗号通貨を媒介体とする両替及び外国為替取引方法が提供される。
【0042】
一方、本発明の一実施例に係る前記の暗号通貨を媒介体とする両替及び外国為替取引方法は、取引所の手数料を反映しなかったため、両替需要者が前記市場情報の適用を直接受けないこともある。しかし、暗号通貨取引所は、各暗号通貨投資家の投資額規模に応じて手数料を差別適用することができ、よって一律的に価格及び取引残高を調整することは不可能であるため、この点は反映しなかったし、また、従来の株式市場や外国為替市場も取引呼び値と残高に手数料を反映して表示しないので、その慣例に従って処理した。仮に一律的に手数料を適用するなら該当データに手数料を反映して表示することもでき、各両替需要者に適用される固有の手数料があるならその部分を反映して各々異なる情報を各両替需要者に提供することもできる。
【0043】
一方、取引残高を考慮しなかった暗号通貨を媒介体とする両替及び外国為替取引の現在の価格は、A通貨基準にP /P -1とP -1/P で表現することができるので、前記外国為替取引仲介サーバー6は、該当データまたはその平均値を現在の価格で表示できて、仮にさらに他の暗号通貨で前記過程を通じてさらに他の外国為替市場を造成したならば二つの互いに異なる暗号通貨による外国為替市場の現在価格を比較表示してどちらがより有利か両替需要者に情報を提供することもできる。さらに、実際に外国為替市場でリアルタイムで公示される価格も共に表示することによって外国為替需要者の意志決定を助けることができる。もちろん両替需要者の便宜に応じてB通貨基準に上記データの逆数を表示することもできる。
【0044】
本発明に係る前記過程が従来の外国為替市場と異なる点は、外国為替自体を取引するのではないので、取引残高価格別価格の差(Tick Value)が一定でなく、外国為替自体を取引するのではないので、外国為替取引自体に対する買い-売り待機(気配)注文が不可能である。代りに、外国為替取引仲介サーバー6は、両替需要者の要請を受信して現在の両替可能な為替レートが両替需要者の要請以上または以下に到達した時自動で取引を処理する方法を提供することもできる。
【0045】
一方、周知のとおり、一つの暗号通貨について互いに異なる通貨で取引する取引所同士暗号通貨を共有する方法で前記一つの取引所の例示と同じ効果をみることができる。例えば、A通貨でだけ取引する暗号通貨取引所とB通貨でだけ取引する暗号通貨取引所が契約などの方式により、暗号通貨を同じ取引所電子財布で共有するならば、この場合も暗号通貨の送金手続きが必要でないので、一つの取引所と同様の効果をみることができる。さらに、暗号通貨を共有しなくても取引情報を共有することによって類似の効果をみることもできる。例えば、A通貨でだけ取引する暗号通貨取引所とB通貨でだけ取引する暗号通貨取引所が、暗号通貨を共有しなくても両替関連取引情報を共有して両替需要者の要請に応じて各取引所で暗号通貨を買い-売り取引を起こした後、後に互いに暗号通貨を移転することによって終結する方法で価格変動危険を回避することもできる。
【0046】
前記両替関連取引情報を共有することの意味は、両替需要者の要請を共有することだけでなく、潜在的両替需要者に暗号通貨を基盤とした外国為替市場情報を伝達するために暗号通貨の買い-売り呼び値及び待機(気配)残高の情報を共有することを含む。もちろん、暗号通貨を共有する環境においても前記理由と同様に潜在的両替需要者に暗号通貨を基盤とした外国為替市場情報を伝達するために、暗号通貨の買い-売り呼び値及び待機(気配)残高の情報を共有しなければならない。
【0047】
本発明の外国為替需要者は銀行を介さず直接両替ができるので、最善のスプレッドの適用を受けることができ、このような市場参加者が増えるほど暗号通貨の均衡価格が外国為替市場と統一されて特定の国で暗号化通貨が高い価格または低い価格で取引される不均衡現象を解決することにも貢献することができる。
【0048】
さらに、暗号通貨の価格変動が急激であってもA通貨基準暗号通貨価格とB通貨基準暗号通貨価格が正(+)の相関関係の中で動くので、両替需要者が適用を受ける暗号通貨を媒介体とする両替及び外国為替取引の価格はより安定的になり、これにより暗号通貨の価格安定化にも助けになることができる。
【0049】
これまで、上記実施例はブロックチェーン基盤のデジタル資産の一例として暗号通貨を用いた。しかし、本発明を実施するためには必ず暗号通貨を媒介体として利用する必要はない。ブロックチェーン技術に基づいてその実物がある一つの場所に帰属せず分散ネットワーク上に信頼できるように存在するならば、その対象が暗号通貨でなくても本発明が実施できる。従って、ビットコインやイーサリアムなど暗号通貨だけでなく実在価値が存在する他の証券などを対象にする証券型トークンなどブロックチェーン基盤のデジタル資産ならば何でも媒介体として活用が可能になる。このような実在価値が存在するデジタル資産は既存の暗号通貨とは異なって理論的評価基準でその価値を計算することができて、実在価値が存在するのでこれを投資しようとする潜在投資家もずっと多いはずである。従って、取引が既存の暗号通貨より活発になり、多くの取引量に基づいてより安定したブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする外国為替市場を導き出すことができる。
【0050】
一方、ブロックチェーン基盤デジタル資産の特性を利用して前記デジタル資産の取引を担い司る取引サーバーの統合とこれに基づいた外国為替取引仲介サーバー6の統合が可能であり、これとは別に法定通貨管理を分離して効率性を図ることもできる。つまり、ブロックチェーン基盤デジタル資産は、一国や地域に帰属した資産でなくブロックチェーンネットワーク上に存在する仮想の資産なので、このデジタル資産の取引を司るサーバーは、全世界どの地域でも配置が可能でこれを利用して多くの国に存在する取引サーバーを単一または少数の取引サーバーで統合することが可能である。例えば、大韓民国に前記ブロックチェーン基盤デジタル資産の取引サーバーを設置してこれをベースに大韓民国の利用者だけでなく米国の利用者も取引するならば、米国に取引サーバーを設置する必要がなくなる。ただし、法定通貨と前記デジタル資産との間の取引のためには、法定通貨の管理が必要であるため、この部分だけ別に大韓民国と米国で各々管理するならば、二つの国に各々存在する取引サーバーを統合することができる。このようにブロックチェーン基盤デジタル資産の取引サーバーとこれに基づいた外国為替取引仲介サーバー6を法定通貨管理と分離すると、各国に配置した多数の取引サーバーを単一または少数の取引サーバーで統合することが可能で、本発明の外国為替取引仲介サーバー6も単一または少数で統合が可能になり、この方法で効率性を最大化することができる。
【0051】
一方、本発明の実施例に係る暗号通貨を含むブロックチェーン基盤のデジタル資産を媒介体とする両替及び外国為替取引方法は、単に前記一実施例に限定されず、その技術的要旨を離脱しない範囲内で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
2 両替需要者端末
4 外国為替仲介情報出力アプリケーション
6 外国為替取引仲介サーバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7